SCP-999

登録日:2016/07/07 (木) 12:12:50
更新日:2024/03/25 Mon 12:10:09
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可愛さとは、時に強さなのだ。


SCP-999-The Tickle Monster (くすぐりオバケ) とは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクト

外見は明るいオレンジ色をした未知の油性物質で全身を構成された不定形で半透明なスライム状の生物であり、発声器官などは存在しないがどこからか「ごぼごぼ」といった泡の音や「くうくう」といった鳴き声らしきものを発する事もある。

さて、SCP財団が収容している常識を超越した異常存在、SCPオブジェクトと言えば、瞬きしただけで高速で接近し首をへし折ってくる生きた彫像超人的な身体能力と戦闘力を持って人間を殺戮せんとする狂戦士一見すれば可愛らしいが、一度本性を表せば阿鼻叫喚の恐怖を「創り出す」動くテディベアなど、どれもこれも狂気と悪意、そして我々人類への明確な殺意を向けてくるものが多い。
仮にそれらが無くても何かしらの弊害が起こるモノや命は助かってもいっそ死んだ方がましとも言える障害を残してくるような物ばかりというのが大半であろう。

そしてこのSCP-999もまた、財団が収容している以上この世の理から外れた未知の異常生命体である。
危険度を表すオブジェクトクラスは最も低い「Safe」だが、その恐ろしい生態を簡単に説明すると、

まず人間が近くに存在すると、すぐさまその気配を察知しズルズルと這いずるように移動して接近する。
人間のすぐ傍まで近づくと、なんと骨格も筋肉も無いその不定形の体をジャンプさせて人間に飛び掛かる。
グニグニと動くスライムにいきなり跳び付かれるだけでも人間にとっては中々の恐怖だが、ここでこの生物の異常特性が発生する。
なんとこの生物が体に触れた瞬間、ただ触れているだけで言いようのない多大な幸福感が生まれるのである。
しかもこの時同時にターゲットとなった人間にとってそれぞれ異なる異様に良い香りを発する。これにより対象は恐怖心を失くし脱出する行為を妨げてしまうのだ。
獲物が大人しくなるのを確認すると、体の一部を2本の触手状に伸ばして絡み付かせることでより動きを封じ、さらに追加で生やした3本目の腕で獲物の頭部を入念に触り活きの良さを確認する。
遂にはそのゲル状の体を薄く延ばすことでまるで丸呑みにするかのごとく人間の体をジワジワと包み込んでいく。

首から下を完全にスライムに包まれてしまった人間。そしてこの生物は最後の仕上げにその全身を使って人間の体を――――






くすぐるのである。



…え? 食べる?  食べません。

溶かす?     溶かしません。

殺す?      傷一つ付けやしません。



当然ターゲットの人間さんは大爆笑。体をすっぽり包まれた状態なのでどんだけ悶え転げようが逃げ出すことはほぼ不可能。
笑い転げてヒーヒー泣きながらやめてと言ってもそう簡単にはやめてはくれない。だって本人がめっちゃ楽しんでるんだから。

幼稚園児くらいの小さな子供が、くすぐりあいっこをしてて楽しくなっちゃって中々やめない様子を想像してくれれば大体合ってる。
散々くすぐって満足したらようやく離れてくれるのだろう。多分。

「くすぐりオバケ」という通称も恐らくこの必殺(?)『くすぐりレスリング』による行為から名付けられている。

SCP-999、財団が収容したこの未知の生物はゲテモノ揃いのSCPオブジェクトの中でも数少ない、明確に無害で、人間に友好的なSCPだったのだ。
上記の行動も要するに単に近くにいた人間に懐いてじゃれて遊んでるだけである。
近付いて、抱き着いて、頭を撫でて、くすぐって思いっきり笑わせてあげるのがこの子は大好きなのだ。

特殊能力は前述のとおり触っただけで心に多大な幸福感を発生させることが出来、触った時間が長ければ長いほどより強い幸福感が持続する。
ちなみにこの幸福感と言うのは、いわゆるヘブン状態にさせるような物や一部の麻薬が引き起こすヤバイ類のものではなく、どちらかと言うと家族や恋人と言った大切な誰か、大好きな何かが傍にいてくれる安心感からくる幸福に近いとされるらしい。
性格は一言で言えば『人懐っこい子犬そのもの』。近くに誰かがいればとりあえずすぐに懐いてじゃれてくる。特に落ち込んたりヘコんでる人間には積極的に触れ合おうとしており、試しにとある重度の鬱病患者を収容室に入れてしばらく一緒に戯れさせたら鬱病が完全に完治してめっちゃポジティブになって出て来た。
食べ物は基本的にキャンディなどのお菓子。アメリカ某社のウエハースとチョコが大好物である。会話こそできないがジェスチャーで意思表示する程度に知能もある。

他の動物(その中でも特に人間)がとにかく大好きで大切に想う行動も多く、目の前で銃で撃たれそうな動物がいれば自分の命も顧みず、自ら銃弾の盾になった事すらある。

どんな人間にも人懐っこく、落ち込み元気のない人を癒し、あらゆる動物を愛し、どこまでも人畜無害で愛嬌のある姿から、同じく無害で人懐っこいSCP代表であるSCP-131-The "Eye Pods" ("アイポッド") と並び多くの財団職員たちからアイドルとして愛されている。
ちなみに向こうは一応愛着がわき過ぎないようにという警告もされているが、こちらはそういったものはなく休憩時間の職員は進んでこの子と遊ぶ事も許可されている。
恐らくその特性上、日夜命懸けで異常存在に関わる職員のメンタルケアにも役立っているためだろう。



vs不死身の爬虫類

このSCP-999を語るにおいて欠かせないのがこのエピソードである。触れた相手を幸福感で包み込むSCP-999の特性から、ある職員が思いつく。

「SCP-999の力を使えば、SCP-682を鎮静化できるんじゃね?」

自分以外のありとあらゆる生命体を憎悪する無敵の怪物、SCP-682-Hard to Destroy Reptile (不死身の爬虫類)。
その圧倒的戦闘力と再生力、どんな攻撃にも即座に対応、回避する耐久力と適応力によって、数々のSCPと戦いながら未だ無敗を続ける財団きってのモンスター。
そのSCP-682の憎悪を、SCP-999の幸せパワーによって鎮静化する。殺すことが出来ないならばせめて凶悪性の根源を絶てないかと言う提案であった。

そしてやってきた実験当日。多数の職員が見守る中、SCP-682の封印区画にSCP-999が投入された。

999「ごぼごぼ ♪」
怪物を前にして少しも怖がることなく意気揚々と近づいていくSCP-999。

682「……なんだコイツ」
目の前にいきなり現れ自分に這い寄ってくるプルプルオレンジゼリーを怪訝に見つめながら唸り声をあげて威嚇するSCP-682。

999「キュー!(≧ω≦)」
一際甲高い声を上げ、子犬の様にピョンピョン飛び跳ねて元気にSCP-682に跳び付こうとするが…

682「ウゼェ(#゚Д゚)」
ベチンと振り下ろされた前脚によって一瞬でペッチャンコにされてしまった。慌てて職員たちが実験を中止しようとしたが…

なんと踏み潰されても全く意に介してないかのようにニュルリと手の平の隙間から這い出ると、スルスルと脚をつたってSCP-682の首に抱き着いた。
そしてしっかりと体を密着させると、そのまま『くすぐりレスリング』を敢行。

直後、職員たちの目に飛び込んできたのは、生きた彫像でも首を折れず、狂戦士を幾度も返り討ちにしてきた不死身の怪物が、爆笑しながら床をビッタンビッタン叩きながら笑い転げてもうやめろと懇願するという前代未聞の光景だった。

682「え、ちょ、なにこれめっちゃこそばゆくぁwせdrftgyふじこlp」

とうとう息も絶え絶えになり、ぐったりと床に寝そべり笑い疲れて眠ってしまったSCP-682。
財団きっての凶悪な怪物のかつてない無防備な姿に実験の成功を感じた職員たちは、満足げなSCP-999を回収する為封印区画に入った。

―――が、そこは数多くの財団職員からクソトカゲとも呼ばれるモンスター。ただでは終わらせない。

職員がSCP-999を体から引きはがしたと同時に瞬時に目覚め、笑いながら全身から謎のエネルギー波を全方向に放出。
エネルギー波を直撃した職員は先ほどのSCP-682と同じくロクに身動きできないほどの笑いの発作に襲われ、隙だらけとなった職員はすぐさま虐殺のターゲットとなり、そのまま封印区画からの脱走を引き起こしたのだった。
なお、この時SCP-999は逃げ遅れた職員を安全地帯まで運び一人でも救おうと尽力していた。

結果で言えば、当初の目的であるSCP-682の憎悪の鎮静化は出来ず、多くの死傷者も出て実験は大失敗に終わってしまった。
しかし、一人の博士はこれまで見たことも無いSCP-682の姿に色々な意味で興味深さを感じ、この実験の映像資料を大至急要求していた。

ちなみに、目の前でこれだけの大惨事が起こってもなおSCP-999はSCP-682を恨みも恐れもせず、「また一緒に遊びたい」という意思表示までしてみせた。
どんなに凶悪な怪物であっても、この子からすれば他の多くの生物と同じ自分の大好きで大切な遊び相手に過ぎないのかもしれない。



一方のSCP-682からは「あの鼻水野郎はさっさと死んじまえ(意訳)」とかなりつっけんどんな反応をされているが、
傍から見ればキャラ崩壊した自分の姿を人間に見られた事に対して逆ギレしてる様に見えなくもない。





追記・修正はくすぐりレスリングに耐え切ってから行ってください。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-999 - The Tickle Monster
by ProfSnider
http://www.scp-wiki.net/scp-999
http://ja.scp-wiki.net/scp-999

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最終更新:2024年03月25日 12:10