レイヴン(ゾイド)

登録日:2010/02/17(水) 16:39:00
更新日:2024/03/31 Sun 13:15:37
所要時間:約 20 分で読めます




アニメ『ゾイド -ZOIDS-』及び、アニメ原案と漫画版を担当した上山 道郎氏の漫画『機獣新世紀ZOIDS』の登場人物。
展開により多少差異はあるものの、バンと正反対な性格で高い操縦技術を持ち、搭乗機体も相俟って最強クラスの戦闘能力を持つ。








【上山版】

第1話にシルエットで登場し、第2話でバンの父親の墓前でバンと出会う。

レイヴンは「相棒」シャドーのウイルスにより暴走したセイバータイガーで村を破壊。バンの応戦により活動を停止するが、シャドーと共に合体して窮地に追い込む。

これに抗戦するバンとバンの「父」のジーク全てにおいて終始圧倒したものの、禁断の技『ラグナロクファング』を受け、ゾイドを殺す目標を果たしたが相打ち*1となる。

次の登場であるポルトの港町でガイロス帝国軍所属と判明。

ジェノザウラーバンのシールドライガーを強襲し、シュバルツ大尉のアイアンコングを圧倒。
さらにシャドーキーで再起したシールドライガーをも破壊しようとしたが、ジークハートの力により復活したブレードライガーに倒される。

この時、彼がゾイドを憎む理由に少し触れられている。




【アニメ版】

初登場は第12話。ガイロス帝国軍所属としてシャドーを伴い、ヘリック共和国軍の奇襲ゾイド部隊を襲撃。
オーガノイドを連れていたバンと接触するが、派遣されてきたゴドス部隊頭や手足を引きちぎり、コクピットを吹き飛ばす残虐な戦いで壊滅させたことで対立。
しかしシャドーと合体せずにバンを弄び、ゾイド乗りとしての格の違いを見せつけた。

その後も幾度となく圧倒してきたレイヴンだったが、ドクター・ディやロブ・ハーマンの出会いで操縦面・人格面共に成長したバンにマウント・オッサ火山の決闘で撃破される*2

その後、上司から与えられたジェノザウラーを駆ってロッソたちのアイアンコングをたやすく撃破し、バンのシールドライガーをも荷電粒子砲で殺害した。

しかし、進化して蘇ったブレードライガーと、帝都にまで迫った行方不明なはずの皇帝ルドルフを撃破すべく、レイヴンはバンと凄絶な一騎討ちを繰り広げる。

フルパワーの荷電粒子砲を正面からのブレードアタックで撃破されるという完全な敗戦のショックで意識を失い、抜け殻のようになって彷徨うことになった


ガーディアンフォース編

第42話。言葉を交わすこともできない夢遊病のような状態でふらふらと軍事基地に入り込み、適当なゾイドを強奪しては驚異的な戦闘技量で基地を破壊し、どこかへ去っていくダイナミック通り魔になっていた。

襲撃ルートで待ち伏せるダークホーンを奪うと、ブレードライガーやディバイソンを飛び越え、アイアンコング2機を瞬殺。
そのダークホーンを行動不能にされるとコクピットを降り、バンと長い永い見つめ合いの果てに復活

以降、新調したジェノザウラーがシャドーの意思でジェノブレイカーに進化すると、いよいよ悪魔的な強さになる…………のだが……




【シャドー】

CV:鈴木琢磨
背中に翼を展開して飛行し、レイヴンと行動を共にする全体的に鋭角的な黒いオーガノイド

レイヴン同様作品により差異はあるが、シャドーは合体したゾイドの戦闘能力を他のオーガノイドよりもはるかに大きく引き上げる。
終盤でオーガノイド・スペキュラーを倒し、1分しか合体できないとされるジェノブレイカーに3分間も合体できるなど、シャドー自体のポテンシャルも通常のオーガノイドを上回るようだが、シャドーには回復能力がないのか、他に見られる機体再生能力は一度も見せていない*3







以下、ネタバレ

















【漫画版の過去】

レイヴンは偽名で、本名はジョイス・チェン。*4
ジョイスは養子に出されていて、容姿が非常に似た双子の兄ドニー・チェン*5がいる事が判明する。

養子とはいえ、義理の両親と姉から実の家族のように愛され、ありふれた幸せな日々を送っていたジョイス。

ある時、姉の遺跡探索についていくために作業用ゾイド・ノアに遺跡のデータをコピーした。

自身がコクピットにいるにもかかわらず、データ中に潜んでいたウィルスで暴走したノアが家族を襲撃するのを止める事が出来無い。

「誰かのせいだと思いたかった……!でないと僕は、自分自身のした事に耐えられなかったんだ……!」

このトラウマと罪悪感が深い傷痕を残し、罪の重圧に堪え切れ無くなった彼が『二度とこんなことが起こらないように全てのゾイドを殺す』と、ゾイドを憎悪する理由となる。

「おめぇの……おめぇのせいなんかじゃねぇよ……」

「そうか……僕はただ………僕はただ、誰かにそう言ってもらいたかっただけなのかもしれない……」

その後バン達と和解し、共に戦う無二の友となるが、長らくともにいたシャドーがプロイツェンの下に帰ってしまった。

そしてジークの真の力を引き出したいバンと模擬戦(真剣勝負)に挑む。

……と、ここまで描かれたところで出番は無いままストップ。




【アニメ版の過去】

リーゼの干渉で記憶の一部*6を取り戻したレイヴンにとって、過去を取り戻すことは自分と向き合うことでもあった。

父の優しさに触れて心から笑うことのできる少年だったが、両親は研究者で幼少の自分にあまりかまってもらえなかったレイヴンは、あまりゾイドが好きではなかった。
そして研究していたオーガノイドが両親を惨殺*7。一命はとりとめたが自分も蹴散らされ、記憶も豊かな感情も失い放浪するようになった。

程なくして、ダン・フライハイト少佐の指揮する共和国軍の遺跡発掘チームに拾われた。
ダンは自分の養子にしようとも考えていたようだが、そうなっていればゾイドへの憎しみも薄れていたのかも知れない。

しかしダンのチームがオーガノイドを発見したことを傍受した帝国軍が大軍を動員して襲撃。

レイヴンは戦闘のさなかに共和国サイドを抜け出したが、両親に続いてダンまでもが、目の前で殺害。殺した張本人の後を追ったが何もできず、そのまま連れ去られて様々な知識、戦闘技術などを仕込まれる*8
そして5年後、天才的なパイロットとして頭角を現した*9プロイツェンが回収し、ダンが発掘した黒いオーガノイドをレイヴンに下賜。
悪鬼・羅刹のような強さを誇るレイヴンは野生化して暴れる『シャドー』を己の力量でねじ伏せ、付き従えるようになったのだ。



記憶を取り戻したレイヴンの前に現れた、かつて自分を拾い「レイヴン」を作り上げた人間の声に反発しながらも、これまで見せたことのない、すがるような表情を垣間見せる

その後のバンとの最後の戦いの際、ヒルツの荷電粒子砲に巻き込まれたレイヴンはシャドーに助けられるが、シャドーは自身の限界を超えてジェノブレイカーを強化していた多大な負荷から落命し石化してしまう。

シャドーを奪われたことで、どれ程忌み嫌われても付き従ってきたシャドーが、己の奥底の不安と孤独を埋めていたことを知り、レイヴンの心に大きな変化をもたらした。
シャドーすら捨て駒として扱う彼の奥底には孤独を恐れながら孤独を抜けられない、弱い心もあったのだ。


レイヴンはシャドーも欠いたまま、ジェノブレイカーでヒルツに挑むが、傷付いたジェノブレイカーではかなわずに惨敗

シャドーを失った彼は否応なしに自分と向き合い、ヒルツに切り捨てられたリーゼスペキュラーを助け出すのが精一杯だったが、完璧な連携を見せるジェノザウラー3体を血祭りにあげる驚異的な戦闘能力は健在

しかし、この時から憑き物が落ちたような穏やかさを見せ始める
青いジェノザウラーを助けられなかった後悔を口にし、リーゼやスペキュラーを優しい笑顔で介抱しながら、シャドーを取り返すために静かに世界を渡る*10

その彼の姿を見つめるリーゼの心も、また影響されていく。

ダークカイザー(プロイツェン)により回収され、記憶を失ったシャドーはリーゼやスペキュラーのみならずレイヴンにも襲い掛かるが、シャドーを取り返した彼は全力でプロイツェンやヒルツへと挑む。

最終決戦ではフルパワーの荷電粒子砲で重力砲にも耐え抜く破滅の魔獣のエネルギーシールドと胸部装甲を破壊し、勝利への決定的な道を切り開く。


本編終了後、想いを重ねたリーゼと共に青い空を見上げるレイヴンの表情は穏やかで、そしてとても晴れやかなものだった。
そして背後にはシャドースペキュラー、満身創痍ながらも誇らしげなジェノブレイカーが、優しい風を浴びていた。





余談

ジェノザウラーが赤いジェノブレイカーに進化したのはヒルツによって仕組まれていたため。
最大限に強くしたゾイドを吸収する事でデスザウラーを強化できる。しかし、ジェノザウラーに乗ったレイヴンはバンのブレードライガーに敗れている。
そこでヒルツは、レイヴンにはアンビエントに「何かを切っ掛けとして、シャドーにエボリューション・コクーンを生成させる」ように培養した特別なジェノザウラー*11を与えた。
リーゼとヒルツの会話や、スペキュラーが培養したサイコジェノザウラーの機体色や、シャドーの制御を遥かに超えたジェノブレイカーも、これの裏付けといえるだろう。 
つまりシャドーはレイヴンのポテンシャルに合わせて実行しただけなので、実際に進化をさせたアンビエントが全面的に現われる事となった。

………と、アンビエントが一役買っているのは間違いないと思われるが、結局劇中で真偽は明かされず、細かいところに関しては別の解釈や矛盾する部分もあり、実際のところは謎のまま。

初代アニメと設定がリンクしている次回作『ZOIDS新世紀/0』に登場するベガ・オブスキュラは、高い操縦技術や髪型などがレイヴンと酷似しており、オーガノイドシステムを手懐けたりしていることからも一部のファンの間ではレイヴンとリーゼの子孫ではないかと囁かれていたりする。





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最終更新:2024年03月31日 13:15

*1 村を護れなかったバンの一方的な敗北

*2 負傷したセイバータイガーを見限ったレイヴンの特攻であり、依然として彼の技量はバンを上回る

*3 スペキュラーの場合は「傷ついたゾイドと融合したことがない」

*4 ちなみに本名が判明した後もドニー以外からは普通にレイヴンと呼ばれている。

*5 違いは顔の模様が反対側にあること。

*6 彼自身の記憶はほとんど残っておらず、本名や両親の名前は蘇ることは無かった。

*7 この時、物陰に隠れながらほくそ笑むヒルツが映っている。ジークやスペキュラーが目覚めた時とは反応が違い、アンビエントがなぜか黒いことなど異様な点が多いため、ヒルツがアンビエントに何か細工を仕掛けて、両親を殺させたのではないかと見る人もいる。

*8 彼が「レイヴン」と名付けられたのはこの時。プロイツェン曰く「黒い髪のレイヴン。いい名前だろ?」

*9 このエピソードは49話だが、18話に撃破されたセイバータイガーや34話で戦死したハーディンの再登場、一人称が「俺」の若きプロイツェン、漫画版の『ラグナロクファング』の描写など、感慨深い描写の多い

*10 ヒルツに敗れたのが59話、生存が確認されたのが62話だが、次にゾイドに乗って戦うのは、最終話直前の66話

*11 その為ボディが一部、既に赤くなっている。