機動戦士ガンダム(冒険王版)

登録日:2016/11/23 Wed 22:05:07
更新日:2024/03/07 Thu 02:33:19
所要時間:約 18 分で読めます





機動戦士ガンダム』___これを知らぬ日本人は今やおるまい。

世界中で「ロボットアニメ」の代名詞として『マジンガーZ』を凌駕しかねない程の知名度を有し、
プラモは4億個以上発売され、毎年のようにゲームが制作される。
新作が次々に発表される中、原典にして頂点と称される「一年戦争」はいつまでも外伝が作られ続ける…。

そんな『ガンダム』であるが、放映中はすこぶる評価は低かった。
何せ、当時のロボットアニメといえば(今もかもしれないが)
「地獄の軍団が毎週違うロボットを繰り出し、主人公機のスーパーパワーで世界は救われる」みたいなノリが一般的であり、
「毎週同じデザインのメカを使いまわし、アニメで描かれるのは戦争の一部だけ、主人公は文句を言ってばかりいる」アニメなど無かったのである。
高年齢層の視聴者の人気は高かったのだがいかんせん玩具売上や視聴率は伸び悩み、最終的に全43話で打ち切りを喰らうことになってしまった。
この後どうやってガンダム・ビジネスが復帰を遂げたかは該当項目を参照してほしい。


前置きが長くなったが、そんな『ガンダム』は放映当時、他のスーパーロボットアニメとあまり変わらない扱いを(児童誌では)受けていた。
正義の怒りをぶつけろガンダム♪」というあのド派手なOPを見れば

掲載誌 講談社  テレビマガジン
         たのしい幼稚園
    秋田書店 冒険王    

などと記されていたくらいである。
『テレマガ』『たの幼』は現在も刊行中だが、この『冒険王』は『週刊少年チャンピオン』で知られる秋田書店が刊行していた、
まあ…小学館で言う所の『てれびくん』『コロコロコミック』あたりの扱いの児童誌であった。
そこで掲載されていたのがこの岡崎優氏による(後に伝説と称される)コミカライズである。


《目次》


概要

この岡崎氏はダイナミックプロ出身であり、しかもサンライズ(制作会社)は彼に簡単な資料しか与えていなかったので、
当時家にテレビが無かった岡崎氏は思いっきり師匠・永井豪のノリで『ガンダム』を描いてしまったのである*1
その結果どうなったか?出来上がったのはGガンダムのノリで話が進む初代ガンダム』であった。

大雑把なシナリオはそのままながら、原作と明らかに乖離した設定・演出で物語は読者の斜め上を突っ走り、
最終的にアニメ打ち切りによりジオンと決着をつけることもかなわずに終わってしまった。
(一応キシリアから連邦艦隊がジオン本国に来ているという通信が直前にあるので、最悪でもジオン公国が連邦軍に降伏したのは想像できるが。)

後にガンダムブームが勃興し劇場版ガンダムが公開されると、冒険王に「めぐりあい宇宙編」が掲載。
こちらはちゃんと映画を見て描いたため、原作を割と順守した内容になっている。
まあ、そのせいで漫画版最終回でMSごと真っ二つになったはずのマ・クベが無傷で生還しているという矛盾が発生しているが…。
厳密に考えれば、TV版ベースの10話分と、「めぐりあい宇宙編」は直接繋がってる訳ではないと考えるべきだろう。

現在では「そったらーてめーっ念仏唱えろーー!!」の『機動戦士ガンダムF91』、「電子レンジに入れられたダイナマイトだ」の『機動戦士Vガンダム』と並び称される
スーパー系に振り切ったガンダムコミカライズと名高い。


登場人物

地球連邦軍

ホワイトベース

主人公。眉毛がキリリとしたイケメンで、髪型はちょっとキラっぽい。
原作では地球降下前まではウジウジしていたフシがあるが、本作ではジオン襲来を受けて「何が何でも仲間を守らねば!!!」といった性格に豹変しており、
●ジーンとデニムのザクを倒した後も「もっと早く乗っていれば…」と驚愕しつつも被害を出してしまったことを悔やむ
●何も命令が出ていないのにジオン軍MSが接近したと知るや否や勝手にガンダムに乗り込んで出撃
●ザクを撃墜して「ざまあみろ!!」
●避難民がWBに載っていることを忘れて退避を嫌がる
大気圏突入の命令に対して「くそっしょうがねえな」
●敵軍の中にシャアがいなかっただけで「ちっ、こんどは赤い彗星抜きかい!」
●グフを「きさまら」呼ばわり
「満足に寝させてもくれねえのかよ。重いんだよな、重圧がよ」という乱暴すぎる独白
などとやたらと熱血・好戦的に描かれている
されど、眼前でついさっきまで仲良く暮らしていた知り合いをブチ殺されまくればこのくらいキレてもおかしくは無く(後発の作品だとシン・アスカなどが該当)、
アニメ版でも「相手がザクなら人間じゃないんだ」と恐怖を乗り越えようとしていたため、根底に流れる敵愾心はさほど変わらないのかもしれない(と思いたい)。
特にギレンの演説を聞いて憤激し「うおーっ!!」と叫びながらテレビ画面をパンチでブチ砕き「負けんぞ………絶対にキサマらなどに負けるものか…!!」とキレた一幕は語り草(この描写の詳細については後述)。*2

これらの豹変ぶりはWBクルーたちも作中で言及しており、ブライトからは「最近人間が変わっちまった……」とまで断言されている。
……が、TVシリーズのシナリオとの接合性を取るためか、その次のエピソードでは「弱い性格」と掌返しされてしまった。
その結果グレてアニメ版同様脱走しちゃうわけだが、ラル隊強襲の際にリュウが帰還するよう告げた時には「やっと僕の力が必要だとわかったんですね」と暗黒微笑。
その後、リュウさんがアニメ版同様に戦死すると怒りのままにギャロップを撃破するも、
チームワークを乱しリュウを死なせてしまった責任を取らされ謹慎処分を受け、ブライトを呼び捨てにして怒鳴り散らす。
連邦軍本部到着後は正式にガンダムのパイロットとして認定を受け、ジオン軍相手に一騎当千の戦いぶりを見せた。
以降は過激な言動はややセーブされ、原作に近くなっている(ように見える)。

白目がある。キャラデザが某いい男っぽいとの声も。
責任感とリーダーシップに満ちた好青年だが、しょっちゅう命令を無視するアムロの破天荒な戦いぶりに頭を痛めている。どっちかっつーとそれΖ以降…。
前述のようにモニターを叩き割ったアムロを見た際はニンマリと笑っていたが。

原作とほとんど変わらない。

ギャロップの砲撃からガンダムを庇い、命を落とす。

可愛い。そばかすと黒髪が似合う美少女。ちょっと気が強い所もある。
なぜか連載最終回の打ち切りエンド(「〇〇の勇気が世界を救うと信じて…」的なナレーションで締められるタイプ)では、
セイラとかを差し置いてアムロとブライトに次いで〇〇に名前を挙げられるという扱いを受けた。作者の趣味?

  • ミライ・ヤシマ
若干ふっくらしている。何故か黒ベタやトーンではなく白抜きの髪。
雑誌掲載時には初期設定どおりの「ミライ・エイランド」だったのは内緒だ。

すごい美人(全体的に冒険王版はキャラデザが少女漫画風だが、後に岡崎氏はレディコミを手掛けるようになる)。
あんまり原作と変わらないが、シャアとの確執はラルさんがちょこっとほのめかしただけで打ち切りになってしまった。
めぐりあい宇宙編ではいつの間にかシャアとの再会を果たした設定になっている。

  • カツ・ハウィン
Ζガンダム』での片鱗なのか、アムロに対してかなり態度が大きい。作者に先見性があったのか…
「アムロだ!」(キッカ
「アムロ!」(レツ)
アムロよくやったぞ」(カツ)

その他

顔色が悪く体調がすぐれない。
ゴッグをホワイトベースによる押し潰しで倒した事について「いや、あれでいいんだ…」と、肯定的に見ていた。
ホワイトベースやガンダムをブライトのような新人やアムロのような素人に任せていた理由を考えると、ある意味原作通りである。
隣にいた士官は「ムチャクチャだ、あんな作戦は…」とドン引きしていた。

  • ウッディ・マルデン
マチルダさんがいない…。

ジオン公国

ザビ家

原作通りレビルと心中させられてしまう。

原作通りガルマのを戦意高揚にたきつけた。そのせいで雑誌連載ではテレビが1個オジャンになった

あまり原作と変わらない。

ガルマの死のシーンで初登場、かなり急ぎ足の最終話にも登場する。使っている旗艦はただのムサイ級。シャアもファルメルに乗っているのに…
飛んできたゾックの破片が旗艦に激突して大爆発するが、めぐりあい宇宙編では何事もなかったかのように戦場に戻っていたバケモノ。
ページの都合上「やらせはせんぞ!」はカットされ、ガンダムにビグ・ザムごとぶった切られ戦死。
ゼナとミネバもめぐりあい宇宙編で登場する。

「はかったなシャア!!!」のシーンがえらく省略されてしまったせいで、「シャアの計略にいとも簡単に引っかかった無能な指揮官」みたいな扱いになっている…。
またシャアと指を絡めるシーンがある。確かに放送当時、ソッチ系の人気はあったけど。

軍人

イケメン。まだ設定が固まってなかったため、サイド7をバスターコールで沈めてしまったり(『ポケットの中の戦争』のキリングのノリ)、
ガルマを上記の作戦で始末した際には「これでおれは王子最後の作戦に従軍した英雄だ」と鼻で笑ったりと(そして原作通り左還される)、
アムロに肩を並べるほど破天荒。
デザインがTV版と微妙に違い、漫画内ではTVでは白いヘルメットがかなり暗い色(黒 or 赤?)で描かれている(単行本表紙はTV版準拠)。
仮面の色はスカイブルー(知っての通り、原作ではグレー)。あと服の上からでも分かるレベルで腹筋が割れている
あとめぐりあい宇宙編では何事もなかったかのようにセイラとの血縁が明かされた。

雑誌連載版だと作者がデニムと名前を逆に記憶していたようで、デニム相手に偉そうな口をきいていた。
シャアは「ベテランだと功を焦るだろうから」と言うことで新兵の彼らが探索任務を行うことになったのだが、
WBを見るなり「叩き潰すならいまだ!」といきり立ち、歩くのもやっとのガンダムに簡単に仕留められるというシャアの読みが裏目に出る結果となった。

雑誌連載版だとジーンと名前を逆に記憶していたようで、「叩き潰すならいまだ!!」がこっちの発言になっている。
いくらザクに乗らねばいけないからとはいえ、ノーマルスーツで往来を歩くような常識のないヤツを斥候に回すシャアもシャアだ。

あまりキャラ自体は原作と変わらないが、アムロの鬼神の如き戦いぶりにめっちゃ戦慄している。
原作よりグフが量産されていたので合計8機も連れてきていたが、ガンダムは強くどんどん倒されてしまい、
WBとの最終決戦では1機だけ残ったグフで奇襲を仕掛けるもガンダムが駆け付ける前に砲撃で吹っ飛ばされた
吹き飛ばされた先で、偶然再会を果たしたセイラに「私です! ランバ・ラルです!」と問いかけようとするも、
敵兵に襲われていると勘違いしたブライトの銃撃(※ブライト視点からすればおかしな行為ではない)であっさり倒れる。

  • クラウレ・ハモン
ラルと共に最終決戦に挑むも、乗っていたギャロップごとガンダムに粉砕された。
夫と同じ場所で死ねただけ原作よりはマシかもしんない。
ガンダムハンマーで大暴れするガンダムを見て「なんておそろしい…」と呟いているがその通りすぎて何も言えない。

初登場はアムロ脱走編。最終回では宇宙でゾックに載って出撃するが、ガンダムに唐竹割にされた。
めぐりあい宇宙編ではギャンがカットされたため死なずに済んだ。

  • コンスコン
気の毒。

登場する前にアニメが打ち切られてしまったため、めぐりあい宇宙編のみ登場。物語の重要なカギを握る。
アムロとの戦いではかなりコワい顔をして立ち向かった。



登場兵器

MS

みんな大好き連邦の白い悪魔。途 轍 も な く 強 い 。
戦艦をも沈めるビームライフルも強力だが、基本的に剛腕溢れるパワーでジオンのMSを蚊蜻蛉の如く蹴散らしていく。
その怪力たるやシャア専用ザクの羽交い絞めを難なく振りほどき、グフのヒートロッドで絡め取られても逆にゴッツンコさせて撃破し、
挙句の果てにはギャロップをブン投げるほど。
闘い続けるうちにビームサーベルを使用した剣術も冴え(まあ原作でも水爆ミサイルぶった切ってたし)、
4体のズゴックを瞬時に斬り裂き、アッザムを一刀両断し、戦艦相手にも動力炉を貫いて撃破を果たした。
ガンダムハンマーは十字型に変更され、一撃でグフの首を刎ね飛ばしている。もうハンマーである必要が全くない*3
「ガンダム、ゴー!!」と叫ぶと鉄腕アトムのように空を飛べる便利仕様。
装甲はありえないほど頑健であり、ムサイからビーム砲で撃たれようが*4、ガンタンクをシャアザクから投げつけられようが、
ゴッグの爆雷を受けようが、ゾックに体当たりされようが損傷は軽微(ただ操縦するアムロは流石に苦しんだ)で、
作中まともにダメージを与えたのはジオングのみという超安全設計である。
設計も完全オートマで、初めて乗ったアムロが「ええいこのスイッチだ!!」とボタンを押しただけで勝手にパンチを繰り出してザクを倒した
が、セイラが乗った時にはギコちない動きしかしなかった。アムロが自分用にOSを書き換えでもしたのだろうか

出撃ポーズがまるで忍者。めぐりあい宇宙編にて映画版に合わせ109が登場して2機になった。
240mmキャノンは強力無比で、クワメルを一撃で粉砕している。

時々「ガン・タンク」と表記される。間違っちゃいないが。
TV版同様、宇宙戦でジオン軍に撃破されてしまい退場、めぐりあい宇宙編ではリストラ。

ザコ。

モブ

旧ザクが登場しないためザクとしか呼ばれない。間違いという訳ではないが。
原作以上にひ弱で、ガンダムにパンチ一発で2機まとめてぶっ壊されるなど、完全にカマセ。
まあ、原作でも戦車に倒れ込んだだけで大爆発したり、戦闘機のミサイル数発で沈んだりしてたけど。
ガンダム同様、地球上の空を平然と飛び回れる。クスィー形無し。
ザクマシンガンも人間の体に穴を開ける程度の、なんとも小口径の物を使用している。
よほど大量のミノフスキー粉をばらまいているのか、接近ギリギリまで連邦軍に認識されないことが多い。
「ウウッ ザクが目の前まで!」

ガンダムを羽交い絞めにしたり、ガンタンクをブン投げたりとやっぱり格闘向きな性能。
「赤い彗星だって!? そういや やけにすばやい!」
最後は原作通りシャアが左遷された為没収。爆発四散した小説版やORIGIN版よりはマシか。

WBが地球に来た時点で量産化されまくっている。つまりザクとほとんど扱いが変わらない。
フィンガーバルカンはWBを損傷させるなど威力が高いが、ヒートロッドはガンダム相手にはほとんど役に立たなかった。

「ブオオオオ~~ン」と吠える重装甲型水陸両用MS。
連邦軍ベルファスト基地を襲撃するも、一機はガンダムハンマーでぶった切られ何が「なんともないぜ」だ、もう一機もWBに押しつぶされて御煎餅になった。

伝説の「シャア専用アッガイ」がある(塗装が間に合わなかったのか赤くないしツノがない)。
「こ、こいつ…シャアか!?」
聞きたいのはこっちだ。
これの影響があったのかどうかは不明だがその後もハマーンダリルなど強敵がアッガイに乗るというシュールな光景が見られるようになった。

何と宇宙で戦う
最終回にてジオン艦隊に殴り込んできたV三兄弟に向け、モビルスーツにはモビルスーツだとばかりにドズルが差し向けた。
しかしアムロによって編隊はバラバラに分散され、各個撃破されてしまった。戦いは数だよ兄貴!
後にBORNや別のガンダム作品に理論的にリスペクトされた。

それから45年後、宇宙世紀ではないが本当に宇宙で戦うズゴックが映像化されてしまった。

マ・クベがキシリア様から賜った専用機。雑誌連載版のラスボス。ズゴック同様宇宙で戦う
ツメでかくとうにがてなガンタンクを半壊させるも、突進した所をガンダムに真っ二つにされ、更に破片がドズル艦に衝突してしまう。
こちらも後にBORNされた。
キシリアからはMAと呼ばれており、再び宇宙に上がったばかりのWB隊を巨体と高機動力で翻弄したあたりアニメでのビグロやザクレロのプロットも用いられたのかもしれない。


黒い三連星編がカットされたため、小説版宜しく通常ドムは一切登場せずいきなりこいつらが「めぐりあい宇宙編」で登場。勿論三分も持たずに全滅。

  • シャア専用ゲルググ
終盤に登場。どうもゲルググの量産は間に合わなかったようだ。

真のラスボスただの体当たりでジムを木っ端微塵にするほど強い(まぁ乾燥重量151tもあるのでこのくらいできそうな気がするが)。
ガンダムシールドをわずか二発で破壊するなどかなり強いが、ページの都合上いつやられたかもわからないうちに首だけにされ、ラストシューティングで撃破された。


MA

ガンダムに2ページで両断された。

「めぐりあい宇宙編」に登場。故にあまり原作と変わらない。


艦船・戦闘機・陸戦兵器など

サイド7諸共ジオン艦のミサイルシャワーにさらされても、ゴッグを押し潰して破壊しても耐え抜いた無敵の宇宙空母。
その割にはギャロップの砲撃であっさり航行不能になったりしているが。
反面レーダーはとことんダメなようで、敵が目前に迫らないと気づく事ができない。

Gファイターが尺の都合で丸カットされたため違和感なく挿入されている。

地上兵器なのに空を飛ぶホワイトベースの偵察に駆り出される(当然陸路)。

  • ギャロップ
ガンダムに(文字通り)投げ飛ばされて大破。

  • ジオン艦の皆さん
出てくるたびにガンダムやガンキャノンに落とされる。
本来宇宙用の戦艦も多いが、彼らは地球を自由に飛び回れるようだ。


単行本

この手のコミカライズの例に漏れず、掲載時には単行本化されることは無く、
「めぐりあい宇宙」完結後の1982年に秋田書店サンデーコミックスからやっと単行本化された(ただし第6話・7話は未収録)。
……のだが、1998年になって『まんが秘宝 Vol.3 まんがチャンピオンまつり ぶっちぎりヒーロー道・リターンズ』なる雑誌で
この破天荒さがネタにされ、同年10月に大都社から復刻版が創刊された。
これにより、だいぶ原作とは異なる部分が修正されたのだが、第6話・7話に加え最終回もカットされた(した方が「めぐりあい~」に繋げ易くはなるが)。
2003年には秋田書店からコンビニコミックス版が刊行され、こちらでようやく完全版が読めるようになった。

2011年にはマンガショップのサンライズ・ロボット漫画コレクションから、雑誌連載版を可能な限り再現した完全復刻版が刊行された。
件の「TVモニターを破壊するアムロ」も完全収録されているので、今買うならこちらがお勧め。


余談

  • 第1話でアムロがガンダムの説明書を読んだとき、表紙に思いっ切りカタカナで「ガンダム」と書いてあることはよくネタにされる。
  • 「めぐりあい宇宙編」以降はテレビを買ったのか、岡崎氏も『太陽の牙ダグラム』や『装甲騎兵ボトムズ』に関しては妙なノリを残しつつも割と普通のコミカライズを描いている。
    また岡崎氏は本作の前年には『無敵鋼人ダイターン3』のコミカライズを手掛けており、こちらは割と原作に近い。まあ、富野御大自ら明るくしたと言ってるしね。
    これらも『ガンダム』同様、マンガショップから単行本化を果たしており(ダグラムとボトムズは合本)、これらに加えて岩田廉太郎氏による『無敵超人ザンボット3』の単行本、計4冊を購入することで、著者インタビューなどを掲載した「サンライズロボット漫画読本」が応募者全員にプレゼントされるキャンペーンが刊行当時に行われていた。



  • 本作はガンダム黎明期の作品だからこそ生まれえた作品だが、同じくガンダム黎明期の作品である小説版ガンダムもやっぱりすごい。ベクトルこそ違うが、テレビ版と共通点がないところは同じ

  • コミックボンボンで連載されていた『プラモ狂四郎』の作者・やまと虹一は当時アニメ本編を見た事がなく、資料がこの「冒険王版」しか無かったと後に語っている。
    同作がパーフェクトガンダム武者ガンダムの出典であることは周知の事実であるが、この冒険王版が無ければ後のSDガンダムも作られなかったのではないか…というのは買いかぶりすぎであろうか。

「テレビぶち割り事件」の真相

本漫画の象徴的エピソードとして頻繁に話題に挙がる、アムロがギレンの映ったテレビを殴り壊した一件だが、
実は『週刊テレビ番組』1979年6月29日号に掲載されたTV版ガンダムの「ジオンの脅威」のシナリオでは、
パイロット・スーツのアムロの拳がスクリーンを打ち砕く」という衝撃的な一節がしっかり掲載されていたりする。
つまりこの描写は岡崎優氏のオリジナルではなく、当初のシナリオを忠実に再現しただけに過ぎなかったのだ。
漫画のアムロはシナリオの記述と異なり制服姿、つまり素手でモニターを粉砕しているが。

余談だがこの時のセリフ「負けんぞ………絶対にキサマらなどに負けるものか…!!」は、ゲーム『SDガンダムバトルアライアンス』で遂に古谷徹氏が発することとなった
聞きたい方はアムロ(一年戦争版)をドモンと僚機にしてみよう。




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最終更新:2024年03月07日 02:33

*1 このような原作とコミカライズの齟齬は昔の環境では結構多く、『ウルトラマン』などでも見られる。

*2 大都社・秋田書店のコミックスではカットされているが、マンガショップの単行本で雑誌連載版が復活した

*3 厳密にはこれはガンダムハンマーではなく、アニメ放送当時に児童誌などでガンダムの武器として掲載されていた「ビート・ハンマー」なる武器であると指摘する意見もある。

*4 念のために書いておくが、一年戦争当時のMSは対ビームの攻略手段が無いに等しい為、照射面積当たりの比熱が核よりも甚大なメガ粒子砲など食らえば一発でお陀仏である。後発の作品だと特殊コーティングで防いだりしているが。