ゴルゴ(ウルトラ怪獣)

登録日:2016/07/20 Wed 21:08:32
更新日:2024/01/29 Mon 23:16:23
所要時間:約 12 分で読めます




ゴルゴは、内山まもるの漫画版『ウルトラマンレオ』に登場した宇宙人である。
小学三年生』連載版の1974年9月号、連載第6話「ウルトラキラーゴルゴ」に登場する。
ギリシャス同様、映像作品には登場しない内山版『レオ』のオリジナルウルトラ怪獣。

肩書は、雑誌掲載時並びにそれに準拠した単行本では「地獄星人」、『ザ・ウルトラマン』収録時は「ウルトラキラー」。
実のところ、「ウルトラキラーゴルゴ」のエピソードは雑誌掲載時と『ザ・ウルトラマン』収録時で細かい台詞のニュアンスに結構大きな変更が加えられているため、本項ではそれについても解説する。

名前が似ているが、『ウルトラQ』のゴルゴス、『ミラーマン』『ウルトラマンタロウ』のゴルゴザウルス、イギリスの映画『怪獣ゴルゴ』とは関係ない。



◆概要
「殺し屋」として宇宙に名を馳せる星人で、宇宙で敵う者はいないと言われている。
マグマ星人が星3つを報酬に、ウルトラマンレオの抹殺を依頼したことで、地球圏に襲来した。
外見は余計な装飾のないスマートな人型で、人間染みた顔を除けば普通に特撮ヒーローにも見えるほど。

性格は、一言で言うならば愚直なまでの「自分ルール」の権化。
殺し屋と呼ばれながらも、その手段は狙撃などの暗殺などではなく、直接対決での決闘を信条としているようで、卑怯な手段を嫌い、正々堂々を自身のスタイルと標榜しており、作中でもマグマ星人がレオを地球から誘き寄せるために人質を取った際にはその事実を知るや、すぐさま人質の解放を命じた上で、レオに対しても「二対一を許す」と自身へのペナルティを宣言するなど、殺し屋というよりは武闘家気質。
同じウルトラシリーズで例えれば、グレゴール人やザムシャー辺りに近しいタイプの宇宙人かもしれない。

戦闘能力も極めて高く、特にウルトラ戦士のごとく腕を組んで発射する「クロスレーザー」はゴルゴの代名詞としても知られ、
また上空から「スピンレーザー」と称して光線の連続掃射を放つことも可能。
モロボシ・ダンもゴルゴの名は熟知しており、まともにやり合えるのは5兄弟合体技のスペースQくらいと評するほど。
実際、レオも一人だけではゴルゴにはまったく歯が立つ様子がなく、救援がなければ確実に倒されていた事は間違いない。
雑誌掲載時のアオリによれば、「ゾフィーよりずっと強いと言われている」と宇宙で評判らしい。隊長……

モデルは恐らく……というかほぼ間違いなく、さいとう・たかをの長寿漫画『ゴルゴ13』の主人公・デューク東郷/ゴルゴ13だろう。
名前だけでなく殺し屋という設定、さらに言えば実際に漫画を読めば分かる通り顔付きが「まんま」。
『ザ・ウルトラマン』に纏めるに際しては、ゴルゴよりも肩書の「ウルトラキラー」の方で呼ばれることが多くなっており、
恐らく作者サイドも単行本収録にあたって配慮した結果ではないかと推測される。

また、『ウルトラキラーゴルゴ』のエピソードは、漫画版『レオ』のオリジナル展開であると同時に、映像作品の前番組『ウルトラマンタロウ』の後日談的な側面を持ち合わせているのも特徴である。
『タロウ』最終話「さらばタロウよ!ウルトラの母よ!」で変身能力を捨て、生身で侵略者を撃退することでウルトラマンではなく一人の地球人として生きる道を選んだウルトラマンタロウ東光太郎。新たに地球を訪れた、自身の後輩にして初めての「」になりえるかもしれない若き戦士ウルトラマンレオの苦境を前に、彼が選んだ選択とは……

映像作品では描かれることのなかった、レオとタロウの共闘。それこそが、漫画ならではの本エピソードの一番の見どころと言えるだろう。

ちなみに、掲載誌である『小学三年生』をリアルタイムで読んでいたであろう当時の児童は、恐らくほとんどが昨年度の『小学二年生』から移行してきたものと思われるが、そちらで連載されていた内山まもる版『タロウ』の最終話は映像作品と異なり、怪獣ファイアントとの戦いで傷ついたタロウが、ゾフィーに連れられてウルトラの国に帰還するというものになっている。
なので、厳密には同じ内山ワールドでも『タロウ』と『レオ』で繋がりの齟齬が生まれてしまっているのだが……
まぁ映像作品からの続きとして考えれば違和感はないので、気にしたら負け。



◇『ウルトラキラーゴルゴ』あらすじ

※以下、雑誌掲載当時の柱に書かれていたコメントは青字で表記。
 また、上述のとおり本エピソードは雑誌掲載版と『ザ・ウルトラマン』収録時で台詞のニュアンスが異なる部分があるため、本項では前者を基準としたうえで、後者に対する補足を下記で行うものとする。


空に地球を一望できる、月面のとある山岳。
そこで、地球制服を企むマグマ星人は、待ち合わせている相手があまりにも遅れていると立腹している様子だ。
彼が不満を口走ったのを見計らったかのように、背後より約束の相手である、全身にフードを纏った男が姿を見せる。
フードの男……地獄星人 ゴルゴは、宇宙にその名を馳せる凶悪な殺し屋。いつまで経ってもレオを倒せず、開くばかりの実力差に業を煮やしたマグマ星人は、遂に刺客を雇って自身の障害たるレオを排除しようと考えたのだ。

ゴルゴに報酬を要求されたマグマ星人は、その迫力に気圧されながらも「きれいな星3つ」を提示。
納得した様子を見せたゴルゴだったが、レオ抹殺に際しての勝負に汚い手段は不要と断言すると、マグマ星人にレオを月面に連れてくるよう要求、わざわざ自分にまで行けというなら仕事を降りると言い切る。
さすがのマグマ星人もゴルゴの無茶な要求には慌ててしまうも、それでもレオに連戦連敗の現状を打破するためにはゴルゴの力は必要不可欠と判断したか、やむを得ず彼の要求を飲むことに。

そしてマグマ星人は、レオを誘き出すため……案の定、卑怯な手には頼らずにはいられなかったらしく、城南スポーツセンターに所属する「れい子」という女性を誘拐。レオ宛に「返してほしければ月にこい!」と手紙を書き残し、まんまと彼を月面に誘き寄せることに成功する。
あれほど、ゴルゴがねんをおしたのに、ひきょうなマグマ星人のやつ、また悪いことをしたぜ。
いや、手段を提示しなかったゴルゴにも責任の一端があるのでは……

かくして月面に到着したウルトラマンレオ。彼を待ち受けていた宇宙の殺し屋ゴルゴは全身を纏っていたフードを脱ぎ捨てると、レオに対してその命を奪うと宣言する。
地獄星人ゴルゴとは、宇宙の有名なころしやだ。ゴルゴにねらわれたら、だれでももうおしまいといわれている。

だが、レオの口かられい子が人質にされていることを知ったゴルゴは、依頼主が自身の勝負にケチを付けた理解し憤慨、背後に隠れていたマグマ星人を睨み付ける。マグマ星人は、ゴルゴが不利になったら人質を利用するつもりだったと弁解にならない弁解をするも、火に油を注ぐ結果に。
結局、ゴルゴは決闘は水を差された形でお預けになったと判断し、マグマ星人に人質を解放するよう命令。レオに対しては「とくに助太刀を認めてやる」とペナルティを告げ、いずれ地球に自身が赴くと言い残し、そのまま月面から去っていった……

後日、MAC本部でことのあらましをおおとりゲンから聞いたモロボシ・ダン隊長は、今のレオでは一人でゴルゴを討ち倒すことは不可能、ウルトラ兄弟をもってしても5兄弟合体技のスペースQを持ってきてどうにかなるレベルの強敵だとゲンに告げた。
特に、富士山を軽く消し飛ばすほどの威力を有するゴルゴの必殺技「クロスレーザー」こそが最も脅威となるのだという。
何としてでも助っ人を用意しなければゴルゴに勝ち目はないが、ダンは負傷によりウルトラセブンに変身することは叶わず、ウルトラ兄弟の助っ人を期待するのも厳しい現状。頭を抱える2人。しかし、ダンは地球に留まり続けているウルトラマンタロウの存在を思い出す。彼のストリウム光線を援軍に加えれば、まだゴルゴに太刀打ちできる可能性があるかもしれない……

一縷の望みに賭けたダンは、MACを通じてテレビ局に要請し、全国区のニュースでタロウ=東光太郎への至急連絡を放送させるという手段に出る。日本のどこかに建つアパートの一室でニュース番組を見た光太郎は、ダンに連絡しようとしなかった。今の生活が続けたいからである。
きみたち、おぼえているかい。ウルトラマンT( タロウ )の最終回で、東光太郎がバッヂをすてて人ごみにまぎれていったのを。

光太郎からの連絡が一向にないことでダン隊長とゲンは、今はもう普通の人間として暮らしている彼を戦場に引き戻すことは、自分たちが図々しかっただけだと自己反省する。
その矢先、地球に地獄星人ゴルゴが出現したとの報告がMAC基地に飛び込んできた。決着をつけるべく出現したゴルゴを討つべく、ゲンはレオに変身して地球に急行。助っ人を用意しても全然問題なかったと言い切るゴルゴの自信を前に、さすがのレオも気圧されててしまう。

その頃、光太郎はダンが自分を呼んだ理由が気に留まっていた。光太郎は意を決すると、MAC本部に車を走らせる。

レオは強敵ゴルゴ相手に苦戦し、ただただ劣勢に陥っていた。ゴルゴの放つレーザー連撃に翻弄されるレオは、得意の格闘戦に持ち込むことすらままならない。
両者の戦いを見守る観衆も、「レオ、どうした戦え。このままでは。やられるぞ」と不安混じりのヤジを飛ばす始末。
ゾフィーより、ずっと強いといわれるゴルゴに、負けるのがわかっているのにひとりむかっている勇気あるレオ! がんばれ!
隊長ェ……

光太郎は偶然にも、レオが戦っている現場を遠目に目撃。光太郎もゴルゴの名を知っていた。ダンが自分を呼んだ理由を、光太郎は初めて理解した。彼の目から見ても、まだ成長途中のレオではゴルゴに勝つことは難しいであろうことがハッキリと見て分かったからだ。

レオに助太刀が連れてこなかったことを悟ったゴルゴは、一気に勝負を決めるべく両腕をX字の構えて組んだ。そこから放つは、ウルトラキラーゴルゴの代名詞たる必殺光線「クロスレーザー」。レオは間一髪で直撃をかわすも、光線は背後の山一つを跡形もなく消し飛ばしてしまう。蓄積したダメージも大きく、立ち上がることすら覚束ないレオを、ゴルゴは次こそ確実に仕留めようと目論む。

その光景を目前にした光太郎は決断した。自分一人のストリウム光線でもゴルゴを倒すことは不可能……だが、それにレオの力が加わりさえすれば可能性はある!意を決した光太郎が戦う意思を抱くとともに、ウルトラバッジがないにも拘わらず、その全身が輝きに包まれた。
ウルトラマンタロウがその勇姿を再び見せた。目の前で命が燃え尽きようとしている、後のウルトラ兄弟7人目の弟となるかもしれない若き戦士を救うために。
タロウがあらわれた! でも、タロウはよく考えて変身したのかな。あとで後悔するとかわいそうだね。

タロウはグロッキー状態のレオを助け起こし、力を合わせてゴルゴに立ち向かおうと鼓舞する。
ゴルゴは助っ人の出現にも構わずクロスレーザーを放つが、タロウはレオの手を引いて空中へと華麗に回避、ストリウム光線に、レオのエネルギーを貸してほしいと頼んだ。

そして、タロウとレオがともに腕をT字に組んだことで、2人の合体光線「ダブルストリウム光線」が発射、ゴルゴに炸裂する。
さしものウルトラキラーゴルゴも合体光線には叶わず、自身の敗北に愕然として力尽きる最期を迎えた。
影で戦局を見守っていたマグマ星人も、ゴルゴが倒されてしまったことに驚愕してしまう。
自身の腕からストリウム光線が出たことに、自分でも未だ信じられず半信半疑のレオに対し、タロウは「自分一人の光線だけでは敵わなかった。レオがいたおかげで勝てたのだ」と彼に感謝の言葉を贈る。
ダブルストリウム光線とは、レオとタロウのエネルギーを集めたすごい力の新光線だ。

戦いが終わり、ゲンに連れられてMAC本部を訪れた光太郎。ダンからともに戦ってくれるよう頼まれるも、やはり普通の人間として生きる道を選んだ彼は再び戦いに身を置くことを固辞。光太郎の心情を推し測ったダンは、無理に彼を引き止めなかった。
光太郎は「ダン、ゲンくん。二度ともう会えないだろう、さよなら」と言い残し、一人MAC本部から去っていった……
タロウ、ほんとうにありがとう。でも、あんまりかたいこといわないでたまには、出てきてね。



なお、本エピソードではまるで光太郎=タロウが今生の別れのようにゲンやダンと訣別しているが、後に『小学三年生』1975年1月号に掲載された連載第10話「奪われたウルトラキー」の回にて
ダンは駄目でも編集部の頼みは受け入れられたのか普通にウルトラ兄弟に混じって登場していたりする。
『ザ・ウルトラマン』の再編集に際しても、ババルウ星人登場から円盤生物との決着編に際して普通に駆け付けており、
光太郎のわだかまりは思いの外根深いものではなかった……のかもしれない。

この「ウルトラキラーゴルゴ」のエピソードは、前述のように『ザ・ウルトラマン』収録時に際しては台詞が大きく変更されている。
ゴルゴが先述の理由でか異名である「ウルトラキラー」と呼ばれる場面が増加した他、レオに対するペナルティでゴルゴが助っ人を許す旨の台詞が削除され*1、また光太郎=タロウが後々ウルトラ兄弟に復帰することへの違和感をなくすためか、去り際の台詞も「しばらく考えたい事が……また一人になりたいのです。またいつかあう時もあるでしょう」と訣別を明言していた雑誌版と比べ、後のウルトラ兄弟復帰を予見させるものへと変更されている。




追記・修正は、光太郎に対するダン隊長の心情を推し測ってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ウルトラマンレオ
  • 内山まもる
  • ウルトラ怪獣
  • ゴルゴ
  • ウルトラキラー
  • 地獄星人
  • 殺し屋
  • ゴルゴ13
  • ウルトラマンタロウ第54話
  • 宇宙人
  • ザ・ウルトラマン
  • 強敵
  • 歩く核兵器
  • 漫画オリジナルキャラクター
  • 漫画オリジナル怪獣
  • オリジナルキャラクター

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月29日 23:16

*1 確かに一方的に決闘を申し付けてきたわけで、その上で勝手にペナルティを課せられるのもレオに取っては知ったことではないが。