停留所まで(小説)

登録日:2016/06/16 Thu 11:44:21
更新日:2024/02/19 Mon 20:38:03
所要時間:約 3 分で読めます









『停留所まで』とは『脳髄工場』に収録されている短編小説。『YOU&I SANYO 1999年5月〜7月号』初出。
著者は『玩具修理者』『キャッシュ』『マウンテンピーナッツ』『ウルトラマンF』などで有名な小林泰三


【概要】

小林氏の作風としては珍しくグロ要素は少なめで、物語は会話形式で進む。
登場人物は全て少年とされているが、ここでは便宜上A・Bとする。


【主な登場人物】

  • 少年A
学校で聞いたばかりの噂をBに話したくて仕方なく、次のバス停で降りる必要があるにもかかわらず、Bと共に噂話で盛り上がる。

  • 少年B
Aの友人。Aが話そうとする面白い噂話に食いついた。
やたらとせっかちで、Aの話そうとする噂話を遮って「これがAの聞いた話だろ!」と長話をしだす悪癖がある。
都市伝説にやたらと詳しくAの知らない噂話をペラペラと喋るが、肝心のAの話は知らなかった。




以下、ストーリーのネタバレのため注意!










【語られた都市伝説】

  • 田中さんのミカちゃん人形
田中さんはミカちゃんを大切にしていたが、ある日、不注意で片足を壊してしまう。
以降、気まずくなった田中さんは人形遊びを止めて存在を忘れてしまい、引っ越しの際にも荷物の中にいない事に気付かなかった。
それ以来、夢に現れるようになった事で前の家に戻ってみると、そこにはミカちゃん人形が片足を探している姿が……!

  • 修学旅行の写真
修学旅行の際に写真屋が集合写真を撮るが、その写真が心霊写真になる事は日常茶飯事。
そのため、教師に確認を取って映っているはずのない人物を修正してから学校側に配布する。
しかし、その時に限って写真屋は修正を間違えて幽霊ではなく一般生徒の顔を消してしまい、その生徒は交通事故に遭い、首だけになってしまう……

  • 誘拐団
とある女子の仲良しグループが店に行って試着していたところ、一人が出てこない。
試着室を開けると靴だけを残し、その少女は姿を消していた。
慌てて警察を呼んで戻ると靴もなく、店員達はこのグループを見ていないと証言したため、警察は子供に一杯食わされたと思い、捜査を打ち切った。
しかしその後、外国の見世物小屋で少女は麻薬付けの状態で発見された……
この誘拐団は遊園地で1人になった子供も狙っているらしく、身代金目的ではないために誘拐されたら絶望的とされている。

  • 木下の姉
東京で一人暮らしをしていた木下の姉の下に友人が泊まりに来た。
夜になるとその友人がサンドイッチを食べたいのでコンビニに行こうと、無理に木下の姉を連れ出した。
しばらくするとその友人は木下の姉の部屋に見知らぬ男が住んでいた事で警察を呼ぼうと告げる。
警察が調査すると住んでいた形跡はあれど、男の姿にはなかった。
その後また友人がやって来る事があったが、今度は部屋の外の公園で男が潜んでおり、「こちらの様子をうかがっているから今日は帰りたくない」と言う。
しかし、その日は木下の両親が来る日であり、日も暮れていない時間帯だったため、その日のうちに友人を家に帰した。
その日から木下の姉は友人に会う事はできなくなった……

  • お化けの出るバス
本来この世にあってはならないバス。
見た目は錆び、中の椅子はドロドロに溶けたようになり、腐敗臭も漂わせている。
見た目からして怪しいが、乗る人のいつものバス停にふらっと来るために急いでいる時に乗ってしまう人は多いらしい。
中には子供の幽霊が並んで座っており、迷い込んだ人の魂をあの世に連れていく。
この話が世間に伝わっているのは、幽霊の気配を感じても振り向かなかった人がいるから。
しかし振り向いたが最後、生きてバスからは出られない。
そのため、幽霊はあの手この手で振り向かせようとしてくる。















―バス停が近づいて来た。

確か少年達の一人は次のバス停で降りると言っていたっけ。

どうやら、噂話に夢中になっていて、気が付かないらしい。

こんな夜遅くに小学生がバス停を乗り過ごしたりしたら可哀想だ。一言、注意してやった方がいいかもしれない。

私はバスの後部に乗っている少年達に声を掛けながら振り向いた──

君、ここで降りなくていいの?






ほらね。








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  • 衝撃のラスト

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最終更新:2024年02月19日 20:38