ランボー/怒りの脱出(映画)

登録日:2016/05/13 Fri 01:12:14
更新日:2023/06/13 Tue 00:40:25
所要時間:約 7 分で読めます







Sir, do we get to win this time?
(大佐、今度は勝てますか?)

This time it's up to you.
(それは君次第だ)


『ランボー/怒りの脱出』(原題:Rambo: First Blood PartⅡ)は1985年公開のアメリカ映画。
シルベスター・スタローン主演のランボーシリーズの第2作目である。

監督はジョージ・P・コスマトス。


◆概要

前作『ランボー』の公開後、多くのベトナム帰還兵からスタローンの元に感謝の声や賞賛のファンレターが届けられた。
その中の一通に「ぜひ、捕虜を題材にした作品を作ってほしい」というものがあった。

当時、ベトナム戦争の残したしこりの一つとしてMIA(Missing in Action:戦闘中行方不明者)の問題があったため、本作ではそれについても取り上げられている。

興行成績はシリーズの中でも最高の3億ドルで、世界的に大ヒットしたが、前作から一転してアクションに重きを描いた娯楽映画となったことやプロパガンダ的な側面が強くなったことで、「好戦的だ」「メッセージ性が失われている」などと批評家からは酷評されてしまい、ラズベリー賞を4部門も受賞するという不名誉をこうむってしまった。

とはいえ、当時の社会情勢も関係しているがスタローン氏は映画関係者や批評家から嫌われていたそうで、それにも関わらず作品をヒットさせていたのが気に食わないという事情もあり、本作のラジー賞もスタローン氏への嫌がらせに近い目的で与えられたと言ってよい。

実際、本作の迫力あるアクションは後のサブカルチャーに影響を与えており、見どころに溢れたシーンが多いし、アクションが目立つと言うだけでランボーの悲哀もしっかり描かれていてバランスは取れている。


◆あらすじ

前作で逮捕された後、軍刑務所に収容され、懲役に服していたランボーの元をトラウトマン大佐が訪ねた。かつて戦ったベトナムでの機密作戦のためにランボーを召致しに来たのだ。

作戦内容は現地で戦闘中行方不明者となったアメリカ人捕虜の救出であり、ランボーは作戦指揮官のマードックから「捕虜の写真だけを撮ってこい」と命じられる。

現地エージェントのコー・バオと合流したランボーは捕虜収容所でアメリカ人捕虜を発見し、その一人であるバンクスを命令を無視*1して救出し、回収ポイントへ向かう。
ところがランボーが捕虜を連れていることを知ったマードックはトラウトマンが乗る回収部隊のヘリに作戦中止を命じ、彼らを敵地へと置き去りにしてしまった。

今回の作戦の真の目的は捕虜の救出などではなく、MIA問題で騒ぐアメリカ国民と議会を黙らせるために「調査はしたが捕虜はいない」という証拠を作ることだった。
実際に捕虜が救出されることはもちろん、存在そのものを公にされることは非常に都合が悪かったのである。

ベトナム軍に捕まったランボーは軍事顧問として訪れていたソ連軍の将校、ポドフスキー中佐達に拷問にかけられる。コーの助けを得て辛くも脱出するも、その途中でコーは殺されてしまう。

マードックへの復讐のため、見捨てられた仲間のため、そしてコーの仇を討つために、ランボーの新たなる戦いが始まろうとしていた。


◆登場人物

  • ジョン・J・ランボー
本作の主人公でベトナム戦争の帰還兵にして元グリーンベレー。
大多数の敵を相手に無双しまくる好戦的なアクション場面が増えたので、前作での「心に傷を負った戦士」という印象はやや薄れたが、それでもベトナム帰還兵としての悲哀や苦悩はしっかりと描かれている。
そもそも本人はベトナム戦争時に捕虜となり拷問を受けた経験があるため、アメリカ人捕虜を発見して見捨てることなどできるはずもない。
かつての戦場に戻ってきたランボーが好戦的になるのも当然だった。

ラストにおける大佐とのやり取りはシリーズ屈指の名シーンである。

  • サミュエル・トラウトマン大佐
ランボーのグリーンベレー&ベトナム戦争時代の上官にして最大の理解者。
服役していた彼を釈放させるためにベトナムでの捕虜救出作戦を依頼した。

しかし、いざ作戦が始まっても作戦総指揮官のマードックは真剣でないわ、ランボーを救出しようとするのを妨害されるわ、作戦の真の目的に激怒するわなどで、かなり苦労している。
映画版ではマードックに先手を打たれてほとんど動けなかったが、小説版では、最後の最後でマードックの策略を阻止するという大活躍をした。

  • コー・バオ
ベトナム現地民の女エージェント。
シリーズでは珍しいヒロインであり、それまで心に傷を負っていたランボーも彼女との交流でささやかではあるが癒やしを得ることになる。
仲間に裏切られたランボーを救出し、お互いに心を通わせランボーと共にアメリカ行きを願うが、最後には敵に殺されてしまった。

彼女が持っていたペンダントは形見となり、次作『怒りのアフガン』まで所持していた。
最後の戦場』の回想でもランボーのトラウマの一つとして登場しており、ランボーが彼女を大切な存在としていたことがうかがえる。

  • マードック司令官
捕虜救出作戦の指揮を取るCIAの高官。
本作における宿敵に等しい存在であり、ランボーを見捨てる、裏切る、大佐を拘束するなどの横暴に及んだとことんまで薄汚い官僚である。
「捕虜を助けるために身代金を支払えばその金は敵国の軍備増強に使用される」「捕虜の写真が報道されれば好戦的な世論になる」「戦争の尻ぬぐいを押し付けられた」
詰め寄る大佐にこのように返答しているが、結局は捕まった兵士を見捨てているだけである。
最終的には怒りの帰還を果たしたランボーに逆襲される破目に。

小説版では悪あがきで部下のエリクソンとライファーに命じて基地に戻ってくるランボーと捕虜達の乗ったヘリを敵機撃墜しようと画策したが、失敗に終わった。

  • ポドフスキー中佐
ベトナムに派遣されたソ連の軍事顧問の将校。部下としてユーシン軍曹を引き連れており、電撃の拷問をランボーに行った。
クライマックスではハインドを駆ってランボーとヘリチェイスを繰り広げたりとラスボスに等しい存在だが、作中で本人が言う通りたまたま敵同士になっただけで、因縁はない。

小説版では肥溜めに落とされて情けなくフェードアウトした。


◆主題歌

「Peace in Our Life」歌:フランク・スタローン
歌っているのはシルベスター・スタローンの実弟。映画版よりCDの方がしっかりした声で聞ける。


◆登場兵器&武器

今やランボーの象徴のような武器であり、その後のシリーズにも登場する相棒に等しい存在。銃に比べて『音がしない』という理由で使用している。
ランボーは弓以外にもライフルなどの武器を持ってきていたのだが、降下時のトラブルで全部落としてしまった。

この武器が有名である理由の一つとして挙げられるのが、爆弾付きの矢じりである。
矢の先端は取替えが可能で、炸薬を仕込んだ特殊な矢を発射することができるようになっている。
その威力は直撃すれば人間やヘリも一撃で粉砕するほど。

映画だけの架空の武器と思いきや、実在の武器である(流石に形状とか仕様は違うけど)。

「あんなに小さいのにナパームみたいな大爆発なんて実際にするの?」なんて思われるかもしれないが、小説では「矢じりの炸薬だけでなく、C-4プラスチック爆弾を細長く加工して矢本体に仕込み、破壊力を増している」という解説がある。
さらに本作だとガソリンなどの燃料が置いてあった地点を狙撃して誘爆させているのである。

次作『怒りのアフガン』では実際にちゃんとした威力で爆発している他、『最後の戦場』では時限式の爆矢をぶっ放した。

ランボー曰く『お守り』。武器というよりサバイバル用品としての使用が主。この他に暗器として二本の小型ナイフを所持。

  • M60軽機関銃
ランボー名物の重機関銃。捕虜収容所や帰還後の指令センター破壊に使用。
また、ランボーを見捨てたパイロットのエリクソンを文字通りにブッ飛ばすのにも使った。

対戦車榴弾砲。中盤の川での戦闘で哨戒艇を文字通りに粉砕した。

  • M72 LAW ロケットランチャー
終盤で敵のハインドを撃墜するのに使用。
バックブラストで一緒にいた捕虜が吹き飛ばされそうだが、恐らく事前に退避させたのだろう。

攻撃ヘリ。中盤では仲間からの援護、終盤では敵として登場。
上空から機銃掃射やナパームを落としてランボーを攻撃したり、ロケット砲で収容所を破壊したりとやりたい放題をやらかした。

ソ連のガンシップ、ハインドA型。クライマックスでランボー達の乗ったヘリを追撃した。本作のヘリチェイスは屈指の名シーン。
ちなみに、撮影に使用されているのはSA330を改造してそれらしく見せた「偽ハインド」である。


◆おまけ

  • ちなみに現実ではベトナムの捕虜は本当にいなかったのだが、捕虜にもならず行方不明のまま本国から見つけてもらえずに亡くなった兵士は数多くいた模様。

  • チャック・ノリス出演の映画『地獄のヒーロー』とプロットはおろか内容レベルでそっくりであり、「脚本が盗作されたのでは?」というトラブルが起きたのは有名。

  • 本作でコー・バオ役を演じたジュリア・ニクソンは日本でも注目され、公開当時はセクシーなビキニ姿をした彼女の特写グラビアが雑誌『ロードショー』で掲載されていた。





Then what is it you want?
(君の望みは何だ?)

I want, what they want.
(俺が望むのは、wiki篭りが望むことです)

And every other guy who came over here and spilled his guts and gave everything he had, wants!
(遥か遠くからこのwikiへやって来て、命をかけて戦った彼らの望みは――)

For our country to love us as much as we love it! That's what I want!
(俺たちが冥殿を愛したように、冥殿も俺たちを愛してほしい! ただそれだけです……!)

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(これからどう生きる?)

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最終更新:2023年06月13日 00:40

*1 ベトナムに潜入する際のアクシデントでカメラや装備の大半を失っているため