SCP-2936

登録日:2017/01/18 (水) 02:30:45
更新日:2022/11/05 Sat 07:16:14
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SCP-2936とは、怪異創作コミュニティサイト(シェアード・ワールド)「SCP Foundation」に登場するオブジェクト (SCiP) の一つである。
項目名は『巨大ナチスロボ (Giant Nazi Robot)』。なんともB級な名前である
オブジェクトクラスは「Safe」に指定されている。


概要

SCP-2936は、南極にあるナチスの軍事基地の跡地である。え? なんで南極にナチスの基地があるんだって? SCPなんだからあるんです
この既に廃棄された基地、中にはなんと異常技術によって作成されたらしいアーティファクトが複数収容されているますますB級の匂いがする
さらに言うと、この基地は周辺で回収された書類から推察するに1953年ほどまで使用、居住されていたそうなのだが、民間の地図作製プロジェクトと科学調査探索結果は、SCP-2936の位置する土地は少なくとも2005年まで何もない未開発状態だったというデータを残している。

ちなみに先ほど言及した内部のアーティファクトは、ほぼ全てが南極の過酷な環境化に曝された事による経年劣化によって損傷/風化してしまっている。


…SCP-2936-1を除いては。


SCP-2936-1はSCP-2936内部を守衛として巡回している知的オートマトン…つまるところが自律式のロボットである。
概ね人間型ではあるが、脚部には履帯がついており、無数の関節が付いた2本の腕の先端にはそれぞれ8本の対向指が付属。首にはスピーカーと2つの小型ムービーカメラが取り付けられている。言ってしまえばものすごくアナログで古臭いそれこそFalloutとかWolfensteinにでも出てきそうな見た目のロボなのである。

よほど堅牢でもない限り南極の環境じゃ動かないだろうし、なにより人間がいないのに修理とかどうしてるんだよと思う読者もいるだろうが、どうやらコイツの動力源は胸の上部に埋め込まれた光る鉤十字(スワスティカ)。この鉤十字が何らかの異常な特性を有しており、所謂S2機関みたいな永久(もしくは半永久)機関として機能していると考えられている。
しかしもし本当にこの鉤十字が動力源だったらヘタに取り外した瞬間SCP-2936-1は間違いなく壊れるだろうし、そもそも何が起こるか分からないため、鉤十字の調査に関しては安全に取り外しができる手法が確立されるまで延期されている。

このSCP-2936-1の胸部には蓄音機のレコードに似たディスクの列と、それらを再生/切り替える機械が埋め込まれている。
これらのレコードディスクの中にはSCP-2936-1を動かすプログラムが組み込まれており、これを切り替えることでSCP-2936-1はそれに応じた動作を行うようになるのである。

SCP-2936-1は定期的、もしくは自分が慣れ親しんでいない状況に直面した場合にディスクの切り替えを試みているが、このディスク郡も前述のアーティファクト同様損傷が激しいために、ある一枚を除いて全てが読み込み不可能になっており、SCP-2936-1は新たなプログラムを実行できなくなっている。
現在財団によって特定されているプログラム・ディスクの名前は以下の通り。
番号 名前
#1 軍医
#2 政治将校
#7 兵装管理員
#8 魔術兵装管理員
#11 鋼の母
#22 守衛/建造物修復
#24 ゲームプレーヤー
#28 料理人/農業者/栄養士

この内物理的な損傷がないディスクはSCP-2936-1内で動作し続けているディスク#11『die Stahlmutter』、即ち『鋼の母』ディスクのみである。
そしてプログラム・ディスク#11『鋼の母』を読み取って動作しているSCP-2936-1の主機能は、SCP-2936-2の保守点検である。

SCP-2936-2はSCP-2936内に存在するアーティファクト群のひとつであり、壁に取り付けられた64本の円筒形ガラスタンクと、内部に存在する人間の胎児もしくは乳児の乾燥した遺体から成り立っている。SCP-2936-1曰くこのアーティファクトの名前は『Glasgebärmuttern』、つまり『ガラスの子宮』と呼称するらしい。
しかしながらこのSCP-2936-2もほかのSCP-2936内部のアーティファクトの類に漏れず南極環境と経年劣化によって損傷しており、ガラスはひび割れ、ゴムパッキンは風化、電源類も火災によって溶融、中に入っていた『Ersatzfruchtwasser』、『代替羊水』も漏れ出して乾燥しているなど、かなり激しく損壊している。

SCP-2936-1はこの悲惨な状態のSCP-2936-2を四時間毎に点検、検査し、SCP-2936-2に異常が無いかを確認している。だがSCP-2936-1は全てのタンクの検査結果に古いセンサー読み取りデータを適用してしまうため、常にSCP-2936-2が無傷で、問題なく機能しているという判断を下してしまう。


上述した事象以外にSCP-2936に異常性は認められない。
SCP-2936-1は「ドイツ語に堪能であり、第三帝国政権下に属していることを示す記章を付けている(つまりナチスの同胞と見なされる)人物」ならば敵対的反応を示さないらしく、SCP-2936-2も未知の技術ではあるものの危険な特性を持つアーティファクトというわけではないため、財団はSCP-2936を民間の地図から削除した上で-1、-2共々まとめて南極の現地で収容、内部にはドイツ語に堪能かつナチス記章を付けさせた職員を配置して管理しており、現在はSCP-2936-1の鉤十字を安全に取り外す方法の画策を行っている。

ちなみにSCP-2936-1はSCP-2936-2を検査していない時、SCP-2936-2のタンクとその中身である既に死亡してしまった乳児、胎児を称賛し、ドイツの伝統的な子守歌を歌いながら幼児サイズの衣服を編んでいる。










































イリエスク博士: Stahlmutterがタンクの面倒を見ているのは、いったい何が理由なのかね?

SCP-2936-1: Herrenkinder(マスター・チルドレン)が大きく、強く成長して、世界を支配できるようにするためです。

イリエスク博士: Stahlmutterは“死”と言うものが何かを知っているか?

SCP-2936-1: はい。

イリエスク博士: Herrenkinderは死んでいるのではないか?

SCP-2936-1: 死が適用されるのは兵士たち、そしてUntermenschen(劣等人種)のみです。

イリエスク博士: 成程な。Stahlmutter、君の答えは—

SCP-2936-1: 子供たちはGlasgebärmutternの底に横たわっています。彼らは死した兵士のように身動きしません。しかし子供たちは兵士ではなく、Untermenschenでもありません。そしてGlasgebärmutternの化学的、物理的、機械的パラメータは全て最適値です。従って、子供たちは死んでいません。Stahlmutterはいつでも子供たちを愛しています。良き子供たちは強く、勇敢に、賢く育ってゆくことでしょう。Stahlmutterは良き子供たちを愛しています。



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SCP-2936 - Giant Nazi Robot
by Voct


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最終更新:2022年11月05日 07:16