黒魔導士ゼレフ

登録日:2016/09/10 Sat 23:40:57
更新日:2024/01/27 Sat 02:21:06
所要時間:約 9 分で読めます






僕は・・・ まだ世界に拒まれ続ける・・・





FAIRY TAIL」に登場するキャラクター。
作中の大半の事件の根幹に関わっている重要人物である。

CV:石田彰



概要


魔法界史上最も凶悪だったと言われている黒魔導士。
作中では400年前以前に様々な悪魔や禁術を生み出したといわれており、黒魔法を崇拝する教団や信奉者たちにより崇拝されている。
その禁術の一つであるRシステムによる復活を目論む信奉者たちにより、楽園の塔の建造とそれに係る多数の人間の拉致と奴隷化、さらに後にゼレフの亡霊により変貌したジェラールによる楽園の塔事件が起こるが、かつてその奴隷の一人だったエルザや彼女を助けに来たナツ達により復活は阻止された。
と思われていたが、実は「アンクセラムの黒魔術」という呪いにかかっており、その影響で不死の体となっているため、実際は400年間も生きていたのである。
この呪いは本人の意思と関係無く周囲の生命を枯渇させる力を持ち、そのことから本人は「死の捕食」と呼んでいる。ある日を境に命の尊さを知り、それから命を尊く思うほど死のエネルギーを放出して周囲の魂を奪ってしまうようになり、魔法も思った通りに使えなくなるが、逆に命の重みを忘れれば自分の力を制御できるようになり本来の魔法を使うことができる。この性質から「ゼレフは封印されて眠っており、起こすには鍵が必要」という伝承さえ広まっている。
また、呪いの影響で思考の矛盾に頭を痛める時がある。

竜の王とも呼ばれるアクノロギアとも対立しているようであり、後述のように様々な手を打っている。

その容姿はアホ毛のある黒髪の青年。
一人称は「僕」で、普段は穏やかで物静かな性格をしているが時折冷徹な表情を見せる。また、命の重みを忘れた際にはそれに伴ってか口調も荒くなったりする。



作中での動向


楽園の塔編にてララバイやデリオラ、そして楽園の塔のシステムを作り出した人物として名前が登場する。
この時点ではまだ遥か過去に死んだ人間と思われており、上述の通り、ゼレフの亡霊に支配されたジェラールによって復活を企まれるがナツに阻止され、しかもジェラール自身は亡霊のふりをしていたウルティアによって洗脳されていただけであったが、この一連の騒動を囮に彼女達はゼレフの封印を解く鍵を入手する。

S級試験編にて天狼島に身を隠すように佇んでいたところ、S級昇格試験のために島に訪れていたエルフマンとエバーグリーン、そしてナツと遭遇。この時後述の経緯から再会したナツの事を懐かしむが、同時に自身をまだ壊すには至らないことを悟り悲しむ。(当然何のことかナツには知る訳もなく、不審者として殴られてしまっている。)
この時死の捕食が発動してしまうものの、ナツのマフラーが身代わりになったことで事なきを得ている。
後に襲来してきた悪魔の心臓〈グリモアハート〉によって、彼が黒魔導士ゼレフであることが明かされ、彼自身もゼレフの封印を解いて大魔法世界を築くという目的のために狙われてしまう。
この「悪魔の心臓」の襲撃に憤り、遭遇した煉獄の七眷属の一人・ウルティアに島から出ていくように言うも、上述の呪いの影響で魔法が扱えず敗北して捕まる。
後にギルドを裏切ったウルティア、そしてメルディからザンクロウにより身柄を奪われるがその際に意識を取り戻し、死の捕食にてザンクロウを死なせる。この時、「悪魔の心臓」達の邪念によってアクノロギアが呼び寄せられることを感じ取っていた。
その後、敗北し撤退する「悪魔の心臓」の戦艦に自ら赴きマスター・ハデス達の前に姿を現す。
そこで、上述の「自身の封印と復活の鍵が必要」という伝承が、実は大昔にゼレフを妄信する一部の者達が作った設定=作り話であり自身は今も目覚めているという真相を明かし、「アクノロギアを呼び寄せた罪」と「自分に命の重さを忘れさせた罪」を断罪する形でハデスに死の裁きを下した。

X791年では「大鴉の尻尾(レイヴンテイル)」に潜入させていたオーブラ(正確にはそいつと共にいる小動物で実はこっちが本体)を通して様子を見ていた。
この時自身の元に現れた「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」初代マスター・メイビスに対し、7年の年月の末に自分を拒み続けるこの世界を滅ぼすことを決めたことを告げ宣戦布告する。
その後の 冥府の門〈タルタロス〉編にて、「冥府の門」本拠地にてナツに対しENDに関する意味深な発言を残して消える。
その後のフェイス破壊後に三度ナツ達の前に現れ、作戦失敗&敗北したマルド・ギールを労いつつ捨てるも同然に本に戻して焼却処分し、彼の守っていたENDの書を回収し姿を消した。フェイス計画が失敗に終わるまでどこかでスタンバっていたのだろうか






















【以下ネタバレ】


















僕を超えてみるんだ、ナツ   いや


E(エーテリアス)N(ナツ)D(ドラグニル)








その正体はナツの実の兄、ゼレフ・ドラグニル
かつてはミルディアン魔術学院の生徒として通い、そこで子供にして学院創立以来の天才と言われるほどの魔導士だったが、ドラゴンに遭遇し両親とナツを失い、ナツの死を切っ掛けに生と死に関する研究を始める。その過程でRシステムやエクリプスを作り出した。
しかし、それを教授達から「弟であるナツを蘇らせるための危険思想」と指摘され学院の退学処分を受けるが、その際に学院が信仰するアンクセラム神の怒りに触れて「アンクセラムの黒魔術」の呪いに掛かり、教授や生徒達を死なせてしまう。
同時に不老不死の体になり、大勢の命を奪った罪悪感と無限に研究ができる充実感の2つの思いを何年も持ち続けた末「死にたい」と願い、そのためにエーテリアス(ゼレフ書の悪魔)を創り出したがいずれも自分を殺すには至らず、「最後」の意味を込めて大切に保管していたナツの遺体を使い彼を「END」として蘇らせた。
ナツを「自分を壊してくれる存在」と称し再会して自分を殺すことをずっと待ち望んでいたのはそのためである。
また、研究に使う薬草を採取している時にイグニール*1に出会い友人となっており、当時やんちゃで手を焼かされていたナツを預けた。
この縁からか竜達のアクノロギアを倒す計画を知り賛同、ルーシィの先祖であるアンナの力でエクリプスを開き、竜達と身寄りのない5人の少年少女たち*2を未来に送った。
一方で自身の方でもアクノロギアに対抗するため、西の大陸(アラキタリア)にて、大陸中の730ものギルドを一つにした超軍事魔法帝国「アルバレス帝国」 を建国する。

そこからまた各地を旅していたが、X686年にはマグノリアの西の森でメイビスや後の「妖精の尻尾」創設メンバーと出会い、メイビスの頼みで彼女達に魔法を教えていた。
X696年に偶然メイビスと再会し、彼女が〝ロウ〟を使ったことでアンクセラムの黒魔術の呪いに掛かっていることに気付き、メイビスに自分と共に歩く素質があると感じる。それにより自分を拒み続ける世界で唯一受け入れてくれたメイビスに愛情を抱くが、それが切っ掛けとなり死の捕食により彼女の命を奪うことになってしまい「自分は誰も愛してはいけなかった」と悟る。
その後はメイビスの体を2代目「妖精の尻尾」マスターとなったプレヒトに届け、自身は醜い妖精(スプリガン)を名乗ってもう人に会わないためにアラキタシアに戻った。

「冥府の門」壊滅からの1年後であるX792年に、1年ぶりに国民の声援の中を凱旋しながら帝国に帰還し、単独で交渉に訪れていたマカロフと会談に応じる。
アルバレスを造り上げた目的と経緯を話し、アクノロギアもイシュガルも殲滅することを宣言して交渉を決裂させマカロフを殺そうとするが、間一髪で現れたメストにより失敗に終わる。
その後、スプリガン12にルーメン・イストワール改め〝妖精の心臓(フェアリーハート)〟奪取とイシュガルの殲滅のために全軍による総攻撃を命じる。
自身もインベルとヤジールと共にイシュガルの西側から100万の軍勢を率いて侵攻するが、そこに乗り込んで来たナツと直接対峙する。
イグニールが遺した炎王竜の力に押され自身の消滅の可能性を感じ、ナツに全ての真実を打ち明ける。
それでも自分共々消滅させようとするナツにトドメを刺されかけるが、ナツの消滅を拒んだハッピーの乱入により事無きを得る。
イグニールの力も消え自身を消滅させる手立てが無くなったことを感じたことにより覚悟を決め、皇帝に相応しい服装へと着替え改めて軍勢を進軍させる。
その後アイリーンのユニバースワンによって「妖精の尻尾」のギルド内に配置され、魔水晶からついに完全蘇生し目覚めたメイビスと対峙し、彼女を手中に納めた後、全員が集結したスプリガン12と共にナツ達を待ち受ける。
多数の12が前線に向かう中、アイリーンにメイビスから妖精の心臓を分離することを命じていたが、一瞬のスキを突かれてメイビスが逃走したためアイリーンに生け捕りを命じる。

アイリーンの敗北後、ユニバースワンが解除されたことによりフィオーレ大陸が元の形に戻るが、自身は転移することなく「妖精の尻尾」内に留まり、最初にギルドに乗り込んだグレイと対峙する。(自身の予想ではラクサスかジェラールが最初に来ると思っており、グレイが来たのは意外だったようだ。)
グレイに対し冥土の土産として12の誰も知らない戦争の真の目的と妖精の心臓の本当の力を教え、ナツの怒りを誘うために彼を殺そうとするが、
ナツを救うために自身を殺すのではなく倒すことを取ったグレイの消失属性を付加させた絶対氷結(アイスドシェル)により逆に封印の危機に陥る。
・・・がその直前に飛び込んで来たナツによって絶対氷結は中断され、両者とも無事のまま終わる。

そして人類の未来を左右するべく再び兄弟はぶつかり合い、互いに引くこともなく渡り合う。
この時呪いの影響か重要な戦いの最中にもかかわらず、楽しいと言い喜びに震えている。
その最中、駆けつけたラーケイドによりナツが眠気に掛けられ、弟の呪縛から解き放たれるためにとどめを刺すことを望まれる ・・・がナツとの戦いを邪魔されたことに激怒し、逆にラーケイドを魔法で貫き、出来損ないとして見限り消滅させる。

ナツとの戦いの中、真の目的であるネオ・エクリプスで自分が不死になる前まで時間をリセットすることで全てをやり直そうとすることを告げ、説得のために現れたメイビスの妖精の心臓(フェアリーハート)と、ルーシィの先祖であるアンナが見つけた時の狭間の魔力を吸収したことにより、時をも超える神の力を手に入れその姿も白く神々しい姿へと変貌する。


余談


エーテリアスやエクリプス、Rシステム等、彼の研究で作られものは作中でも尋常ではない問題を起こしており、また、正当な理由があるとはいえ5人の少年少女の運命を変えたため、うがった言い方をすれば作中のいくつかの物語の元凶である。

  • Rシステム→信奉者たちにより多数の人間が拉致・奴隷化され、その過程で大勢の人間が殺害されたり死亡する。エルザやジェラール達の人生を捻じ曲げ彼女達に深い影を落とすことになる(ただしこれがきっかけでエルザは「妖精の尻尾」にやってくることになるのだが)。後に六魔将軍〈オラシオンセイス〉結成のきっかけになったり、評議会も巻き込んだ楽園の塔事件が発生する。

  • エクリプス→5人の少年少女の運命を変える。ゼレフを倒すためにフィオーレ王家により利用されるが、逆にそれを未来のローグに利用されて扉から竜達が出てくる惨事となる(ウルティアの〝ラストエイジス〟が無ければ多数の魔導士が犠牲になっており、違う時間軸では地上は未来ローグと竜達に支配されている)。また、結果論ではあるがルーシィの母のレイラが早死にすることになった原因でもある。

  • エーテリアス→その内の1体であるデリオラによりグレイの故郷他イスバン地方を荒らされ多くの人間が犠牲となる。「冥府の門」の結成及びフェイス計画をはじめ連中の起こした様々な事件が起こる。

凶悪な魔導士とされているが、あくまで功績面からそういう推測をされたと思われ、実際は穏やかで、弟の死を受け入れられなかった一人の人間である。
また、上述の通り、妖精の尻尾の最初期メンバーと出会い魔法を教えていたため、「妖精の尻尾」の創設の遠因になっており、ある意味では「妖精の尻尾」のもう一人の創設者とも言えなくもない。

ちなみに黒魔導士と呼ばれているものの、アンクセラムの黒魔術の呪い以外ではっきりと魔法を使った描写はあまり無かったりする(マスター・ハデスを処刑した時とナツとの戦いぐらいだがどのような魔法かは不明である)。それでも、いくつかの12を退けた最後の決戦時のナツすらも相手にできることから、アルバレス帝国を皇帝として統べるだけの実力は持っている。

家族構成については上記のとおりであり、特にナツは幼少期の写真の入ったペンダントを持ち歩くほど思い入れがある。
後に「息子」がいることや、自身やナツと同じ姓を持つラーケイドの存在が判明。オーガストの反応からして実子と思われていたが、実際はエーテリアス(ゼレフ書の悪魔)の一体であり、その中でも出来が良かったため、自身と同じ姓を与えたに過ぎなかった(逆に言えば、それだけの価値があったと解釈もできる)。ラーケイドがゼレフを「父」というのは「創造主」としての表現であり、「息子」というのは「エーテリアス」のことである(作中ではナツもまた「ゼレフの息子」と言えると述べている)。
それでも、ゼレフ自身は「アクロノギアを倒せる存在」と称し「秘密兵器」としてラーケイドを重宝している。
なお、オーガストの言う「ゼレフの息子」については作中ではオーガスト自身であることが示唆されている(ちなみに母親はあのマスター・メイビス。ある種の天才二人の間にできた子供と言えるため、バケモノじみた実力も納得できる)。
幼少期のオーガスト自身が息子と名乗らず、ゼレフ自身もメイビスの面影がある、程度の認識しかなく、息子と気づかなかったため、愛情を注がれず「息子(幼少期のオーガスト)」は「無」の境地に至ったと現在のオーガストに評されている。

皇帝としての側面を見ると、帰国時は国民からの歓声を浴び、12をはじめとした部下からの本質的な忠誠心も高く、俗にいう「ニューリーダー病」的な部下はいない(こいつの性質考えたら無駄だと考えるほうが得策だが…)。
その一方、いくつかの12は招集をブッチする(国土が広いから物理的に無理なケースもあるが、問題となっている奴は問題にされている)、ブランディッシュは任務に不真面目で、敵に対して情けをかける(彼女にも事情はあるが)、アジィールやディマリアからは一般的なイメージとして皇帝にするとは思えない口の聞き方をされる、アイリーンからは「戦争だから戦争としての考え方をしろ」と不満を抱かれている、過去に12の一人が暴走しかけてイシュガル進攻しようとする(さすがにこれは止めたらしい)など、さすがに非の打ちどころのない統治者ではない(それでも不在時に反乱とかは確認されていないため充分素晴らしい統治者ではある)。



追記修正は不老不死になった後に国を作りロリと仲良くなった方にお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • FAIRY_TAIL
  • フェアリーテイル
  • ゼレフ
  • 黒魔導士
  • アンクセラムの黒魔術の呪い
  • 石田彰
  • Rシステム
  • エクリプス
  • ゼレフ書の悪魔
  • エーテリアス
  • 不老不死
  • 楽園の塔
  • 元凶
  • ネタバレ項目
  • 哀しき悪役
  • ブラコン
  • 父親
  • 結構重い過去持ち
  • 加害者にして被害者
  • 準ラスボス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月27日 02:21

*1 後にナツの育て親となる竜

*2 ナツ、ガジル、ウェンディ、スティング、ローグの5人。実際は身寄りがないのはナツを除いた4人であり、ナツはゼレフ個人の目的もあって選んだ