ランボー3/怒りのアフガン(映画)

登録日:2016/09/15 Thu 15:58:22
更新日:2023/09/02 Sat 16:54:34
所要時間:約 5 分で読めます




『ランボー3/怒りのアフガン』(原題:Rambo Ⅲ)は1988年公開のアメリカ映画。
シルベスター・スタローン主演のランボーシリーズの第3作目である。

監督はピーター・マクドナルド。


◆概要

前作『怒りの脱出』からランボーは戦争アクションに路線変更されたが、前作はまだ1作目の悲哀性を引き継いでいた。
しかし本作はさらにアクションがエスカレートして(しすぎた?)しまったため、ストーリー性の薄い完全なアクション映画となっている。

アフガン戦争をテーマにした本作だが、タイミングが悪いことにこの時期は既にソ連軍がアフガニスタンからの撤退を始めていたため、「米ソの和平ムードをぶち壊す」と批判され、興行成績も前作を大きく下回ってしまった。ついでにまたラジー賞も受賞。

本編では108人の人間が死ぬという凄まじく過激なアクションシーンが連続して展開されており、ギネスブックにも「最も暴力的な映画」と、あまりありがたくない認定がされている。

以上の通り、本作は単純で過激なドンパチアクションという印象が極めて強いが、一応テーマとして「ランボーの本当の居場所はどこにあるのか?」というものがある。

1作目のラストでランボーが涙ながらに語った
「戦場では友達や助け合える仲間が大勢いたのに、祖国では誰も助けてくれない」
「戦車や武装ヘリも乗れたし、100万ドルもする兵器だって使わせてくれたのに、駐車係の仕事さえできない」
という、一般社会に戻ることができなくなった帰還兵が抱える悲劇を本作では実際に見ることになるのである。

本作のテーマは冒頭部分に集約され、それ以降は全ておまけと言ってしまってもよいかもしれない。


◆あらすじ

ランボーはこれまでの戦いで負った心の傷を癒すべく隠遁生活を送っており、タイの仏教寺院に居候し時にスティックファイトで稼いだファイトマネーを寄付していた。

そこへトラウトマン大佐がアメリカ国務省のグリッグスと共に訪れ、ソ連軍に苦しめられているアフガニスタンのゲリラに武器を届ける仕事を依頼するが、ランボーは「もう自分の戦争は終わった」と言って拒否する。

ランボーの苦しみを理解しているトラウトマンは無理強いはせず、それでも「君は戦いに血を燃やす戦士だ。世を捨てて引き篭もっても何も解決しない」と告げる。

トラウトマンはランボーに代わって自ら単独で作戦に参加するが、ソ連軍に捕まってしまう。

グリッグスからトラウトマンが捕まったことを知らされ、ランボーは救出を決意。
「米軍は公に支援することができない、もし捕まっても我々は関知しない」と警告されるが、構わずに自らもアフガニスタンへと飛び、アフガンゲリラ組織「ムジャヒディーン」と合流する……。


◆登場人物

  • ジョン・J・ランボー
本作の主人公でベトナム戦争の帰還兵にして元グリーンベレー。
タイの寺院に居候して平和な隠遁生活を送っていたが、トラウトマン大佐が捕まったと知るなり救出を決意するなど、まだ戦士の心は失っていない。

前作ヒロインの形見のペンダントはまだ所持しているが、ラストで少年兵ハミドにプレゼントした。

  • サミュエル・トラウトマン大佐
ランボーのグリーンベレー&ベトナム戦争時代の上官にして最大の理解者。
過激なドンパチアクションが多い本作であるが、冒頭におけるランボーと大佐のやり取りが本作の隠れたテーマを表している。
さすがにグリーンベレーにいただけあって、救出後は老いながらもランボーに負けじと派手な戦闘を繰り広げる。

ちなみに『メタルギアソリッド』におけるブリーフィングでのスネークとキャンベル大佐との会話は本作が元ネタ。

  • ロバート・グリッグス
トラウトマンと共にランボーにアフガンでの作戦を依頼しにやってきた国防省の武官。
ランボーが捕まっても関知はしないと言うなど、前作のマードックと似たような立場であるがトラウトマンが拘束されたことを伝えるなど悪役ではない。

  • ザイセン大佐
アフガンゲリラを弾圧するソ連軍の大佐。本作のラスボス。ヘリでの攻撃を得意とする。

  • コウロフ軍曹
ザイセン大佐の部下でひげ面の大男。洞窟でのゲリラ戦では自分の部下をにしてランボーの矢を防ごうとしたが、爆矢だったので意味なかった。
それでも死なずにランボーと肉弾戦でガチバトルを繰り広げベアハッグなどで苦しめる。

  • マスード/ムーサ・ガニー/ハミド
いずれも「ムジャヒディーン」のメンバー。マスードがリーダーを務める。
武器の調達や要塞侵入に色々と協力してくれたのがムーサで、少年兵がハミド。

このムジャヒディーンが内紛で分裂し、後々タリバンとなってアメリカに牙を剥くというのはあまりに皮肉な結果である。
ラストでランボーは彼らに誘われていたが、断って正解だったかもしれない。

次作『最後の戦場』でランボーが引きこもってしまったのも、結果的に彼らに裏切られたという思いがあったからかもしれない。
なおマスードとはソ連ともターリバーンとも長年交戦し911事件直前に暗殺されたアフガンの軍閥北部同盟の英雄アフマド・シャー・マスードをさすと思われマスードの子アフマドは現在もターリバーンに対する抵抗運動を継続中とされる。

◆登場兵器&武器

毎度おなじみ、ヘリをも破壊する爆矢を搭載したランボー愛用の武器。本作ではクイーバーを装着している。

  • AKシリーズ
本作ではやたらとAK規格のアサルトライフルが敵味方問わず使用されている。

  • ドラグノフ狙撃銃
未公開シーンでランボーが使用する場面があるがカットされてしまった。

前作と同じく偽ハインド。ザイセン大佐が搭乗してランボーの操る戦車とチキンファイトを繰り広げた。
兵器の運用方法を明らかに間違えているとは言ってはいけない?

クライマックスでランボーが敵から奪った戦車。
本来は一人で動かせるものではないのだが、ランボーはどういうわけかこいつを一人で使いこなした。クライマックスのバトルはもはやギャグ。
ちなみに上記の偽ハインド同様、これもトラクターを大幅改造したレプリカである。


◆おまけ

  • メタルギアソリッド2』で主人公の雷電が少年兵時代に見させられていた「マッチョな男が銃を持って戦う映画」とは本作のことである。
    現実でもアフリカで強制徴用された少年兵をマインドコントロールするのにこの映画が利用されたという不名誉な逸話がある。



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最終更新:2023年09月02日 16:54