ノコギガッター(風来のシレン)

登録日:2016/11/27 (日) 03:03:58
更新日:2024/03/02 Sat 12:43:41
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概要

ノコギガッターとはローグライクゲームの人気シリーズである風来のシレンに登場するモンスター。
初出は「風来のシレンGB2 砂漠の魔城」で、登場作品は前述の風来のシレンGB2とリメイクであるDS2版の二作のみ。
マイナーな立ち位置であるが、経験者の多くが苦しめられた敵として名を挙げるモンスターである。


解説

コクワガッター系のレベル3モンスターで、
コクワガッタークーワガッターノコギガッターオオクワガッターという順番で進化していく。
オオクワガッターに関してはDS2版に追加された新モンスター。
(補足すると、シレンのモンスターはダンジョンの難易度が高くなるか、ダンジョンを深い階層に潜るほど高レベルなものが出現。また、シレンの仲間を倒したり何らかの事故によるモンスターの同士討ちでレベルが1つ上がる。)

名前の通り、クワガタムシのモンスター(レベル3の名前の由来はノコギリクワガタから)。
このコクワガッター系の共通の能力は、主人公である「シレン」または「仲間」、「モンスター」の隣接したいずれか1つをシレンや仲間に投げつけてくるというもの。

それぞれ射程が異なりGB2版での射程はコクワガッターが2マス、クーワガッターが5マス、ノコギガッターは10マスとなっている。
DS2版では仕様変更により射程が伸び、5マス→10マス→15マス→20マスとなった。

なお、似たような能力を持つモンスターとして「タイガーウッホ」系が「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!」から登場している。
タイガーウッホの出演作品は「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「DS1」、「外伝」、「ネットサル」とかなり多い。
コクワガッター系の出演機会が絞られている理由はまったくの謎。見た目的には、ゴリラや虎よりクワガタの方が人気がありそうだが……
というか、シレンGB2初出のモンスターで他作品に出演しているのはイカキングしかいない。モデル新規作成の手間を減らすためだろうか。
あるいはギャザーとのかぶりを危惧されたという説を唱えておく。

その危険性について

ローグライクというゲームは「歩く」や「話す」、「攻撃する」「アイテムを使う」といった行動が1ターン扱いであり、
その1ターンの間にどれだけ最適解を出せるかがクリアするカギである。
つまり1ターンの重みがかなり大きい。終盤ならばなおさらで、
「主人公であるシレンが倒れる=手持ちのアイテム全没収+ダンジョンの最初からやりなおし」になってしまうため極力可能な限り運の要素は廃絶したい。

しかし、コクワガッター系は離れているマスから急にモンスターを投げてきたり、シレン自身を別のモンスターのところに投げたりしてくるので、状況の変移が著しく大きい。
おまけにコクワガッター系は識別状態(アイテム効果で見えていたり、シレン自身が踏んでしまったり等)の罠に投げてくる。そしてその罠の効果は必ず発動する。
特に被害が大きい「大型地雷の罠(特別な状態でない限り強制的にHPが1)」や「睡眠の罠(数ターン眠ってしまう)」
あたりに投げつけられた日にゃ、よほど装備を鍛えていない限り瞬く間に瀕死状態に陥ってしまうのだ。

じゃあ射程範囲内にそういうのがなければいいんでしょ? と思うかもしれないが、
該当モンスターであるノコギガッターは非情にも「未識別状態の罠」にすら投げてくるようになる。しかも範囲は10マス
この範囲なら特殊な地形でもない限りほぼ罠が存在するため、ノコギガッターが特技を使えない状況はほとんどない。非常に凶悪。

飛ばされた先がモンスターハウスだった場合、なんの準備もなく大量のモンスターと戦わなければならなくなる。
そしてモンスターハウスはモンスターと罠の巣窟なので……
もしそのモンスターハウスに別のノコギガッターが存在した場合、
たった一歩…たかが一歩歩いただけなのに画面を眺めてることしかできなかった…という事態が十分起こり得る。

……と、ここまでなら先に挙げたタイガーウッホ系と同様の特技である。
では、何故ノコギガッターがタイガーウッホ系より凶悪と云われているかというと……

タイガーウッホ系は、「シレンにモンスターを投げつける」事はシレンと同じ部屋にいる時にしか行わないのだが、
ノコギガッターは射程範囲内ならシレンが見えていない場所からもモンスターを投げてくる。
また、デブータ系やGB2のウルロイド系同様に、互いが見えていない通路から部屋にも投げてくる。
タイガーウッホ系はこんな暴挙はやってこないので、なおさら印象を強く残したのだ。

より分かりやすく説明すると、二つ部屋があって直接通路で繋がっていなかったとしても、隣の部屋からノコギガッターは他のキャラを投げ込んでくる。
もしもその隣の部屋がモンスターハウスだったなら、モンスターハウスが空っぽになるまでモンスターを次々と投げつけてくる。

射程が10マスと一見短いようにみえるが、シレンGB2は容量の関係か今までのシリーズと比べてフロア全体が狭く、敵同士が隣接する機会が多い。
また、ノコギガッターに投げられた敵は投げられたターンでは攻撃してこないが、ノコギガッターがノコギガッターを投げたときのみ例外で、投げられたノコギガッターが即行動してくる。
その結果、部屋単位で離れていて踏みようがない罠であっても無理やり踏まされるとかいう、こちらを唖然とさせる事態に叩き込んでくる。

ここまで厄介な能力を持っておきながら出現階層も幅広く、奈落の果てを始めとした高難易度ダンジョンでは70~84Fまで長期出現する。(鍛冶屋のかまどでは50~69F)
出現率が低いわけでもないので該当フロアにたどり着いて、一歩足を踏み出した瞬間、あらぬ方向からモンスターが飛んできて殴られ大ダメージor特殊能力…なんてことが高確率で起きる。
しかも投げ飛んできたモンスターがさらにノコギガッターだった場合、またさらにそのノコギガッターの能力で変なところに飛ばされ、キャッチボールまがいの事をされることもしばしば。

風来のシレンシリーズで忌み嫌われているモンスターは数多く存在するが、それらは状態異常を無効化する装備や、
特技を使われる前に封印の杖で能力を封印するなど、何かしらの対処が可能なものも多い。

しかし、このノコギガッターに関してはそれらが活用できない事も多い。
「シレンが他のモンスターに投げつけられる」のは未然にある程度対策が可能でも、「他のモンスターをシレンに投げつけられる」のを常時防ぐのは現実的に不可能。
封印の杖もそもそも範囲内にいないことが多いし、かなしばりの杖も投擲されてしまえばすぐ解除されてしまう。
投げられてきたモンスターの方に封印の杖を使ってやる価値はあるかもわからんが。

また正面から殴ろうにも全モンスターの中でも上位に数えられるほど固く、弱点もつけず、殴り合いの最中にもシレンを他のモンスターに投げようとするため並の装備では倒すのに時間がかかってしまう。
など、1ターンの重みを直に感じさせてくれるモンスターである。

厄介なことにイカリ状態という能力しか使わなくなる状態異常もあるため、とにかくこのモンスターが登場するフロアでは一歩一歩が地獄の三丁目を歩く思いなのだ。

先人たちの対処法

まず一番に心がけることは、多少殴られても耐えられるだけのHPを常に維持することと、盾の強化をしっかりすること。
ノコギガッターがそのまま登場するフロアでは他にも厄介な能力を持つものも多い。とりあえず出現テーブルをある程度覚えていって、
そんな奴等1~2体から一斉に殴られたとしても何とか踏みとどまれるくらいの状況を、マメに保っておきたい。

次に、ノコギガッター自体をどうにかするというより、投げられた後のことを考えたほうがいいかもしれない。
地雷ナバリの盾を合成して地雷系の罠に投げ込まれた時のダメージを減らしておいたり、
眠り状態を無効にするめざましの腕輪を装備しておいたりして、投げられてもセーフな状況を作って対抗しよう。

特に地雷ナバリ系は、行動の強化とこちらのHP上限とがあいまって、シレン2より強化されているウルロイド系や、
それに加えてばくだんウニ系や地雷系の罠が自重してくれない「爆弾ゾーン」とまで称される、奈落の果て60~66Fに対する対抗策としても有力で、流用がきく。

別のシリーズには移動系の効果を無効化する動かず/不動の盾があるのだが、本作にはない。あればメインに合成する価値もあったのだが、ここはこらえよう。

上記の対策をしたとしても敵を投げこまれることに苦痛を感じる場合は「ねだやしの巻物」の出番である。
GB2ではこのノコギガッターか、タベラレルーとのコンボがあぶないスカイドラゴンに対して使われるのがメジャー。もしものために原本か白紙を温存すると安心できる。
DS2版では弱体化によりこれを投入する必要性は減ったという考えもある。

そしてDS2版になって

全体的に敵の攻撃力が上がった一方で、コクワガッター系は特殊能力に下方修正がかけられている。
具体的には以下の二つの点がオミットされ、射程も投げ反応範囲もタイガーウッホ系と同じに落ち着いた。

  • 視界外から敵を投げつけることがなくなった
ハードの進化と同時についた弱体化点。
射程が伸びたことは強化点だが、これにより別の部屋から飛来、通路の方から飛来ということはなくなった。

射程よりも「予測不能なタイミングで増援が送られる事」のほうが遥かに脅威であるためかなりの弱体化。
(シレン4でもシレンの見えない位置から自分の周りにシレンとモンスター数匹を呼び寄せる特殊能力を持つドレッドラビが凶悪モンスターとしてクローズアップされている。)
敵が複数いるところでもしかしたらノコギガッターが投げ込んでくるかも、と警戒できるなら、打つ手を考える余裕もできるというもの。

  • 見えていないワナにシレンを投げることはなくなった
先述の通り洒落にならない、未識別状態の罠に投げるという効果もオミットされた。
この行動は元々タイガーウッホ系も使えたものだが、全員使えなくなったので弱体化した印象を強く残している。

オオクワガッターという上位種が登場したが、出現するダンジョンが少ないし、名前もどことなくダサい。
せめてミヤマガッターにすればよかったのに。

ノコギガッター自身の攻撃力やタフさは変わっていないが、GB2のインパクトに比べるとあまりにも弱くなっている。

最後に

風来のシレンGB2はシリーズ初であるゲームボーイカラー対応作品であり、また以降のシリーズでもしっかり引き継がれ、よりシリーズに深みを持たせたシステムもここから。
各武具の強化値や合成できる印数に上限を設けたり、それらに併せてモンスターの能力等の調整により、
装備を一切せずにクリアできるほどのバランスに仕上げられた作品でもある。
後のシリーズでも恒例化した祝福効果や携帯ゲーム機の特性を利用した風来救助隊もGB2から登場。シリーズでも屈指の出来と言われるまでに評価されている。

そんな中でリメイクを経てここまで大幅な弱体化を受けたモンスターは存在せず、ある意味風来のシレンGB2~砂漠の魔城~をプレイした人に対して、
ノコギガッターは? と聞けばまず間違いなく「凶悪」とされるその一方で「1ターンの重みを教えてくれる先生」「消えたけどそれはそれでさみしい」など、
数々の意見が出るのも中々見ない光景である。

出ていきなり根絶やし筆頭モンスターにされ、リメイクされた途端その面影が消え失せてしまい頂点から転落する様はなんとも形容しがたい、
ある種風来のシレンシリーズにおいて象徴的なモンスターと言えるのかもしれない。


追記・修正は項目と編集者と、互いを認識していない射程10マスのどこかにいずれかが立った時点でお願いします。

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最終更新:2024年03月02日 12:43