NSG-X1 フレズヴェルク

登録日:2016/12/02 Fri 23:49:30
更新日:2023/08/28 Mon 23:57:33
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概要

NSG-X1 フレズヴェルク」とは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のひとつ。
月側が投入した可変型FAで、フレームアームズ世界観におけるキーアイテム「 TCSオシレーター 」が登場するきっかけになるなど同シリーズ内でも重要な位置を占めている。

本項目では系列機種も取り扱う。フレームアームズ・ガールにおける擬人化されたフレズヴェルクについてはこちらを参照。



目次




NSG-X1 フレズヴェルク


CC212年1月に初めて確認された、長距離移動または大気圏外からの電撃的侵攻を得意とする可変型FA。
スティレットを翻弄する機動性と轟雷シリーズを一撃で破壊する攻撃力を兼ね備え、どこからともなく現れては暴れまわる本機の出現当初、防衛機構側は有効な対処法を見出せず防戦一方に転じた。

各地で猛威を振るったものの、軽量化のためかフレームの大部分が露出している上に、防御を担うバリア「 TCS 」も長時間の使用はできず防御面に大きな不安を抱えているため近接戦闘は苦手とし、戦闘継続時間も短いなど欠点も多い。

さらに言えば本機の高速飛行能力は各部の推進機に加えてTCSの使用が不可欠であり、長距離移動形態の「サイドワインダーモード」を大気圏内で使う場合バリアで空力を誤魔化した上で推力を後方に集中させることによって無理やりカッ飛んでいるような有様。
主武器もTCSを弾として発射する、またはTCSで斬り付けるというもので、走・攻・守の多くをTCSに頼るかなり危うい機体である。

実際ATCS弾をはじめとした対TCS兵器が実用化されてからは防御面の脆弱さが顕在化してきており、それらの特性から当初はT結晶技術を使用した実験的な機体と見られていたが、後の調査では最初から従来のNSGシリーズとの連携のために考案された仕様である可能性が浮上した。

それらの欠点を差し引いても当時の防衛機構にとっては脅威であったことに変わりなく、本機の出現がYSX-24 バーゼラルド開発の切っ掛けとなる。

いくつかの派生型が存在し、そのいずれも攻撃特化のカスタマイズと戦場に似つかわしくない派手なカラーリングを施されていたとされる。

後に系列機体の多くが無人機と判明したが、極めて高度なAIを搭載しているらしく人間並みの判断能力を持っている。


◇武装
  • TCSオシレーター
機体各所のクリア部分がTCSを発生させる「TCSオシレーター」と呼ばれる装置。
TCSは「T Crystal Shield」の略。
X1では主に機体の空力補助と大気圏突入時の機体保護に用いられる。
NSG-X系のものは機体そのもの(=アーキテクト)と動力を共有しているらしく、戦闘時にバリアとして使われることは少なかったとのこと。
加えてTCSを展開している間は内部からの攻撃もできないため、「こっちだけズルして無敵モード!」なんてことは不可能。
ただしTCS展開時の防御力自体はかなりのもので、殆どの通常兵器を無効にしてしまう*1
さらに被弾によるエネルギー消費はほとんど無いようで、数押しの攻撃では貫通できない。
外観から「ベリルユニット」とも呼ばれる。

  • ベリルショット・ランチャー ×2
NSG-X1の主兵装。基本的に二挺装備する。
TCSオシレータが使われており、TCSを弾丸として発射する。
三八式を一撃で破壊する威力があるとされ、本機を脅威たらしめる一因となった。
ただし大気中では距離に比例して威力が落ちるらしく、有効射程はそれほど長くはない模様。
銃身や銃床(?)などのエッジ部分はTCSを纏わせることで強力な格闘武器として使用できるが、防御面の不安のある本機が積極的に格闘を仕掛けることは無かったとされる。

  • 65mmガンポッド ×2
胴体部に固定された機関砲。
あくまで牽制用で、威力は近距離でようやく素のアーキテクトを撃ち抜ける程度。
スティレットのM547A5以上の口径という結構なサイズなのだが、アーキテクトが頑丈なのかこの武器の弾薬や構造の問題で威力が低いのかは不明。
外観から分かる範囲では銃身が極めて短いため、どちらかといえば構造上の問題かもしれない。


◇キット
2012年1月発売。定価4200円。デザイナーは木下ともたけ氏。

高い可動性を活かしてパーツ差し替えなしでの変形を可能とした意欲的なキット。
その外観と可変機構からFAの中でもかなり人気が高い。
フレーム部分の露出が多く可動域の広さはFAキット全般でも上位に入る。
特徴的なのがベリルショット・ランチャーの構造で、クリア一体成形のパーツに塗装を施すことにより銃身の細く鋭い造形と色分けを両立している*2
そのような配慮もあって色分けは良好だが、目立つ部分に合わせ目が出るため消そうとすると手間がかかる。

2014年3月にバーゼラルド同様全体がクリア成型になった「クリアアーマーセット01〈NSG-X1 フレズヴェルク対応〉」が発売された。定価2800円。
カラーリングとデザインもあってなかなか似合うのだが、ベリルショット・ランチャーが緑一色なので色分けはやや劣る。アーキテクトも付属しないので自前で用意する必要あり。




NSG-X2 フレズヴェルク=アーテル


近接戦闘に特化したフレズヴェルクの派生機体。
カラーリングが白基調に改められているほか、手持ち武器がより大型化された。
武器の重量増により機動性が若干下がったものの、リーチと威力に優れた近接攻撃で凄まじい戦闘力を誇る。

フレズヴェルク系列の中でも特に活躍した機体であり、主に防衛機構のFA開発拠点を叩いて回っていた模様。
またある人物と同じ生体パターンが検出されたり明かに個性のある行動を見せるなど、設定上でも一際異彩を放っている。
後に月面上空にてゼルフィカール/NEと対決。ベリルスマッシャー一本を破壊されるがNE側も継戦能力を失い、両者は痛み分けに終わった。その後の経緯は不明。


◇武装
  • ベリルスマッシャー ×2
長柄状の格闘武器。例によって2本装備する。
状況に合わせて高威力の「アックス」、リーチに優れた「グレイヴ」、正面から敵の死角を突ける「サイズ」の三形態に可変する。
これの装備によって弱点だった接近戦に強くなったものの、操縦難度が上がっているとされる。
一振りが防衛機構の手に渡り、コピー(ウェポンセットのやつ)を作られたりしている。

  • ベリルショット・ライフル
後述のフレズヴェルク=ルフスと同じ射撃兵装。月面上空での戦闘時に装備していたのが確認されている。
ベリルスマッシャー+ライフルという組み合わせは防衛機構のデータベースにない装備パターンだったため、VTOS頼みの戦闘をしていたと思しき防衛機構側FAをあっさり撃墜してみせた。
他にもゼルフィカール/NEとの戦闘時は鍔迫り合いの最中に接射しようとするなど、かなり器用に使いこなしている。

描写から推察するに、ルフス同様テールユニットに2挺を懸架していると思われる。またコトブキヤの設定担当が語った所によると、ベリルユニット部分のカラーリングは本体と同じブルーとのこと。
断定的ではない記述になってしまっているが、これはゼルフィカール/NEのインストに写っている本機のテールユニットが標準の物となっているため。実物を用意したり写真を加工したりするのがめんどくさかったのだろうか


◇キット
2012年10月発売。定価4400円。キャッチコピーは「白皙の魔鳥」。

「俺ズヴェルクカラーリングコンテスト」の最優秀作品を元に成形色をパールホワイト+クリアブルーに変更、さらに木下ともたけ氏がデザインしたベリルスマッシャーを追加したもの。
ベリルスマッシャーはしっかり三段階に変形する素敵仕様。ただしやたら重いため関節強化は必須。こちらもベリルショット・ランチャーと同様に、クリア一体成形の刃パーツに部分塗装を施すことで色分けと強度を両立している。
また各部の青いラインはデカールで再現され、貼るのに手間がかかるため注意。


コトブキヤ店舗での購入特典は無色クリアパーツ一式とベリルショットランチャー。残念ながらベリルスマッシャーのクリアパーツは付属しない。後にルフスに製品の仕様としてデフォルトで封入される事となった。

後に短篇アニメ「A violent struggle」にも出演。それに伴い、成型色を改め、ゼルフィカールとセットになった「フレームアームズバーサスセット〈ゼルフィカールVSフレズヴェルク=アーテル〉」が2015年5月に発売。
  • 未組立アーキテクト×2
  • アーテル本体
  • バーゼラルド本体
  • バーゼラルド用エクステンドアームズ
  • 「A violent struggle」のDVD
  • 設定ブックレット
が一纏めになった超豪華仕様。
当然そのぶん高価(定価9800円)であり、それまで最も高かったスティレット制空部隊仕様の倍近いお値段。




NSG-X3 フレズヴェルク=ルフス


ベリルショット・ライフルを4挺装備した火力特化機。
「ルフス(赤)」の名が示す通り、深紅のカラーリングとなり、サイドワインダーモードがより航空機っぽくなっている。
だからといって三倍速かったりはしない。
というのも性能バランス等は無視してベリルショット・ライフルをとりあえず積めるだけ積んでみたといった状態であるらしく、むしろX1系本来の長所である機動性を大きくスポイルする結果となっているとのこと。どこぞのデカブツを思い出す話である
アーテルとは対照的に射撃戦を得意とし、Xシリーズ最強とされる火力で大暴れしていた。

出現当初は主にヨーロッパ一帯で活動していたらしく、防衛機構が実行した「 オペレーション・バードハント 」によってなんと鹵穫され(もっとも作戦の進行そのものはガッタガタだったが…)、その後の防衛機構側の兵器開発を大きく進展させた。

後に南欧に再び現れ、「前の轍は踏まない」とばかりに武装パージからの高機動戦闘まで披露した。
どうやらAIも逐次更新されている模様。

月面プラント奪還作戦が始まってからも地上をメインに活動していたらしく、防衛機構艦隊増援部隊への追撃にはわざわざ地上からロケットにとりついて宇宙に上がってきた。それも5機同時に。
それまで基本的に単独で活動していたXシリーズが複数同時に現れるのは異例中の異例*3で、月面軍の必死さがうかがえる。


◇武装
  • ベリルショット・ライフル ×4
物理的な砲身と砲口が確認できるベリルウェポンで、上記の2機に比べるとまだ通常の武器っぽさが残っている。4挺のうち2挺はテールユニットに懸架する。
射撃に特化しているらしく、ベリルショット・ランチャーより威力が高いうえ「照射」による薙ぎ払いも可能。ランチャーと名前逆にした方がいいんじゃないか…?
代わりに連射性能が低下しているが、月側も欠点を分かっているのか必ず数挺同時装備する。
砲身の下に幅広の斬撃用ベリルユニットがあるが、どちらかというとサイドワインダーモードにおける翼のような役割の方がメインである模様。
見た目に違わず重量があり、取り回しも悪いらしい。地上反攻作戦に登場した個体はテールユニットの物が外されX1と同一になっており、機動性が改善されている。
ヴァイスハイトθ」も使用しているがあちらは試作型とされており、考え様によってはベリルショットランチャーやベリルスマッシャーよりこちらのほうが設計が古いという可能性もある。


◇キット
かつては「ヴァイスハイトθ」に付属する「試作型ベリルショット・ライフル」とおまけパーツに、ノーマル版フレズヴェルクを塗装して使う必要があった。
後にコトブキヤショップ限定ながらルフス単体でキット化されている。2016年11月発売。定価4800円。キャッチコピーは「紅い刺客」。

成形色がメタリックレッド+クリアパープルに変更。アーキテクトは未組み立て。
アーキテクトがリニューアル版になっており、変態的な可動域を誇る(他のキットでも「:RE」版なら同等になる)。
テールユニットは通常の物も付属する為、後期型として組むことも可能。
前述の通りフレズヴェルク本体用の無色クリアパーツも付属する。




NSG-XX オルトロス


NSG-X1の亜種で、機体バランスや性能からそのプロトタイプとみられている。
特徴的な金色のフレームアーキテクト「ゴールドフレーム」は宇宙空間における極めて高い熱交換効率を発揮し、武装類が過剰搭載されているにもかかわらず高い運動性を獲得した。
一方でTCSオシレーターを搭載していない為、大気圏内での飛行能力は有していない。
コスト、または技術的な問題か、制式機でゴールドフレームの採用は見送られている。
武装としてベリルショットランチャーと同形状の武器と、肩部にガトリングガンを搭載しているが、仔細なスペックは不明。

サイドワインダーモード時の形状から、「双頭の犬」を意味するオルトロスの呼び名が付いた。


◇キット
旧フレームアームズブログに掲載されている作例であり、製品化はしていない。

カラーリングはフレームアーキテクトが金、メイン外装が赤。クリアパーツは灰色に塗りつぶされている。
肩部分にモデリングサポートグッズ「MW-20 ガトリングガン」を挟み込むように接着。
またテールユニット基部にフレームアーキテクト胸部パーツを付け加えて、機種パーツ二つを並行に並べる事が出来るよう改造されている。

本機のカラーリングモチーフは、後に「フレームアームズ・ガール&ラピッドレイダーセット〈フレズヴェルクVer.〉」に採用された。




余談
  • 機体名の「フレズヴェルク」は北欧神話に登場する鷲の姿の巨人の名前から。

  • 「ゼルフィカール/NE」の取説には派生型とおぼしきNSG-XMと呼ばれる機体が登場する。後にフレズヴェルクの簡易量産型と判明しており、ゼルフィカール/NEのパッケージアートのものではないかとも言われるが詳細は不明。

  • フレズヴェルク系のみ駆動骨格が「フレームアーキテクト TYPE001R」となっているが、キットに添付のアーキテクトが肩の形状が異なる専用のものとなっているためと思われる。


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最終更新:2023年08月28日 23:57

*1 少なくとも防衛機構側では高火力な部類となる三八式のLR-PSCを弾いている

*2 塗装済パーツ自体は轟雷から存在するが、フレズヴェルクはシリーズ中でも塗装部位が複雑な形状をしている。

*3 公式のショートストーリー上では、簡易量産型のNSG-XM以外のXシリーズが複数同時に出現した事例は本件のみ。