大日本技研/ポセイドン・インダストリアル

登録日:2016/05/12 Thu 02:39:34
更新日:2022/10/22 Sat 01:13:42
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ポセイドン・インダストリアル(大日本技研)とは、士郎正宗関連作品に登場する架空の企業である。

扱いは各作品で異なる。
共通項目としては義体やマイクロマシン他、様々な商品を取り扱う巨大な多国籍企業。
日本に本社を構えており、かつては「大日本技研」と呼ばれていた企業だったが、徐々に様々な技術を開発して世界に売り込むことによって巨大な多国籍企業へと成長することとなった。
そのうちとりわけ「日本の奇跡」と呼ばれる放射性物質粉塵除去技術を開発したことがきっかけで名を馳せていくことになっている作品が多い。
社名が「ポセイドン・インダストリアル」に変わった時期も各作品で異なる。

なお何故「ポセイドン」というギリシア神話における海・地震・馬の神の名を戴いているのかは不明。
『ポセイドンというのは「日本製品」ニッポンセイヒンがナマって派生した俗称か…?』という士郎正宗氏のコメントもあるが真相や如何に。




●「日本の奇跡」とは

作品ごとに扱いが変わるので共通項目から各作品の違いについて列挙する。

共通項目として各物語世界では1996年に第三次世界大戦、1999年に第四次世界大戦を経験しており、第四次大戦開始時の最後の核兵器が使われていた。
これにより、第三次世界大戦は史上最悪の戦災を記録。
日本も関東地方を中心に被害が出ており、第四次世界大戦の引き金となった最後の核攻撃では首都圏が壊滅してしまっている。
(その後の戦争で核は使われず、第四次世界大戦は『第四次非核大戦』と呼ばれるようになった。「核兵器は日本に始まり日本に終った」とも言われる)*1

日本は関東近辺を中心に放射能に汚染され、復興は難しいと考えられていた。
しかしその後、大日本技研がマイクロマシンによる放射能除去技術を開発し復興の緒を作った。
核の冬の原因を除去することで日本は驚異的な戦後復興を遂げることとなり、以降大日本技研は世界的に存在感を高めていくことになる。

●原作世界での扱い

「原作世界」とは士郎正宗氏が自ら描いたマンガ作品「アップルシード」「攻殻機動隊」及び、氏が原案・設定監修を行うマンガ作品「紅殻のパンドラ」*2を指す。

もともとの放射性物質粉塵の除去技術はオリオングループとの取引から来ているとされるが詳細は不明。
だが、実際に放射能粉塵除去技術を実用化したのは大日本技研を隠れ蓑にする大日本技研の一派である秘密結社ポセイドンである。
秘密結社ポセイドンが建造したソロモン級マイクロマシン戦艦1番艦ベルゼブブが自己改良しながら全自動で秘密裏にその任に就いている。

ベルゼブブは全自動放射性物質収集濾過プラントかつマイクロマシンの母艦であり、後にオリュンポスの多脚砲台に代表される巨大人工物の先駆けにあたる存在。*3
形状は基本的には球形。上半分は半球の先端だけを尖らせた形状を、下半分は巻き貝のような形状をしており核融合炉で動く硬式飛行船であり高高度の空を移動している。*4


放射性物質を探査するための専用の感知用マイクロマシンを備えており、対象地域に入ると放射性物質を持ち帰るドローンタイプのセボットを放出。
セボットはさらに搭載されていたドローンタイプのマイクロマシン・ベルゼブブを散布し、放射性物質を吸着してドローンバスに集積して母艦に持ち帰る。
母艦の中に持ち込まれた放射性物質は内部の炉で融解、放射性物質のみを除去して濃縮蓄積され、一定量溜まったところで高圧縮して専用コンテナに封印。
海溝などに一時投棄されて人類の手の届かないところに保管される。
時代を経て人類が重力制御技術を手にした時期に再度回収され、最終的には水星軌道上に捨てられるとのことである。

これによりベルゼブブは2002年の運用開始からアマゾン川流域の緑化復元が完了する2102年に停止するまで約100年間稼働し続けることになる。

これらのことは秘匿され、表向きには放射性物質を帯びた粉塵除去のマイクロマシン製品や放射能除去装置が大日本技研から発売されている。
が、実際に放射性物質の除去を行っているのはソロモン級巨大マシンである核の冬の濾過プラントとそれを母艦にする分子工学ロボットということになる。*5

ここにおいての「日本の奇跡」という言葉は「放射性物質の除去」のことを意味する。*6
誤解されがちだが原作の物語世界で大日本技研が日本の技術立国としての地位を高め、富を齎した大きな要因は太陽熱利用技術の開発に成功したことである。*7

●S.A.C.世界での扱い

「S.A.C.世界」とは文字通り「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズを指す。
ただし「小説版アップルシードXIII」によると「S.A.C.」シリーズの設定の延長による記述も見られるのでPRODUCTION I.G作品における共通設定の可能性はある。*8

S.A.C.世界では本当に効果のある放射性物質粉塵除去のマイクロマシンと固定型のプラント*9が開発・運用されている。
詳しいメカニズムは不明。

核の冬の原因となっている要因を除去し、環境改善によって日本の驚異的な復興の突破口となったほか、
放射性物質汚染された各国がこの技術を導入したことにより*10、日本は再び経済大国にのし上がることとなった。*11

このようにS.A.C.世界では「放射性物質の除去技術の確立」と「それによる経済的効果と復興」の2つの出来事を合わせて「日本の奇跡」と呼称されている。*12
またマイクロマシンそのものの名称にもなっている。


●発展


これらの功績により、大日本技研は莫大な利益を上げることになり、さらに日本政府とも太いパイプを持つようになった。
その後、社名をポセイドン・インダストリアルに改名。
高い技術を持つ多国籍企業へと成長する。

その後、電脳や義体の発達でマイクロマシン技術の需要が高まる中で大手メーカーとして発展。
また他社を取り込み、巨大な企業複合体へと変化していく。
ちなみに大日本技研の名称はブランドとして残っているらしく、ポセイドン・インダストリアルとなった後も名前が登場している。

さらにその後も発展を続けた結果、2127年ごろには日本そのものを取り込むほどに成長を遂げている
『第5次大戦』とも呼ばれる、2125年の世界各所の中規模の武力紛争後の混乱で世界の勢力図が変わる中で、ポセイドンは強大な力を持つ新勢力として存在。
この時代では企業連合国家として高い地位を得ており、世界ではポセイドン=日本となっている。




各作品での扱い


攻殻機動隊(原作)

  • 年代→2035年頃
「攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE」にて、主人公である荒巻素子が、ポセイドン・インダストリアルにて考査部長を務めている。
海上フロートに本社があり、その他にも海上都市ペガサスを建設中。

ブタに顧客の遺伝子を組み込みスペアの臓器を作るビジネスも始めており、倫理面の問題から担当の傘下企業であるメディテック社が、人類解放戦線*13などのテロの標的になっている。
これ以外にも大企業の宿命として様々な組織に狙われており、保安部や考査部がこれらの対策や警備を取り仕切っている。
また霊能による情報の収集も行っており、社長顧問の霊能者を抱えている。
(日本にも「霊能局」と呼ばれる政府の部署が存在するため、霊能の効果はある程度認められていると思われる)


●関連人物●

●荒巻素子
人形使い」と融合した草薙素子がネットに放った11番目の同位体(コピー)。
本人もこれまでに4人のゴーストと融合している。
ポセイドン・インダストリアル考査部長として、社内外の事件に関与していく。


●グレス
素子の秘書。
眼鏡がかわいい。


●社長
ポセイドン・インダストリアルの社長。
通常活動しているのはデコット(遠隔操作義体)であり、本体は宇宙の託体施設内に存在する。


●アンタレス
ポセイドン・インダストリアル社長室顧問で専属の霊能者。
正体はオリジナルの草薙素子の分裂した意思に魂合環の霊能力を電脳上から組み入れた存在


●リー
ポセイドン・インダストリアル保安部長。
保安の観点から、来歴が不明瞭な素子に疑念を抱いている。
公安9課に知り合いがおり、また作中バトーが「ポセイドン保安部に知り合いがいる」と発言しているが、これが互いのことを指しているのかは不明。



攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ


日本政府との関係が深い、多国籍企業。
公安9課や自衛軍の各種装備の開発・製造をしている。
内庁では、デカトンケイル(ポセイドンの超高性能AI)との連携を計っている。

1期では表だった登場はせず。
素子が今来栖確保の際マトリの強制介入班とやり合ったあと、義体交換を行なった施設がポセイドン・インダストリーの施設となっている。

2期では、主要人物の一人であるゴーダが、かつて所属していた企業として登場。
「日本の奇跡」を開発し放射能除去を行う一連の復興事業をプロデュースしたのが、当時開発プランナーだったゴーダであり、これによって上記のとおり日本は驚異的な復興を遂げ、再び経済大国としてアジア圏で急速に力をつけていった。
だがその功績はプロデュースしたゴーダではなく大日本技研に向けられ、開発した技術そのものが評価されることとなる。

しかしこの時の経験により、ゴーダは自身に「歴史を動かす当人になれずとも、それをプロデュースする力がある」ことを実感。
その後、ゴーダは防衛局に就職したあと、内閣情報庁にヘッドハンティングされて代表補佐官に就任する。
そして再びこの時と同じようにプロデュースを行い、今度は自らの手で英雄を作り出し社会を作り変えることを画策。
これが「個別の十一人事件」並びに「出島難民蜂起事件」へと発展することとなる。

また物語終盤、核攻撃による放射能の除去を行うための、ポセイドンのマイクロマシン散布専用特殊車両および大型特務艦が登場。
核兵器を使用したテロ対策や原子力災害時の災害対策で運用することを前提とした、「日本の奇跡」の運用を専門とする部隊が自衛軍内部あることが示唆されている。


●関連人物●

●ゴーダ/合田一人(ごうだ かずんど)
CV:西田健
元・大日本技研社員で、内閣情報庁(内庁)戦略影響調査会議代表補佐官。
かつてはのっぺりとした印象の残らない顔だったが、ある時大事故に見舞われ、顔の右側が抉れるほどの後遺症が残っている。
本人はこの顔を、名前を合わせて一度会えば大抵は他人の記憶に残るため、大変気に入っている。
「英雄に嫉妬する凡人」で、「英雄」をプロデュースすることで、自身を英雄以上の存在たらしめようとしている。

「かくいう私も童貞でね」は彼の迷言であり名言。



アップルシード

  • 年代→2127年頃
ポセイドン・インダストリアルとして発展を続けた結果、日本を飲み込むほどに巨大化しており、企業連合国家ポセイドンとして存在している。

地球の新勢力として一般には認知されており、主人公・デュナンとブリアレオスのいるオリュンポスと並び、世界中にネットワークを持つ強力な政治・経済勢力。
巨大な海上都市群を建設しており、ポセイドン本社も海上に存在する。

高い技術力と資本は健在。
ポセイドンの製品は評判が良く、作中でよく褒められている。
ただしオリュンポスとは違い、バイオロイドの技術は持っていない。
また武器商人としての顔も持ち、ブリアレオスはポセイドンが誰彼構わず見境なく武器を売るため世界の紛争を助長していること愚痴っている。
かつては霊能による情報収集を行っていたが、現在は「気功」などの科学的解明も進んでいるらしく、それらと科学を掛け合わせた対人兵器も存在しているらしい。
国としては技術の発達で黒潮にのってくる海産資源を一手にろ過し、日本であったころからの念願である自給自足に挑戦している。


オリュンポスそのものを欲しがっているらしく、吉野などのポセイドンの工作員がオリュンポスに多数潜入している。
「アップルシードデータブック」の年表によると、2130年にオリュンポスとポセイドンで千年王国宣言が出されるらしいが、詳しい経緯は不明。


●関連人物●

●吉野
ポセイドンのスパイ。
「ドリス」という偽名で、デュナンたちの所属するESWATに潜入している。
実は二重スパイらしく、オリュンポスの都市企画班とも繋がりがある謎の人物。
「吉野」も本名かどうか不明。
後年の作者によると、草薙素子の101体目の同位体らしい


紅殻のパンドラ

  • 年代→2020年頃
拓美がパトロンをしている企業の中に、大日本技研の名前が存在している。
また大日本技研製の製品がそこかしこに流通しており、 Amazonのような流通サービスも行っている模様。

舞台であるセナンクル島には大日本技研ファームランドがあり、そこでセナンクル島の生活を支える真水や生鮮食品・遺伝子改良食物などを生産している。
真水は島で消費される内の70%を生産し、また技研での生産により食物自給率は50%を超えている。
島を人の住める環境に作り替える手助けも行っており、どこでも人工的な自然環境へと改造する技術研究もここで行われている。




以下、若干のネタバレ















セナンクル島で様々な事件を引き起こしていた元凶として、ポセイドン・インダストリアルの前身組織である秘密結社ポセイドンが登場。
天才科学者ウザル・デリラの残した遺産「ブエル」の回収を目論んでおり、そのためにメンバーの一人である米帝軍大佐のクルツを派遣。
その結果、大規模な混乱と治安の悪化を引き起こすこととなった。

組織としては「多国籍企業複合体」を名乗る秘密結社で、「国」という概念を古い価値観と位置付け、自分たちの組織を国境や人種差別とは無縁と称している。
「商売繁盛部門」「科学技術部門」など内部に様々な部署が存在し、これらが目的達成のために一丸となって動いており横のつながりも深い。
P-2501の情報によると「アジアの島国の一企業を核とした多国籍企業複合体」とあるため、大日本技研の正体はこの秘密結社ポセイドンであり、なおかつ組織の中心が大日本技研
……かのように思われたが、「ポセイドンは大日本技研の中でも限られた秘密の組織」という説明があったため、「大日本技研の秘密組織を中心とした多国籍企業複合体」が正しいようだ。
近々「ポセイドン・インダストリアル」の名前が表舞台に出ることも示唆されていたが……(後述)

上記のファームランドもポセイドンの隠し実験施設らしく、2501が侵入して情報を収集している。
実際ポセイドン内では大日本技研製の製品が数多く使用されており、また商売繁盛部門の商品が「大日本技研」名義の梱包で送られている。
また現段階でポセイドンの計画が阻止されたケースは、福音とクラリオンによるブエル奪還事件の阻止以外サンプルが存在しないらしい。


組織内の技術レベルは「高い」を超えて「数世代先を行く」とまで作中で言われており、実用化されていないはずの熱光学迷彩や、2125年頃に活躍するはずのLM(ランドメイト=強化外骨格)のプロトタイプを2020年代の時点で形にしているなど、驚異的なレベルとなっている。

秘密結社にも関わらず海上移動要塞を完成させるほどの財力を持ち、資本力も膨大。
「本国」と呼ばれる場所でこれらは製造されているらしく、そこが本拠地と思われる。
扱う商品も千差万別であり、「商売繁盛部門」では生活必需品から嗜好品まで様々なものを扱っている。

主人公の一人であるアンドロイドのクラリオンは、MADE in PIA(POSEIDON INDUSTRIAL ARMS)の金糸鋼性ナイフ「夜龍&灰虎」を使用しており、義体に関してもポセイドンの技術同様、この時代の水準をはるかに超える技術で製作されている。
またクルツからも「我々と同等の技術」と言われていた為、開発者のウザル共々ポセイドンに所属していたことが予想されていたが
その後二人ともポセイドンのラボにいたことが明かされており、開発したブエルと共に離反したことが判明している。


組織の究極の目的として、「アポルシード計画」を掲げており、これによって人類救済を成し遂げることを第一としている。
セナンクル島のブエル奪還もその一部であり、計画の重要なファクターらしい。
そのためクルツの失敗後も、新たに幹部と海上移動要塞「ケートス」を派遣。
以前よりも潤沢に人員と装備を投入し、再び奪還作戦を進行している。
人類救済に関しては嘘偽りなく本気で遂行しようとしており、第三次世界大戦の核使用による大規模被害からの復興や、第四次非核大戦終結のための調停などにも秘密裏に動いているため、スケジュールに遅れが生じているらしい。

+ 「アポルシード計画」について
初出はアップルシード。
本作の根幹に関わる計画として、5巻から徐々に内容が明かされていく予定だったが
作品が休止してしまったことにより、本編では内容どころか単語すら登場していない。

「アップルシードデータブック」に載っている年表や用語辞典の断片的な情報によると、物語の舞台となる人工島オリュンポスや総合管理局といった組織は全てこの計画の一環で作られており、地球の統一管理保全を目的として1999年頃から計画がスタートしているなどといったことが明かされている。
「紅殻のパンドラ」が2020年頃の話で、「アップルシード」が2127年頃の話ということを考えると、ポセイドンの目的である「企業複合体国家の成立」と「アポルシード計画の達成」という二つの作戦は2127年においても着実に進んでおり、徐々に達成しつつあると考えられる。

しかしアップルシードでは「アポルシード計画」を主導しているのは、計画当初から「オリオングループ」という組織であり、また作中のオリュンポスもポセイドンの支配下になく独立した存在となっている。
紅パン作中ではポセイドンの人間に、オリオン座のマークが書かれた手紙が届けられているが…

+ 第3部「オペレーション・サード・ライトニング」で明かされた計画の内容と顛末
アポルシード計画とは、秘密結社ポセイドンが計画した「人類宇宙繁種計画」
人類の救済のために、人類という種を宇宙に進出させて存続と繁栄を模索するのが目的で、クレイドルやソロモンシリーズといったポセイドンの技術はこの計画の遂行のために用意されている。

物語の舞台であるセナンクル島も、その実験のために量子コンピューター・ブエルによる計算でコントロールされた地殻変動で人工的に作られた島であり、計画における重要な要素であるテラフォーミングのための実験地だったというのが真相。
しかし計画の要である驚異的な演算能力機能を持つブエルがウザルの離反と共に奪取されたため、ウザルとブエルを追っていたのが紅パンにおけるポセイドンの行動の目的だった。


その後、第三次世界大戦と第四次非核大戦の人類と地球環境の消耗から、もはや滅亡までの時間が残されていないと悟った幹部たちと、科学技術部門幹部・ラブリュスの個人的感情によってアポルシード計画の前倒しが決定され、作戦「三度目の電撃作戦(オペレーション・サード・ライトニング)」が実行。
計画の発動のために、セナンクル島の破棄とブエルの回収・裏切者であるウザルと脱走した拓美の処分を目的としたセナンクル島における武力行使が実行される。

が、福音とクラリオン&フォボス姉妹、ウザル&拓美のポセイドン離反組、ロバートをはじめとしたセナンクル島の面々の活躍によって作戦は破綻。
さらにP-2501によってポセイドン幹部全員の記憶が書き換えられてしまい、作戦の中止とアポルシード計画の無期限凍結が決定される。
全て自分たちの可能性を図るための実験で、関連技術の完全破棄までを含めた「最初からそう言う計画だった」ということになり、世界市場を破壊しかねないオーバーテクノロジーの数々もP-2501に抹消された結果、「数世代先を行く」から「普通の企業組織」にまで技術レベルが後退*14
大日本技研(ポセイドン・インダストリアル)は存続したものの、「秘密結社ポセイドン」は実質壊滅することとなった。

しかしこの決定を不服とした移動要塞ケートスの副所長をはじめとした一部作戦参加メンバーが、作戦中止後もポセイドン本国に戻らず離反。
計画並びに技術の破棄を行わず、かねてから副所長に誘いが来ていたオリオングループへ各技術が詰まったケートスごと合流
そちらでアポルシード計画の遂行は続けられることとなった。


このため真相としては、アポルシード計画は当初秘密結社ポセイドンが遂行していたものの、途中の強引な計画遂行と後ろ向きな理念が共感されず*15、これらが仇となって数々のを反発を招き、結果セナンクル島住人達の活躍と人形使いによる記憶の改竄によって頓挫。
その後メンバーの一部がオリオングループへと合流し、計画が引き継がれアップルシードの時代まで計画が進められていたという流れだった模様。

かてて加えて言うならばこの事により「原作世界」におけるポセイドン・インダストリアルはそもそも当初より常にP-2501の影響下にあったことになる。
P-2501はこのことを融合先への「持参金」「私のネットや情報や機能をもう少し高く評価してもらいたい」と述べているが、
換言すればそれは「ポセイドン・インダストリアルの根幹バックドアまるごと手に入るのと同義」であり、言葉に違わぬ価値であると言える。

ちなみに六道神士氏によると、オペレーション・サード・ライトニングが成功していた場合、2020年代の紅パンの時代でアポルシード計画は実行されることとなるが、
そもそも2100年代のアップルシード時代の技術力で成功する代物なので、計画遂行のための技術が圧倒的に不足しており、ただ単に人類の滅びの先延ばしという結果に終わって人類は滅亡していたとのこと。


●関連人物●

●イアン・クルツ
CV:諏訪部順一
アメリカ帝国軍情報部大佐。
「世界平和」のため、腐敗した米帝を見限って裏ではポセイドンについており、セナンクル島にある天才ウザル・デリラの開発した「ブエル」の強奪を画策していた。
自身を天才と自負し、そのためポセイドンからも認められ最新の装備を与えられていると思っているが、ポセイドンから見たら下位存在の認識だったらしく、メンバーの証である三角頭頭巾も与えられていなかった。


●三角頭
ポセイドンのメンバー。
ポセイドンマークの入った頭巾によって顔が隠れているが、多種多様な人種がいる模様。
頭巾を被っているのは、すべての人間は平等であれとの組織の理念を表すためなので皆割と真剣。
「アポルシード計画のために!」が合言葉。


●商売繁盛部門幹部
太っ腹なコテコテの関西人のような中年男性。
笑顔を絶やさず、お客へのサービスやフォローも欠かさない商売人の鑑のような人。
ただの気の良いおっちゃんにしか見えないが、三角頭を持っているためクルツよりも階級は上。


●ラブリュス
クルツの後任でブエル奪還に現れた、科学技術部門幹部の女性。
完成したばかりの海上移動要塞「ケートス」を持ち出し、セナンクル島を攻め落とす気満々。
クラリオン同型機他、「ケリュケイオン」「アイギス」という二体のロボットを連れている。


●崑崙八仙 拓美(コロバセ タクミ)
CV:三宅麻理恵
大日本技研のパトロンの一人で、主人公・福音の保護者。
福音のためにセナンクル島の平和に対して敏感だが、大日本技研とポセイドンの繋がりについて把握しているかは不明。
作者によると、あくまでも大日本技研セナンクル島支社のパトロンなので、拓美自身はポセイドンのメンバーではないとのこと。

子供時代に技術者として「日本に本社」がある海上フロートの研究施設で働いており、「1093号」の番号で呼ばれていた過去がある。
ウザルとはその頃からの知り合い。


●ウザル・デリラ
CV:田中敦子
この時代の科学水準を超えた技術を持つ超天才科学者。
自身が開発したブエルをポセイドンから強奪し、そのままセナンクル島にて部下と共に活動していた。
「サハル・セヘラ」という名前でも呼ばれており、ポセイドン関連の人物からはサハルで呼ばれている。

ポセイドンにて様々な研究をしていたらしいが、その後離脱したことも含めて詳しい経緯は不明。
子供時代には拓美と共に「386号」の番号で呼ばれていたらしいが…。


●キース・ブルックリン
元科学者で義体に関する医療・軍事企業を営む社長。
普通に生まれることできなかった娘のために「クレイドル」と呼ばれる生命維持装置を作るために
会社を起こしたという経緯があり、後にこれが医療・託体施設などの原型になる。
『攻殻2』でポセイドン・インダストリアル社長が利用している託体施設「眠る宇宙」も、彼の技術の発展型。
ポセイドンからは以前から資金や技術援助を受けており、その繋がりからか後にポセイドン入りする。

ちなみに娘のシリルは、シロマサの18禁作品『W・TAILS CAT』で主役を務めている。


●副所長
海上移動要塞ケートスの副所長。
普段は三角頭を被っているが、素顔は中々にイケメンの青年。
ポセイドンに拾われたウザルの片腕「バニー」がケートスで行っていた講義の教え子の一人でもあり、彼女に憧れている。

彼がバニーと夢見た平和な未来を実現するために、アポルシード計画ごとオリオングループへと合流したことが、後のシロマサ世界に大きな影響を及ぼすこととなる。


余談


東京都三鷹市に「大日本技研」という造形・ガレージキットメーカーが存在する。
社名はこの大日本技研からきており、士郎正宗デザインの銃器を立体化した事から、架空の企業名である大日本技研の使用を許諾され現在に至っている。

主にオリジナルデザインの銃器をレジンキャスト製のキットとして開発・販売しており、コミック・アニメーション・ゲームソフトへの立体資料提供、企業プレゼンテーション用の試作品製作も行っている。





追記・修正は、「日本の奇跡」を目の当たりにしてからお願いします。


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最終更新:2022年10月22日 01:13

*1 …のだが、「S.A.C.世界」では核兵器が完全に廃絶されたと思われる設定が認められない。これを覆すと「S.A.C.の第二期」の前提条件が完全に覆ってしまう。「原作世界」は当記述に合致しているのでこれは「原作世界」のみに適用される条件と思われる。

*2 アニメ作品「紅殻のパンドラ」は含まない。

*3 「戦艦」と称することもあり硬式飛行船状態では300キロワットx4モジュールのファイバーソリッドステイトレーザー砲を8基装備している。武装も時代によって異なる模様。

*4 紅殻のパンドラに登場したブエルと同様にセントラル・ナーバス・ユニットと呼ばれるAI端末が船体を管理しており自己改造を繰り返しているので形状は時代によって異なる。水上移動タイプに改造されていることもある。

*5 このことにより一般人の認識は後述の「S.A.C.世界での扱い」と大差はないが、発売されているカモフラージュ用のマイクロマシン製品には実効果はない。その点が大きく異なる。

*6 実際にベルゼブブがテストにて関東地方の放射性物質除去のテストを行い平常時のレベルに達した結果を目の当たりにした秘密結社ポセイドンの幹部は「まるで奇跡だ!!」との言葉を漏らしている。

*7 表向き販売されている放射性物質除去マイクロマシンや放射能除去装置によって得られた利益もあるが、そのことに言及されている資料はない。

*8 アニメの攻殻機動隊S.A.C.の作中記述では「ポセイドンインダストリー」、「小説版の攻殻機動隊S.A.C.とアッブルシードXIII」では「ポセイドンインダストリィ」とあるので一定の整合性もある。

*9 S.A.C.シーズン1第13話「≠テロリスト」の舞台になった廃棄プラントなどがそれに当たる。

*10 実際S.A.C.シーズン2第24話ではタチコマが自衛軍の哨戒艇よりマイクロマシンが散布されているという分析をしている。このように各国の軍部はこのマイクロマシンを確保しており普及しているものと思われる。「核爆発後の吹き戻しを利用して効果を最大限に活かす策」と説明されているが…。爆発の衝撃波における離散やそもそも核爆発の熱にマイクロマシンが耐えられるのか疑問が残るがこのシステムでは可能なのであろう。

*11 もっともデカトンケイルにかけたゴーダの模擬人格の口述が主な情報源なのでバイアスのかかり具合や正確性に怪しい部分もあるが、作中の草薙素子がある程度納得しているところをみると一定のコンセンサスはあると思われる。

*12 なお小説「アップルシードXIII」を「S.A.C世界」に組み入れて一つの連続性のある世界として考えるならば『放射能除去技術によって一時は世界の恒久平和の象徴的存在と祀り上げられたが、核兵器を使用した後に放射性物質除去マイクロマシンを使うことで核兵器が「手軽な大量破壊兵器」として使いやすくなった側面があり、国家が核兵器を使うという選択肢を取るほどにポセイドン・インダストリィ社の儲けに繋がる結果となった』ようだ。もっとも、現時点では「S.A.C.世界」は2045年までしか描かれておらず、まして「原作世界」では第四次非核大戦以降、世界では核兵器は使用されなかったことになっているのでその点で原作作品とは矛盾する。「S.A.C.」世界は「原作世界」のように核兵器が完全に廃絶された設定ではない点で当該小説の記述と一致はするものの、当注釈記述は小説「アップルシードXIII」のみの設定と考える方が妥当かもしれない。

*13 人類解放戦線は電脳化や義体化、バイオロイドの製造など、人体に手を加える全ての行為に反対する過激派団体である。

*14 紅パンでは所持していたバイオロイド等の技術が、アップルシードでは失われていたのはこれが原因

*15 ポセイドン時代のアポルシード計画は、ラブリュスによると人類の大半は「虫けら」で一部の真の人類のみを救済する&汚れた地球を捨てて他所に移住するというもので、「身勝手な絶望」「汚れた場所を棄てて、他所へと逃げるだけ」とセナンクル島の警察署長・ロバートに真正面から批判されている。