三二式一型 轟雷

登録日:2016/12/03 Sat 22:03:06
更新日:2024/04/07 Sun 22:12:46
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概要

三二式一型 轟雷」とは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のひとつ。

10式戦車をモチーフにしたマッシブなフォルムの陸戦用FA。
設定上「轟雷」は日本での呼び名で、海外では「ウェアウルフ」シリーズと呼ばれているとか。

本項目では系列機種も取り扱う。フレームアームズ・ガールにおける擬人化された轟雷についてはこちらを参照。



目次





三二式一型 轟雷


SA-16 スティレットと並行して開発された陸戦用FA。CC209年10月にロールアウトした。
軽量・高強度の「ジュラニウム合金」の装甲と、滑腔砲による攻撃力、無限軌道ユニットがもたらす機動性が融合した陸戦兵器で、外装には補助動力が搭載されているためパワーも強化されており、その戦闘力は月面軍が送り出す無人機「アント」をはるかに上回る。
既に降下艇基地による侵攻が始まっていた関係で生産性も重視されており、フレームアーキテクトType-001のパーツを一部取り外し、外装を被せるだけで轟雷に改造できる構造となっている。

本機および系列機は生産数が多かったことに加え、後に開発された輝鎚は防衛用で、攻撃型の輝鎚・丙は一時しのぎで解体、新主力機ジィダオ及びレイダオも宇宙向けが最優先…といった諸々の事情もあり、
FA全体で見ても最初期の機体でありながら特に攻撃任務では戦争終盤に至るまで前線で使用され続けた。


◇武装
  • 二九式二型 120mm低反動滑腔砲
右肩に装備した主兵装。頭部・左肩部の照準器と連動し、脚部を巨大なサスペンションとすることで静止時/移動時を問わず高精度の砲撃が可能。また自動装填機能によって複数の砲弾を撃ち分けることもできる。

  • ak-14T タクティカルナイフ
小型の格闘武器。携行性に優れ、「アント」が主に格闘型だったこともあってよく装備された。


◇キット
2009年10月発売。定価3000円。デザイナーは柳瀬敬之氏。

色分けは初期から優秀で、頭部センサーが塗装済なのもあってパチ組みにも優しい仕様。ただし塗装する場合は無限軌道ユニットが少々面倒。
キャノンの形状は接続部が左右非対称であり、二個買いしただけではダブルキャノンなどはできない。
手持ちの武器はナイフ以外に入ってないため、MSGシリーズなどから用意するとよい。

轟雷に限らない話だが、初期は中の人(アーキテクト)の強度が芳しくなかったうえABS製なので塗装もしにくく、ハンドパーツも専用品ではなかったので武器を持たせにくかった。
時期を経るにつれて強度が上がり、ハンドパーツも改良された「FAハンド」に変わったため格段に遊びやすくなっている。




三二式伍型 漸雷


CC210年7月以降運用されている、近接戦闘に特化した轟雷の派生機体。別名「M32Type5 ウェアウルフ・アヴェンジャー」。前線の兵士の間では単に「Type5」と呼ばれることもある模様。
格闘武器を装備することが多い「アント」との戦闘における前線部隊の損耗率が高かったため、損傷しやすい上半身(特に前腕)の装甲を強化、同時に格闘戦でデッドウェイトになる肩のキャノンを外している。
それに伴い肩の照準器もなくなり、頭部もセンサーを簡略化して通信機能が強化されたものに交換された。
コックピットも改修されており、複座での運用も可能とのこと。
初期の機体は無限軌道ユニットも外されており、日本防衛機構の空挺部隊に導入され、戦果を挙げた。
その後世界各地に普及したが、地域によっては肩のキャノンを復活させて一型と同様に運用していたこともあったらしい。 


◇武装
  • Fa/DBG-13 ダブルバレルガン
近接戦闘用に設計された、取り回しのよい短砲身の連装砲ちゃん。アメリカ防衛機構の協力(要望)のもと開発された。
モデリングサポートマニュアルによると口径70mmとのこと。


  • Fa/LN-13 レーザーバイヨネット
  • Fa/CH-13 チェーンソー
上記のダブルバレルガンに装着できる銃剣のような格闘武器。単体でも使用できる。

  • M-11 スタンナックル
詰まるところFA用電撃メリケンサック。
命中させた敵の電子回路を破壊する。


◇キット
2010年7月発売。定価3600円。

漸雷用外装パーツとスタンナックル、M.S.Gウェポンユニット「MW-13 ダブルバレルガン」が追加された。
成形色は黄色に変わったほか部品点数が減っているため、より組みやすくなっている。
轟雷の部品も丸ごと入っているため、黄色い轟雷にもできる。




三二式伍型丙 漸雷 強襲装備型


激戦となった「ベイルゲイト攻略戦」の後の残敵掃討に使われたとされる機体。
無数に存在する現地改修機のひとつであり、型番や「強襲装備型」という呼び名は便宜上のもの。

ベイルゲイトに展開した防衛機構部隊は敵主力の排除に成功したものの周辺にはまだ無人機が残存しており、これを迅速に殲滅しなければならなかった(諸事情により当該地域の制圧を急かされていたのもある)。
しかし防衛機構側も大きな損害を出しており、補給・増援を要請したが届くはずだった機体は届かず…
苦肉の策としてこの時点で唯一稼働可能だった漸雷を、これまた"残り物"のパーツ類で改修・強化して投入した。それが本機である。

広範囲に点在する無人機を掃討するにあたり漸雷の移動速度の遅さが問題視されたようで、エクステンドブースター×4をポン付けして増速し、連装バズーカを持たせて火力と弾数を確保。装甲は元々充実しているため、防弾布(マント)を被せてスピードを損なわないように非装甲部位を保護する…という応急処置的な武装パターンと考えられる。

簡単な改修にもかかわらず極めて高いコストパフォーマンスを示した…らしいのだが、噴射式推進機の運用に対応していない三二式に無理矢理ブースターを載せたうえ、急場凌ぎでソフトウェアの調整もできなかった為、本体の駆動系と連動しておらず別個に操作しないといけないという有様。例えるなら「レースゲーでアクセルボタンだけ2コンにある」ようなものか。
当然ながら操作性・運動性能ともに劣悪の極みであり、腕利きのパイロットですら「機体制御に神経をすり減らす」「多少火力が落ちようとSA-16系の方がまだマシ」と表現する有様だった*1
設定上漸雷のコックピットは複座化することもできるため、複座のコックピットユニットがあれば作業分担もできたかもしれない。
しかしそれすら叶わず、ストーリー中では単座での運用を強いられていた。

とはいえ大きな戦果を挙げたことに変わりはなく、また既存機種に後付けパーツのポン付けだけで機体特性を全く別にできてしまった実績と手軽さから、
後に多くのFA強化案(輝鎚・丙など)の参考にされたとも言われている。


◇武装
  • ライドカノン ×2
FA用のバズーカ砲。扱いやすく威力も高いため普及している。
…が、本機の場合は現地改修で二挺上下で縦に繋げる形で無理矢理連装化しており、火力は高いものの取り回しがかなり悪化している。

  • 八九式防弾布
防弾性を持ったマント。
さすがに防御力は気休め程度だが、関節などをまとめて保護でき、なおかつ軽量という利点がある。


◇キット
2013年3月発売。定価3800円。

キットとしては漸雷に追加パーツを盛ったもの。故に色違いの轟雷/漸雷として組むことも可能。
本体の成形色がグレーに変わり、頭部の装甲とライドカノン、不織布製の防弾布が追加されている。
頭部のセンサーはグリーンで塗装済。
タクティカルナイフが紺色(頭部の装甲と同じ)で少々不自然なのが難点か。

特筆すべきは防弾布。このキットにしか付属しておらず、後に出た「轟雷アーマーセット」にもない。
そのため1/100サンドロックカスタムなどと同様にマントのために買われていく例があるとも…
ファンの間では稀に「強雷」という略称で呼ばれることも。




三八式一型 榴雷・改


防衛機構は轟雷を支援砲撃用に改修した「三八式一型 榴雷」を配備していたが、この榴雷に近接戦闘にも対応できるよう装備を追加したのがこの「榴雷・改」となる。
CC210年10月以降運用が開始されているが、どの時点で「改」となったかははっきりしていない。

元の轟雷が「戦車」ならば榴雷は「自走砲」的な運用を想定していた。しかし機動力で劣るものの、高い火力と轟雷譲りの装甲を持つため前線に駆り出されることも頻繁にあり、そうした用途にもより適するように「榴雷・改」では更なる装甲強化と照準システムの更新が図られ、ガンタンクガンキャノンを兼ねるような役割の機体となった。
アメリカでは「M38 ウェアウルフ・ブルーバー」と呼ばれている。


◇武装
  • 六七式 長射程電磁誘導型実体弾射出器
やたら名前の長い主兵装。別名「M67  LR-PSC(ロングレンジ・プラズマソリッドキャノン)」。やっぱり長い。おまけにプラズマ分どこから出てきたし。
脚部の安定器と併せ、榴雷の時点で追加された長距離砲。直射、曲射の双方に対応しており高威力の砲撃が可能。
狙撃任務にも使用されているので、命中精度もかなり高いものと思われる。

  • 鉢金型 五式光学照準器
頭部正面装甲と交換される照準器。別名「S-5 オプティカルバイザー」。
間接射撃主体での運用が想定されていた榴雷には本来不要のもので、下記の増加装甲と共に「榴雷・改」で追加された。
光学式ながら複数の敵を同時に捕捉できる。
よくロボットアニメでは遠距離の狙撃・砲撃時に専用のバイザーをおろすという演出が挟まるが、「榴雷・改」では上記の事情から『近距離の射撃戦を行う時』にバイザーが下ろされるものと推測され、他のロボットアニメとは真逆の状態になっている。

  • 六五式 防弾重装甲
「榴雷・改」の両肩にマウントされる大型の実体盾。前腕にも装着できる。
上記の長距離砲、照準器もすべて同時に正面に構えることが可能。
同じ形状で樹脂製の軽量版も存在する。


◇キット
2010年10月発売。定価3600円。

轟雷本体の成形色が白+黒に変わり、榴雷・改の追加パーツはグレーで成形され、鉢金型照準器とフェイスパーツは部分塗装されているため色分けは良好。
着膨れした割には可動への影響も少なく、脚部の安定器はボールジョイントが使われておりしっかり砲撃姿勢をとれるが、ポリキャップではないので磨耗しやすい。
例によって轟雷のパーツは全部入っているため、白い轟雷を作ることも可能。




XFA-01 ウェアウルフ・スペクター


CC210年12月に南米で確認された所属不明FA。
その正体は損傷により破棄された防衛機構のFAを月側が回収し修復・改造したもの。
轟雷をベースに複数の機体から部品を集めたらしく榴雷・改の外装を纏っており、頭部のみ独自の改修が施されているほか、武装については榴雷・改のものに加えて原型機以上の重武装が施されているものの各武器の配置には試行錯誤の跡が見え、完成度は低かった模様。
当時、月側の戦力は武装したフレームアーキテクト「アント」のみであり、防衛機構が投入したフレームアームズを研究するためこのような機体を運用しデータを収集していたものと考えられている。

故意か過失か改造元となった轟雷の識別信号が残されており、これが夜な夜な現れたことで「M32の幻影(ウェアウルフ・スペクター)」として戦場怪談になり、特殊部隊SCARUによる調査の結果本機の存在が確認された。

防衛機構はSCARUに傭兵部隊を加えて「捕獲または破壊」を指示したが榴雷・改を強化した重装甲と大火力は伊達ではなく、作戦は難航*2
お決まりの「やったか!?」もやらかし、大きな被害を出した。

最終的に トルース・ロックヘッド の捨て身の攻撃で破壊されたが、それから程なくして月側も独自のFAを投入している。


◇武装
  • 八五式擲弾筒
FA用グレネードランチャー。
右肩の防弾重装甲の内側に2門搭載。
スペクターは隠し武器のように運用している。

  • 一六式対地誘導弾射出機
同じくFA用のミサイルランチャー。
誘導性能は低く、大型目標への攻撃や面制圧に用いられる。
同じくシールド裏に6発×3基搭載。


◇キット
2012年3月発売。定価3800円。

榴雷・改に更にパーツを追加したキットで、轟雷、榴雷・改としても組める。
成形色が黒になり、おおよその色分けはできているが頭部センサーや装甲各部の白など細かい部分の色が足りない。
頭部の形状が変わった他、肩に新規のジョイントパーツが追加されており片側に二つずつ盾か長距離砲を装着でき、盾の裏側に武器を仕込めるようになった。

コトブキヤでの購入特典として、同じ成型色のキャノン砲2門を追加で貰う事が出来た。




三二式三型 誘導弾改良ホーク搭載型 轟雷


漸雷と同時期に、降下艇迎撃を目的として開発された拠点攻撃用機体。
戦争初期はFAの開発ノウハウが構築されておらず手探り状態であり、既存の兵器をFAに転用するという策も多く取られていた。本機もその一つであり、巨大な対地空ミサイル<二三式誘導弾 改良ホーク>を、轟雷の有する堅牢性とペイロードに任せて限界まで積載している。
射撃統制ユニットをFA側に内蔵したことによる移動発射機としての優秀な性能と、人型故の高い地形対応能力はこの時点では非常に有用で、「オペレーション・アント・クリーナー」でも目覚ましい戦果を上げた。

しかし巨大な改良ホークは特に運搬面での高コスト化*3を招いて現場を圧迫し、後に三八式榴雷が導入されたことに伴って急速にその数を減らす事に。
不幸なことにこの時点で改良ホークは恒常的な運用を前提として集中生産されており、結果数十機が未使用のまま倉庫内に転がる事となった。
EX計画発足時には改修によって発射機のモジュール化や追尾機能の追加、更に他機体にも容易に搭載可能という肝入りの体制となって投入されるものの、この頃の月FAは非常に高速、大火力化していた為に大型ミサイルの優位性はほぼ失われており、若干数が運用されるに留まっている。

その後改良ホークは長らく埃を被っていたが、戦争終結後に防衛機構が 技術復興連盟 (G.A.F(ガフ))と R.V.L.T の二つに分離し衝突した際、双方が消耗していたが故に相対的に優位性を取り戻した事で、両陣営に用いられることになる。
ガフはそのまま本来の拠点攻撃に用いたのに対し、リベルタは目的がガフの施設掌握であり、またゲリラ戦を主とし機動力が重要視されていた為、弾頭を排除する事で長距離侵攻用のロケットブースターとして用いるケースが多かった。多分トルースさんのせい


◇武装
  • 二三式誘導弾 改良ホーク
かつて従来兵器として運用されていた対地空ミサイルをモデルに、対降下艇用に開発された大型ミサイル。
見た目通り高い破壊力と飛距離を有するが、運搬や機体搭載に専用の設備が必要で汎用性が低く、機体の寿命を縮める一因にもなっている。
推進力は相当高いようで、4つ搭載すれば陸戦機である轟雷を「飛翔」させることすら可能となる。思いつく奴も実践できる奴もおかしいがな


◇キット
2019年2月発売。定価4800円。コトブキヤショップ限定品。

轟雷に改良ホークとその基部、加えて榴雷・改の脚部アウトリガーを加えたキット。
ミサイル部分は搭載時、発射時を差し替えで再現できる。
流用ランナーの都合で榴雷・改の脚部が丸ごと付属するためそちらで組むことも可能。

ミサイル部分は「エクステンドアームズ07〈誘導弾 改良ホーク〉」として単品発売もされている(こちらは一般販売)。同じく2019年2月発売。定価2000円。
こちらにはアウトリガーパーツは付属しない。




三四式一型 迅雷


CC211年9月より月面軍がNSG系列機を投入してきた事によって目に見えて機体の消耗が激しくなってきた防衛機構だが、その頃において一機体の性能を高めるよりもとにかく頭数をそろえる事を目的とした轟雷の派生機が存在した。
それが現場の手で"破損した機体の再利用"というコンセプトのもと修繕された「三四式一型 迅雷」と呼ばれる機体であり、中破した複数の三二式からまだ使用可能な部位を厳選し、最低限の装甲のみを確保した「轟雷の軽量化仕様」とでも言うべきものになっている。
その機体性質上ロールアウトした迅雷群は特定の外見を持たず、殆どが別物と呼べる機体だったらしい。

元轟雷の利点である堅牢な装甲と履帯による機動力を投げ捨てた迅雷は当初こそ「こんなカカシ役に立つかボケェ」と散々な言われようだったが、いざ実戦に投入されると極限の軽量化によって履帯とは方向性の違う高い運動性を備える事が判明し、その速度をもって敵機に即接近し斬り伏せる一撃離脱戦法が確立されパイロット達を驚愕させた。
そしてそれは半ばパターン化していた地上戦に新たな風を吹き込むまでに革新的な物であり、やがてスポット生産、ひいては正式化にまで至るほどの大躍進を遂げる事となる。

尚「三四式一型 迅雷」という名と型番が与えられたのはその有用性が判明して以降であり、それまではただ単に「軽量型〈轟雷〉」と呼ばれていた様子。


◇武装
  • 二九式三型120mm低反動滑腔砲改
轟雷の主兵装を腕部に装着できるよう改装したもの。
腕部で支える性質上射撃精度が轟雷よりも劣る事、また近接戦闘を主体とする迅雷の運用形態と反発する故に、機体を熟知したパイロットほど使う事は少ない。

  • レーザーエッジ ×2
タクティカルナイフの改良品であり、刃部分の面積を大きくすることで攻撃性を高めてある。
接近戦を得意とする迅雷の機体特性に合わせたもの。

  • ヴァイブログレイヴ / ヴァイブロブレード
先端に振動刃を設けた、鎌や杭を模した武器。もともとは作業用の工具であり、それをFA用に転用したという経緯がある。
独特の形状で扱いには高い技量が必要だが、同サイズの武器と比較して威力は高い。
これを一から戦闘用に再設計したものがヴァイブロブレードで、リーチと扱いやすさが改善されている。


◇キット
2019年11月発売。定価4200円。

島田フミカネ氏の作成した俺ームアームズ「迅雷」が正式に商品化。作例時点ではフミカネがそこらにあったサフを適当にブッかけた為グレーだが、こちらでは 先に商品化しているフレームアームズ・ガール版迅雷 とおなじカラーリングとなっている。
これはFAガール迅雷の逆輸入という側面もある為……というかこっちが主な商品化理由と思われる。

成型色は赤と黒。フレームアーキテクトは暗いピンクで未組立。
武装としてガール版同様銀色成型になったM.S.G「ウェポンユニット MW-11 ブーメラン・サイズ(鎌)」が封入されている。

設定上もキット的にも轟雷のバリエーションであるが、構成するパーツは新規金型品の比率が高め。一見同形状に見える頭部も新規金型品で、アイセンサーがクリアグリーン成型の別パーツになった。
装甲の少なさゆえに可動域が広く、武装も豊富でプレイバリューもガール迅雷に負けず劣らず高い。

コトブキヤショップ購入特典は成型色を合わせた轟雷の装甲パーツ。こちらを用いれば赤い轟雷を組む事が出来る。




三二式一型 轟雷・改


戦争中期においてフレズヴェルクの蹂躙に喘ぐ防衛機構が考案した、轟雷をベースに拠点防衛用として開発された機体。
もともと防衛機構の技術者の中には轟雷の性能に偏執的なまでの信頼を置く一派が存在しており(ちなみに"原初のFA"ことDD-01の開発にも携わっていた)、彼らは周囲が輝鎚の開発に勤しむ中あくまで轟雷の強化案に拘り続けたとされ、本機はその一つである。

元よりフレズヴェルクの操るベリルウェポンを受ける為には最低でも轟雷の4倍の装甲強度が必要であることは輝鎚の項で触れているが、ベリルウェポンが光学兵器であることに着目した轟雷キチ一派の技術陣は、装甲をガン盛りするのではなく内部に水を注入した増加装甲「試製対光学装甲」を各部に追加積載する事で対処しようとした。
また電装ユニット類は基本性能を現行機相応に引き上げるべく大規模な改修が行われ、その結果ヘッドユニットの形状に変化が見られる。

この改修は功を為し、新兵装〈駿牙(するが)〉の存在もあって原型機の機動性をそのままに防御力、火力双方の強化を果たした極めて高いポテンシャルを持つ機体となった改修機は戦線に投入される……ハズだったが、そこに急ピッチで完成した輝鎚が立ちはだかる。
両機を比較した場合、改修機は機動力こそ優位性を示したものの実弾系を含めた防御力は圧倒的に輝鎚が上だった事に加え、総合的な運動能力でもショックブースターの存在によって大差をつけられてしまっていたのである。
結果この改修型轟雷はコンペに競り負け、制式化には至らなかった。求められていたのが拠点防衛能力である以上、機動力の高さが大してセールスポイントにならなかったという側面もあるだろう。

後にその攻撃性能の高さを評価され、制式導入と引き換えにわずかな数が SX計画 に編入されたこの改修機は「轟雷・改」の名を与えられ、今度こそ戦線に配備される。
前述の通り高い潜在性を有していたこの機体は、それまで轟雷に慣れ親しんでいたパイロット達から高評価と共に迎えられ、欠点は数が少ない事くらいだったようだ。
また増加装甲は当初の目論み通り光学兵器に対する高い防御性能を示したようで、後に輝鎚・乙のリアクティブアーマーにも同様の機構が組み込まれる事になる。


◇武装
  • 拾式電磁加速砲〈駿牙(するが)
ゼファーのリニアレールガンを元に開発されたリニアレールキャノン。
携行火器としては非常に高い火力、射程、貫通力を備え、とりわけ貫通力に関しては相当に優れている様子。
後にバーゼラルドのセグメントライフル開発へとつながった。

  • 二九式二型 120mm低反動滑腔砲
従来機のメイン武装であるが、駿牙による高い攻撃性能を獲得した本機においては副兵装へとその性質を変えている。
左肩に搭載する事で駿牙の斜角を補う意図がある。


◇キット
2019年5月発売。定価5200円。
アニメフレームアームズ・ガールに登場した轟雷改を、柳瀬敬之氏が個人で擬人化ならぬ擬メカ化したデザインを起こし、それが正式に立体化されるという傍から見ると訳のわからない経緯を得て誕生した。

成型色を白に変更し、増加装甲と左肩用の滑腔砲、右側用のナイフホルダー、レールガンを追加。今までのキットではできなかったダブルキャノンが実現できるようになっている。
肩装甲はパーツ分割が変更され色分けされた他、手甲部分は柳瀬氏によるフレームアーキテクトデザイン稿に準じた形状へと変更された。
各部のラインはデカールでの再現で、パチ組だと白一色で少々寂しい。

コトブキヤショップ購入特典は追加のレールガン一式。




三四式一型乙 迅雷〈突撃装備型〉


フレームアームズ・バトルコンプレックス に参加した迅雷の一つで、厳密には当時品ではなく設計データをもとに構築されたレプリカ機。
〈突撃装備型〉の名に違わず高機動戦闘に重きを置いた改修が為され、背面に瞬間出力特化仕様のST型、プロペラントタンクと一体化し持続性に優れるLG型二種類のエクステンドブースターを接続する。
また単体で戦術管理及び補助を行えるAIを搭載し、装甲材質は現行技術に準じた物となっている事も合わせ、総合的なスペックは戦時中の同機よりも上。
特にAIは搭乗者との会話はもちろん皮肉を飛ばす事も可能と、戦時中における最優の戦闘補助システムVTOSと比較してもさらに洗練されている部分がある。

ちなみにこいつのキットのSSには、発売に先んじて「あの機体」が登場している。


◇武装

  • SMG-24VT / HG-08PI / HG-06RV
中・近距離戦闘を想定する迅雷の運用特性に合わせた手持ちの銃火器類。
何れも小型で取り回しがよく、中でもHG-06RVは装弾数に難点を抱えつつもサイズ比に対し高い威力を誇る。

  • タクティカルナイフ改
レーザーエッジの技術をフィードバックしたと思われる手持ちナイフ。かつての轟雷が使用していた物よりも威力が強化されている。
……が、FABCに参加している事を踏まえるとそれだけの攻撃力はむしろ過剰と言える物であり、何故態々その様な武装が拵えられたのかは議論の余地がある。


◇キット
2020年12月発売。定価4400円。

本キットからフレームアーキテクト TYPE-001:RE2が導入された。
成型色は灰色系統で、フミカネの作例時点でのカラーリングが反映された物となる。
武装として「M.S.Gウェポンユニット24 ハンドガン」と「メカサプライ03 プロペラントタンク〈角〉」が同梱。ただし通常版のナイフ類は入っていない。

オプションパーツとして汎用設計のフレームアーキテクト用ジョイントパーツが封入されている。
各部にかませる・換装することで横幅やデザイン、接続軸を変えたり、可動軸を増やしたりと豊富な使い出のあるパーツ類。




その他の派生機体

公式資料で存在が確認されているものの、詳細が不明となっている派生機体を以下に挙げる。


・三八式一型 榴雷

「改じゃない方」こと、初期の榴雷。防弾重装甲と五式光学照準器が無いバージョンと思われる。


・XM-322 ウェアウルフ・ファング

漸雷に榴雷のパーツを組み合わせた機種。詳しい仕様は不明で、特に肩装甲の形状については轟雷のものか榴雷のものかで意見が分かれるところ。
両者の追加パーツは重複する部分が少なく、かつ装甲を強化した部位が多いため派生機体の中では重装甲の類になると思われる。


・タイプ32 ブロック45 サイレン

「フレームアームズモデリングサポートマニュアルVol.001」に掲載されていた派生機体。40機が極東で生産された。
轟雷を偵察部隊向けに消音仕様としたもので、新型のモーターを採用した結果駆動音を40%低減したとされる。
具体的な例としては400m先を走行するエンジンスクーターと同じ程度とか。
外観は「コックピット部にロールバーが追加されている*4」以外に、ほぼ変更はない。


・漸雷EM型

「フレームアームズモデリングサポートマニュアルVol.001」に掲載されていた派生機体。
漸雷を電子戦用に改修した試作機。12機製作され、実戦でも活躍したとのこと。
EM型というのは暫定呼称で、正式には「対ECM用電子戦強化型として改修された三二式伍型 漸雷」。長ェ!
従来の電子戦機や警戒管制機は戦闘能力が貧弱だったらしく「前線に随伴できる電子戦機を」という要望が出されたのが開発のきっかけらしい。
漸雷が設計母体になったのは機内容積と発電容量に余裕があるためで、頭部にロッドアンテナ、胴体部にフェーズドアレイレーダー、機体各部に「SA-16でも採用されたブレードアンテナ*5」が追加されているらしいが、掲載されているイラストは胴体と頭部のみで詳細は不明。
記述から読み取れる限り主な用途はECCMの提供らしく、侵攻の初期段階から月面側が電波妨害を使用していたことがうかがえる。
この機体をきっかけに、後の本格的な電子戦用FA(RF系?)や偵察用派生機体が開発されていったとされる。


・M-32RD アーマードウェアウルフ

「エクステンドアームズ03」の取説に掲載されている作例。制作はちいたわからし氏。
轟雷にEXU-03を組み合わせた宇宙用FAとされ、頭部と肩をアーマーグライフェンのものに換装し、各部に推進機が増設された。
EXU-03のミサイルコンテナをフル装備しているほか背部のウェポンプラットフォームに20mmリボルバーカノンを、マニピュレータには「M.S.Gヘヴィウェポンユニット01 ストロングライフル」を使用した大型ライフルを装備。
公式ブログ(旧FAブログ)でも紹介され、詳細な制作過程が解説されている。


・陸玖式特型 遠雷

2015年開催のコンテスト「FRAME ARMS BATTLE COMPLEX OVERTURE 【序章】」優勝作品で、フレズヴェルク=アーテルバーゼラルド レヴァスレイター同様公式設定に組み込まれた。
外見からわかる範囲では全身にブースターとシールドが設けられ、胸部ユニットはグライフェンの物になっている。
作中ではさらに〈宇宙改修型〉として登場し、 ジャン・B・ウィルバー 駆るワイバーンの窮地を救っている。




余談
  • 派生機が出るたびにそれら独自の装甲・武装類も当然増えていったのだが、2014年3月にその時点で発売されていた全キット*6を一纏めにした「轟雷アーマーフルセット」(定価3500円)がコトブキヤショップ限定で発売された。いいぞもっとやれ。ただし成形色は白一色、かつ漸雷のチェーンソーと漸雷強襲仕様の防弾布は付属せず、アーキテクトも入っていないので注意。

  • 防弾布の代用品は各所で研究されており、手芸用の接着芯やキムワイプを使うなどの方法が考案されている。

  • 月側のFA「ヴァイスハイト」は轟雷を参考にして設計されたらしく、外観の一部が類似している。

  • 設定上、轟雷シリーズは「最も多く製造されたFA」とされている。これは現実でフレームアームズシリーズ中最も出荷数が多いのが轟雷系であることに由来する。

  • 装甲に用いられている「ジュラニウム合金」だが、実はHMMシリーズゴジュラスの設定ではそちらの装甲素材として同名の合金が使用されている。
    ただの名前被りかもしれないが、仮に両者が同じものとすると、ゾイド世界とFA世界が繋がっている可能性があることに……。

  • 第56回全日本模型ホビーショーで「KHR-轟雷」が公開された。近藤科学のロボット「KHR-3HV」を改修し専用に製作された轟雷型の外装を装着したもので、重量2kg、全高418mmと模型と比べるとビッグサイズ(ロボットとしては超小型だが…)。歩行、ライフル射撃、マシンガン射撃、キャノン射撃のモーションが可能となっている。


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最終更新:2024年04月07日 22:12

*1 この言葉から、空戦FAの操縦はそれなりにハードルが高いらしいことが読み取れる

*2 当初は捕獲を狙っていたことも手こずった理由の一つであった模様

*3 轟雷三機分

*4 この解説から腹部の黒い部分がコックピットだと読み取れる

*5 おそらくコクピット周りに増えている突起がそれ

*6 轟雷、漸雷、漸雷強襲装備型、榴雷・改、ウェアウルフ・スペクターの5つ