クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃

登録日:2016/05/14 Sat 19:48:22
更新日:2024/02/04 Sun 13:33:43
所要時間:約 9 分で読めます







寝ねば。



2016年4月16日より公開された、映画クレヨンしんちゃんシリーズ第24作目の作品。
キャッチコピーは項目の冒頭にもある、「寝ねば」
これはジブリ映画「風立ちぬ」の「生きねば」のパロディかと思われる。
他にも、「目覚めよ、しんのすけ」、「この男、寝てても最強。」、「オラが寝るから大丈夫!」等がある。


逆襲のロボとーちゃん』を担当した高橋渉が監督・脚本を担当。
そしてお笑い芸人の劇団ひとりが共同脚本として参加している。
キャラの特徴はしっかり捉えており、作中でかすかべ防衛隊のメンバーが見る夢はすべて劇団ひとり氏のアイデアとのこと。
ロボとーちゃん、サボテン大襲撃と、野原一家にスポットが当たる作品が続いたが、今回はかすかべ防衛隊も野原一家も非常に良いバランスで活躍ができているのが大きなポイント。2010年代のクレしん映画の中では『ロボとーちゃん』『B級グルメサバイバル‼︎』等と並んで人気がある。
『ロボとーちゃん』で『父親』が重要なキーワードになったのに対し、今回は『母親』が重要なキーワードとなる。

昨年のサボテンが言葉も話さない無機質な襲撃者によるパニックホラーだったのに対し、今回はキャラクターの心にある恐怖、夢が壊れる事の絶望などが描かれている。
その為、劇場では結構な頻度で子供の泣き声が響くとか……


ちなみに、本作公開から4か月後の2016年8月からひろし役の藤原啓治氏が長期休養に入り、森川智之氏にバトンタッチした後ひろし役に復帰することなく2020年4月に鬼籍に入り、
2018年6月にしんのすけ役の矢島晶子氏が本アニメを降板したため、野原家がオリジナルキャストで揃った劇場版は本作が最後となった


【あらすじ】
幸せな夢を見ていたはずの野原一家の面々。
だが、そこに巨大な魚が現れて、食べられるところで目が覚めてしまう。
家族全員が魚に食べられる夢を見たことで、越谷で起きた『集団悪夢症候群』ではないかと危惧するのであった。

一方、かすかべ幼稚園には、新しい転校生がやってきた。
少女の名前は「貫庭玉サキ」
しかし、「バカとは話したくない」と、一切他人を寄せ付けようとしない態度に、先生ですら手を焼く問題児であった。

その日の夜、夢の中で揃った野原一家とかすかべ防衛隊は、また同じ夢を見ているのだと認識する。
「どうせ夢なら、漫画家になりたいよ」
そうマサオ君が呟くと、マサオ君の足元にあった玉が変化し、なんと売れっ子の漫画家の世界が現れた。
ここは夢が叶う世界だと分かった皆は、思い思いの夢を見る。
しかし、玉が小さい大人達は、外の世界に吐き出されてしまう、。
そこは、一度は見ていたはずの夢が、地獄のような悪夢に変わった世界だった……

幸せな夢を取り戻すため、野原一家とかすかべ防衛隊が立ち上がる!!


【登場人物】
※物語の核心に触れる内容は、各自展開してご確認ください

野原しんのすけ(声:矢島晶子
ご存知、嵐を呼ぶ園児。
水着の美女とたわむれるという中年オヤジのような幸せな夢を見る。アンタ一体いくつだ。
今作では歴代シリーズ屈指のイケメン具合を発揮する漢。
本当に5歳児かよ。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
作中、集団悪夢症候群の原因がサキにあると分かり、サキが孤立してしまう。
しかし、しんのすけだけは子供らしく純粋な気持ちで、一人ぼっちの彼女を救おうとした。

野原ひろし(声:藤原啓治
野原一家の大黒柱。前述したように本作が長年ひろし役を担当した藤原氏生前最後の劇場版参加となった。
スーパーCEOマンとなってバリバリ働くが、何故かいきなりクビを言い渡されると言うハチャメチャな悪夢を見る。ちなみに中の人も事務所の社長なので2重の意味で中の人ネタ
+ ◎ネタバレを含んだ解説
物語中盤、みさえと共に夢の世界での夢ルギーを増やすため、童心に帰ろうとする。
しかし、みさえと違ってイマイチ乗り切れないひろしだったが、なりきるには形からという事で……
夢彦「ツルツルだとぉ!?」
そう、自慢のマンモスの毛を剃り落したのだった!(その髭剃り今後使えるんですかね)
物語の元凶である夢彦の、娘の為に何でもするという気持ちに共感できてしまい、彼を強く否定する事ができなかった。

野原みさえ(声:ならはしみき)
野原一家最強の母。
カリスマホスト城咲仁とのロマンスを夢見るが、ホスト代300万という大金を請求される羽目に……
+ ◎ネタバレを含んだ解説
母と子の絆がテーマに含まれているため、今回の最重要人物その1。
夢彦の独善的な娘への愛と横柄な態度に腹を立て、「一発ぶん殴る」と過激な発言をする。
しかし、夢の中に入っても夢ルギーの少ない自分たちではどうしようもない。
そこで、なんと童心に帰るために幼児のコスプレをする事に。良かったなお前ら、ワカメちゃんばりのパンモロだぞ。
その作戦は功を奏し、なんとか夢彦の妨害をする事には成功するが、彼をこらしめても事態は改善しない。
そこで、しんのすけを通じて悪夢に苦しむサキのもとへ訪れ、彼女に襲いかかる悪夢をなんと素手であしらう。何この頼もしさ。
「好きで憎まれ役やってんじゃないわよ!」
「優しくしてくれるパパにばかり甘えていちゃダメ!」
と、厳しくもやさしい言葉でサキに語りかけ、彼女の心を見事に救う事となる。

◇野原ひまわり(声:こおろぎさとみ)
フリーダムな妹。
巨大になる夢を見ており、人ほどの大きさの哺乳瓶を両親にかつがせて飲んでいる

◇シロ(声:真柴摩利)
しんのすけの無二の愛犬。
今回は何とシロも夢を見るが、顔はそのまま胴と手足がスラリと伸びた姿になるという夢を見る。


◇風間トオル(声:真柴摩利)
エリート幼稚園児。
日本を良くするため、政治家になるという地道ながらも堅実な夢を見る。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
夢が吸われている事に真っ先に気付くという今回の勝利の立役者。
なお、作中で選挙カーを運転しているシーンもあった。
オトナ帝国』の時とは違い、夢の中の世界なので無免許運転については特に気にしていない様子。

◇桜田ネネ(声:林玉緒)
リアリスト女児。
アイドルになってちやほやされるという、ネネちゃんにしては割と平和な夢を見る。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
シナリオがサキとの友情に重点が置かれている為、今回の最重要人物その2。
最初は態度の悪いサキを良く思っていなかったが、異常なほど人を寄せ付けない性格が逆に好きになり、彼女の友人になろうとする。
ユメミーワールドの悪夢がサキのせいだと知った時には一度は決裂するも、サキを「嫌いにならない」と約束したため、過去のわだかまりを捨てて彼女を救う為に立ち上がった。
また、ユメミーワールド発生機が壊れた後に、子供の夢ルギーならサキの夢に入れると信じて、再び夢の世界へと突入した。

◇佐藤マサオ(声:一龍斎貞友)
漫画家を夢見るおにぎり。
まだ5歳児ゆえ、クオリティに関しては年相応の物だが、一応形にはなっているため将来が楽しみ……かもしれない。

ちなみに「漫画家になりたい」という話は同じく劇場版の『オラの花嫁』などでも語られているため、実は今作が初出ではない。

◇ボーちゃん(声:佐藤智恵)
シンクロニシティなど、相変わらず博識なところを見せる謎の多い人物。
石が好きなあまり、自分自身が石になるという夢まで見るほど。
作中、何故か大和田獏の大ファンというどうでも良い新設定が明かされた。

◇河村やすお(声:大塚智子)
バラ組のいじめっ子・チーター河村。子分の狩り上げとデブも登場。
子分ともども、かなり久々の登場となる。
サキの態度の悪さが原因とはいえ、サキのぬいぐるみをとりあげていじめていたため、しんのすけによってこらしめられる。


◇貫庭玉サキ(声:川田妙子)
かすかべ幼稚園に転校してきた、紫の髪をサイドポニーにした少女。
周りの子を「バカ」と切り捨て、彼らと一切付き合おうとしない。
しかし、胸のポケットに入れたツギハギだらけのぬいぐるみを、非常に大事にしている。
なお、苗字の読みは「ぬばたま」
かつてしんちゃんにそっくりな王子だった夢も見た事あるとかないとか。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
サキは眠る度に、終わる事のない悪夢に苦しめられていた。
母は自分を庇ったせいで、自分を恨んでいるのではないかという気持ちが、彼女の心に深い傷を残していた。
それが、母の怨念となってサキを苦しめているのだった。
他人を寄せ付けようとしないのも、彼女が悪夢から逃れるために他の人に悪夢を見せているという意識から、あえて距離を置くための事だった。
しかし、カスカベ防衛隊との絆を得た事によって、他の人に悪夢を見せないようにするため、悪夢を消す事を決意する。
だが、悪夢の奥底、母の姿より更に奥にあったのは、自分自身の姿だった。
サキを苦しめていたのは、母の怨念ではなく、彼女自身の自責の念だった。
「お母さんの事も消そうとするの?」
過去の自分にそう問い詰められて苦悩するサキ。
だが、みさえの言葉によって母の想いを感じたサキは、悪夢を消すのではなく、過去の自分を受け入れ、上手く付き合っていくことを決意する。
こうして悪夢の世界は消え去り、サキは明るい夢の世界を取り戻す事に成功するのであった。

◇貫庭玉夢彦(声:安田顕
サキの父。
赤と青のサイケな髪に真四角の眼鏡、そしてその奥に光るギョロリとした目*1が特徴の人物。
サキ同様、彼も人を寄せ付けない性格で、感じが悪い。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
ユメミーワールドを作った張本人。
悪夢に苦しむサキを救う為、他の人間の持つ夢ルギーを吸い取り、サキを悪夢から守っていたのだった。
「娘の為なら世界中を不幸にしてもいい!」と、歪ながらも親らしい強い愛情によるものだったが、それが逆にサキを孤独にし、苦しめているのだと知って、改心した。
エンディングでは、また春日部を離れ、どこか遠い国でサキと共に暮らしている。
そして、悪い夢に苦しむ人を救うための研究に力を注いでいるようだ。

◇貫庭玉サユリ(声:吉瀬美智子)
サキの母。
サキをそのまま大人にしたような美人で、彼女も紫の髪をサイドポニーで束ねている。
とある事故によって命を落としており、作中では既に故人となっている。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
サキのトラウマの最大の原因にして、劇場のちびっ子たちにトラウマを植え付けた張本人。
優しくサキに語りかける姿が、いきなりグロテスクな化け物になるシーンはSAN値直葬モノである。
悪夢の世界で襲いかかる白い触手も、全て悪夢となった彼女の一部。
バクの力で悪夢を消しても、無限に増え続ける悪夢で、かすかべ防衛隊を苦しめる。
しかし、みさえの「母が娘を恨むはずが無い」という言葉によって、恐ろしい姿から普段通りの母の姿に戻った。

◇夢魚(声:なし)
夢の世界に現れた巨大な魚。
背中は巨大なドームのようになっており、その中で食べた人に幸せな夢を見せ続ける。
しかし、夢ルギーが無くなったものはクジラの潮吹きのように排出する。
排出された人間は、今まで見ていた夢が真逆となった悪夢に苦しめられる事となる。


◇城咲仁(本人役)
今回のサプライズゲストその1。
みさえの夢に出てきた元カリスマホスト。
物語中盤、何故か二度目の出番を貰うが、イケメン好きなはずのひまわりやネネちゃんにすら特に触れられなかった。

◇大和田獏(本人役)
今回のサプライズゲストその2。
バクを探すしんちゃんたちの前に現れた。
しんちゃんたちに襲いかかる悪夢に対峙するが……?
なお、大和田氏の兄である伸也氏は2年前の劇場版にゲスト出演している。
+ ◎ネタバレを含んだ解説
まあ、普通の大和田獏さんだったので、勝てませんでした。
ボーちゃん「獏さぁぁぁぁん!!

◇とにかく明るい安村(本人役)
今回の芸人ゲスト。
公式サイトでも「安心できるのか!?穿いているのか!?」と心配されていたが、なんと今回は穿いてない(つまり全裸)上に、同じ姿で何人もの安村が登場する。
その為、男の裸(しかもぽっちゃり)が苦手なしんちゃんを、かつてないほどに苦しめた。


【主題歌(EDテーマ)】
◇友よ~この先もずっと…(歌:ケツメイシ)
本作の為に書き下された曲であり、タイトル通り、友を思う歌詞は作品に非常にマッチしている。
また、イントロはTV本編でも使われたBGMに似ており、クレヨンしんちゃんらしいテーマソングとなった。
CDのジャケットにはしんちゃんと共にアニメ調の絵で尻を出すケツメイシのメンバーが描かれた。


【余談】
主題歌は当初、ゲスの極み乙女。が担当する予定であった。
だが、ボーカルと某女性タレント*2とのゴタゴタによって話が流れ、他の候補で上がっていたケツメイシが担当となった。
ちなみにケツメイシは以前劇団ひとり原作の映画『陰日向に咲く』にて主題歌を担当し、同曲のPVには劇団ひとりが出演している。
だが今度は公開前になって、ゲスト声優として参加していたとにかく明るい安村の不倫が週刊文春によって報道されたため、「今回のクレしん映画は呪われてるのではないか?」と一部で噂された。(後にこの件について週刊文春の記者は「あれは自分が別件の張り込みをしていた際に偶然撮れたもので、クレヨンしんちゃんの映画を貶める意図はなかった」とコメントしている)
また、PVではダチョウ倶楽部の3人の活動と友情をイメージしたものとなっている。
上島竜平氏との哀しい別れを経た今となっては、改めて涙腺を崩壊させるPVとなったと言っても過言ではないだろう。

今回の映画が夢を題材にしたものであることから、TV本編でも夢、睡眠に関する回が何度かにわたって放送される。

アプリゲーム『スーパーロボット大戦X-Ω』では、映画の公開を記念して『超電導カンタム・ロボ』がまさかの参戦を果たした。
しかし、作中ではかすかべ防衛隊秘密基地をカンタムっぽいと言っただけで、カンタム自体は登場していない。
エンディングの映像、及びポスターには描かれていた。


追記・修正は良い夢を見てからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 映画
  • クレヨンしんちゃん
  • アニメ
  • 高橋渉
  • 劇団ひとり
  • 名作
  • 悪夢
  • トラウマ
  • 感動
  • 涙腺崩壊
  • 母は強し
  • 上級者向け
  • ケツメイシ
  • 友よ~この先もずっと…
  • 劇場版クレヨンしんちゃん
  • 爆睡!ユメミーワールド大突撃
  • ツルツルだとぉ~!?
  • かすかべ防衛隊
  • 心の闇
  • 劇場版
  • 東宝
  • 城咲仁
  • 大和田獏
  • とにかく明るい安村
  • 吉瀬美智子
  • 安田顕
  • シンエイ動画
  • アニメ映画
  • 2016年

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月04日 13:33

*1 しんちゃんワールドでは非常に珍しい、白目が肌色でなくちゃんと白で塗られている人物でもある。

*2 過去にクレヨンしんちゃんのオープニング主題歌を歌った経験があった。