スコット・スタイナー

登録日:2017/01/15 Sun 20:27:50
更新日:2023/05/14 Sun 10:45:03
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『スコット・スタイナー(Scott Steiner 本名Scott Rechsteiner)』は、1962年6月29日生まれの米国のプロレスラー。
兄のリック同様に元レスリング選手であり、地元ミシガン大学にはレスリング奨学生として入学している。
84年のロス五輪の際にはオリンピック強化選手としても選出されている。
プロレスラーとしては86年に同郷出身の名レスラー“ザ・シーク”のコーチを受けてデビュー。
WWA(インディアナポリス)、CWA(メンフィス)でキャリアを積み、90年に旧NWAミッドアトランティック地区に発足していたWCWと契約。
兄のリックとの筋肉の鎧にアマレススタイルのコスチュームを纏ってリング狭しと駆け巡る兄弟タッグ“スタイナー・ブラザーズ”として、レスリング出身の下地を活かした圧倒的なスピードとパワー、数々の殺人技を武器に暴れまわった。

90年代前半には提携していた新日本プロレスにも度々来日。
同世代の闘魂三銃士と激闘を繰り広げる。

彼らとは海を越えたライバルとして、互い互いに使用する技についても影響を与えあった仲でもある。

スタイナー・ブラザーズは、プロレス史に於ける投げっ放し式のスープレックスの元祖として知られている。

ジャーマンスープレックスの様な、本来は最後までホールドしていく投げのクラッチを途中で切り、相手を凄まじい勢いで自由落下させる投げっ放し式の登場は、現在にまで至る危険技が応酬するプロレスの始まりを告げたと言える。

特に、スコットは兄のリック以上に危険なオリジナルホールドを生み出しており、ロープに振った相手が返って来るのを跳躍しながら足で捉えて垂直落下させる元祖フランケンシュタイナーと、ブレーンバスターで垂直に捉えた相手をツームストーンパイルドライバーの体勢に持ち替えて垂直落下させるスタイナーズ・スクリュードライバーはプロレス史に残る危険な必殺技である。

WCW、WWFの米国メジャーは勿論、日本でもIWGPタッグ戦線で活躍。
その、ハードなファイトスタイルとは裏腹のコミカルなキャラクターでベビーフェース的な人気を博した。
正に、プロレスファンにとって忘れ得ぬ往年の名レスラー、ヒーローである。



追記修正はフランケンシュタイナーを決めてからお願いします。

















\ウ~~~~~/

Holla! If ya' here me!

BODY ROCKIN'

KNEE KNOCKIN'

CHERRY POPPIN'

SHOW DOWN!

\ウ~~~~~/


『スコット・スタイナー(Scott Steiner 本名Scott Rechsteiner)』は、米国のプロレスラー。
よく知られたニックネームは“ビッグ・パパ・パンプ” “フリークジラ”等。*1
日本でほ色々な畏敬の念を込めて“大先生”の通称で呼ばれる。

前述のように、90年代を代表するトップレスラーの一人であり、米国、日本はおろか、プロレスファンならば世界中で誰もがその名を知っているスーパースターである。
レスリングで培ったフィジカルの強さを武器にしたファイトスタイルで、プロとしては寧ろ不器用な類いながら、問答無用で相手を危険な投げ技で投げまくるスタイルもあってか、そうした事実には気づいていないそもそも理解しないファンも多かった。

兄のリックとのコンビでは、どちらかと言えばベビーフェースとしての扱いを受けたが97年にWCWで喧嘩別れすると、ヒールターンすると共にNWO入り。
“ハリウッド”ハルク・ホーガンの薦めで髪を切り、元祖筋肉レスラーとも呼ばれる“スーパースター”ビリー・グラハムを思わせる姿へとイメチェン。

日本でもよく知られる“大先生”の爆誕となった。

この頃にはキャリアの中で負った数々のダメージからファイトスタイルに変化も見られており、フィニッシングホールドも、嘗てのフランケンシュタイナーやSSDから、矢張りビリー・グラハムをモチーフにしたと思われる変形キャメルクラッチ“スタイナー・リクライナー”へ変化している。
……尤も、このWCW末期の頃は決して悪い意味の“大先生”ではなく、大物ヒールとして活躍。
アスリートタイプだったので表には出ずに隠れていたマイクパフォーマンスの才能も発揮して、シングル転向を見事に成功させていたのである。

しかし、時代は放漫的な路線でベテラン勢に頼りきり、悪ノリで自らの価値を下げていった末にNWOというブランドも食い潰してしまったWCWには味方せず崩壊。
数年前にはNWO人気により壊滅間近まで追い込んでいた筈のWWFに追い抜かれることになる。
月曜夜の視聴率戦争を繰り広げたWCWの『マンデー・ナイトロ』が放送終了したのは01年3月26日。
ブッカーTに敗れるも、最後の番組でスコット・スタイナーはWCW王者としてメインに出場している。

既に崩壊しつつあるWCWを見限り移籍をしていた選手達もいたが、これにより旧WCWやECWの選手達がWWFに迎え入れられ抗争アングルが組まれたが、スコット・スタイナーは直ぐに移籍はせずに先ずはオーストラリアに渡った。

そして、02年10月に団体名を変えたWWEに満を持し て最後の大物として登場。
RAW、SMACK DOWN!双方で誘致が争われた末に年明けの03年初頭から世界ヘビー級王者トリプルHとの対戦アングルが組まれる。

この、鍛えぬかれたマッチョマン同士の腕相撲とポージングによる対戦アングルは凄まじい盛り上がりを見せ、特に腕相撲対決はハンターさんの抜群の受けもあって必見である。

……しかし、この対戦が名レスラー、スコット・スタイナーのキャリアを失墜させることになった。

二大会続けてPPV放映された世紀の対決は、WWEでも屈指の試合巧者と云うイメージが定着していたトリプルHを相手にしながらも退屈な凡戦に終わり、観客からは容赦ないブーイングが飛び、日本でもその単調でスローモーな攻めと空気の読めなさからスコット・スタイナー=のイメージが定着し、昔を知るファンを嘆かせた。

これに関しては、本来はスコットもトリプルH同様にヒール志向の選手であったこと。
更に言えば、相手に攻めさせてペースを作るトリプルH相手では、トリプルH程は受けないにしても、矢張り少ない手数でペースを握っていくスコットでは相性が悪すぎたとも言える。
そして、嘗ては多彩で危険な投げ技が魅力だったのに、スタイルの変化や禁止技も増えていたのか殆どの場面をベリー・トゥ・ベリー(捻り式のフロントスープレックス)に頼りきりで、この事がスコットばかりか技のイメージを落とし、遂にはスープレックスを出すだけでブーイングされてしまうと云う事態にもなった。

これを受け、スコットは3月の祭典レッスルマニア19には出場枠を得られず、以降はテストとステイシーを巡る半端な抗争をしたりしていたものの、04年には早くも解雇されてインディー団体落ちしてしまう。

06年からはTNAに参加。
兄リックとのコンビを復活させたり、旧知の選手や元WWE勢とも絡む等、タッグ戦線が中心ながらWCW色も引き継いだ団体の為かWWE当時よりは活躍の機会を得る。
このTNA時代の07年の8月には、矢張り旧WCW勢でもある武藤敬司に招聘され全日本プロレスにも参戦。
スコットは同年6月に首の負傷による呼吸困難で死にかけ、1ヶ月後に退院と云うタイミングでもあったが、何気にイメチェンした後の姿での来日は初と云うことでファンの注目を浴びた。
しかし、11年の暮れ頃から突如として出番を減らし、12年3月を以て退団。

その後はヨーロッパを含む、各地のインディーを転々としつつ、兄とのコンビを再復活させたりしながら活動。

“大先生”とは、
……この、メジャーからインディーまで、プロレス界の頂点から辛酸までを味わい尽くすかの様なスコットのプロレス人生から自然発生的に起きた親しみ深い呼び名なのである。

【主な得意技】

■フランケンシュタイナー
この技の元祖で、嘗ての代表的なフィニッシャー。
尤も、現在の他の選手が使うフランケンシュタイナーが所謂“ウラカン・ラナ”方式であるのに対し、スコットのそれはロープに振って返ってきた相手を正面ドロップキックの様なモーションで水平に足だけで捉え、強引に身体を後方回転させる勢いを利用して、相手の身体を脳天からマットに突き刺す。
……という、全くの別物と言っていい位の物。
背後から仕掛けるリバース式もあった。
スピードが落ちてからは使用していなかったが、近年では比較的仕掛けるのが楽な雪崩式フランケンシュタイナーを取り入れている。

■スタイナーズ・スクリュードライバー
略称はSSD。
プロレス史上に残る超危険技で、日本での初公開の際には相手である馳浩が、また殺されたと思われたとか。*2
垂直落下式ブレーンバスターの要領で相手を吊り上げ、頂点で静止させた後に、ただでさえ危険な着席式ツームストーンの体勢で落としていく技で、その危険性の高さは数ある投げ技の中でも未だにトップクラスだろう。
スコット自身も余りの危険性からかいつの頃からか使用を自粛するようになった。
石井智宏の使用するイシイドリラーはほぼ同型だが、タイツを掴んで幾らか相手の体勢をコントロールしているのに対し、SSDは胴だけを掴んで自由落下させてしまっている違いがある。

■スタイナー・リクライナー
自らが中腰状態で仕掛ける変形のキャメルクラッチで、腕を固定する場合と首だけをねじ曲げていく場合と、体勢は定まっていない。
怪力で脛椎を圧迫する危険技として、使用不能アングルが組まれたこともある。

■ティルトスラム
主にロープから返ってきた相手に決めたアクロバティックな投げ技で、相手を風車式バックブリーカー(ケブラドーラ・コンヒーロ)の要領で回転させた後でサイドスラムの様に落とす。

■スタイナードライバー
投げ捨て式のタイガードライバー(三沢式)とも呼ぶべき技。
“大先生”と化してからはもっさり感漂う技となった為か失笑する輩もいるが、昔は抱えてから落とすまでがスピーディーで、両膝を付きながら落とす場合もあった。
また、バリエーションなのか通常のタイガードライバーも使用していた。

■リバースDDT
■スタイナーフラットライナー
“大先生”後のフィニッシャー。
フラットライナーはコンプリートショットやリバースSTO等と呼ばれる系統の技で、相手の首を完全に固定して叩きつける工夫をしていた。

■エルボードロップ
落とした後で腕立てするパフォーマンスを見せる。

■ベリー・トゥ・ベリー
捻りを加えて放つフロントスープレックスで、所謂“スロイダー”と呼ばれる技。
ハンターさんとの試合で連発し過ぎた為に評価を落とした。
“大先生”を象徴する技としてネタ的な扱いもされるが、普通に強力でいい技である。

【余談】
2021年、スコットの甥(兄リックの息子)のブロンソン・レックスタイナーが、ブロン・ブレイカーのリングネームでNXTでデビューを果たしている。当初こそリックの息子=大先生の甥という家族関係や、フィニッシャーにスタイナー・リクライナーを使用していた事から、ネットでは大先生を捩った小先生と呼ばれネタにされていたものの、トマソ・チャンパからNXT王座を奪取して以降、強豪相手に王座防衛を続け、メキメキと実力と貫禄を身に付けている。


追記修正は力こぶを錆び付かせない内にお願いします。

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最終更新:2023年05月14日 10:45

*1 ※フリークジラは自由なクジラ……ではなく、奇怪な怪物(GODZILLA)というような意味合いである。

*2 ※後藤達俊のバックドロップを受け損ねて死亡仕掛ける事故を起こしていた。