ゲームセンターCX 有野の挑戦状

登録日:2017/01/10 (火) 20:31:00
更新日:2024/04/12 Fri 07:27:35
所要時間:約 5 分で読めます




有野ON!



『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』とは、バンダイナムコゲームスが2007年に発売したゲームソフト。
ハードはニンテンドーDS。

ここでは、続編の『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』(DS)、HDリマスター版の『ゲームセンターCX 有野の挑戦状1+2REPLAY』(switch)についても扱う。


【概要】

フジテレビ系列のゲーム番組「ゲームセンターCX」とタイアップしたゲーム作品。
ジャンルは「ゲームinゲーム」で、ファミコン全盛期を意識したレトロ「風」ゲームを複数収録したミニゲーム集である。
タイトルは番組のメインコーナー「有野の挑戦」と挑戦1発目のソフトにして伝説のクソゲー「たけしの挑戦状」のパロディ。

プレイヤーは、有野課長の挑戦をクリアできない悔しい気持ちが実体化した存在「ゲーム魔王アリーノー」によって、ゲーム西暦1980年代の世界にある幼少期の有野(ありの少年)の家にタイムスリップさせられてしまう。
元の時代に帰るため、プレイヤーはありの少年と協力しながら、ゲーム内でアリーノーが出してくる挑戦状のクリアを目指す。
挑戦状は1つのゲームにつき4つ存在。本家のようにエンディングを見たり難しい課題をこなす必要はなく、ちょっとした小技やある程度ステージを進めることでクリア可能なもの。
「2」ではギブアップして先に進むことも出来るようになったが、前作より挑戦が簡単になったのであまり必要なかったりする。*1
全てのゲームの挑戦状が終わった後は、最後の挑戦が待ち受ける。

「ゲームinゲーム」の名の通り、この作品ではミニゲームを通じて「昭和のゲーム少年の生活を体験する」ことに力を入れている。
DSの上画面にはゲームの画面、下画面には「家でそのゲームをプレイしている様子」が表示されるのである。
畳に寝そべって茶々を入れてくる有野の声(CV:有野晋哉)を聞きながらプレイしていると、昔友達の家でゲームをやった記憶がよみがえってくる人もいるだろう。
なお、2とリプレイでは有野に黙ってもらう設定も可能。設定でボイスをオフにしたときの有野少年の嘆きも必聴。

さらにゲームには一つ一つ説明書がついており、これも細かく作り込まれているほか、後述の裏技の書かれたゲーム雑誌も存在し、これらはプレイを中断して自由に読むことができる。

無印では自宅にあるゲーム8種類だけを遊べるが、「2」ではそれに加え、家の近くにあるゲーム屋「わくわくボーイ」の試遊台で4種類のゲームをプレイできる。
現実の試遊台と違い時間制限もなく、他のお客さんも来たりしないのでプレイ感覚は一緒。
さらに、毎日ランダムに決まる挑戦状に挑める「本日の挑戦」と、「ゲートレツール(後述)」が追加されている。

各ゲームにはレトゲーらしくウラワザが実装されており、それらは有野が買ってくる雑誌「ゲームファンマガジン」の記事として書かれている。
このゲームファンマガジンは魂と信を失う前の「ファミコン通信」やファミマガなどの雰囲気を再現しており、CXのスタッフが編集者や「名人」としてたまに実写で登場する。
裏技は複数存在するが、コンティニューコマンドだけは「左押しながらスタート」に統一されている。

1つ1つのゲームのグラフィック、サウンド、操作感覚などは実に「それっぽい」ものになっており、元ネタのゲームが分かりやすいものが多い。
しかし懐かしいだけでなく1つ1つが単体のゲームとして完成度の高いものになっており、世代でない人間も十分楽しめる。
極めようとすると奥深いものも多く、苦手なジャンルでもウラワザを使えば大抵クリアできるなど、幅広い層を見据えた作りになっておいる。


【無印の収録ゲーム】

ゲームはいずれも8bit機「ゲームコンピューター(元ネタはもちろん任天堂ファミリーコンピュータ)」のもの。

  • コズミックゲート
自機が横にしか動かないタイプのシンプルなシューティング。
光る敵を倒すことで現れるワープゲートを駆使して攻略する。

  • からくり忍者ハグルマン
「忍者じゃじゃ丸くん」と「ドアドア」を合体させたようなゲーム。この世界での大ヒット作品であり、作中での発売日から我々の世界で言う「スーパーマリオブラザーズ」くらいの革命を起こした模様。
からくり扉と手裏剣を駆使して敵を倒していく。真のクリアには2周する必要がある。

  • ラリーキング
見下ろし視点のレースゲーム。
最高速度時にアクセルを離して一定の向きを維持することで急加速するドリフトターボが使用可能。
地味に初代の鬼門。苦手な人は無敵の裏ワザを使ってゴリ押ししてしまうと良い。

  • スタープリンス
ステージ上に様々な仕掛けが隠された縦シュー。元ネタはスターソルジャーと後いろいろ。
挑戦をクリアすると有野が連射パッドを購入し、オート連射が解禁される。
「そっちの世界でもシューティング流行ってんのか?」「ラブのあるひとだけ…」

  • ラリーキングSP
有野がカップ麺の懸賞で手に入れる非売品ソフトという設定。
ところどころに商品のCMが挟まっている。ラリーキングよりもコースが厳しく挑戦も難解。

  • からくり忍者ハグルマン2
ハグルマンの正統続編。
マップがかなり広くなっており、敵の数やボスの耐久がアップしているなど難易度も上がっている。

  • ガディアクエスト
RPG。主人公は男2人と女1人。(男1人女2人という説も)
かなり早くから存在が示唆されるゲームなのだが、販売延期を繰り返して終盤に遊べるようになる。
特定の敵を仲間にできるガディアシステムと、ダメージがスロットによって決まるアタッキングマークシステムが特徴。
ダンジョンがかなり広く、ちゃんとクリアしようとすると結構かかる。ラスボスより強い隠しボス「ゲームのしゅごしゃ」も用意されている。…どっかで見たような顔のモンスターだが。

  • からくり忍者ハグルマン3
過去2作とは違い、忍者龍剣伝にメトロイドやドラキュラを融合させた感じの探索アクション。迷路内をパワーアップアイテムを駆使して進んでいく。
作風も大きく変わり可愛らしかったキャラも劇画調の高頭身になっている。
シナリオもそれに似合ったハードな内容。
執拗に追ってくる鳥など、番組で有野が苦しめられた要素を集大成した、かなり厳しいゲーム。
ダメージ時ののけぞりで落下死するのは誰もが通る道。おのれ邪鬼王。


【2の収録ゲーム】

「2」では「ハードの進化」の要素が取り入れられており、8ビット→ディスクカード→白黒の携帯機→カラーの携帯機→16ビットと徐々に進化していく。
このせいで、プレイヤーは1984年にタイムスリップして、最後の挑戦が1994年の大晦日と10年も有野の家に居座った計算になってしまうのだが気にしてはならない。

【自宅で遊べるゲーム】

  • ウィズマン
パックマンドルアーガの塔を融合させたようなゲーム。ハードは「ゲームコンピューター」。
目的はドットを全て取ることだが、杖を使って敵に対処することも可能。
隠しアイテムであるマジカルロッドを出現させるためには、ドルアーガの様に1ステージごとに全く異なる条件を満たす必要がある。

  • 無敵拳カンフー
スパルタンX」や「カラテカ」を意識した横スクロール格闘アクション。
ハードは有野が福引で当てたマイナーハード「ENTER-M2000」(元ネタはセガのSC-3000)。
日本を勘違いした外国メーカーが作ったという設定。「カンフーって…ちゅうごくやんなあ?」
対人戦は出来ないが、有野少年との対戦が可能。様々なリアクションを楽しもう。

  • デーモンリターンズ
有名な配管工のゲームに有名な名人のゲームを少し混ぜた感じの横アクション。ゲーム自体の雰囲気は魔界のあれ
ハードは「ゲームコンピューター」。
敵を回転させて倒すと、その敵を乗り物として利用することが出来る。それを乗り捨てての2段ジャンプがこのゲームのキモ。
「スペランカー」をアレンジしたような明るいが不気味なテーマ曲が妙に耳に残る。

  • 課長は名探偵(前編・後編)
「ファミコン探偵倶楽部」「さんまの名探偵」を意識した謎解きアドベンチャーゲーム。
ハードはゲームコンピューターの周辺機器「フロッピードライブシステム」。ちなみにあまり普及しなかったらしい
元ネタはファミリーコンピュータの周辺機器で磁気ディスクをメディアとした「ディスクシステム」*2

GCCXのネタ要素が強いファンサービス的なゲームで、謎解きそのものは非常に簡単。
後編には挑戦状が無く、先に進むためにプレイする必要は無い。
終盤の展開はとある宗教戦争に警鐘を鳴らす地味に深い展開になっている。

  • ガンデュエル
装備を切り替えながら戦う、爽快感のある縦STG。ハードは「ゲームコンピューター」。
スタープリンスと比べるとかなり難易度が低い。ちなみに連射は標準装備されている。
このゲームでは有野少年と協力プレイが可能。実物の有野課長はシューティングが苦手なのだが、明らかに本人よりいい動きをしているのはご愛敬。

  • トリオトス
落ち物パズルゲーム。ハードは携帯機「ゲームコンピューターミニ(元ネタは任天堂のゲームボーイ)」で、白黒である。
連鎖ではなく一気に消すことで高得点を得られる珍しい仕様で、横一列のブロックを同時に消すことによる「ラインスパーク」が強い。
実物の落ちものパズルともちょっと違う感覚で、好きな人はとことんはまるゲーム。和風なBGMも中毒性あり。
有野少年とは対戦可能だが、対人戦が欲しかったという声も多く、リプレイでDX版の方で2P大戦が実際に対戦可能となった。
後に単体でスマホアプリ化されたことからも人気がうかがえる。(現在は配信終了している)

  • ガディアクエストサーガ 光/闇
ガディアクエストシリーズ3作目にして完結編。ハードは携帯機「ゲームコンピューターミニ カラー(元ネタはゲームボーイカラー)」。
現実とは異なり、あっという間にカラーになっている。
前作と異なりガディアが一人に一体付く。
2バージョン発売され、それぞれで出現するガディアが違うという設定で、プレイヤーが遊ぶのは「光」。「闇」を買った有野とガディアを交換できる。中には懸賞などのイベント限定のガディアも。
今回はストーリーも凝っており、RPGあるあるが満載。終盤の展開はいまやベタすぎて逆になかなか見れない。

  • スーパーデーモンリターンズ
「ゲームコンピューター」の次世代機「スーパーゲームコンピューター(元ネタはスーパーファミコン)」で発売されたデモリタの正統進化版。
16bitの次世代機ということもありサウンドやグラフィックが大幅にパワーアップ。
広大になったステージでのパネル探しが楽しい。
ただし、終盤の難易度はかなり高い。

【試遊台で遊べるゲーム】

  • コズミックゲート MASA-X版
海外メーカーが版権元に無許可で作った「コズミックゲート」の移植版。ハードは「MASA-X(モデルはMSX)」で、かなりのマイナーハードらしい。
当時のガッカリ移植の再現である。ステージ数や敵のスプライトが大幅に減ったが、サウンドだけやたら良い。

  • からくり忍者ハグルマン 小梅版
小梅ちゃんファンクラブのグッズとして配られた非売品。いわゆるガワ替え。
試遊台に出しといていいのだろうか。
だが、ゴールのない無限ループ仕様だったり、お助けキャラや敵が追加されていたりと実はかなり手を加えられており、実質ハグルマンの完全版に近い。

  • ラリーキングex
ラリキンの大会専用バージョン。
モードはタイムアタックのみで無印ラリキンの1面しか遊べないが、速度を1000、1500、2000から選ぶことができる。

  • スタープリンスSA
当時盛んにおこなわれていた夏のSTG大会専用ソフト。
モードはスコアアタック(3分・5分)のみで一機死ぬとその時点で終了。

  • トリオトスDX
スーパーゲーコンに移植されたトリオトス。グラフィックやサウンドの爽快感が桁違いである。
ブロックのホールド機能も搭載され、さらに熱い落ちものパズルになった。
同じメーカーという設定なので、ハグルマンシリーズのキャラが対戦相手として登場する。前作経験者は普通に懐かしさを感じるだろう。
リプレイの発売前配信で課長が太った加賀にボコボコにされたため、ネガキャンしていた。

【ゲートレツール】

  • くぐれ! ギリジャンMAX
有野が「ゲーム&ウォッチ」や「シュウォッチ」を意識して作った超シンプルなミニゲーム。
実はこのゲームで一番はまるという噂も。
アクションゲーム攻略に必要な進む勇気と待つ勇気を鍛えるための「ゲートレツール」らしい。
移動とジャンプのみで強制スクロールのステージを進んでいき、3回ミスすれば終了。
途中にあるCXコインを取ると得点にボーナスが入り、30枚連続で取るとハッピーマンが登場。ハッピーマン*3を取ると一気に7650点が入る。
番組でお馴染み管ナレーターのやや棒読み気味のボイス入り
終了後、腕前が「平社員級~社長級」まででランク付けされる。
「課長級」まで行くのが相当大変であり、「有野課長がこんな巧いわけないだろ!」と突っ込みたくなるのも仕様である。
なお、システム的には永遠に続くとのこと。

【1+2の収録ゲーム】

上述のソフトは全てプレイ可能。
さらにトリオトスDXでの対戦やガンデュエルでの協力プレイを実際に2Pで行えるようになった。
また、ギリジャンやラリーキングexなど一部のゲームはネットでスコアを記録することができ世界中のプレイヤーとスコアを競うことができる。
そして完全新作のソフトが追加されており、有野少年の声も専用の者が新録されている。

  • 炎の格闘サラリーマンヤッタロー
ゲーコン末期に発売されたという設定の今作オリジナルソフト。
ゲーム会社「アリコット」勤務の新人サラリーマンのヤッタローが悪のゲーム会社「メガビット」のサラリーマン達に戦いを挑む。
格闘のコンボとつかみからの攻撃や投げを駆使するベルトスクロールアクション風の作品だが、たけしの挑戦状オマージュもふんだんに仕込まれておいる。
サラリーマンらしく名刺交換で戦いを避けれるユニークなシステムも。
マルチエンディングが採用されており、所見では見つけられないような隠れたエンディングも多い。
なかでもとある隠し要素は、ゲームデータやゲームの世界という要素への悲哀のあるメタな話となっている。
とりあえず社長室の金庫を説明書に書いてあるヒントで開けて、中身の謎を解こう。ヒントはチュンソフ党の陰謀。

追記・修正は1時間7分15秒待ってからお願いします。

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最終更新:2024年04月12日 07:27

*1 余談だが、一度もゲームをプレイせずにギブアップしようとするとアリーノーに怒られる。

*2 こちらもロムカセットの大容量化やディスクシステムにおけるソフトの低収益性によってあまり普及しなかった

*3 当時のバンナム社長の石川祝男氏が元ネタ