X-MEN:アポカリプス(映画)

登録日:2016/08/22 (月) 22:27:58
更新日:2023/07/16 Sun 06:35:31
所要時間:約 15 分で読めます






最後の敵は、


黙示録(アポカリプス)……それは、世界を終わらせる神。





『X-MEN:アポカリプス(X-MEN:Apocalypse)』とは、16年に公開された米映画。
実写映画『X-MEN』シリーズの第8弾であり、『ファースト・ジェネレーション』と『フューチャー&パスト』の過去編シリーズの完結編。
監督は、初期2作と『フューチャー&パスト』を監督したブライアン・シンガー。

MARVELを代表する大ボス(MCUのサノスやDCEUのダークサイドに匹敵する)アポカリプスが遂に登場。

前作で未来のウルヴァリンの歴史介入によりX-MENユニバースの歴史に分岐点が生じ、旧三部作(Earth-10005)とは別の世界線(Earth-TRN414)へと移行したため、
直接的には旧三部作へと繋がらず、過去作の束縛もなくある程度自由な作風をとっている。
だが、旧三部作を踏襲するシナリオ、演出も採用しており、『X-MEN』シリーズの集大成としてファンには必見の作品。

一方、歴史リセットしたはずの前作や『デッドプール』と繋がらない部分があるのでは?というツッコミどころもあるが…
ぶっちゃけ映画『X-MEN』にはいつものことである。

なお、アメリカ本国での評価は同年公開の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スーサイド・スクワッド』並みに賛否両論。
興業成績がスピンオフ作品の『デッドプール』に負けてしまうという予想外の事態になってしまった。



【物語】
1983年、ホワイトハウスのマグニートー襲撃事件から10年。
ミスティークがマグニートーから大統領を救った功績で、ミュータントの社会的評価は緩和され、「恵まれし子らの学園」も軌道に乗り、チャールズの望む「平和な世界」が実現しようとしていた。

…しかし。そんな中、逃亡中のエリックは逃走先で結ばれた妻と子を、自分の素性がバレたことを機に人間の警察に殺されてしまう。
その噂を聞きつけたレイヴンは、学園に一時的に帰還しチャールズに助けを求める。

一方で、エジプト・カイロにて発生した謎の大地震。
原因を調査するチャールズは、他人として再会したモイラの情報で、太古から眠っていた最古のミュータントが復活したと知る。

レイヴンの依頼でセレブロを使用しエリックの行方を調べるチャールズ。
果たしてエリックは見つかった…「神」と崇められた最古のミュータント「アポカリプス」の眷属として。
アポカリプスにセレブロを乗っ取られたチャールズは、彼らに学園へと侵入された挙句拉致されてしまい、さらに学園まで爆破されてしまう。

弱者が支配する世界を一掃する計画を企てるアポカリプスとその4人の眷属たち。
彼らを止めるため、レイヴンやハンクは、ジーン、スコットら学生たちと共に新生「X-MEN」としてカイロへと向かう。
果たして、世界とすれ違い続けた二人の男の運命や如何に?



【登場人物】

≪X-MEN≫
演:ジェームズ・マカヴォイ 吹替:内田夕夜

自堕落な前作を経て貫禄を取り戻したロン毛学園長。
10年前の事件以来、ミュータントにとっても平和な社会が手に入ったことに安堵し、学園運営とミュータント生の個性を生かす教育に力を入れている。
相変わらずすれ違い続きのエリックに未練も多く、レイヴンにも学園に残るよう説得する。
また、モイラとは記憶を消して以来会っていなかったものの、成り行きで再会してからは恋心が蘇り…。
今回、最早伝統とばかりに自分の「最強のテレパス」能力をそれを上回る力を持つアポカリプスに利用され、セレブロを簡単に乗っ取られただけでなく、次の肉体の器として囚われの身となってしまう。
…が、今回は利用されっぱなしで終わらずに反撃の一矢を放ってみせる。
そしてついに、お馴染みのあの頭になる時が…。
なお今回、まさかの肉弾戦も披露する。


  • ミスティーク/レイヴン・ダークホルム
演:ジェニファー・ローレンス 吹替:牛田裕子

ミュータントのために一人戦い続ける青い女戦士。
10年前、大統領の命を救ったミュータントの英雄としてミュータント中の憧れとなったが、本人はそのつもりは毛頭なく、相変わらず圧政からミュータントを救う戦いを続けている。
エリックの妻子の噂を聞きつけ、数十年ぶりにチャールズの下へと不本意ながら帰ることに。
そこでアポカリプス襲撃に巻き込まれ、チャールズとエリックを救うため、若手ミュータントを率いていく。
今回、普通にX-MEN側に溶け込んでいるためか、「変身」能力の活躍は地味め。
一方で、ジェニファー・ローレンスが人気女優になった影響か、上記の英雄扱いなど優遇されている。


  • ビースト/ハンク・マッコイ
演:ニコラス・ホルト 吹替:浅沼晋太郎

チャールズの優秀な補佐役を務める若き博士。
前作に引き続き、薬で通常は元の姿を維持している。
教師としての傍ら、趣味の一環でX-MEN用の装備の数々を発明するが、未だにお披露目の機会がなく少し不満気味。
レイヴンの帰還に喜ぶも、やはり向こうからは脈なし。
頑張って作っていた戦闘機の大爆発と共に薬も消えたため、後半からは「強靭な獣の肉体」となり、格闘戦で活躍する。


演:ソフィー・ターナー 吹替:能登麻美子

恵まれし子らの学園の女学生。
明るく優しい優等生だが、生まれつき秘めた強力な能力のために他の生徒からも疎まれ、学園で孤立気味。
そのため、自分にも自信が持てなかったが、恩師のチャールズに自分の力への恐れを取り払うよう諭される。
テレパス」能力による他者の感覚への介入で敵陣地への侵入を容易にし、「念動力(テレキネシス)」で味方のサポートを行う。アポカリプスの復活を予知夢で察知し、その恐怖で睡眠中能力を暴走させてしまうことも。
だが彼女の本来の力はそれだけではない。そのリミッターを外した瞬間、
なお、スコット、ジュビリー、そしてカートと共にチャールズの車を無断で借りてアウトレットモールに行き、映画館で『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』を見に行ったが、「どの映画も3作目はダメね」と辛辣な感想を述べていた。シンガー監督なりの三作目非参加へのブラックジョークであろうか?


演:タイ・シェリダン 吹替:木村良平

恵まれし子らの学園の新入生で、チャールズの仲間・アレックスの弟。
ある日突然、目から「破壊光線オプティックブラスト」を常時照射する能力に目覚めてしまい、兄に連れられ学園へと入学。
学園で初めて知り合ったジーンに一目惚れし、彼女と親交を深めていく。
やや根暗な性格であり、自由奔放な兄にコンプレックスを抱いていたが、本心では尊敬している。
なお、入学直後に一連の騒動が始まったため、サイクロップスという呼び名の由来でもあるバイザーはほとんど登場しない。
同じ材質のグラサンを外してから目を開いて発射する戦法がメインとなった。



  • ナイトクロウラー/カート・ワーグナー
演:コディ・スミット=マクフィー 吹替:内山昂輝

東ドイツのサーカス団で、特異な外見から虐待を受けていた少年。
その外見と裏腹に神への信仰が深く、人懐っこい性格。
青い悪魔のような肌と尻尾を持ち、見覚えのある場所へと「瞬間移動」する能力を持つ。
闇闘技場で戦わせられていたところをレイヴンに助けられ、彼女に同行するうちに恵まれし子らの学園に流れ着き、ジーンたちと親しくなる。


  • クイックシルバー/ピーター・マキシモフ
演:エヴァン・ピーターズ 吹替:吉野裕行

エリック脱獄に協力した、パックマン大好き能天気バカ青年。
今回なんと、エリックの実の息子だと判明。初対面時は気付かなかったが、母に告白され気付いた。
ポーランドの事件を聞きつけ、チャールズに会うため学園に向かい、父エリックが起こした事件に巻き込まれることになる。
そして、絶望する父を止めるために、レイヴンと共に説得を試みるが…。
超音速移動」能力はパワーアップ。爆発から生徒全員を移動し救出するシーンは笑いどころにして圧巻。


  • モイラ・マクタガード
演:ローズ・バーン 吹替:桑島法子

かつてチャールズと恋仲だったCIAエージェント。
エジプトで暗躍していたミュータント崇拝教団を追ううちに、アポカリプス復活の場に遭遇し、それが縁でチャールズと再び手を組む。ぶっちゃけ、全ての元凶
記憶を消されたため、チャールズとは他人として知り合うこととなるが、妙な懐かしさを感じ…。


  • ハボック/アレックス・サマーズ
演:ルーカス・テイル 吹替:鶴岡聡

元初代X-MENで、スコットの実兄。
暴れん坊ながらも勇敢な性格で、レイヴンらかつての仲間からの人望も厚く、弟からも信頼されていた。
弟と同系統の「破壊光線」能力は健在。
前作の時点でスーツ無しで能力の制御ができていたが、さらに発達している。胸だけでなく両腕も含めた3発同時発射まで身に着けた。
アポカリプスの攻撃を防ぐために破壊光線でセレブロを破壊し、アポカリプスを攻撃しようとしたが、誤射による爆発に巻き込まれ…。


  • ジュビリー/ジュビレーション・リー
演:ラナ・コンドール 吹き替え:下山田綾華

ジーンの同級生で彼女の友人。
明るいムードメーカー的存在のアジア系女子。
旧三部作ではモブだが生徒として皆勤していた。
スコット、ジーン、カートと共に見た『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』に対し、「ストーリーは帝国の逆襲が良かった」と、ジーンと同様辛辣に評価している。




≪アポカリプスと四人の騎士(フォー・ホースメン)≫

演:オスカー・アイザック 吹替:松平健

エジプトのカイロの地中で眠っていた、シークレット・ブーツを履いた将軍様「第一のミュータント」。
古代文明でミュータントの肉体を渡りながら生き続け、様々な文明の「神」として崇められてきた。
ゆえに、人間を弱者として蔑み、世界の頂点に君臨することを当然として驕り昂ぶっている。
肉体の宿主の能力を自分のものとする」力を持ち、宿主を変えようとも以前の宿主の能力は全て引き継ぐというチート仕様であるため、ほぼ万能の力を持つことができる。
(例:物質の構造再構成、フォースフィールドによるバリア、次元間の移動、マインド・コントロール、ヒーリングファクター)
能力一つ一つの練度も高く、テレパスによるプロフェッサーXとの対決(精神世界で殴り合い)と同時進行でX-MENの一斉攻撃を相手に一歩も引かず徐々に追い詰めていく様はまさに最強の敵に相応しいと言える。

テレビで人類の歴史を学習し、その類まれなるカリスマ性にて四人の従者を引き連れ、彼らの力を増幅させることも可能。
ミュータント狂信団の運動で封印が破れ、弱者の支配する世界を浄化し、弱肉強食の世界を作るため、世界に破壊と混沌をもたらしていく。

……その一方で、転生する必要がある、精神世界でしか巨大化できないなど原作よりも弱体化している側面がある。
さらにホースメンには裏切られ、X-MENとの対決でも優勢でこそあったが一人ずつ動きを封じるだけで後に戦線復帰を許すなど、圧倒的でこそあるものの詰めの甘い描写もしばしばある。


演:マイケル・ファスベンダー 吹替:三木眞一郎

今回は絶賛迷走中の迷える磁界王。
10年前の自分が起こしたテロ事件以来逃亡を続けていたが、故国ポーランドで人間の女性と恋に落ち、人間に混じって細々と生活。
娘も生まれ、平和な暮らしを続けていたが、ある日周囲に素性がバレ、同僚から手のひらを返したように警察に通報された挙句、
妻子を殺されてしまう。
再び人間への憎悪が蘇った彼は復讐を始めようとしたが、直後アポカリプスに勧誘され復讐相手を殺されてしまう。
そのままアポカリプスに唆される形で軍門に下った彼は、行き場のない怒りを煽られ、アウシュビッツ収容所を塵に変えるだけでなく地球の金属成分を引き出すレベルの「磁力操作」能力を引き出し、世界滅亡の片棒を担ぐこととなる。


演:アレクサンドラ・シップ 吹替:志田有彩

アポカリプスが現代で初めて出会ったミュータントの少女。
カイロの貧民街に住む子供たちのリーダー格で、窃盗を繰り返しながら生活していた。
正義感が強く、ミュータントの英雄であるミスティークに憧れており、自分も彼女のように社会に認められる立派なミュータントになることを夢見ている。
窃盗の日々を繰り返す中、危機に陥ったところを偶然出会ったアポカリプスに救われ、命の恩人として実家に案内するが、逆に彼にミュータントパワーを引き出された挙句洗脳され、アポカリプスに忠誠を誓い人間の抹殺に協力することとなる。
ちなみに、彼女のトレードマークの白髪はアポカリプスの影響によるもの。
天候を操る」能力はまだ制御できていないのか、周囲に竜巻を引き起こしたり雷を発生させる程度に留まっている。


  • サイロック
演:オリヴィア・マン 吹替:東条加那子

情報屋キャリバンのボディガードの女剣士。
好戦的な性格で、英雄扱いされるミスティークが気に入らない。
情報を求めてきたアポカリプスの力と目的に心酔し、キャリバンを見限り彼の軍門に下る。
その後、チャイナ服的なドレスから原作やゲームでおなじみのハイレグニンジャ姿になる。
旧三部作の『X3』にも登場したが、能力が違う上にジーンに瞬殺された雑魚キャラだった。
日本刀に加えて、念動力を実体化させた光の刀「サイ・ブレード」を発生させて二刀流で戦う。サイ・ブレードは鞭形態に変形可能。


  • エンジェル(アークエンジェル)
演:ベン・ハーディ 吹替:濱野大輝

喧嘩好きで粗暴な、闇闘技場のチャンピオン。
背中に白い翼を生やし、空を飛ぶ」能力で歴戦を勝ち抜いてきたが、ナイトクローラーとの戦いで翼を負傷。
逃亡中やさぐれていたところをアポカリプスと出会い、翼を「鋼鉄製」に再構成される。
新しい翼は、羽の一枚一枚が刃となって敵を攻撃する。(ソードビットみたいなもの)
『X3』に登場したエンジェル(ウォーレン・ワージントン三世)とは別人。




≪その他の人物≫

  • マグダ
演:カロリナ・バートクザック
  • ニーナ
演:T.J.マッキボン

エリックがポーランドで出来た家族である、妻と娘。
妻のマグダは人間を憎んでいたエリックが愛し、人間として生活することを選ぶほどの女性だった。
娘のニーナは父親譲りのミュータントであり、「動物を操る」能力を持つ。
例え指名手配のミュータントであっても、夫/父を愛し続けたエリック最後の希望だった。
しかし、警察への通報で起こったにらみ合いが原因で、警察の誤射で二人同時に弓矢で射抜かれ死亡。二人の死を機に、またしても愛する者を奪われたエリックは全てに絶望し、復讐に走ることとなる。


演:ヒュー・ジャックマン

ストライカーの実験体として、アルカリ湖の研究所に囚われていた「ヒーリングファクタ―」による不老不死のミュータント「ウェポンX」。
実験により生物兵器として改造されており、記憶を消された挙句理性も失った獣に成り果てている。
研究所に潜入したジーンたちにより解放され、怒りのままに兵士たちを「アダマンチウムの爪」で惨殺。
脱出直前に、ジーンの力で正気に戻り、記憶の一部を戻された。どうやらジーンに何か運命的なものを感じたようで…。
なお、今作ではカメオ出演のためエンディングクレジットにジャックマンの名前は確認されず。


  • ウィリアム・ストライカー
演:ジョシュ・ヘルマン 吹替:高橋広樹

反ミュータント過激派の軍人。今回は大佐に昇進。
生物兵器「ウェポンX」の開発に着手し、ヒーリングファクターを持つローガンに非道な実験を行った。
アポカリプスの宣戦布告の直後、チャールズの関与を疑い学園を強襲。
彼と親しいレイヴンたちを拉致するが、そのために実験動物まで奪われることになる。
ちなみに前作でローガンを引き取った時はミスティークが入れ替わっていたはずだが、本作ではその設定は無かったことにされている。


  • スタン・リー
……また出てるよ!おまけに今作は嫁さん付きで!




【余談】
  • 今作は過去編の完結編として銘打たれているが、今後の企画として90年代を舞台にした「ニュー・ミュータント」が予定されている。過去編と同じキャストかは現時点では不明。


  • X-MENシリーズの次回作は『LOGAN/ローガン』。ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンと過去シリーズ三部作におけるプロフェッサーX役のパトリック・スチュワートは次回で引退する。また、エンドロール後にその伏線とみられるシーンがある。






追記・修正はスキンヘッドになってからお願いします。


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最終更新:2023年07月16日 06:35