天照/加具土命(NARUTO)

登録日:2015/11/20 (金) 4:35:00
更新日:2024/03/20 Wed 11:43:32
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天照(あまてらす)」「加具土命(カグツチ)」とは、共に『NARUTO‐ナルト‐』に登場する血継限界万華鏡写輪眼」を開眼した者が使用できる固有忍術。
この2つの術は必ず対となって現れるわけではない別個の術だが、加具土命の能力の性質が(少なくとも作中では)ほとんど天照ありきなので一緒に紹介する。
ちなみにこの二つは両方とも「炎遁(えんとん)」という血継限界の性質変化に属する。



天照(あまてらす)

万華鏡開眼者のみが使用可能。
作中の使い手はうちはイタチうちはサスケ
イタチは右眼に、サスケは左眼に宿した。

術者の視界の中でピントを合わせた物体に黒炎を発生させ、消滅するまで燃やし尽くす術。
天照の火力は火遁の術のそれを遥かに上回り、衝突することで「炎さえ燃やす」程の熱量を持つ。

敵が視界に入りさえすれば発火できるため発動条件は緩い上に、生身でくらってしまえばそれだけで焼死してしまうのでとても強力な攻撃手段と言える。
黒炎は対象物が燃え尽きるまで消えることはないが、イタチは目を閉じることにより任意で鎮火可能。

欠点もまたいくつか存在する。
まずは発動するためには同じ万華鏡瞳術である月読以上のチャクラが必要であり、さらに使用時に必ず眼から血涙が流れる程の負担までかかってしまう。
また眼への大きな負担は視力の低下にもつながるので、回数を重ねるごとに目標にピントを合わせることも難しくなっていき、失明までの時間も早まる。
第一部で自来也の蝦蟇口縛りから脱出するためにイタチが使用し、岩蝦蟇の内蔵を焼き払って脱出することに成功しているが、月読と天照を日に両方とも使わされたために戦闘はおろか、しばらくの療養が必要なほど消耗してしまった。
ただし、永遠の万華鏡どころか輪廻写輪眼を開眼したサスケにも流血描写があるため「流血するから他の万華鏡瞳術より視力低下速度が速い」とまで言えるかは不明。
また対象を燃やすだけなので、障害物を隔てた相手には効果を発揮できない。

さらに、火遁と比較して燃焼スピードが著しく遅い
燃え尽きるまで消えないのは確かだが、燃え尽きるまでに時間がかかる。
イタチが長門に使った際は、点火の後長々と話していたにもかかわらず右腕の半分と体の1/5程度を燃やしただけだった。
ただしこの欠点は第二部以降のもので、前述の岩蝦蟇の内臓(本来火を吹くため耐火性が高い)に使用した際は一瞬、どれだけ長めに見繕っても数秒で大穴を開けていた。
また、作品終盤にもなると普通の火遁はまともに直撃するケース自体がほぼ無く、実際のところ特別「火遁と比べて燃焼スピードが遅い」という意図があったのかもよく分からなかったりする。

戦いの水準が高度になるにつれて、膨大なチャクラを眼に収束させてから焦点を合わせて発動する、三工程のタイムラグは軽視し難い要素となっていく。
当初は必殺の忍術だったが、五影クラスをも超越した相手との交戦において、サスケは陽動や牽制くらいの役割しか、天照単体に対しては見出していなかった。

応用として万華鏡の特性を利用し、他者の写輪眼に天照を仕込む「転写封印・天照」という技術も存在する。
イタチ戦後にサスケの元に現れたトビの写輪眼に反応し天照が発動、あらゆる攻撃をすり抜ける彼が焼死しかけた。
『転写封印』自体は万華鏡による術のため、他の術を仕込むことも可能。例としてイタチがシスイの『別天神』による幻術発動をナルトに仕込んだことが挙げられる。


加具土命(カグツチ)

万華鏡開眼者のみが使用可能。
作中の使い手はうちはサスケ
彼の右眼に宿った瞳術。
天照の黒い炎をコントロールし、形態変化させる術。
サスケはこの能力で片目では制御できない天照をコントロールしている。

当たればその物体を燃やし尽くす天照の黒炎を自在に操ることができるという性質は脅威であり、薬師カブトが称した通り「最大の攻撃瞳術は最大の防御にもなる」。
ピントが合ったものにしか作用しなかった天照を剣や盾にしたり散弾のように撒き散らしたりと応用が利き、消費するチャクラや眼への負担も天照を連続使用するよりはずっと少なく済む。

須佐能乎に黒炎を纏わせることにより攻撃をしてきた雷影の腕にカウンターを与えて腕を奪ったり、千鳥と融合することでナルトと九尾の残りの全てのチャクラを注ぎ込んだ螺旋丸と相殺して腕を吹き飛ばしたりしている。

サスケは更に須佐能乎(スサノオ)から放たれる矢に黒炎を形態変化させて付加することにより矢の威力を上げて放つ『炎遁・須佐能乎加具土命』という技を使う。
またナルトの風遁・超大玉螺旋手裏剣と全く同じチャクラ比率で合わせることで威力、規模が強大化する。「火を助けて大きな力にできるのは風の力だけだ」という過去のナルトの発言を形にした術である。

ミナト「名づけて灼遁・光輪疾風漆黒矢零式……イヤ、ないな」

これらの応用からサスケは「イタチよりも黒炎に長けているというのか?」と雷影の側近、シーに評価されている。
また千手扉間曰く、加具土命の使い手は過去にもいたらしいが、サスケほどの使い手はいなかったようだ。

ちなみにこの術は
  • 天照とのコンボ用で単体では無意味
  • 弾丸のない銃のようなもの
と認識されているが、これは勘違い
加具土命の正体は「天照と同じ黒炎を小規模に発生させ、それを形態変化させて使用する」瞳術であり、天照の黒炎をコントロールするのは発生する炎が同じことを利用した応用。
この術で発生する黒炎は性質こそ天照のそれと同じだが、射程・規模は大きく劣る。
天照の炎が発火直後から問答無用で燃え広がるのに対し、こちらは最初から術者の制御下に置かれ、燃やさず維持することが出来る。

作中の描写を見ると、サスケは通常は応用の利くこちらを、不意打ちや一撃必殺を狙う際には視点発火の天照を、単独で対処できない場合は天照で威力を確保して加具土命でコントロール、と使い分けている。
裏付けとしてサスケは、ナルトとの最後の一騎打ちの際、瞳力とチャクラを消耗しすぎて左目が開けられない状態で黒炎と千鳥のあわせ技「建御雷神(タケミカヅチ)」を行使している。
天照は性質上「目で見ないと発火出来ない」=「左目が開けられないのでこの時は使えなかった」ので、このときの黒炎は加具土命によって発生したものだと推察できる。
ちなみに、加具土命の方も視点発火するのは同じだが、手元にしか点火できない。

勘違いが発生したのは、この術を見たシーの「天照を形態変化させる術」という見立てと、陣の書での「天照に形態変化を加えた術」という説明が原因。
もっとも、前述の「建御雷神」は最終盤も最終盤であり、加具土命の初出からリアルで4年以上経過しているのでこのような印象が付いてしまうのも致し方ない状況ではあった。
天照と比較すると、取り回しの良さと使い勝手は大幅に上だが、射程と威力の問題で「不意打ち」「遠距離攻撃には不向き」と実質相互互換に当たる。


◆対策

この手の一撃必殺な能力にとっては常と言えるが、対策手段が少なからず存在する
特に天照の場合は作中序盤から登場し、中盤にはメインキャラのサスケが使い始めた事もあって作中でも実際に様々な方法で対抗されている。
燃焼スピードの劣化もメタ的にはこれと似たような理由と思われる。

  • 封印術
作中で最初に実行された裏ワザ的な対処法。
火遁の封印術で封印することが出来る。
自来也はこれで対処していた。
ただしこの場面はあくまでも戦闘終了後の後始末といった形であり、実戦中、それも視点発火への対処法として有効かは微妙なところ。

  • 燃焼部分の排除
天照が着火した部分のみを排除してそれ以上の延焼を防ぐ。
サスケはイタチの天照を脱皮によってやり過ごしており、ナルトは後述の感知能力も駆使して燃焼箇所に予め九尾チャクラを発生させてチャクラのみを切り離している。
また、十尾と四代目雷影・エーは燃え移った部分の肉体その物を切除して乗り切ったが、再生能力持ちだった前者はともかく後者は利き腕だった右腕を失ってしまっており、「消せない炎」という性質はやはり脅威となっている。

  • 遮蔽物を用意する
おそらく最もベターな対策。
天照は通常の火遁と異なり貫通力はないため、壁を燃やすことはできても壁を挟んだ向こう側を燃やすことはできない。
加具土命の場合は壁の材質や質量次第といったところか。

  • 超スピードによる回避
着火するより前に高速移動で天照自体を回避する。
シンプルな対処法だが万華鏡写輪眼の捕捉から逃れるのは並では無く、実際に可能としていたのは雷遁チャクラモードによる超スピードを実現させていた四代目雷影くらいである。

  • 高度な感知能力
極めて高い感知能力を持つ忍であれば、膨大なチャクラの動きから事前に発動を察知して対処に移れる。
これも実際にやってみせたのは六道仙術を修めた後の六道オビトとナルトのみ。

  • チャクラ吸収
天照に限らずチャクラを主体とした忍術全般の大敵。
輪廻眼・餓鬼道が代表格であり、最終決戦では大筒木カグヤに陽動として放ったものの即座に吸収された。
続編においてもチャクラ攻撃を吸収できる能力「」が新たに登場し、実際にサスケの天照がジゲンに吸われてしまっている。

  • 陰陽遁
忍術その物を無効化してしまう忍術。
六道オビトに直撃を食らわせたものの、求道玉によって天照自体を消されてしまった。
一応仙術ならば通じるため、サスケが仙術を会得した後ならば効いたと思われる。


◆関連術

主にゲーム内でのバリエーションだが、原作で使用されたものも多い。
  • 炎遁・加具土命(カグツチ) 飛炎
黒炎を飛ばす。

  • 加具土命(カグツチ)の剣
形態変化させた黒炎を刀として使う。
サスケはもっぱら須佐能乎の武器として用いる。

  • 炎遁・須佐能乎(スサノオ)加具土命(カグツチ)
須佐能乎の武器に黒炎を纏わせて攻撃する。
加具土命の弱点である威力と射程を補うためのコンボ忍術。
上記の加具土命の剣をそのまま矢として用いることもある。

  • 炎遁・豪火球の術
火遁・豪火球に黒炎を混ぜ込んで放つ。

  • 炎遁・火雷(ホノイカズチ)
アニオリの術で、ナルトとの一騎打ちで使用。
輪廻眼・天道との合わせ技で、万象天引で引き寄せた相手を全身から伸ばした黒炎の刃で串刺しにして焼き尽くす。

  • 建御雷神(タケミカヅチ)
千鳥とのあわせ技。
千鳥の雷撃を加具土命で発火させ、威力を増加させる。

  • 炎遁・螺旋手裏剣
こっちはナルトの風遁・螺旋手裏剣との合体術。
加具土命の炎を螺旋手裏剣に巻き込むことで一気に拡大させ叩きつける。


◆元ネタ

天照の元ネタは日本神話に登場する三貴子(みはしらのうずのみこ)の一柱、天照大御神(あまてらすおおみかみ)

DQNな弟の暴れっぷりに気が病んで天の岩戸に引き籠った逸話で有名な高天原で一番偉いお姉ちゃん。
実は「大神」の方が名前。
「天照大神」とはアマテラスという偉大な神様、という意味の名前じゃなくて天を照らすオオミカミ様、って意味なんだってさ。

加具土命の元ネタも日本神話における迦具土。
火を司る神であり自身も火を纏い生まれてきたが、出産の際に母のイザナミの陰部を火傷させて結局母を殺してしまった親不孝者。
父のイザナギは妻の死に深く悲しみ、激怒の念と共に十拳剣でカグツチを斬り殺した。
どうしろというのか…。



追記・修正は黒炎を形態変化させてからお願いします。

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