ジラース

登録日:2016/10/16 Sun 07:13:28
更新日:2024/04/09 Tue 22:56:53
所要時間:約 5 分で読めます







もしかして……ゴジラ






あの爛々と光る眼を見てみろ! あの猛り狂った口元を見てくれ! 

ジラースは俺の作り上げた最高傑作だ!






ジラースとは『ウルトラマン』第10話「謎の恐竜基地」に登場する怪獣である。
別名は「エリ巻き恐竜」あるいは「エリ巻き怪獣」。

身長:45メートル
体重:2万トン
演:中島春雄

二階堂という教授がネス湖から日本に連れ帰り、
モンスター博士中川に姿を変えて北山湖で育て、体質変化を起こして誕生した怪獣。
武器は口から吐く光線(大伴昌司氏の著作『ウルトラ怪獣入門』によると「100万ボルトの放電光線」)。
知能も高く、教授の命令を理解でき自分の力を見せびらかす等自信過剰で愛嬌のある性格をしている。
魚が大好物で、怪獣図鑑によればマグロを2万頭食べる程の大食い。胃の容積を超えてないか……?

そしてその外見は……かの怪獣王、ゴジラに襟巻きをつけた姿をしているのである(無論ゴジラの着ぐるみを改造しているからだが)。
また演じているスーツアクターもゴジラを演じていた中島春雄氏。

かくしてウルトラマンとゴジラという特撮2大巨頭の競演となったのだが……。


本編での行動

北山湖の湖底でモンスター博士こと中川博士にひっそりと育てられていたのだが、その餌も半端ではなく、
いつしか魚が大量発生する異常現象が発生し、科学特捜隊が出動することになったのだが、特殊潜航艇の調査もやり過ごし、その日は発見されなかった。
だが翌日、魚を大量に採るため、釣り人達が湖に生石灰を撒くという行為を行い、それに苦しんだ為人々の前に姿を現した。
科特隊は攻撃を開始するが、それを中川が制止し、ジラースの自慢を始める。
その常軌を逸した行動はハヤタ(ウルトラマン)をして「狂ってる」と言わしめた。

そして中川博士は正体を現して二階堂博士の姿でジラースに駆け寄るが、
で狂暴化していたのと変装を解いたことでご主人様だと判別できなかった事が仇となり、蹴飛ばされてしまう。
そして暴れ続けるジラースに対しハヤタはウルトラマンに変身した。

今ここに、ゴジラ(に似てる怪獣)VSウルトラマンの夢の対決が始まった……。


まずは岩を的にした光線の打ち合い、その後勝ち誇ったように、



シュワッハッハッ!



と、笑うウルトラマン。
怒って向かってきたジラースの襟巻きをはぎ取るウルトラマン(その姿は正にゴジラそのもの)*1
そして襟巻きをマント代わりにマタドールのようにジラースを翻弄する、再び睨み合う両者。
ウルトラマンはすれ違いざまに手刀を喰らわせる技「ウルトラ霞切り」を決める。ジラースは吐血して倒れるのだった……。

勝手に故郷から連れ出され、
見知らぬ土地で姿が変わってしまい、
挙句に毒に苦しめられ、
いきなり現れた巨人に引導を渡される……。

彼も本家ゴジラ同様人間に人生を狂わされた被害者だった。
それを憐れんでか襟巻きを亡骸に被せてあげるウルトラマン、そんなジラースにボロボロの体を引きずり近寄る二階堂。

それを見た一同は、
「自分で恐竜を育てるなんて恐ろしい博士だわ」
カラスや蛇を育てるだけじゃ満足できなかったんだよ」
「よっぽど恐竜に痺れてたんだな」
と様々な感想を述べるのだった。


ジラース! ジラアァァァァアアス!!!


そう叫び、二階堂は後を追うように倒れる……。


『ウルトラマン(楳図かずお版)』

楳図かずおの漫画版『ウルトラマン』では、概ね映像作品に沿った部分こそあるもののオリジナル要素が非常に多く、
こちらの二階堂は、共にネス湖でジラースを見つけた伏見博士を殺害し、彼に変装して日本における地位を乗っ取ると
凶暴な爬虫類達を飼育して人々を襲わせ、ジラースを筆頭とした恐竜基地を作ろうと目論んだ正真正銘のキ○ガイ極悪人であり、
それに操られるジラースもまた、映像作品に比べると凶悪怪獣らしさが増した扱いとなっている。

ゴジラのパロディ成分もほぼ皆無で、エリマキを巨大に広げて戦闘機の編隊を攪乱するなど
むしろ「エリマキトカゲの怪獣」という側面が作劇でも強調されている感が強い。

作中でウルトラマンに倒される場面は描かれず、二階堂共々逃亡したジラースを追いかけるウルトラマンの姿という構図に、
ウルトラマンがこのあとジラースをやっつけたことはここに書くまでもありません」というテロップで締められた。


レッドマン

バルタン星人とコンビを組んでいる事が多い。
第16話ではバルタン星人はなんとか生き残れたがジラースは……。
着ぐるみはアトラクション用の物と思われ、『ウルトラマン』と比べて造形の乖離が激しい。


ウルトラマンZ

やっぱり本物は登場しないが、第4話「二号ロボ起動計画」にてカブラギ シンヤセレブロが謎の液体を機械に掛けて生成した「ジラースメダル」が登場。
これをカブラギはテレスドンの口へ放り込み、ジラースと同じような襟巻を生やしたエリマキテレスドンに強化させてしまった。

劇中でユカがテレスドンに生えた襟巻をジラースの物であると即座に見抜いた事、
そしてセレブロが宿主にしているカブラギが飛散した怪獣の肉片を回収する役職に就いている事から考えて、
前述のメダル生成に使われた謎の液体は、『Z』の世界にて過去に出現し倒されたジラースの体液である可能性が非常に高い。
そしてエリマキテレスドンが見せたエリマキの特殊能力を見てウルトラマンが真っ先にエリマキを引きちぎったのは最適解だった可能性が出てきてしまった

また、怪獣メダルのデザインは基本的にはその怪獣を真横から見た顔が描かれている*2…のだが、
ジラースの場合はそれだと完全にゴジラの横顔になってしまうためか、どうにか襟巻が見えるような斜め前アングルの絵柄となっている。

『セブンガーファイト』

円谷の有料配信サービス「TSUBURAYA IMAGINATION」にて配信された第1話「必殺!セブンガーかすみ斬り」にて、遂に『ウルトラマン』以来55年越しの映像作品再登場
本作の世界観でもマッドサイエンティストに育てられた恐竜の生き残りである事がユカの口から示唆されているが、詳細は怪獣研究センターが調査中とのこと。

ゼットが地球を訪れる前の地球に出現し、山から現れてストレイジセブンガーと激突。
エリマキは弱点部であると同時に引き千切ると凶暴化しパワーアップしてしまうためそれか何らかの著作権に引っ掛かる恐れを危惧したのかヘビクラは「そっとしといてやれ!」とエリマキを狙わない様に制止していたが、
泥仕合の取っ組み合いの末に、初代同様に引っぺがされて凶暴化、セブンガーを追い詰めるがハルキがバコさんから伝授された「かすみ斬り」のクリティカルヒットを受けて絶命した。
ユカはジラースの遺骸を欲しがっていたが、結局は怪獣研究センターに持っていかれてしまったようで、恐らくこれが『Z』本編の第4話に繋がると推測できる。

着ぐるみはアトラクション用の物と思われる。


その他作品

ウルトラゾーン』では「東京ジュラ紀」のエピソードにて、襟巻きのないジラースによく似た怪獣の存在が語られている。
だからもうそれはゴジラだって。

イベント『ウルトラヒーローバトル劇場』ではまたしても初代とセブンに襟巻きを取られてしまった。

ウルトラマン超闘士激伝』ではカードダスのイラストで闘士ウルトラマンに襟巻をむしり取られ大泣きしている。
漫画版では中村博士が元ネタのカムラン博士(一ノ谷博士が元ネタのノタニー博士の変装)が小さいジラースを連れていた。ぬいぐるみのようにも見えるが、一句詠んでいる描写があるので生きている模様。

漫画『ウルトラマンSTORY 0』ではジェロニモンの蘇らせたゾンビ怪獣として登場したが、セブンのアイスラッガーで顔を斬り裂かれ倒される。

小説『ウルトラマンF』では本物は登場しないが、本編で倒されたジラースのレプリカが登場している。
死んだジラースの骨格を人工細胞と金属材料を混ぜて作った外皮で包んで、原子力駆動モーターで動くサイボーグ。
中枢部に爬虫類の脳があり、その神経信号を10台のスーパーコンピーターで操作する事でジラースを制御している。
インペイシャントが作ったが、オリジナルに遠く及ばない実力しかないとの事。
つまりこれはウルトラ版「3式機龍」。

Marvel Comic社のアメコミ『ザ・トライアルズ・オブ・ウルトラマン』では、人類勢力が造り出した怪獣を模したロボット兵器としてギエロン星獣共々登場。
人間が操縦する有人メカであり、怪獣災害をUSPの陰謀と吹聴するカルト集団の手によってアイスランドに出現したが、直後に「本物の怪獣」であるザンボラーが出現し、
ウルトラマンとの三つ巴の戦いの様相となった。


余談

  • ゴジラのパロディ要素が強めの怪獣であるが故に『ウルトラマン』登場怪獣ではそれなりに知名度のある方だが、反面あからさまにゴジラを意識させる作中の描写なども災いしてか、アトラクションショー等では度々出番はあるものの、ゴメスと違いTVシリーズでの再登場は『レッドマン』以外にほぼ恵まれていない。
    • 前述の『ウルトラマンZ』でもジラース本人が登場せず、ジラースが描かれその力を宿しているメダルとジラースの襟巻きを纏ったテレスドンという形になったのも複雑な事情があり、あれがTV放映できる限界ギリギリのラインだったらしい。
    • 元々着ぐるみ自体が東宝からの借り物で、円谷英二氏が東宝出身であったために実現したことである。着ぐるみは元に戻して東宝に返却するという約束だったため、取り付けたエリマキの引き剥がしを意図的に演出として組み込んだと、当該エピソードの監督を務めた満田かずほ氏は語っている。
    • なお、「ゴジラの着ぐるみ改造」以外の東宝特撮要素として、エンディングが『ガス人間第一号』の音楽であることも特撮ファンの間でよく語られる。言わずもかな、この映画も『ウルトラマン』も宮内國郎氏が音楽を担当していた繋がりによるもの。

  • ジラースを育てていたモンスター博士こと中川博士は二階堂教授の変装という設定だが、中川博士は森幹太氏、二階堂教授は灰地順氏と全く別の人物が演じている。特殊なマスクを被っていることになっており、変装を解くシーンでは中川博士が顎に手をやる→一瞬カメラを切り替えて驚くフジアキコ隊員を映す→二階堂教授がマスクを剥いでいくシーンに切り替わる。マスクを剥がす途中の仕草をカットすることで、マスクを剥いで演者が入れ替わる描写を違和感なく見せている。VFX処理などもない昭和41年当時の技術で人間の入れ替わりを見せており、クオリティは高い。

  • 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でもシルエットクイズのネタとして登場している。
    挑戦者「わかった! 『モスラ対ゴジラ』のゴジラだ!」
    司会「残念! 『襟巻を外したジラース』です!!」
    • 当ネタは特撮怪獣のフィギュアのシルエットクイズなのだが、ジラースのフィギュアはモノによってはゴジラと同じラインで作られたものの色変え+襟巻をつけただけだったりするものもある。特に襟巻着脱式ならそのフィギュアである可能性が高い。ということは、シルエットで見分けるなんて絶対不可能なのでは……?

  • アニメ『ケロロ軍曹』第151話「冬樹 ご利用は計画的に であります!!」では湖から巨大なチュパカプラが出現するというシーンがあり、「襟巻があるから別種のカブラース」なる台詞が出ている。こちらでも巨大化したギロロ伍長に襟巻を引っこ抜かれている。



追記、修正は恐竜を育ててからお願いします。

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最終更新:2024年04月09日 22:56

*1 ちなみにこれ以降は口からの光線を吐かなくなる。流石に言い逃れできなくなると自重したのかと思われていたが…後の『Z』で襟巻き自体の能力が発覚する

*2 ゼットンやキングジョーやガンQなど、真横からだと顔が見えづらいものを除く