コミュニティ(問題児シリーズ)

登録日:2019/08/18 (日) 10:04:18
更新日:2023/01/06 Fri 12:41:23
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コミュニティとは、小説「問題児シリーズ」の用語。同シリーズにおいて重要な役割を果たす要素の一つ。
当然ながらネタバレが含まれるため注意。



★概要

コミュニティとは、"名"と"旗印"を"箱庭"に申告することで生まれる組織を指す名称。"箱庭"の主要素の一つ。
本拠地を置く階層によって桁数が異なり、例えば五桁に本拠を置く"ペルセウス"は五桁のコミュニティ。
本拠地を置かないコミュニティも存在するが、その場合はトップの実力に応じて推定〇桁と扱われることになる。
所属する階層を上げるには大きな功績を立てるか、"階層支配者"の出す試練(ゲーム)をクリアする必要があるが、
例外的に、巨大な"歴史の転換期"を抑え強大な霊格を手にした場合、霊格に相応しい階層に昇格することもある。
基本的には複数人で構成されるが、頭首単独でコミュニティを形成する場合、「単独〇桁」と呼ばれることもある。

コミュニティにとって、旗印はその縄張りを示すために、名はそのコミュニティだと証明するために必要不可欠。
「掲げられた名と旗を誇りに生きる」という言葉があるくらいに、その双方は重要な扱いを受けている。
名を失ったコミュニティは"ノーネーム"と蔑称され、その他大勢の扱いを受ける。
両方を失うことはコミュニティとしてのアイデンティティと信頼を失う事に等しい。

主人公たちのコミュニティもまた魔王に双方を奪われた"ノーネーム"であり、その他大勢に貶められたコミュニティの一つ。
象徴を何一つ持たない"ノーネーム"では成り上がることが不可能に近かったが、十六夜はジン=ラッセルを担ぎ上げ代わりの象徴とすることで「ジン=ラッセルの"ノーネーム"」として名を売り出した。
現在は名こそ取り返せていないものの旗を取り戻し、「下層で"ノーネーム"と言えばあの(・・)"ノーネーム"」とされるほどに有名なコミュニティとなっている。

余談だが、ギフトゲームの主催者となることもある優れたコミュニティは、本拠地以外にゲームを行うための舞台区画などを持つことが多い。

また、力あるコミュニティたちが旗を束ね、新たに作られた同じ旗の下に集うことがある。
"箱庭"ではそれを連盟と呼称し、新たに連盟独自の名と旗印を持つ。
連盟を作る条件として「旗を所持する三つ以上のコミュニティの参加」が求められ、逆に言えば旗を持つ三つのコミュニティが協力すれば旗を持たないコミュニティに新たに旗を持たせることも可能。
アジ=ダカーハと戦い旗を取り戻す前の"ノーネーム"はこの方法で旗を得て六桁に上がろうとしていた。
他にもメリットとして、"連盟権限(ゲストマスター)"によって、同盟コミュニティが魔王にゲームを挑まれた際、ゲームの参加条件を満たさずに参加できる。
参加・介入は参加する側のコミュニティの判断で決まり、また連絡や参加が間に合う前に滅んだ場合どうしようもないため、基本的には気休め程度。
しかし対魔王戦を想定している強力なコミュニティにとっては各個撃破を避け助け合うことが可能になるため大きな利点となる。


★コミュニティ一覧

・"ノーネーム"
本拠地は物語開始当初は第七桁、二一〇五三八〇外門。現在は六桁以上に昇格している。
旗印は『赤地の布に金の縁、日の昇る丘とそこに立つ少女』。
名は現在はないが、かつての名は"アルカディア"。
史上最強の魔王"閉鎖世界"を倒すために創られた、人類で最も魔王を倒し、東区画に隆盛を極めたコミュニティ。
上層にさえ食い込むほどで、階層支配者たちの大連盟も作っていたが、一晩で滅ぼされた。
現在も名と旗を失った経緯、戦った魔王と戦いの内容に関してはほぼ謎とされている。
頭首は"アルカディア"当時は春日部孝明、名を失ってからはジン=ラッセル、彼が離れてからは春日部耀
"階層支配者"のほとんどを巻き込んだ新たなる大連盟を作ったようだが、名称は今の所不明。

  • "フォレス・ガロ"
本拠地は第七桁、二一〇五三八〇外門。
旗印は『虎の紋様』。頭首はガルド=ガスパー。
人質を取り、ギフトゲームを強制することでコミュニティを拡大していたが、飛鳥にそれを暴かれ、"ノーネーム"と勝負をすることに。
鬼種の恩恵を手に入れ特殊なルールで身を守るも、結局は飛鳥に敗北し、完全崩壊を迎えた。
白夜叉が下層に降りた表向きの理由がガルドを裁くためであるため、どの道消滅は免れなかっただろう。

・"サウザンドアイズ"
本拠地は二桁、六九外門。
旗印は『紅い生地に向かい合う双女神』。
箱庭の東西南北上層下層全ての地区に精通すると言われる超大規模商業コミュニティ。
特殊な"瞳"に関係する恩恵を持った者たちの群体コミュニティとも言われるが、白夜叉のようにそうした恩恵を特に持たずとも所属は可能。
元々は違う名だったようだが、それを知る者は数百・数千年前にもほとんど存在しなかった。
幹部は直系と傘下に分かれ、外部のコミュニティも多数傘下に入れている。
力のある商店として客を選んでおり、旗も名も持たない"ノーネーム"はお断り。
貨幣の流通と価値を競うギフトゲームにも参加しており、独自の通貨を発行*1、同時にどれだけ"サウザンドアイズ"と交流があるかを示す目安にもしている。
支店舗は階層ごとに一つの店内に繋がるようになっているが、本店の入り口は一つだけ。

・"ペルセウス"
本拠地は元は五桁の二六七四五外門。"ノーネーム"との戦いを機に六桁に転落する。
旗印は『白い布地に掲げられたゴーゴンの首』。
頭首はルイオス=ペルセウス。
元は"サウザンドアイズ"幹部だったが、"ノーネーム"への問題行動と敗北により追放された。
その後いくつかの戦いや会話、連盟の打診を経て、"ノーネーム"とは遺恨はあれど基本的には和解している。
遥かな昔、天命を迎え星座に召されていた騎士、ペルセウス本人が"箱庭"に招かれ、作り上げたコミュニティ。
現在の頭首ルイオスは歴代頭首同様ペルセウスの子孫であり、高い霊格を持つ高位生命。
伝承に伝わる"ヘルメスの靴”"ハデスの兜""ハルパー"の内前者二つのレプリカを大量生産しており、なおかつ最強種である星霊を従えた強力なコミュニティだが、ルイオスの未熟さ故星霊の全力は発揮できない。
それでも星霊アルゴールの石化の力は強く、魔王にさえ通じる切り札である。
ヘパイストスの神格とジャックの薫陶により製造業にも手を出しており、金剛鉄製の量産型自動人形は金髪碧眼美少女風メイド型人形から戦闘要塞巨兵まで幅広い種類があり、好評を博している。
理由は不明だが、第二次太陽主権戦争では"ユグドラシル"に手を貸している様子。

・"サラマンドラ"
本拠地は第五桁、五四五四五外門にある"煌焔の都"。
元は四桁だったが、約200年前のアジ=ダカーハとの戦いで、レティシアに鬼種の恩恵を貰い矢面に立った結果、大きく個体数を減らし五桁に転落した。
旗印は『火龍を模した炎の龍紋』。
北側の"階層支配者"が一角。長年頭首が"階層支配者"の地位を継いできた。
現頭首はサンドラ=ドルトレイク。
未だ10代前半という若さだが、次代頭首筆頭候補の出奔や先代頭首の重病などにより、彼女が頭首となっている。
初代頭首は最強種の星霊にして純血の龍種、星海龍王こと太歳星君。神格級の恩恵である星海龍王の角を代々当主が受け継いでいる。
彼の子孫である火龍五千体*2に加え、亜龍の部隊など他にも人員を抱えた巨大コミュニティだが、アジ=ダカーハとの戦い以前はその三倍の数の火竜がいたという。
傘下には五桁から七桁まで五百二十のコミュニティがあり、戦時の総力は四万三千。
基本的には秩序の守護者としてあるべきコミュニティなのだが、先代頭首が"サラマンドラ"のために暗躍しており魔王に手を貸すこともある。
煌焔の都にはアジ=ダカーハが疑似創星図"虚星・太歳"・太陽主権"赤道十二辰「龍」の宝剣"と共に封印されており、星海龍王の角とアルカディア大連盟の旗が封印解除の鍵になっている。

・"ウィル・オ・ウィスプ"
本拠地は第六桁、六七八九〇〇外門。
旗印は『燃え上がる蒼炎の篝火』。
頭首はウィラ=ザ=イグニファトゥス。
北側下層最強の参加者を当主として擁する北側有数のコミュニティ。
しかしコミュニティの運営は"主催者権限"さえも持つ4~5桁相当の悪魔、ジャック・オー・ランタンが主軸となっており、内外の概ね全てを取り仕切っている。
また彼の作る恩恵や装飾品、金属細工は大きな収入源。北側では大人気ブランドにまでなっている。
とはいえ金の余裕はあまりなく、本拠が雨漏りしていたことも。
主催者としての技量は高く、20回を越して尚も愛されるゲームを開催し、子供から大人まで楽しませてきた。
幼子の魂を守ることを組織の是としており、外界で彷徨う報われぬ子どもの死者を導き、死霊を精霊として転身させるなどの形で50を超える子供を擁している。
かつては外界で活動していたが、とある魔王に襲われたことで"箱庭"へ。
その際召喚してもらった"クイーン・ハロウィン"とは縁があり、特に女王騎士フェイスレスとは懇意にしている。
ジャックがゲームの参加者・開催者・恩恵作成・コミュニティの運営を全て行なっていたため、彼の死と共に大きく弱体化し、"ノーネーム"本拠に身を寄せている模様。

  • "ラプラスの悪魔"
本拠地は第四桁。"デイリーウォーカー"と呼ばれている。北側の"階層支配者"の一角。
"サウザンドアイズ"に連なるコミュニティの一つで、"階層支配者"制度のため派遣された。
頭首である"ラプラスの悪魔"単独のコミュニティと予想されるが、詳細は不明。
"ラプラスの悪魔"本体は全知に近い能力を持つ存在で、「誰が」「何処で」「どうする」かまでわかる確実な未来予知能力を持つ。
悪魔というが実際には観測不能な不確定存在、科学における机上の空想が擬人化したもの。
長く本体は休眠中だが、端末として"ラプラスの小悪魔"という圧倒的な情報収集能力と作戦立案能力を持つ群体悪魔が存在する。
端末も本体も、科学的に否定されたことでそれ以降の時代では外界で霊格を保てなかった。
しかし2000年代初期に巨大な"歴史の転換期"が作られたことで状況が一変、形を変えて"ラプラスの悪魔"の霊格は完成するとされ、外界に顕現できるようになった。

  • "ラッテンフェンガー"
本拠地は第六桁。
地精の群体精霊からなるコミュニティ。
彼らは"ハーメルンの笛吹き"において消え、死んだとされる130人の子供たちの霊が精霊として転生・召喚された姿。
"ハーメルンの笛吹き"の伝承において「130人の子供は新たな土地を開拓し自分達の街を作ろうとした。笛吹き男とはその街のリーダー的存在だった」
「130人の子供は災害で命を落とした」
という正しい解釈で外界から呼ばれた者達。
よって"箱庭"では開拓の功績(霊格)を宿した地精となっていた。
能力は高く、"ウロボロス"より盗み出した鉄人形(オールドタロス)を星海竜王から受け取った神珍鉄を用いて改良し、魔王にも通じる領域にまで鍛え上げた。
それが飛鳥の用いる神珍鉄の自動巨人人形、ディーンである。
"グリムグリモワール・ハーメルン"への撒き餌として"箱庭"に呼び出された模様。
幾星霜の放浪の末に131人目の同士を得、"箱庭"から去る際に分離して箱庭に残し、彼女に開拓の霊格を授けて外界へと帰っていった。
現在その彼女は久遠飛鳥に「メルン」と名付けられ、飛鳥の仲間となっている。

・"グリムグリモワール・ハーメルン"
本拠地は無し。推定五桁。
旗印は『笛を吹く道化師』。
元は"幻想魔道書群"の下部コミュニティ。当時からのメンバーは二人。
頭首は"黒死斑の死神(ブラック・パーチャー)"ペスト。
"幻想魔道書群"を率いる魔王に召喚されたが、儀式の途中で魔王が死んだため数百年間ステンドグラスに閉じ込められてしまう。
それを"ウロボロス"が利用するために改めて召喚され、魔王として動くこととなる。
北と東の"階層支配者、""サラマンドラ"と"サウザンドアイズ"の白夜叉が共同主催する"火龍誕生祭"に、
"サラマンドラ"の手引きを受け依り代である100枚以上のステンドグラスを搬入。
"出品物"枠で参加し、白夜叉の"主催者権限"をすり抜けて己の"主催者権限"の発動に成功する。
参加者側の最大戦力である白夜叉を封じるも、新参の魔王であり経験が浅く、人材を求めていたことから判断を誤り、"ノーネーム"たちに敗北した。
現在コミュニティはもうないが、旗印だけはジンがペストを呼ぶための媒介である指輪に刻まれている。
これはペストたっての希望、「どんな形でもいいから、"黒死斑の魔王"の理想に殉じた二人の同士のために旗印を残してほしい」という願いを受けてのものであり、
再召喚に連れ添った白夜叉が、その言葉に更生の光明を見出したことで指輪に刻んだという経緯からなる。

  • "幻想魔道書群(グリムグリモワール)"
本拠地、桁数、旗印、全て不明。
全200篇以上にも及ぶ魔書から悪魔を呼び出す驚異の召喚士たる魔王が統べたコミュニティ。
一篇から呼び出せる悪魔は複数体、かつ一つ一つの篇がそれぞれ独自の世界を内包、独立したゲーム盤として固有のゲームを持つ。
つまり最低でも400の悪魔を使役、200種類の"主催者権限"によるゲームを発動できる。
頭首である魔王の名は不明。グリムの詩人と呼ばれることもあるが、本人は遊興屋"を名乗っている。
かつて革命にあったレティシアを助け、自らのコミュニティに勧誘しようとするも失敗。
反逆者と最後まで戦おうとするレティシアを焚きつけ、自らの組んだゲームルールと共に魔王に仕立て上げたことがある。
ペストを"箱庭"に召喚する儀式の途中、あるコミュニティとのゲームで敗北し、コミュニティは滅亡した。
これに関しては「聖人に霊格と功績を奪われた」とも語られているが、詳細は不明。
その後はこの世を去ったと思われているが、実は"ウロボロス"に"遊興屋(ストーリーテラー)"として雇われていた。

・"龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)"
本拠地は五桁と予想される。昇格前は六桁、南区画七七五九一七外門。
元は同名の連盟だったが、南の"階層支配者"として就任し、五桁へ昇格したことを機に、
"一本角""二翼""三本の尾""四本脚""五爪""六本傷"の内商業を司る"六本傷"を除いて統合された。
旗印は『二本の龍角の内一本が折れた、二翼三本尾四本脚五爪の鷲獅子』。
すなわち『龍角持つ鷲獅子』の姿。
これは連盟の創設者にして初代頭首、ドラゴ=グライフの特徴をかたどったものである。
頭首はサラ=ドルトレイク。
元は"サラマンドラ"の筆頭後継者だったが、"アルカディア"の敗北の際同盟を結んでいた"サラマンドラ"が一切動かなかったのを切っ掛けに出奔。
その後"龍角持つ鷲獅子"連盟に受け入れられ、北の"階層支配者"である"サラマンドラ"の筆頭後継者だった過去も買われ、"一本角"の頭首にして連盟の議長となった。
"アンダーウッド"を襲った巨人族と巨龍に対し連盟の長として戦い、命懸けで巨龍を止めようとした飛鳥の決意に応え、自身の持つ龍角の片方を切断し託す。
"階層支配者"となる上での障害としてそれによる弱体化は大きかったが、白夜叉や蛟魔王の協力で就任。
就任時に授けられた"鷲龍の角"によってむしろ力を増した。
アジ=ダカーハとの戦いにも参戦。
元々六桁の連盟だけあって、コミュニティ全体での活躍は少ないが、"ケーリュケイオン"の後ろ盾を得た上で"主催者権限"により開いたゲームはアジ=ダカーハの足止めに大いに貢献した。

  • "六本傷"
旗印は『六本傷』。"龍角持つ鷲獅子"連盟創設者、ドラゴ=グライフが負った六本傷を象徴している。
上述の通り"龍角持つ鷲獅子"連盟の一角だったが、連盟が一つのコミュニティとして統合される際に離脱。
これは農業・商業という経済力に特化した"六本傷"にとって、旗印(シンボル)(ブランド)を変えることが大きな悪影響であることが理由である。
金庫番として付かず離れずの関係を保つことを選んだが、連盟権限により対魔王戦に介入してもらうことはできなくなった。
そこで白羽の矢が立ったのが、連盟旗を求め、また人手を必要としており連盟参加を求めてきた"ノーネーム"である。
コミュニティの規模は中々のもので、本拠地から遠い東側にも店を置き、諜報活動まがいのことにも手を出している。
頭首は、物語開始時点では連盟の創設者の一人であるガロロ=ガンダック。
かつて"階層支配者"だったドラゴ=グライフの参謀として魔王との戦いにも詳しい歴戦の勇士だが、本人の戦闘能力はない。
収穫祭後にポロロ=ガンダックへと変わる。
ジンと同世代という若さ、更に25番目の末っ子で、尚且つ妾の子ながら頭首を決めるゲームに勝ち、頭首の座に座った傑物。
ジンとの交渉では惜しくも敗北したが、"サウザンドアイズ"の商店相手に客を根こそぎ奪うなど手腕は確かなものである。
第二部では"精霊列車"の製造・運搬業にまで手を出しており、"主催者権限"も持った、有力コミュニティの一つ。
第二次太陽主権戦争にも主催者側を手伝う形で関わっている。

  • "アンダーウッド"
本拠地は第七桁、七七五九一七五外門。南側屈指の景観を誇る通称"アンダーウッドの大瀑布"。
旗印は『巨大な大樹の根に囲まれた街』。
樹齢八千年にも及ぶ全長500mという巨大な水樹と、そこに棲む2000体もの精霊たちからなるコミュニティ。
物語開始から十年程前、魔王との戦いに巻き込まれたことで大半の根がやられ、大精霊が休眠状態となってしまった。
多くのコミュニティの協力、特に"龍角を持つ鷲獅子"連盟が共存を条件に守護と復興を手助けしたことで、十年で驚異的な復興を果たす。
眠りについていた大精霊もその頃には再活動の目処が立っており、"龍角を持つ鷲獅子"連盟と共同で収穫祭を開催、復興を広くアピールした。
そんな中"ウロボロス"の暗躍により巨人族が襲来、レティシアのゲームも使われ被害を受ける。
しかし"ノーネーム"含む居合わせたコミュニティの尽力により勝利、無事収穫祭を開くことが出来た。
第二部では開始一年前に大精霊が目覚め、水樹の降水量が増えたことが語られている。
かつては大河を跨ぎながらも河川の傍の大地を掘り根で覆った地下都市がメインだった"アンダーウッド"であったが、
変化を活かし"ノーネーム"も協力し開発に励んだ結果、一帯を水に沈めた水上都市として生まれ変わっている。

・"クイーン・ハロウィン"
本拠地は第三桁。
旗印は『黄金の稲穂と地平線から昇る太陽、そして中心に立つ女王』。
頭首はクイーン・ハロウィン。通称女王(クイーン)
太陽と星々の境界を司る星霊にして、「召喚」という行為に関して限界のない規格外。
最高神さえ後天的な神霊であるケルト神群が、"閉鎖世界"との戦いで壊滅した際、再起を図って呼び出された最強種と予想される。
一般的には「ハロウィン」が神格化した存在と思われているが、実際には上述の通り星霊
人間が物質界でも認識できるようにするために雛形として用意されたのがハロウィンの霊格であり、そのためにダグザの巨釜が使われている。
不評を買ったコミュニティが次の日に全滅、約束した時間に遅れて生きている人は三人のみなど空恐ろしい経歴は数多い。
コミュニティとしてはケルト神群最大戦力と謳われ、著名な騎士や魔女、幻獣などが集う大戦力。
トップが横暴な魔王で下部コミュニティには"階層支配者"がいるという中々奇妙なコミュニティだが、一応女王は神霊として相応しい行動をとっており、乱した分だけ整えもするため見逃されている面が大きい。

  • "アヴァロン"
本拠地は第四桁。南の"階層支配者"だった。
"クイーン・ハロウィン"の直系傘下で、ケルト系の優秀な騎士が祖霊として召喚され所属する実力者揃いのコミュニティ。
円卓の騎士の名と恩恵を襲名制で受け継いでおり、アーサー王物語とは特に関係ない者も多数。
その中でも特に優れ女王のお気に入りとなった者が"女王騎士団(クイーンズナイツ)"に選ばれる。
北側へのペスト襲来と同時期に殿下率いる"魔王連盟"に滅ぼされたと語られているが、所属していた人員がどうなったのかは不明。
生き残りの一部は女王の配下として活動を続けている。

  • "鬼姫"連盟
本拠地は第五桁。"根の国・殺生宮"と呼ばれている大楼閣。北の"階層支配者"だった。
六人の東洋系鬼姫が集まり作られている連盟。
四桁のコミュニティの下部組織の集合体という、少々特殊な連盟コミュニティ。
年二回大規模な東洋系の収穫祭を七日七晩に渡って開催している。
東南北の"階層支配者"が一斉に襲撃された事件の際は、"平天大聖"牛魔王の助けもありなんとか乗り越えた。
第二部では"混天大聖"と"酒吞童子"に解体吸収されたと語られている。

  • "七天大聖"
かつて滅んだ魔王達の連盟。"七大妖王"とも。
大罪人と呼ばれ星の近くに封印されようとしていた"斉天大聖"を守るため、立ち上がった七人の妖王と、彼らの後に続いた幾千幾万の者達の大連盟。
天帝、道教、仙界、仏門。東アジアの内包する宇宙観。
その全て、名だたる神群を複数敵に回し、大立ち回りを繰り広げた。
"護法十二天"の内三天、果ては二桁である釈迦まで引きずり出したが、結果的には敗北。
その傷は当事者たちの心に今も残っており、未だ生存している七天の内、"平天大聖""覆海大聖""混天大聖"の三人は仏門を蛇蝎の如く嫌っている。
しかし"斉天大聖"は禁固500年に減刑、七天のうち死者は二人で五名は生存と、仲間の死山血河は、戦いは、決して無駄にはならなかった。
その残り二人も、アジ=ダカーハとの戦いへの貢献の褒美として、地獄からその魂が解放されることが確定している。

  • "平天大聖"
本拠地は四桁、六二四三外門。大楼閣。
頭首は牛魔王。
中華に蔓延る化生を統べる、"斉天大聖"とも並び立った大魔王。
十六夜より遥かに高い膂力、十六夜の全力打撃を受けてもほぼ無傷という耐久と、"主催者権限"抜きでも十六夜以上の肉体を誇る。
魔王の烙印を受けているものの、かつての大戦争・"七天戦争"後はさしたる悪事を働くことなく、むしろ以前通り人ならざる者を守ることも多い。
"階層支配者"同時襲撃の際には北で"鬼姫"連盟を守り、アジ=ダカーハとの戦いでは分身体と戦い、下層の守護に一役買った。
第二部では仏門と表向きには敵対する"アヴァターラ"に加入、出資者として動いている。
外界で関連が疑われている人物として、日本屈指の大企業、丑松商事の会長こと丑松の御爺がいる。
十六夜と金糸雀のギャンブル仲間であり孤児院の出資者の一人だったが、死亡したと語られている。
彼の死亡により孤児院は大口の出資者を失い、西郷焔は第三種星辰粒子体の研究に取り組むことになった。

  • "覆海大聖"
本拠地は四桁と目される。
旗印は『交錯し相克する蛇』。
頭首は"覆海大聖"蛟魔王こと蛟劉。
"七天大聖"においては第三席。
"七天戦争"の敗北を悔い、長らく一人で"箱庭"を流離っていたが、白夜叉と十六夜に発破をかけられ東側の"階層支配者"になった。
"煌焔の都"を襲った魔王連盟との戦いでは、遅れてやってきて一人で戦況を変える。
アジ=ダカーハとの戦いでも主力として活躍した。

  • "混天大聖"
旗印は『金翅の神鳥』。
頭首は"混天大聖"鵬魔王こと迦陵。
"七天大聖"においては第四席にして最大火力。殲滅戦の要とも。
仏門や人間嫌いで知られるが、それなりの実力を持つ者からは親しみのあるツンデレとして扱われ、からかわれている。
"鬼姫"連盟を"酒呑童子"と分割吸収し、南の"階層支配者"として"箱庭"の守護に勤めている。

・"ウロボロス"連盟
通称"魔王連盟"。
旗印は『尾を喰らう三頭の龍』
かつて"アルカディア"に一晩で勝利し、名と旗を奪った元凶。
第一部隊、第二部隊、第三部隊に分かれ、第三部隊の長は第一と第二から選ばれる。
その正体は魔王連盟とは名ばかりの、超巨大な神群がバックについた大連盟。
"箱庭"の上層を操り、仏門でさえも干渉を免れず、アジ=ダカーハ相手に天軍の出撃を封じられるほどの影響力を持つ模様。
外界にも彼らの糸は伸びており、西郷焔の両親を殺し、研究成果を奪って様々な事件を起こしている。
太陽主権戦争にも参加し、ゲームメイカーを名乗る男は第一回戦の勝者となった。

  • "拝火教(ゾロアスター)"
本拠地は三桁。
旗印は『Aksara』。悪の原語を刻んだ旗。
箱庭に数ある「神群」と呼ばれるコミュニティの一つ。
頭首は"人類最終試練・絶対悪"アジ=ダカーハ。自らの宗主から旗と第三桁を預かったと語られている。
"疑似創星図"は"アヴェスター"。その効果は数ある"疑似創星図"の中でも特に強力。
本来拝火教は勧善懲悪。悪の化身であるアジ=ダカーハが旗を預かることは論外と言っていいが、そこに至る経緯は不明。。
とはいえ勧善懲悪はあくまで神霊の視点であり、より超越した視点から成る"箱庭"ではそうとは限らないことは考慮したい。
単純に悪神群に善神たちが滅ぼされて乗っ取られた可能性もある。

・"閉鎖世界(ディストピア)"
旗印は『鳥籠』。
かつて"箱庭"に存在し、西側全てを支配したコミュニティ。
人類を家畜としか言えない存在と貶め、理想郷という名の牧場を作り上げた。
人を洗脳教育し、或る意味で幸せの中に居させるそのシステムは一部の神群も与したが、名高い神群たちは否定し、"箱庭"全体を巻き込む大戦争が始まった。
頭首は"人類最終試練・閉鎖世界"。名の通りディストピアの霊格を持つ者。
"天部"、ローマ神群、ケルト神群、北欧神群、ギリシャ神群、吸血鬼や牛魔王、酒呑童子に金毛九尾などの悪鬼羅刹など、"箱庭"のほぼすべてを敵に回してなお優勢だった怪物中の怪物。
"箱庭"に現れた最初の頃はそこまで強くなかったのか、ケルト神群と長きにわたり交戦。
討伐寸前に一度は追い込まれるものの、エリンの女王が崩御したことで逆に一気に壊滅させた。
最終的には"ディストピア"から抜け出した金糸雀と東南北を結ぶ"アルカディア"大連盟、外界から呼び出されたアーサーと春日部孝明の協力により、なんとか打倒された。
しかし乗り越えるための犠牲は"箱庭"内外を問わず大きく、特に自由主義・啓蒙思想の発展のため、黒死病流行によって人口を激減させ農奴の地位を高めた時には8000万もの死者が生まれている。

  • "ケーリュケイオン"
本拠地は第五桁。
旗印は『二頭の蛇が杖に絡みついた黄金の神杖』。
ギリシャ神群の金庫番にして臨時代表。
その旗印は外界において洋の東西を問わず多くの機関に刻まれており、外界への高い影響力を持つ。
頭首は商業神ヘルメス。
貨幣発行ゲームにも参加しており、銅貨と銀貨にはスティムパリデスの"青銅の羽"が使われ、また絵柄としてスティムパリデスが刻まれている。
これはスティムパリデス退治というギリシャ神話でも有名な功績を誇示するためとされる。
アジ=ダカーハとの戦いでは直接は関与していないものの、"龍角持つ鷲獅子"のゲームの後ろ盾となることで本来開催できない主催者権限のゲームを開催させた。

・"天部(deva)"
通称"天軍(ディーヴァ)"
元々は強力になりつつある魔王を抑えるために、名のある神群から武神を集め方位ごとに席を設けた"護法十二天"が祖。
その後"閉鎖世界"から"箱庭"を守るため、改めて混成神群"天部(deva)"として創られた。
神王インドラが長を務め、大父神ゼウスなど各地の各神群から選び抜かれた武神が集う最強の武神集団。
"護法十二天"は中でも優れた者が所属し、最強の武神衆とも謳われるようになった。
"閉鎖世界"が倒れた後は上層に属する魔王など、"階層支配者"では手に負えない強大な魔王を退治するエキスパートとして残った。
確認されている所属神群は、護法十二天、迦楼羅が所属する八部衆、五大明王などの仏門、オリュンポスの神々、天使、スラブ神群、ケルト神群など多種多様。
第二次太陽主権戦争では主催者側に回り、また人類史を正しく導くために焔側の立場で暗躍。
外界には"護法十二天"の内主に帝釈天と地天と日天が神霊本人*3が人に降天した姿、それ以外にも四天が化身で存在。
外界において御門釈天(帝釈天)が立ち上げた所謂PMC的な会社「フリーエージェント"護法十二天"」として活動しており、十六夜も外界で活動する時にはそこに勤務している。

・"アヴァターラ"
旗印は『十の王冠と転輪』。王冠は十人の王を示し、転輪は太陽の運行を意味する。
元々は古代インド神群にて語られる太陽の十化身からなるコミュニティ。
人類史を末世から救うため、未来を救う救世主を迎えるために様々な神群から集った太陽の王群。
現在では太陽主権戦争のために第十の化身"カルキ"とジンが中心となって集めた魔王や神霊も所属。
中華の魔王や西洋の悪魔、メソポタミアの若き神霊など、多様性のある混成神群・王群となっている。
元々"アヴァターラ"に属している者達も力を貸しており、第二の化身にして純血の龍種"クールマ"、"カルキ"を含めた3人以上が参戦している。
"カルキ"を主軸に主催者側とも連携して対"ウロボロス"に励み、成果も出ているが、未だ"ウロボロス"の掌の上からは抜け出し切れていない。

  • "酒呑童子"
"鬼姫"連盟を"混天大聖"と解体吸収し、南の"階層支配者"となったコミュニティ。
頭首は日本屈指の大妖怪、酒呑童子。
元は日本神群の化生だが、一時は母御の命で孤独に放浪しており、旅の途中で牛魔王に拾われていた。
その縁から"七天大聖"の一角として"通風大聖"獼猴王を名乗った。
"七天戦争"後は日ノ本に帰り、以降"酒呑童子"と呼ばれるようになっている。
アジ=ダカーハ戦では"平天大聖"と同じく分身体を相手取った。

  • "アルゴー船"
かつては"サナト・クマーラ"などと同じく"天軍"の下部組織として存在していたコミュニティ。
"サナト・クマーラ"同様ディストピア戦争で壊滅しているが、"天軍"の名の下に第二次太陽主権戦争のために名を借用した。
主催者として、進行役として、参加者を装い主権戦争を引っ掻き回す予定だったが、早々に壊滅させられ正体もバレている。
"サナト・クマーラ"の方は天空神の化身が出場しており、第一回戦では幸いまだ何事もなく参加者に扮している。

・"ユグドラシル"
北欧神群に属するコミュニティ。
第二次太陽主権戦争に参加しており、予選では一位通過。
オーディンが出資者として管理しているが、現時点ではギリシャ出身の魔王"テュポエウス"や星霊"アルゴール"、怪牛"ミノタウロス"が所属する混成神群と化している。
"テュポエウス"曰く"箱庭"の現状に不満を感じているオーディンが彼に手を貸したとのことだが、その真偽は不明。

  • "アルスター"
旗印は『赤枝』。
ケルト神群がディストピアに壊滅状態に追い込まれた当時は、ケルト神群でも大きなコミュニティの一つ。
現在どうなっているのかは不明。


追記・編集は"名"と"旗印"を"箱庭"に申告してからお願いします。


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最終更新:2023年01月06日 12:41

*1 “箱庭”では金銀銅の貨幣は全て同様の比率を取る。故に貨幣に刻まれた旗印が付与価値を決めることとなる。

*2 戦時に戦うのは主にその内の四千体

*3 日天に関しては、厳密には日天の息子・カルナ。かつて霊格全てを授けられたため日天そのものでもある