XFA-CnV バルチャー

登録日:2016/12/24 Sat 17:47:04
更新日:2023/07/29 Sat 04:33:27
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概要

XFA-CnV バルチャー」とは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のひとつ。

鳥型の飛行形態への変形機構が特徴的な可変型FA。
本項目では系列機種も取り扱う。


目次




XFA-CnV バルチャー


所属不明のFA。CC213年11月以降地球の各地に現れ、戦闘に介入する姿が目撃されるようになった。

各部にベリルユニットを持つことから月側の技術による機体であることは明白であったが、防衛機構に与するなど不可解な行動を見せ、行動目的は謎に包まれていた。

その実態は月側の技術協力のもと、防衛機構内の「急進派」が建造した試作機体を解体・破棄した後それを修復し、さらに改修を施したものである。

急進派の計画の要にして裏切りの物証でもあるこの機体は「黒い森事件」での失敗を受け、その存在が露見する前に解体・破棄された。
しかし破棄されたパーツ状態の本機を、事件後に急進派の謀略で防衛機構を追われた ジャン・B・ウィルバー 元少尉が回収・修復し各地の戦線に派手な介入を始めたため、防衛機構が本格的な調査に乗り出すこととなる。
これに焦った急進派は証拠隠滅に動いたが、その動きが裏目に出て尻尾を掴まれてしまい組織内から一掃される羽目になった。

その後、ウィルバー元少尉は外部協力者として防衛機構のバックアップを受ける見返りに本機を防衛機構に提供することを承諾。
「月側の技術を」「地球で製造した」本機はベリルユニットの技術解析に大きく貢献したとされる。

性能面を見れば、本機は防御力を犠牲に得た運動性能と四肢に備えた近接型ベリルウェポンにより高度な格闘戦能力を発揮し、鳥型の巡行形態への変形機構を持つ。
欠点としては射撃系の武装が皆無であることと航続距離が極端に短いことが挙げられる。
さらに元来実戦など埒外の技術試験機である事に加え、先述の通り解体・破棄されたものをウィルバーが拾い集めて個人で使える限りの設備と人脈ででっちあげた代物のため、機体バランスなどという言葉とは無縁であり操作性も劣悪である。
ちなみに原型機の外観ははっきりしていないが、回収後に月側のFAっぽくなるよう意図的に派手な色彩・意匠を採用したらしい。

月の勢力への降伏を推し進めたがっていたはずの急進派が月側の技術を流用した機体を秘密裏に製造した理由は不明。また戦後にもバルチャーに似た*1無人機体が地上で目撃されており、試作機は複数存在していた模様。*2


◇武装
  • ベリルベーン ×2
踵から脹脛に仕込まれたベリルユニット。展開することで蹴るようにして斬撃を繰り出せるほか、巡航形態時は翼の先端に位置し不足ながら推進力を産む。
「急進派」が月側からの技術提供を受けて地球上で製造したもので、月側のものに比べて性能は数段劣り、名の由来*3となった形状も技術力の低さ故のものとされている。
とはいえこれを入手したことで防衛機構のT結晶技術は大きく進歩した。

  • 三節刀
長刀型の格闘武器。刃が三つに分割されており、環状に変形させることもできる。
通常の近接武器と異なる変則的な攻撃が可能。
…なのだが、可動部の構造上力が逃げやすく正確に刃を打ち込まないとマトモに斬れないという欠陥がある。
不使用時は背中にマウントされる。

  • 乾式鋼爪(いぬいしきこうそう) ×2
腕部に装備されたピンポイントバリアパンチ爪状のベリルウェポン。
近接攻撃用で、リーチは短いながらも威力は高い。
巡航形態時は「足」に相当する部位になる。
尚、使用の際には手の甲の部分を換装する必要がある。

  • 巡航形態
機体の天地を逆にし、腕を足に、脚部を翼にする形で鳥型に変形する。バルチャー(ハゲタカ)という呼称はこの形態からつけられた。
ウィルバーが復元した際に実装された機能で、本来の仕様にはないものらしい。
航続距離を延ばすための形態だが本機は推進器の類が全く搭載されておらず、精々「滑空」できる程度。この形態を使って尚も航続距離は非常に短い。
また天地が逆になるため特殊なコックピットに換装しており、巡航形態時は操縦者が後ろを向くことになる(上下逆よりはマシだが)。


◇キット
2015年8月発売。定価3800円。デザイナーは倉持キョーリュー氏。

成型色は赤、紫、クリアブルー。
全体的に細身で、髪の毛状のパーツも持つためラピエールとは違った意味で女性的なシルエットを持ち、背中に差した三節刀や鉤爪によりNINJAっぽくもある。
一部差し替えにより巡航形態に変形するが、フレームは完全変形するあたりはさすがコトブキヤと言うべきか。変態共め…
この変形形態はテストショット段階でスタンド無しで自立できないのは不便という意見があったため、製品では前腕後ろに差し込む支柱パーツが追加されている。
設定では存在しない部位だが、後述するバリエーションキットのワイバーンでデザインの一部に組み込まれた。
ベリルベーンは可動で展開、乾式鋼爪は差し替え展開となる。

特に可動性が良好で三節刀を除けばポロリもしにくく、顔パーツは分割と一体成型を選べるなど組みやすいキットとなっている。
特に脚部は変形機構との兼ね合いで専用の股関節が設けられており、その開脚幅は全FAの中でもナンバーワン。
色分けも頭部の角の先端や鳥頭の目など、ごく細かい部分が足りない程度。
初期ロットのものは頭部のパーツに成型不良があり、リコールされている。
販売再開後のものは修正されており今買っても修正前のものに当たることは無いと思われるが、万一の場合でもコトブキヤ公式サイトにある交換申し込み用紙をつけて送れば取り替えてもらえる。

コトブキヤ店舗の初回購入特典は、クリアパープル成型となった翼パーツに偏光メッキ加工を施した"エナジーウイング"。ランナーでの配布の都合、胴体部以外の装甲パーツも付属してくる。
メッキ加工で塗膜が厚くなっている分、各種ダボ穴のクリアランスがキツいという問題点があるため、自前でメッキを削って対応する必要があった。これは後にフレームアームズ・ガール"フレズヴェルク=アーテル"で改善される事となる。




RF-Ex10 バルチャー改


バルチャーを防衛機構が改修した機体。
技術解析の済んだバルチャーだったが、慢性的な戦力不足により廃棄されることなく戦線への復帰が命じられた。
特性の極端な機体であるため従来通りウィルバー元少尉の乗機として運用されることになったが、元のままでは現場で混乱を招く恐れがあるなど運用上問題があったため改修が施されている。

操縦感覚を狂わされるのを嫌った搭乗者の意向により改修は最小限に留められており、肩に追加装備用のジョイントと小型の推進器を追加し、識別コードを付与、塗装色を変更した程度。先述の通り操縦性は劣悪なはずなんですが…

巡航形態への変形機能も維持されているが、航続距離の問題が解決したためあえて変形する必要性は薄いらしい。
また本体への改修とは別にデータ採取のために実験装備の搭載も行われた。

地上での反攻作戦において活躍したが、南欧バルデナ区での戦闘後に基地を襲撃したフレズヴェルク・ルフスと交戦。不利な状況下での戦闘を強いられ、中破した。


◇武装
  • ベリルマチェット ×2
地球製ベリルユニットの純度・性能試験用の実験装置。
射撃機能は持たないが斬撃に関しては月側のベリルウェポンに引けを取らない威力を持つ。
バルチャー改での試験後はさらに改造され、YSX-24RD/NE ゼルフィカール/NEの試作型光波射出機に転用された。
相変わらず近接武器しかないなこの機体。

  • サイドスラスター
肩に追加された、オプション装備の連結器を兼ねた推進器。
致命的なまでの航続距離の短さを補うためのもので、運動性を損なわないよう小型のものとなっているがこの改修により航続距離は大きく改善したとされる。
通常は肩のハードポイントに外付けブースターを接続して作戦領域まで移動、戦闘に入る前にパージする。


◇キット
2016年5月発売。定価4200円。

バルチャーの成型色を茶+黒に変更したバージョンで、肩と腰が3㎜穴のあるパーツに変わった。
色分けなどはほぼバルチャーと同じだが、三節刀の刀身が白になっている。
またベリルマチェット2本とエクステンドブースター2個が付属。ベリルマチェットのクリアパーツは設定通りゼルフィカール/NEのものを流用している。エクステンドブースターはグレー一色なので気になるなら塗装が必要になる。
ベリルベーンなどクリアパーツは塗装用の無色クリア成型のものも付属する。




RF-Ex10/S ワイバーン


中破したバルチャー改を修復し、さらに空間戦闘仕様として改修した機体。
脚部に「セイルスラスター」と呼ばれる推進器を備え、推進剤に頼らない機動が可能となり、武装面も遠近双方に対応できる兵装が揃えらえた。
おかげで幾分バランスのとれた機体になりつつあり、ファンの間では「量産機にできそう」との声も。もちろん「性能より操作性の問題が大きい」というツッコミも多い
尚、コイツの取説のショートストーリーには画像こそないが、とある機体の武器が登場している。

宇宙に上がって早々、追撃に現れたフレズヴェルク=ルフスと再び交戦。僚機の協力もあって撃破に成功した。

防衛機構がバルチャーをわざわざ修復したのは、Z0シリーズに行く手を阻まれた防衛機構艦隊への増援部隊に加えるため。
JX-25シリーズの追加生産を待つ余裕がなく、「改修しすぎて新型へ換装できなかった機体群」…すなわち俺ームアームズ+熟練パイロット軍団を増援として送るという計画に組み込まれた結果となる。

搭乗者のウィルバーは戦後も生存しているが、本機は月面での戦闘後破棄されたとのこと*4


◇武装
  • フラガラック ×2
ベリルウェポンの刃を備え、ライフルモードとグレイヴモードに変形する銃剣状の武器。グレイヴモードでも射撃は可能。
ワイバーン本体の肩部マウントの構造が改良されたことに加え、射撃管制が無線式であるため手に持たずとも肩に懸架したまま使用できる。
装填弾はこの時期の標準となるATCS弾で、Xシリーズには十分有効な火力。

  • 三節刀
手持ち武器ではなくなり後頭部(変形時は尾)に固定された。
設置の是非と設置箇所は開発メンバー間で意見が分かれたが、最終的に『緊急用と考えれば意外性がある方が良い』というウィルバーの一声によって決められた経緯がある。
ストーリー中では見事に「正面の」敵への奇襲を成功させた。意外!それは髪の毛ッ!

  • 乾式鋼爪(いぬいしきこうそう) ×2
腕部に装備された爪状のベリルウェポン。換装の手間を省くため手の甲に固定され、その状態のまま武器を持てるよう改造されている。
膝(変形時の翼爪)にも同様のベリルユニットがあるが、そちらは武器と明言されていない。乗ってる人間はベリル膝蹴りとかやりそうで怖いが

  • セイルスラスター
ベリルベーンを囲むように設置されている格子状の磁界発生装置。推進器を持たないバルチャーを宇宙に投入するために設置された。
ベリルベーンが推進力を発生していることを察していたウィルバーの提案が開発のきっかけになっている。
これによりベリルベーンから発せられる力場(TCS)に指向性を持たせ、スラスターとして運用できるようになった。
出力は通常のブースターよりも小さいが、もとより軽量級の機体であるため推力は十分。しかも推進剤要らずなので重量増を抑えることができ、長時間の安定した飛行が可能である。
変形時は翼膜にあたる部分だが、光の翼が出たりはしないようである。

  • 巡航形態
巡航形態は元の大鷲からその名の通り翼竜の姿に変化した。
外観の変化は主にセイルスラスターと(変形時の)頭部パーツの形状によるものだが、この頭部は整備員がジャンクパーツからスクラッチしたらしい。
取説の描写によると機体が前後にひっくり返る具合で変形するようで、咄嗟に使うと敵との位置関係を見失ってしまうため危険な模様。


◇キット
2017年1月発売。定価4800円。追加ユニットのデザイナーは引き続き倉持キョーリュー氏。

成型色は青、オレンジ、黒、クリアグリーン。
各部の追加ユニットによって細身だった機体がむしろマッシブな印象に変化している。
乾式鋼爪が固定されたという設定になぞらえ、新たに爪を装着できる武器持ち手が付属する。
バルチャーのランナーが同梱されてるので色違いのバルチャーとして組むことが出来る。
が、バルチャー改用のランナーが付属しないのでバルチャー改に換装することはできない。

コトブキヤショップにて初回限定で無色透明のべリルユニット(フラガラック及び追加の爪と角)とフラガラック本体×1が付属した。




余談
  • 既出の通り急進派が(見つかれば背信の動かぬ証拠となる)本機を建造した理由が不明瞭で、時折ファンの間で話題になる。真相は不明だがいくつかの仮説がある。
    • 主戦派との交戦を想定していた
    • 隠密・破壊工作用(ヒルツ中尉の乗機?)
    • 月側から捨てられたときの保険
    • 次期主力機として売り込みバックドアを仕込む

  • バルチャーとバルチャー改でクリアパーツの成型色が変わっているが、バルチャーに搭載されていたものを解析に回し、改にした時点で地球製の複製品と交換したのではないか、とも言われている(バルチャー改のベリルユニットはベリルマチェットと同じ色のため)。

  • バルチャー改には白いアーキテクトが付属するが、これはウィルバーの元の乗機であるウィルバーナインと同じ色となる。だからなんだって話なのだが

  • 近接武器しか持たない動物型に変形するワンオフ機ということで、某エレガントな機体を思い出す人もいた模様。


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最終更新:2023年07月29日 04:33

*1 少なくとも「識別システムにバルチャーと誤認されるレベルで」酷似している

*2 「ジィダオEA仕様」のインストより

*3 薄板状の形から「Vane(羽根)」と命名された

*4 「ジィダオEA仕様」のインストより