ヘラクロス

登録日:2011/05/01(日) 19:37:54
更新日:2023/08/13 Sun 18:31:00
所要時間:約 8 分で読めます





自慢のツノを相手のお腹の下にねじこみ、一気に持ち上げぶん投げてしまう力持ち。



出典:ポケットモンスター ダイヤモンド&パール、189話『シンオウリーグ準決勝!ダークライ登場!!』、
2006年9月28日~ 2010年9月9日まで放送。
OLM Team Kato、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


ヘラクロスとはポケットモンスターシリーズに『金・銀』から登場するポケモン


■データ


全国図鑑No.214
分類:1ぽんづのポケモン
英語名:Heracross
高さ:1.5m
重さ:54.0kg
タマゴグループ:虫
性別比率:♂50♀50

タイプ:むしかくとう

特性:むしのしらせ(HPが1/3以下になるとむしタイプの技の威力が1.5倍になる。野生ポケモンとの遭遇率が上がる)
  /こんじょう(状態異常になると攻撃が1.5倍になる。やけどによる物理ダメージ半減も無効)
隠れ特性:じしんかじょう(相手を倒すと攻撃が1段階上がる)

HP:80
攻撃:125
防御:75
特攻:40
特防:95
素早さ:85
合計:500

努力値:攻撃+2

4倍:ひこう
2倍:ほのおエスパーフェアリー
1/2:くさ/かくとう/じめん/むし/あく


■概要


二足歩行のカブトムシのようなポケモン。
「いっぽんづの」ポケモンだが、名前の由来と思われるヘラクレスオオカブトは2本角であることは内緒。

カブトムシのイメージの通り、強靭な足腰により異常な怪力を誇りその自慢の角で相手を持ち上げそのまま投げ飛ばしてしまう。
そのパワーは最大で自分の100倍もの体重の相手まで投げ飛ばしすとまで言われており、巨大な大木すら根本から引きちぎってしまう。

普段は非常に大人しい性格をしているが、大好物である樹液を食べる邪魔をされるとそのパワーで反撃されるので注意が必要。

何気に分類に数字が入っている珍しいポケモン。
まあ、当時は5文字制限があったので仕方ない。カバルドン?知らん


■ゲームでのヘラクロス


強力な専用技「メガホーン」を引っ提げて登場した虫の王様。
スピアーの「ダブルニードル」が最高火力という虫不遇にも程があった初代
そして第二世代になっても貧弱な「れんぞくぎり」か厳選の難易度が高い「めざめるパワー(虫)」しか一致むし技を使えないポケモンばかりの中でずば抜けた存在感を誇った。
ただ、自身もエスパーが弱点なので素早いエスパーポケモンが相手だと油断できない。
それでも特殊耐久が高いので一致「サイコキネシス」でも一撃で倒せるポケモンは限られる。

初登場となる『金・銀』ではウバメのもり等で「ずつき」を使うと低確率で出現するレアポケ。
この低確率というのがトレーナーIDによって決定されたため、「その存在を影も形も知らないまま殿堂入りを迎える」「クリア後に出てくるポケモンだと思い込む」「友人に出る木を教えてもらったのに出なかったとへこむ」「片方のバージョンでしか出ないと思い込む」というトレーナーも後を絶たなかった。
また、『ルビー・サファイア・エメラルド』ではサファリゾーンの特定エリア内(最奥部)のみに登場し、『ダイヤモンド・パール・プラチナ』では樹に蜜を塗って登場、
ブラック・ホワイト』でもレアエンカウントのみと、シリーズ通して入手条件に癖があり捕獲は地味に面倒臭い部類。
そのため捕獲難易度が低いFRLG版などで元手を入手したり、知人から譲ってもらったりということもしばしば行われていた。

その分能力値は高く、捕まえればストーリー中でもかなり頼りになる。

なお、飛翔できるという設定があり、ポケモンスタジアム金銀やバトレボでは攻撃を受けて後退したとき、背中の翅を広げて飛んで元の位置に戻るという演出がある。
ハードが3DSに移行すると、繰り出したときに飛翔して着地モーションが見られるようになった。
ソード・シールド』のヨロイじまやカンムリせつげんで連れ歩きを行うと、普段は歩いて移動するが距離が長いと飛んで移動し、水上などは飛翔して主人公の後ろをついてくる。


■対戦でのヘラクロス


高い攻撃を誇り、他の能力もかなりバランスが良い優秀な物理アタッカー。
特攻だけはかなり低いが元々特殊技を殆ど覚えないため、種族値の配分はまったく無駄がない。

金銀当初は「こらえる」と「きしかいせい」の通称『こらきしコンボ』が強力で、カビゴンハピナス等を問答無用で叩き潰す活躍を見せた。
ニンテンドウカップ2000決勝戦にてケンタロスの攻撃を「こらえる」で耐えた後、
『きあいのハチマキ』の発動と「きしかいせい」により絶体絶命の状況から3タテ、大逆転勝利を収めたヘラクロスは今なお伝説として語り継がれている。
ちなみにニックネームは「むし!」だった。

まさしく『起死回生』

しかし当時ヘラクロスが使用できたかくとう技は反撃前提の「カウンター」「きしかいせい」と威力が20しかない「いわくだき」、厳選の厳しい「めざめるパワー」程度。
さらにエアームドサンダーと言ったメジャーで強力なひこうタイプに手も足も出ないという有様。
結果的に第二世代でのヘラクロスはあまり強力とは言えず、マイナーな存在だった。
近年のVC版ではめざパ格闘を厳選することによって多少採用率が上がったらしい。

第三世代で安定したかくとう技の「かわらわり」に加え、「おにび」によるやけど状態の攻撃力の低下を無効にする『こんじょう』を習得。
落ち着いたとは言え未だ強キャラであったカビゴンとその黄金タッグのミロスイに有利*1と言う非常に稀な性質を持ったことで一気にメジャーとなる。
天敵(ボーマンダマタドガスグライガーゲンガー*2など)でギリギリ抑えられると言うレベルなので本来の役割に負担がかかりすぎ、彼らの努力値配分や技構成は非常に難しくなっていた。

また、こういったTier1環境の伝聞や後世の先制技流行などから『むしのしらせ』は不遇特性だと思われがちだが、ぶっちゃけ先述のこらきしコンボは「カムラのみ」というブーストアイテムを手に入れてしまい、そこにメガホーンに補正を乗せられるので圧倒的なんてもんじゃない。
めざパを粘るのが今の何百倍も時間がかかるような時代だったため、お手軽に強いこらきしコンボを選ぶ人も多かった。こらきしコンボは上述の環境じゃお話にならないかもしれないが、当時のポケモン対戦は何もカタログスペックの上だけで戦うプレイヤーだけの遊びではなかったのだ。
当時のプレイヤーの間で俗に言われていたことに「最後にス(ロス)がつくポケモンは強い」「青いポケモンは強い」というものがあったのだが、その俗諺の一端を担うポケモンである。


第四世代からは先制技や悪天候の流行によりこらきしコンボは見る影も無くなったが、
「インファイト」や「ストーンエッジ」の習得等によりむしろ大幅に強化されることとなった。
攻撃力が高いだけでなくタイプ一致技がどちらも威力120の「メガホーン」「インファイト」と非常に強力で、
更にサブウェポンも対ひこうの「ストーンエッジ」や対ゴーストの「つじぎり」等かなり優秀。

そしてわざマシン化によって「おにび」や「でんじは」を持つポケモンが増えたため、やけどにより機能停止しない『こんじょう』の方が高く評価されるようになる。
加えて「つるぎのまい」で更なる火力補強も出来たりと、物理面の爆発力は間違い無くトップクラス。まさにミスター物理アタッカーなムシキング。
素早さが中途半端なため、持ち物は『こだわりスカーフ』が全体的に人気。
さらに火力を上げるために『こだわりハチマキ』を巻いたり、特性『こんじょう』を利用するために『かえんだま』や『どくどくだま』を持たせても良い。

それゆえに物理耐久の調整の際にはよく槍玉に上がるポケモンの一匹である。当時のプレイヤーの間ではむしタイプの話をするときは「ヘラクロス(+Pt以降はハッサム)とそれ以外」と分けることが圧倒的に多かった。
最大の欠点は物理面に完全に尖った性能なため役割破壊能力にも期待出来ず、「ちょうはつ」のような変化技潰しも無いため単純な物理受けやかくとう受けで止まりやすい事。

弱点であり一致技を両方半減するフェアリータイプは天敵であり、どくはがね技での対策ができないのも痛い。
また硬いゴーストタイプいわが弱点でないひこうタイプ、具体的にはデスカーン奇石サマヨール・ヨノワールグライオン等も天敵。
他にもボーマンダやクロバット等が苦手なため、出来ればこれらは他のポケモンで対策したいところ。

また耐久はそこそこだが「インファイト」や『かえんだま』等自ら身を削る戦法が多いため耐久にも過信は禁物。
特にひこうタイプは4倍弱点となり、忘れた頃に刺さるため注意。


第四世代までは唯一のタイプ一致「メガホーン」使いだった。
メガホーン自体は第三世代でなぜかギャロップが習得したのを皮切りに、物理ポケモンのサブウェポン枠として配られるようになっていく。
これに怨嗟の声をあげたのは他の物理虫たちだ。こっちはタイプ一致シザークロス、もしかしたらそれすらないかもしれないのになんでヘラクロスだけ!
そんな時代も第五世代でやっと改善、ペンドラーシュバルゴが「メガホーン」を取得してしまったため唯一の使い手では無くなった。
しかしそれぞれヘラクロスとは運用が全く違うポケモンなためヘラクロスの強さ自体には全く影響は無い。

そもそもタイプ一致の虫技自体、フェアリータイプ追加以降の環境ではメタの関係で切るプレイヤーも多い。
ヘラクロスは他の技が優秀だし、ペンドラーやシュバルゴは別の役割を持たせた方が強い。
サブウェポンに虫技を搭載するという考えも、弱点を突けるタイプが少ない上に「じゃくてんほけん」のトリガーにされかねないためすっかり下火になってしまっている。
かつて他の虫ポケモンに嫉妬の炎を燃やされていたというのに、今は肝心のヘラクロスでも持て余すことがあるという微妙な技に落ちぶれてしまった。

対なる存在としてはくわがたポケモンのカイロスが挙げられる。
当初はカイロスに(主に技の関係で)大きく差を付けていたが、近年はカイロスの技の充実、特性の追加もありヘラクロスの良きライバルとなっている。

そして『X・Y』ではメガシンカが登場。
同時に対となるカイロスにもメガシンカが追加された。


第七世代では、同タイプのマッシブーンフェローチェが登場。
性能自体は全くの別物であるものの、こだわり系アイテムで運用する場合にはフェローチェの存在は意識しておきたい。
攻撃範囲や耐久力の違いはあるものの、あちらは素で非常に速くも火力も上回っており、特殊型も可能。
仮想敵を誰に定めるかで最適な方を選択すべし。

第九世代であるSVでは、連続技が4回以上ヒットするようになる「いかさまダイス」の登場により、メガヘラクロスに近い運用ができるようになった。

結局登場した時期から今に至るまで、明確な冬の時代というものを全く経験したことのないポケモン。
現実のカブトムシの生息域のように、暖かな環境の中で20年以上前線を生き続けている。


メガヘラクロス



2本のツノで 挟みこみ、

自分の 体重の 500倍の 重さの ものも

持ち上げることが できるのだ。



出典:『ポケットモンスター X・Y』公式サイト、22年12月15日閲覧、https://www.pokemon.co.jp/ex/xy/pokemon/mega/24.html
©2013 Pokémon. ©1995-2013 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.



[タイプ] むし/かくとう

[特性]
『スキルリンク』
連続技が必ず5回当たる

[種族値]
HP:80
攻撃:185
防御:115
特攻:40
特防:105
素早さ:75
合計:600


見た目は名前の由来であるヘラクレスオオカブトにより近くなった。
メガシンカ前との最大の違いとして両前腕部が巨大化しており、腕の装甲を開いて弾を連射するという構造になっている。連続技等を使うと非常にカッコいい。
しかし第六世代では技モーションの手抜き設定ミスのせいで、連続技選択時にこのモーションは見られなかった。
種族値は攻撃に+60、防御に+40、特防に+10、素早さに–10と殆ど無駄がない。

素早さが下がったのは痛いが、攻撃力が180の大台を突破。これはデオキシス(アタックフォルム)を上回る数値である。
また、同時に威力25に強化された「ミサイルばり」や「タネマシンガン」「ロックブラスト」を覚えるようになり、特性との相性はバッチリ。
その一方で、非メガ型とは全く異なる戦い方が求められるようになり、これまで代名詞であった「メガホーン」を捨てることになった。
初手でメガシンカしないと意味がないため、敢えてメガシンカせずメガか非メガかの読み合いを相手に求めるような戦い方もできない。

XYレート初期では先制で4倍弱点を突いてくるファイアローが流行っていたため、あまり見かけなかった。
だが逆に言えば、ファイアローさえどうにか出来ればメガシンカ勢屈指の強ポケの一角である為徐々に使い手や評価する者が増えた。
クレセリアスイクン、メガシンカ前などの状況次第ではヒードランラティオス(スカーフ前提)といった対戦で人気の準伝ポケモンに強いのだ。

第七世代では、天敵のファイアローが下方修正により環境から姿を消したものの、同時にガルーラやスイクン、クレセリアといった役割対象も減少してしまう。
それと入れ替わるかのようにフェアリーが大量に増加、同時にランドロスやボーマンダ、リザードンといった苦手な相手も使用率が上昇。
メガヘラクロス自体は強いものの、いまいち環境に適合しきれていない部分がある。

とはいえ、クレセリアやヒードランとの補完に優れた並び(ヘラクレセドラン)は強力であり、PGL統計を見てもこの3匹はよく組まれている。
不利な相手を構築で補ったり、適材適所での活躍が求められる。


■アニメでのヘラクロス


無印最終OPでは一瞬ながら「メガホーン」を放つ姿が見られる。

本編中ではカイロスと縄張り争いをしており、サトシ一行に助けを求めて行動を共にする。
原因となっていたロケット団の活動を止め、縄張り争いが収束した末にサトシに懐き、友情ゲットされた。
フシギダネの背中の蜜が大好物で、ボールから出る度にフシギダネを襲ってちゅうちゅう吸っている。そしてフシギダネが本気で嫌がるまでがお決まりの流れ。

金銀編のシゲルとのリーグ戦ではブーバーの「だいもんじ」→至近距離の「かえんほうしゃ」を耐え、返り討ち。タフさを見せつけた。

シンオウポケモンリーグ、スズラン大会で再登場、「きあいパンチ」や「ねごと」などを既に習得していた。
タクト戦でダークライ相手に先発出陣。お約束の「ダークホール」を食らうも、「ねごと」からの「メガホーン」をぶちかました。敗れはしたものの、この時のダメージがあまりにも重く、この後、ジュカインのリーフブレードの前にダークライは初の黒星をつけられることになった。

「ねごと」を覚えているため眠り状態に対抗できることは最大の強みで上記のダークライに深手を負わせたほか、コロトックも撃破に成功している。後のカイリューが催眠攻撃の前に何もできなかったことを考えるといかにすごいことかわかるだろう。

■ポケモンカードでのヘラクロス



原作での活躍がうそのように弱い。

……これだけだとあんまりなのだが、ライバル枠の一匹でもあるストライクやハッサムが大暴れしているのに対して非常におとなしい。
一応「草だけでなく闘ポケモンとしても扱われる」などの特徴はあるのだが、別に進化系がいるわけでもないし。
そもそも最近のポケモンカードはたねポケモンがシステム的にあまり強くならないので……。

一応メガシンカ時代のX・Y期には「ヘラクロスM」が登場したが、それ以外は原作での存在感がうそのようにおとなしい。
ポケモンは原作の不遇なポケモンを外部メディアで救済するという要素もあるので、その割を食ってるのかもしれない。



ヘラクロス「おばあちゃんが言っていた・・・俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
クロックアップ!(カムラのみ発動)」


ひまになると むかしのちしきを たよりに こうもくを ついきしゅうせいして まわる。


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最終更新:2023年08月13日 18:31

*1 鉢巻メガホーンでB特化スイクンが確定2発であるため、等倍で受けるのはまず不可能であった。また、ヘラクロスは特殊耐久が高めであるため、耐久調整を施すことでこれらの耐久型水タイプへの後出しが割と安定した。

*2 鉢巻持ちの場合、めざめるパワーゴーストが採用されることも多かったため、意外と不安定であった