アクロ(逆転裁判)

登録日:2016/06/28 (火) 01:55:00
更新日:2024/03/20 Wed 18:47:32
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逆転裁判2』の第3話、『逆転サーカス』の登場人物。

CV:?(パチンコ版)/中務貴幸(アニメ版)


タチミサーカスの元団員で、本名は『木下大作(きのした だいさく)』。年齢は26歳。ある事故が原因で下半身不随になっている。
筋骨隆々な身体でタンクトップに身を包み、顔にはネイティブアメリカンのようなフェイスペインティングを施しているという特徴的な外見をしている。
しかし、怖そうな見た目に反して性格は非常に穏やかで物腰も落ち着いており、本来ならパニックに陥りそうな場面でも眉一つ動かさないというあたかも歴戦の勇者か仙人のような空気を纏った超人である。
その独特の空気を気に入られているのか、彼の周囲には常に数種類の鳥たちが戯れている。

事故が原因で軽業師を引退してからは、車椅子を足の代わりとし、サーカスの宿舎の三階にある自室で静かに余生を過ごしていた。
家族には、何らかの事情で植物状態となっている弟の木下一平、芸名バットがおり、彼の意識が戻るのを待つ事が彼の生きる目的となっている。

また、非常に手癖の悪いお猿のルーサー君をペット兼相棒としている。
光り物大好きなルーサー君は、立見団長殺害事件の調査に来ていた成歩堂龍一の弁護士バッジを失敬して根城としている彼の部屋へ逃げ込み、そこで成歩堂と激しいバトルを繰り広げた。
1日目の探偵パートの際にはバットの見舞いに病院ヘ行っていたため登場せず。
2日目でようやく登場し、トミーが目撃した「マックスが宙に浮き闇の中へ消えた」という謎を解き明かすべく調査をしていた成歩堂たちと運命の対面を果たす事になった。










この下にはオレの事件時の行動が書いてあります。ネタバレに注意してくださいね。









上述したように、下半身不随というハンデを背負っている事とほとんど部屋から外へ出ない生活を送っている事により、当初は容疑者どころか事件の関係者とすら見なされていなかった。
しかし、直前の裁判で成歩堂がトミーから『容疑者がふわりと宙を舞って逃亡した』という荒唐無稽な証言を引き出した事によって改めて調査をしていた弁護側と検察側の双方に目をつけられ、最終的には狩魔冥検事に検事局への出頭を要請され、検察側の証人として法廷で証言する事になった。
しかし、成歩堂が半年前の事故の件を中心にサーカス内で聞き取り調査を行った結果、彼にも犯行の動機があった事が明らかとなり…。










以下、重大なネタバレのため、ゲームを未プレイの方は注意










彼こそが被害者である立見団長を殺害した真犯人であった。
彼は、下半身不随というハンデを負いながらも、持ち前の頭脳と軽業師時代に培った不屈の精神で3階から地上にいる被害者を撲殺するという奇跡のようなことをやってのけたのである。

彼の計画は、脅迫状で被害者を自室の真下まで誘導することから始まっていた。

三階の窓から、ターゲットを所定の位置におびき寄せる為に必要な囮を縄を使って犯行現場へおろし、現れた被害者がそれを回収しようとして屈み込んだ瞬間に頭上から縄に結んだ重量物を投げ落として殺害。
被害者が倒れた音を確認すると、縄を手繰り寄せて重量物を回収して隠滅することでこの不可能犯罪を成立させていたのである。

だが。殺害方法がわかっても、彼を落とすことは容易ではなかった。
なぜなら、被害者はサーカスの誰もが慕っている人格者であり、アクロにとっても弟もろともいつ放り出されてもおかしくない状況であるにもかかわらず、長年面倒を見てくれた恩人であったからである。
しかも、兄弟に対する団長の恩寵はそれだけではなく、孤児であったかつての二人を引き取って生きる術と仲間を与えてくれた神様のような存在であったのだ。

そんな人物を殺害する外道がいるわけがない、法廷の空気は一気に成歩堂に不利となるが、彼はそんな事では諦めなかった。
即座に推理を立て直した成歩堂は、犯行の瞬間に犯人自身にとっても予想外の出来事が起きていたのではないかという結論に到達したのである。

アクロの使ったトリックには、実はとんでもない欠陥があったのだ。
それは、彼自身が車椅子から動けない身体であるため、犯行の進行度合いを音で確認するしかないということ。
つまり、何らかのアクシデントで犯行の直前にターゲットが別人にすり替わっていたとしても、アクロにはそれを知るすべがなかったのである。

そう、アクロが本当に殺害したかった相手は団長ではなかったのだ。
彼の本来のターゲットは、団長の一人娘であるミリカこと立見里香であった。

アクロはミリカを犯行現場に誘導する目的で彼女のポケットにコッソリと脅迫状を忍ばせていたのだが、それを読んだミリカは不幸の手紙程度に思ったのか面白半分で食堂の掲示板に張り出してしまい、それを読んだ団長が差出人の悪意に気づいてその人物を何とか止めるべく、娘の身代わりで指定された場所に行ってしまった結果このような事が起こってしまったのである。

アクロの弟、バットが昏睡状態に陥ってしまった原因であり、アクロ自身も下半身不随となってしまったあの忌まわしい事故の裏側には、実はバットとミリカの二人がお互いをターゲットにしてやっていたドッキリが関係しており、その仕掛けが最悪のタイミングで発動したことがあの事故の原因となっていたのである。
弟の所持品を受け取った際、その事に気付いた彼はたった一人の家族を死んだも同然の状態にした上に、その責任を自覚してすらいない*1ミリカに堪忍袋の尾が切れ、復讐を決意したのであった。
しかし、自分が逮捕されてしまうと、いつか意識が戻るかもしれない弟を待っている人間がいなくなってしまうため、上記のような自らのハンデを逆手に取った巧妙な殺人計画を実行したのである。

裁判でも、弟の傍に居たい一心から不屈の精神を武器に恐怖のツッコミ男こと成歩堂と真正面から丁々発止の戦いを繰り広げたが、検察側が抜き打ちで彼の住む宿舎を家宅捜索したことにより、凶器である重量物を処分する暇がなかったことが災いしてとっさに凶器をある場所に隠した*2ことが仇となり、成歩堂に凶器をそこから取り出すよう迫られて遂に自らが犯人であると認めたのであった。

マックス‥‥すまない‥‥!
‥‥オレは‥‥
まだ、いなくなるわけには‥‥

真犯人特有のブレイクモーションでは、穏やかな笑顔を浮かべたまま目から滂沱の涙を流すという、暴言や御託を並べたり、矢鱈と大騒ぎしたりするほかの真犯人連中とは違った実に彼らしい姿を見せた。

その後は自らの罪を全面的に自供し、殺す予定ではなかった被害者を手にかけてしまったこと、同僚に濡れ衣を着せてしまったこと、そして被害者の一人娘であったミリカを自らと同じ境遇にしてしまったことを謝罪し、静かに連行されていった。
その後、彼が如何なったのかは現在に至るまで不明であるが、第三話のエピローグにて御剣怜侍が電話越しに「悪いようにはしない」と発言していることから、情状酌量の余地が認められている事を祈りたい物である。

​なお、彼が犯行に用いた重量物とは、サーカスと専属契約している奇術師で今回の被告人のマックス・ギャラクティカが持ち込んだ彼自身を模した胸像*3であり、装飾の一部にプラチナが使われていたせいでルーサー君の悪癖が発動、エンヤコラと運ばれてきたそれを見たアクロはそれをトリックに用いることを決定した。
そう、宙を舞って逃げた犯人とは、この胸像にある偶然が作用したことで誕生した幻影だったのだ。

そのルーサー君は、後に『逆転検事2』にて猿代草太の相方として再登場し、新人猛獣使いである彼を操縦と一緒に行動している。


…なお「逆転裁判3真相解明マニュアル」によると2017年~2019年にバットは死亡したと記述されている。
※攻略本の記載は「弟のバットは、過去に起きたある事件のせいで死亡してしまったようだ。」であり、具体的な年月の記載は無い。また、この記載は「「逆転裁判」「逆転裁判2」登場人物紹介編」コーナーのものであり、このコーナーでは序中盤までの情報しか記載していない。そのことと、ゲーム中でも途中まで死亡したものとして扱われていたこと、「ようだ」という記載を合わせて考えると、 「死亡した」とは断定できない。


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最終更新:2024年03月20日 18:47

*1 このことに関しては、彼女に『生と死』や『人の感情を慮る事』等を教えず、あたかも童話に出てくるお姫様のような浮世離れした人間に育ててしまった立見団長にも問題がある。

*2 それでもかなり奇抜な隠し場所であり、度胸と頭脳を兼ね備えた彼だからこそ思い浮かんだ隠し場所であると言えるであろう。

*3 アクロが奇術師の胸像を凶器に使ったのは、彼に罪を着せるためではなく手ごろな重量物が他になかったからである。