藤波辰爾

登録日:2012/09/09 (日) 03:25:58
更新日:2024/03/23 Sat 01:16:56
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■藤波辰爾

藤波(ふじなみ)辰爾(たつみ)」は1953年12月28日生まれの日本のプロレスラー。
本名、及び旧リングネームは藤波辰巳。
大分県国東市出身。

現在は「無我」から改名した自主団体「ドラディション」を率いる。

通称は「ドラゴン」で「炎の飛竜」とも呼ばれていた。

70年代はJr.ヘビー級として活躍。
「ドラゴン」殺法によりアイドル的な人気を獲得した後にヘビー級に転向。
80年代を代表する名レスラーであり、全日本プロレスのジャンボ鶴田と共に、新日本プロレスを背負って立つ次代のエースとして期待されていた。
また、長州力との「名勝負数え歌」や前田日明らUWF勢との戦いにより注目を集め、
その気持ちの良い位の受け身の巧さから相手の能力を引き出す事に長け「名勝負製造機」の異名を取る。

近年ではボーカル曲「マッチョドラゴン」により、非常な音痴である事がプロレスファン以外にまで浸透している。


【人物】

中学時代に、日本プロレスでジャイアント馬場と並ぶエースであったアントニオ猪木に憧れプロレスラーを目指す。

中学卒業後、地元の自動車整備工場に就職していたがプロレスへの夢を断ち切れず、
1970年に別府温泉へ湯治に来ていた同郷のプロレスラー(北沢幹之)に直談判し、そのまま日本プロレスに入門する。
アントニオ猪木の付き人となり、翌71年にデビュー。

72年に猪木が新日本プロレスを設立すると帯同し、黎明期の新日本を支える。

70年代後半に入ると、レスリング技術に加えキレのいい空中殺法でJr.ヘビー級戦線で活躍。

78年にはニューヨークにてWWWF(現WWE)世界Jr.ヘビー級王座を獲得。
その試合で決め技となった、衝撃のドラゴンスープレックスが大いに話題を集め、時代の寵児となる。

ドラゴンスープレックスやドラゴンロケット(トぺ・スイシーダ)と云った立体技がドラゴン殺法の名前で話題を集めた他、
精悍で端正な顔付きと当時のプロレス界では珍しい、体脂肪の少ない筋肉の浮き出た細身の肉体により子供と女性ファンの注目を集める。

ドラゴンブームを引き起こし、アイドル的な人気を獲得。マッチョドラゴンの愛称で親しまれる。

この活躍により、猪木の後継者と捉えられる様になった藤波は81年からヘビー級に転向。

提携を結んでいたWWFの王者ボブ・バックランドやビリー・グラハムらとの「飛龍十番勝負」を行い経験を積み(十番勝負自体は中途半端に終わる)、
WWFインターナショナル王座を獲得。

82年からは、藤波のヘビー級転向により危機感を感じていた長州力の「かませ犬発言」を受けて抗争を開始。
互いの感情のぶつかり合いを「プロレスの試合」としてギリギリで成立させた両者の戦いは「名勝負数え歌」と呼ばれ、当時の新日本プロレスの人気を支えた。

しかし、83年に自分に続くJr.ヘビー級のスターであり空前の人気者となっていた初代タイガーマスク(佐山聡)がプロレスから引退。
84年には前田明(日明)らがUWFを設立し離脱。
長州力も維新軍を率いて離脱と窮地に陥った新日本プロレスだが、藤波は離脱を囁かれながらも残留し屋台骨を支える。

86年にはUWF勢が帰還。

危険なキックにも真正面からぶつかる受けの強さを見せつけ、
特にIWGP決定リーグ戦での戦いでは前田のニールキックの踵がモロに額を切り裂き大流血となるアクシデントに見舞われるも、
試合後に前田は「無人島に流れ着いたと思ったら仲間がいた。そしてその仲間とこれから大きな国を作っていく...そんな心境です。」と、藤波に最大級の賛辞を送った。
尚、藤波の額にはその時の傷が残り、後のトークショーにて前田に傷の事をいじられた際には「お前にやられたんだよ」と苦笑で返している。

87年には長州力が帰還。
前田と共に長州のぶちまけたニューリーダーに入り世代闘争を開始するも前田の長州蹴撃によるUWF勢の離脱もあり有耶無耶になる。

88年に再びスキャンダルが多くなり混乱する現場に危機感を抱いた藤波は猪木に直訴し改革を宣言(髪切りの珍事件を引き起こす)。

同年、新たな最強外国人として君臨していたビッグバン・ベイダーを破りIWGPヘビー級王座を獲得。
猪木の挑戦を退け、名実共に新日本の頂点に立つが、89年にベイダーとの戦いで腰に致命的なダメージを負ってしまい長期欠場に追い込まれる。

1年以上のリハビリを経て復帰するも、以前とは大きく戦い方が変化。
闘魂三銃士がメインイベンターに成長していた事もあり、IWGP王座への返り咲きや第3回G1クライマックスでの優勝も経験するも一歩引いた立ち位置となる。

95年からは純粋なレスリングによる勝負をテーマにした自主興業「無我」を開始。

97年には最後の挑戦として佐々木健介に挑み、一瞬のジャーマンでIWGP王座を獲得。
挑戦して来た橋本真也すらも破るなど、神懸かり的な強さを発揮したが、蝶野正洋に破れ王座を失う。

99年には長州と共に猪木の肝煎りで坂口征二を退任させ新日本プロレス社長に就任するも、
総合格闘技への中途半端な接触や武藤敬司や橋本真也の離脱等の大混乱により業界内での権威を失墜させる。

04年に社長を辞任。06年には退団。

07年からは「無我」を団体としてスタートさせるも、愛弟子であり「無我」の商標を持つ愛弟子(?)の西村修がまさかの退団…
西村が「無我」の権利を持っている為に団体名を「ドラディション」と改め現在に至っている。

11年にはデビュー40周年を記念し最大のライバル長州力と対戦。
「名勝負数え歌」の再来は大きな注目を集めた。

15年、今までの功績を認められて日本人2人目となるWWE殿堂入りを果たした。


【主な得意技】

●ジャーマンスープレックス
腰を痛める以前は、代表的な使い手として挙げられる程の使い手だった。
下記のドラゴンスープレックスが封印状態にあった為に実質的な必殺技と言え、腰を痛めてからは此方も封印状態だったが、最後にIWGP王座を戴冠した試合でもブリッジは完璧でないながらもこの技を決めて勝利を得ている。

●ドラゴンスープレックス
元祖にして最大の必殺技と言われるが、藤波自身は初期に対戦相手を殺しかけた事や腰の負傷もあり、使用していた時期はごく僅かである。

●ドラゴンスリーパー
腰を痛めてからの必殺技で、骨法の技術を応用した締め技。
胴絞めを組み合わせたバージョンも。

●ドラゴンスクリュー
相手の足に仕掛ける巻き投げ。
武藤敬司は相手の膝を一瞬で壊す様なスピードで捻っていたが、元祖の藤波式は捻り倒す形である。
PSゲーム「サガフロンティア」にも登場。
閃くのが若干面倒な技になっている。

●クイック(丸め込み)
藤波の試合では投げによる3カウントやギブアップ以上に、これらの技を利用した一瞬の決着が多い。
うつ伏せの相手に横入りで決めるジャパニーズ・レッグロール・クラッチなど独創的な技もある。

●ドラゴンロケット
所謂トぺ・スイシーダ

●ドロップキック
Jr.時代は矢の様に突き刺さっていたが、以降は自爆を期待する技。

●ドラゴンリングイン
アメトーーク』で紹介され、改めて話題になった謎行動。
タッグマッチで交代した後にコーナーポストに勇ましく上がった後で、何もせずに着地するムーヴを指す。
着地後にラリアットを食らったりするのもお約束。

●ドラゴンストップ
01年の長州力対橋本真也戦にて喧嘩マッチを繰り広げた両者を止めた。
「ワグァワグァワ、グァグワガグアグァ!」(訳:我々は殺し合いをしているんじゃない!)

●マッチョドラゴン
いなづ~まがやみをさ~いて~♪
……現在は動画サイト等で簡単に聞ける。
♪マッチョドラゴン!(合いの手)

歌詞も変である……が、実はアニメ版『キン肉マン』のテーマ曲「キン肉マンGo Fight!」や『ドラゴンボールZ』のOP曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」など数多くのヒット曲を手掛けた森雪之丞氏が作詞を担当した。
ちなみに元々は洋楽が原曲であり、ガイアナ出身のレゲエ歌手、エディ・グラントが1984年に発表した 「街角ボーイズ(原題:Boys in the Street)」が原曲である。
また、機動戦士ガンダムΖΖ』後期のOP曲「サイレント・ヴォイス」とED曲「一千万年銀河」などを手掛けた若草恵氏が編曲を担当している。

【余談】

※受けの技術は一級で、攻めるだけのスタイルの長州力や前田日明と名勝負を生み出せたのは、藤波の技量による所が大きい。

※同門の獣神サンダーライガーの他、川田利明や小橋建太も藤波に憧れてレスラーになった事を公言している。

※社長時代は本当に評判が悪く「猪木のイエスマン」「ホラゴン」「オデン」と揶揄された。
大スターにもかかわらず、06年の退団の際には社員に総スカンを食ったらしい。

※ジャンボ鶴田への挑戦を希望していたが実現は出来ず、鶴田からも揶揄された(事情は複雑な為に、後に鶴田が謝罪)。

※奥さん(伽織夫人)は資産家令嬢で美人。単独でタレント活動もしている。

※正体明かしはタブーのプロレス界に於いてスーパーストロングマシンに対して「お前平田だろ!」と言い放つ名(迷)言を放った。
……これは現在まで繰り返しネタにされている。

※城好き。





追記・修正はドラゴンリングインの後にラリアットでKOされてからお願いします。

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最終更新:2024年03月23日 01:16