ふしぎなメルモ

登録日:2016/06/18 Sat 22:59:00
更新日:2024/01/26 Fri 17:10:02
所要時間:約 3 分で読めます




♪あーかいキャンディー

♪あーおいキャンディー

♪しってるっかい?


「ふしぎなメルモ」は、1970年~1972年に『小学一年生』他で連載された手塚治虫原作の漫画作品、 及びアニメ作品。
原題は「ママァちゃん」だったが、アニメ化と共に改名された。単行本全1巻。アニメは全26話。
カテゴリーとしては魔法少女物。漫画版では色々な職業に変身(スキルもアップする!)して活躍する子供にも分かりやすい活劇物だが、アニメ版は手塚治虫描き下ろしの紙芝居風の性教育の解説を入れるなど、生命や性教育を重視した作品になっている。

もう一度言う、小学一年生向けに性教育である。しかも1970年代の話である。ちなみに本放送は日曜6時に放送されていた。

夏休みの頃になると何度も再放送されて、メルモちゃんの変身シーンでドキドキした子供の頃のオマエらは多かったであろう。ちなみに第1話ではメルモの大人の姿のお風呂シーンで茶色い乳首がアップで映されたり、その後も大人、子供の全裸シーンが度々存在した。よく放送出来たな。


アニメ版をベースとして、漫画版については補足として解説する。


■登場人物(CV:オリジナル/リニューアル)

  • 渡メルモ(わたりメルモ)
CV:武藤礼子/川村万梨阿
主人公で小学3年生(9歳)の少女。事故で亡くなった母親にかわって二人の弟を育てている。
死んだ母からもらったミラクルキャンディを使って、さまざまな出来事を通して「女性」という「性」や「生命の大切さ」を学んで成長していく。
9歳の頃でも色白で薄幸の美少女。それが9歳の服のままで手塚治虫特有のボンキュッボンの美女の19歳に変身するので性癖を破壊されたキッズは多いだろう。声も舌ったらずな子供の声と低めでセクシーな大人の声を1人が演じ分けている。

  • 渡トトオ(わたりトトオ)
CV:松島みのり/松本さち、長谷部浩一
幼稚園に通うメルモの弟。トラブルの元は大抵こいつ。
一時期カエルに変身して人間に戻れなくなった。
漫画版ではトトオ(名前は出てこない)のみが登場し、カエルの姿の天使が1話だけ出演した。

  • 渡タッチ(わたりタッチ)
CV:沢田和子→吉見佑子/石井直子、保志総一朗
1歳半の赤ん坊。キャンディーで大人になっても頭は赤ん坊のままなのを立証した実験台。
漫画版では登場しない。

  • 渡ひろみ(わたりひろみ)
CV:北浜晴子/石井直子
登場早々に交通事故で死んでしまった母親。
神様に頼んでキャンディーを作ってもらって幽霊の状態になってメルモに届けた。その後も暫く天国でメルモの様子を見守っていた。
あれっ、父親は?(21話で亡くなったと言及はある)

  • ワレガラス
CV:北村弘一/西村知道
チッチャイナ国の医師。日本にやってきてワレガラス医院を開き、メルモ達の親代わりとなる。
メルモに人間や動物の性、習性などを教えていく。
動物への変身方法を提案してみたのもこいつ。漫画版では似た様な顔の人がゲスト出演していた。

  • 手塚先生
CV:富山敬→伊藤克→大竹宏/二又一成
先生ぇ。


■ミラクルキャンディー

赤いキャンディーを食べると10歳若返り、青いキャンディーを食べると10歳年を取る。
ただし、9歳のメルモが赤いキャンディーを食べても-1歳ではなく、生後数ヶ月の赤ん坊止まりなのは大人の事情かもしれない。
その変身シーンは生命の進化や成長過程でもある。
使った分だけ増えるので中身は減らない(アニメ中盤まで)。エンディングから察するに火の鳥の卵を原料としている模様。
変身しても元の記憶は引き継がれるが、人によって個体差がある様で、メルモ以外では大人が子供になったら今までの記憶を無くしたり、大人になった赤ん坊が言葉を話せたりする場面もあるので、ある意味適当である。
メルモの場合を元にその効果を示す。

  • 青いキャンディー1つ
9歳の子供から一気に19歳の大人の女性になる。食べる個数が増えると、更に中年女性→老婆へと変身する。ちなみに中年女性の時は太っている。
19歳の時のメルモは、髪型が微妙に変化し大きな胸、大きな尻、長い手足とスーパーモデル並みのプロポーションを持つ絶世の美女で運動神経も抜群に発達する。声色も舌足らずの子供の声から低い色気のある女性の声になる。唇の色はオレンジ色に染まる。
ただし、衣類はやや伸びるものの基本的には子供サイズのままなので、普段着ている青色のブラウスに黄色いスカートのままキャンディーを食べると、大きく膨らんだ胸や、スカートからはみ出た白い下着が著しく目立つ格好になる。初期では母親のコート等を上に羽織る事もあった。
筋力はその年齢相当になるので、老婆では力が出ない。
アニメ版の場合、大人の姿でも老婆でも心は9歳の子供のままで、スキルが増えるという訳でも無いのだが、ある程度の大人並に知性は向上している。弟(タッチ)に搾乳を試みて乳房を吸わせてみた事もあったが勿論母乳は出なかった。
漫画版では変身時に「なりたい職業」を思う事でその職業の衣装になりスキルアップも可能になる。ただし、年齢調整が難しいらしく、一粒飲まされただけで老婆になった少女がいたり、芋虫にキャンディ水をふりかけ蝶にしたりした。

  • 赤いキャンディー1つ
生後数ヶ月の赤ん坊になる。知識は小学生でも言葉をしゃべる事が出来ず、筋力も赤ん坊と同程度でハイハイしか出来ない。
簡単に服が脱げるので、その時に青いキャンディーで再び成長すると、裸のままで子供や大人の姿になってしまう。

  • 赤いキャンディー2つ以上
受精卵まで小さくなってしまう。受精卵の状態では自ら動く事も出来ず、そのままでは元に戻る為のキャンディーを食べる事が出来ないが、
青いキャンディーを溶かした水に受精卵を浸せばキャンディーを食べるのと同じ効果が出る。
外因で受精卵(または卵)が傷付いた場合、これを青いキャンディーで成長させると、やや不完全な姿で成長してしまう。
漫画版では卵状態で壊れた白鳥を治したら、ペンキと混ざってカラフル白鳥になった。

  • 赤と青のキャンディー同時に1つずつ
赤いキャンディーの力で受精卵まで小さくなった後、青いキャンディーの力で卵から再び成長を始め、胎児~赤ん坊~幼児を経て元の姿に戻れる。
特に用途は無さそうではあるが、時間経過で元の姿に戻るので、受精卵状態で一時的に身を隠したりする事が出来る。

  • 赤いキャンディー1つと少し形を削った青いキャンディー
この能力がメルモの活動範囲を大幅に広げたとも言える。
まず赤いキャンディーの力で受精卵まで小さくなる。その後、青いキャンディーの力で卵から再び成長が始まるが、人間以外の別の動物としてある程度の年齢まで成長する。
元に戻るには、変身前の青いキャンディーと同じレベルに削った赤いキャンディーと、青いキャンディー1つを同時に食べれば良い。
メルモの記憶は受け継がれているものの、その動物との会話は成立しても、人間との会話は成立しない。
変身したままの時間が長くなってくると、徐々にその動物と同化していってしまう。
どんな動物に変身するかは、キャンディーを食べたときのメルモの意思やキャンディーの削り具合、周囲の環境で決まるらしい。
メルモが変身した場合は美しい雌となる為、その動物の雄から求愛行動(という名の交尾)を取られるのがお約束。


■ストーリー

アニメ版の大筋のストーリーは以下となっている。忘れてしまった人は思い出して欲しい。

  • 死んだ母が霊となってメルモにミラクルキャンディーを渡す。メルモは弟たちの面倒を見ながら、必要であれば大人になって弟たちを守る。
  • 若返り薬の秘密を探っていたチッチャイナ国に誘拐される。その独裁国家に反抗したワレガラス博士に助けられる。
  • チッチャイナ国からの逃亡中、初めて動物(ウサギ)に変身する。雄と雌のつがいの意味を考える。
  • 悪戯を繰り返すトトオがカエルになって元に戻らなくなる。
  • 神様がキャンディーを乱用しすぎるメルモを少し懲らしめる。
  • トトオが人間の姿に戻る。
  • メルモが新任の野沢先生を好きになる。そして失恋する。
  • タッチに母乳をあげようとしてメルモは大人になるが、ホルモンが無いので母乳は出ない。女性ホルモンについて考える。
  • 死んだ母親を恋しがるトトオのためにメルモは母親の姿となったところ、一目惚れの番長に求婚される。結婚について考える。
  • 三兄弟からそれぞれ求婚される。
  • 三兄弟のうちの二郎が恋人となり、妊娠について考える。
  • ワレガラスが祖国へ帰る。メルモも誘われたが、二郎の母親にも家においでと誘われて、二郎の家にお世話になることを決める。
  • 15年後、メルモと二郎の間に生まれた娘が、青いキャンディーを食べてしまって大人になる。
  • その娘の身体に、メルモに逢いたがっていた母親の霊が宿って再会する。


■リニューアル版

アニメ版には、オリジナル版とリニューアル版が存在する。

が、リニューアル版はオリジナル版の声優やOP/EDの歌手を総取っ替えして、差別用語(時代が古いアニメの場合はある程度は仕方無い事)を削除したり、一部アニメのみ差し替えている為、非常にチグハグとしてしまった感がある。
映像がオリジナル版のままなので、他アニメと同じ様に映像自体も全てリニューアルしているのならともかく、オリジナル版の声優達に対しても失礼な行為であると言われている。
オープニングの歌も、あの舌っ足らずの声が良かったのに、なんとも見る影も無いポップ調に変わり果てている(DVD特典としてオリジナル版のOP/EDは付いている)。

是非とも、オリジナル版で楽しんで頂きたいものだが、さすがに再放送はされないであろう。非常に残念な事である。
オリジナル版を視聴するにはLD-BOXを購入しデータを取り出すか、手塚治虫記念館に行くしかない。

とは言え、オリジナル版にも問題はある。手塚先生は久しぶりのアニメ参加であるため「全部自分でやりたい」と言うほど力を入れており、その意向を生かそうと「手塚からの指示・参加待ち」の制作体制がとられた。が、多忙で必然的に漫画執筆を優先する手塚の影響でスケジュールは常に遅れていたといい、当時の制作プロデューサーである下崎いわく製作現場は「常に綱渡り」「放送するのは不可能」と言われるほど想像を絶するものだったという。そのため、作画期間が3日しかないこともざらだった、などの逸話がある。そのせいで作画のムラが当時のアニメと比較しても各回ごとにキャラの顔つきが崩れている。

14話ではアフレコは一切映像がない状態で行われ「こんなんじゃもう出来ない」と出演声優全員が降板を申し出たが最終的に「手塚先生のためだから」と頼みこみ納得してもらった。が、この影響で声優陣の演技が本調子でなかったといい、下崎は後年「声優さんの名誉を大変傷つけてしまった。すべての責任は、メルモの制作にあるのだ」と謝罪の言葉を述べている。

通常の制作法と異なり絵コンテが存在せず、コンテと原画の中間の工程にあたるレイアウトをもとに制作が進められた。なお、これも1クール目は手塚本人がレイアウトと原画に参加し、レイアウトは清書まですべて一人で描いてたが、多忙ゆえに後半からは当時のアシスタントかつ学年誌でメルモの代筆を担当していた池原成利も協力している。脚本に関しても、放送初期は基本的にレイアウトを作りながら話を作成する方式だったが2クール目からは脚本家を起用し台本を作るようになった。






追記・修正はキャンディーをもらってからお願いします。

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最終更新:2024年01月26日 17:10