ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk(MtG)

登録日:2016/07/24 Sun 16:19:45
更新日:2022/05/02 Mon 07:28:20
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《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》は、Magic the Gatheringの黎明期から存在したアーティファクトの一枚。最初の基本セット、アルファ版にすでに収録されていた。
通称"ディスク"、または"ネビ盤"。


ネビニラルの円盤 / Nevinyrral's Disk (4)
アーティファクト

ネビニラルの円盤はタップ状態で戦場に出る。
(1),(T):すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。

クリーチャーとアーティファクトとエンチャント、つまり当時において土地以外の戦場に出ているパーマネント全てを破壊することができる、非常に強力なリセット能力を持つ。
現在はプレインズウォーカーも残るが。

マジックは色ごとに出来ることが決まっていて(これを特にと呼ぶ)、色によっては手出しできないパーマネントもあるが、これはアーティファクトであるためどんなデッキにも採用することができる。
そのため、当時の単色デッキにおいて色の弱点を補うために幅広く採用された。

特に強力だったのがの《ネクロポーテンス/Necropotence》との組み合わせ。色の役割上アーティファクトやエンチャントに触れない黒の弱点を補いつつ、ドローフェィズを失わせてしまうネクロを処理し、ネクロで得たハンド・アドバンテージの差をそのまま勝利に直結させることができる。
これが悪名高きネクロの夏を生み、ネクロディスクとしてそのままデッキ名にもなっている。

能力の起動条件として自身を生贄に捧げる必要が無いため、再利用がしやすいのも利点。そのままでは自壊してしまうが、《ブーメラン/Boomerang》で手札に戻したり《次元のほころび/Reality Ripple》でフェイズ・アウトしたりすれば何度でも使い回すことができる。

弱点はタップインであるため、出してすぐには使えないこと。寝ている間に《解呪/Disechant》等で割られる危険性もある。
ただし、そうした奇襲性の無さを逆手にとって、ブラフとして先置きして相手にパーマネント展開を躊躇わせつつ自分だけ並べるといったプレイイングも可能である。

数多くのデッキで活用された人気カードではあるが、さすがにカラーパイを大きく崩してしまうと判断されたのか、第5版を最後に基本セット落ちした。

現在使用可能なフォーマットはエターナルのみであり、レガシーでは便利な全体除去としてコントロールデッキで採用されたりもしていたが、現在は後述の亜種の登場などもあって採用率は落ち着いている。


代表的な亜種

この手の全体除去アーティファクトは大体はこのカードがリメイク元である。使い勝手がよいのか、トーナメントで活躍したカードも数多い。

  • 《火薬樽/Powder Keg》
ウルザズ・デスティニーで登場した万能除去アーティファクト。
大物を壊すには時間がかかる、エンチャントには触れないといった弱点こそあるが、マナ・コストが軽く、破壊するカードのマナ域を調整し自分への被害を抑えられるといった融通性の高さから人気を博した。
ちょうど本家がスタン落ちした直後に登場したということもあり、特に黒や単色デッキで幅広く採用された。後に《漸増爆弾/Ratchet Bomb》,《爆発域/Blast Zone》といった亜種も登場している。

  • 《破滅的な行為/Pernicious Deed》
アポカリプスの多色エンチャント。
強力なマルチカラーカードが大量に登場したアポカリプスのご他聞に洩れず、このカードも非常に強力。
魂売り/Spiritmonger》と並んで当事の黒緑デッキの隆盛を支えたほか、その後もエクステンデッドでThe Rockというグッドスタッフを成立させ、現在もレガシーで第一線で活躍している強力カードである。

  • 《アクローマの復讐/Akroma's Vengeance》
白のソーサリーで6マナ。サイクリングつき。初出はオンスロート。
色の役割的にはこれで正しくなったといえるだろう。少し重いが特にアーティファクト・土地まで纏めて破壊できることから当時の親和に効果絶大であり、白系コントロールデッキで幅広く活用された。

  • 《忘却石/Oblivion Stone》
ミラディンで登場した《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》の直系的リメイク。
マナ・コスト自体は3マナだが起動コストが5マナと、実質的にかなり重くなっている。
それでも適用範囲の広さは魅力であり、大量マナを出せるウルザトロンを始め、幅広いデッキで活用された。コストは重いがマナさえあればすぐに起動できるのは本家に無い利点。
ミラディン産アーティファクトのカードパワーの高さを象徴する一枚であり、同エキスパンションでもトップレアに名を連ねている。

  • 《疫病沸かし/Plague Boiler》
ラヴニカ:ギルドの都で登場した亜種。
土地以外のパーマネントなので土地・クリーチャーや土地・アーティファクトには無力だが新たに加わったプレインズウォーカーに対処可能。
基本設置コストは無色だが(1)(緑)(黒)を払えば疫病カウンターを操作できるので、柔軟に使いこなすなら緑黒がベスト。
ゴルガリには強力なクリーチャーや除去が多くそれ関連のデッキで重宝された。


余談

"ネビニラル"とは聞きなれない名前だが、これは作家ラリー・ニーヴン/Larry Nivenの逆綴り(アナグラム)から来ている。

実はこの《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》というカード、このニーヴンの短編小説「魔法の国が消えていく(The Magic Goes Away)」を元ネタにしている。
この小説には土地からマナを枯渇させる銀色の円盤が出てくるのだが、その作者の名を逆綴りにすることで「土地以外のパーマネントを全て破壊する」カード名としたのだから、なかなかにオシャレなネーミングである。

この小説(の属する魔法使いウォーロックを主人公とした作品群)は、魔力の発動にマナという動力源が必要というアイデアを核にしており、原理不明で何故か魔法が出せちゃう他のファンタジーとは一線を画すことからロジカル・ファンタジーと評された。
このマナという概念はMagic the Gatheringにも生かされていて、「土地がマナを生み出す」というマジックの基本原則もその一つであるといえる。
元々このラリイ・ニーヴンという作家、北欧神話の重度なマニアにしてハードSF界の重鎮というヲタクの極みみたいな人であり、だからこそこんなアイデアも思いついたのだろう。

MTGのストーリー上ではかつてドミナリア次元のアーボーグを支配していた屍術師のリッチで、火山地帯ボガーダンとの戦争に敗れ敵に自分の財産・領地を渡すまいと聖句札(リッチが自分の魂を封じておくマジックアイテム)の円盤にありったけの魔力をこめて自爆したと伝えられている。
長らく上記の設定のみの存在だったが、「統率者レジェンズ」でカード化されており、設定通り死亡時に円盤を起動できる能力を持つ。


アトウィナの円盤 / Atowina's Disk (4)
アーティファクト

アトウィナの円盤は待機状態で戦場に出る。
(1),(T):すべての項目を追記・修正する。

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最終更新:2022年05月02日 07:28