ガールズ&パンツァー 劇場版

登録日:2015/12/14 (月) 12:30:27
更新日:2024/01/22 Mon 00:01:10
所要時間:約 11 分で読めます






感動の最終回から2年

運命に導かれた戦い

取り戻せ


GIRLS UND PANZER
DER FILME




『ガールズ&パンツァー』劇場版は、テレビアニメ『ガールズ&パンツァー』の劇場版映画。2015年11月に公開された。
テレビシリーズより後の時間を舞台に、主人公たちの新たな戦いを描く*1

《概要》
テレビシリーズ終了から、OVAを挟んだ後、制作された待望の劇場版。
公開前には上記のような感じの壮大なCMや、悲壮な表情を浮かべる西住殿のイメージビジュアルが公開されたが、本編はそこまでシリアスではないので安心してほしい。というより水島監督お得意の嘘予告である。
本作では、テレビシリーズ及びOVA『これが本当のアンツィオ戦です!』からほとんど全員のキャラクターが登場する。
さらにテレビでは名前(+α)のみ登場した知波単学園と継続高校、そして全く新たなキャラクターまで活躍する。
……と、いうとテレビシリーズ未視聴者には敷居が高そうだが、
本編開始前に『3分ちょっとでわかるガールズ&パンツァー』という解説コーナーが上映されるので、未視聴者や内容を忘れてしまった人でも安心である。
え、キャラが多すぎて混乱する? 大丈夫、既視聴者も同じだから!

本作のもう一人の主役とも言える戦車も、テレビシリーズよりもディテールアップ。
さらに、新キャラクター達の乗る新戦車も数多く登場する。
時に重厚、時に縦横無尽に画面狭しと活躍する戦車の姿は、テレビシリーズ以上にダイナミックで、理屈抜きで引き込まれる。
そんな出来だけに、監督によると上映時間80分予定だったのが120分に拡大したとか、公開の10日前でも制作作業中だったりしたらしい(パンフレットより)。
この戦車に対する力の入れように関しては戦車好きの杉山プロデューサーに「ちょっとスタッフは頭がおかしい(いい意味で)」と言わしめるほど(Amazon限定BD特装版付属戦車トークCDより)。

上述したキャラクターや戦車への力の入れようとは別に、ちょっとしたところにスタッフの遊び心の発露とも言える小ネタも仕込まれており、
繰り返し楽しめる映画に仕上がっており、幾度となく劇場に足を運んだファンも多かった。

立川シネマシティでは極上爆音上映が企画され、他の劇場も競うようにスピーカーを導入したり、
音響監督が専用のチューニング『センシャラウンド』を施しに全国に出張したりと、音響が映画館のステータスとして注目される事態を起こしている。
爆音上映で人気を博した乗り物映画同士なのか、「マッドマックスっぽい」という感想も散見される。

それらの練りに練り上げられたクオリティが公開当初より爆発的反響を呼び、興行成績はすさまじい勢いを見せた。
公開開始2日間における興行収入ランキング一位、興行収入は一億2843万円。
22日後には興行収入5億円を突破。
1月7日には8億円を突破。さらに全国32館で追加上映もおこなわれることが決定する。
1月14日時点では9億円を突破する。
この時点で、深夜アニメ原作の映画ではトップクラス。これ以降は、『けいおん!』や『まどか☆マギカ』劇場版などの次元が違う領域に入った。

これらのヒットを受けて、驚愕の4DX版の公開が4DXの設備を持つ全国の劇場全てで始まり、伝説は広がる一方を見せ続けている。
そして公開から27週目の5月21日からBD&DVDの発売を記念して、新規38館を含む全国の153館でリバイバル上映が決定!
誰がここまでやれと言った
興行収入は2016/5/29時点で21億を超え、深夜アニメ原作の映画ではラブライブに続く歴代2位に位置付けることに。

そして、2017年8月13日には興行収入25億円を突破(初公開が2015年11月21日)。
現在でも再上映が断続的に行われている(劇場版上映二周年記念や最終章上映記念)



通常、公開から半年以上も経って、(どういう事態なのかちょっとよく分からないが)劇場公開中に円盤が発売されれば興行収入が減るのも当然の結果……
…………なのだが、一部の劇場では円盤発売前のとある期間より入場者が増えるというこれまたちょっと分からない逆転現象が発生。
理由自体は単純明快で、
「よっしゃこれでいつでも劇場版が見られるで!」 → 「一時停止とか繰り返し好きなシーン見れるのええな!」 → 「……でもやっぱ音とか物足りねえな」 → 「じゃあ劇場いくか! 何故かまだ上映してるしな!」
というもの。
元々ミリオタが舌を巻き、唸り声を上げざるを得ないほどこだわりにこだわり抜いたSEが好評を博し、それを更に強化する極上爆音上映がジャストミートした本作品の経緯を考えれば至極自然な流れなのかもしれないが、
…………やはり何かがおかしい(褒め言葉)。

同年7月のあんこう祭りの最中、たまたまイベントが重なったことがきっかけとなり、なんとプロレスラーの蝶野正洋が応援大使に就任。
Ⅳ号戦車の実物大プロップに乗り、「ヒャッホウ!最高だぜ!」と高らかに叫ぶCMが制作された。
当人には、アニメといえば子供や若者の娯楽という先入観があったらしく、自分とほぼ同年代の中年男性ばかりが集まったイベントの光景には、大層驚かされたとのこと。

2016年5月27日にBD/DVD版のリリースも開始。発売直後にはBD特装版が売上数のオリコン1位(2016年6月6日付)に輝いている。
その初週売上は、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』のそれを上回り、
邦画のアニメ作品では「ヱヴァンゲリヲン新劇場版(破・Q)」や「ラブライブ!The School Idol Movie(特装版)」に次ぐ歴代4位を記録した。

なお、BD特装版は、あんこうチーム、監督、そしてミリタリースタッフの3種類のオーディオコメンタリーが収録された本編ディスクの他、
OVA「愛里寿・ウォー!」や「不肖・秋山優花里の戦車講座」、各地のイベントの映像が収録された特典ディスクが2枚、
特製ブックレットやみほと愛里寿が歌う「おいらボコだぜ!」のCDなどが付属する豪華版となっている。

このBD、自称「背中にチャックがついてて、開けると日本人が出てくる」と豪語する某ポーランド人が個人輸入したところ、税関で没収されるという国際問題に発展しかかった。
単に中身が怪しかったという理由らしく、後日無事受け取りには成功している。

月刊コミックフラッパーにて劇場版のコミカライズ「ガールズ&パンツァー 劇場版Variante」も連載された。
登場人物の心情や各校のキャラクターとの交流が多数描かれており、映画を見た視聴者にもかなり楽しめるものとなっている。
また、一部の展開が異なっているのも必見である。


《あらすじ》
物語は、大洗&知波単連合VS聖グロリアーナ&プラウダ高校連合によるエキシビジョンマッチから幕を開ける。
激闘の後、それぞれの学校は友好を深める。
そんな時、生徒会長の角谷杏が学園に呼び出され……


《新たな登場人物》
テレビシリーズでの登場人物はこちらを参照。

◆聖グロリアーナ学園戦車道チーム
聖グロの新キャラクター。とはいえ、後述のクラーラと同じくチームに普通にいる。
転入生といった描写も無いので、テレビシリーズではチームにはいたもののスポットライトが当たる機会がなかったのだろう。
口調こそ(若干似非臭い)お嬢様言葉だが、性格は聖グロでは珍しいお転婆な振る舞いで、他校生のようなノリ(アンツィオとか知波単とか)にダージリンも制御に苦労していた。
一方で指示の意図について考えるよう促されるなど、期待されている節もある。
ちなみにローズヒップは紅茶の葉っぱではなく「薔薇の実」である。


◆プラウダ高校戦車道チーム
  • クラーラ(CV:ジェーニャ)
プラウダ高校の新キャラクター。 そしてガルパンで唯一の外国人(ロシアからの留学生)設定キャラ。
ノンナと同じく隊長であるカチューシャに絶大な信頼を寄せている様子。
基本的には見た目通りクールビューティーだが、戦車戦中は「逃がさないわよ」とロシア語で呟いて不敵に笑うなど、時折好戦的な面も覗かせている。
ノンナとロシア語で会話しては、カチューシャから日本語で話すようにツッコミを入れられるのがお約束で、実はノンナと同じく結構お茶目な性格でもある。
しかし……。実は普通に日本語を話せる。よく彼女の挙動を見ると周囲の日本語にちゃんと反応している
ちなみに声優を務めるジェーニャ氏はロシア人なので、本作のロシア語指導も担当している。
ロシアフリークで有名な上坂すみれ氏は、今回のロシア語指導のお陰で「喋れるロシア語が3桁増えた」との事。


知波単学園戦車道チーム
日本製戦車を主戦力とする学園。
テレビシリーズでは名前と負けっぷりが少しだけ登場した。
秋山殿の戦車講座(番外編)のドラマCDでも、「実力はあるのに無謀な突撃戦法で負けた高校」と言われている。
校風は体育会系で血気盛んだが、考えなしに突撃したがるきらいがある。曰く、「突撃は我が校の伝統」。
試合での指示も含めて、古めかしい言い回しを用いる隊員が多い。要は旧日本軍をカリカチュアした上さらにポンコツにしたような連中
ただし、突撃の有用性はともかくとして、全隊が「吶喊」等の指示と同時に足並みを揃えて突撃できるなど、練度自体は非常に高い。
使用戦車はいずれも異なる迷彩塗装が施されていることが特徴。杉山Pに「(スタッフは)少し頭がおかしい」と言わしめた要因の一つ。
ちなみにこの迷彩、というよりも多色塗装の戦車のCGはデータ量が重くなるため、テレビシリーズでは(マウスを例外として)できなかったとか。
知波単の迷彩は、劇場版だからこそできたことの一つと言えるだろう。

知波単の新隊長。
凛々しく真面目な和風美人。
優しい性格で隊員からの人望も厚いが、良く言えば思慮深く悪く言えば優柔不断。
黒森峰に一回戦で伝統の突撃戦法が手も足も出ずに敗れ改革の気風が俄かに巻き起こった中で隊長に就任し
彼女自身も知波単の現状を憂いつつも有効な打開策を思いつくことができないこともあって、
突撃モードに入った隊員達を御しきれない場面もある。(まぁ、隊員たちも聞く耳なんて持ってないけど……)
加えて、彼女自身も突撃脳に染まっており、人の話を聞かずに先走ってしまうことも間々ある。(突撃とか)
しかし、そのせいで勝手に戦列を離れてしまったことを認識し、後でそれを謝れる素直で良い子。

  • 玉田(CV:米澤円)
知波単の校風を象徴するような脳筋気味で三つ編みの隊員。

  • 福田(CV:大空直美)
大きなメガネにお下げ髪の、あどけない容貌をした下級生。
冒頭のエキシビジョンマッチではアヒルさんチームと行動を共にし、彼女たちを「アヒル殿」と呼ぶ。
知波単魂を受け継いだ少年兵のような少女だが、遊園地やアヒルのぬいぐるみが好きな一面も。
ちなみに、後半ではアヒルさんチームを「最強の助っ人」と呼ぶほど頼りにしており、その影響から後半戦では知波単の面々へ変化を齎すキッカケとなった。

  • 細見(CV:七瀬亜深)
聖グロの戦車(注:フラッグ車ではない)から白旗を取った時に喜んで、知波単の弱さ聖グロの強さを印象づけた。
髪型がユニーク。


継続高校戦車道チーム
フィンランド戦車を駆る高校。こちらも、秋山殿の戦車講座(番外編)などで名前が出てきている。
隊長のミカの性格からか、みほ達から一歩引いたポジションにおり、まるで別の作品から出てきたような雰囲気を持っている。

継続高校チームの隊長。 スナフキンのポジション
物事から一歩引いた立場からの、ミステリアスで哲学的な物言いが特徴。
フィンランドの民族楽器カンテレを華麗に弾きこなす。
すげえよミカは。

  • アキ(CV:下地紫野)
継続高校チームの隊員。 ムーミンのポジション
ミカと違い、くるくると表情が変わる。
ミカのミステリアスな言葉に逐一リアクションを取る。

  • ミッコ(CV:石上美帆)
継続高校チームの隊員。 ミィのポジション
無口なのか台詞は少ないが、見事な活躍ぶりを見せる。
もしかしたら、山椒は小粒だがピリリと辛い性格かもしれない。



みほ達が出会った、ゴスっぽい服装にサイドテールの少女。
みほと同じく『ボコられ熊のボコ』(CV:藤村歩)が好き。
クールでシャイ。

ロングヘアの女性。

  • アズミ(CV:飯田友子)
グラマラスな体型の女性。
実は”ドS”という裏設定があるとか。最終章でBC自由学園のOBと判明。

メガネっ娘の女性。
3人の中では一番熱くなりやすいタイプ。最終章で継続高校のOBと判明。


◆その他の登場人物

文部科学省の学園艦教育局長。
七三分けの髪形に眼鏡という、典型的な官僚の風貌。
今作における「大体こいつのせい」枠。

戦車道連盟の理事長。人の良さそうな雰囲気の和装の男性。
2年後に迫った世界大会に向けて戦車道振興に力を入れつつある文科省とことを構えたくないようで、大洗廃校への抗議に消極的な態度を取ったが、
西住流をも巻き込んだ杏の勢いに呑まれ、抗議運動に参加する。
参加の経緯こそ巻き込まれたようなものだったが、大洗に不利な条件ばかり突きつける文科省の姿勢に思うところがあったのか、大洗寄りの立場に立っていた。

愛里寿の母である洋装の女性。
西住流と並び称される由緒ある戦車道流派の一つ、島田流を率いる家元。
同居はしていないが、親子の仲は悪くない様子。西住とはちがうのだよ西住とは!


《今回初登場の戦車たち》

  • 九七式中戦車
  • 九七式中戦車改*2
  • 九五式軽戦車
  • 巡航戦車クルセイダー*3
  • BT-42( アニメのみならず、実写作品も含めて本作が「映画」初登場である
  • 二号戦車
  • センチュリオンMk.1
  • M26パーシング
  • M24チャフィー軽戦車
  • T28重戦車
  • カール自走臼砲
  • 観覧車先輩


☆ガルパンはいいぞ☆
劇場版を見終わった視聴者が感想を求められたときに、つぶやくとされている言葉。
言語能力の低下とかなんやかんや言われるが、要するに

「見所も面白いところもありすぎて説明しきれない」

という気持ちを一言にすると、もはやこれしかないのである。
脳処理が追いつかないほどの濃密に詰め込まれた作品内容と、
上述通りミリオタ層に支持されているが故のどこか悟りを開いたような達観した言い回し、
その他諸々が混ざり合って絶妙にしっくりとくるフレーズになっており、主にツイッターで爆発的に広まった。
公開から数ヶ月経った今では数回見るのは当たり前となり、中には40回以上見たという剛の者も複数確認されている。




追記・修正に向かって、パンツァー・フォー!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガールズ&パンツァー_劇場版
  • ガルパン
  • ガルパンはいいぞ
  • 映画
  • アニメ
  • ガールズ&パンツァー
  • 萌え
  • 燃え
  • ミリタリー
  • 神アニメ
  • 神映画
  • 漢の義務教育
  • 3分ちょっと?でわかるガールズ&パンツァー劇場版
  • 男の子が好きなものを本気で詰め込んだ結果
  • 怒りのセンシャ・ロード
  • 天下のクリスティー式をたたえよ
  • 人生に必要な戦い
  • 無双です!!←敵が
  • 驚異的な作り込み←加減しろ莫迦!
  • 水島努
  • 吉田玲子
  • 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
  • 名作
  • 遊園地
  • 観覧車
  • ボコられ熊のボコ
  • クマ
  • パチンコ化
  • パチスロ化
  • アニメ映画
  • 劇場版

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月22日 00:01

*1 ちなみに外伝漫画『リボンの武者』並びに『リトルアーミーII』は劇場版以降の時系列が舞台。

*2 厳密にはTV版でも黒森峰に負けたシーンで1カットのみ壊滅した姿が映っている。

*3 こちらも聖グロが大洗との練習試合から引き上げる際に画面に映り込んでいるカットがある。