ロードス島戦記

登録日:2019/08/20 (火) 01:29:22
更新日:2024/01/30 Tue 22:46:28
所要時間:約 47 分で読めます






“ロードスという名の島がある”

アレクラスト大陸の南に浮かぶ辺境の島だ

大陸の人々はロードスのことを、呪われた島と呼んでいる

人の侵入を許さぬ魔の領域が島の各地に存在し、島全体を震撼させる激しい戦が何年も続いているがゆえに


ロードス島戦記とは、グループSNEのTRPG『ロードス島RPG』を中心としたファンタジー作品群である。


目次


【概要】

架空の異世界『フォーセリア』を舞台としたファンタジーTRPG
日本の和製ファンタジーやライトノベルの草分け的存在であり、日本のサブカルチャー史に燦然と輝く金字塔。
小説シリーズの累計発行部数は1000万部を超えるベストセラーとなっている。
その成り立ちはちょっと風変わりで、最初は雑誌「コンプティーク」の連載記事。アメリカの古典TRPG『D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)』(そしてTRPGというゲームそのもの)を読みやすい内容を使って啓蒙しようというもので、プレイ中のプレイヤーの「会話」を再現し記事にする「TRPGリプレイ」という当時としては特異な形式だった。
これが人気を博すると、世界観を作りDM(ダンジョンマスター)を務めた水野良氏が小説版を発表*1する一方で、オリジナルのシステムを持つロードス島戦記TRPGがデザインされてD&Dからは切り離され、以後アニメ、ゲーム、漫画と盛んにメディアミックスされた。
本編以外にも前日譚たる魔神戦争を描いた『ロードス島伝説』、本編終了から少し後の終末戦争を描いた『新ロードス島戦記』、さらに2019年には本編から100年後を描いた『ロードス島戦記 誓約の宝冠』が刊行された。
また『ソード・ワールド』・『クリスタニア』・『魔法戦士リウイ』は同じ『フォーセリア』を背景世界としており、この作品の姉妹作と言える。

【登場人物】

灰色の魔女

魔神戦争から30年、呪われた島ロードスに再び戦火の影が落ちる。
武者修行の旅に出たパーンは、仲間たちと試練を乗り越えていく中で、いつしか戦争を操る魔女の存在を知る。
戦乱に彩られしロードスの歴史が、今再び動き出した。

  • パーン
CV:竹村拓(カセットブック)/草尾毅(OVA)/林延年(現・神奈延年)(英雄騎士伝)
本作の主人公。
アラニア王国の北にあるザクソンの村に住む正義感の強い青年。
ヴァリスの聖騎士だったテシウスの息子で、テシウスの死後、母親と共にザクソンに移住してきた。*2
当初は血気と正義感しか取り柄がないといっても過言ではない有様で、多少の傭兵経験こそあれど剣もまともに扱えず、数十体のゴブリン集団にたった2人で挑んで失敗し危うく命を落としかける程の無謀な未熟者だったが
冒険の旅の途中で数多くの戦士から剣の手解きを受け、また剣を交えた事で飛躍的に成長する。さらに多くの失敗や物事に直面し見聞を広めた事で一時の感情に流されない冷静さはもちろん、多角的に物事を見る大局観も得た。
終盤では傭兵団長として傭兵たちに新たな武器の使い方を教えてより有利な戦法を編み出したり、カノンでの10年間もの戦いで陣頭指揮もこなすなど指導者としての頭角も現し始める。
後に数々の冒険を潜り抜け、“ロードスの騎士”と詠われる大英雄となる。
英雄戦争ではヴァリスの聖騎士に叙勲されるが、英雄戦争後は灰色の魔女カーラを追うべく聖騎士の地位を捨て自由騎士*3となる。
作中では何度か国王となる可能性*4もあったが、その生涯をロードス全体の自由と平和のために生きた。
全身全霊をかけた電光石火の突きを必殺技としている。カシューを唸らせアシュラムにも通用する程の技だが、捨て身の技であり大きな隙を晒すとして数度しか使われていない。

  • ディードリット
CV:鶴ひろみ(カセットブック)/冬馬由美(OVA)/新山志保野田順子(英雄騎士伝)
「帰らずの森」出身のハイエルフで本作のヒロイン。
160歳以上と言われる年齢だがハイエルフの中では最も若く(次点が1000歳以上のエスタス)、閉鎖的なハイエルフの中にあって外の世界に興味を持ち、森を出てアラニア王都アランの街でチンピラに絡まれていたところでパーン達と出会い、彼への好奇心から仲間に加わる。
優秀な精霊使いであり、風の精霊王と炎の精霊王を古の盟約から解放した。
最初はやや高潔で高飛車なところがあり人間との価値観の違いで軋轢を起こす事もままあったが冒険の中で徐々に性格が軟化していき、パーンへの好奇心もしだいに好意に、やがて異性としての愛情に変わってゆく。
以後のファンタジー作品のエルフに絶大な影響を与え、特に「エルフの耳=長い耳」を印象付けたキャラクターである。

  • エト
CV:坂口哲夫(カセットブック)/山口勝平(OVA)/太田真一郎(英雄騎士伝)
至高神ファリスの神官でパーンの幼馴染。
温厚かつ真面目な性格。敬虔なファリスの信者であるが教義に固執する事なく、必要ならファリスの教義に反する事であっても相手にとっての救いを重視する真の信仰を持つ。
誘拐された「白き王」ファーンの娘であるフィアンナ王女をパーン達と共に助け、後に結婚。ヴァリスの国王に即位し「神官王」と呼ばれることになる。
邪神戦争では「聖戦(ジハド)」を発動しヴァリスの王として兵を率い参戦。
闇の大僧正ショーデルが降臨させた暗黒神ファラリスの呪いにより聖騎士団が全滅させられた場において唯一生き残った。

  • スレイン・スターシーカー
CV:塩沢兼人(カセットブック)/田中秀幸(OVA)/宮本充(英雄騎士伝)
アラニアの王都アランにある「賢者の学院」出身の魔術師。
自由都市ライデンの商家の三男坊で、実家は長男が継ぎ次男はアレクラスト大陸で商店を開いている。
子供の頃から本ばかり読んでいる内向的な子供だったため、貴族の出身だった母親の配慮でアラニアの「賢者の学院」に入学し、導師の資格を得た。
しかし、正義感に燃えて盗賊ギルドと戦い討ち死にした親友を止められなかった事を切っ掛けに賢者の学院を辞め、ザクソンへと隠遁した*5
ザクソンの村では変わり者扱いを受けていたが、同時に温和な性格と豊富な知識から村のご意見役として信頼もされていた。
ゴブリン退治に失敗したパーンとエトをギムと共に救出した事が縁で武者修行の旅に出たパーン達に同行した。レイリアをカーラから解放した後は彼女にずっと付き添い、熱心なプロポーズの末結婚。
パーンと別れザクソンの村に帰還した後は、アラニア北部の独立運動を指導し、後にフレイム王国の宮廷魔術師となった。

  • ギム
CV:菱谷紘二(カセットブック)/坂口芳貞(OVA)
アラニア王国の北にあるドワーフ達の王国「鉄の王国」出身のドワーフ
本業は細工師だが、屈強な戦士でもある。
忍耐強く、無口な性格で、酒にも強く大食漢。
本編から7年前に鉱山の事故で瀕死の重傷を負う。
その怪我を癒すためにニースが神殿を留守にした際にニースの娘のレイリアが、神殿に侵入してきた何者かに攫われてしまい、そのことに長年罪悪感を抱えていた事から失踪したニースの娘であるレイリアを探すため旅に出た。

  • ウッド・チャック
CV:森功至(カセットブック)/若本規夫(OVA)/中田和弘(英雄騎士伝)
アラニア盗賊ギルドに所属する盗賊。
本名はジェイ・ランカードで、ウッド・チャックという名前は通り名。
若い頃に仕事に失敗して捕らえられ、二十年余り牢屋に閉じ込められていた。
普段はお道化ているが、実はプライドが高く底知れない野心を秘めている。
成り行き半分でパーン達の打倒カーラに協力するが、カーラの額冠を奪取しレイリアを解放した後、カーラの力を欲し額冠を持ってパーン達の前から姿を消す。
カーラの力を我が物としようとするも、抗えず肉体を乗っ取られてしまう。以降はカーラの新しい依代として活動していく。

  • ベルド
CV:石田太郎(OVA)
本編の三十年前に起きた魔神戦争で魔神王を倒した六英雄の一人で、マーモ帝国皇帝。ロードス最強の剣士であり、燃えるような赤い髪から「赤髪の傭兵」とも呼ばれていた。
魔神戦争後、単身マーモへと渡りマーモ帝国を建国し「暗黒皇帝」を名乗る。
魔神戦争から約三十年の後、帝国を率いてカノン王国を急襲し滅亡させた事で英雄戦争が勃発した。
英雄戦争の最終決戦であるロイド郊外の決戦で一騎打ちでファーンを討つが、決闘を引きついだカシューに敗れ戦死した。

  • ファーン
CV:阪脩(OVA)
六英雄の一人でヴァリス国王。魔神戦争後、魔神王討伐の功績で空位だったヴァリス王国の国王の座に就いた。
即位後は「白き王」や「英雄王」の異名で呼ばれ、善政を敷いていたが英雄戦争でベルドと一騎打ちを演じるも敗れ戦死した。
生涯を自由騎士として生きた「ロードスの騎士」パーンが唯一主君と仰いだ人物でもある*6

  • (大)ニース
CV:宗方智子(OVA)/高島雅羅(英雄騎士伝)
六英雄の一人で大地母神マーファの最高司祭。「マーファの愛娘」と呼ばれている。
養女であるレイリアがカーラに憑依され失踪、その捜索をギムに依頼した。
後に生まれた孫にも彼女にあやかり同じ「ニース」の名がつけられた。そのため、区別のために「大ニース」と呼ばれる事もある。
邪神戦争の一年前に逝去。彼女が亡くなる時には、存命の六英雄が彼女の元を訪れている。

  • ウォート
CV:大木民夫(OVA)
六英雄の一人で、「荒野の賢者」「モスの大賢者」と呼ばれるロードス最高の魔術師。
現在は「最も深き迷宮」の上に塔を建て再び魔神が解放されぬよう見張っている。英雄戦争の裏で、カーラ打倒の手掛かりを求めて訪れたパーン一行に協力した。
後に邪神戦争にも助力した。

  • フレーベ
六英雄の一人で、失われた南のドワーフの王国「石の王国」の最後の王。「鉄の王」の異名を持つドワーフ族最強の戦士。
邪神戦争時にウォートと共にフレイムに助力し、アラニア内戦を終結に導いた。マーモ本島でのカーラとの決戦にも協力した。

  • カーラ
古代魔法(カストゥール)王国の時代に生を受けた女魔術師。
「カーラ」という名前は愛称で、本名は「アルナカーラ」。
古代魔法(カストゥール)王国のロードス島の初代太守「ル・フロイ」の娘で、付与魔術一門の魔術師。
生前は古代魔法(カストゥール)王国の魔術師としては珍しく大地母神マーファを信仰していた。
彼女の本体は五百年近く前に死亡しているが、自らの意思を額冠に封じる事で精神を存続させている。また、自分(の依代となっている肉体)を殺した者に憑依する能力も持っている。
魔法というひとつの勢力が栄え過ぎた事により古代魔法王国の滅亡を招いた経験から、2つの勢力の均衡こそが世界の平定であると考え、光と闇の拮抗を保つためロードスの歴史を影から操ってきた事から通称「灰色の魔女」と呼ばれている。
六英雄の一人「名も無き魔法戦士」の正体でもある。

  • レイリア
CV:榊原良子(カセットブック&OVA)/富沢美智恵(英雄騎士伝)
「大地母神マーファの愛娘」ニースの養女で、マーファの神官。
神殿に侵入した「灰色の魔女」カーラを討った事で憑依され、作中ではカーラとして暗躍することになる。
後にスレインに助け出された事が縁で結婚し娘を儲ける。その後も、神官戦士としてスレインと共に幾度もパーン達と行動を共にした。

  • ラルカス
「賢者の学院」最後の学長。
黒の導師バグナードの導師だったが、バグナードが暗黒神ファラリスに帰依し禁忌の魔術に手を出したと知るとバグナードの魔術を封印し賢者の学院から追放した。
優秀な魔術師で大賢者ウォートと双璧を成すと言われていたが、英雄戦争の数年前に亡くなった。
その後、バグナードの手により賢者の学院が崩壊したため、最後の学長となった。

  • フィアンナ
CV:佐久間レイ(OVA)
ヴァリス王国の王女で白き王ファーンの娘。
英雄戦争では灰色の魔女カーラに誘拐されてしまうが、パーン達によって救出された。
英雄戦争後、エトと恋仲となり結婚した。

  • エルム
CV:池田勝(OVA)
ヴァリス王国の宮廷魔術師で「賢者の学院」最後の学長ラルカスの直弟子の一人。
ラルカスの弟子の中でも最も優秀な人物とされており、「賢者の学院」時代は黒の導師バグナードと双璧を成すと言われていた。
至高神ファリスの熱心な信者でもあり、国王であるファーンからの信任も厚い。
英雄戦争の最後の決戦であるロイド郊外の決戦では、右翼を率いるも、戦いの最中にダークエルフの刃を受け戦死した。

  • ジェナート
至高神ファリスの神官でファリス教団の最高司祭。
形式主義に陥って腐敗したファリス教団の改革を進めている。
ファーンの死後は、英雄戦争で国王候補だった上級騎士が全滅した事もあって、エトをヴァリス王国の国王に即位させた。

  • テシウス
CV:小川真司(OVA)
ヴァリス王国の聖騎士でパーンの父親。
国境警備の任務に就いていたが、国境の砦の近くの村が山賊に襲われた際に任務を放棄し単身山賊達と戦い死亡した。
任務を放棄したことで死後に聖騎士の地位を剥奪されたが、その死は騎士としての一つの規範であると称えられている。

炎の魔神

英雄戦争から二年。パーンとディードリットは魔女カーラの行方を追って旅を続けていた。
強力な魔法を操る者がいると噂を聞き、砂漠の国フレイムを訪れた二人に、砂漠の蛮族と炎の魔神の脅威が襲いかかる。
時の彼方に葬られた、二つの部族の真実とは!!?

  • カシュー・アルナーグ1世
CV:池田秀一(OVA)/中田譲治(英雄騎士伝)
フレイム王国の国王。
ロードス島全土でも一、二を争うほどの剣椀の持ち主で、元はアレクラスト大陸から渡ってきた傭兵であった事から「傭兵王」の二つ名で呼ばれている。
富士見文庫(現・KADOKAWA)発行の「アイテム・コレクション」にはロードスを訪れる以前の来歴も記されており、それによると元々は傭兵として生計を立てていたのだが、雇われていた国が戦争に負けてしまい、自身も戦闘で深手を負った事で捕らえられてしまい、奴隷剣闘士として戦う事を強要されてしまう。
しかし無事に勝ち上がって数年後に自由の身となり、冒険者として成功を収め、巨万の富を得た事が明かされている。
その際は「ルーファス」という偽名を名乗っていたとのこと。

ロードスに渡海してからは風の部族に傭兵として雇われ、風の部族の守護神である風の精霊王ジンを封印から解放したことで風の部族の族長へと推挙されフレイム王国を建国した。
英雄戦争では六英雄の一人である暗黒皇帝ベルドと一騎打ちを演じ勝利した。とされているが、実際は予め潜ませていた狙撃兵にベルドを毒矢で狙撃させた
英雄戦争後は長年の宿敵だった「炎の部族」に勝利し、火竜山の魔竜シューティングスターを討ち取り「竜殺し」の勇者となる。
パーンを心から気に入り、対等な立場で付き合うために度々パーンを王の座につけたがった。

ちなみにカシューのモデルは『超新星フラッシュマン』の敵幹部サー・カウラー
奇しくも『英雄騎士伝』では、『フラッシュマン』でカウラーを演じた中田氏が声を担当している。

  • シュード
CV:一条和矢(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
フレイム王国の傭兵。
シュードという名前は通り名で本名はフォース。武器は主に細剣を使い、隠密行動にも長けている。
通称「優男」とも呼ばれる色男だが、愛していた恋人に裏切られ、その恋人に暗殺されかけた過去から極度の女嫌い。
ライデン盗賊ギルドのギルドマスターに養子として育てられたが、長の座を狙う盗賊ギルドの幹部に上の兄二人と養父が暗殺され、一つ上の兄サーディーと共に逃れ、復讐の機会を狙っていた。
相棒のデニとは互いに顔や女嫌いの事で言い争っているが、いざという時の連携は本物で強い絆で結ばれている。
後に復讐に成功したことでライデン盗賊ギルドを再建し、ギルドマスターに就任した。

  • デニ
CV:飛田展男(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
フレイム王国の傭兵。
デニという名前は通り名で本名はサーディー。武器は両手に持った短剣で、「両腕落とし」の異名を持つ。
相棒のシュードは血の繋がっていない義理の兄弟。シュードと共に復讐の機会を狙っている。
パーン達と砂塵の塔を目指す道中で、砂走り(巨大なムカデのような怪物)からフォースをかばい、死亡した。

  • マーシュ
CV:飯塚昭三(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
フレイム王国の傭兵。
怪力の戦士で斧を武器としている事から通称「斧使い」と呼ばれているが、後に砂塵の塔で手に入れた魔法の大剣に持ち替えている。
炎の部族との戦いでパーンと共闘した後、フォースのライデン盗賊ギルドへの復讐に手を貸し、再建後フォースの側近としてギルドの幹部となる。
…が、ライデン北西の海岸洞窟にてアシュラム一行との戦いでマーモ水兵やギルラムを倒すも、フォースをかばいスメディに殺されてしまう。

  • セシル・ファーレンス
CV:速水奨(カセットブック)/結城比呂(現:優希比呂)(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)/森久保祥太郎(英雄騎士伝)
「賢者の学院」出身の魔術師でスレインの弟子。
アラニアの貴族の息子で元々は他の魔術師の弟子だったが出奔し、スレインの評判を聞き押しかけ弟子となった。
ザクソンの村では自警団の団長を務めている。女と見間違う程の美男子だが、本人はその容姿について言及されることを嫌う。
唯でさえ地声が大きく、プライドも高く序盤のパーン以上に短気で喧嘩っ早い性格でしょっちゅう声を荒げている。
魔術の実力はそれなりだが、魔術師にしては身体が強く、険しい山道も平然と登る。パーンから剣を習っているのもあり戦いでは接近戦も行う。
邪神戦争後はザクソン伯爵となりアラニア王国の宮廷魔術師に就任した。

  • シャダム
CV:森功至(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)/今村直樹(英雄騎士伝)
カシュー王の右腕で、フレイム王国のNo.2。フレイム王国の第二の都市であるヒルトの太守で、風の部族の先代族長の息子。
非常に優秀な人物で、本来なら彼が風の部族の族長になるはずだったが、自らを王の器ではないと思っており、カシュー王を次の族長に推薦した。
フレイム王国が建国されるとカシュー王から風の部族の族長の座を譲られ、傭兵隊長として傭兵隊を指揮する。
邪神戦争後はフレイム王国の飛び地となったマーモの初代太守に就任。
マーモ公国が建国されスパークが初代公王に選ばれると、フレイム本国に帰還し、フレイム王国の宰相兼総騎士団長に就任した。

  • ムハルド
CV:藤本譲(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
シャダムの父親で風の部族の先代族長。
カシュー王を次の族長に就けた。

  • ナルディア
CV:中村尚子(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
炎の部族の族長。
先代の族長であるダレスの娘で後のマーモ公王スパークの従姉弟。
ダレスがカシュー王との一騎打ちに敗れ死亡した事で炎の部族の族長に就任した。
族長に就任した後は、当時協力関係にあった暗黒神ファラリス教団を炎の部族から追放した。
その後、炎の部族の神官であるアズモが炎の神殿に封印されていたエフリートを解放した事でエフリートの力を得てオアシス都市ヘヴンの奪還に成功した。
更にフレイム王国の第二の都市であるヒルトを奪い取り優位に立つも、ディードリットが風の精霊王ジンを召喚したことでブレード郊外の決戦に敗北した。
敗北後、カシュー王に求婚されるもこれを拒み自らエフリートの残り火に飛び込み自害した。
伝説によると死後もう一つの炎の精霊王フェニックスに転生したとされている。

  • アズモ
CV:塩沢兼人(ラジオドラマ「風と炎の魔神」)
炎の部族の神官。
かつて炎の精霊王エフリートと風の精霊王ジンと『盟約』を交わした偉大なる精霊使いアサートの子孫。
…なのだが、幼少の頃は剣も乗馬も出来なかった為それを鑑みられる事はなく、寧ろ周囲から疎まれており陰険な性格になってしまった。
灰色の魔女カーラから与えられた情報を用いて炎の神殿に封印されていたエフリートを解放した。
野心的な男で炎の部族の族長の地位を狙っている。

火竜山の魔竜

戦乱おさまらぬロードス島。
マーモの黒騎士アシュラムは、亡き暗黒皇帝ベルドの遺志を継ぎ、ロードスを統一するための力を求めて、太古の秘宝「支配の王錫」を求める旅に出た。
アシュラムの野望を阻止するためパーンの新たな冒険が始まる。

  • アシュラム
CV:神谷明(OVA)/速水奨(英雄騎士伝)
パーンのライバルで黒い鎧を装備していたため「黒衣の騎士」と呼ばれる。
初登場時はマーモ帝国の近衛騎士隊長だったが、ベルドの死後「暗黒騎士団」の団長に就任した。
ベルドに心酔しており、ベルドを殺したカシューに対しては強い恨みを持っている。ベルドの死後は所有していた魔剣「魂砕き(ソウル・クラッシュ)」を引き継ぐ。
剣の腕は登場人物内でも屈指。カシューには一騎打ちで敗れたものの、並の戦士や騎士では一合も切り結べないほど。後にパーンも「(アシュラムの剣を)三撃目まで受け止められれば一流の戦士」と評している。

元はアラニアの生まれで、5代前には王族に連なる名門貴族の出身。
父親は鉄網騎士団の副団長だったが、幼い頃に父親が罠に嵌められて家族揃ってマーモに流刑にされてしまう。
母親はマーモに流されてすぐ病死し、父親もダークエルフの人間狩りに遭い食人鬼(オーガ)の餌にされた。
祖国アラニアに復讐を誓ったアシュラムは、手始めにマーモの王と成るべくペルセイの街の若者を集めて愚連隊を結成。
当時マーモを治めていた評議会と敵対し、マーモ盗賊ギルドを半壊状態に追い込んだ。
しかし、ベルドがマーモに渡り闇の森の妖魔と蛮族を従えた事で評議会と手を組みベルドと敵対した。
当時ベルドの愛人だった蛮族の娘を人質に取りベルドと一騎打ちを行うも、一騎打ちに敗れ彼のカリスマ性を目の当たりにし、ベルドに忠誠を誓った。
ベルドがマーモの統一とマーモ帝国の建国を成し遂げると、アシュラムの手下の若者達が中心となり暗黒騎士団が結成され、アシュラム自身は近衛騎士隊長に任命された。

英雄戦争では近衛騎士隊長として常に最前線で戦うベルドの傍らで剣を振るい、ベルドが死亡した際は捨て台詞を残して撤退した。
英雄戦争後は太守の秘宝「支配の王錫」を求めて五竜のうち二体を討伐するなどの行動を起こすが、パーンやカシューに阻まれ失敗。呆然自失となり投身自殺を図り寸前でグローダーの転移魔法によって救われるも意気消沈してしまい、一度は愚将の配下になるまでに堕落する。
しかしパーンとの再びの邂逅を経て再起、再び将軍へと上り詰めマーモ帝国評議会の一角を成し、カノンの大守となっておよそ5年もの間レオナー率いるカノン自由軍との攻防を繰り広げる。
本編終盤ではヴァリス・フレイム連合軍の猛攻を前にマーモの敗北を悟り、マーモの地下神殿でのパーンとの決闘の後、彼につき従うマーモの民を連れてロードスを脱出し、大海へ出る。
その後新大陸に辿りつき、その地の「神」との契約により、マーモの民の入植を認める代わりに「神」の依代としてその身体を差し出す。しかし…

  • グローダー
CV:石井康嗣(英雄騎士伝)
黒の導師バグナードの一番弟子でマーモ帝国の宮廷魔術師団の次席宮廷魔術師。
バグナードの命令で「支配の王錫」の探索に同行するが、バグナードに命じられた真の任務は太守の秘宝の一つ「魂の水晶球」を手に入れる事だった。
しかしアシュラムに同行するうちに、アシュラムの英雄の資質に魅せられていく。
水竜エイブラを討ち取った事で首尾よく「魂の水晶球」を手に入れるも、マールに「魂の水晶球」を盗まれ任務に失敗。
更にアシュラムを救出したことでバグナードの怒りを買い、宮廷魔術師団から追放された。
その際、バグナードからバグナードと同じように魔法を使おうとすると耐え難い激痛が走るようギアスの呪いを掛けられ魔術を封印されてしまう*7
その後はアシュラムを新たな主人と定め、頭脳を生かして賢者として仕える。
邪神戦争後はアシュラムと共に新大陸へと渡り、初代宰相としてベルディア帝国の基礎を築いた。

  • アスタール
CV:中田和宏(英雄騎士伝)
闇の森のダークエルフの精霊使い。複数の上位精霊と契約している高い能力の持ち主。
ダークエルフの族長ルゼーブの腹心の部下で、後にアシュラムの永遠の恋人になるピロテースの兄。
ルゼーブの命令で「支配の王錫」の探索に同行した。

  • スメディ
CV:くじら(英雄騎士伝)
闇の森の蛮族出身の女戦士。
二刀流の剣士で二本のプロートソードをまるでナイフのように操り、剣撃を筋肉で止める程の怪力の持ち主。
アシュラムに傭兵として雇われ「支配の王錫」の探索に同行した。

  • ギルラム
スメディと同じく闇の森の蛮族出身の戦士。
巨大な大剣を武器とする巨漢の戦士。
ロードス共通語が下手でたどたどしい言葉で話す。
アシュラムに傭兵として雇われ「支配の王錫」の探索に同行した。

  • ガーベラ
CV:遠藤武(英雄騎士伝)
暗黒神ファラリスの司祭。
闇の大僧正ショーデルの部下でショーデルの命令で「支配の王錫」の探索に同行した。

  • シーリス
CV:高山みなみ(OVA)/浅川悠(英雄騎士伝)
滅亡したカノンの貴族の娘。
カノンの滅亡後は傭兵として暮らしていた。魔術師嫌い。
アラニアの傭兵としてザクソンの村に徴税のため訪れセシルと戦闘になるも、駆けつけたパーン達に敗れ投降。その後はオルソンと共にパーンと行動することになる。
いくつかの冒険を経て、ハイランド王国の皇太子レドリックと結婚し、ハイランド王妃となる。同時に竜騎士ともなった。

  • オルソン
CV:速水奨(OVA)/檜山修之(英雄騎士伝)
シーリスの相棒。
怒りの精霊ヒューリーに憑りつかれた狂戦士。普段は穏やかだが一度怒りだすと狂ったように戦い始める。
アシュラム一行に敗れた後、水竜エイブラとの戦いに同行した事がきっかけで感情を取り戻すが
再戦時にシーリスを守るために再び狂戦士となり、致命傷を負いながらも敵を掃討したものの、その傷により死亡した。

  • シャリー
戦神マイリーの神官。
ホップの弟子でスレイン達と共にアシュラム追跡と支配の王錫の探査行に出る。
支配の王錫の探査後はブレードの街にあるマイリー神殿の司祭を務めていたが、自らはあくまでもホップの代理であると司祭の補佐役である「侍祭」を名乗っていた。
しかし、邪神戦争でホップがアシュラムと共にロードスを旅立ってしまったため、戦後は正式に「司祭」に就任した。

  • ホップ
CV:大場真人(英雄騎士伝)
戦神マイリーの神官。「勇者の導き手」とも呼ばれる優秀な司祭。
フレイム王国の王都ブレードの街にあるマイリー神殿の司祭を務めていたが、アシュラムの説得に勇者の資質を感じ、アシュラム一行と支配の王錫の探査行に出る。
アシュラムが探索に失敗した後はパーンと行動を共にしていたが、パーンとアシュラムの決闘後、パーンに促され再びアシュラムに付き添いロードスを旅立った。
新大陸に到達した後はアシュラムとの約束通りベルディア帝国の王都ドートンに戦神マイリーの神殿を築き、暗黒の民にマイリーの信仰を広めた*8
なお『炎の魔人』での最終決戦時でも名前こそ出ていないがパーン達と共に戦っていた。

  • マール
CV:阪口大助(英雄騎士伝)
伝説の剣闘士"剣匠"ルーファス*9を追って大陸から商船に乗ってやってきたグラスランナーの吟遊詩人。
手癖が悪くつかみどころのない飄々とした性格だが、盗賊としてのスキルは高い。
パーンに出会った後はパーンの英雄伝説を見届けるために行動を共にしていたが、新たな伝説の誕生に好奇心を抱きアシュラムの後を追って旅立った。

王たちの聖戦

カシュー王に「アラニア王になれ」と焚きつけられたパーンは、王の資質について悩みながら混乱の極みにあるロードス南部に向かう。
そして戦乱の渦中にある三つの王国で王たちの戦いを目の当たりにする。
自らの責務を果たさんとする王たちの決断。
そして、それを見たパーンが選んだ道とは…。

  • レドリック
モス公国を構成する王国の一つハイランド王国の皇太子。最初は「レッド」という偽名を使っていた。
ハイランドの竜騎士の一人で炎の巨人を倒す為の魔剣を求めていた所をシーリスと遭遇しパーン達と行動を共にする。
腕前はシーリスよりも強くパーンよりやや弱いぐらい。
後にシーリスと結婚し、父王の後を継いでハイランド王国の国王に即位した。邪神戦争においてもシーリスと共に竜騎士を率いて参戦する。

  • レオナー
英雄戦争でマーモに敗れ処刑されたカノン王国の国王の第三王子。
剣の実力はカシューに匹敵すると言われ、成長したパーンをして「まだ遊ばれている」と言う程。
卓越した剣の腕が原因で、皇太子の威光が霞む事を恐れて英雄戦争以前にカノン王国を出奔した。だがこれにより結果的にカノン王国滅亡の災から逃れ、カノンの王族で唯一の生き残りとなる。
英雄戦争後はザップと名乗り山賊の一員になっていたが、パーンとの出会いによってカノン自由軍を立ち上げカノン独立運動の指導者となる。
邪神戦争でマーモ帝国の軍勢がマーモ島へと帰還するとカノンの独立を宣言。
カノンの国王に即位し、カノン王国を再建した。

  • ウェイマー・ラカーサ
カノン王国の近衛騎士隊長。
シーリスの父親で帰還王レオナーの剣の師範。
シャイニングヒル攻城戦では国王を守るため近衛騎士隊を率いて最後まで奮戦するも、アシュラムに切られ戦死した。

  • ギャリル
カノン自由軍の首領。
元は山賊*10だったがマーモの圧政を見てマーモへの反抗を決意し「カノン自由軍」を名乗り圧政から逃れる難民の逃亡を手助けする活動をしている。
副頭領のザップを信頼していたが、彼が失踪したカノンの第三王子レオナーである事は知らなかった。

  • ジアド
暗黒騎士団の将軍でアダンの街の領主。
ベルドを真似て赤い鎧を身に纏っている事から「赤き鎧の将軍」と呼ばれている。腑抜けたアシュラムから「魂砕き」を接収し、所持していた。
見上げるような巨漢だが、怪力だけが自慢の強欲な男で、領主として就任するとアダンに圧政を敷く。
アダン郊外の決戦でヴァリス王国軍に敗れた後は、アダンに戻り再起を図ろうとするも、マーモの敗戦を知って反乱を起こしたアダンの住人に殺害された。

  • カーソン
カノン王国の騎士でナリル村の元領主。
若い頃は近衛騎士としてレオナーの身辺警護の役に就いていたがレオナーが出奔した後はナリル村の領主に任命された。
カノン王国が滅びた後もナリル村に留まり村を守っていたが、レオナーに村人達を連れて国外へ逃げるように命じられ、ナリル村の村人と共にフレイム王国に移住した。

  • シャーナ
暗黒騎士団の女騎士でマーモから派遣されたナリル村の領主。カーソンとは密かに立場を超え愛し合う仲になっている。
マーモの領主としては珍しく真面目に領主の務めを果たそうとしており、自分の経験不足を素直に認め、良い領主になろうと元領主のカーソンから教えを請うなどしている。
カノン自由軍討伐に失敗し罷免されてしまうが、カノン自由軍が村を解放に現れた際に捕えられていた村人を解放。マーモの騎士の位を捨て、カーソンと共に村人を連れてフレイム王国に移住した。

  • ログナー
暗黒神ファラリスの神官でナリル村の新領主。ナリル村からの納税が不足しているとして、シャーナに代わりマーモより派遣された。
闇の大僧正ショーデルの部下でマンティコアのスクラングを可愛がっている。
人を人と思わぬ冷血漢で、村人が餓死しようとも「地虫のように土を食って生きれば良い」「村が全滅したなら私は本拠地に戻るだけ」と徴税を強要し、カノン自由軍との戦いの際は村人を人質にとった。

ロードスの聖騎士

フレイムの城から秘宝「魂の水晶球」が奪われた。
賊を逃した騎士見習いのスパークは、自由騎士パーンの助言も得て宝物奪還に燃える。
そして賊を追跡する旅の途中、スパークはマーファの聖女ニースと運命の出会いを果たす。
呪われた島と呼ばれてきたロードスが、今こそ灰色の呪縛から解き放たれる。

  • スパーク
CV:野島健児(英雄騎士伝)
炎の部族の族長で先代族長であるナルディアの従兄弟。
本作の後半の実質的な主人公であり、続編の『新ロードス島戦記』の主人公。
フレイム王国の見習い騎士。実力は十分ながらも騎士に取り立てて貰えず焦っていたところ、城内に侵入した賊を発見。
単独で捕えようとしたが失敗、剣を捨てて命からがら逃げ出すという体たらくを演じてしまい、その失態の挽回のために賊に盗まれた「魂の水晶球」の奪還を命じられる。
その道中で同じく「魂の水晶球」を追う小ニースと出会い、真実を知った後は命令のためではなく小ニースを守るために戦う事を決意する。
邪神戦争末期のマーモ本島決戦ではバグナードを討ち、小ニースへの呼びかけでカーディスの再降臨を阻止し、邪神戦争に終止符を打つ働きをした。
邪神戦争後はフレイム王国の属領となったマーモ公国の公王に任命される。

  • (小)ニース
CV:石橋千絵(英雄騎士伝)
スレインとレイリアの間に生まれた娘。
祖母と同じ名前を持つことから「小さなニース」もしくは「小ニース」と呼ばれることが多い。幼い頃から聖なる力を扱え、聖女として称えられていた。
破壊の女神カーディスを復活させるための「ひとつの扉」である事から邪神戦争では黒の導師バグナードからその身を狙われる。
「魂の水晶球」が盗まれたのを知り単身追跡。途中でスパーク一行と合流し、やがてスパークと心を通わせるようになるが、急襲してきたバグナードに捕われてしまう。
バグナードの目的のために一度カーディスを降臨させられるが、その時に自らの魂がかつてカーディス教団の最高司祭だった「亡者の女王」ナニールの生まれ変わりである事を知る。
カーラにより再びカーディスを降臨させられそうになり、ナニールの自我に飲みこまれそうになるが、スパークの呼びかけでニースとしての自我を取り戻す。
そしてカーディスの降臨を阻止するために自らに大地母神マーファを降臨させ、邪神の復活を阻止した。
邪神戦争後はマーモのマーファ神殿の司祭となり、後にスパークと結婚しマーモ公妃となった。

  • ギャラック
CV:高塚雅也(英雄騎士伝)
フレイムの傭兵。
頬に走る青白い傷から「青く流れる星」(「英雄騎士伝」では「蒼き流星」)という恥ずかしい二つ名で呼ばれている。
邪神戦争ではスパークの下に配属され共に「魂の水晶球」の探索に同行した。
実は爵位を持つフレイムの貴族。傭兵に紛れる事で傭兵の監視や反乱分子の処分等を秘密裏に請け負っており、スパークに同行したのもスパークの護衛が真の任務であった。
黒の導師バグナードとの戦いで命を落とすも、ニースの肉体に降臨した大地母神マーファの奇跡により復活。
邪神戦争後はマーモ島に新たに建国されたマーモ公国の近衛騎士隊長に就任した。

  • リーフ
CV:鈴木砂織(カセットブック)/坂本真綾(英雄騎士伝)
ハーフエルフの精霊使いの少女。*11
元はカノン出身で難民としてフレイム王国に逃れ、武器と精霊魔法の心得があった事からフレイムの傭兵部隊に入隊した。
邪神戦争ではスパークの下に配属され共に「魂の水晶球」の探索に同行した。
外伝にも本編より数年前の姿で登場。「迫害されたこともあったが、父も母も自分を愛してくれて幸せだった」というリーフの言葉が、帰らずの森が開かれるきっかけとなった。

ちなみに『英雄騎士伝』でリーフを演じた坂本氏はOPテーマ「奇跡の海」を熱唱している。

  • アルド・ノーバ
CV:西脇保(英雄騎士伝)
スレインの弟子の魔術師。
見上げるような大男だが、性格は至って温厚な人物。
風の部族の名門の出身だが、性格的に戦士には向かないと見做され、魔術師とするべく父親の意向でスレインに弟子入りした。
邪神戦争ではスパークの下に配属され共に「魂の水晶球」の探索に同行した。立場上、小ニースが「ひとつの扉」である事を知っており、スパーク達に真実を伝えたのは彼。
邪神戦争後はマーモ島に新たに建国されたマーモ公国の宮廷魔術師に就任した。

  • グリーバス
CV:岸野一彦(英雄騎士伝)
「鉄の王国」出身のドワーフで戦神マイリーの神官戦士。
ホッブ司祭の弟子でフレイム王国の宮廷司祭を務めていた。
邪神戦争ではスパークを気に入り共に「魂の水晶球」の探索に同行した。
邪神戦争後はマーモ島に新たに建設された戦神マイリー神殿の司祭に就任した。

  • ライナ
CV:米本千珠(英雄騎士伝)
ライデン盗賊ギルドのブレード支部に所属する女盗賊。
元は孤児で、ライデン盗賊ギルドに引き取られ娼婦となるべく育てられていたが、売りに出される前にライデン盗賊ギルドの長がフォースに代わった事でギルドの方針が変わり、娼婦に成らずに済んだ。
フォースの愛人の座を狙っていたが、フォースは女嫌いだったため、ブレードの街にライデン盗賊ギルドの支部が設立されると、厄介払いとばかりにブレード支部に左遷された。
邪神戦争では王宮から「魂の水晶球」を奪い逃亡中のダークエルフに偶然に遭遇し、その時に仲間のランディーが殺された事から仲間の復讐のために「魂の水晶球」を追うスパーク達に同行した。
邪神戦争後はギャラックと結婚し、マーモ盗賊ギルドを結成しその長も務めた。

  • ラスター
アラニア王カドモス七世の弟。
英雄戦争期にカドモス七世を暗殺し国王を僭称したが、ノービスの領主だったアモスン伯爵はこれを認めず、アラニアはラスター公爵率いる王弟派とアモスン伯爵率いる先王派による内乱状態に陥る。
英雄戦争後も長年アモスン伯爵とアラニア王の座を争っていたが、邪神戦争でマーモ帝国と同盟を結び、マーモの協力でアモスン伯爵の殺害に成功した。
しかし、アモスン伯爵の息子であるロべスを取り逃がしたことでフレイム王国の介入を招く。
アラン郊外の決戦でフレイム王国軍との戦いに敗れた後は、国外に逃亡しようとするも捕らえられ、最後は「王殺し」の罪で斬首され処刑された。

  • アモスン
アラニア第二の都市ノービスの領主。
カドモス七世を暗殺し国王を僭称したラスター公爵の即位を認めず、先王の敵討ちを名目にラスターと交戦する。
大義名分として先王の敵討ちを掲げているものの、実際は自らがアラニア王に成りたいだけ。
「王殺し」、「兄殺し」の王弟を討つという大義名分がありながら徒に内乱を長引かせ、マーモの援軍があったものの最終的にラスターに敗北している事から無能な人物だった模様。

  • ロべス
アモスン伯爵の息子。
野心的ではあるが優秀な人物。
パーン曰く「自分の利益になると思えば自らの考えに固執せず、あっさりと前言を翻せるのが美点」らしい。
邪神戦争ではアモスン伯爵が討たれたと知ると形勢不利と見て逸早くノービスを脱出しフレイム王国に亡命した。
その後はフレイム王国の援軍を得てラスター公爵に勝利しアラニア王の座に就いた。
アラニア王に即位後は、独立運動の指導者であるセシルをザクソン伯爵に叙勲し、宮廷魔術師に任命することでアラニア北部を支配下に置き、アラニアの再統一を達成した。

  • ヴェーナー
モス公国第二の大国であるヴェノン王国の国王。
英雄戦争期に騎士団が国内を留守にしている隙を突き竜鱗騎士団の精鋭を率いて王都ハーケーンを襲撃し公王を殺害した。
英雄戦争後はモス公王を僭称し灰色の魔女カーラから与えられた炎の巨人の力を用いて一時はモス統一に王手を掛けるも、ハイランド王国のレドリック王子に炎の巨人を討たれてしまう。
その後も長年ハイランド王国とモスの覇権を争っていたが、邪神戦争期にハイランド王国の軍勢に首都ヴェノンを攻め落とされ、毒杯を呷り自殺した。

  • バグナード
CV:青野武(OVA)/大塚周夫(英雄騎士伝)
マーモ帝国の首席宮廷魔術師で、通称「黒の導師」と呼ばれている。
「賢者の学院」の最後の学長であるラルカスの直弟子で、学院始まって以来という優秀な成績を収め、将来を嘱望されていた。
だが、己の魔術の才能を極限まで高めたいと欲したバグナードは、禁忌の魔法へと手を出し、更には暗黒神ファラリスに帰依したため賢者の学院を追放された。
その時に師であるラルカスにより魔術が使えなくなるよう、魔法を使おうとすると耐え難い激痛が走るギアスの呪いを掛けられ魔術を封印されてしまう。
しかし、バグナードはその超人的な精神力で、激痛に耐え魔術を使用してみせた。
魔術を用いた暗殺でカノンで巨万の富を得ると、マーモへと渡り、当時マーモを統一したばかりのベルドに忠誠を誓いマーモ帝国の宮廷魔術師となる。
マーモ帝国の宮廷魔術師となったバグナードは、ラルカス死後の混乱に乗じて学院の魔術師を次々に殺害。
更には学院を焼き討ちし、大量の魔導書と魔法の宝物を奪い、学院を崩壊させた。
ベルドの死後はマーモ帝国評議会の一角を成す。
邪神戦争では破壊の女神カーディスの復活を画策するも後のマーモ公王スパークに討たれた。
とされているが、実際は破壊の女神カーディスとの契約によって生命なき者の王(ノーライフキング)として復活しており、一度死亡した事で目論見通りギアスからも解放され、その後も(たまに女性の生贄の血をいただきつつ)魔術の研究に勤しみつつロードスの歴史を影から見守っている。

  • ルゼーブ
闇の森のダークエルフの族長。
ダークエルフの上位種であるハイダークエルフで、ダークエルフや妖魔の支配圏を拡大しようと権謀術数を巡らせる野心家。
ただし、ベルドに対する忠誠心は本物で、ベルドがマーモの統一とマーモ帝国の建国を宣言した際は真っ先に忠誠を誓った。
ベルドの死後はマーモ帝国評議会の一角を成す。
邪神戦争では炎の上位精霊を呼びだし、自分達ごと闇の森に火を放ち闇の森に攻め入ったフレイム王国軍を道づれに自殺した。

  • ショーデル
暗黒神ファラリス教団の最高司祭で通称「闇の大僧正」と呼ばれている。
一見すると穏やかな老人に見えるが、ファラリスの司祭らしくその雰囲気のまま殺人だろうと平然と行う破綻者。
ベルドの死後はマーモ帝国評議会の一角を成す。
邪神戦争ではファラリス神殿に籠城しマーモに上陸したヴァリス王国軍を迎え撃ち、聖騎士と刺し違える間際に自らの体に暗黒神ファラリスを降臨させ、その呪いによってファリスの加護を受けたエト王除いた王国軍の全員を石に変え全滅させた。

ハイエルフの森 ディードリット物語

“帰らずの森”──そこはエルフたちにとって森の精霊王に守護された美しい故郷。
だが人間にとっては、足を踏み入れたら最後、二度と戻ることのできないロードス最大の魔境であった……。

  • ルマース
「帰らずの森」に住むハイエルフの一族の長。
亜神とも評される森の妖精王。ぶっちゃけ魔神王にタイマンで勝てるレベル
エルフの最上位種であるハイエルフハイロードで、世界樹から生まれた最初のエルフの1人。

  • エスタス
「帰らずの森」に住むハイエルフの一人。
集落のハイエルフの中ではディードリットの次に若いが、それでも千歳を優に超えている。精霊魔法の力はディードリットを上回り、剣などの武器も使える。
過去に人間界を尋ねたことがあるが、仲間同士で殺しあう愚かな人間に失望し、以来人間を軽蔑している。
外伝ではディードリットを連れ戻しにパーン達の前に現れる。

  • サルバーン
古代魔法(カストゥール)王国の最後のロードス島太守。
魔力の塔の崩壊後、反乱を起こした蛮族に湖上都市クードを攻め落とされ殺害されたが、死後生命なき者の王(ノーライフキング)として復活しており、その後もロードスの歴史を影から見守っている。

  • ストラール
古代魔法(カストゥール)王国の魔術師。
召喚魔術の一門の魔術師で下級の貴族だった。
長年「帰らずの森」の呪いに囚われていたが、呪いが解かれた事で目覚め「帰らずの森」のハイエルフに復讐を誓う。

黒衣の騎士

ロードス統一を唱えたマーモ暗黒皇帝ベルド。
その覇業のために、生涯を捧げた一人の男がいた。人々は彼を黒衣の騎士と呼び、畏怖した。
亡き主君の遺志を継ぎ、最後まで自由騎士パーンの好敵手であり続けた男の哀しき過去。
運命を変えたベルドとの邂逅。
そして、美しきダークエルフ、ピロテースと共に新天地を目指す苦難の旅。
いま、ここにフォーセリアの架け橋となる物語の幕が開く。

  • オーエン
アラニア出身の盗賊で若い頃のアシュラムの唯一の友人だった。
アラニア盗賊ギルドで育てられた暗殺者だが、完璧すぎたのが仇になって師匠に嵌められて官憲に捕まり、マーモに流刑にされた。
マーモ行きの船の中でアシュラムと知り合い、それ以来アシュラムの右腕として働いてきた。
しかし、実は裏で評議会と通じており、評議会にとって邪魔なアシュラムとベルドを共倒れさせようとしていた。
だが、計画に失敗したことでマーモから逃亡。
後にボイドと名を変えて新生マーモ帝国の密偵となる。

  • ディッツ
マーモ盗賊ギルドの幹部。
「琥珀の目のミストラ」という偽名を名乗っている。
オーエンと手を組み邪魔なアシュラムとベルドを共倒れさせようとしていた。

  • レーテ
ベルドの愛人で闇の森の蛮族の族長ソロンの妹。
オーエンに誘拐されベルドを誘き出すための人質にされ最終的に殺害された。

  • ピロテース
CV:玉川紗紀子(OVA)/西原久美子(英雄騎士伝)
アシュラムにつき従うダークエルフの女性。
元はOVAのオリジナルキャラクターだったのを作者が気に入り本編にも登場させた。
アシュラムとは恋仲であり、パーンに対するディードリットのような存在。
外見も色白なディードに対して褐色の肌をしており、また露出も多めでエルフにしては豊満。暗殺技術に長け、精霊魔法の能力も高い。
アシュラムの部下だったダークエルフのアスタールの妹。当初はアスタールを犬死にさせたとしてアシュラムを憎み、命を狙っていた。*12
後に事情を知った彼女はアシュラムに従い、やがて恋仲となり常に行動を共にするようになった。
本編終盤ではアシュラムと共にロードスから脱出。
新大陸に辿り着いた後は「シェール」と名を変え、ベルディアの帝都ドートンの玉座の間で体内で「神」の魂と身体の支配権をめぐって闘い続けながら眠りにつくアシュラムの傍らに寄り添い続けている。
OVA版ではシューティングスターとの闘いでアシュラムをかばって死亡した。

地域

非常に膨大なので詳細は個別項目を参照。


【五色の魔竜】

古代魔法(カストゥール)王国の最後のロードス島太守サルバーンに飼われていた五匹の竜王。
古代魔法(カストゥール)王国の滅亡の際にロードス各地の宝物庫の守護を命じられた。

氷竜ブラムド

アラニア王国の北にある白竜山脈に住む氷竜(ホワイトドラゴン)
氷の精霊力を体内に宿しており、全身を純白の鱗で覆われている。
分類としては老竜(エルダードラゴン)に当たるが、その実力は古代竜(エンシェント・ドラゴン)に匹敵する。
太守の秘宝の一つである「真実の鏡」を守護していたが、魔神戦争の時代に六英雄の一人であるニースによって呪いから解放された。
英雄戦争後に休眠期をアシュラム一行に襲われ討たれたが、その後ニースによって復活させられた。

真実の鏡

太守の秘宝の一つ。
あらゆる問いに対し真実の姿を映し出すとされる魔法の鏡。
「鏡や鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」

黒翼の邪竜ナース

暗黒の島マーモに住む闇竜(ダークドラゴン)
全身を漆黒の鱗で覆われており、暗黒神の加護で精神抵抗力ボーナスが付き、かつ暗黒神の神聖魔法も使用可能。
分類としては老竜(エルダードラゴン)に当たるが、その実力は古代竜(エンシェント・ドラゴン)に匹敵する。
太守の秘宝の一つである「知識の額冠」を守護していた。
英雄戦争後に活動期に入り、マーモ各地を荒らしまわった事で、当時マーモを支配していたアシュラムとバグナードに戦いを挑まれ敗北。
バグナードに呪いを解かれた後は、マーモ帝国に服従していたが、邪神戦争でマーモに攻め入ったロードス連合軍と金麟の竜王マイセンに敗れ南の孤島へと逃走した。

知識の額冠

太守の秘宝の一つ。
この冠を身に着けた者は、それまで身につけたことのある全ての人物の知識を得る事ができる。

水竜エイブラ

ライデンの沖合にある青竜島に住む水竜(ブルードラゴン)
穏やかな性格の竜で、休眠期に入ってるとはいえ無断で侵入してきたアシュラム達に早々に立ち去るよう一度は見逃そうとした。
水の精霊力を体内に宿しており、水の精霊魔法や古代語魔法を操る。
全身を青色の鱗で覆われており、翼は退化して飛ぶことは出来ないが鰭のようになった手足で自在に泳ぐことが可能。
分類としては老竜(エルダードラゴン)に当たるが、その実力は古代竜(エンシェント・ドラゴン)に匹敵する。
太守の秘宝の一つである「魂の水晶球」を守護していたが、英雄戦争後に休眠期をアシュラム一行に襲われ討たれた。

魂の水晶球

太守の秘宝の一つ。
死者を蘇らせる魔力を持つ。
実は古代魔法(カストゥール)王国の魔術師が作った物ではなく、破壊の女神カーディス教団によって生み出された祭器。
破壊の女神カーディスを蘇らせるための二つの鍵の一つで、邪神戦争の裏側でこの祭器を巡って争われた。

金麟の竜王マイセン

モスの山中に住む光竜(ゴールドドラゴン)
全身を金色の鱗で覆われており、神聖魔法を使用可能。
太古の時代に生を受けた古代竜(エンシェント・ドラゴン)であり、太守の秘宝の一つである「生命の杖」を守護していた。
魔神戦争の時代にモス公王マイセンと六英雄のウォートとニースによって呪いから解放され、マイセンから自らの名を与えられた。

生命の杖

太守の秘宝の一つ。
肉体の損傷を一瞬で癒す魔力を持つ。
実は古代魔法(カストゥール)王国の魔術師が作った物ではなく、破壊の女神カーディス教団によって生み出された祭器。
破壊の女神カーディスを蘇らせるための二つの鍵の一つで、邪神戦争の裏側でこの祭器を巡って争われた。

魔竜シューティングスター

自由都市ライデンの東にある火竜山の火口に住む火竜(レッドドラゴン)
全身が赤い鱗で覆われており、ロードスに住む竜の中でも最も気性が激しく魔竜と恐れられている。
人間を餌にしか思っていないが彼等が団結した時の強さも理解しており、戦いの最中でも冷静に引き際を見極めるなど決して脳筋ではない。
太古の時代に生を受けた古代竜(エンシェント・ドラゴン)であり、太守の秘宝の一つである「支配の王錫」を守護していた。
火竜山の東に広がる草原地帯を狩猟場としていたが、領土の拡大を狙うフレイム王国の侵略を受け、傭兵王カシューに討たれた。

支配の王錫

太守の秘宝の一つ。
知性を持つ全ての者に命令する力を持つ。
命じられた者はその命令に絶対に逆らう事ができない。

【神々と宗教】

以下の神々の中でもファラリスとカーディスは、専ら敵役が信奉する邪神扱いであり、ルール上はプレイヤーは選択不可とされている。
ただしファラリスの本質は「良くも悪くも自由主義」であり善悪は関係無いため厳密に言うと邪神ではない。
そのため続編の『クリスタニア』ではプレイヤーに解禁されている*13
D&D的に分類すると、ファリスは「秩序・正義」、ファラリスは「混沌・中立」あたりだろう。
そして破壊神カーディスこそが「混沌・邪悪」な邪神である。

ファリス

正義と秩序を象徴する神。
本来は「太陽神」だがフォーセリア神話の主神とされている事から一般的には「至高神」と呼ばれている。
法と秩序の神という神格から支配者階級に信者が多い。
特にヴァリス王国では国教とされており、ヴァリス王国では国王ではなくファリス教団が国の主人とされている。
国家運営に携わる弊害かファリス教団は教義の順守に走りすぎ、肝心の信仰そのものがおざなりで神聖魔法を使いこなせる神官が不足しているという状況に陥っている。

マイリー

戦いの神。
主に戦士や傭兵などに信仰されている。
長く戦乱の時代が続いたことから特にモス地方に信者が多い。

チャ・ザ

幸運と交流の神。
主に商人などに信仰されている。

ラーダ

知識と学問の神。
主に魔術師などに信仰されている。

マーファ

慈愛と癒しを司る創造と大地の女神。
主に農民や猟師など一次産業の従事者に信仰されている。
神話においてロードス島を創造した女神とされている事からロードスでは最も信者の数が多い。

ファラリス

暗黒神。
「汝の欲する事を成せ」と説いており、一般には邪神とされている。
ロードス諸国では基本的に禁教とされているが、暗黒の島とされるマーモのみは例外的に信仰が解禁されており、信者の数も多い。

カーディス

破壊の女神。
神話においてロードス島を創造した女神とされている。
カーディス信仰はロードス諸国では禁教とされているが、古代魔法(カストゥール)王国滅亡後の混乱期や、終末戦争などロードスが混乱するたびに歴史の表舞台に現れ、猛威を振るってきた。

【TRPGとしての『ロードス島戦記』】

前述の通り、当初は『Dungeones(ダンジョンズ)&Dragons(ドラゴンズ)』のルールをそのまま使ってプレイされていた。が、人気を受けてリプレイを単行本化しようとした際に問題が発生した。「D&Dを紹介する為の雑誌記事」として見逃されていた本作も、単行本化(商品化)するともなればD&Dの版権元に多額の著作権料を払わなくてはいけないのだ。
そのため単行本は小説版のみで展開。リプレイ第三部からは自作のルールを用意し、第1、2部は新ルールでやり直す事でやっとリプレイの単行本化が実現した。
このルールをブラッシュアップしたのが『ロードス島戦記コンパニオン』『ロードス島戦記RPG』である。なお『コンパニオン』はD&Dの影響が大きく残っている。

ゲームの世界観

ロードス島の存在する世界は一般には「フォーセリア」と呼ばれ、ソード・ワールドの舞台アレクラスト大陸の、南に位置するロードス島もその一部。
プレイヤーたちは「呪われた島・ロードス」を舞台に、かつての神話時代に遺された遺跡などを探索して、富と栄光を求める冒険者となる。
ロードス島では、エルフやドワーフといった妖精や、ゴブリンやダークエルフといった妖魔、ドラゴンなどの魔獣や人間たちが共存し。互いに助け合ったり、時には争ったりしながら暮らしている。
太古の世界から存在した神々たちも、僅かではありながらも人々に影響を及ぼしており、それぞれに信者たちを集めて宗教という形で残っている。

登場する種族

『コンパニオン』では基本的にプレイヤーたちが選べるのは、エルフ、ドワーフ、ハーフエルフ、人間~の4つのみ。

他にもグラスランナーやダークエルフ、それにオークやゴブリンといった種族も存在するが、公式ルールではプレイヤーたちは選んではいけない事になっている…が、ことダークエルフに関してはこぞって皆がやりたがるため、事実上は有名無実化しているルールとなっている。
また文庫版リプレイ第2部ではストーリー上、グラスランナーのマールがプレイヤーキャラとして参加している。

あまり知られていないが“グラスランナー”は当初、ロードス島戦記には存在しなかった種族である。当初は前述の通り、『D&D』ベースでリプレイが行われていたので、登場していた「小さい人々」は当然ながら“ハーフリング”という設定であった。しかし前述の著作権問題のためリプレイ第三部発表後は最初からグラスランナーだった事にされた。

文庫版『ロードス島RPG』ではエキスパートルールからグラスランナー、ダークエルフを種族として選択可能。ただし両方ともかなり癖が強く、取り扱いの難しい劇物指定種族と説明されている*14

2018年版ロードス島戦記RPGでは人間、エルフ、ドワーフ、ハーフエルフ、グラスランナーの5種族が選べる。

基本システム

『D&D』と大きく異なったのは、いわゆる「%ダイス・システム」を用いる点である。

つまりゲーム中の行為判定を全て何らかの「○○%以上で成功or失敗」と言う風に定義し、それに基づいてプレイヤーがダイスを振り、出た目がその目標値を下回れば成功とするシステムである。この場合、通常は10面体ダイスを2個同時に振り、あらかじめどちらが10の桁~1の桁と言う事も決めて置く。それぞれの出目が5と2だったなら、52と解釈して52%以下の行為は成功と判定する*15

またこのゲームを特徴付ける「集中力」と呼ばれるシステムがあり、プレイヤー・キャラクターたちは何かピンチに陥った時に、この“集中力”を使う事を宣言すれば“火事場の馬鹿力”的な行為を行う事が可能となる。いわゆる一般的なRPGに於ける「クリティカル」をプレイヤーの任意で引き寄せる事が出来るシステムと考えても差し支え無いが、ゲーム内時間で1日辺りそのキャラクターのレベル回数分という制限が付く。さらに行為判定に失敗した時にも、この“集中力”によって損害を軽減したり無効化する事も可能である。尚、どの程度の効果が期待出来るかはGM(ゲームマスター)の裁量に委ねられる。

【主なシリーズ一覧】

TRPG

PCゲーム版(1988年)がベースになっていると思われる「ロードス島戦記コンパニオン」(1989年)とスキルや特殊クラスなどが追加された「ロードス島RPG」(1995年)の二種類が存在。
またソード・ワールドRPGでもロードス島設定を使用可能にするための「ロードス島ワールドガイド」(1998年)が発売された。
そして2018年に両作の特徴を取り入れて改良された「ロードス島戦記RPG」が発売された。

TRPGリプレイ

ロードス島戦記の原点で、TRPG「ダンジョンズアンドドラゴンズ」のプレイ風景・会話をそのまま文章化したシリーズ。雑誌コンプティーク誌上で連載された。
TRPGの現場のノリそのままのため、小説版から入った人がこれを読むと面食らう。オルソンの「ウリリリリリィィ!」とか…

好評を得た企画だったが、これで何か事業をやろうとするなら当時D&Dの版権元だったTSR社に高額の版権料を支払わねばならず、単行本化やその他の展開はお蔵入り。
後に別のルールを作成し、これを用いた「再現プレイのリプレイ」が行われてようやく単行本化が実現した。

小説

全七巻の本編と邪神戦争終結後のアシュラムの動向を描いた『黒衣の騎士』や、ディードリットの物語を描いた『ハイエルフの森』といった外伝が存在する。
また、前日譚たる魔神戦争を描いた『ロードス島伝説』、本編終了から少し後の終末戦争を描いた『新ロードス島戦記』、
さらに2019年には本編から100年後を描いた『ロードス島戦記 誓約の宝冠』が刊行された。

ゲーム

TRPGリプレイをベースにしたPC版が2作、
PC版をベースに、かつアニメ版の要素を取り入れたPCE版2作とメガCD版が、
独自のシステムのSFC版とGBC版が発売されている。
また2013年にはソシャゲとして『ロードス島戦記 -伝説の継承者-』、2016年からはMMORPG『ロードス島戦記オンライン』が展開された。
2021年にはディードリットを主役とした探索型横2Dアクション『ロードス島戦記 ディードリット イン ワンダーラビリンス』がSteam/Swtich/PS4にてリリース。

アニメ

1990~91年にパック・イン・ビデオからOVA版が発売。
制作はマッドハウスで、第一部「灰色の魔女」編をベースに独自の物語が展開される。

1998年にはテレビ東京系列にてTVアニメ『ロードス島戦記-英雄騎士伝-』が放送された。
こちらの制作はAICで、第三部「火竜山の魔竜」編と第五部「ロードスの聖騎士」編を下敷きにした物語が展開。
角川書店「月刊少年エース」でも、夏元雅人先生によるコミカライズが連載されている。

音声作品

1989~1993年にかけて本編のオリジナルサイドストーリー3本と『ディードリット物語』より「復讐の霧」までの3本をドラマ化したカセットが、カドカワカセットブックより全6巻発売された。
後にこのうち5巻までと、作中で使われた楽曲のサントラのセットで『スペシャルCDパッケージ』としてCD化された。
発売当初は原作にはないオリジナルストーリーだったが、記念すべき1巻の『眩惑の魔石』は後に原作でこのイベントを経た事を示唆する一文が書かれ、『魔獣の森』は『新ロードス島戦記序章』でリメイクされ、主要人物であるエレーナが後々までメインキャラのひとりとして活躍する。
キャストは2巻まではオリジナルだが、3巻以降はOVA版準拠になった。

1994~1995年にかけて文化放送とラジオ大阪から第2部『風と炎の魔神』が放送され、後に台本付きで全4巻CD化された。
こちらは元々OVAの第二弾になる予定だった。それ故かキャストはOVA版準拠。

『ロードス島戦記-英雄騎士伝-』からも1作、本編の前日譚やサイドストーリーを収録したドラマアルバムが発売されている。


【余談】

ロードスという名前の島は現実のギリシャにも存在しており、本作の舞台であるロードス島のモデルと勘違いされることが多いが、実際は一切関係ない。
製作当時、製作者側もロードスという島が実在するとは知らなかった。
また、日本の歴史小説家である塩野七生氏の著作に『ロードス島攻防記』という小説があるが、やはり本項で解説する『ロードス島戦記』とは全く関連性が無い。
マジンガーZ』の敵・Dr.ヘル一味のアジトも最初期はロードス島であった。

なお実在のロードス島は、世界の七不思議の一つ「ロードス島の巨像」で知られる。




ロードスという名の項目がある。

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最終更新:2024年01月30日 22:46

*1 水野氏は小説版の決定以前からシナリオを小説仕立てで組み上げていたのだそうな。

*2 母親は当初はパーンが10歳の時に死亡した事になっていたが、後に存命であると設定が変更された。ただし加筆修正が行われた新装版1巻でも死亡のまま書き換えられていない。

*3 「自由騎士」という呼称は単に国や騎士団に所属しない騎士を指す言葉だったが、パーンの活躍が広まるにつれパーンの代名詞となっている。これは味方だけでなく敵にも浸透しており、アシュラムはファリス神の意思に基づきつつ自由騎士を名乗ったヴァリスの聖騎士に対して激怒し切り捨てている

*4 英雄戦争後のヴァリス、内戦中のアラニア、マーモ支配下のカノンなど。『新』ではマーモの王となる可能性もあった

*5 この時学院を出たおかげで、後のバグナードの魔術師狩りから逃れている

*6 一時的にマーモ公国で騎士団長に就任した事もあるが当時は公王であるスパークは失踪中だったため実質的にはパーンが国王を務めていた

*7 痛みに耐えれば行使は可能だが、グローダーは一度試してそのあまりの激痛に屈服し魔法を使わなくなった。後にスパークもニースを通してこの痛みを味わうが、「どんなに口の堅い罪人であっても数刻と持たず自白するだろう」と懐述しているほど。

*8 『ロードス島戦記』の約三百年後を描いた『クリスタニア』の時代には、暗黒の民の間でマイリーの信者の数はファラリスの信者に匹敵するほどになっている

*9 カシューのこと。ルーファスはアレクラスト大陸時代に名乗っていた偽名

*10 とはいっても、山道を旅する者を怪物たちから護衛することで生計を立てている”まっとうな部類に入る”山賊である

*11 ハーフエルフはほとんどの場合父が人間で母がエルフである事が多いが、リーフは父がエルフで母が人間

*12 アシュラムにとってもアスタールは過去に命を救われた恩人であり、ピロテースがアスタールの仇として狙ってきたと知ると戦意を失う程にその死に負い目を感じていた

*13 この辺りは同時期の『ファー・ローズ・トゥ・ロード』の「古テュール派」も同じ

*14 特にダークエルフの場合、マーモを裏切ってプレイヤー側についている等、特殊な理由付けが必要になる

*15 一応、それ以前から『ルーンクエスト』等でも使われていたので、専門店等では「100面体ダイス」と言う物も販売されている