ザイドス少佐

登録日:2016/09/10 Sat 15:16:17
更新日:2024/04/19 Fri 08:25:06NEW!
所要時間:約 12 分で読めます






おぅ、“ちっちゃな島国”って…どこだ?



ザイドス少佐とは、特撮テレビドラマ『五星戦隊ダイレンジャー』に登場する敵組織・ゴーマ族の幹部である。
演:田村円


概要

いわゆる「ゴーマ三幹部」の一人。劇中では単に「ザイドス」と呼ばれている場合が多い。

シャダムに比べると体格が良く、その見た目通りの肉体労働担当。
ゴーマによる世界の支配は勿論のことだが、何より自分の出世を強く望んでいる。

他の三幹部と同様、黒のレザーファッションで頭の先から足の先まで身に包んでいる。
彼の衣装デザインは覆面レスラーをモチーフにしているらしく、三人の中では最も顔が隠れている。
他の二人と同様に黒いレザーの下には別の衣装を着ているが、彼は肌色に近い色の毛皮のような衣装を着ているようで、
一見するとその肉体をかなり露出させているようにも見えるのだが、よく見るとその肉体を露出させているのは肩の辺りだけの模様。
…なのだが、歌舞伎小僧の回でだけ見せた鉄面形態では胴体部分も銀色になっていたため、その辺りはわりと曖昧である。


彼についてはそのキャラクターもあり、作中での頭の悪そうな笑い方や言動等が何かと印象に残りやすいために「脳筋」という評が多いが、
作中では意外と策を弄したり、戦うことよりも自分の出世を第一と考えてシャダムに素直に従っていたりと結構理知的な面も随所で窺える。

よって脳筋と評するのは少々疑問が残る感じだが、でもやっぱり基本は粗暴で、シャダムやガラに比べれば明らかに思慮や知能が足りていないことは確かであり、
先述した策も彼の短慮や見込み違いにより結局は全て失敗に終わっていることを考えると、やっぱり脳筋とかアホとか言われても仕方のないキャラではある。

あえて言うならば「悪知恵の働くガキ大将」といったところだろうか?


戦闘面では妖力による遠距離攻撃も使うが、やはり屈強なその肉体を使った格闘戦が持ち味。
他の二人のように固有の武器は使用せず、力任せの徒手空拳による攻撃が主体だが、状況によっては周囲の鉄骨等を振り回すこともある。
やはりと言うか打たれ強く、ダイレンジャーや大連王の攻撃を受けても全く動じることなく、
効かねーよとばかりの憎たらしい、もの凄くいいニヤッとした笑みを浮かべるシーンが実に印象的。

しかしそれ故にやられ役にされることも多く、
  • 要らぬ喧嘩をふっかけて大僧正リジュにお仕置きされる
  • 阿古丸の吹き矢を首に食らう
  • 鳥カゴ風来坊の仕込み機関砲から慌てふためいて逃げる
  • 亀夫の天宝来々の玉から出た気力ではじき飛ばされる
  • 3バカと一緒に超強力爆弾の爆発に巻き込まれる
  • 大連王の大放電を受ける
  • 重甲気殿・大圧殺を受けてペラペラになったまま負け惜しみを言いつつ逃げる
  • ジンの邪神風拳をまともに食らってボコボコにされる
  • 二回目の重甲気殿・大圧殺を受ける
…と、かなり酷い目に遭っている。

シャダムとガラが全然ボケるということをしないため、必然的にボケが出来るザイドスが出る回、特に単独で出張る話はコミカルになりやすく、
ザイドスが一人で出てくる話はだいたい楽しい」とかファンには評されており、そのキャラ人気はかなり高い。


そんな彼を演じた田村円氏は、前年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』では何と4週にも渡ってジュウレンジャーと戦い、
最後にはジュウレンジャー世界での最強の敵「大サタン」の力まで得た屈指の強敵怪人ドーラフランケ役で出演していた(こいつもザイドス同様の肉体派である)。
今回のザイドス役は、おそらくこの時の演技を評価されてのものと推測される。

また、田村氏は元々は「田村まろし」の名で初代『仮面ライダー』や『V3』にて少年ライダー隊員として出演した経験もある子役出身の俳優であり、
その関係からか東映特撮作品にはゲストとしていくつもの作品に出演してはいるが、特撮でのレギュラーはこの『ダイレンジャー』のみである。
近年では2006年の『仮面ライダーカブト』の第1話にてゲストとして刑事役で出演して以降、撮影の現場からは退いてしまっているようであり、特撮以外の作品含めてその姿を見かけることはほぼなくなってしまっている。

そのため現在の消息はあまり伝わってこないが、どうやら所属の事務所にて演技講師をしているらしいこと、
また、将児役だった羽村氏とは今も交流があるらしく、一緒に食事をしていたりすることは確認されている。


※ これ以降は本編の激しいネタバレを含みます ※



主な関係の深い者達

作中でザイドスと特に関係が深いキャラは、同じ幹部であるシャダムとガラを除けば、
的場陣/魔拳士ジンゴーマ3バカであり、実はダイレンジャー側とは個別での関連性は稀薄。
とは言っても、戦隊史上で最高に格好いいと名高いダイレンジャー五人の生身での名乗りシーンの相手役になったのは、他ならぬ彼だったりする。

以下、同じゴーマの上司・同僚・部下数名、及び陣とのエピソード等。


シャダム&ガラ


同じゴーマ三幹部。

階級的には二人とも中佐であり少佐のザイドスからすれば上司に当たるが、実際の関係は同僚・仕事仲間に近い。
階級の差やその性格から二人にはどこか見下されているような節はあるものの、仲自体は悪くない。
というか戦隊の敵幹部としては相当に良好な部類に入り、三人の間では諍いを起こしたことすらないレベルである。
2年前の組織に比べたらよっぽど仲はいい。
ザイドスが他の二人の意志に反して動いたのは、シャダムが壷道人を使った作戦の際に疑問を呈し、
単独で動いて陣を魔拳士に仕立てた時ぐらいのものである。
それについてシャダムは多少の不快感を滲ませていたが、翌週の登場時には「無駄なことをしているようだが、
まあ好きにさせておけばいい」的なスタンスを取っており、別段強く咎める様子もなかった。

また、階級の違いも気にしていないらしく、三人共にタメ口での会話が当たり前(これはゴーマ怪人達にも共通しているが)。
それでいてザイドスはシャダムの作戦や命令も忠実に熟し、それについて不平不満を言うことも無い。
そんな訳で脳筋キャラにありがちな、ブチ切れたり自分の本能的な欲求に負けて勝手な行動を取り迷惑を掛けるようなこともしない等、
チームの構成員としては結構優秀である。

と言っても、ザイドスはただ出世を第一に考えて皇帝の血を引くシャダムに従っているだけらしく、
また、三幹部にとってゴーマサイドで一番目障りなのは元老院や田豊将軍、そして阿古丸であり、
幹部三人の間で仲間割れなんぞしている場合ではない、というのが実際の所のようだが……

まあ後述する彼の正体を考えれば、ザイドスがシャダムに忠実なのはある意味当然とも言えるのだが。



ゴーマ3バカ


一応部下。

ゴーマ3バカ初登場の回である第15話「3バカサッカー」が、ザイドスにとっても単独での初登場回である。

一人一人じゃろくに戦えないお前らを、わざわざチームにしてやったんだ!死んだ気でやれぇぃ!

と、サッカー勝負を待つ3バカ達を前にこう語り、実はゴーマ3バカ結成の仕掛け人であることが判明する。
尤も、この回では3バカに負けたら帰る場所はないと発破を掛けた後、すぐに去ってしまったために出番はそれっきり。


次の3バカ回である第24話「3バカ超野球!」では3バカ達に「ダイレンジャーと野球で勝負しろ」と命じたらしいが、本人は全く登場せず。
今回の野球勝負は3バカ達の立てた作戦であったため、そもそもザイドスがそう命じたのかどうかはちょっと怪しい。


そして3バカ回の最終回である第40話「さらば3バカ!」にて再登場。

おぅ、ゴーマに見放されたとはいえ、お前らは俺の可愛い部下だ。あいつを倒せば、命だけは助けてやる

そんな部下思いな所を見せつつ、将児とのモトクロスでのデスマッチに挑む神風大将を激励していた。
因みに神風大将は「本当か! 俺が勝ったら幹部の椅子を頼むぜ!」とか見当違いな事を言っているが、
それに対してザイドスは「フン…!いいだろう」とあっさり承諾している。
お前らちゃんと会話しろよ。まあアホとバカの会話だし仕方がないか

そして始まった将児と神風大将による、1対1のモトクロス・デスマッチは一進一退の攻防が続いていた。
が、高台でそれを見守っていた墓石社長と電話先生の元に憤りながら突然現れると、電話先生の能力を使って勝負中の神風大将へと話しかける。

もういい神風。おまえは勝たなくていいんだよ! バイクに仕掛けた爆弾はダミーだ!

ザイドスは神風大将が負ける前提で策を立て、ゴールに本命の超強力爆弾を仕掛けていた事を暴露。

お前はいつも通り負けりゃいいんだ。今更気張ったってしょうがねえんだよ!

更に畳み掛けるようにこう言い放った。

落ちこぼれは落ちこぼれらしくしろってんだぁ~!

こうして男と男の真剣勝負を冒涜された挙句、「落ちこぼれ」とまで呼ばれた神風大将は男のプライドを守るべく、
そんなザイドスの卑劣な策に従うことを良しとはせず、レースの最後間際に将児をバイクごと蹴倒した後、超強力爆弾の仕掛けられたゴールへと驀進していく。

やめろ神風ッ! 止めろぉ、裏切りものぉぉぉ~!

自分の作戦を無視した神風大将を止めるべく、ザイドスは彼のバイクの前に立ち塞がるが、神風大将はバイクにまたがったまま、立ち塞がったザイドスをも強引に押してゴールへと突進。
更にそれを止めようとした墓石社長と電話先生も巻き込みつつ、慌てふためくザイドスは3バカと共にゴールへと突っ込んでしまい、仕掛けられていた超強力爆弾の爆炎と共に消えた。

…と思いきや、3バカ達が持っていたらしき巨大化爆弾が発動し、一人だけそのまま巨大化。
3バカを喪い怒り心頭の将児達ダイレンジャーの乗る大連王と、異色の巨大戦を繰り広げることとなる。
軽やかな動きで立ち回りつつ肉弾攻撃で大連王と渡り合い、繰り出された大王剣も見事に掴んでみせて勝ち誇るも、
すかさず大放電を放たれて見事に感電してしまい思わず転倒してしまう。
そこへウォンタイガーとダイムゲンが合流、重甲気殿が完成。
必殺技・大圧殺が放たれ、避けることも出来ぬままザイドスは落下してくる重甲気殿の下敷きとなった。
こうして重甲気殿に潰されたザイドスだったが、なんとギャグ漫画チックにペラペラになっただけで済んでいた。

おぉ、覚えてろ、覚えてぇろぉぉ~

そしてそのままヒラヒラしつつ、そんな捨て台詞を吐いて何処かへ飛び去っていくのであった。

そんな感じで3バカの話に大きく関わったのは最終話のみだが、結果的には3バカ達を改心させる切っ掛けを作った憎まれ役として、
そして戦闘のオチ担当として実に美味しい所を掻っ攫っていった。


的場陣/魔拳士ジン


部下にし損ねた人物。

亮のライバルとなった陣の登場回である第26話「嫌な嫌な嫌な奴」にて、最初はシャダムやガラと共に登場したザイドス。
しかしこの時はシャダムの立案した、あらゆる打撃を吸収するゴーマ怪人・壺道人をダイレンジャーに差し向ける作戦に疑問を呈し、
単独での行動を開始するという、大変に珍しい行動を取り始める。

「魔物の森」なる死にきれぬ魂が集う怪しげな場所にて一人、黒水晶と呼ばれる謎のアイテムに魔物達の魂の力を集める。
そして、亮との拳法対決に敗北して海に落ち、ようやく近くの砂浜に這い上がるも、自らの敗北を認められない陣の前にその黒水晶を手にして現れた。


お前の拳が敗れたのではない。お前の心の甘さが一瞬の隙を生んだのだ
お前は非情に成り切れていない。心を捨てろ! そして、魔拳士となるのだ!


と、力一杯に陣を説くが、そこに陣に想いを寄せる女性・亜紀が彼を追って現れたため、一旦姿を消す。
陣がその亜紀をその手にかけた後、再度その姿を見せる。

それでいい。その非情さが魔拳士の資格。受けとれぇ、妖魔のエネルギーをぉ!

ザイドスは、黒水晶に集めた魔物の魂の力を陣へと浴びせる。


今こそ最強の魔拳士の誕生だあぁ!
立ち上がれぇ、最強の魔拳士よぉぉ!


そして魔物の魂の力に苦しみながらも、陣は魔拳士ジンへと生まれ変わった。

念願の魔拳士を誕生させ、大変にご満悦そうなザイドスは、

さぁ来い、俺と共に! 俺の手足となって戦うのだぁぁぁぁ!

と、実に嬉しそうに部下に誘うも、当のジンからはいきなり顔を足蹴にされてしまう。
当然ながら憤慨するザイドスだが、魔拳士となったジンは「失せろ! 何者も俺に命令することは出来ん」と、
見事なまでに部下となることを拒否し、そして去って行くのであった…。


その後日談となる第35話「新奥義蜘蛛の舞」にて、豹牙流奥義とされる魔道妖拳・蜘蛛の舞を習得したジンは亮にリベンジを挑み、蜘蛛の舞を食らわせて戦闘不能へと追い込む。
その亮を救うべく挑んできた残りのダイレンジャー四人もジンが難なく蹴散らした場面に、ザイドスはゴーマ怪人・大筒軍曹を引き連れて現れた。
ジンに対しては以前の事もあり、さすがに友好的には共闘を持ちかけはせず、ただ目的が同じだからだと加勢した理由を語るザイドス。
もちろん当のジンも相変わらず共闘する気などなく、ザイドスに掴みかかって敵意を剥き出しにし、
更に「貴様は腐った臭いがする」等と酷いことを言って立ち去る。
上司を侮辱されてか憤った大筒軍曹は立ち去るジンに必殺の雷撃拳を放とうとするも、それをザイドスは止める。

よせ、貴様の雷撃拳は一発しか使えん。まだその時ではなーい!

あんなに馬鹿にされたにもかかわらず、である。意外と冷静。

その雷撃拳は後に紆余曲折あってリュウレンジャーに放たれるも、ジンがかばう形で受ける事となり、ジンは気絶する。
雷撃拳を放った当の大筒軍曹は巨大化してダイレンジャーと戦って敗れてしまうが、その隙にザイドスは気を失ったジンを攫っていった。


フン、俺のものになるがいいジン。それが所詮、貴様の運命だ
俺の操り人形として、貴様は生まれ変わるのだ!


ジンを肩に抱えたザイドスがそう言い、不敵に笑いつつ何処かへ去って行くシーンでこの回は締めくくられる。


そして陣回の最終話である第39話「魔拳落日に散る」の冒頭、幽閉されていた陣が看守の隙を突いて脱走した現場へと姿を見せる。

無駄な事を。奴の体は既に、俺のもの

どうも既に何か手を打ってあったらしく、余裕の表情でこの台詞。

その後、紆余曲折の末に亮に介抱されていた陣が、突如として餓狼鬼へと変身してしまったシーンの直後に登場。
そして脱走する前の陣の体に餓狼鬼の細胞を埋め込むことにより自らの操り人形とした事を告げ、餓狼鬼を嗾ける。
休戦協定を結んだにもかかわらず戦いを挑んできたことを大五に咎められるも、

え~、何だってぇ?

と聞き耳ポーズを取りつつの、なんとも馬鹿にした台詞で挑発。
改めて餓狼鬼を差し向けるが、陣から弱点を聞いていた亮がその弱点をスターソードで突き、
更に拳士としての誇りを忘れていなかった陣が餓狼鬼の精神支配を脱して餓狼鬼諸共自害を試みたため、ザイドスはやむなく慌てて二体を分離させる。

そして餓狼鬼と戦うダイレンジャーとは別の場所で、魔拳士に変身したジンとザイドスは一騎打ちを行う。
ジンの邪神風拳によって徹底的にボコられるザイドスだったが、それは演技だったのか最後の顔への一撃は見事に阻止してみせ、
逆に口から放った妖力攻撃でジンを返り討ちにした。

その後、亮と拳士としての決着に負けた後、傷だらけの体で一人夕焼けの砂地を彷徨い歩いていたジンの前に、今度は無数のコットポトロを率いて出現。

やれぇい!

件の憎たらしい笑みを浮かべたザイドスの命令により、コットポトロ達の総攻撃が開始される。
ジンは満身創痍の体を押して戦い、とうとうザイドスへと飛びかかるのだが、脇にいたコットポトロ達が構えていた銃が火を噴き……

と、陣絡みのエピソードではコミカルな面はやや控えめになり、代わりにその知略を巡らせて陣という一人の人間の運命を翻弄した悪役として描かれている。


ゴーマ十五世


ゴーマの支配者であり、当然上司。
この人と直接対面しているシーンは、意外にも第28話「総登場だぎゃ!」の冒頭だけである。

三幹部揃って天上の間で謁見しているシーンにて、謁見用の老人の笑顔を象ったような仮面を付けた三人を映すカットでは、
最後の彼が三段落ちの如く、最後に一番面白い顔を披露。
そしてゴーマ十五世に「ちっちゃな島国侵略するのにいつまで掛かる」と、日本侵略が進まないことを叱責された際、
その「ちっちゃな島国」が日本のことだと判らず、思わず隣にいたガラに本項目冒頭の質問を投げ掛けて彼女を呆れさせた。
その後、畳み掛けるようにゴーマ十五世からは手にしていたチンチロリン用の大きなサイコロを見事にその口に投げ込まれ、慌てふためく羽目に。
そしてゴーマ十五世からは「バカバカッ!小学校で勉強し直しておいで!」と直々にお叱りを受けた。

…ゴーマにも小学校があるのだろうか?


鳥カゴ風来坊


ゴーマ怪人であるが、部下というか、何というか…

出番はAパートの最後からだが、久々に麻袋を背負ったスタイルで本編に登場。
恐らく鳥カゴ風来坊が潜伏場所としている採石場らしき場所におり、自分のバスに乗って戻ってきた彼を出迎えた。
そして鳥カゴ風来坊が捕らえたという将児の引き渡しを要求するも、ゴーマを追放されたという経歴を持つ鳥カゴ風来坊はそれを拒否し、更にザイドスを馬鹿にするように酒を煽る。

へん、生意気なぁ! 酔いどれがこの俺様に勝てると思ってるのか!

バスの上の鳥カゴ風来坊をそう挑発するも、言われた当人は「そうか」とバスの上から仕込み機関砲をぶっ放し始める。

う、やめろ、やめろぉぉぉぉっ!↑

大口叩いていたザイドスは一転、そんな情けない声を上げて、みっともなくも這々の体で逃げ出すのであった。
幹部がそれでいいのか…

しかしこれで鳥カゴ風来坊を見限ったりはせず、人質となった将児と女の子を救うため、黄金の脚の封印を解くべく道士嘉挧が向かった謎の池に彼も突如として出現する。
そして道士が封印を解いた黄金の脚を奪取し、鳥カゴ風来坊によこしてやるというアシストを成功させている。

ザイドスのおかげで黄金の脚を取り戻して最強の戦士に戻った鳥カゴ風来坊だったが、この後に機転を利かせて脱出し、
更に友情を取り戻した亮と将児の合体攻撃によってあっけなく始末されてしまうのであった。


パチンコ大名人


一応、部下的な存在。

作中ではシャダムに操られた挙句に悲惨な最期を迎えた彼だが、本来はザイドスの指揮下だったようであり、
シャダムに「パチンコ大名人はどうした?」と聞かれた時には、

ダメだ! あいつパチンコばっかりやって、全然戦おうとしねえ!

とドラム缶に拳を叩き付けつつ愚痴っていた。


…そんなこんなで、残念ながら部下の質には恵まれているとは言い難く、いろんな意味で苦労していた模様。
でも意外と部下の面倒見は良いみたいである。


作中での活躍

物語には他の三幹部と同様、第2話からの登場。
紐男爵がやられた後、どこかの港に麻袋を背負った姿で登場し、麻袋の中から次のゴーマ怪人・ガマグチ法師を送り出した。

その後、ガマグチ法師が集めた五人のいけにえを使って行われた、ゴーマに伝わる復活を祝う儀式であるニードロブードロの進行役として再登場。

ニードロブードロ!ニードロブードロ!ニードロブードロ!

独特の手振りを交えて威勢良くひたすら「ニードロブードロ」と連呼、鮮烈な印象を残す。

それ以降もレギュラー幹部の一人として、頻繁に登場する。
単独での登場時の活躍は既に先述した通りだが、三人一緒の時では他の二人の雰囲気に引っ張られるためなのか、良くも悪くも面白さがちょっと控えめ。


やはり彼の真骨頂は、最終話目前の第47話「すっげぇ~真実」と第48話「壮絶!道士死す」にて、
道士嘉挧が立てていった気力と妖力の塔を巡っての転身出来なくなったダイレンジャー達との遣り取りとその戦い、
そして衝撃的な最期を迎える場面だろう。

ゴーマに戻った嘉挧とシャダムの次期皇帝を巡る決戦を控え、シャダムの命令に従って嘉挧が建てた気力と妖力の塔を破壊するためにやってきたザイドス。
しかし、そこには嘉挧から解散を宣言され、さらには転身能力を奪われてしまい自分達の目的を見失ったものの、
嘉挧が居なくとも戦う決心を固めたばかりのダイレンジャーの五人が居た。

塔の正体を知らされていないダイレンジャー達は、突然姿を見せたザイドスに対し塔の正体を尋ねる。

黙れダイレンジャー! …いや、もうお前らはただの人間だったなぁ。揃いも揃って!死にに来たかぁ?

と、当然質問には答えず、転身出来ないダイレンジャー達を挑発する。
それを受けてダイレンジャー五人は転身出来ぬままで果敢に戦いを挑むが、ザイドスは妖力で軽くいなす。

ドゥエッハハハハァ、弱い奴らめぇ。そんなに知りたければ冥土の土産に教えてやる!

と、下卑た笑いをしつつ余裕のザイドスは、ダイレンジャー五人にゴーマに戻った嘉挧の目的を語り始めた。


お前達のボス道士嘉挧は、ゴーマの次の皇帝になるための戦いをしに、ゴーマへ戻ったのだ
フン、嘉挧の奴。自分が皇帝になって、ゴーマをいい子ちゃんの集団にしようとしてやがるんだ!
今のまま試合に挑めば、シャダムの方が圧倒的に強い。嘉挧の奴は、間違いなく死ぬ!
そこであいつはあの塔をぶっ建てた
あの二つから発射される妖力を気力と全身に受け止め、パワーを倍加させて試合に勝つつもりだ
だがそうはさせん!シャダムが勝たねえことには、俺の出世がねえっ!地球侵略もねえ!
だからあの塔を破壊しに来たのさぁ!


こうしてザイドスの話を聞いた五人は、ようやく嘉挧の真意と塔を建てた目的を知った。
そして一人で戦っている嘉挧のためにも、何としても塔を守る決心を固めた五人は転身も出来ない生身のままでありながらも、
果敢にダイレンジャーとしての名乗りを上げる。

バカめぇ。転身も出来ずに揃い踏みかぁ?へっ、笑わせるなぁ

相変わらず余裕綽々のザイドスは、コットポトロ達を無数に召喚して差し向ける。
が、嘉挧の覚悟を知り、とことんやる気になっているダイレンジャー五人は生身のままでコットポトロを圧倒し、倒してしまう。
そのままザイドスにも攻撃を仕掛けるが、やはり生身のままでは到底敵わない。
が、五人は嘉挧も命を賭けて戦っているのだからと、必死に喰らい付く。

流石にこうなると、余裕こいていたザイドスもムキになり始める。

どけぇ…どかねえと死ぬぞぉぉぉ!

妖力の塔を破壊するために妖力を集め始めたザイドスに対し、五人は気力による壁を作ってバリケードとなることで、必死で塔を守ろうとする。
こうして生身ながらも五人が作り出した気力の壁は、ザイドスの妖力攻撃に抵抗し続け、あまつさえザイドスを後ずさりまでさせる程に。

ふざけるなぁぁぁぁ!

しかし、ますますムキになったザイドスのさらなる妖力攻撃によって最後は押し負けてしまい、妖力の塔は破壊され、その余波で五人も大きなダメージを負う。

ほら立てぇ、立つんだよぉハッハァー

妖力の塔を破壊して一転してご機嫌になったザイドスは五人を挑発しつつ、妖力を使って更に五人を痛めつける。
が、五人の負けられないという強い意志に導かれ、嘉挧に取り上げられてゴーマ宮に収められていたオーラチェンジャーと天宝来来の玉が戻ってきた。
驚愕するザイドスの前で、ダイレンジャー達は再度の転身を果たす。

そんな馬鹿なあぁぁぁ!

さらにコウもキバレンジャーに転身して加勢してきたため、これによりザイドスは完全にプッツンする。

こうなったら一気に潰してやるぅ!

と、巨大化爆弾を手にする。

巨大化ばくだぁぁん!(チリーン)

しかし、プッツンしておつむが回らなくなっていたのか、ザイドスはうっかり爆弾から外した蓋の方を
勢いよく床に叩き付けてしまい、周囲には乾いた金属音だけが響く事に…。

こっちだぁぁぁぁ!

間違いに気づき、改めて手にしている巨大化爆弾を確認してから叩き付け、ザイドスは二度目となる巨大化を果たした。
……この緊迫した状況でこんな古典的なギャグをぶっ込んでくるザイドスさんマジぱねぇ。


巨大化したザイドスはダイレンジャーが呼び出した大連王とウォンタイガーの二体を敵に回しながらも、互角の格闘戦を展開する。
こうしてザイドスとダイレンジャー達が戦っている間に、自ら加勢にやってきたガラによって残っていた気力の塔も破壊されてしまった。
二つの塔を破壊された事でダイレンジャー達の戦意が衰えたと見たのか、それとも目的を果たしてテンションが上がったのか。
ザイドスはここで奥の手を発動させる。

お前らも死ねぇ!今こそ見せてやる、俺様の大秘術をぉー!

そう言ってザイドスが目を輝かせると、これまで彼の頭を覆っていたフードが消えて、代わりに激しく溶岩を噴き上げる
二つの火山がその頭に鎮座していた。
これにはホウオウレンジャーも「頭に火山が!?」と驚愕。

ザイドス怒りの大噴火だぁ~!

と、ザイドスはその頭の火山より勢いよく吹き出している溶岩を浴びせかけることで、大連王とウォンタイガーを攻撃し始める。
ちなみにこの時のザイドス、「ほーらほらほらほら」等と実に楽しそうである。
あとどう見ても頭から出ているのは溶岩じゃなくて花火じゃねーか、とか言ってはいけない

一見間抜けな絵面ではあるが、とにかく彼の頭から吹き出す溶岩の威力は当たったビルが粉々に吹き飛ぶほどであり、
それによりこれまで大神龍相手でしか大きなダメージを負ったような描写がなかった大連王を、その威力を以て
地面に這い蹲らせるという快挙を果たすなど、ダイレンジャー達を追い詰めた。

しかし、そこへ同様に玉が戻ってきたダイムゲンが参戦してきたことで七星合体が成立し、重甲気殿が完成する。
そんなわけでザイドスは、二度目の大圧殺を受ける羽目になった。
因みに前回(最後の3バカ回)のことがあってか、ザイドスは落下してくる重甲気殿を受け止めようとしていたようだが、
そんなことが出来るわけもなく、再び見事に潰された。


こうして巨大化は流石に解除されるも、ザイドス自身はまだ倒れない。
変身を解除して追ってきたダイレンジャーとまだ戦おうとするザイドスだったが、そんな彼に異変が起きる。
なんと彼の脚が、泥の塊と化していたのだ!

突然脚が無くなってしまい、ザイドスは膝立ちとなったままで動けなくなる。

うああ、脚が、脚がっ……あああっ!て、あれ、アレ?

思わずただの泥と化し、目の前に転がった脚を手に取って眺めるも、それもすぐ落としてしまった。

て、手が、手がぁぁぁ…!ボロボロボロォ~

今度はその腕までもが泥と化して崩れ始めた為、ザイドスはとうとう手と脚を失ってしまい、だるま状態に。

何じゃこりゃぁ!俺の顔ぉー!俺の身体ぁー!たぁすけてくれぇー!

今度はとうとう全身の泥化が始まり、もうどうすることも出来ないザイドスは、ただそんな悲痛な叫びを上げるのみ。
ダイレンジャー達も、あまりの出来事にそんなザイドスをただ見守ることしか出来ない。

そして遂にザイドスは、完全に泥人形と化してしまった。

俺の出世はどうなるんだあぁぁぁぁ!!!!!

そしてこんな辞世の句と共に、泥人形の頭と胴体はひび割れて無残に崩れ落ちて砕け、ただの砂と化した。
こうしてザイドスは、ダイレンジャーの物語から退場したのであった……。



備考

次の回で明らかになるが、ゴーマの人間であるはずのザイドスが最期に泥人形と化して死んでいったのは、
実はザイドスはシャダムが作って命を吹き込んだ泥人形だったからである。
そしてザイドスだけでなくガラも、そしてゴーマの支配者であるゴーマ十五世すら、同様にシャダムが作った泥人形だったことが明らかにされる。

そんなザイドスが泥人形と化して死ぬシーンは、ザイドスの言動が言動なのでややコミカルではあるが、
不気味なBGMや体のパーツが徐々に泥となり、ザイドスがただの泥人形へと化していくシーンが最初ということもあって丹念に描写されているため、トラウマ度は割と高い。
また、最後に胴が崩れて頭と胴が割れるシーンにて、まだ残っている下半身部分の断面から覗く泥が、どこか内臓のようにも見えてしまうため、人によってはそちらの方がきついかも知れない。

ちなみにダイレンジャー達はザイドスが泥人形と化して死んだことに確かに驚いてはいたものの、
六人の頭はゴーマで一人で戦っている道士嘉挧のことが第一であり、直後にダイムゲンが秘密の通路を発見し、
そこからすぐさま嘉挧の所へと向かっていったのでいまいち反応が薄いのだが、
逆に物陰でザイドスの最期を目撃していたガラにはかなり大きな動揺を与えている。

これまでクジャク絡み以外では殆ど感情的になるシーンが無く、余裕というか勝ち気な態度を貫いていた彼女があからさまに狼狽えており、
次の話では珍しくなんとも弱々しい感じでシャダムに対し、
信じられない…!」と、ザイドスの悲惨な最期を訴えている。
しかし当のシャダムは「気にするな。それより喜べ、ガラ。とうとう俺はゴーマの正統なる王位継承者になった」と全く意に介しておらず、
これに対してもガラはかなり戸惑った様子を見せていた。

もっとも、この直後にダイレンジャー達のゴーマ宮への殴り込みがあり、ガラはクジャクの件で因縁が出来た大五、
そしてリンとの最後の決戦に雪崩れ込んだため、シャダムにその真意を問うことは出来なかった。
そして、その彼女も決戦の最中に現れた思わぬ人物の口から自分もザイドスと同じ泥人形であることを知らされ、
更に予想だにしない人物の手で呆気なく土に還されてしまうことになる。

このザイドスの最期に対するシャダムとガラの反応の違いは、勿論シャダムが実はザイドスを作った張本人だからということもあるが、
内に抱いた野望がようやく叶いつつあったシャダムに秘められた、次の話でゴーマ十六世となったことでより顕著になる、その狂気が表面化してきた現れでもあったと言えるだろう。

こうしてダイレンジャーの物語は、ザイドスと道士嘉挧の死をきっかけとして両陣営が大きく動き出すこととなり、一気に終局へと向かうのであった。

児童誌『てれびくん』で連載された田仲てつお版コミックではシャダムに切り捨てられる形でガラ共々泥人形へと戻される等、ゴーマ十五世に近い末路を辿っていた。






こうなったら一気に追記・修正してやるぅ!編集ばくだぁぁん!

(チリーン)

こっちだぁぁぁぁ!

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最終更新:2024年04月19日 08:25