長崎屋

登録日:2016/06/18 Sat 16:42:36
更新日:2023/03/17 Fri 17:31:20
所要時間:約 5 分で読めます







サン、サン、サンバード~ 長崎屋~のサンバード~♪




長崎屋とは、日本の中堅スーパーマーケットチェーンである。

「サンバード長崎屋」という愛称でもかつては知られていた。
本項目はとりあえず長崎屋という事にする。


【概要】



大手ディスカウントストアチェーン「ドン・キホーテ」の連結子会社。
親会社が展開する店舗ブランドである「ドン・キホーテ」の運営も手がけている。

かつては衣料品を主力商品とするスーパーマーケットチェーンとして栄光を極めた。
一方で食料品販売は地元のスーパーをテナントに呼ぶ形で行っており、食料品販売は弱かった。
後述するが、その繁栄から転がるように衰退していきドン・キホーテの子会社として収まることとなる。
時代の流れに乗れない経営努力など、ある種80~90年代で滅びの道を辿った多くの会社の代表例の一つ。

赤色と白色の混ざるマークが特徴的であり、よく見ると鳥の顔となっている。
「サンバード」の語呂合わせから、各店舗の電話番号下4桁を3810に設定するなど地味なネタもある。

現在は殆どがMEGAドン・キホーテとして経営されており、純粋な長崎屋としての影響力は北海道の一部に残した程度である。


【歴史 ~繁栄から衰退、そして倒産と売却】



元々、創業者である岩田孝八氏の先祖は、江戸時代に「長崎屋」という旅館を経営していたようだ(明治時代で廃業)。

そんな岩田孝八氏は、戦後間もない時期に平塚駅の近くの商店街でかき氷屋を始めた。
しばらくして、そのかき氷屋を本店として長崎屋を名乗る布団店を開く。

戦争の傷も癒えない時代において、この店は豊富な種類の衣料品を低価格で販売して売上を伸ばす。
利益が上がるにつれて店の規模拡大や他店を開店させるなど店舗拡張を行っていた。
蒲団だけでは無く、雑貨品や食品を扱うようになりチェーンストアを全国規模で展開する。
この経営努力もあって、高度経済成長期には全国規模のスーパーに成長を遂げた。

ところが、この繁栄も80年代以降坂道を転がることとなる。

繁栄期に食品販売が面倒だったことでこの方面への注力を避けた結果、他スーパーに遅れを取る。
これに危機感を抱いた本社は、食品スーパーの展開or食品スーパーとの提携を行うが、売上は伸びず。
得意の衣料品も、80年代初頭の減益に焦って値入率を向上させたことで、消費者からも取引先からも見捨てられる結果を生み出す。
全盛期を支えた衣料品担当者も定年退職をしていき、後続の優秀な担当者の育成に失敗する。

1990年には、長崎屋の歴史に大きな影響を及ぼす事件『長崎屋火災』が発生。
詳細は各自で調べてほしいが、この事件は15人の死傷者を生み出す大惨事となる。
発生元の尼崎店は『無期限休業→やがて解体』を強いられ、後の長崎屋倒産の原因の一つとなる。
(火災対応のまずさで風評被害も引き起こるわで散々だった)
それに追い打ちをするかのように、バブル景気の崩壊など世の中全体を不景気が襲う。

こんな感じで経営不振に陥ったことで創業者一族は降格し、新体制で再建を図る。
資金確保の為に子会社やら何やらを売却して金を確保し、不採算店の閉店を進めていく。
こうして苦しみながらも、一応は黒字を確保していった。

ところがどっこい、再建最中に紳士スーツの展開に失敗し、再び経営赤字を引き起こす。
ここから転がるように赤字を生み出した上に、立て直しの為に新たに社長として呼ばれた人が病気になって辞退したりと不幸にも見舞われる。
こうして2000年に事実上経営破綻した。

破綻後にはサーベラス・グループやキョウデングループが再建を支援する。
そして、キョウデンから買い取られる形でドン・キホーテの子会社となった。
殆どの長崎屋は『MEGAドン・キホーテ』へと業務転換し、店内部も大きく改装されることとなるのである。

2022年現在、公式サイトや店舗名では「長﨑*1屋」の表記が使われているが、当記事では「長崎屋」で統一する。

【業態】



○ドン・キホーテ/MEGAドン・キホーテ

現在の主力な業態はこれ……長崎屋を知らない人でも知ってるだろう店である。

長崎屋が吸収されて以降、倒産を乗り切った旧長崎屋店舗はドンキ・ホーテorMEGAドン・キホーテへ転生した。
「MEGAドン・キホーテ」はドン・キホーテと長崎屋が一緒になったような形式を取っている。
運営は長崎屋のためか、建物には長崎屋のロゴを残している他、レシートにもドン・キホーテのロゴと共に「長崎屋」の表記がある。
また、長崎屋のホームページには「旧長崎屋店舗一覧」として、長崎屋が運営するドン・キホーテ店舗の店名が掲載されている。

実は知られていないが、ドン・キホーテ買収以前に宮城県仙台市青葉区台原店がテナントにドン・キホーテを導入していた。
現在の長崎屋を理解する上で台原店はなかなか興味深い存在と言える。
また、台原店は長崎屋時代の飲食店が現在でも長く営業していたりと長崎屋色が濃い方の店舗。


○長崎屋

かつての主力ブランド。

上述したように、殆どがドン・キホーテに飲み込まれて姿を変えた。
2022年現在、全国に七店舗しかなく、ドン・キホーテへの転換や併設を受け入れず、純粋な長崎屋を貫いている店はわずか三店舗のみ。


○ラパーク

中規模ショッピングセンター。

2015年に長崎屋ラパーク千城台店が撤退するなどして、現在は殆どの店がドン・キホーテに転換、もしくはテナント撤退により改名されている。長崎屋が現存する店舗は大阪府のラパーク岸和田(94年開店、MEGAドン・キホーテ併設)のみ。


○Big-Off

ディスカウント店舗で、今の親会社に近い物がある。
なお、長崎屋火災が起こった店舗は実はこれだったりする。


○サンドール

歴史の項で記載した通り、長崎屋の食品展開強化を担当した食品スーパー。
単独で運営するか長崎屋本店に入って食品売り場を担当していた。


○サンバード

各地のスーパーに衣料を卸すことがきっかけとなり始まった衣料品専門店。
現在、直営としては高知県のスーパーマーケット「サンシャイン ヴィアン店」にテナントとして「サンバード生活衣料館」を名乗る形で現存。
かつてサンバードフランチャイズを名乗ってFC展開を行っていたが、2012年に終了して現在は消滅。ただし、元FC加盟店の一部が看板を変えずに現在も営業している模様。

余談だが、高知県は全国で唯一ドン・キホーテが出店しておらず、この店舗でのみドンキ関連グッズが取り扱われている。

【テーマ曲】



長崎屋は独特なテーマ曲を持っており、一部では有名。

代表的な物は、テレビCMや店内ソングに使われた「サン・サン・サンバード」。
作詞は伊藤アキラ、作曲は小林亜星が担当した。何故かリメイク版も用意している。
長崎屋の破綻以降はCMを流す余裕もなく、耳にする機会はかなり減少したとされる。
ドン・キホーテ買収以降も一部店舗は未だに使用しており、店内で聞ける場所もあると思われる。

キョウデングループ時代はこの代表曲を変更。
キョウデングループ創業者のはしもとひろし自らが作詞作曲を行ったテーマソングである。
こちらも結構力を入れたテーマソングで、派生バージョンもいくつか存在する。
キョウデン時代のソングはドン・キホーテ買収以降廃止され、現在は完全にネットでぐらいしか聞ける機会は無い。


【その他】



実は長崎屋、かつてはサークルKサンクスの前身であるサンクスを傘下に置いていたことがある。

サンクスの第一号店は、長崎屋の出資により宮城県仙台市に展開された(今は無いです)。
サークルKの方は株式会社ユニーの子会社として運営されていたのだ。
やがてサンクスは長崎屋の業績悪化に伴って別会社へ売り飛ばされ、その後ユニー・サークルKへ売却される。

現在は長崎屋とサークルKサンクスに繋がりは一切ない。






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最終更新:2023年03月17日 17:31

*1 「崎」の「大」が「立」になっている