ケイネス・エルメロイ・アーチボルト

登録日:2009/06/23(火) 16:05:44
更新日:2024/02/22 Thu 14:28:52
所要時間:約 11 分で読めます






――宜しい。ならばこれは“決闘”ではなく“誅伐”だ





ケイネス・エルメロイ・アーチボルト(Kayneth El-Melloi Archibald)とは、『Fate/Zero』に登場するキャラクターである。


◆プロフィール

声:山崎たくみ
身長:181cm
体重:62kg
血液型:B型
誕生日:4月11日
年齢:不明(20代前半から半ばと推測されている)
イメージカラー:真鍮
特技:絵画、彫刻、工芸
好きなもの:自分
苦手なもの:愚か者
天敵:衛宮切嗣



※以下、ネタバレを含む内容のため注意。




◆人物像

第四次聖杯戦争におけるランサーのマスター。
魔術協会本部・時計塔において、最年少で降霊科講師になった天才魔術師。
風と水、二重の魔術属性を持ち、降霊術・召喚術・錬金術にも通ずるエキスパート。
ウェイバー・ベルベットは彼の教え子の一人。
九代続く魔術の名門、アーチボルト家の嫡男であり、降霊科学部長の娘ソラウと婚約している。
彼女との婚約は政略結婚によるものだが、彼自身はソラウに本気で惚れており、それ故に彼女に強く出られない。
ロード=エルメロイの名で知られ*1、魔術師としての階梯は「王冠」に次ぐ事実上の最高位である「色位」。

自身が魔術師であることを誇りとする、時臣とはまた違ったタイプの典型的な魔術師。
真っ当な社交性はあるが、名門生まれ故なのか非常にプライドが高く傲慢なナルシスト。
また、疑り深くヒステリックで、中々自らの非を認められない狭量さを持つ。

聖杯戦争に参加する理由は、魔術師としての経歴に「武功」という箔を付ける為
そのため、彼自身は特に聖杯に託す望みを持たない。

聖杯戦争ではサーヴァント召喚・契約の仕組みを解析した上で、魔力の供給を婚約者であるソラウが、令呪を自らが受け持つ分担戦術をとる。
これによって、サーヴァントに十分な魔力を供給しながらも自らは十全の状態での魔術行使や戦闘が可能となっており、
敵対者は、単純な火力勝負なら第五次のランサーを上回るほど魔力が供給された彼のサーヴァント・ランサーと、
魔術師としては超一流といっても過言ではないケイネスの魔術を同時に注意しなければならない。

ケイネス当人は研究畑の魔術師なので戦闘経験そのものは少ないのだが、趣味の産物として強力かつ高度な魔術礼装を多数持つため、戦闘力は高い。
中でも、彼自身が魔力を込めた水銀の魔術礼装『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』は非常に強力で、
状況に応じて攻撃・防御・索敵の用途で使い分けられる上、それぞれの性能も高い万能武器。
原作では陶磁製の大瓶に入れて小脇に抱えていたが、アニメ版では携行性等を重視された為か、質量を魔術で操作し試験管に入れて持ち運んでいた。


……と、このように準備万端なエリート様であるのだが、この時点で既に死亡フラグ臭がするのは何故だろうか。



◆作中の活躍

作中でのケイネスの役回りは、もっぱら切嗣の外道行為の伏線回収係
爆破や誘拐など、『Fate/stay night』で語られていた数々の外道行為の被害を一身に受けている。
『stay night』の時点で言峰に殺されたと作中で明言されている時臣と同じく、彼もまた脚本の被害者なのかもしれない。

魔術師としてのプライドの高さと、元来「魔術師同士による何でもありの殺し合い」である聖杯戦争を「魔術師同士による魔術を用いた決闘・競い合い大会」と一部勘違いしていた事もあり、
故に相手も必ず魔術戦を仕掛けてくる*2という思い込みから、近代兵器等を躊躇なく用いる、魔術師の誇りなど欠片も持たない切嗣の戦法に幾度となく煮え湯を飲まされる羽目になる。
「私はこの様な戦いをするために、聖杯戦争に参加しているのではない!」という彼の台詞が、ケイネスが聖杯戦争の本質を勘違いしている最たる例である。
ぶっちゃけ、参戦動機が聖杯戦争なんかで「経歴に箔を付ける」って時点でもう……


また、ケイネスはサーヴァントとの関係構築にも失敗してしまう。
そもそも、第四次聖杯戦争においてケイネスが本来召喚しようとしていたのはライダーだったのだが、
教え子にその聖遺物を盗まれたことで断念せざるを得なくなり、ライダーに代わって急遽召喚されたのがランサーである。
そしてこのランサーが持つ呪いによってソラウが魅了されてしまったことで、彼の運命は徐々に狂い始めていく。

仮にランサーの呪いが無くとも、元々「魔術師」としての勝利を望んでいたケイネスと、騎士道を重んじるランサーとの相性はあまり良好ではなく、
サーヴァントも魔術礼装の一種と見做していた彼は、英霊が知性ある存在だとは理解しつつも、その人格を認めようとはしなかった。
それ故に、ランサーの語る「見返りを求めない騎士道による忠義」は彼にとって理解しがたい物にしか映らず、
彼が本心を隠していると思い込んで不信と不満を募らせた結果、更にランサー陣営は自滅同然の敗退へと向かっていくこととなる。

もっともこれについてはランサー側にも言える事で、忠義を貫ける器だけを求め、ケイネス本人の人格を理解するのを怠った彼にも問題はある。
もしランサーがケイネスの才能に感服した上で忠誠を誓っていたならば、ケイネスのランサーに対する態度も多少は柔らかくなったとのこと。

ただし、やはり最大の敗因は「魔術師殺し」の衛宮切嗣と出会ってしまったことであり、前述の問題点などこれと比べれば些細な事。

魔術の腕は第四次マスターの中でトップであり、魔術師としての位階も切嗣より遙かに上回っているものの、
単純な魔術勝負ではなく”殺し合い”では切嗣に及ぶはずもなく、敗北は必定とされるほどとにかく相性が悪い。
一方、設定集では「切嗣以外の相手は敵ではない」とまで言われているので、
真っ先に唯一の天敵である切嗣の標的にされ、対策どころか敵の戦力分析すらロクにしないまま彼に挑んでしまったことが決定的な失策となった。


倉庫街での初戦において、令呪を一画消費したにもかかわらずライダーの介入によってセイバーを仕留め損ねると、
直後に自身が本拠地としていたホテルのワンフロアを貸し切っての魔術工房を切嗣にホテルごと爆破されてしまう。
その報復と言わんばかりに冒頭の台詞と共に単身で切嗣が拠点としているアインツベルンの城を襲撃するが、
切嗣の「挑発を繰り返して本気を出させる」戦法*3に見事に嵌り、本気を出したところに『起源弾』を撃ち込まれ、
暴走した自身の魔力によって体内の魔術回路と神経がズタズタになり、魔術師として再起不能の身体になってしまう。
その危機を察知したランサーが間一髪駆け付けたことで何とか一命は取り留めたものの、彼の不幸はまだ終わらなかった。

ケイネスの有様を見て聖杯戦争続行は不可能だと判断したソラウから令呪を譲渡するように提案され、半ば脅迫のような形でこれを奪われてしまう。*4
しかしこのまま戦いを終わらせるつもりもなかったケイネスは、コネクションを活かして稀代の人形師の協力を取り付け*5、なんとか車椅子で移動できるまでには回復。
そしてキャスター討伐の褒賞として令呪一画を受け取ることで(この時、監督役の璃正神父を殺害している)、マスターにも復帰する。
こうして意気揚々と拠点に戻ったケイネスだったが、彼を迎えたのはソラウが血痕を残して失踪するという最悪の事態だった。

ソラウを守れなかったランサーを痛罵して捜索を命じるケイネスだったが、そのタイミングでランサーとの一騎打ちを望むセイバーが登場。
セイバーとの正々堂々の戦いを楽しむランサーとは対照的に、膠着状態に陥った戦況を苛立ちながら見ているケイネス。
そんな彼の前に現れたのは、意識と片腕を失ったソラウと、それを抱えた切嗣だった。
この男には勝てない―――この最悪の状況に心を折られたケイネスは、自分の戦いが終わってしまうことに葛藤しつつも、切嗣からの提案を受諾。
自身とソラウの身の安全と引き換えに『自己強制証明』の条件に従ってランサーを令呪で自害させるが…

「もう僕にはお前達を殺せない」
僕には、な

瞬間、近くに潜んでいた舞弥の銃弾にソラウ共々襲われ、ソラウは即死。ケイネスも全身に致命傷を負う。
断末魔の苦しみに呻きながらケイネスは切嗣に「殺してくれ」と懇願するが、『自己強制証明』によって彼に危害を加えられない切嗣はそれを冷徹に拒絶。
最期はその惨状を見かねたセイバーに介錯され、こうしてケイネスの聖杯戦争は自分とパートナーの死亡を伴った敗北という最悪の結末で幕を下ろした。


改めて作品全体を振り返ってみれば、周囲の協力や自身の運に序盤からイマイチ恵まれておらず、
挙句の果てには婚約者諸共殺された上に、自分の代まで脈々と受け継がれてきた魔術刻印まで失うという、他と比肩しない不幸っぷりを見せたケイネス。

しかしその清々しいまでのかませ犬っぷりと小物臭漂う言動、そして山崎たくみ氏の名演が多くのファンの心を掴み、
『Zero』の登場人物の中ではかなりの人気を誇っている。よかったね先生!!



◆強さ

少し上述したが、ケイネス個人の戦闘能力については、
きのこ曰く「切嗣以外のマスターなら、時臣はケイネスに何とか太刀打ち出来る」とのこと。
残るマスター達(言峰雁夜龍之介、ウェイバー)では太刀打ちすら出来ないとか。
雁夜・龍之介・ウェイバーはともかくとして、第四次聖杯戦争時が全盛期とされる言峰は接近戦に持ち込めばなんとかなるかもしれないが、
それでも『月霊髄液』を展開されれば、やはり彼でも太刀打ち出来ない可能性が高い。

その為、「切嗣以外のマスターはサーヴァントに頼るべき」と語っているが、
アサシン以外なら何とかなる」とも発言しているため、アサシンでも真っ向勝負では殺せない可能性がある。ケイネス恐るべし。
成田「アサシンの立場がないですね(笑)」

ちなみに、作中でソラウにバーサーカーよりセイバーを倒す事を優先した事について甘いと責められるシーンが存在するが、
第四次聖杯戦争におけるランサー陣営の必勝法は「バーサーカーに他のサーヴァントを消耗させてから最後にバーサーカーを倒す」というものなので、
(本人が意図していたかはさておき)彼の選択はそんなに悪くない。
もっとも、これについてはランサーが叱責されているのを見かねたソラウが彼を庇うべく「ケイネスにも原因がある」と言い出したようなものなので、
真っ当な批評かどうか考えるだけ無駄かもしれないが。

また、時計塔の講師を務めた実力は相当で、かませ繋がりのアルバアトラムの中では最も魔術師としての能力が高いとの事。
数値にすると、ケイネスが100+a(礼装分)、アルバが100、アトラムが20だとか。
(まだ若いとはいえ)天才魔術師と謳われるでも第五次時点では精々20~30程度と評されている辺り、彼の力量の高さが分かるというもの。



◆死後

ケイネスの聖杯戦争における勝利を疑わなかったアーチボルト家は、突然の当主の敗北と戦死に衝撃を受けて対応が遅れ、没落の危機に陥った。
そもそも魔術刻印を受け継いだ魔術師は滅多な事では死ぬことは無く、逆に言えば死んだ時点で魔術刻印は破損していると言う訳である。
しかもケイネスが冬木に虎の子の礼装を幾つも持ち込んだ上に、被害を免れた『月霊髄液』を除いたそれら全てを切嗣がホテルごと吹き飛ばしてしまったため、
エルメロイ派の負債は更に膨れ上がってしまった。

結果、エルメロイ派の有力家系は早々に他派閥に鞍替えし、エルメロイは十二家中十二位まで落とされ、鉱石科のロードの地位もメルアステア派に奪われることになる。
また、アーチボルト家が積み重ねてきた研究成果に加え、ケイネス自身が手がけた数々の研究も研究者自身が死亡してしまったことで続行が不可能となり、無に帰してしまいそうになるが、
かつて一番無能だった元教え子の妙な才覚によって彼の研究は一冊の魔導書として編綴され、後のアーチボルト家の繁栄を磐石とした。

ケイネス亡き後は、末席に過ぎなかった分家の少女ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ*6が次期当主となり、
そしてアーチボルト家の存亡の危機を救った元教え子は、彼女から自身が成人するまでの間のエルメロイ家の当主とロードの職務の代行を依頼された。
死後の騒動で第四科(鉱石学)の管理はアーチボルト家の手から離れていたが、彼が第十二科(現代魔術論)の学部長となったことでロードとしての面目も保たれ、
そうした功績を称える意味合いも兼ね、いつしか彼は“ロード・エルメロイⅡ世”と呼ばれることになった。

なお、ケイネスの死後も彼が切り札としていた『月霊髄液』は、エルメロイ家の次期当主に指名されたライネスに無事継承されただけでなく、
彼女の家庭教師も務めることになったエルメロイⅡ世の指導でさらに改良を施され、メイド型自律ゴーレムとしての機能を付与されて彼女の付き人兼魔術礼装となった。
しかしどこかしらに欠陥があるのか、はたまた様々なB級映画を見せるエルメロイ教室の問題児のせいか、時折妙な言動で暴走することがあるらしい。

ケイネスの研究成果を纏めた魔導書一つで家系が持ち直していることから、やはり魔術師・研究者としては超一流だったことが分かる。
件の元教え子も編纂の過程でその力量に改めて触れ、以前は反発の対象でしかなかったケイネスに敬意を抱くようになっている。
彼は「ロード・エルメロイⅡ世」となった後も、他人から「ロード・エルメロイ」とだけ呼ばれると決まって「Ⅱ世」を付けて呼ぶように要請するが、
これは先代のケイネスのみが「ロード・エルメロイ」の名に相応しいという彼なりの敬意と、その死を招く要因の一つとなったことへの申し訳なさの表れである。



プリズマ☆イリヤ

元弟子が時計塔の魔術師として登場することから、聖杯戦争が起きなかった場合でもなんらかの理由で没落してしまった可能性がある。

本人は続編の『ドライ!!』にて衛宮士郎の過去編に登場。
平行世界では本編と同様第四次聖杯戦争に参加し、死亡した模様。
第五次聖杯戦争でジュリアン・エインズワースによって人格を人形に置換され、士郎への刺客となった。
使用したクラスカードはランサーはランサーでもアニキの方の「ランサー」。
槍と月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を併用し、士郎を追い詰めた。

しかし「魔術師同士の決闘」に固執したケイネスは水銀を頼みとするあまり、必殺の切り札である槍を軽視。
それによりカードの性能を活かしきれなかった事が決定的な差となり敗北した。
士郎はこの失策を置換による悪影響と見ていたが、正直な話、たとえ万全でも同じミスをやらかしたであろう可能性は否定できない……。
「己が魔術に頼らず、十全に槍を使いこなしていれば高い確率で士郎を仕留められたはず」とはまひろちゃんの談。




Fate/Apocrypha

“ロード・エルメロイⅡ世”が登場している。
こちらは世界中で聖杯戦争が行われているという設定なので、おそらくいずれかの聖杯戦争で『Zero』と同様の経緯を辿ったのだろう。
(前述の通り彼の参戦動機は「経歴に箔をつけるため」なので、別に冬木の聖杯戦争でなくても問題はない。)




◆その他の作品でのケイネス

『とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦』

チーム「時計塔の☆フィアンセさまっ♪」として参戦。
爆破テロでフィナーレされた魔術工房を再建すべく、万能の温泉を目指して“HANA-FUDA”勝負に身を投じる。
登場人物の多く(主にソラウ)に自身の頭髪についてこれでもかとネタにされるが、最終決戦では理想の主君たる姿をランサーに見せた。



『カプセルさーばんと』

敵マスターとしての登場。闇のカプさばおじさん。
資産に物を言わせて子供相手だろうと容赦なく叩きのめす、空気を読まない天才カプさばマスター。
ちなみに奥さんはイケさば使い。



『TMitter2015』

2015年のエイプリルフール企画では「ミスターK」と名乗り暗躍する。
次第に悪事が明るみになっていく中、なぜかミスターKとしての自我がなくなっていく。
そんな折、平行世界のロード・エルメロイⅡ世と対面を果たし、ミスターKではなくケイネス・エルメロイ・アーチボルトとしての自分を思い出す。
以後も「名」だけは残ったことを知り安堵したケイネスは、穏やかな表情で消えていった。




Fate/Grand Order

流石に登場しない。
―――と思われたが、『Fate/Zero』とのコラボイベント『Fate/Accel Zero Order』に登場。
彼の立ち絵は同時に実装された概念礼装『月霊髄液』のカードイラストとしても採用されている。

このイベントは『Zero』とは異なる世界線の、特異点と化した冬木市を舞台としているが、
ランサーを召喚し、ソラウと共に冬木市を訪れ、第四次聖杯戦争に参加した…という、基本的な立ち位置や行動は変わらない。

そしてカルデア一行がこの地の聖杯戦争に介入するにあたり、同行したエルメロイⅡ世がよく知っている人物の中でも騙すのが一番簡単だろうということで、
彼らの最初の協力者に選ばれる。

倉庫街でのセイバーとの初戦を妨害されたものの、相対したⅡ世を有能な男と評価し、提案された会談に応じることとなる。
この​会談の中で、Ⅱ世から語られた真実と嘘を織り交ぜられた話(=カルデアの偉業が全てアーチボルト家によって成され、その結果私達は未来からここに来た)を、
「そうかー、 うん、まああり得ぬ話ではないな!」
「そうかー。 歳食ってからも大人げなく本気出しちゃうかー。」と見事に信じる。何この人チョロい。

その後はカルデア一行と共にキャスターを討伐したり、バーサーカー陣営と共闘する約束を取り付けるなどしていたが、
Ⅱ世の「冬木での聖杯戦争はトランベリオ一派の罠。ケイネスが不在の隙に、魔術教会内部の勢力を拡大するための狂言」という嘘を、
「トランベリオ派なら、やる! 確かにやりかねない!」と、またも信じてしまい、
ランサーのマスター権を主人公に譲渡し、自身はなんとソラウと共に聖杯戦争から離脱する
​​
特異点の問題が解決すれば​、そこで起こったことは全て「なかったこと」になる。Ⅱ世の働きかけによって、決して並行世界で失われた命が戻ることはない。
それでも、「ケイネス、ソラウ共に生存」「アーチボルト家の没落を回避」「ランサーは新たなマスターと共に戦い抜き、世界の危機を未然に防ぐ」という、
『Zero』におけるランサー陣営からは考えられないほど、幸福な結末を迎えることが出来たのだった。

なお、イベントではチョロさが強調されていたケイネスだったが、
その顔芸の裏ではⅡ世の「書斎に恋文の下書きが残されていた」という言葉を気に留めていたようで、冬木市から離脱を決意した直後には、

「この私がそんな迂闊なものを残したまま、他人の手で部屋を漁らせるなど、断じてあり得ぬ話だ。」
「思うに、未来の君が検めた私の書斎というのは…主がついに戻らなかった部屋なのではないか?」

と、自身に起こった未来を正確に推測しており、相手の何気ない一言から真実を見抜く鋭い洞察力を覗かせた。


また、2018年9月に簡易版として復刻された同イベントでは、イベントアイテム交換画面の応対キャラクターとしても登場。プレイヤーの間で大きな話題を呼んだ。
ショップでは主人公=同盟者を身分の差から無下にすることなく、適正な等価交換でもてなしてくれる。(本人談)
入手できるアイテムの数々は全て彼が聖杯戦争に備えて用意したリソースらしく、そのチョイスはソラウによるものだとか。
交換時のやり取りでは、ソラウのことを(単に容姿と家柄による評価だけではなく)「いずれエルメロイ家のブレーンとなるべき才女」と考えていたことが分かるほか、
「海魔のゲソ焼きをランサーに食べさせたら泣いて喜んだ」という言葉通りに受け取るべきではないエピソードも聞くことができる。

イベント終了後の会話では「今こうして怪我一つ負わず店じまいしている自分にとてつもなく違和感を感じる」と語り、
『Zero』における結末を示唆するような素振りを見せつつも、主人公の才能については「凡庸なようでいてそれなりに見所がある」と評し、
「いずれ時計塔の門を叩くなら私の講義を受けるといい。教壇に近い席を用意しておこう」とまで言ってくれる。



◆余談

2019年時点でも数多くのFateの異なる世界線で後継者のエルメロイ二世が登場するが、裏を返せばそれらの世界のケイネスは須らく死亡していると言える。
単純に二世が誕生する条件を考えるならば「ウェイバーがイスカンダルを召喚する」「イスカンダルが敗退するもウェイバーが生き残る」ことであるが、
仮にそれらを満たしたとしてもケイネスが存命ならば、当時のエルメロイ一派は巨大派閥であるため魔術師としての歴史も浅いウェイバーが付け入る隙は無い上に、
そもそもウェイバーがケイネスの研究を買い取った後に纏めることで、その死による損失を改めて認識することが彼がエルメロイ二世を名乗る切っ掛けにもなるため、
必然的に「ケイネスが予想外の事態で死亡する」*7ことでエルメロイ派が分裂、その後継者にライネスが祀り上げられることが必須条件になってくる。

さらに言えばそれが起こるのは必ずしも第4次聖杯戦争である必要はなく、事実、3回目の聖杯戦争で聖杯戦争の仕組みが大きく変わったApo世界線や、
聖杯戦争そのものが存在しなかったプリヤの世界線においても、エルメロイ二世は誕生している。
ここまで多くの世界でケイネスの死亡&アーチボルト家没落が確定しているのを見るに、彼の辿る結末については抑止力が働いている可能性が高く、
何にせよケイネスにとっては非常に理不尽な話である。涙拭けよ先生。
まあでもそのお陰で人間不信に陥ってた姪のライネスや村から一生出られなくなったかもしれないグレイが救われるので良しとしよう。







このケイネス・エルメロイの魔術項目をとっくりと堪能してもらおうではないか。

wikiの項目一つを借りきっての完璧な項目だ。

追記25回、修正3回、猟犬代わりのwiki籠り数十体、無数の追記スペースに、文章の一部は他項目とリンク化させている文字もある。

お互い全力を尽くしての追記・修正が出来ようというものだ。

私の項目が埋もれていくという言葉、撤回してもらうよ。


\チュドーン/

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最終更新:2024年02月22日 14:28

*1 君主(ロード)は時計塔の土地と資金を賄い12の学部を管理するそれぞれの学部長を指す称号であり、ケイネスはその第四科(鉱石科)のロードである。

*2 蒼崎橙子のようにパソコンなどの機械も用いる魔術師もいるが、基本的には科学技術を(魔術よりも)低俗なものと端から決めつけ、詳細を知ろうともしないのが一般的な魔術師の価値観であり、ケイネスも例外ではなく、敵が近代兵器などを持ち込んでくるとは考えていなかった。

*3 魔術による攻撃で傷ついた場合は相手の技量を素直に賞賛し、冷静さを失わず戦えたらしいが、近代兵器を用いる切嗣への侮蔑とそんな相手に手傷を負わされたという事実はケイネスには受け入れがたく、結果として冷静さを完全に失ってしまった。

*4 「続行は不可能~」というのはあくまで建前で、ランサーに魅了されていたソラウが正式にマスターとして彼と契約を結ぼうとした節がある。現に譲渡後、ソラウはランサーにはさもケイネスが自ら聖杯戦争を降りたかのように伝えている。

*5 『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』にて、彼女がケイネスと面識があった事を語っている。

*6 関係としては彼の姪にあたる。

*7 より正確には、魔術刻印の破損や回収の失敗でアーチボルト家が没落する