SCP-085-JP

登録日:2017/01/12 Thu 17:59:06
更新日:2024/01/07 Sun 14:54:21
所要時間:約 9 分で読めます




SCP-085-JPはシェアード・ワールド SCP Foundation に登場するオブジェクトのひとつである。
項目名は「うまい棒撲殺事件」。数あるオブジェクトの中でも指折りの項目名ホイホイである。オブジェクトクラスSafe
JPのコードが示すとおり日本支部の管轄にある。

概要

うまい棒撲殺事件といっても本当にうまい棒で殴られて人が死んでいるわけではない。
それではこのオブジェクトはどんなものかというと、落書きである。どんな落書きかって?


↑これ*1


……うん。項目名に違わずシュールな絵面である。
報告書では「頭部にスナック菓子の衝突を受けたような人間のデザイン」と表現されており、これもまたじわじわくる。

これだけでは子供のイタズラにしか見えない。
しかしその異常性は、落書きがどうやって出現するのか一切確認できないことにある。

そう、一切である。


目撃者がいないのはもちろん、付近の監視カメラで撮影された映像では異常のないフレームの直後に唐突に落書きが出現する。
本当に数十分の一秒で出現しているのか、あるいはカットされているのかは報告書の内容からは判断できないが、
いずれにせよ不可思議な現象である。

なお、これ以外にはとくに異常性は見られず、チョークもうまい棒も市販のものと同じで、
落書きを見たものに対する認識災害やミーム的特性もないようだ。
当然チョークの部分は消せるし、一般人の目撃者もときたま自主的に清掃している。
つくづくよくわからんオブジェクトである。

特筆すべき点として、落書きは財団所有の施設であるサイト-8110周辺にしか出現しないことがあげられる。
具体的にはサイト-8110から50キロ以内でしか発見されていない。

とまあ、収容もへったくれもないシロモノではあるが
  • 一切の悪影響がない
  • 目撃した一般人も子供のイタズラだろうと勝手に納得するのでカバーストーリー*2の必要がない
  • 出現する範囲も限られている
といった要素からSafe判定となっているのであろう。

ちなみに、作者はもともとうまい棒が凶器としか思えない殺人事件が多発するというものを書くつもりだったが、
どうもうまく行かず紆余曲折を経てこんな感じになったとのこと。
そして久々に買ったうまい棒が短くて悲しい気持ちになったらしい。

余談

このオブジェクトの特別収容プロトコルではいかなる発見であっても責任者に対して報告を行うよう指示されており、
実際職員が様々な報告をしているが、そのほとんどは実を結んではいない。

で、報告書中に記載のある唯一の例外が以下である。

From: エージェント・餅月
To: 数納博士
件名: SCP-085-JPの性質に関する発見をしました
本文: SCP-085-JPの性質に関する発見です。ぜひサイト-8110の食堂に明日の1200あたりお越しください。急を要する事情です!

From: 数納博士
To: エージェント・餅月
件名: 先ほどの件です
本文: 私はSCP-085-JPの責任者ではありません。報告内容は責任者へ伝えておきますが、私をつまらない個人的な目的で無意味に呼び出すのはやめてください。次やったらあなたの今の上司に報告します。

使用されているスナック菓子はどれも発見された時点で開封からあまり時間が経っていないという事実が判明しました。 - ██████博士

ツッコミどころしかない。
ちなみにエージェント・餅月は記事の執筆者が人事ファイルをもつ財団職員*3であり、特徴的なのは小柄な体格と尋常でない食欲
……食べて調べたのではなかろうかと邪推せざるを得ない。



すべての報告を記録し蓄積することによって見えてくる事実もあるでしょう。
重大な発見をした方は、どのようなものでも構いませんので、必ず私にアポイントメントを取った上で直接追記修正を行ってください。 - ██████博士


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SCP-085-JP - うまい棒撲殺事件
by m0ch12uk1
http://ja.scp-wiki.net/scp-085-jp

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  • SCP-085-JPに関する重大な発見です。直接お会いしてお話をしたいと思うのですが、ご都合は宜しいでしょうか。 -- エージェント・坂村 (20██-02-██ ██:██:██)
  • ↑ 構いませんよ。サイト-8110の第22実験室に明日の21時お越しください。 -- ██████博士 (20██-02-██ ██:██:██)
  • ↑,↑↑こんな投稿したっけ。 -- エージェント・坂村 (20██-02-██ ██:██:██)
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コメント:                      
投稿



































尋問の結果、████は兼ねてから御手洗博士に好意を向けていたこと、そしてその思いを拒絶されたと思い凶行に及んだことを供述しました。
████は後に記憶処理を施され、別のサイトへ転属となりました。






……さて。
ここまではSCP-085-JPに関する表向きの情報である。

実際には、財団はこの落書きを誰が書いているのかをしっかり突き止めている。
カメラに映らないというのも表向きの虚偽情報である。目撃者がいないのはある意味本当だが。
では一体誰が書いているのであろうか?

財団職員である。


SCP-085-JPの本当のオブジェクトクラスはEuclid
その本質は落書きそのものではない。

財団職員が突如として発症する異常行動なのだ。


本当の概要

SCP-085-JPを発症した職員はまず、チョークとうまい棒を購入などして入手。
次に、人目につきにくい場所を選んで落書きを書く。それでも目撃された場合は財団の装備を用いて記憶処理を行う。
その後、このオブジェクトの当初の責任者である御手洗██博士に落書きを発見したと報告を行う。
そしておよそ1週間以内に、御手洗博士に「SCP-085-JPに関する重要な報告」という名目で直接の面会を要求する。
面会では落書きが出現する過程を目撃したと主張し、その内容は種々異なるが、その内容は当然ウソである。
さらに報告後、突如として態度を豹変し、御手洗博士に危害を加えようとする。

これらの行動を妨害しようとしたり、情報の捏造を指摘したりすると発症者は直ちに暴力的態度をとるため、
SCP-085-JPの本当の情報は秘匿され、発症者への指摘を防いでいる。

以下に発症者の報告の事例を引用する。

被験者: エージェント・████
インタビュワー: 御手洗博士
場所: サイト-8107・第21実験室
前文: この記録は、まだSCP-085-JPの性質について十分に把握される前の記録です。

<記録開始>
御手洗博士: それでは、あなたの重大な発見についてお聞かせ下さい。
████: ええ。昨日のSCP-085-JPの報告に関することなんですが……実は、SCP-085-JPの出現をこの目で目撃してしまったんです。急なことだったし、飲んでたもんだから見間違いかもしれないし、正規の報告には加えなかったんですが……。
御手洗博士: 詳しく聞かせて下さい。
████: はい。あそこを通りかかった時、妙に強い風に吹かれて、ふと風下を見てみたら……風で飛んできた白い砂がだんだん寄り集まって、あの形を形成したんです。完全に出来上がるまで10秒くらい掛かったかな、出来上がってすぐにうまい棒があの位置に転がったんです。そしたら途端に風が止んで、アレが出来たんです。
御手洗博士: なるほど風ですか。これは興味深いですね。報告は以上ですか?
████: 以上ですか、って、随分突っけんどんな態度を取るんですね。
御手洗博士: そういうつもりでは……お気を悪くされたのでしたら……
████: [突然激昂して]アンタのその冷淡な態度が、気に入らねえんだよ!いつも冷たく当たりやがって、オレはあんたのことをこんなに想っているのに!こんなに好きなのに!愛してるのにどうして!
<記録終了>

後文: この直後、御手洗博士は実験室から逃げ出し、近くの警備員に助けを求めました。████は拘束され、尋問を受けました。尋問の結果、████は兼ねてから御手洗博士に好意を向けていたこと、そしてその思いを拒絶されたと思い凶行に及んだことを供述しました。████は後に記憶処理を施され、別のサイトへ転属となりました。

彼との直接の面識は過去には一切ありませんでした。このことを付け加えておきます。 - 御手洗博士

被験者: エージェント・██████
インタビュワー: 御手洗博士
場所: サイト-8107・第28実験室
前文: 報告者が激昂して襲いかかることが予想されたため、武装した4人の警備員が部屋に先もって潜伏していました。御手洗博士は通常の衣服に隠せる範囲で最大限度の防刃防弾性防具を身につけていました。指定の部屋への通路には各種センサーを設置し、武器の持ち込みに対して警戒を行いました。

<記録開始>
御手洗博士: それでは、あなたの重大な発見についてお聞かせ下さい。
██████: おとといのSCP-085-JPに関する報告なんですが……実はわたし、SCP-085-JPの出現をこの目で見てしまったんです。機材の故障で記録出来なかったので、証拠のないものを報告するわけにはいかないと思い、黙っていたんですが……。
御手洗博士: 詳しく聞かせて下さい。
██████: はい。あの時、踏切が開くのを待っていたら、近くでいつの間にか6人の子供が集まって、何か地面に書いていたんです。手持ち無沙汰だったんでちょっと覗いてみたら……そう、書いていたんです、アレを。じっと見ていたらあの子たち全員、こっちを見て、イヤな笑いを浮かべて……すぐに黙って走っていったんです。子供の1人が、うまい棒を落として……それで、アレが出来たんです。
御手洗博士: それは本当ですか。
██████: もちろんです!証拠はありませんけど、見たのは本当なんです!信じて下さい!
御手洗博士: その件なんですが、実はその踏切、監視カメラが設置してありましてね。記録が残っているんですよ。
[御手洗博士が端末を操作し、周囲に誰もいない踏切の近くで██████が落書きをしている様子を映した映像記録を見せる]
御手洗博士: どういうことか説明して頂けますか?
██████: [沈黙]
御手洗博士: あの……
██████: [突然激昂して]どうしてこんな意地悪をするんですか!御手洗博士のこと、こんなに愛してるのに!どうして冷たいの、ひどい!大好きなのに![警備員が拘束する音]あんたなんか、死んでしまえばいいんだ![声が遠ざかっていく]
<記録終了>

後文: 尋問の結果、██████は兼ねてから御手洗博士に好意を向けていたこと、そしてその思いを拒絶されたと思い凶行に及んだことを供述しました。██████は後に記憶処理を施され、別のサイトへ転属となりました。

面識の一切ない人物による襲撃は9件中7件です。7件にはこの事件も含まれます。彼らの間にはこのサイトの職員であったという以外に共通点はありません。襲撃者の間での怪しい人間関係も見られません。 - 御手洗博士

……とまあ、こんな感じである。
確実に同性にも言い寄られているであろう御手洗博士かわいそう。

これら11件の事例を受けて、御手洗博士はそれまで勤務していたサイト-8107からサイト-8110に秘密裏に身柄を移送。
するとその9時間後、移送について知らされていないはずのサイト-8110職員がSCP-085-JPを発症した。
逆に移送以降サイト-8107における発症者はぱったりと止んだ。
これをもって御手洗博士とSCP-085-JPの間には強い因果関係があると推測され、御手洗博士は自身の拘束及び収容を申請した。

その後、御手洗博士は表向き解雇という扱いになり、財団の記録からも抹消されたにも関わらず、
SCP-085-JP発症者は存在しないはずの御手洗博士にコンタクトを取ろうとしている。
現在はかつての御手洗博士の連絡先を発症者の行動誘導に用いている。


SCP-085-JPの起源

実は、偽の報告書には元ネタといえるものが存在している。
それが報告書の初版である。
初版を作成した倉橋████研究員は報告書提出直後に行方不明になっており、財団の捜索にもかかわらず、その行方は杳として知れない。

さて、ある日サイト-8110のエントランスに8GBのSDカードが入った「御手洗博士」と書かれた茶封筒が置かれているのが発見された。
その内容は、

御手洗博士が倉橋研究員に執拗に暴行を加えている映像であった。


御手洗博士はこの映像について一切記憶に無いと証言しているが、その真偽は不明。

いずれにせよ、倉橋研究員がSCP-085-JPの関係者および起源である可能性は極めて高く、現在も捜索が続いている。



追記修正は、自作自演の落書きを行ってからお願いします。


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SCP-085-JP - うまい棒撲殺事件
by m0ch12uk1
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最終更新:2024年01月07日 14:54
添付ファイル

*1 SCP財団 - SCP-085-JP, http://ja.scp-wiki.net/scp-085-jp, 2017/01/12

*2 異常現象が一般に露見したときに財団によって流布される表向きの理由付け。イメージとしては映画「メン・イン・ブラック」でニューラライザーをピカッとやったあとにしゃべるアレ。

*3 その著者が記事でよく使用する、またはその予定のある職員であり、アバターのようなものでもある。本家でいうと財団の問題児ことブライト博士が TheDuckman 氏のそれである。