人質

登録日:2016/08/29 (月曜日) 08:01:00
更新日:2023/10/21 Sat 22:35:04
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人質とは、安全や返還を交換条件に敵対勢力から自分の要望を引き出すことを目的として、誘拐・拘束された人物のことである。


現実世界における人質

 ハイジャックや立て篭もりなどの事件が代表例。人質の安全・解放を条件に、犯人自身の身柄の安全や逃走経路の用意や立て篭もり中の食料の他、政治目的ならば逮捕収監された仲間の釈放等も要求に入る。

 実行犯が少人数かつ人質が多人数の場合、女子供を中心に解放されることがある。これは犯人が単に紳士的なのではなく、少人数の実行犯でも管理しやすい人数にすることで人質の反乱や逃走を抑止する目的がある。そのため世間体を気にしない実行犯ならば、人質の中から反乱等のリスクが高い男性を先に開放し、非力な女子供や年寄りを手元に残す場合もある。いずれにせよ警察側も人質の数が少ないほうが保護しやすく、また不確定要素のリスクが減るため、こう見えてお互い利のある取り引きである。

 また犯人自身が人質と言うケースも存在する。日本をはじめとする先進国では、犯罪者と言えど国家が簡単に命を見捨てる事は出来ない。
 加えて、犯人から事情を聞きださないことには背景事情の解明もままならないし、自殺する前に周囲を道連れにしようと考えだすリスクもあるため、自殺を仄めかす立て篭もり犯等にも慎重な対応を求められる。
 そこまで大袈裟でなくとも、自分の首筋や手首に刃物を突き付けて要求(離婚・結婚してくれなきゃここで死ぬetc)を通すのも犯人自身が人質のケース。

 かつては各国政府が人質の安全を優先し、超法規的措置として犯人の要求を飲む事も多かった。しかしながら警察組織や軍隊における特殊部隊の創設とその活躍により強行解決が現実的になったこと、また犯人の要求に応じることで人質作戦の有効性が世に知られ、結局第二第三の人質事件を誘発しかねないとして近年では犯人の要求には応じない方針が一貫されつつある。
 もう一つ近年の傾向として、テロリズムを主な活動内容としている武装勢力が自分たちの活動地域にいるジャーナリストやボランティアなどを拘束し、彼らの母国政府ないしは身内に対して身代金の要求や多国籍軍からの撤退等を要求する事例が増えてきた。上述の通り政府が素直に要求に応じる事は少なくなってきており、武装勢力も異教徒の生命人権は軽視しがちなのもあって、人質となった場合の生還率は余り高くない。

 しかし世の中には例外は存在するもので、テロリストに外交官を人質に取られた国家がまさかの手段に出たことがある。なんと、テロリストの家族を掌握し逆人質として、取られた人質を解放させたことがある。え?どこの国かって?そんなこと言うのはおそロシア

人質の扱い

 人質になってしまった人々は、当然生殺与奪を犯人たちに握られてしまい、殺されてしまう。
 仮に殺されなくとも、解放されるまでの間は非人間的に扱われる…というのを想像する人たちが多いだろう。
 もちろんそういうことも多い。

 だが、犯人の目的などによっては丁重な扱いを受けられるケースもある。
 というのも、犯人としては、人質は大切な交渉材料であり、人質を失うことは犯人にとって武器を失うことでもある。
 人質が逃げ出そうとして、他の人質に対しての示しのために人質を射殺せざるを得なくなったりすると、犯人も困るのだ。

 組織的に武装して人質を取る現代の海賊などは、目的が身代金であるため、人質に対しては割と丁重である。
 生殺与奪を握られている以上悠々自適とはとても言えないが、真っ当な(?)海賊であればエロ同人みたいなことにはそうならない。

 また、命に係わる極限環境下に置かれ、警察などに強行突入されれば命が危ういのは犯人も人質も同じ。
 そのため、人質と犯人の間に妙な共感が生まれることがある。

 結果として人質が犯人に殊更協力しているかのような態度を取り始め、解放されても人質が事実に反して犯人を庇う例が報告されている。(ストックホルム症候群)
 逆に、犯人サイドが人質に共感を始め、肝心な時に人質を攻撃できなかったと言う例もある。(リマ症候群)

中世以前における人質(欧州)

 古代ローマ帝国は、人質として呼び寄せた近隣諸国の若い重要人を客人ないしは留学生のような待遇で迎え入れた。ローマ帝国内で教育を受けた彼らは親ローマ派となり、帰国後要職に付くにあたってはローマと深い友好関係を築くことが出来たという。

 中世の戦争は、戦って捕虜になった者は人質とされるが、身代金を払ってもらえれば敵に返す、というやり方で行われていた。
 人質に過剰な傷がつき、身代金の額が下がるということでクロスボウのような強力な武器の威力を制限すると言うことすらあったほどである。
 現代からすれば随分とのどかな話だが、こういう戦争のやり方が中世において戦死者の数を抑えていたこともまた事実である。
 人質にされ、当時の常道からすれば身代金出すと言えば返してもらえただろうに、味方から疎まれてしまい「あいつ?イラネ。勝手にどうぞ」とやられたのが、かのジャンヌ・ダルクである*1

中世における人質(日本)

 群雄割拠の戦国時代、大名同士の同盟の証として大名自身の子供や妻、母親と言った近親者が人質として差し出された。
 これはもし同盟を一方的に破棄した場合、その人質の生殺与奪を与える事で信用を得るのが目的。大名同士の戦力が拮抗し多数の勢力が入り乱れ、各武将がどの勢力に付くかであっさり勢力図が塗り替わるこの時代に於いては、人質は欠かせない概念であった。
 かの徳川家康等、若き日を人質として過ごした武将も少なくない。なおそれぞれの家によるが、こうして人質として迎えられる人物は相応に身分が高く、また人質に何かあれば同盟関係自体が危うくなるため、基本的には客人に準じるかそれ以上の待遇が与えられたようである。ただし外出等は多少制限された。
 参勤交代にあたって大名は妻子を江戸に残してこなければならなかったが、これもある種の人質である。

物語における人質

 作中世界で戦闘力上位に位置するキャラクターが苦戦したり敗北する理由として極めて分かりやすい事や、人質を取る側は勿論取られた側の対応によってその人柄を表現しやすい事、後に仲間になるキャラクターの一時的な敵対理由として使いやすい事などを理由に、人質作戦は物語において多用される。
 戦闘要素のある作品である程度の長期連載ならば、一度は何らかの形で描かれるのではないだろうか。

 悪党がヒロインや主人公の身内、要人や一般市民を人質にとり、主人公側に武装解除や金品、物語におけるキーアイテム等の提供を強いる展開が多い。この時人質作戦を取った敵は「卑怯・卑劣」と言った描かれ方をされやすく、大抵の場合後々特にひどい目に遭う。
 レベルの高い悪党になると実際に人質の身柄を押さえることなく「自分ならいつでも危害を加えられる」といった具合に脅迫するといった例もある。実際にそれが可能と思わせるだけの実力があってこそ成立する方法だが、この場合は人質を管理する手間も奪還される危険も無い点で優れている。
 逆に主人公側が、敵地で追い込まれた際に敵の要人を人質にとって脱出までの時間や手段を確保するケースもある。この時主人公側を余り悪く描かないために、その要人自身は協力的だったりすることも。(所謂偽装誘拐)
 子供を誘拐し家族に身代金を迫る展開はサスペンス等ではお馴染みだが、これも立派に人質と言えよう。
 スポーツものやゲームバトル等では、家族を人質に取られたキャラクターが八百長に加担したりラフプレーに走らされたり、或いは本来なら避けられたバトルを強要されるといった描かれ方をする。


人質を取られた側の対応

素直に犯人の要求に応じる

 武器を捨て降伏したり、主人公側が所持するキーアイテムを差し出したり等。
 前者はヒーロー物等の場合、主人公が武装解除してしまうと敵に対抗できる勢力がなくなり、その敵はもはや約束を守る必要もなくなって人質も返して貰えない、と最悪の展開も予想されるが、"それでも"主人公が武器を捨てると言う展開もある。そして実際人質を取った悪役側が約束を破る事も少なくなく、こうなってしまうともはや本末転倒である。それだけその主人公が純粋であるないしはその人質が大切である、と言った描かれ方をする。
 うまい具合に転ぶ場合もあるが、そういうのは何かしらの仕込みや伏線があってのことで、大抵は敵の要求が通ってしまう。
時にはキーアイテムをすり替えたり、降伏と見せかけ敵の懐に入るなど、要求に応じたふりをしてことをうまく運ぶ荒業もある。
 なおその世界観において知名度の高いヒーローならば、下手に人質を見捨てると周囲や世間の支持や信頼を失ってしまうと言う難しい問題もある。

 後者は特にゲーム等において例えば「魔王復活を阻止するために○○を集めろ」等と言った指示が出された場合、毎回イベントでそのアイテムを奪われていてはプレイヤーが戦闘に勝つ意味が無い、かと言って本当に魔王復活が阻止されては話が膨らまないと言ったシナリオ上の都合で、折角集めたキーアイテムを敵に奪わせるもっともらしい口実として人質作戦が取られる事がある。

例:パパス(DQⅤ)
 ゲームプロローグのラスト。ゲマ一味の部下を圧倒する力を見せるパパスだったが、ゲマが動けない主人公(DQⅤ)に武器を突きつけると抵抗をやめ、ついには力尽きゲマの攻撃で焼殺されてしまう。交渉相手を殺したゲマは当然主人公を解放する理由もなくなり、連れ帰って奴隷としてこき使う事になる。無抵抗により最悪の展開に転がるパターン。


敵の虚を突いて救出する

 この展開が1番多いのではないだろうか。現実の警察特殊部隊による制圧も、最初に催涙弾等で隙を作る事が多くこれに該当するだろう。
 主人公の圧倒的な戦闘力だったりそれまで隠していた能力で奪還するある意味正攻法の他、弱すぎて敵が脅威と感じていない脇役キャラがその油断を突いて隙を作る事もある。
 特にかつてのライバルキャラが人質救出に協力する展開は熱い。敵もそのライバルキャラが主人公に味方するとは思わずに警戒が薄い為に割合あっさり奪還できる上、「卑怯、卑劣」と描かれた敵が主人公とライバルキャラのコンビネーションでボッコボコにされる展開は分かりやすく爽快に描ける。

例:冴羽リョウ
 虚を突くと言うとピンと来ないかも知れないが、彼の狙撃・早打ち術は大方にしてそこらの悪党の予想を遥かに上回っており、その時点で虚を突いていると言える。人質を取っただけで油断した犯人への攻撃を幾度と無く成功させ人質を救出している。リョウ自身が自分の腕前に絶対の自信を持っており、人質を見捨てる気が毛頭ないという時点で、後述の無視して攻撃するとは決定的に異なる。


敵を言葉で説得する

 このパターンも多い。力でダメなら言葉で。
ミステリー作品で追い詰められた犯人がヤケになって近場の人間を人質にとった場合、多くの場合主人公或いは縁者による説得で凶器を落とし、警察に拘束される。実際突発的な犯行であるため一時的に視野が狭くなっており、少し冷静になれば今更こんな事をしてもなんにもならないと悟るのだろう。
 逆に、挑発で相手をカンカンに怒らせて人質を捨てさせるパターンも。「さあ、子供を放せ!一対一だ!来いよベネット、怖いのか?」


人質が自力で脱出する

 実は人質となったヒロインは武術の達人だった、等とややギャグよりの描かれ方をすることが多い解決方法。
 上記説得と組み合わせ、誰かに説得されて隙が生まれた犯人から自力で脱出するという場合もある。その場合大抵の犯人は再度逃走を図る。あと羽交い締めにした腕に噛みつくパターンがやたら多い。
 脱出と言って良いのかわからないが最悪の場合だと、「重荷になるくらいならいっそのこと」と思い立った人質が自殺して人質としての価値を失わせるパターンも存在する。
 また本来主人公と関わりのない悪党が銀行や飛行機にたまたま居合わせた主人公らを人質に取るケースもある。一部ハイジャック系やスティーヴン・セガール主演の洋画はここが物語のスタートと言っても良い。主人公が元軍人だったり、何らかの特殊能力を持っていたり、或いは類稀な観察力と判断力を持っていたりすると、最終的に出し抜かれて全員逃亡される哀れな犯人の姿が拝める。
 その程度で済めばいいもので、最悪主人公一人の手でその場で全滅する。この場合はそういう星の元に生まれたのだと諦めてもらうしかない。

例:ゴルゴ13
 テロリストや犯罪集団に属するターゲットに近づくために、わざと捕まって人質になるという手段を使うことがある。
 上記のパターンとは別に、たまたま何も知らないテロリストが人質にした人間の中にいた事がある。その場では大人しくしていたが、ゴルゴが人質の中にいると知った救助側が犯人への呼びかけの中でゴルゴに事態収拾を遠まわしに依頼。それを聞いたゴルゴは即座に行動を開始して以下略。


無視する

 人質を無視して近づいたり、攻撃を加える。
 理由は様々であるが、例えばギャグよりの作品なら人質にそんな価値がなかったりする。(どうせギャグ時空だから死なないし)
 逆に人質に価値がないと思わせて解放を促したり困惑させる目的で前に出るケースもある。これは典型的なハッタリであり、主人公は内心かなりビクビクしている。
 非致死性の攻撃で人質諸共やっつけたり、人質の特殊能力を信じて(例:毒が効かない人質諸共毒ガスで攻撃)攻撃を加えたりすることもある。
 また本当に人質がどうなっても構わないと言う場合もある。ダークヒーローなら人並みの倫理観や人情など不要だったり、或いは自身の目的使命の前では人命すら些細なことと考えているケースである。主人公と付き合いの長い人質の場合は、人質自身もその考えを理解して覚悟を決めている事も多い。

例:ゴルゴ13
 こちらのパターンに遭遇した事もある。ゴルゴの協力者がゴルゴの敵対者側に送り込んだスパイを捕らえてゴルゴを脅したのだが、ゴルゴがそのスパイの存在を知らなかったので無視して即座に敵対者を殺した。
 一応この後ちゃんと救助しているので虚をついて救助パターンにも入るか。
 愛犬が殺されるのを窓際から見ていた人質が弾薬庫の場所を伝えたのを読唇術で読み取り、人質諸共爆破したこともある。
例:デッドプール
 ディスク・ウォーズ:アベンジャーズにおいて、主人公達の仲間ホークアイを人質に取りクリスとキャプテンアメリカの行動を封じたバロン・ジモに対し、「ホークアイに義理はねえ」と一人で交戦。
あまつさえ能力を封じられ重症を追った際に、クリスの悩みを何とかすべく、ホークアイを銃撃で殺害しようとした。(撃った結果、ホークアイが偽物であったことが判明)
 詳しくは当該項目を参照。
例:ボボボーボ・ボーボボ
ギャグ作品の代表例。
OVERにところ天の助が人質に取られたが、普段から奥義の巻き添えでさんざん痛めつけている天の助にボーボボが遠慮するわけがなく。
「その男に人質の価値はねーっ!」
と、盛大にOVERごと同時攻撃。その次には首領パッチが人質にされるものの、天の助を武器にして首領パッチごとOVERを攻撃した。
例:アーカード
HELLSING』記念すべき第一話において、吸血鬼神父に人質に取られた婦警セラスに対し、「お嬢ちゃん、処女か?」とセクハラ発言をかまし、セラスが「はい」と答えると大口径の銃で彼女もろとも吸血鬼を撃ち抜いた。
その後、セラスはアーカードに血を吸われ、吸血鬼として生きることになる。先の質問は、血を吸われて意志を持つ吸血鬼になれるのは処女と童貞だけであるため。
セラスを救ってはいるものの、自身が「生存者はなし」と言っているとおり吸血鬼となった時点で生者とも言い難く、「セラスという人間」の救出はあっさりと諦めている。
まあ敵の要求に応じたところでセラスは死ぬかグールにされる可能性が高かったのだが。
例:サイコマン
対プラネットマン戦にてプラネットマンが死亡した完璧無量大数軍の面々の魂を「魔技・人面プラネット」で人質に取りサイコマンの動揺を誘う作戦を決行。
が、サイコマンは仲間の始祖以外の命に対してはとことん冷酷で情も憐憫も持ち合わせていない性格だったためまるで通用せず、人質に取った魂ごと殺害されてしまった。


人質を攻撃する

 上項と異なり、見捨てるわけではなく救出するために敢えて人質を攻撃するケース。
 特に犯人が少数、かつ人質を連れて逃げようとしている場合に行われる方法で、気絶させたり足など致命傷となりにくい場所を攻撃して自力での移動を出来なくする。自分で歩けない人質は犯人にとって文字通り足手まといとなり、逃走を優先するなら捨てていかざるを得なくなる。
 ただし激高した犯人が動けない人質にトドメを刺してから逃走を図る可能性も0ではないため、あなたに主人公補正がない場合は安易に真似してはいけない。また、当然気絶した人質を抱えて悠々跳びはねるような人外相手には通用しない。
 また、これの問題点としてはいかなる理由であれ第三者からは「人質を攻撃した」という印象が残るため本人や人質が無事に事件を解決してもその後何らかの不利益を被る可能性がある。

例:江戸川コナン
14番目の標的』で蘭を犯人に人質に取られたときに、上記の理由から蘭の足を狙って発砲し、これに動揺した犯人の隙を狙って小五郎が一本背負いを喰らわせた。これはコナンの銃の腕前がハワイで親父に教わったため警察以上だったからこそできた方法である。同じく小五郎も過去に妻である英理の足を撃ったことがある。
なお、原作でも蘭は人質になった事があるが、こちらは自力で脱出している。


逆に人質に取る

 一見よくわからないが、つまりは「人質に傷一つつけようものならてめぇら全員ぶっ殺す」といった具合のアグレッシブすぎる脅迫。
 レアケースではあるものの、そもそも人質自体が正攻法で勝ち目がない奴がやる場合が多いので、意外と効き目はあったりする。
 当然といえば当然だが人質を取られた側が心身共に強靭でなくてはできないやり方であり、それがレアケースたる所以。

例:金田正太郎(鉄人28号)
 自らのロボット「ギルバート」を失い鉄人に抵抗する術を失ったサイボーグ「ケリー」は、誘拐した医師を人質に「鉄人が攻撃を加えるなら医師を空から投げ捨て殺害する」と主張、逃走を図る。しかし正太郎からの返答は「投げられるものなら投げてみろ」「その次には鉄人がお前たちを地面に叩きつける。サイボーグのお前は助かってもお前が連れている生身の弟は助からないぞ」と逆に彼及びその弟を人質に取るものであり、ケリーは人質作戦を諦めることとなる。このケースは人質はパンピーながら、正太郎が相当にアレな人物で「やると言ったらやる」ことが知られていたため脅しが脅しとして機能し成功した。
例:蔵馬幽☆遊☆白書
 人間に化けて暮らす妖狐。弟を人質に取られたが、人質を管理していた妖怪を「バカかお前 人質は無事だから意味があるんだ」「オレをあんまり怒らせるな」と脅迫して寝返らせ、安全を確保した上で人質を命じた親玉を殺害した。
人質とは「絶対に 失うわけにはいかない 人質」と「失うのは 避けたい が無くしてもいい人質」に分かれるため
人質を使って効果的に脅迫するにはその性質を見極めないと失敗するが
蔵馬にとってこの人質は前者寄りなのだが、 言動や雰囲気を利用して後者と思わせて、
さらに後者の人質を害したら 確実に怒りに燃える相手に無惨な報復をされる しかも確実にという 事実を 認識させて勝っている。
作中他にも人質を取られる場面があるが結局は返り討ちにしている。
例:前鬼(鬼神童子ZENKI)
 役小角の末裔の役小明という美少女に使役される鬼神。敵のボス、ボスを裏切った№2との三つ巴の交戦中に、回復役である使役者を元№2に捕獲されてしまう。が・・・「人質を殺したらお前を全力で攻撃する」と逆に脅迫。裏切り者を粛清しようとしていた元ボスは負傷して戦力低下、攻撃面では№2より前鬼が有利と言う状況で、人質を下手に殺す事が出来なくなってしまい、結局、前鬼側の仲間が背後から襲い掛かる事で小明を奪還する事が出来た。



相手サイドから人質を取る

 「目には目を」ないし「相手もやってるからいいだろう」と敵方の仲間・関係者・親族を拉致し、「人質交換をしろ!」とか「そっちが殺せばこっちも殺す!」と犯人を恫喝する。

例:相良宗介
 『妥協無用のホステージ』にて。不良集団に捕われた千鳥かなめを救出するため敵地に乗り込み袋叩きにされようとした瞬間、集団の女リーダーの弟をあらかじめ拘束していた事を公開。
 スイッチの連続で少しづつ落下の危険に晒される少年の姿に連中は怯え、さらに畳みかける様に一人一人に(生徒会長から入手した情報を基に)向けて各自の「大事なもの」をいつでも害することができると仄めかし、集団を退散させた。
 事後に「実は事前に少年の承諾を得、命の危険は無い様にしていた」と説明していたが、明らかにやり過ぎな気が…。
例:愛徳高校勢VS立花商業勢(BE-BOP-HIGHSCHOOL)
 4巻にて。偶然から主人公「加藤ヒロシ」(愛徳高校)と立花商業の番長「菊永淳一」が喧嘩になり、そこから愛徳高校に敵意を抱いた立花生の一人「伊藤」が偵察に来た所もう一人の主人公「中間トオル」によって拘束。
 しかし伊藤の拘束を知った菊永が速攻でヒロシ・トオルの舎弟「兼子信雄」を拉致。愛徳勢の「伊藤の身柄による交渉」電話は「双方の人質交換・決着の舞台設定」に変更された。
 …しかしこの話、結局「加藤・中間・伊藤・菊永」が人質交換時前に少年課刑事(最初の遭遇時自分をやくざと勘違いした菊永を補導している)に補導され、本番時に主要キャラ不在で有耶無耶という情けない結果に…。


人質が自ら死ぬ

 人質に取られた人が自分で死ぬことで、人質としての機能を無くす。
 人質に取られたことで味方が危機に陥る場合や、仲間が死ねば自分も助かる見込みがなくなる、人質が自身の命に価値を見出していない場合などで起こりうる。
 人質を取った側の目論みを潰せるが、助けられなかったのは同じであり、救助できなかった味方への精神的ダメージも大きい。


18禁作品における人質

 当然、ヒロインに降伏を促しエロい事をするのが目的。
 特に薄い本やアンソロジー等はページ数に限りがあるので、戦闘力があるヒロインを無力化させる上で人質と言う展開は非常に話が早く分かりやすい。また人質に取られた人物がヒロインの姉妹やお姫様なら、後々ヒロインと一緒にエロい事になるのはもはやお約束である。




物質(ものじち)

 物質(ぶっしつ)ではない。人質の"モノ"バージョン。それはただの「質(しち)」じゃないのか?とか言わない。
 敵対者にとって相応に価値の高いものが手元にある場合はこれも交渉の材料となる。人質と比較すると逃走の危険がなかったり食事等の世話が不要であり、単に目につきにくいところに隠すだけで交渉の材料となるので極めて管理がしやすい。ただし人の命と比較すれば余程の事情がなければモノは所詮モノでしかないので、有効となる状況は限られる。

 分かりやすい例としては天空の城ラピュタにおける飛行石だろう。終盤、シータから飛行石を受け取ったパズーは敵対するムスカ大佐に対し、「石は隠した!シータに手を出してみろ、石は戻らないぞ!」と脅しをかける。ムスカにとっては本来パズーやシータの身柄よりもラピュタを制御する飛行石の方が重要であるため、「3分間待ってやる」と言う譲歩を引き出し、結果的にこれが逆転の一手に繋がる事となった。

 他には脅迫する相手が骨董好きとか美術品マニアの場合。
状況にもよるし、どうしても絵面がギャグっぽくなるが値段や希少性次第では「コレがどうなっても良いのか?」と脅しの材料に使われる場合がある。

余談だがこの物質、少なくともGoogle日本語入力なら一発変換できる。

ランサムウェア

 インターネット世界における人質(物質)。
 人、物ときて、つぎはデータである。大きく分けて2パターンある。
 1つは人のパソコンにコンピュータウィルスを感染させ、勝手にデータを暗号化するもの。解除したければ金銭をよこせという脅迫である。
 もう1つはパソコンまたはスマホそのものにロックをかけて使用不可能にするもの。そして公的機関を名乗り、罰金や利用料金を払わない限りロックを解除しないというもの。
 どちらにしても金銭を払ったところでロックが外れる保証もないため払ってはいけない。

鳥質

詳しくはダイナブレイドにて。簡単に言えば「トリキャラが別種族のトリをトリ質にとる」というダジャレ誰うまな状態。

クソ、その人を離せ!

クックック…こいつの命が惜しくば、追記・修正して貰おうか

おのれ卑怯な!


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最終更新:2023年10月21日 22:35

*1 農民出身で当時の戦争のルールを知らないジャンヌ・ダルクが、イギリス軍を片っ端から殺しまくったせいでイギリスから相当恨まれていたり、フランスからも持て余されていたという点もある