君の名は。

登録日:2016/09/13 Tue 22:27:35
更新日:2024/04/03 Wed 11:43:38
所要時間:約 8 分で読めます








まだ会ったことのない君を、探してる。






『君の名は。』とは、2016年8月26日に公開されたアニメ映画。
原作、脚本、監督は、自主製作アニメ出身で、『秒速5センチメートル』をはじめとして高い芸術性を評価される作品を生み出してきた新海誠


新海誠が得意とする、「遠く離れた二人の男女の恋愛劇」を題材とし、観客の心に突き刺さるようなモノローグや写実的な背景、美術は本作も健在。
総作画監督にスタジオジブリ作品の安藤雅司、キャラクターデザインとして『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『あの夏で待ってる』の田中将賀が採用され、絵柄としても従来のアニメに近く、万人にも入り込みやすい作風となっている。

劇中の使用曲には、バンドのRADWIMPSが書き下ろした。ハイライトシーンで流れるBGMは感情を揺さぶること請け合いである。

ストーリーについては、是非とも一度劇場で確認してほしい。

新海誠本人による小説版と、加納新太によるスピンオフ小説『君の名は。 Another Side:Earthbound』が発売中なのでそちらも映画に併せて読むとより世界観を知ることができるだろう。

なお、下記に示す通り本作は『転校生』などの入れ替わり作品の系譜に連なる。
「こういう万人受けしている作品は性転換(TS)ネタが薄そう」という理由で敬遠しがちな人もいるかもしれないが、全然そんな事はないので安心して観賞しよう。
ちなみに昭和時代のラジオドラマで映画・ドラマ化された大ヒット作『君の名は』なんてのがあり、恐らくそっちから「タイトル」・「中々出会えない主役2人」・「同時期にゴジラ上映、売り上げがゴジラを上回る」という要素を参考にしたと思われる。



【物語】


朝、目が覚めると、なぜか泣いている。こういう事が私には、時々ある。


飛騨の山間の湖のほとりにある田舎、糸守町に住む女子高生、三葉。
友人や祖母と妹の家族にも恵まれ、それなりに楽しい日々を過ごしていた彼女だが、
ロクにおしゃれな店もなく、不仲な町長の父のせいで白い目で見られる生活にうんざりしていた。
来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!

ある朝、三葉は目覚めると、東京に住む男子高校生になっていた…?
慣れない体で四苦八苦しながら一日を終える三葉。
だがそれは夢だった?しかし彼女のノートには


の走り書きが…。




そして見ていた筈の夢は、いつも思い出せない。


東京で父と二人暮らししている普通の男子高校生、瀧。
友人に恵まれ、バイト三昧の毎日。
片想いの先輩もいて、告白する勇気も持てずにいた。

ある朝、瀧は目覚めると、ド田舎に住む女子高生になっていた…?
豊満な女体に見蕩れつつ、周囲を困惑させながら一日を終える瀧。
だがそれは夢だった?しかし彼の携帯には、女子力たっぷりの一日の記録が…。


それが何日も続き、瀧は気付く。
三葉は気付く。

おれたちは、夢の中であのオンナと

私たちは、夢の中であの男の子と


「「わっ(と)!?」」


そして始まる、週に2、3回訪れる二人だけの秘密の「入れ替わりの日」。
(※以降は中身が瀧の三葉を「ミツハ」、中身が三葉の瀧を「タキ」と記載します)

「タキ」として生活する三葉は、東京生活を楽しみ、女子力の高さで瀧の憧れの奥寺先輩と急接近させる。

「ミツハ」として生活する瀧は、イケメンな言動で周囲の憧れの的。


二人の会話は携帯に残された文章だけ。しかし彼らはいつしか互いを想い合える仲となる。

だが… その日々は突然終わりを告げてしまう。



おや三葉…。


――あんた今、夢を見とるな?


そしてその日は、三葉がセッティングした瀧と奥寺先輩のデートの日。

そして、三葉にとっては、千年に一度の彗星が最接近する秋祭りの日だった。

失意の中、三葉は秋祭りの会場へと向かい、彗星が夜空に煌めき…。


…その日以来、瀧は三葉としての夢を見なくなってしまう。

やっと自分の気持ちに気付いた彼は、入れ替わった時の記憶を頼りに、三葉の住む町を探す旅に出る。
しかし、辿り着いた飛騨の山奥で、彼は信じられないものを目の当たりにした…。

そして、瀧は「夢」の残酷な真実と、自分に課せられた「使命」に気付く…




二人は何故入れ替わったのか?

瀧と三葉に与えられた使命とは?


二人は「運命」を変えることができるのか?



そして、出会うことのない二人は再会できるのか…?







【登場人物】

≪東京≫

□立花瀧(たちばな たき)

「言おうと思ってたんだ…!! お前が世界のどこにいても、おれが必ずもう一度逢いに行くって…!!」
主人公。
東京・四谷に住む男子高校生。
明るく社交的な性格だが、短気で喧嘩早いのが玉に瑕。右手首に赤いリストバンドをしている。(「タキ」の時にはしていない)
喧嘩は弱い方らしいが、、本編開始直前に大人のチンピラヤクザ二人と喧嘩して頬の傷だけで済んでるので、そこそこ実力はあるのかもしれない。
性欲も人並みで、おっぱいにはこだわりアリ。
絵を描くのが趣味で、将来は建築関係の仕事を目指している。(画家としてもやってけそうな気も…)

ある日突然、田舎町に住む三葉と夢の中で入れ替わり、「ミツハ」として人の目を気にすることなく振る舞い不良を黙らせただけでなく男女共にモテモテになる。
一方で三葉のおかげで憧れの奥寺先輩と急接近するが、彼女への気持ちに違和感を持ち、やがて自分の三葉への想いに気付く。
そこで、三葉に会うために飛騨へと探索に向かうが、そこで彼女の「正体」と、あまりにも残酷な「真実」を知る。
そして彼女の記憶が徐々に薄れていき…!!

「ミツハ」として過ごしていくうちに、糸守にも「第二の故郷」的な愛着を持つようになっており、終盤の三葉を含めた糸守の人々を救うために「運命」と戦う姿はまさに漢。その時は「ミツハ」だけど


□奥寺ミキ(おくでら みき)

CV:長澤まさみ
「瀧君… 今日はなんか、別人みたいね…」
瀧のバイト先のレストランで働く女子大生。
美人で優しい性格で、瀧の憧れの人。
瀧とはあくまで先輩後輩の仲だったが、三葉が入れ替わって以来、彼女のアピールによって瀧に好意を寄せ始める。
しかしそれは「(三葉が入った)タキ」であり、(三葉がセッティングした)初デート当日の瀧の様子にそれまで自分と一緒にいた「タキ」とは違うものを感じとり…

高嶺の花と思われがちだが、お茶目でゆるキャラ好きな普通の女の子。
遠く離れているという瀧のガールフレンド探しの旅にも付き合ってくれる凄くいい子。
「失恋」を自覚した際に、やめていたタバコを一本だけふかしていた姿は少し切ない…
古舘伊知郎氏の一番のお気に入りキャラ。「こんな(いい)先輩いますか!?」…全くもってその通りです。


□藤井司(ふじい つかさ)

CV:島崎信長
「昨日はなんか… かわいかった」
瀧の親友の一人。
眼鏡をかけた知性派で、何かと苦労する瀧に真摯に向き合っている。
入れ替わり事件以来挙動不審な瀧にも誠実に対応し、飛騨への旅にも同行し、彼を応援した。
ちょっぴりアレ疑惑アリ。まぁ、中身は三葉の「タキ」だが。そして後に奥寺先輩と結ばれた勝ち組。


□高木真太(たかぎ しんた)

「その代わり、メシおごれよ?」
瀧の親友の一人。
大柄な体育会系で、よく瀧をおちょくっている。
お弁当を持ってきていなかった瀧(に入った三葉)の為に司と共に快く昼食を譲ったり、バイトの代役を快く引き受けたりと、瀧の良き親友の一人。




≪飛騨≫

□宮水三葉(みやみず みつは)

CV:上白石萌音
「瀧君… 覚えて、ない?」
もう一人の主人公。
飛騨の山奥の町、糸守町に代々伝わる神社の長女。
一緒に暮らしている祖母と妹との仲はいいが、母が死んで以来父との確執が深く、疎ましく思っている。
それも相まって、将来は村を出て東京で働く野望を抱いている。
バストと運動神経はそこそこある方。興奮したり悩んだりする時にもみあげをいじる癖がある。
素直で人懐っこい性格で二人の幼馴染とはいつも仲良し。だが、父親と名家のコンプレックスから、学校ではなるべく目立たないように振舞っている

ある日、東京に住む瀧と夢の中で入れ替わり、「タキ」として念願の東京ライフを満喫し、女子力の高さで奥寺先輩の関心を引き付けることに成功。
瀧には入れ替わる度おっぱいを揉まれて常にセクハラされたり、知らぬ間に学校で人気者になったりして困惑する羽目に。
…まぁ彼女も彼女で、「タキ」として瀧の小遣いでスイーツ食べまくったり、瀧のお宝を触りまくってるのでどっこいどっこいだが。(そのせいで瀧はバイトを増やすハメになった)
その日々の中で、瀧への想いを自覚した彼女は、失恋を覚悟する。
だが、秋祭りの日…。


□宮水一葉(みやみず ひとは)

CV:市原悦子
「意味は消えても、形は決して消しちゃあいかん…」
三葉の祖母。
宮水神社の神主でもあり、代々伝わる糸守神社や組紐の伝統を重んじ、三葉に何度も言い聞かせている。
宮水家に与えられた糸守神社と祀られた神についても詳しく、それを孫に教えることになる。
だが、それ故に俊樹とは対立してしまい、一家離散の原因を作ってしまう事に…

瀧も彼女には結構懐いており、小説では「まんが日本昔話ばあちゃん」と中の人ネタを言ったこともある。


□宮水四葉(みやみず よつは)

CV:谷花音
「お姉ちゃん… ほんま自分のおっぱい好きやな?」
三葉の妹。小学生。短めのツインテールがチャームポイント。
しっかり者で、何かと頼りない姉を支える。
口噛み酒を商品化することを考えるなど、けっこうしたたかな面もあるがいい子。
入れ替わり以来、挙動不審な姉の言動を本気で心配する。


□宮水俊樹(みやみず としき)

CV:てらそままさき
「僕が愛したのは二葉です! 宮水神社じゃない!!」
糸守町の現町長。
娘たちの名前から察せられるだろうが、元々宮水の人間ではなく婿養子。
かつては家族を愛するよき父親だったが、妻の二葉が死んでからは神職を捨て姑の一葉と関係が決裂し別居。
現在は娘を顧みることなく公務に取り組んでいる。
宮水を中心に糸守に根付く旧態依然とした価値観などを一掃しようとしているが、住民からはそのやり口を癒着・ばら撒き・政治腐敗と揶揄されることも。


□勅使河原克彦(てしがわら かつひこ)

CV:成田凌
「これで二人仲良く犯罪者や…!!」
三葉の幼馴染の同級生の少年。愛称「テッシー」。坊主頭がチャームポイント。
三葉に密かに憧れている。
土建屋の息子であり、町長と組んで村の開発業に取り組む父に嫌気が差している。
故郷への愛着は人一倍あるが、それは同時に一生をここで過ごさねばならないかもしれない事への諦めも兼ねている。
大のオカルトマニアで、三葉の最近の挙動不審を「前世の記憶」ではないかと推測する。
見た目は体育会系だが、実家の職業柄パソコンや発破にも詳しく、爆弾も自作できるなど、結構インテリ。
その知識を活かし、終盤では重大な役割を果たす。彼がいなかったら「ミツハ」(瀧)の計画は完全に詰んでいた。


□名取早耶香(なとり さやか)

「でも三葉、昨日はマジでちょっと変やったよ?」
三葉の幼馴染の同級生。愛称「サヤちん」。
おさげ頭が特徴の大人しい女の子。
テッシーに想いを寄せているが、本人には気付かれていない。
終盤では半信半疑ながらも町を救うために協力することになる。


□ヤンキートリオ

松本「町長と土建屋は、その子供も仲エエな」
桜「恥ずかしv」
花「ちょっとカワイソ」
三葉の同級生の男一人、女二人のヤンキー三人組。
トサカっぽい髪形の少年が「松本」、シュシュの女の子が「桜」、ストレートロングの女の子が「花」。
いつも三葉に陰口を言うが、暴力は決して振るわず、感性は比較的まとも。
後に「ミツハ」にブチ切れられて以降、三人とも大人しくなるなど、所詮はちょっと不良ぶってるだけの田舎の少年少女と言ったところである。


□ユキちゃん先生

「誰そ彼、これが『黄昏時』の語源ね」
三葉の高校の古文教師。
「黄昏時」について、授業で説明していた。
元は前作「言の葉の庭」のヒロイン。
東京で生徒にいじめられ四国の実家に帰ったのでは…?
一応、彼女が何故糸守に赴任したのかは「見た人の解釈に任せる」との事。
誰も知り合いがいない土地で一からやり直そうと思った…と言ったところだろうか。
東京と違って生徒には慕われていた模様。


□吉野さん

「あんたが描いた糸守… ありゃあ、良かった…」
「高山ラーメン 吉野」の店主のオヤジさん。
実は序盤の俊樹の選挙演説にもチラッと登場している。
糸守の人間では唯一、ある事をきっかけに「ミツハ」ではない瀧と深く関わることになる。
ほとんど見ず知らずの瀧達に泊まる宿を紹介してくれたり、瀧に弁当を渡してくれたりとすごくいい人。
ちなみに奥さんの声を担当したかとう有花氏は岐阜県出身者で、本作の映画・小説・漫画における方言監修にも携わっている。



【用語】

  • 入れ替わり
瀧と三葉がある日突然経験した謎の現象。
週に二、三度ぐらいの周期で遠く隔てた二人の魂が何故か入れ替わっていた。
記憶などは持ち越されないため、情報を共有するためにはその日の出来事などを紙なり日記なりで書いて取っておく必要がある。
最初は戸惑いながらも二人はそれぞれの生活をエンジョイしていたが、ある日突然「入れ替わり」が起きなくなり…?


  • 組紐
糸守町に伝わる伝統工芸品。
三葉の髪飾りもこれ。
モデルは三重県に実在する伝統工芸品『伊賀組紐』。*3


  • カタワレ時
「黄昏=誰そ彼」時の、糸守での方言。
恐らく同じ意味の「彼は誰(かわたれ)時」が訛ったもの。


  • 口噛み酒
宮水神社に代々伝わる、神と人間を繋ぐための、「人間の半分」としての供え物。
巫女の口で噛み、吐き出した米を自然発酵させ、天然の酒を造る。


  • ムスビ
糸守で土地の氏神様を表す言葉。
糸と人、魂と人、時間と時間の繋がりもこれにあたる。


  • ティアマト彗星
1200年周期で地球に接近する彗星。この映画のキービジュアルであり、顔でもある。
月よりも近くを通過し、その姿は数日に渡って肉眼でも観測できる。
世紀の天体ショーとして連日ニュースでとりあげられているが…?



余談(軽いネタバレ注意)


天文ファンやSFファンの間では、「作中に出てくる彗星の軌道が明らかにおかしい」という指摘がある。

もちろんフィクションなのだから完全に正確である必要は無いし、演出である可能性もあるのだが、これについては彗星の知識があればすぐに気が付くほど目立つ上に、ストーリー上必要な改変・演出とも考えにくく*4
おまけに別のシーンではちゃんと正しい軌道図が出てくる(つまりシーンによって彗星の軌道が違うという矛盾が発生している)ため、物議を醸している。
後に出たDVDやBlu-rayでは修正されているため、「単純なミス」もしくは「人工物であるという伏線のつもりが全然伏せてなかった」と見て良いだろう。
ただ、件の軌道図は作中のニュース番組の中に出てくるものなので、「ニュース番組のスタッフが間違えた」と考えれば問題ないかもしれない。

なお、厳密に言えば「彗星の尾が必ず進行方向と逆に伸びている*5」「かなりの質量を失った後もほとんど軌道が変化していない」という点もおかしいのだが、
これらについては正確性よりも絵的な美しさを優先した結果と考えるべきだろうか。




影響


実はこの映画、公開前はそこまで大々的な宣伝が行われていたわけではなく、注目度が高いとは言えなかった。

  • 公開日が夏休みを外した8月最終週(26日)だった
  • 製作委員会に社会的影響力の高いテレビ局や電通をはじめとした三大広告代理店が全く関わっていない
  • 著名な俳優やジャニーズなどの売れ込める要素が少ない(せいぜい瀧役の神木隆之介氏や奥寺先輩役の長澤まさみ氏ぐらいであり、三葉役の上白石萌音氏もまだデビューして5年の新人女優である)
  • 新海誠監督や主題歌を歌うRADWIMPSも「知る人ぞ知る」監督やバンドで、ネームバリューや知名度も殆どない

…などという半沢直樹』にも似た「ないない尽くし」の作品であり、東宝の関係者も「15億円稼げれば上出来」という程度の認識だったとの事。

しかし、いざ公開されるや否や、そんな下馬評を大きく覆し、本作の徹底した秘密主義の宣伝により10~20代の若者を中心に多くの人々の興味を引き付けることに成功。
完成度の高い感動的なストーリーや、主演声優を務めた神木隆之介氏と上白石萌音氏の本職声優にも劣らない熱演、安易なCGに頼らない非常に美しい映像などで注目を浴び、SNSや口コミなどで瞬く間に評判が広がり、爆発的大ヒット。

若い世代やカップルはもちろんの事、シニア世代にも好評であり老若男女問わずの支持を得ている。
各メディアでも人気ぶりを紹介する報道が増え、人気に拍車をかけることになった。

公開3日目の時点で観客動員数は95万人、興行収入は12.7億円をそれぞれ突破し、週末動員・興収ランキングで堂々の1位を獲得。
初週で興行収入10億円を突破。
これだけでも、アニメ映画としては記憶に新しい『ガールズ&パンツァー 劇場版』にも劣らぬ大ヒットを記録したと言えた。


が…

影響はそれだけに収まらず、新海監督すらも予想だにしていなかった、とんでもない事態に発展していく。



続く2週目でも週末1位を保持し、公開10日間での動員数は299万4670人、興収は38億円を記録。
更に3週目でも週末1位をキープし、累計動員は481万人、興収は62億円を突破。『スーサイド・スクワッド』等の新作を寄せ付けない圧勝ぶり。
4週目でも週末1位をキープし、9月22日までの累計動員数は774万人を記録。

そして遂に、スタジオジブリ作品以外のアニメ作品では史上初となる興収100億円の大台を突破してしまった。
あの『アナと雪の女王』が公開から37日で興収100億に達したのに対し、本作は28日で100億のハイペース。

その後も『聲の形』、『ハドソン川の奇跡』、『アングリーバード』、『ジェイソン・ボーン』…等の話題の新作を抑え込んで週末1位をキープし続け、10月4日にはついに累計動員数も1000万人を突破。
10週目こそ『DEATH NOTE Light up the NEW world』に譲ったものの、『千と千尋の神隠し』以来となるV9を達成。
翌週には首位の座をあっさりと奪還し、連続ではないがV10を達成した。
(その後も『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などと並びながらも上位をキープし続けている)

人気は映画だけに留まらず、小説版も映画の人気に合わせ120万部を超えるベストセラーに、外伝小説もAmazonの文庫売り上げランキングでトップ(2位は新海監督自身が執筆した『君の名は。』の小説版)。
RADWIMPSによるサウンドトラックおよびそこに収録された劇中歌も、オリコンチャートやビルボードランキング等の各種ランキングでトップ10入りを果たすなど、アニメ関連楽曲としては2年前に社会現象にもなった『アナ雪』以来となる快進撃を見せている。

作品のモデルとなった岐阜県飛騨市などの土地や建物を訪れる聖地巡礼も起こっており、方々で対応に追われている。
これに伴い、公式サイトでは巡礼を楽しむ人達に向けて、マナーを求める注意喚起を出した。
またtwitter上で違法アップロードされた本編映像動画へ外部サイトにリンクするTLの拡散が確認され、東宝は注意喚起用のアカウントを作って視聴しないよう異例の対応をしている。


興行通信社のまとめによると2016年公開の邦画中、興行収入はダントツの1位。



そして年の暮には、
観客動員数は約1500万人超
歴代総合興収は200億円を突破。

『崖の上のポニョ』『アバター』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』『もののけ姫』『ハウルの動く城』といった錚々たる面子を文字通り蹴散らし、
邦画歴代2位

日本映画史を塗り替えた超怪物作となった。


2017年には、さすがに前年より勢いは落ちたものの、それまで上位を譲っていた『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などの正月映画を抜き返し、2週間限定でIMAX上映を実施。IMAX上映中の22週目の週末には9週ぶり13回目の動員ランキング1位に返り咲く、最終的に29週連続で動員ランキング10位以内に入る等の記録を残す。
東宝の宣伝により春休み期間中までもロングラン上映を行った結果、2017年5月7日現在には国内興行収入は249.4億円に達した。
ただし、3月の途中から動員ランキング10位圏外になる、週間興行収入1億円を割るなど終息も見え始め(なお、春休み期間中も300館以上で上映していたものの、ほとんどの劇場が1日1回のみで客の入りにくい早朝やレイトの時間帯であった。さすがに新作を優先せざるを得なかったのだろう。)、4月15日以降は上映終了する劇場が多くなっている。

興行収入はしばらくの間249.4億円で止まっていたが、7月24日に東宝が250.3億円に達したと発表(おそらく未使用の前売り券が加算されたと思われる)。その後もごくわずかな劇場で公開が続けられていたが、8月25日を最後に国内で365日間続いた上映は終了。



興行収入の最終結果は250.3億円となった。



こうした人気を受け、合計92の国と地域での配給が決定した他、スペインで開催される第64回サンセバスチャン国際映画祭での上映、韓国の第21回釜山国際映画祭ガラプレゼンテーション部門やロンドン国際映画祭への出品も行われた。
最初の上映国となった台湾でも爆発的大ヒットを飛ばし、最初は上映館がたったの三館だったにもかかわらず初週興収3位、翌週は上映館を増やされ、ぶっちぎりの1位をキープしている。映画館によっては一日33回も上映している所もあるらしい。
その後はタイ、香港、イギリス、中国でも公開した途端大ヒット。特に中国では公開してたった三日で興収は日本円で約60億円に達した(中国では規制により外国映画の本数が制限されてるため、公開できただけでも大変な事である)。
フランスでも12月下旬、アメリカ・韓国でも2017年1月より順次公開など、全世界125カ国で上映される予定が決まっており、総興収はすでに千と千尋を抜いて邦画歴代トップの大偉業を成し遂げ、未だに快進撃は続いている(2017年1月18日時点で2億8100万ドル、千と千尋は同2億7500万ドル、ちなみに全映画全ての歴代興収トップは『アバター』の27億8800万ドル)。
北米公開は2017年4月7日に開始。約300スクリーンと北米にしては小規模な上映であるが、7月4日現在500万ドル以上を稼ぎ、日本アニメでは歴代11位となっている(なお、より上位はジブリやポケモンが多くを占めている)。



あまりにロングラン上映が続くため、ファンからは「円盤を早く発売してほしい」という声が挙がっている模様であるが、
東宝が2017年4月17日付で自社ウェブサイトに掲載した中期経営戦略には、2017年の注力TOPICSとして、


夏 ●『君の名は。』Blu-ray/DVD発売

と記載されており、多くの売り上げを期待したいところである。



受賞歴も凄まじく、アニメ作品プロモーションでは世界最高級権威を持つ、スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭アニメ部門で最優秀長編作品賞を受賞
韓国・富川(プチョン)で行われたプチョン国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門にて優秀賞と観客賞を受賞。
アメリカで開催されたアメリカ国際映画批評家協会賞にてアニメ映画賞を受賞。
第89回アカデミー賞長編アニメ映画部門のノミネートは残念ながら逃した。審査期間中の北米では11月に審査対象に乗せるための限定公開が行われただけだったので、知名度の低さは如何ともしがたかったのだろう。

…が、アメリカの目の肥えた著名人はこの宝石を逃すわけがなかった。

後に2017年9月に、アメリカ・ハリウッドにて実写映画化することが発表。
製作は米パラマウント・ピクチャーズと映画『スター・ウォーズ』シリーズを手掛ける名プロデューサーJ・J・エイブラムス氏の制作会社バッド・ロボット。
しかもエイブラムス氏直々の実写化オファーなのだと言うのだから、この映画の怪物ぶりが見て取れる。
ハリウッドでの実写化は「DRAGONBALL EVOLUTION」などの前例もあるので不安な声もある一方、アメリカ版としてどんなアレンジをされるのか楽しみという肯定的な意見もある。

もはや名実共に日本の、否、世界の映画史に残るであろう作品として不動の地位を築いてしまったと言える。

もうこうなったらどこまで記録を塗り替えていくのかにも大きな注目が集まっている。







ずっとなにかの項目を、誰かの項目を、追記修正している。

そう言う気持ちに取り憑かれたのは、たぶんあの日から。


あの日、アニヲタWikiに星が降った日。それはまるで、

まるで、夢の景色のように、


美しい眺めだった。

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  • 興行収入200億円突破

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最終更新:2024年04月03日 11:43

*1 もっとも、衝突時には運動エネルギーの大半が熱エネルギーに変換されるため衝突点の温度は摂氏数千度に達するので、祭り会場にいた者は皆同じ運命にあったはずである。

*2 DVDなどでは修正済。設定画によると企画段階では「沙耶香」だったようであるので、それと混同されたのかもしれない。

*3 ちなみに編集者の家の近くにある組紐のお店ではこの作品で知名度が上がり宣伝にも利用しているが同時に「『君の名は』のやつ」と言われるようになったので大変複雑な想いらしい。

*4 例えば「1200年程度の間隔でピンポイントに同じ場所に天体衝突が起こる」というのもまずあり得ないが、この点はストーリーの重要な要素なのでツッコむのは野暮というものだろう

*5 ただし、これは本作に限らず多くの作品で見られる