ダライアス外伝

登録日:2016/05/28 (土) 01:33:05
更新日:2023/04/23 Sun 07:41:13
所要時間:約 23 分で読めます






Close your eyes…… Close your head……



『ダライアス外伝』は、タイトーが開発したアーケードゲーム。
横スクロールシューティング(横STG)の金字塔『ダライアス』シリーズのアーケード第三作目になる。1994年9月19日リリース。
シューターの間では伝説的存在、絶対女王と化しているゲームの1つ。


「外伝」の由来は、これまでダライアスの伝統だった多画面筐体を廃し、普及型の1画面筐体(格ゲーとかSTGとかパズルとかいろんなゲームが動く、とにかくゲームセンターにいったら置いてるあれ)用として開発されたところ。
他にも流行のボンバー要素を取り入れるなど、ダライアスの伝統から外れた仕様がシリーズファンから批判されたが、異次元的にグレードアップした演出や改善されたゲームバランスによって、不評はあっという間に吹き飛んだ。
さらに普及型筐体仕様が功を奏し、多数のゲーセンに出回ったことで多くのゲーマーの目に触れ、新規プレイヤーの獲得に成功した。

94年の第8回ゲーメスト大賞では総合7位ベストシューティング賞3位ベスト演出賞7位ベストグラフィック賞2位ベストVGM賞4位に入選。
97年の「ゲーメスト ザ・ベストゲーム2」ではそれまでの全アーケードゲーム中第4位に輝く快挙を挙げた。
ちなみにTOP3は『ストⅡ』『KOF’97』『ヴァンパイアセイヴァー』。格ゲー全盛期の中でどれだけ偉大な入賞記録であるかは語るまでもないだろう。

現在では「ダライアス最高傑作」どころか、『グラディウスⅡ』と並んで「横STG最高傑作」と評されることすらある。
STG・アーケードゲームを取り扱うサイトや書籍ではほぼ確実に取り上げられている。


ストーリーと登場人物

『ダライアス』Z-ZONEエンディング後のお話。
ベルサー軍の攻撃で死の星と化した惑星ダライアスからは、シルバーホークを駆るプロコとティアットを始めいくつかの艦隊が脱出に成功し、新天地へ散って行った。
時は流れ、ダライアス星人の移住先の1つである惑星ヴァディスでは、ダライアスへの帰還計画が開始されていた。

ところが、移民航路に設けられた前線基地や、先発した輸送船団が次々とベルサーの攻撃を受ける。そして、遂にベルサーの尖兵はヴァディスに到達した。
空軍戦力は壊滅。このままでは既に出発した船団も同じ運命を辿ってしまう。軍上層部はシルバーホーク部隊の生き残り、トップガンのケイス・アーディンと、彼が推薦したアンナ・シュタイナーにシルバーホークの改造機を託し、戦局打開のための指令を下した。
2人は惑星ダライアスまでの強行突破作戦を敢行する。敵中枢を叩き、指揮系統が乱れたところで一挙に残敵を掃討。皆を救うにはこの作戦しかない。

遥かな故郷を目指し、銀の鷹は今再びその翼を広げる――



本作はダライアス歴1642年。『G』、そして『初代』から1400年余りを経たエピソード3となる。
このおよそ200年後に『Ⅱ』、そして『バースト3部作』が続く。


◆ケイス・アーディン(23)
空軍のNo.1パイロット。一見優男だが、その実、無口で感情を表に出さない冷静沈着な男。
幼いころから施設で育ってきたのだが、父を亡くしたアンナを推薦したのは彼なりに通じるものを感じたからかもしれない。
◆アンナ・シュタイナー(22)
空軍のNo.2パイロット。戦艦ハーベイの艦長だった父がベルサー来襲で命を落とし、私情的になることを危惧されて作戦から外されていた。
長い金髪を後頭部で纏めた、青いパイロットスーツが似合う美人。後のアグリアスセイバーの原型にも見えないこともない。

ちなみにケイスとアンナはシリーズでも珍しく、特に血縁や恋愛関係のない職業軍人コンビである。
めっちゃバタくさかったリアル路線だった『初代』『Ⅱ』から変わって、2人は当時のハードSFアニメの主人公っぽい爽やかフェイスに描かれている。


ゲームシステム

一撃死・残機制のオーソドックスなルール。8方向レバーと2つのボタンで自機・シルバーホークを操作する。
Aボタンでメインショットボムを発射、Bボタンで全画面攻撃のブラックホールボンバー(BHB)を発動する。
前作までのボムボタンは廃止、メインショットと一つのボタンに統合され、同時発射方式となった。

アイテムを取得してメインショット、サブウェポンとなるボム、敵弾を防ぐバリア(アーム)をそれぞれ強化していく点はこれまでと変わりない。
『初代』『II』にはあった取得スコアによる残機加算(スコアエクステンド)は廃止。道中では特定ポイントにショットを打ち込むと出現する隠しアイテムとして1UPが2つ隠されている。
また、同じくステージの一部には初代の金アイテムのように、隠しキャラの金勲章が配置されている。取得すると画面内の敵・敵弾を全滅させられる。

  • 面構成
ZONE(ステージ)は全7面構成。クリアごとに次のZONEを2択で選ぶ樹状ステージも変わりない。
今作ではZONEごとの難易度が比較的明確に分けられているため、優しいZONEだけを遊んでいくこともできる。
ボス戦であんまり粘りすぎると、永久パターン防止のお邪魔キャラ『ヤズカ・タカーミィ』が出てくるのも過去作と一緒。
ただし、本作から『ヤズカ・タカーミィ』出現から更に時間が経つとボスが自爆してボス戦が強制終了するように変更された。

自機強化

これまでのシリーズではミスをすると装備が初期状態に戻され、復帰が非常に困難だったが、
本作では前レベルの初期状態に戻されるだけになり、BHBも再補充されるので格段にごり押し進行しやすくなった。
更にコンティニュー時には支援機が飛んできて勲章をいくつかばら撒いていってくれる。この改善も新規客の定着に貢献した。

  • メインショット
赤勲章を1つ取得するごとにパワーアップする。3つ取得するごとに次の段階へレベルアップ(全15段階)。
大まかにはミサイル(白玉)→敵を貫通するレーザー→敵・地形を貫通する緑ウェーブ→その高火力型の緑大ウェーブ→最高火力の赤ウェーブ

ウェーブ状態で2個目の赤勲章を取ると白玉が、3個目ではウェーブが自機前方に追加発射される。ただ、この「3個目のウェーブ」が曲者。
実は本作のボスにはウェーブ耐性を持つヤツラが多く、大抵は「2個目の白玉」から火力が下がってしまう。よって最高火力は赤勲章13個目の「赤ウェーブ+白玉」ということになる。冗談抜きでボス殲滅時間(=被弾の危険性)が変わってくるため、「14個目に当たるなら敵か地形に当たれ(=死ね)」とまで言われるほど。
勲章は大きな円周軌道でゆっくりと画面後方に移動するため避け辛く、如何に赤勲章を避けられるパターンを組むかも攻略に関わってくる。誰が言ったか「ダラ外最強の敵は赤勲章」。
ただし、だからと言って白玉のまま進むプレーも非推奨。地形貫通が無いのでクリアすら困難になってしまう。
最強状態で赤勲章を取れば5000点を獲得出来るので、敢えてスコアアタックの為に最強状態になる猛者も存在するが、安定クリアを最優先させるのであれば適度なタイミングで一度自滅してパワーダウンさせるパターンもあるほど。
また、赤ウェーブからは自機上下にオプション(自機にくっ付いてくる浮き砲台)が付属し、低火力のウェーブを自動発射する。

  • サブショット(ボム)
自機前方下に投下されるボムは上記の通りメインショットとの同時発射方式となり、撃ち分けが出来なくなった。
こちらは緑勲章を1つとるごとにパワーアップし、3つごとにレベルアップする。
大まかには爆風が広がるナパームボム→前方上下に飛ぶツインナパーム→前後上下に飛ぶマルチナパーム→前2つに追尾能力が加わるマルチホーミングナパーム
連射速度は速い。後方への振りむきが出来ない本作では、マルチナパームボムは重要な後方攻撃手段となる。

  • バリア(アーム)
青勲章取得でアームが付与され、単発弾や、一瞬の地形接触ダメージを肩代わりしてくれる。
5つ取得するごとにレベルアップし、耐久力が上がっていくが、取れば取るだけ耐久力が蓄積された前作までとは違い、各レベルで最大耐久力が設定されている。BHB追加による兼ね合いだろうが、その制限はたったの3~5発
もはや初代のような不沈艦を思わせる堅牢なシルバーホークではなくなり、非常に死にやすくなった。
耐久力が満タン状態で取ると5000点のスコアアイテムに変換される。

  • ブラックホールボンバー(BHB)
紫勲章を取ると、デフォルトで3発装備しているBHBが1つ補充される。最大保持数は5。
BHBを発動すると画面全体の敵や敵弾を吸い込んで抹殺した後、生き残りにも激しい電撃を浴びせて追撃する。発動中は無敵だが、地形接触ダメージは喰らうので注意。
緊急回避や、攻撃を無視してボスに速攻をかける時に非常に有効。
だが、全面クリア時には保持数×30万点のボーナススコアに換算できる、初心者にもスコアラーにもおいしい、悩ましいシステムになっている。


キャプチャーシステム

出現する中ボス達には、頭部などに「キャプチャーボール」が1個くっ付いている。これにピンポイント攻撃を加えて破壊すると、その時点で中ボスは機能停止する。
更にボスから外れてアイテムと化したボールを取得することで、中ボスをオプションとして従えることができる
既に損傷している中ボスはすぐに煙を吹いてしまうが、攻撃は強力。格ゲーチックな隠しコマンドを入力することで特殊攻撃も発動する。

全面クリア時にはキャプチャーボール取得数に応じてボーナスポイントが入るため、スコアアタックでも重要。
猛攻を掻い潜って如何にボールに攻撃を集中させるかが試される。あんまり外して本体にダメージを与えすぎると、キャプチャーよりも先に本体が死んでしまう。

だが、実はこのシステムには落とし穴が存在する。オプション化した中ボスの戦果はスコアにカウントされないのだ。
よって、ハイスコアを狙うならばうまくボスを地形内や画面外へ誘導し、獲物を奪わせないテクニックが必要になる。

後に当システムは、大幅に形を変えて『Gダライアス』にも導入された。
自機からキャプチャーボールを撃ち出す方式に変更され、捕獲した敵(雑魚含む)が攻防共に要となる。無論スコア関連も改善。詳細は該当ページを参照。


ランク

プレイ中の行動に応じて難易度が上昇していくランクシステムも存在。
ランクが上がるにつれて敵の攻撃が激化するが、得点が入る破壊可能弾を多く吐かせるためにわざと上げるプレイスタイルもある。

●ショット連射:四六時中撃ちっぱなしだと徐々にランクが上昇していく
●ザコ編隊を全滅させる:後述の編隊ボーナスとの兼ね合い
●ボスのパーツ破壊:読んで字の如く
●アイテム取得:これも読んで字の如く
●自機生存時間:生きていれば生きているほど上がる

ランクを下げるには死ぬしかないが、どこぞの西部劇弾幕の始祖ほど極端なランクゲーではない(それでも露骨だが)ので深く考えない方がいい。


得点システム

●銀勲章
取得時に50、100、200、400、800、1600、3200、6400、12800、25600、51200点のいずれかがランダムで加算される銀勲章は今作でも健在。
幾多のスコアラーを発狂させる害悪。
●編隊ボーナス
編隊を組んで出現する敵機を殲滅させると敵一体分の素点×10倍の追加点が入る、シリーズお馴染みのボーナス。
かなり重要なので出来る限り編隊は潰したい。
●ボスパーツ破壊
一律3万点が貰える。当然ボスごとにパーツ数は異なるため、スコアアタックではルート選出も重要。
●オールクリアボーナス
全面クリア時に加算。残機1機100万、BHB1発30万、中ボスキャプチャー1機20万点。
初期残機2機+1UPアイテム2個=400万。BHB 5発=150万。中ボスは全6機=120万。
合計670万点の取得がスコアアタックの最低条件となる。ルートによっては紫勲章が3つ出現するため、BHBを一発だけ使うことができる。


ただ、残念ながらスコアアタックはあまり盛り上がらなかった。理由は後述する。


演出

グラフィック

同期の『レイフォース』と同じく、グラフィック面では各プレイヤーから絶賛されている。
F2システム基板の『メタルブラック』から基板性能が向上し、色数が格段に増加。非常に色鮮やかでバリエーション豊かな背景画が実現した。
ラスタースクロールも強化され、ワープゾーンでのマーブル模様背景でその威力が発揮されている。

攻撃グラフィックも凄まじく、特に連射装置を使用して赤ウェーブを掃射した時は圧巻。
BHB演出もエフェクトが凄まじく美麗&衝撃的。炸裂音も相まって見せ場の1つになっている。初見では驚愕必死。
ボス撃破時の爆発演出も高く評価されている。


音楽

タイトーお抱えの音楽集団ZUNTATAのOGRこと小倉久佳氏のセンスは今作でも爆発している。

今作では「幻視」が基本路線となっており、曲名は精神学の用語から取られたものが多い。
曲調はまさしく「幻想的」の一言。『メタブラ』で慣れていたはずのゲーマーですら「本当にこれはSTG曲なのか」という感嘆の声を上げた。
「FAKE」、「SELF」、「VISIONNERZ~幻視人~」、「E・E・G」、「Burst Out」、「INDUCTION」等々、捨て曲が一切存在せず、全ての曲に根強いファンがついている。
とあるゲーセンでは『ダラ外』のボリュームをあからさまに他より上げて動かしていたそうな。

1面、6面、最終面以外で、道中曲とボス戦曲の区別がないのも特徴。
ボス曲が使いまわされたり、前のステージでボス曲だった曲が道中曲になったりする。
中には道中は無音、ボス戦だけ曲がかかるステージや、全道中・ボス戦通して一度しか使われない曲「AXON」もある。

『Ⅱ』で行われた「道中とボス戦の音楽をシンクロさせる」演出は更にパワーアップした。
本来1面曲である「VISIONNERZ~幻視人~」は、なんと1面道中~1面ボス~ゾーンセレクト~2面道中の間、ぶっ通しで流れ続ける。
変に1面ボスで粘らなければ曲の転調は全く違和感なく行われる。

そして最終面ではステージ開始から暫くの間、無音状態が続く。ザコ撃破時の効果音には専用のエコー処理が施されているため、「バグったか?」と思うプレイヤーが続出。しかし時間が立つとしっかり「SELF」が流れ出すので一安心。
なぜこうなっているのか。それは全てのステージで、最も盛り上がるサビが開始した瞬間にラスボス戦に突入するように調整されているため。曲の転調に合わせてステージ背景も変わるこの演出は、3年後の『G(G ZERO)』、15年後の『バースト(The world of spirit)』、16年後の『組曲・光導』へ受け継がれていく。
ちなみに「SELF」が復刻した『クロニクルセイバーズ』でも幾つかのステージで外伝演出オマージュが行われているが、なんと2分間無音としてまでステージエンドに合わせ込んだステージもある。


各面演出と巨大戦艦たち

シリーズおなじみ、水棲生物モチーフの巨大戦艦ボス達。本作では登場演出も多彩になっている。
複数のZONEに出現するボスもいるが、彼らは機体色の他にも行動パターンで差別化されており、プレイヤーを飽きさせない工夫がされている。
ちなみにゲーメストの初心者推薦ルートはA→B→D→H→L→Q→V。問題はV ZONEがバッドエンドということだけど……。

1面:A ZONE

惑星ヴァディスの都心部を飛ぶ。赤紫に染まる空がベルサーの脅威を色濃く表す。
ボスはオニキンメ型戦艦・ゴールデンオーガ(金色の食人鬼)。各パーツが3Dで書き起こされており、他のドット絵ボスとは段違いの動き方をする。背景ビルを吹き飛ばしての登場で掴みも抜群。

2面:B・C ZONE

惑星コントラリィーの森林地帯or海上を飛ぶシルバーホーク。背景の奥行に注目したい。


3面:D~E ZONE

戦いはコントラリィーの軌道へ移る。破壊されたコロニーやアステロイドベルト内でベルサーが待ち受ける。


4面:G~J ZONE

惑星ダライアスへ向けてワープホールへ突入。
突入時には超空間移動に対応できない雑魚敵がひき潰される演出が入るが、大抵のエミュレータでは再現できず、敵が一瞬で消えるだけの寂しいシーンになる。
ワープホール内はZONEごとに様々な様相を見せる。大量の敵の幻影とすれ違うゾーン、マーブル模様が美しいゾーン、ヘドロがたまったかのようなグロテスクなゾーン……。


5面:K~M ZONE

ワープホールを抜けた2機のシルバーホークは、惑星ダライアスの衛星ヴェザー周辺にたどり着いた。
3面と同じく破壊されたコロニーや小惑星帯の中が戦場となるが、M ZONEだけは少々様子が異なる。
ラスタースクロールを駆使したコロニー内部の描写は必見。ポリゴンと見まごうばかりの奥行き感である。


6面:P~U ZONE

惑星ダライアス地表。曇りの空や荒野、廃都市、闇夜の遺跡など、様々なエリアが待ち受けている。
ステージ開始時に大気圏突入演出が入る。アームが突入用に変形、角度をつけてエントリー、多重背景の雲海を突き抜ける一連の演出は、ゲーメストで「シューティング史上に残る演出」と評されている。
全面共通して、BGMは「VISIONNERZ~幻視人~」1面部分のアレンジ「Refrain」が使用される。最初と最後で同じ演出が使われる作品は名作の法則。


最終面:V~Z・V’・Z’ ZONE

BGMは前述の通り「SELF」。ダライアスの各地で行われる死闘を壮大に彩る。
最終面は各ルートそれぞれに異なるボスが配置されている。彼らは気合の入った作り込みをされており、どれも高い人気を誇っている。
シリーズ恒例のマルチエンディングも実装。




欠点

盛りだくさんのボリューム、素晴らしい演出、適度な難易度と、非の付けどころがない『ダラ外』だが、いくつか留意しておかなければならない所がある。

1つは「連射装置の有無」によって極端に難易度が変わること。
シンクロ連射などの20~30連射システムを搭載している筐体は圧倒的な連射速度を発揮し、快適に敵を虐殺できる。シンクロ連射30/sec.装備、白玉三連装か赤ウェーブ+白玉できちんとパターンを組んで張り付けばストームコーザーも瞬殺。
一方でそれらが無い筐体では必死に手動連射を強いられることになるため、ボス戦の難易度がかなり上がってしまう。ソフトウェア上の連射速度は手動連射に及ばず、堅い敵を倒すのがとても面倒になる。
近年のゲーセンでは連射装置が実装されている店舗も多いが、94年当時は通常の連射装置ですら実装していない店舗も多く(装置を自作しないなら金がかかるのだ)、連射体験者と非体験者で感想に差が出ることになってしまった。
ちなみに、中ボスの攻撃トリガが2フレームに1回しか無いらしく、シンクロ30連をちょうど良いタイミングで利かすと中ボスに弾を撃たせずに殺処分可能。この仕様を理解しているお店は30連(表)と30連(裏)と2種類の連射を仕込んでいることも。

もう1つは「無敵バグ」の存在。再現性の高い操作を行うことで自機が無敵化してしまう割と致命的なバグである。
このためにゲーメストでのハイスコア記録は早々に打ち切られてしまった。ROM修正が行われれば非常に熱いスコアアタック対決が楽しめたのだが……。



EXTRA VERSION

極々少数が確認されている別バージョンの基板。タイトー直営店の秋葉原Heyでも2017年半ばまで稼働していた事がある。
1P側はエリア順が変更されている(1面がシャコが出てくるZONE Tなのは流石にどういう判断なのだろうか)。2P側は全28ゾーンを通常版のエリア順でぶっ通しで遊ぶ耐久レース仕様。
更に赤ウェーブを越える赤大ウェーブが追加されている。

実はこのバージョン、出自が謎。どういう経緯で作られ、リリースされ、購入されたかがイマイチ判然としていない。
「プログラム解析した個人が作った」だの「タイトー社員が遊びで作った」だの「ロケテストまではやった」だの「数十枚造られた」だの、さまざまな噂が飛んでいる。
少なくとも直営店のHeyで稼働していた事、ニコニコ闘会議2015でも公開生放送された点から、少数生産はされたようだ(でないと個人改造基板をタイトーが設置して金をとっていることになる)。

このような曰く付きの代物であるため、他ハードへ移植される事はほぼないと言っていいだろう。



今から遊ぶには

大名作『ダラ外』だが、基板機能の問題もあってSwitch版が出るまでの間、完全移植といえるものが存在しなかった。
また、本作自体かなりヒットしたこともあって、STGに力を入れているオールドゲームセンターでは取り扱っている所も多い。街を巡ってみよう。

●PC:Taito Legends 2
海外専売のパソコンソフト。『ガンフロンティア』『レイフォース』『メタルブラック』『クレオパトラフォーチュン』『奇々怪界』『プチカラット』『影の伝説』『カダッシュ』などを始め、39本のソフトを完全移植(基板特有の機能は除く)。
連射機能はサポートされていないが、そこはコントローラパッドや連射フリーソフトを導入すれば何とかなる。
タイトーファンなら是非とも入手したい一品だが、(低需要なので仕方ないが)高額な輸入業者を介するか、米Amazonなどで個人輸入するしかない。

●PS2:タイトーメモリーズ上巻 エターナルヒッツ
25個のタイトーゲーを収録した超お得ソフト。上巻は巫女さんアクションの名作『奇々怪界』、STGスキルが求められる『パズルボブル』、横スクロール2Dアクションの名作『ラスタンサーガ』、サイコな世界観に定評のあるメルヘンベルトスクロール『プリルラ』、キャラものブロック落としの白眉『プチカラット』、落ちものパズルの傑作『クレオパトラフォーチュン』を始め、『サイバリオン』『グリッドシーカー』『メタルブラック』といった名作STGも盛りだくさん。
ただし、初期版とPS2 the Best版は遅延やバグ多数なので購入しないように。
最後発のエターナルヒッツ版が一番マシだが、それでも処理落ちで音楽の同期がずれ、僅かな入力遅延も残っている。連射機能もないので連射コントローラは必須。

●セガサターン版
効果音が違う、ボス戦での処理落ちが目立つ、一部背景が簡略化されているという欠点があるが、家庭用ハードの中では一番マシな移植。
隠しコマンドで連射機能も使える。ボスの叫び声が重く籠ってる、最終面のエコーがないならばサターン版の動画なので注意。

●プレイステーション版
2Dに弱いPS1では無理が祟ったのか、残念ながら常時処理落ちしているゲーム開始時のシルバーホークが出現するシーンの時点から既に処理落ちが発生しているのは爆笑もの。
一応まともに遊べるし、隠しコマンドで連射機能も使えるので、他の触媒でプレイできない時の選択肢としては十分アリ。
何気にSS版ではカットされたエンシェントドーザー戦で樹木がなぎ倒される演出が再現されてるというとても地味な利点もある。

●Switch、PS4:ダライアスコズミックコレクション
M2によるフルエミュレーション移植。現状最もベストな候補。
「M2 Shot Triggers」シリーズでおなじみのガジェットを搭載しており、画面外に残りアーム枚数や銀勲章による獲得点数等を表示しながらのプレイが可能。
更にオンラインランキングや連射機能も完備とまさに至れり尽くせり。
…ではあったが、移植元がインタビューで「解析の難易度が一番高かった」と語っていたこともあり、発売当初は全体的に処理落ちが酷かったり、それによってBHBの発射に影響が出たり、ストームコーザーの登場演出でミスがあったりと色々と難があった。
開発側も重く受け止めていたようで早い段階でアップデート告知を行い、2019年9月5日に実施されたアップデートにより上記の問題点は改善。更にオンラインランキングの各最終別ゾーン集計やシンクロ連射の実装、移植版では初となる最終ゾーンでの効果音エコー演出の再現が追加された。
移植版の中でも随一の再現度であり、 今家庭で『ダラ外』を遊びたい場合はこれを選べば間違いない だろう。
ただし、ブラックホールボンバー発射時の激しい画面点滅演出については、てんかん対策のためマイルドなものに修正されている。
なお、上述のアップデートの際に今まで使用していたソースコードを全て破棄して完全に一からエミュレーションエンジンを作り直したとか。
PS4版配信と同時に行われた大型アップデートで難易度ランク表示、中ボス/ボスのHP表示といった一部ガジェットとトレーニングモードが追加。
トレーニングモードでは難易度ランクも設定できるため、最終面を最低ランクでまったり遊んだり、逆にAゾーンからランクMAXの地獄絵図を楽しむといった遊び方が可能に。
また、PS4版にはトロフィーが追加されてるのだが、「ショットパワー最強」の獲得条件が赤三連ウェーブ到達のためプレイヤーを煽ってるようにしか見えないと評判。

●PC:ダライアスコズミックコレクション アーケード
『ダライアスコズミックコレクションAE』(Switch、PS4)ベースの移植。Steamでの配信のみ。


今から聴くには

現在でも人気の外伝曲。ここで外伝の存在を知り、興味が湧いた人も多いだろう。
ZUNTATA屈指の名曲揃いということで、頻繁に客寄せとしてコンピアルバムへの再録が行われている。
ここでは2000年代以降で比較的手に入りやすいものをピックアップした。

●iTunes配信版
94年版サントラと同音源を使用。現在でも遜色のない音色がたった1,200円で手に入る。ただしボス戦警告音が入っていない。
CD需要の問題もあり、ZUNTATAはこうしたオンライン配信も積極的に活用している。

●94年版オリジナル・サウンドトラック
CD用音源で基板音源とは音色が少し異なる。OGRのコンセプトに基づき曲順シャッフル・一部編曲され、「VISIONNERZ」のアレンジ版がおまけに入っている。
しかし、ボス戦警告音、タイトル音が入っていない。
ライナーノーツの解説も見逃せない。絶版な上に人気の盤なので希少化しており、iTunesで配信後も中古価格は高め。

●タイトー レトロゲームミュージックコレクション1 シューティングクラスタ
基板から直録りした超高音質バージョン。警告音やタイトル音、クレジット音も収録。
『初代ダラ』の同期の縦STG『ハレーズコメット』、OGRのミュージッククリップギャラクティックストーム』、中山上等兵の渋いベースが光る『グリッドシーカー』、『レイフォース』の翌年に出たことが間違いだった『逆鱗弾』を収録。
特にゲーム自体がアレで黒歴史化したのに曲は何度もアレンジ・ライブ演奏された『ギャラクティックストーム』との「2大OGRまつり」が楽しめるのは大きい。

●タイトーデジタルサウンドアーカイブス ~ARCADE~ Vol.4
基板からデジタル直録りした超高音質バージョン。警告音やタイトル音、クレジット音も収録。
『パワーホイールズ』『サンダーフォックス』『デッドコネクション』『ミッドナイトランディング』『トップランディング』『ミズバク大冒険』を収録。
レトロコレクション版に比べてやや音が小さめだが、より基板音源に近いのはこちら。好みで選んで問題ない。


アレンジも大量に出ているが、完全ダラ外オンリー盤の『DARIUS外伝 -THE LAST KISS-』も名盤なので是非。iTunesでも売ってるよ!








ダライアス外伝の音楽はユング心理学の「元型論」をヒントにしてコンセプトが作られ、そのコンセプトを軸として作曲された作品です。
メインテーマのVISIONNERZでは「目の前に真実はなく、真実は別のところにあるだろう」という歌詞をオペラの部分に歌わせています。
音楽自体の中に具体的なコンセプトを入れた、私の作品の中でも珍しい楽曲の一つだと思います。
一言で言えば、VISIONNERZは自我が崩壊していく様子を音楽化したもの、と言えるでしょう。

あなたが見ているものが本当は異なる姿をしていたら、1秒前まで当たり前だと思っていた真実の全てが実は真実でなかったら、
あなたは大きなショックを受けるに違いありません。
そして人々は冷静さを保つことが出来ずに、精神的な崩壊を始めるかもしれません。
そんな世界観を表現したものがVISIONNERZでありダライアス外伝の音楽なのです。

あなたが目にしたダライアス外伝という名のゲームは本当に存在したのでしょうか・・。



余談

ちなみに同人弾幕STG『東方Project』の作者・ZUNは、本作に強い影響を受けたことを公言している。
東方ファンは遊んでみると何かしらの発見ができるだろう。



追記・修正は目と思考を閉じながら……。

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最終更新:2023年04月23日 07:41

*1 当たり判定の無い敵という判定らしく、鳥が出てきたタイミングでBHBを使うと吸い込まれてしまう。当然利点はまったくない。