最後の四人(レ・デルニエ・キャトル)

登録日:2016/05/13 (金) 15:13:00
更新日:2024/04/16 Tue 11:16:40
所要時間:約 7 分で読めます






お初に拝顔の栄に浴しまする。

今や、フェイスレス様第一の(しもべ)、「最後の四人(レ・デルニエ・キャトル)」とは我々であります。

最後の四人(レ・デルニエ・キャトル)とは、漫画「からくりサーカス」に登場する4体の自動人形の総称。


【概要】

「真夜中のサーカス」崩壊後フェイスレスが作り出した、「新・真夜中のサーカス」の幹部格。
最新鋭にして最上位階級の自動人形であり、フェイスレスの側近を務める。

最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)と比べると服装のサーカス感は少なく、統一感もない。
また最古の四人達以上に協調性は皆無であり、任務が無いときは基本それぞれ割り当てられた自室に籠って己が「興味」を抱いた物事に没頭している。
いずれも何かしらの「機能」や「武器」を所持しているのが特徴。

メンバー全員がフェイスレスの抱えるコンプレックスの象徴的存在でもあり、特にハーレクインとディマンティーナはフェイスレスの性格を色濃く反映し、特定の対象に「歪んだ強い愛情」をそれぞれ抱いていた。


【メンバー】

ハーレクイン


あったりまえよ!ケチなシベリアの風にかけて、

本気(マジ)になるヤツァ、チョーカッコワルイんスよぉ!!


『最後の四人』のリーダー格を務める自動人形。
容姿は小さなシルクハットを被り、角がついた白い全身タイツを着用した非常に長身でガッシリとした体躯の道化師。
また物理法則を無視して色々な物がはいっているカバンを肩にかけている。

一人称は「おれっち」
「バカで間抜けの道化師」を自称して本気になる行為を見下しており、戦闘中でさえ常にふざけた言動や舐め腐った態度、ニヤニヤとした笑みを崩さない食わせ物。
その本性は非常に陰湿で傲慢。
本気になって戦う相手を見下すだけでなく旧式と化した『最古の四人』を露骨に馬鹿にし、「パンさん」「アルさん」「コロさん」と呼んで慇懃無礼に接している。
口癖は「○○の○○にかけて」*1ただし特に言葉に意味は無い。
普段はふざけきった態度だが、任務が無いときは殺風景な自室の中で只管無表情で沈黙している。

実は旧・真夜中のサーカスの内部を散策している時に、彼らがフランシーヌ人形をモチーフに作った絵画や彫刻を眺める内にフランシーヌ人形に対し「恋心」を持った歪んだ恋愛脳の持ち主。
更にエレオノールをフランシーヌ人形の生まれ変わりであると勝手に思い込んでエレオノールにも同じ恋心を向け執着。
「人類が滅んだ世界の中、エレオノールの傍でコメディを演じ続ける」という夢を抱くようになった。

固有機能は頭部の2本の角型の局所気象コントロール装置を利用した「局所的な気象操作」
稲妻・風・雨・霧の各気象を自在に操って攻撃に用い、嵐さえも起こす事が出来る。
この機能で他の『最後の四人』の面々があたかもそれぞれ気象を操るかのように見せかけていた。
それ以外にもジャコのグリムリーパーを指二本で止め、ブリゲッラの連続攻撃を背中を向けたまま軽くいなしたりと、スペックは自動人形の中でも文句なしの最強。
武器として殺傷能力を備えたクラッカーや投げ輪、ワインボトル、巨大ペロペロキャンディー、棘付きのピコピコハンマーなどを鞄から取り出して使用する。

造物主のフェイスレスがいた時は本音を押し殺して我慢していたが、フェイスレスが宇宙に行ってしまった後は本性を現し、力ずくでエレオノールを手中に収めようとする。
その過程でパンタローネと交戦。本気になることのくだらなさを嘯いて終始ふざけた態度でパンタローネを圧倒し、勝ち誇った顔で自身の「夢」や「恋」について本人としては真面目に語るも、
ただ美術品を見ただけで「恋心」を抱いたことや、自身の考える夢の歪み、
そして彼の恋がもう既に叶わないことを知っているパンタローネに、「フランシーヌ様の姿を見ただけで恋をしただと!?」「誰も笑ってくれる客もいない世界でコメディーだと!?」と盛大に嘲笑されたことでプライドを傷つけられ激昂。
今までのふざけた態度を捨て去り、先程までカッコ悪いと馬鹿にしていた「本気の怒りの感情」を露わとしながら、激情のままパンタローネを破壊した。

その後もエレオノールを「教育」と称して痛めつけながら追いかけ、最後は教会にてエレオノールを守らんとする鳴海と対峙。
持前の身体能力と気象操作能力で圧倒するも、前の戦闘でパンタローネから受けた攻撃が元で気象コントロール装置が破損してしまう。

な…なんでツノが折れるんだよォ~!

それにより生じたわずかな隙を突かれ鳴海の攻撃が回避不能と悟ると観念したような笑みを浮かべ、
油断、慢心、そして本気になったことで我を忘れコントロール装置の損傷に気が付かなかった己の滑稽さを自嘲しながら、頭部を切断されていつもの笑い顔のまま破壊された。

(ああ…パンタローネが熱心に狙ってやがったっけ。)

(まったくよ…)
年寄りの入れ歯にかけて…


総じてフェイスレスの「歪んだ恋心」「ヘラヘラと自分の都合の悪い事から目を逸らす癖」の化身とも言うべき自動人形とも言える。



カピタン・グラツィアーノ


大風は我が兵なり!!造物主様、第一の僕───

カピタン・グラツィアーノ見参!

12世紀の偉大なるアラゴン王の由緒正しき系譜に連なり、7つの爵位を持つ自分は、代々、軍隊長(カピタン)として、フェイスレス様のもと、無敵の剣をふるってきた!自分の剣は百万の人形破壊者(しろがね)どもを切り裂き、一九八二年のファイナル・ムーヴ戦、昨年のサハラ戦ともに彼奴らの恐怖の的だったのだ!!
我が剣の名は「スペッツァ・フェッロ」、破壊の剣!!

また始まった、グラツィアーノのホラ自慢話……
過去も何も私達が造られたのは今年だ……

声:佐藤健輔

容姿は中世の軍人を意識した華美な衣装を着用した成人男性。ただし左目が帯のような紋様があり隻眼のようにも見えるデザイン。
美術品や西洋の武具で飾り立てられた貴族風の自室を持つ。

一人称は自分(じぶん)
人間の「伝統」に興味と執着を持つ、非常に饒舌でキザなナルシスト。
まだ作られて1年も経ってないのだが、「自分は由緒正しき軍人の家系である」と勝手に思い込んで、ホラの自慢話を誇らしげに他人に延々・長々と語るのが趣味という非常に面倒臭い自動人形。
言動こそ騎士や軍人らしい威風堂々としたものだが、自動人形らしく卑劣な戦術も平然と取る上に、他人の存在全てを自分の経歴を彩らせるための材料としか考えていない厚顔無恥の権化のような性格。
加えて自分の話に対する他人の反応等には一切興味はなく、ただ他人に只管聞かせて自慢したいだけである。
そんなホラ自慢話に毎回つき合わされてるのか、カピタンが自慢話を語っている時、ディアマンティーナとハーレクインは心底うんざりした顔で呆れている。

シンプルな両刃の西洋剣破壊の剣(スペッツァ・フェッロ)を駆使した巧みな高速剣技が武器*2
必殺技は電撃を纏わせた剣で相手を刺し貫く血と雷(サングレ・イ・フェーゴ)と、高速の乱れ突き撃破(フラカッソ)
足の裏にはバーニアを内蔵し飛行も可能など、特異な固有機能こそないもののスペックは非常にオールマイティ。

劇中では人間討伐に3000体の自動人形を引き連れ意気揚々と出陣するが、ギイの捨て身の特攻の前に軍勢は僅かな自動人形を除いて全滅。
その後勝と交戦し、相変わらず嘘の自慢話をペラペラ語りつつ圧倒。
「伝統」を「自らを彩り、自分が他人から褒め称えられるための道具」と主張するも、「カピなんとか」と呼ばれた挙句「伝統とは『悲しい昔をマシにするためにがんばる心の姿勢』だ!」と自身の思想を真っ向から否定され、

おのれよくも!自分はアラゴン王の系譜に連なる高貴なる軍隊長(カピタン)として…

カピタン、お前の伝統なんて、一秒で忘れてやる。

そのまま勝の「見浦流万風不帰剣・(ころび)」により長セリフの吹き出しごと真っ二つに両断されて破壊された。

総じてフェイスレスの「嘘つき」という側面の化身とも言うべき自動人形とも言える。



ブリゲッラ


わたしは徒手の格闘技が好きだ。

なぜなら、自分が優れていることを、道具の力などではなく自分で証明できるからだ

声:陶山章央

眼深に全身をコートで覆っている自動人形。

フルネームは「ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ」
一人称は「わたし」
人間の「格闘技」に興味を持ち、強者と戦いねじ伏せて勝利することを好む寡黙な性格の戦闘狂。
人形でありながら戦闘では固有の機能や兵器を用いず、格闘技で効率的に苦痛を与え敵を倒す事に執着する変わり種。
生身の人間からアフリカ象まで武術の実験台に使ったことで「格闘技を極めた」と豪語。鳴海をも上回る武術の知識と技量を得ている。

そんな彼の固有の武装は「全身に仕込まれた数十発もの小型ミサイル」
その正体は人型の武器庫ともいうべき遠距離砲撃タイプの人形であり、ミサイルの威力も僅か数発でアルレッキーノに致命傷を与えられる程に強力。
コートの内側に格納されたミサイルを展開した際は、ハリネズミのようにミサイルで全身を覆われた異様な外見となる。
凄まじい火力を誇る凶悪な機能であるが、本人はこの機能を「戦闘をしている実感が無く味気ない」と感じて忌み嫌うコンプレックスの象徴となっており、普段は封印している。

しかしアルレッキーノとの戦いで自慢の格闘技の間合いの外からの超音波攻撃を受けて敗北寸前まで追い詰められたことで苦渋の決断の末にミサイル攻撃を使用。
怒りのままアルレッキーノを大破させるが、その一発でミサイルの圧倒的な威力に無自覚の快感を覚えてしまう。
鳴海との戦いでは当初は体得した格闘技で一方的に追い詰めるも、鳴海に「拳法家として最も不名誉な死」を与えるためにトドメでミサイル攻撃を使おうとしたことが仇となり、反撃のヒントを与えてしまったことで形勢が逆転。
わざわざミサイルを使おうとしてしまったことを「一発で敵を消し飛ばす快感を再び味わいたいと無意識に思ってしまったから」と自覚すると、

(なんということだ!あの一発!あの一発のミサイルさえ打たなかったら!!)

(あの一発さえなかったら!)

と後悔しながら敗北。疑似体液を撒き散らしながらそのまま吹き飛ばされ、列車の車両の合間に落ち汽車に轢かれて完全に破壊された。

フェイスレスの「自分の本性を忌み嫌う」側面の化身とも言うべき自動人形とも言える。



ディアマンティーナ


フェイスレス様ァ。

ねぇ、ワタクシ一人をずぅーっと、愛してくれるって言ってェ~~

声:かないみか

最後の四人の紅一点。
外見は縦ロールの髪に大きなリボンを結わえ、黒いワンピース型のゴスロリ衣装を着用したメンヘラ少女。
綺麗なもの可愛いもの好きで、人間の血の風呂に入り自身の美貌を磨いている。

クマのぬいぐるみ型自動人形「クマちゃん」で攻撃を、
ビットのように飛び回る小鳥型自動人形「トリちゃん」で防御を行うトリッキーな戦闘スタイルが武器。
クマちゃんはそれ自体が強力な爆弾でもあり、遠隔操作爆弾としても使用できる。
また、全身がクリア素材でできた巨大なクマちゃんも保有している。
ただしそれ以外の武装や機能は一切保有していないため、戦歴だけ見れば最後の四人最弱とも言える自動人形。

一人称は「ワタクシ」
コロンビーヌと同様人間の「愛」に興味を持ち、造物主であるフェイスレスに恋心を抱いて自らを「フェイスレス様の恋人」と自称する。
しかしそれは「自分が好きなんだから相手も自分が好きなはず」という相手に愛を強要する歪んだ愛情である。
血の風呂に入る姿やフェイスレスに愛を囁いている時の顔はホラーの域と言っても過言では無い。

フェイスレスの「愛している」を鵜呑みにし、自らとフェイスレスは相思相愛だと盲目的に信じていたが、
コロンビーヌとの戦闘で彼女から、「フェイスレスの愛は人間同士の愛ではなく道具としての愛」だと告げられ、激昂してコロンビーヌを破壊。
その後フェイスレスにそのことを問いただすため、ロケットに忍び込んで宇宙ステーションで白金(フェイスレス)と対面。
宇宙ステーションを盾に脅迫しながら「愛してくれなきゃステーションを爆破する」と詰め寄り、エレオノールよりも自らを愛するよう厚かましく迫る。
だがその行為は奇しくもかつて暴力を振るってまでフランシーヌに愛を迫った白金の過去の再現そのものであり、直前の勝とのやり取りもあって逆に白金に己の心の歪みを再認識させる結果となる。
結果「さすがは、僕の造った自動人形だなディアマンティーナ。お前は僕にそっくりだよ」と皮肉られ、

ええ、ワタクシとフェイスレス様は一心同体…

…でもねディアマンティーナ、僕を愛するのはおまえの自由だけどさ、
愛される方にも都合ってもんがあってさ、愛されたからってそのヒトを一番に愛するとは限らないんだよ。

フェ…フェイスレス様?

僕が別のヒトを愛する自由だってあるんだよーん。

と存在を拒絶された後バラバラに分解されるも、「フェイスレスに拒絶された」という現実を受け入れられず狂乱。
最後の足掻きとばかりに白金を刺した後、宇宙ステーションに仕掛けた無数の爆弾クマ人形を起爆させて心中を図った。
皮肉にも彼女のこの歪んだ愛が、白金自身に過ちを気付かせ、彼を改心させる結果となる。

ヒド、い…こんナに…愛、しテルのに…
愛、シて…くれなイ、なんて…

仕方ないだろ…?

総じて、フェイスレスの自分本位な恋愛観の歪みとエゴを最も反映した自動人形であった。



【余談】

ディアマンティーナ以外の三人の名前の元ネタはイタリアの即興喜劇「コメディア・デラルテ」の登場人物の名前が由来。
  • ハーレクイーン
    • 「道化役者」の代名詞的存在。
      なお、ハーレクイーンは英語で、同様の役柄がイタリアでは「アルレッキーノ」、フランスでは「アルルカン」と呼ばれたりする。
  • カピタン・グラツィアーノ
    • 「イル・カピターノ」軍人であり、いつもその手柄を自慢するという設定。
    • ただし、その手柄は別の者が立てたもので、実は臆病者という、某ロックハートのようなキャラクターである
  • ブリゲッラ
    • 守銭奴で性欲旺盛な小悪党。
      性格面では似ても似つかない、だが、その衣装はぶかぶかなスモックが定番、と本作のブリゲッラへの影響が窺い知れる。




自分はこの項目を修正する!武人の仕事は完璧でなければな。

わたしは良い項目にしていくだけだ…書き足す部分もある!

ハハハァ、wikiっ篭りのハナ面にかけてご苦労なこって。


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最終更新:2024年04月16日 11:16

*1 例:「豚の鼻にかけて」「ジョコンタ婦人の脚にかけて」など。

*2 黒賀村で勝に折られた後は、正義の剣『スパヴェンタ』を使用

*3 2022年10月24日にサービス終了