ウルトラマン(作品)

登録日:2016/08/13 Sat 14:45:35
更新日:2024/03/15 Fri 01:30:30
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申し訳ないことをした、ハヤタ隊員、
その代わり、私の命を君にあげよう。
きみと一心同体になるのだ。


『ウルトラマン』は1966年(S.41年)7月17から1967年(S.42年)4月9日にかけてTBS系列で全39話が放送された空想特撮ドラマ。
タイトルでは『空想特撮シリーズ』と銘打たれている。

2021年。遂に生誕55周年を迎えた。

●目次

【概要】

ウルトラQ』に続く円谷プロ製作の『ウルトラ』を冠するテレビシリーズ第2作目。
後継作の『ウルトラセブン』と並び、第一期ウルトラシリーズを代表する作品。
本作のヒットが無ければ、後の ウルトラシリーズ はおろか、円谷プロも無かったかもしれない。

前作のコンセプトを引き継ぎつつも、放送局であったTBSの要求に従い『ウルトラQ』から大幅なパワーアップと路線変更を遂げた円谷初のカラー作品は、人類の味方として怪獣と戦う巨大ヒーローという強烈なエポックメイキングを提示し、文字通りに『ゴジラ』以来の特撮の歴史を変えた作品となった。

番組タイトルでもある巨大ヒーローについてはウルトラマンを、作品に関連した詳細な情報については各関連項目を参照。

“特撮の父”たる監修の円谷英二が繰り返し語ったとされる
「見終わって夢が残るものじゃなきゃダメだよ。汚ならしいもの、目を背けちゃいけない現実は別のリアリズム映画がやってくれる」
この言葉に従い生み出された奇跡の超人は、現実をも呑み込む“現代の寓話”として後に誕生する兄弟達と共に今日まで人々の心に生き続けているのである。

ウルトラマン前夜祭

初放送は1966年7月17日だが、
先週の7月10日には本作放送以前に杉並公会堂で1966年7月9日に行われたイベントの中継録画番組(VTR収録)のウルトラマン前夜祭が放送された。

当初、5月15日に放映が予定されていた『ウルトラQ』の「あけてくれ!」は、「怪獣が登場しないうえに内容が難解」という理由で、4月末頃に本放送見送りの処置が下された。
つまり、『ウルトラマン』の放送開始は7月10日に繰り上がることになったのである。

それにもかかわらず、3月中旬から始まった飯島俊宏監督の第一回制作分(放映上の2、3、5話)は1ヶ月以上かけて撮影、
放映第1話の特撮班は6月に入ってようやくクランクインという、とてつもなく遅れている撮影スケジュールを危惧したTBSプロデューサーの栫井巍が、1週間の時間稼ぎにと急遽企画したものがこの前夜祭だった。

ちなみに、「ウルトラ作戦第一号」の完成品フィルムがTBSに納品されたのは7月13日*1
まさに栫井氏GJである。

最終スケジュール日程は、7月6日に技術スタッフの打ち合わせ、翌7日と8日にリハーサル、9日の午後1時より開演となった。
本番では演出用の豚が暴走したり、視界が悪いマスクのためにウルトラマンがつまずいてしまったりなどのトラブルが続出した。
また、アントラーのスーツが前後逆になるというミスも生じている。

そうした状況を恥じたTBSの担当ディレクター・実相寺昭雄は、独断で自身の名前のテロップを抜いてしまった。
その後、本番での数々のトラブルは編集で削除され、さらに完成していた第3話のハイライトシーンが加えられての放送となった。
その結果、『ウルトラマン前夜祭』は30.6%の高視聴率を得たため、実相寺はお咎めなしで済んだという。

カラー放送だったと伝えられるが、当時のマスターテープの現存が確認されていないため、詳細は不明。
現存する映像は『タケダアワー』のオープニングキャッチ、CM、提供画面、新番組予告を含むモノクロのキネコフィルムで、
『現代の主役 ウルトラQのおやじ』とのカップリングで1988年にビデオ化された。
その後、LD-BOX・DVD-BOX・BD-BOX等に特典映像として収録されている


【解説】

“M78星雲光の国”からやって来た身長40メートルの超人ウルトラマンの活躍する空想特撮ドラマにして、
後継作である『ウルトラセブン』と共に、以降の『ウルトラシリーズ』の礎を築き上げた……というか凡てのオリジナルとなった作品である。

『ウルトラQ』から更に進化した、カラー放送された“怪獣退治の専門家”*2の姿*3は瞬く間に子供達を虜にし、初回放送にて34%。平均で36%越え。
最高視聴率に到っては42.8%を記録する超人気番組となった。
当時の第一次怪獣ブームを牽引した。

……尤も、その熱狂とは裏腹に製作している当人である円谷プロでは直ぐに製作費を回収する事が出来ずに資金難に喘ぎ続け、
結局は39話までで打ち切らざるを得なかったとの裏話もある。
以降『メビウス』らへんまで40年以上こんな感じの制作体制が続き、結果的に円谷プロ破産にまでつながったのはなんというか…

こうした事情は後に少しずつ解消されていくようになるものの、
朝から晩までが費やされた撮影環境の悪さと、怒号すら飛び交った現場の思い出は苦笑混じりに当時の関係者から繰り返し繰り返し語られる程。
1エピソードを作るのにだいたい1月分の撮影を擁したとの証言もある辺り、同時進行による過密スケジュールを急ごしらえでよくも乗り切れたものである。

その興奮は放送終了後も収まらず、最初の再放送でも視聴率18%台を記録。

これ以降も四半世紀以上にも及ぶ各都道府県での再放送と、主人公であるウルトラマンの後継シリーズや他ジャンルへの客演により、
非常に幅広い層にまで浸透する知名度と支持を得る事となった。

作品単体としての評価は子供番組にこだわり過ぎた部分もある為か、マニア層からは『ウルトラセブン』程の支持を得てはいないものの、やはり以降のシリーズの殆ど“凡て”に先鞭を付けたと言える多彩な脚本は見返すことで新しい発見もある程である。

この他にも時代を先取りしすぎたした成田亨らによるウルトラマンや怪獣、秘密兵器のデザイン。
世界観に説得力を与える精緻なミニチュアや着ぐるみの数々。
そして、何よりも資金難に喘ぎながらも試行錯誤と職人芸により産み出された特撮演出の妙は半世紀を経た今も色褪せない魅力を伝えてくれる。
近年のシリーズと比較すれば流石にVFXなどがなかった当時の技術の限界を感じる部分はあるものの、
各話をしっかり見るとむしろ限られた技術を上手く活用して臨場感を出しており、昭和41年のドラマとしては非常にクオリティが高い。

DVDで発売する際には当時の最新技術により映像フィルムを長時間のデジタル修復作業を経て鮮明化と音声を追加してステレオ化されてデジタルリマスター化。
2012年には円谷プロとWOWOW共同企画でハイビジョンリマスター化して高画質で再放送され、さらにこのバーションを当時の雰囲気を残しつつレストアされ「HDリマスター2.0」としてブルーレイソフト化している。
現在の円谷プロが公式配信する初代ウルトラマンの本編の映像はこの「HDリマスター2.0」である。

シリーズが進行してからは円谷プロの思惑とは別の雑誌展開などで勝手に設定が固められたりした結果、不当に初代となる本作が貶められたような形になってしまっていた時期もあったが、
元祖にして最大の知名度を誇る“初代ウルトラマン”の名は今日でも唯一無二の輝きを放ち続けているのである。


【世界観】

時代設定についてであるが本放送当時の公式資料と、『週刊少年マガジン』1966年31号(8月7日号)でのグラビアページの時代設定は、「1975年頃」という記載がある。
しかしスタッフの認識は近未来という程度で明確な合意はなく、 第23話でジャミラの墓標に没年が1993年と記されていたり*4
第26、27話は放送当時の現代(1966年)が描かれていたり、第39話で「1930年代から40年以上」との台詞があり、
全てをまとめるとウルトラマンは27年間も地球に滞在していることになってしまうのでその回限定だと思っていいだろう*5

地球は未知の生物たる怪獣による災害や宇宙からの訪問者による接触を受けており、
それに科学特捜隊が所属する国際機関「国際科学警察機構」が対処している世界である。

一連のストーリー作品ではあるものの、時系列がハッキリとしていなかったり、
シナリオによって基本設定に食い違いが見受けられる等の矛盾も抱えているが、
これは前作『ウルトラQ』同様に『ウルトラマン』がオムニバス作品としての形態を引き継いでいる為であろう*6

事実、ウルトラマンと怪獣達の活躍を描く事こそがシナリオの最優先課題であり、
この時点でのウルトラマンは自らの意思で地球に残ることを決意した善意の異邦人でしかなかったからである。
尚、前作である『ウルトラQ』とは何となく世界観が繋がっており、ラゴンケムール人といった怪獣が本作にも登場。
科特隊もそれらについての情報を予め持っているという描写となっている*7


【エピソード】

※()は制作順 <>は制作NOと脚本NOが一致しない場合の脚本順

話数 タイトル 監督 特技監督 脚本 登場怪獣・宇宙人 備考・余談
1(5)<9> ウルトラ作戦第一号 円谷一 高野宏一 関沢新一、金城哲夫 宇宙怪獣ベムラー
2(1) 侵略者を撃て 飯島敏宏 的場徹 千束北男 宇宙忍者 バルタン星人
3(3) 科特隊出撃せよ 山田正弘 透明怪獣 ネロンガ
4(7)<4> 大爆発五秒前 野長瀬三摩地 高野宏一 南川龍 海底原人 ラゴン ウルトラQから初ゲスト出演
5(2) ミロガンダの秘密 飯島敏宏 的場徹 藤川佳介 怪奇植物 グリーンモンス
6(8)<5> 沿岸警備命令 野長瀬三摩地 高野宏一 山田正弘 海獣 ゲスラ ホシノ少年危機一髪
7(4)<6> バラージの青い石 高野宏一 南川龍、金城哲夫 磁力怪獣 アントラー 不思議の国とノアの神…ん?
8(6)<8> 怪獣無法地帯 円谷一 金城哲夫、上原正三 どくろ怪獣 レッドキング
有翼怪獣 チャンドラー
地底怪獣 マグラー
友好珍獣 ピグモン
怪奇植物 スフラン
9(9)<7> 電光石火作戦 野長瀬三摩地 山田正弘 ウラン怪獣 ガボラ
10(11)<10> 謎の恐竜基地 満田かずほ 金城哲夫 エリ巻怪獣 ジラース ウルトラマンvsゴ○ラ
11(10)<12> 宇宙から来た暴れん坊 宮谷達男 脳波怪獣 ギャンゴ
12(12)<11> ミイラの叫び 円谷一 藤川佳介 ミイラ怪人ミイラ人間
ミイラ怪獣 ドドンゴ
13(13) オイルSOS 金城哲夫 油獣 ペスター
14(15) 真珠貝防衛指令 実相寺昭雄 佐々木守 汐吹き怪獣 ガマクジラ
15(14) 恐怖の宇宙線 二次元怪獣 ガヴァドン(A)
二次元怪獣 ガヴァドン(B)
16(17) 科特隊宇宙へ 飯島敏宏 千束北男 宇宙忍者 バルタン星人(二代目)
17(16) 無限へのパスポート 藤川佳介 四次元怪獣 ブルトン アンバランスゾーンへの招待
18(19) 遊星から来た兄弟 野長瀬三摩地 南川龍、金城哲夫 凶悪宇宙人 ザラブ星人
にせウルトラマン
19(18) 悪魔はふたたび 山田正弘、南川龍 赤色火焔怪獣 バニラ
青色発泡怪獣 アボラス
20(20) 恐怖のルート87 樋口祐三 金城哲夫 高原竜 ヒドラ 伊豆シャボテン公園へgo
21(21) 噴煙突破せよ 海堂太郎 毒ガス怪獣 ケムラー
22(23) 地上破壊工作 実相寺昭雄 佐々木守 凶悪地底怪人 地底人
地底怪獣 テレスドン
23(22) 故郷は地球 棲星怪獣 ジャミラ 屈指の鬱回
24(24) 海底科学基地 飯島敏宏 藤川佳介 深海怪獣 グビラ
25(25) 怪彗星ツイフォン 若槻文三 どくろ怪獣 レッドキング(二代目)
彗星怪獣 ドラコ
冷凍怪獣 ギガス
26(26) 怪獣殿下 円谷一 金城哲夫、若槻文三 古代怪獣 ゴモラ
怪奇植物 スフランⅡ
27(27)
28(28) 人間標本5.6 野長瀬三摩地 山田正弘 三面怪人 ダダ ホラー回
29(29) 地底への挑戦 南川龍、金城哲夫 黄金怪獣 ゴルドン
30(31) まぼろしの雪山 樋口祐三 金城哲夫 伝説怪獣 ウー
31(30) 来たのは誰だ 海堂太郎 吸血植物 ケロニア
32(32) 果てしなき逆襲 鈴木俊継 藤川佳介 灼熱怪獣 ザンボラー
33(33) 禁じられた言葉 金城哲夫 悪質宇宙人 メフィラス星人
宇宙忍者 バルタン星人(三代目)
誘拐怪人 ケムール人(二代目)
凶悪宇宙人 ザラブ星人(二代目)
巨大フジ隊員
34(34) 空の贈り物 実相寺昭雄 佐々木守 メガトン怪獣 スカイドン ギャグ回。スプーン変身
35(35) 怪獣墓場 亡霊怪獣 シーボーズ
36(36) 射つな!アラシ 満田かずほ 山田正弘 変身怪獣 ザラガス
37(37) 小さな英雄 有川貞昌 金城哲夫 怪獣酋長 ジェロニモン
彗星怪獣 ドラコ(再生)
地底怪獣 テレスドン(再生)
友好珍獣 ピグモン(再生)
最高視聴率回
38(38) 宇宙船救助命令 円谷一 上原正三 光熱怪獣 キーラ
砂地獄怪獣 サイゴ
39(39) さらばウルトラマン 高野宏一 金城哲夫 宇宙恐竜 ゼットン
変身怪人 ゼットン星人
ゾフィー



【国際警察機構】

フランス・パリに本部を置く国際的な地球防衛機関。
後の『ウルトラシリーズ』に比べると宇宙人による侵略行為がまだまだ目立っていない時期なのか、宇宙に対する防衛や調査技術が未発達な点が垣間見える。

この、国際機関の日本(極東)支部が主人公の属するチームという設定は後の第二期『ウルトラシリーズ』にも引き継がれていく事になるが、
国際機関としての組織全体に目を向けた演出は『ウルトラセブン』を頂点として、以降は前線でのチームの活躍に絞った演出が多くなっていった。

本作『ウルトラマン』でも、他国の支部からのエージェントがゲストとして登場する回が見られる辺り、
第一期『ウルトラシリーズ』が純粋な特撮SFドラマを目指していた事がうかがえる描写となっている。


科学特捜隊

国際警察機構極東支部に属する、怪事件の調査と原因究明。
それらの事件が怪獣や宇宙人によるものだった場合には、その対処や排除をも受け持つ特殊部隊。

正式名称は「科学特別捜査隊(Science Special Seach Party)」 で、劇中では更なる略称の「科特隊」と呼ばれることもあるため子供には微妙にややこしい。
Something Search Peopleではない。そりゃ別のウルトラ作品だ

東京近郊にある特徴的な形状のビルディングは特に隠蔽されたりしていない反面、
あらゆる熱線や光線を遮断する強固な防御力を誇ると説明されている鉄壁の要塞でもあり、彼らの使用する専用機ジェットビートルの発進設備もある。

ムラマツキャップ以下の隊員達は常時この基地に駐留して、時には民間からも寄せられる怪事件の発生に備えているのである。

◆主要メンバー


■ムラマツ隊長(演:小林昭二)
通称キャップ。
冷静沈着で決断力に優れた人格者。
おやっさんではない
生真面目な性格だが、皮肉を利かせたツッコミが冴える場面もチラホラ。

ハヤタ(演:黒部進)
科特隊養成学校を首席で卒業したエリートで、単独でパトロールの任務に就いていることも多い。
科特隊では副隊長的な役割を果たす事も。

■アラシ(演:石井伊吉)*8
怪力自慢で射撃の名手。
怪事件にも勇気を奮って突撃するが、それが仇となってしまう場面も。
スパイダーショットといえばアラシ隊員である。

■イデ(演:二瓶正也)
コミカルな三枚目に見えるが、実は科特隊を支える頭脳にして、劇中に登場した様々な新兵器や装備を生み出した“ある意味”最も危険な男。
感情表現が豊かな分だけ傷つきやすく、ナイーブな面も。
「ハヤタのやつはどこ行ったんだ?」

■フジ・アキコ(演:桜井浩子)
科特隊唯一の女性メンバーで、主に通信担当だが1話にしてビートルを単独で操縦して現場に駆けつけた。
ホシノ少年と仲がよく、彼とともに出かけて思いもよらぬ事件の発端に巻き込まれたことも。

■ホシノ・イサム(演:津沢彰秀)
科特隊に憧れる少年で、何故だか本部への出入りが許されている科特隊のマスコット。
フジ隊員と行動を共にする場面も少なくない。
後にブルトンの引き起こした事件(17話)での功績を認められ、正式に準隊員として迎え入れられるが、
役の津沢氏が負傷した都合で、番組中途で降板してしまった。

■岩本博士(演:平田昭彦)
ジェットビートルオキシジェンデストロイヤーの設計者。最終回では……。*9

詳細は科学特捜隊参照。

◆その他の科学特捜隊員

各国の隊員が時折登場しては世界観の豊かさを印象付けていた。

■ジム
パリ本部所属。バラージの国の調査に同行する。(第7話)

■アンヌ・モーハイム
パリ本部所属。特別任務の為にハヤタを迎えに来たが……?(第22話)

■アラン
パリ本部所属。国際平和会議の妨害事件の調査の為にやって来た。(第23話)
本編後の彼の動向は、『メビウス』の小説版にて触れられている。

■ゴトウ
20年振りの帰国を果たした南米ボリビア支部所属の隊員だがケロニアが入れ替わっている。本物の安否は劇中では不明だが脚本では熱病で死んだことになっている。(第31話)

■パティ(演:真里アンヌ)
休暇を満喫する為にやって来たインド支部所属の美人隊員。エスコート役を勝ち取る為にインチキまでするハヤタの意外な一面が。(第32話)



【科学特捜隊の主な装備・専用機】





【シリーズ作品としてのウルトラマン(ウルトラシリーズ)】

先述の通り、1966年1月2日に放送開始された『ウルトラQ』の骨子を引き継ぐ番組として、同年7月17日に放送開始された『ウルトラマン』。
紆余曲折の末、『ウルトラマンA』以降は『ウルトラマン〇〇』という作品タイトルを継承し*12、ついには半世紀以上続く巨大コンテンツとなった。
そして「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」として本作が2013年にギネス世界記録に認定されるという快挙を成し遂げた。

シリーズの総称は「ウルトラシリーズ」が一般的であり、このアニヲタwiki(仮)でも「 ウルトラシリーズ 」のタグが使用されている。
しかし、『ウルトラマンメビウス』はウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品と銘打ってあり、『ウルトラマンオーブ』の告知もウルトラマンシリーズ50周年を飾る新ヒーローとなっており、公式名称は「ウルトラマンシリーズ」の方が正しいようだ。
公式HPでも作品一覧は「ウルトラマンシリーズ」となっている。
とは言え、ウルトラマンシリーズという名称であっても『ウルトラQ』は作品一覧に含まれている上、
『ウルトラQ』も『ウルトラマン』も1966年に誕生したため、ウルトラシリーズでもウルトラマンシリーズでも誕生周年の数え方に差は発生しない。
ウルトラシリーズとウルトラマンシリーズは表記揺れなだけで同一のものと見て良いだろう。
ただし、ウルトラセブンとウルトラマンセブンは全然別物だから気を付けろ。

長い歴史を持つコンテンツ故、公式、非公式問わずある程度の区分による呼び名がある。
また、その長い歴史の影に消え、日の目を見ることが無かった作品も当然存在する。

昭和ウルトラシリーズ
本作を含む昭和期の作品群の総称。
年代によって第一期、第二期、第三期等に分かれる。
詳細は個別項目参照。

平成ウルトラシリーズ
平成期の作品群の総称。
年代によって平成三部作、ハイコンセプトウルトラマン等に分かれる。
詳細は個別項目参照。

ニュージェネレーションヒーローズ
ウルトラマンギンガ』から始まる作品群、及びそれらに登場するウルトラヒーローの総称。
詳細は個別項目参照。

海外ウルトラシリーズ
海外会社との合同作品や事業の海外展開等の総称。
詳細は個別項目参照。

ウルトラシリーズの没作品一覧
詳細は個別項目参照。


【余談】

●誕生過程

番組のアイディアが固まるまでの仮題は『WOO』『科学特捜隊ベムラー』『レッドマン』…等。
元々は敵怪獣と戦う善玉怪獣というコンセプトを提示されていた為かフジテレビ用の企画であった『WOO』のコンセプトを流用する事*13から初めたが難航。

『科学特捜隊ベムラー』と『レッドマン』は企画的にはかなり『ウルトラマン』に近くなったものの、
前者はカラス天狗。後者は獣神。と、怪獣の概念から脱しきれない姿をしていたらしい*14

こうして試行錯誤を繰り返す中で番組プロデューサーから出されたのが「メタリックな宇宙金属」の様なイメージであり、
これに対して彫刻家である成田亨が解答として示したのが「卵形の顔にギリシャ彫刻の様なアルカイックスマイル」の統合を目指して誕生したウルトラマンだったのである。
因みに、成田氏のイメージによれば銀色の肉体は鈍い銀ではなく、鏡面の様なイメージだったとか。

また、ウルトラマンのイメージは仏像。
特に弥勒菩薩像に似ているという説は昔から存在しており、仏像マニアとしても知られる漫画家のみうらじゅん氏らにより指摘されたそれらの噂を「特撮と怪獣」にて成田氏自身も認めているとの事。

文芸担当でもあった脚本家の金城哲夫がウルトラマン関連の副読本や雑誌記事で賛否を集めた大伴昌司との会話の中で、
怪獣をモンスターとしか捉えられない大伴氏に対して、日本的なカミである怪獣をウルトラマンが鎮魂しているという構図を説明しているが、
単なる“悪い怪獣vs正義のヒーロー”にはしようとしなかった円谷プロの願いを考えれば、同じくカミであるウルトラマンが仏像の様な姿に落ち着いていった事も当然だったのかもしれない。

何にしても、そうした経緯を経て生み出されたウルトラマンの姿の斬新性は半世紀を経ても色褪せぬどころか、
その姿を借りた兄弟達と共に現在でもヒーローとしての威光を失っていないのは御周知の通りである。


●大人向けのドラマ

ストーリー展開自体は子供向けだが、ドラマパートの演者は大人向けドラマと同じように演技している。
撮影現場でも芸歴の関係で演者達のリーダー的存在だったムラマツキャップ役の小林昭二氏が「子供に媚びない、大人の芝居をしよう」と提案したらしい。
子供向け番組でも大人向けの芝居をするという慣例はその後もシリーズの不文律として脈々と受け継がれている。
レギュラー出演者も主演やメインヒロイン枠は若手俳優になるが、中堅からベテラン俳優が隊長役などでストーリーに絡んでくることも多い。
出演俳優にとってはこの中堅やベテランが演技指導をしてくれるため、成長できる部分があるのだとか。

放送初期は音楽も含めて『ウルトラQ』の雰囲気が強く残っていたが、回が進むにつれて本作独自のムードが構築されていく。
作品を通して見ると、12話あたりからガラリとシリアスな雰囲気に変わっていくのがよく分かる。


●「シュワッチ」は実は言ってない?

ウルトラマンの掛け声と言えば、言わずと知れた「シュワッチ!」である。
これは文芸段階から確かに「シュワッチ!」なのだが、
実は文字の段階では様々に出された掛け声を纏めてアルファベットで書き起こした「SHWACH!」だった。
これを正確に「シュワッチ!」と日本語で初めて表現して見せたのは何と“ギャグ漫画の神様”赤塚不二夫。
代表作『天才バカボン』の第一話でバカボンのパパがウルトラマンの掛け声を「シュワッチ!」表記を使用したのが、
ウルトラマンの正しい叫びが国民に定着するキッカケとなったのだという。正に天才!
ただし、ウルトラマン本人が明確に「シュワッチ!」と言ってるのは勝利後の飛び去るシーンのみ。
戦闘時は「ヘアッ」「シュワッ」などと叫んでいる。


●音楽

前作『ウルトラQ』に続いて音楽を担当したのは宮内國郎氏。
アニヲタ的にはカオスアニメとして悪名高いチャージマン研!』のキチガイレコードBGMが有名。
ウルトラQからの流用曲も多く、同じく氏が音楽を担当した東宝映画作品『ガス人間第一号』からもBGMが流用されており、
コミカルなシーンでは前者が、映画さながらのシリアスなシーンでは後者がよく用いられた(ジラース回のラストやザラガスなど)。
ウルトラマンの戦闘BGMとしては18話より使用された下記の「進め!ウルトラマン」をアレンジした「M-5」が有名だが、ベムラー戦などで使われた「戦い」という曲は、
元々制作上3話までに「ウルトラマンが戦うBGMが弱いなあ」という理由で急遽作られたもので、Mナンバーが不明という不思議な逸話がある。
初期でたった6回しか使われなかったためか、「進め!ウルトラマン」よりややマイナー気味なのが惜しまれるところである。


●ウルトラマンの歌

OPはウルトラマンのことを歌った歌詞……かと思いきや、1番2番3番全て末尾以外は科学特捜隊のことが歌われているなどおかしくなっている。
ウルトラマンと科特隊が織りなすドラマなので、繋がりがおかしい点を除けば一応言ってること自体は別に間違っちゃいない。
それでも有名な曲であることには違いなく、近年では矛盾を気にせず、ウルトラマンを「怪獣退治の専門家」と評することさえもある。
なお「進め!ウルトラマン」という主題歌候補だった曲は最初から最後までウルトラマンの内容になっている。
また、『ギャラクシーレスキューフォースボイスドラマ』第22話「歌は魔法」では、
この曲は「地球でウルトラマンをイメージして作られた名曲」という設定になっており、どうやら光の国でも有名な模様。


●没エピソード

映像化された以外にも没に終わってしまったエピソードが多々存在している。
これらの内、「サイボーグ恐竜」、「侵略基地を叩け」、
怪獣用心棒」「リプロスが狙っている」は一峰大二の漫画版でエピソードが採用されており、
また劇場用脚本を想定していた『ジャイアント作戦』は川崎郷太の漫画版、並びに千束北男*15による小説版が後年刊行された。


●その後のウルトラマンとハヤタ

その人気故、後続シリーズでもちょっとした客演からがっつりメインまで、多くの作品に登場しているウルトラマンとハヤタ。
マルチバースによってその後のハヤタの歩みは様々だが、ウルトラマンは「宇宙警備隊の中でも凄腕として、怪獣退治や後進の育成に関わっている」とされることが大半。

以下、ハヤタの歩みをまとめる。
  • 本編ラスト:ウルトラマンと分離。最終回には「ウルトラマンってなんです?」というハヤタの没台詞が存在し、これを信じるならば、
    ハヤタは分離してゾフィーに蘇生された際にウルトラマンと一体化していた時の記憶を失ったと思われる。
    • 『帰ってきた』~『メビウス』~『銀河伝説』『サーガ』:ハヤタ本人は不明だが、ウルトラマンが地球人態としてハヤタの姿を使用。宇宙警備隊員の他、一時地球にとどまった際は神戸空港の空港長を務めた。
      一説にはこの時には既に本来のハヤタは故人であるとも、歴代防衛チームの偉い人としてウルトラマンが地球にいられるよう各所に働きかけているとも*16
    • 『甦れ!ウルトラマン』:ゼットンに敗れた後もウルトラマンが地球に駐留するため、それまで通り科特隊員とウルトラマンを兼業。
    • ULTRAMAN(漫画)』 :科特隊を辞め、日本国内閣の防衛大臣に。この宇宙においてもずっとウルトラマンの記憶を失っていたが、物語冒頭に記憶を取り戻している*17
    • 『ウルトラマン怪獣伝説 -40年目の真実-』:最終回以降も科特隊(本作の宇宙では地球防衛軍に改編された)に残り、そのまま引退(おそらく定年退職)。
      この宇宙では「ウルトラマンと融合していたころに科特隊員として経験した事件」は覚えていたが、肝心のウルトラマンの記憶はやはり忘れている。
      ある理由からウルトラマンに頼まれ事をされ、無意識のまま科特隊メンバーに召集をかける。そして…?
  • ウルトラマン THE FIRST』:最終話でゼットンとの戦闘で死亡したウルトラマンと分離し、ゾフィーに授けられた命によって蘇生したが、記憶は失わなかった。
  • 大決戦!超ウルトラ8兄弟』:最終回とはつながっていない宇宙。一介の自転車屋さんだが、後にいつもの宇宙同様ウルトラマンと一心同体となって戦う。




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最終更新:2024年03月15日 01:30

*1 正確には6月30日の時点で納品されているが、何かしらトラブルでもあったのか再編集して後日に納品し直している

*2 といっても主題歌にあるこのフレーズは科特隊のことを指したものであるが。

*3 放送開始当時は一部地域は白黒放送。また、時代的にカラー放送されていた地域でも白黒テレビで視聴したご家庭も少なくなかった。

*4 ジャミラを「一匹の怪獣」として葬り、事実を隠蔽したことを考えると、没年は遭難した年であり、実際に墓標を建てたのは更に後の事である可能性もある。

*5 後年の作品では『ウルトラマンマックス』などに近い。というよりも『マックス』が原典回帰してると見るべきだろうか。実際26話ではそれまで毎週出現していたはずなのに「怪獣なんていない」というセリフがあったりする。

*6 『Q』もそうだったが、シナリオ順と制作順が一致していないのも時系列がハッキリしていない要因の一つと考えられる。時系列上確実に最初となるウルトラマンの地球来訪を描いた『ウルトラ作戦第一号』はシナリオNo.9/製作No.5である。

*7 後に『メビウス』にてアーカイブドキュメントとして明確な設定になった

*8 現:毒蝮三太夫……いい加減にしろババァ!この番組での勇猛な戦いぶりが師匠の立川談志の目に留まり、毒蝮の芸名が付いたという

*9 複数回に登場しているが、演者の都合により脚本では岩本博士だったのが別の博士に置き換えられている回も存在する。

*10 演者にも不評な派手な配色はカラー撮影で如何に色が映えるかを確かめる為だったらしい。素材はスキーウェアの物で、生地は身体にピッタリな反面厚く、夏は熱くて冬は寒い。トイレも大変。などの思い出が語られている。

*11 特に、一風変わった演出で知られる実相寺昭雄は「絶対にスペシウム光線では決めない」拘りを持っていたという。

*12 一部例外あり

*13 ※宇宙からやって来た不定形生物“WOO”がカメラマンと共に怪事件に挑むSFストーリー。かなり後になって2006年、『生物惑星WoO』として一部設定変更しつつNHKで放送

*14 ベムラーは大怪獣ガッパ、レッドマンは三角頭のウルトラの父

*15 脚本スタッフの一人であった飯島敏宏の別名義。

*16 この場合どこかで記憶が戻った事になる

*17 ちなみにハヤタ以外の科特隊メンバーは皆彼がウルトラマンと一体化していたことに気付いていたが、彼に配慮して秘密にしていたという。