修和女学校(花子とアン)

登録日:2016/05/18 (水) 22:11:23
更新日:2023/07/13 Thu 12:13:14
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修和女学校(しゅうわじょがっこう)とは2014年度NHK連続テレビ小説「花子とアン」に登場する高等女学校である。主人公、安東はな(以降、花子と明記。)が学生時代を過ごした。

まず、高等女学校とは戦前の日本で女性の中等教育(今の中学~高校くらい)を行った5年制の教育機関である。
当時の日本は男尊女卑主義で女性は成人したら結婚し専業主婦になるのが理想とされていたため、家庭科系(裁縫など)のカリキュラムが重要視されていた。が、男子は13歳以上になったら工場や農家、軍への即戦力として投下され、男子で旧制中学校に行ける人数はかなり抑制されていたので、実は男子中学生よりも高等女学生の方が人数が多かったりした。


○概要
明治にカナダから来日した宣教師団によって設立された、麻布のプロテスタント系女学校。校内は牧師と用務員、面会に来た生徒の親族(面談室のみ)以外男子禁制である(作中では、花子に借りた辞書を返しに来た英治(のちの花子の夫)が春菜かおる子にフルボッコにされかけるシーンがある)。生徒のほとんど全員が上流階級出身で、言葉遣いや礼儀作法に厳しい。創立者がカナダ人ということもあり、かなりハイレベルな英語教育が展開されており、起床から就寝までを50文の簡単な英文で書く「50センテンス」、週一回、就寝まで日本語厳禁の「イングリッシュ・スピーキング・デー」等がある。制服はなく、基本袴である(というかセーラー服が出始めたのは大正時代科からなので必然である。)。

予科(7~12歳)・本科(13~17歳)・高等科(18歳~)があり、下級生を「小さいひと」、上級生を「大きい方」と呼ぶ。一応奨学金制度(作中では給費生という)があるが、試験で一回でも赤点を取ると退学(一般生徒はせいぜい留年で済む)になるため、花子のように奨学生で入学~卒業するのはかなりのレアケース。生徒の多くは教師とともに寮で寝泊まりしている(生徒は四人一組)が、家から通学してもよい。

当時の東京の高等女学校、特に修和のようなミッション系は最高水準の教養を身に着けられる女子校であり、在学中にエリート層の男性(外交官や貿易会社員等)から縁談を持ち込まれることが多い。ぶっちゃけ生徒の方も卒業までにゴールインすることを目標にしているのが当たり前であり、外部でのボランティアや大文学会(今でいう文化祭)は、外部の男性と触れ合えるアタックチャンスと認識されているほど。ただし同校ではラブレターの受け取りはNGなので、バレれば手紙は焼却処分の上、ながーい反省文を書かされることになる(受け取らないという文面を100回)。また、在学中に縁談が決まった場合は、そのまま卒業せずに寿退学することが多い。実際、修和でも1学年の半分は寿退学するほどらしい。


○教員
ブラックバーン校長
英語教育に熱心なカナダ人教師。
規律にはうるさく、入学したての花子に「鬼みたいにおっかない」と評される程ガチで怖く、花子が一時期英語恐怖症を発症するほどだった。ちなみに前述の50センテンスとかを作ったのはこの人。
口癖は「Go to bed!!」(訳:部屋で寝てなさい…主に不正を犯した生徒に対して)。
普段はかなり厳しい人物だが生徒たちへの深い愛情によるもので、一度叱った生徒が反省しているのが分かれば退学も撤回するなど、生徒を愛する良き先生である。日本語がしゃべれないので生徒との会話は通訳を通す。でも一度だけ「ゴキゲンヨウ」と言ったことがある。花子が卒業後も、彼女の祝い事にはたびたび駆けつけている。
昭和13年に戦争の激化により帰国。


茂木のり子
裁縫教師で、寮母。行儀作法にうるさい一方、没落士族の末っ子で苦学生だった過去を持つため、似た境遇の花子を自分と重ねているのか、退学寸前まで追い詰められた花子を慰めるなど、教師陣で比較的花子に優しく、一方で学内に不審者が出たときにはなぎなたを振り回す勇ましさも持つ。
校長や富山先生(後述)のなだめ役。


富山タキ
日本人英語教師で、校長の通訳も担当。生徒たちから「鉄の女」と評されており、基本的に相手かまわず毒舌を発揮する(校長からも「感情的すぎる」と突っ込まれた)。
編入当時の花子(英語が全くできなかったというのもあり)を冷遇し、本科で花子が学年トップになったときも「自分の教育方針に沿わない」と対立したが、花子の英語力はちゃんと認めており、卒業時に花子を修和の教師に推薦したり、校長の祝辞の通訳を任せた。
かつて恋人に裏切られた経験から、深刻な恋愛嫌いに陥っていた(教科書の「ロミオとジュリエット」の告白シーンの文章を勝手にすっ飛ばすほど)。
終戦後、聡文堂の社長兼編集長である梶原聡一郎と結婚した(なお、梶原は再婚)。


スコット先生
外国人教師。毎晩故郷の彼氏を想った歌を歌っており、花子が英語に目覚めるきっかけとなった。
入学したばかりの花子の英語の手紙の宿題を代筆してしまい(文が完璧すぎてバレた)、花子と溝ができてしまったが、花子が自力の英語の手紙で謝罪したので快く許し、以降はクッキーのつくり方を習ったりするほどの仲良しになる。
昭和14年に帰国が決まり、花子に「Anne of Green Gables」(赤毛のアンの原書)を送った。


白鳥かおる子
花子と寄宿舎で同室だった先輩で、後に修和の職員となる。基本親切だが言葉や上下関係にはうるさく、年上の男性を軽くねじ伏せるほどの怪力の持ち主。ロミジュリの稽古シーンはみんなのトラウマ(いろんな意味で)。
言語矯正会の会長で、花子と度々対立していたが、実は花子と同じ山梨の勝沼(現在の甲州市)出身で、花子と同じ方言の話者(隠していたのは同郷の花子をひいきしてしまう恐れがあったから)。卒業式に花子を「山梨の誇り」と称えた。
作中長らく独身だったが、花子が「赤毛のアン」を出版した時期に結婚し、名前も勅使河原かおる子になった。


○花子の同級生
葉山蓮子
花子の本科生時代に編入してきた生徒で、華族の出身。
花子と同学年だが8歳年上。所謂愛人の子で実家の葉山伯爵家では異母兄、葉山伯爵からぞんざいな扱いを受けていた(修和に編入したのも実質全寮制で世間から遠ざけられるから)。
寄宿舎で世話係に花子を指名して以来、彼女と深くかかわり、また花子にとっても「家族に愛されたことが無い人」という新ジャンルの人間だったことで蓮子に興味を示していく。
当初は周りに奔放かつ高飛車に振る舞い周囲を混乱させるが、花子が執筆した和訳ロミジュリ(大文学祭の演劇用)に感動したことをきっかけに「はなちゃん」「蓮さま」と呼び合う生涯の親友となる。短歌が趣味で与謝野晶子を敬愛しており、「白蓮」という歌人ネームを持つ。「花子」というペンネームを考えたのは彼女。


醍醐亜矢子
花子の同級生で貿易会社の社長令嬢で、入学時に寄宿舎で花子と同室だったため、花子の最初の友人となる。
貿易商の父から英語を教わっていたので英語は得意な一方、家では使用人に任せきりの生活を送っていたので掃除が大の苦手。花子と最も親しい同級生だったが、花子が蓮子とかかわるようになってから、その仲に一時期嫉妬したことがある。
終戦後、花子の兄である安東吉太郎と結婚した。


大倉澄子
はなのクラスメイトで学年一の長身。
大文学祭のロミジュリのロミオ役に推薦されるも、当日許嫁が見に来るという理由で辞退。にもかかわらず、ロミオと決闘するティボルト役をめちゃめちゃ男らしく演じた
本科卒業後、寿退学。



追記、修正は縁談が決まったお嬢様にお願いします。

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最終更新:2023年07月13日 12:13