SCP-1000

登録日:2016/11/29 Tue 11:31:07
更新日:2024/02/21 Wed 22:20:56
所要時間:約 12 分で読めます




SCP-1000はSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスKeter。

概要

SCP-1000は夜行性の生き物で、チンパンジー属やヒト属に属する。要は類人猿。
成体は1.5から3mにまで達するとされ、体重は90から270kgまでとだいぶでかい。
毛の色は灰・茶・黒・赤やときたま白もいる。知能はチンパンジーの平均程度

このSCP-1000なのだが、ある時期まではヒトと同じくらいいたことが想定されているが、
どうやらある時期にイベントが起きて、その数を大きく減らしたようだ。
それは彼らが抱えている特殊な『病気のようなもの』が原因とされている。
SCP-1000-f1とも言われるこの『擬似疾患』は、簡単に言えば「見るだけで伝染り」
2%の確率で死んでしまううえ、何度も見たり見続けたりすると累積して死ぬ確率が増えるというもの。
今生きるSCP-1000は『免疫』を持つようだが、ヒトやチンパンジー、免疫を持たないSCP-1000などに伝染ることから
世界終焉シナリオに繋がるとして危険視されている。

幸いどうやらSCP-1000は本能的に人間との接触を避けているらしく、
すぐに世界終焉シナリオが起こる確率は稀。
だが見ただけでというのはSCP-096のごとく写真なども含まれる。
そのため、財団はありとあらゆるチャンネルや新聞・雑誌媒体をチェックして
SCP-1000が報道されていないか、いたらそれを無害なものに編集してカバーストーリーを流布するなどしている。

簡単に言えば収容できないからKeterというわけだ。
なお絶滅もできない模様。(財団理念的にそもそも無理だが)
現在はジョーンズ局長がこのSCP-1000の担当であり、
ジョーンズ局長の許可を得ない野生あるいは捕獲されたSCP-1000との接触は禁じられている。

財団はSCP-1000を確実に遠ざけるために[編集済]の音を流すという「処置516-Lumina」という手法を採用していたが
ある程度の耐性を獲得されたらしく、現在は非常時にのみ使おうということになっている。
この耐性獲得が進化によるものなのか、それとも意図的なものかは判明していない。
もし意図的であればSCP-1000の良くない兆候らしいが…。

なお財団がSCP-1000の情報を知ったのには要注意団体「蛇の手」の追放者を名乗る「太陽の子ら」と接触したため。
後に太陽の子らは情報提供を出し渋ったため財団によって解体され、一部は財団に、一部は蛇の手に吸収された。
彼らはなにやら道具や技術を持っていて、それらを財団は利用しているという。











サスカッチがSCPだって知ってたか?次はバットボーイでも捕獲するんじゃない?









   *   *
 *   + カバーストーリーです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *


まあそもそもだ、これが他のSCPならともかく、『SCP-1000』でこんな解説なんて陳腐、でしょ?
上述の内容自体がセキュリティクリアランスレベル2以下の職員向けのカバーストーリーである。


概要



SCP-1000 - Bigfoot (ビッグフット)


SCP-1000はビッグフットである。
「ビッグフット?ああ、あのUMAの?」そう、あのUMAの。

ここでもしあなたがビッグフットなんぞに怯える財団に笑うのなら、
それは財団のまさに望んでいるところである。
ビッグフットがなぜ愉快な存在だと思うのだろうか?
それは財団が、あなたがたにビッグフットは愉快でいて欲しいと思っているからである。

そう、ビッグフットが愉快な存在であるということも財団のカバーストーリーである。
ハリウッドのコメディやらドキュメンタリー番組に金を出し、
ゴリラスーツを着た俳優に金を渡し、漫画家を買収してひょうきんなビッグフットの番組を制作させた。
そもそも1958年にトラック運転手が足型の石膏をとったことでビッグフットという呼称が広まったわけだが、
それすら財団のカバーストーリーである。それまでは基本的に「サスカッチ」と呼ぶことが通例であった。

もっというと、上のカバーストーリー部分の下線部

…あれ全部真っ赤な嘘である。

財団は適切なセキュリティクリアランスを持っていない職員にすらもカバーストーリーを流布している。
ビッグフットにそんなまじないめいた死のオーラなんてないし、知能についてもチンパンジー並だなんてそんなそんな。



ヒト並みにありますよ。




太陽の子らとされるグループが研究者に語ったのは、SCP-1000がかつてはこの地球の支配種であったということである。
SCP-1000は夜に生き、人類は昼に生きていた。
しかし人類がまだ獣を追い掛け回していた猿顔の狩猟民族だったころ、SCP-1000はとても発達していた。

彼らは動植物を巧みに組み合わせ、電車も船もとにかくなんでも…それこそ原子爆弾にいたるまで、
SCP-1000は有機的に作り上げた。財団ですら原理が未だ不明なレベルの作品である。
そんなSCP-1000はそれこそ今の人類と同じように繁栄を謳歌していたわけである。

SCP-1000はおそらくはまだホモ・サピエンス・サピエンスになっていない、
ホモ・サピエンス・イダルトゥだった我々人類を、妖精か何かだととらえていたらしく、
なにかしら超常現象が起きると人類のせいにしており、
子供が悪いことをすると我々が食ってしまうと言い伝えていたという。
彼らは我々が今絶滅危惧種を保護するように絶滅危惧種だった我々を保護していたようですらあったが、
密猟者もいたという。媚薬になってたんだとか。

が、ある日我々人類はSCP-1000の技術を知ることになる。
なんでかは正直わかっておらず、ジョーンズ局長は
「多分彼らが我々に道具でも教えたんじゃないのか」なんて推測しているが、
ともあれ人類はSCP-1000の道具を使えるようになり、


――たった一日で、SCP-1000の七割を殺した。


そして次々にそれらを殺していき、最後にごく少数が残ったが、
人類はその少数を殺すのではなく、更にもっと恐ろしいことをやった。

SCP-1000が保持していた機械を使い、彼らをそこいらの猿に戻し、
我々もまた記録と記憶から彼らの情報を消し、
再びただの狩猟民族に、…と言ってももう既に支配種になっているのだが戻り、
一部の人々(それこそ「太陽の子ら」である)だけがその情報を伝え続けた。

そんなSCP-1000は、現在その失ったはずの知能を取り戻しつつある。
ビッグフットはどんどん目撃例が増えているが、それは「SCP-1000が人類に接触を図っている」ということであり、
非常に憂慮すべき事態である。


もし彼らが機会を得たなら、彼らは我々に何をするのでしょう?


解説・余談

人間は悪いのか?

このSCP-1000において、「人間が悪い」という視点に囚われてしまう人が時々いるが、
その当時はまず人間も未発達の猿顔だったわけだしそこまで考えられたかは定かではない。
というか、密猟者もいたくらいだし向こうも接触をあまりしてこなかったので恐怖を抱いていても不思議ではない。
最後の退化も「皆殺しにしなかったのはなぜか」という意見があるが、まだ潜伏しているであろうSCP-1000の対策も兼ねていた可能性はある。
当時の人がほぼ生きていないので(『太陽の子ら』もあんまり協力的ではなさそうだし)真実は闇の中だが。

もっといえば、(この項目では詳しくは語らないが)SCP-1000と関連すると考えられる「SCP-435 - “He-Who-Made-Dark”(『かの闇を作りし者』)」や
SCP-2932 - Titania's Prison(ティターニアの檻)」を見る限り、SCP-1000もまた何かしらの支配種を追いやっている。

つまり、地球上において「二度も支配種が変わっている」。

財団は『K-クラスシナリオ』と呼ばれる言葉を定義している。これは「人類にとって最悪な事態」を指しているが、
このうちの一つ「SK-クラス支配シフトシナリオ」と呼ばれるものがまさに「地球上の支配種が入れ替わる」というものである。
この支配シフトが地球上において二回起きたことが上述のSCP群からわかるというわけである。

矛盾する歴史

ちなみに「SCP-1348 - Inner Sanctum (至聖所)」「SCP-1115 - Distant Early Warning (遠距離早期警戒)」
SCP-1427 - Extinguishing Stele (意識剥奪の石碑)」から導かれるもうひとつのシナリオからは、
SCP-1000の存在は否定されてしまう。こちらでは別の亜人種が登場しており(Homo sapiens descensus)、
この亜人種の支配から人類を解放し、そのために亜人種から罰を受け続ける「Yehom」なる存在が登場するのだ。

SCP-1000と人類の間に起きたであろう支配シフトシナリオとは噛み合っておらず、おまけにYehomが登場した位置から
どうみてもYehomは「ヤハウェ」であろう。一方ティターニアの檻には「Adam El Asem」なる存在が投獄されており、
その存在の説明中で「他に2つの存在のための牢獄を用意している」ことが示されている。
そちらはどう考えても「カインアベル」であることが読み取れ、
この場合SCP-1348とSCP-2932(およびSCP-1000)の語る歴史は食い違うことになる。
亜人種たちは人類を超える機械文明を持つため、動植物による有機テクノロジーを使うSCP-1000とは被らないのだが。

いずれにせよ、その先行の支配種はなぜかGH-デッドグリーンハウスシナリオを生き延びてしまっているようだが。

メタ的なこのSCPの成立

SCP-1000という番号はキリ番であり、SCP Foundation本部ウェブサイトは三桁ナンバーを突破して四桁に移る記念として
「SCP-1000の執筆コンテスト」を行った。
これは本部SCP-2000や日本支部SCP-1000-JPでも行われた。

執筆コンテストは基本的にテーマを定めており、SCP-2000は「サイエンス・フィクション」、SCP-1000-JPは「日本」がテーマだった。
ではそれらの先輩格に当たるSCP-1000は何だったかというと、「都市伝説」であったのだ。

つまり、元々ある程度知名度のある都市伝説という、SCPを作成する条件としては非常に厳しいものである。
(SCPは目新しさが重要な評価ファクターであり、都市伝説という「なじみの深い」モチーフはハードである)
が、そのコンテストに、thedeadlymoose氏は「(改稿を除いては)最初に作成したSCP」としてこれを投稿したのである*1

このSCPのポイントとしては「ビッグフットが人間になかなか発見されない理由」を、
まずカバーストーリー部分で「答え」を示し、それなりに「らしい」処置を書きつつ、前半部はややさっぱりと書く。
そして補完文書を読んだ瞬間に、本当の「答え」を示して人間に危機を示しているのである。
(ちなみにカバーストーリー部分でも、ちゃんと読むとSCP-1000に地味に人間が追い詰められていることが処置516-Luminaの記載でわかる。
処置516-Luminaは結局なにをしているのかは謎だが、それに対して知能を有するSCP-1000が「たまたま進化によって」対抗したとは思い難い。)

これが受け入れられ、なんとthedeadlymoose氏は一番最初に書いたSCPがSCP-1000という栄えある称号を手に入れることになったのである。

最後に

SCP-1000はどうやら度々財団職員と接触を図っているようである。
普段は独自の言語を使うのだが、最近は簡単な英語も使うようになったという。





we forgive you;
ゆるすよ;
given choice for now, not forever;
いまはえらべる、ずっとはまたない;
let us back in
やりなおそう



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最終更新:2024年02月21日 22:20

*1 改稿自体は行っていたのでまったく執筆経験がなかったわけではない。ゼロから書いたのがこれが初ということである