タレントゲーム

登録日:2017/1/20 Fri 16:46:00
更新日:2023/06/01 Thu 13:13:24
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タレントゲームとは、実在の有名人をゲームの主役・メインに添えたゲームジャンルの一種である。
「タレントゲー」と呼ばれることもある。

【概要】

元々は、レコード会社が自社の商材であるアイドルやアーティストを、当時話題になり始めていたゲームをうまく活用する事でファンによりお金を貢いでもらうといった形で誕生したが、しばらくしてゲーム会社が有名人にゲームの企画を持ちかける形で誕生したゲームが徐々にゲーム市場に出てきた。
そのため、数えきれないほどのタレントゲームが発売されており、特に80年代はアイドルブームも相まって活発に発売されていた。
その多くはゲーム会社が主導で開発されており、当の本人は一切開発に関わっていないこともあって発売されるまで詳しいことが分からないといったいわゆる『名義貸し』物であったが、『たけしの挑戦状』のように積極的に開発に協力したというものも存在する。
ゲームのジャンルはアクション・シミュレーション・推理・クイズなど幅広く存在しているが、アイドルはシミュレーションやアドベンチャー、スポーツ選手はその選手が携わったスポーツを題材にしたスポーツゲームと、高確率でそのジャンルにあてがわれている(後者はほぼ100%)。


【タレントゲームの隆盛と衰退】

80年代から90年代は数多くのタレントゲームが発売された。特に、80年代はアイドルやファミコンが大きなブームを巻き起こしていたこともあって、全ての年代の中で一番多く発売されていた。
しかし、2000年に入ってからはレコード会社のゲーム事業の撤退が相次いでいたこともあり、タレントゲームが一気に減少してしまう。
が、その代わりに『はねるのとびら』や『ネプリーグ』、『ゲームセンターCX』や『逃走中』などの番組単位でのゲームが2000年代後半に特に多く発売されている。
また、近年ではソーシャルゲームでタレントゲームが配信されるなど、新たなタレントゲームとしての道ができている。


【タレントゲームの問題点】

近年はバーチャルコンソールなどで昔のゲームが復刻されているが、肖像権の関係や、有名人が当時のレコード会社を離れていたり、芸能界の引退・死去などのきっかけでがなかなか復刻されないといったケースが多い。薬物などで逮捕されたケースであるともはや絶望的である。
実際にファミコンからあれだけ数多くのタレントゲームが発売されていたのに、現在復刻されているのは『たけしの挑戦状』だけしかない。
一応、名義と肖像権さえクリアになっていれば問題ない、ということでそれらを差し替え済みの海外版が収録されたり、
ある程度売上が見込める場合には、手間をかけて差し替えた上で販売される例もごく僅かだがある。

また、クソゲーの割合が高い。
『さんまの名探偵』や『ラサール石井のチャイルズクエスト』など、普通に楽しむ事ができるタレントゲームももちろん存在するが、それよりもクソゲーと呼ばれているタレントゲームの数が多い。
たけしの挑戦状』がその代表例だが、これに関してはビートたけし自身が関与して意図的にクソゲーになるよう作った作品であるためかなり特殊か。
他にも、ゲームバランスが圧倒的に悪い『所さんのまもるもせめるも』や『カケフくんのジャンプ天国』、『聖飢魔II 悪魔の逆襲』、全てがプレイヤーの運のみで構成されていて完全クリアが非常に難しい『マインドシーカー』、ストーリーが突っ込みどころ満載なうえアドベンチャー要素が破たんしている『光GENJIローラーパニック』*1など、クソゲーの烙印を押されているゲームが多く見受けられる。


【主なタレントゲーム一覧】

タレントゲームの代表作であり、クソゲーの代表作。
一般人を自由に殴る事ができる、攻略上必ず1時間も放置プレイしなければならないといった、ぶっとんだ要素が存在している。 
ビートたけし自身が企画に携わっていたため、ムチャクチャな要素をゲーム会社側に提案して意図的にクソゲーを目指したという点では当時画期的なゲームであり、日本を代表する養殖型のクソゲー(バカゲー)である。
タイトーからはもう一つ「たけしの戦国風雲児」という同じタレントゲーの属するゲームが出ておりこちらは挑戦状程の突き抜けてはいないが結構なバカゲーであり
更に発展してタイトー独自のタイトル「爆笑!人生劇場シリーズ」となった。


  • さんまの名探偵(ナムコ)
明石家さんまをメインに添えた推理アドベンチャーゲーム。明石家さんまのほか、西川のりおや今いくよ・くるよなど、発売当時に吉本興業で活躍していた多数の芸人が本人役で登場している。
ファミコンゲームでいち早くアイコンを導入したインターフェースや、『ギャラクシガニ*2』なるミニゲームが挿入されているなど、パッと見のイロモノっぽさに反して実はかなり良く出来たゲーム。
当時のプレイヤーからも好意的な評価が多いが、実は本作は明石家さんまの知らないところで企画・販売されたものであり*3、さんま本人はこのゲームに関して複雑な感情を抱いている。
さらにこのゲーム、登場人物となった芸人に一切ギャラが支払われていないことでも有名
(ただし桂文珍師匠のみ当時の吉本社長に「ワテ、ゲームの中で死んどるらしいですが、お香典もらえへんでしょか?」と掛け合いギャラをもぎ取ったらしい。またテレビ番組で、「さんざん人を働かせといて殺すなんてねぇ」とネタにしたこともある。)。

  • ナイナイの迷探偵(ナムコ)
さんまの名探偵同様ナムコが制作。そのタイトルロゴ等、さんまの名探偵のオマージュのような要素が多い。
こちらはちゃんとナイナイ側にゲームの企画の事を伝えたうえで製作されており、極楽とんぼやココリコなど発売当時吉本興業で活躍していた多数の芸人が本人役で登場しているだけでなく、声も当てている。*4
…が、肝心のゲームとしての出来はさんまの名探偵には及ばず、推理要素が杜撰などの理由でクソゲー扱いされやすい。


超能力開発をコンセプトとしているが、実際はプレイヤーの運のみしか頼るものがない、究極の運ゲーにして伝説の超理不尽ゲーム。
実は本作もタレントゲームであり、発売当時に超能力タレントとして活躍していた「エスパー清田」こと清田益章氏がモデル。
おそらく、一発クリアは本物の予知超能力者でない限りほぼ不可能である。


  • マイケル・ジャクソンズ・ムーンウォーカー(セガ)
あのマイケル・ジャクソンが自身を主役として企画・監修したゲームであり、同名の映画をゲーム化したような内容となっている。
アーケード版とメガドライブ版が存在し、それぞれ造りがやや異なっているものの、ゲームとしての出来は申し分ないレベル。
が、ダンスで敵を全滅させたり、最終面ではロボットになるなどシュールな演出は笑いを禁じえない(もっとも、これは原作再現であり、映画『ムーンウォーカー』は本当にそんな感じの映画である)。
トリビアの泉』でも取り上げられたことがあり、上記のシーンは番組出演者の笑いを誘った。


  • 中山美穂のトキメキハイスクール(任天堂)
転校先の高校にいた中山美穂そっくりの生徒は、実はお忍びで学園生活を満喫している本人で恋仲に、
わがままお嬢様やキザなライバルの妨害をはねのけ、キミとミポリンとの恋の行方は……
というファンの脳内妄想満載シナリオでお送りする学園恋愛アドベンチャー。
実はスクウェアの持ち込み企画で、「アイドル誰にするか決めてないの? 無名のアイドルじゃ箔が付かんから一流アイドル使おうぜ」と任天堂が中山美穂の起用を決めた、タレントゲームとしては珍しい開発経緯を持つ。……よく企画通したな任天堂。
ゲーム内の要所で電話番号が表示され、そこに電話を掛けるとストーリーとリンクした中山美穂の肉声メッセージが聞ける、というのがウリだった。さらにゲームクリア後には店頭の機械でテレカやビデオソフトが当たるプレゼントへの応募ができた。
もちろんテレホンサービスはとっくに終了しており、今では一般店舗で使われている電話番号もあるので、実際に電話を掛けるのはやめておこう。

コマンド選択アドベンチャーとしては堅実無難な作りだが、主人公の表情とセリフを選ぶ中山美穂との会話シーンはゲームオーバー必至。ミポリンに振られ攻略を諦めたプレイヤーは数知れず。
この会話シーンにおける彼女の機嫌取り、マルチエンド、主人公をフォローする同性の友人キャラなど、後の恋愛ゲームに通ずる要素も伺える。
ネタ要素はゲームオーバー後悲しいor怒った顔をしていたのにもかかわらず、ロード時一瞬スマイルになる中山美穂だろうか。ここに恐怖を覚えた人も。


PCエンジンで発売された、当時の人気番組「カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ」のタイアップ作。
オーソドックスな横スクロールアクションだが、オナラで攻撃などのバカ要素もあり。難易度は高め。
ちなみにカトケンを架空のキャラに差し替えた『J.J. & Jeff』として海外でも発売され、海外版は2020年に『PCエンジン mini』に収録された。


  • ラサール石井のチャイルズクエスト(ナムコ)
磯野貴理子も在籍していた、ラサール石井プロデュースのアイドルグループ「チャイルズ」のマネージャーとなり、彼女たちを育てていくRPG
尿意を催したアイドルにマネージャーが紙オムツをあてがうゲームとか、実在のアイドルにやらせてよかったんだろうか……まあ磯野貴理子ならいいか
一部からは、その作品コンセプトを「早すぎたIDOL M@STER」などと評されることも。


  • 田代まさしのプリンセスがいっぱい(EPIC・ソニーレコード)
田代まさしが、ヨーヨーを武器に「シンデレラ」「白雪姫」など4人の童話のプリンセスを救う面クリア型アクションゲーム。
倒した敵の攻撃をヨーヨーに付与できるなど、『ロックマン』ライクなゲームでまあそこそこは遊べる。
だが、4人のプリンセスが一般公募の小学生をモデルにしたことから大変ロリロリしく、ぶっちゃけ若干犯罪的な雰囲気がある。
何より、田代の現在を考えてみると、非常にコメントしづらいゲームになってしまった。


  • 舛添要一 朝までファミコン(ココナッツジャパン)
まだ「テレビに出る政治学者」であった頃の舛添要一監修のアドベンチャーゲーム。
サラリーマンを操作して会長派と社長派の派閥争いを解決するゲームだが、舛添要一はサブキャラの情報屋的ポジションでぶっちゃけあまり出て来ない。
クソゲーという程でもないが地味かつ凡庸なアドベンチャーゲームで、『朝まで生テレビ』をパロった作品名の割にはインパクトに欠ける作品。
後年、都知事となった舛添が起こした公私混同問題が騒がれた際に、本作中の舛添の助言が現実の本人へ見事なブーメランとなっていることでにわかに話題になったことも。


あらゆる手を使って相手より先にゴールするレースゲーム『激走トマランナー』とL'Arc〜en〜Cielのコラボタイトル。
基本的にはマイナーチェンジ作品であり、元が知る人ぞ知る良作だったので評判はそこそこ良い。
人によってはゲーム自体より、ラルクの「STAY AWAY」のCMそっくりなCMの方が印象に残っているかもしれない。


TBSで半年に1回放送されている5時間半の番組も、2003年にPS2でvol.1と03秋と2回発売されている。
クイズに関してはvol.1では予選で間違うとボーナスクイズまで何も操作が出来ない為に時間がかかっていたが、03秋では間違えた場合はボーナスクイズまで飛ばす事が可能になった。
クイズのピリオドが終わった後に5つのミニゲームがあるが、5年前に発売されたマリオパーティと同じく掌やスティックを痛めるゲームが3つ(ミニマラソン、自転車レース、水泳大会)もあるという機種が違うにも関わらず何故そのような操作方法したのかは謎のゲームとなっている。
03秋ではミニマラソンや新たに登場したミニゲームはこのような操作方法ではなくなったが、隠しコマンドを入力する事で前作の自転車レースと水泳大会で遊ぶ事もできるが覚悟は必要。
どちらも解答者は20人だが、裏番組である「もしもツアーズ」出演者であるキャイ~ンの2人(vol.1のみ)と坂下千里子もいた。


  • カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄(ビック東海)
当時の阪神タイガースの人気選手掛布雅之…ではなく、そのそっくりさんとして人気になった子役が主人公のアクションゲーム。むやみやたらと高い難易度でも有名。
海外版では『Kid Kool』としてカケフくん要素をオミットして発売された。
システムを流用したゲームも多く、セガから海外マスターシステムの『Psycho Fox』、メガドライブのアニメキャラゲー『まじかるハットのぶっとび!ターボ大冒険』、そのキャラ替え海外版『Decap Attack』が発売された。


  • ゴルビーのパイプライン大作戦(コンパイル、徳間書店)
MSX・FUN誌に投稿された読者作のゲームと当時のソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフ書記長を組み合わせたまったく新しいパズルゲーム。
なぜゴルバチョフなのかはわからないがソ連大使館の許可は取っているらしい。
2021年になってiOSとプロジェクトEGGで復刻配信されたが、タイトルは『パイプライン大作戦』になり、ゴルバチョフはパッケージでは黒塗り、タイトル画面からは抹消されている。冷戦の頃から写真の加工はソ連のお家芸


  • ゲバラ(SNK)
キューバ革命を舞台にチェ・ゲバラとフィデル・カストロを操作してバティスタ政権を打倒するという、タレントゲームであり歴史ゲームでもあるというなんとも複雑な立ち位置のアクションゲーム。
起動すると「キューバ革命の英雄 チェ・ゲバラに捧ぐ」という献辞がまず表示されるなど「ガチさ」という点で他のキャラクターだけ借りてきたようなタレントゲームとは一線を画しているのは間違いない。
海外版ではゲバラとカストロの名前だけは消されている。

  • 所さんのまもるもせめるも(EPIC・ソニーレコード)
所ジョージが監修した横スクロール型アクションゲーム。
しかし次の行き先がランダムで決められ、酷いと同じ面を延々ループする運ゲーになる等、理不尽な仕様が多く、クソゲー扱いされやすい。
そしてエンディングはトラウマもの。


  • はねるのトびらWii ギリギリッス(バンダイナムコゲームス)
名前通りバラエティ番組はねるのトびらの人気企画「ギリギリッス」をWiiでゲーム化したもの。
キングコング梶原、インパルス板倉、ドランクドラゴン塚地の3人が、物事のギリギリなラインを探るのが大好きな昆虫のキャラ、ギリギリッスに扮して体を張るという元のコーナーと同じく、3人で様々なミニゲームに挑むミニゲーム集。(公式のジャンル表記はギリギリアクション)
3人のギリギリッスに進行の西野、罰ゲーム担当の女郎蜘蛛こと北陽らが3Dで再現されたり(フンコロガシことドランク鈴木は抹消されている)番組そのままのテロップを使用するなどして番組の雰囲気を再現しようとしている点は評価できるが、
肝心のゲームはミニゲーム集でありながらわずか3種のミニゲームしか収録されていないのに定価3990円であることから、ボリュームペラペラのぼったくりゲーとの評価を受けている。

後に陣内智則がyoutubeにて梶原本人とプレイした様子を配信している。


追記修正よろしくお願いします。

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最終更新:2023年06月01日 13:13

*1 ちなみに、こちらもメンバーの一人がクソゲーであることを示唆したような発言をしている。

*2 同じナムコの「ギャラクシアン」のセルフパロディ。

*3 製作したナムコ側が吉本興業側に明石家さんまの使用許可を依頼したところ、さんま本人にそのことを知らせずに勝手に許可を出した。

*4 しかしなぜかロンドンブーツのみ一切ボイスが付いていない