8.21フジテレビ偏向報道デモ

登録日:2011/12/28 Wed 00:29:34
更新日:2022/09/25 Sun 07:54:05
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この記事では2011年8月21日にフジテレビに対して発生した抗議デモ。及び、これに前後して発生した出来事について記述する。


発端から過熱へ

きっかけとなったのは同年7月に俳優の高岡蒼甫(現・高岡奏輔)が
自身のツイッターにてフジテレビが韓国に偏重している番組編成をしていることについてツイッター上で批判。
直後に謝罪したものの、所属事務所を解雇される事態となった。

この一件により、反韓意識が高いネットユーザー達が一気に過熱。
自身の検証の結果、フジテレビが韓国に肩入れしているのではという多数の証拠を挙げていった。

以下は検証によって挙げられた代表的な例である。
  • 昼2時代に「韓流α」として韓流ドラマを放送。
  • ランキング関連や人気商品の紹介に置いて、多くの物において1位が韓国関連の物となる。特に「好きな鍋ランキング」では10代~50代全ての1位が「キムチ」と放送された。
  • 毎週のようにK-POPアーティスト特集を行う(当時はKARAや少女時代、東方神起などが人気だった)。
  • サッカーの代表戦の表記が日本ホームの試合であるにもかかわらず「韓日戦」と表記された。
  • フィギュアスケートにおいて韓国の選手であるキム・ヨナの好成績を讃える一方、日本人選手優勝時にはやや雑な扱いで報道されていた。
他にも
  • アニメにも東方神起のポスター(ただし、あくまでそれ風なだけ)が登場する
  • ドラマ内での「空メール」の表記が「KARAメール」と表記されていた。
  • スポーツニュース番組「すぽると!」のセットが韓国国旗に描かれている太極旗に酷似している(元々すぽると!のロゴは2つのブロックを合わせて「S」を表しているため、必然的に似るのだが)。
  • 番組内のセットに意味もないのに「KARA」のネオンサインを置く(実際は番組名「フジテレビからの~」の英語表記ネオンサイン「FUJITV KARANO」の一部分が見えていただけ)。
と、かなり言いがかり的な物も含めてあげつられていき、だんだんとフジテレビに対する批判の声が上がっていった。

さらに、ドラマ「花ざかりの君たちへ」では
主演の前田敦子が着たTシャツに「リトルボーイ(広島に落とされた原爆の名前。奇しくも放送日は広島に原爆が落とされた日の翌日)」と書かれていたなど、
完全にフジテレビが「反日・親韓スタンス」「日本人の敵」として認知されていった。

ちなみに、同時期に韓流ドラマを放送していたTBS・テレビ東京は今回の騒動では蚊帳の外である。


デモの発生・さらなる炎上

そして、上記の高岡の解雇という「テレビ局の圧力に屈する」事例が発生した結果、
大規模OFF板の住人と鬼女達が中心となり、フジテレビの偏向報道に対するデモを計画。

8月21日を決行日とし、2ちゃんねるを中心に、ツイッター、mixi、ニコニコ動画、YouTubeで大々的に呼び掛けた。

また、8月8日の「フジテレビの日」には視聴率を下げるべく「不視聴運動」を繰り広げた一方、「あくまで監視のため」としてフジテレビを見続ける人もいた。

デモ結構当日。第一陣だけで6000人、第二陣と併せると13000人(警察発表)を超える大規模なデモ隊を結成。
フジテレビの周りを完全に包囲し、約2時間に渡りデモ行進を行った。
この様子はニコニコ動画、YouTube、ユーストリーム等で生中継され、100万人以上が視聴したとされる。
なお、この時はお台場夏のイベント「お台場合衆国」も開催されており、夏休み終盤で来た親子連れも多数フジテレビに来ていたため、現場はかなり異常な雰囲気だった模様であり、
一部参加者はデモを気にせずイベントを楽しむ親子に対し威圧や恫喝していたという事例もある。

その直後からはフジテレビとしては「顧客」でもあるスポンサー企業狙いにシフト。
当時フジテレビに対して一社提供番組を出していた花王に対しての不買運動や、
韓国人女優であるキム・テヒをCMキャラクターに起用したロート製薬に対しての質問を求めるなどエスカレートしていった。
なお、ロート製薬の件は右翼団体が抗議して担当者を恫喝したとして脅迫の疑いで3人が大阪府警に逮捕され、
その後の裁判で執行猶予付きの有罪判決が確定している。

また、ドラマのスポンサーを務めていたチョーヤ(梅酒などで知られる)がスポンサーに載っていなかったことから、撤退したのではと報じられたことも。
実際のところは不定期スポンサーで出さなかっただけという真相であったものの、
やはりフジテレビの韓流押しについて苦言を呈していた。

が、デモ直後からもフジテレビが秋クールにキム・テヒをヒロインに起用したドラマを放送したり、
ドラマ内の小道具に
「JAP18(AKB48のパロディだが、JAPは日本の蔑称、「18」は韓国語で侮辱を表すスラングとしても使われる)」
の表記があったりと、やはり火種を捲き続ける結果となった。

しかし、その後はフジテレビの韓国推しに関しても収まっていき、
デモも自体も翌月9月や「1周年」として翌年8月にも行われていたが、現在はほぼほぼ収束している。

なお、この一件、特にデモに関してはアジアのみならず諸外国のメディアでは報じられたものの、
日本国内のテレビ・ラジオ局は大阪・読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」で報道されたのみである。
他の放送局の関係者によると「下手に報道して自局にどう影響が出るか解らない」という理由かららしい。
日本国内の大手一般紙、主要スポーツ紙全紙と全ての週刊誌は程度の差はあれ一般紙はそれなりの、スポーツ紙と週刊誌はかなりの紙面やページを割いて大々的に報じていた。

フジテレビをはじめとするフジサンケイグループ
(フジテレビ、ニッポン放送、産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジ、扶桑社、ポニーキャニオン、文化放送)
と関係が深い阪急阪神東宝グループ、松竹は非常に保守的な考えを持ったメディア集合体であることはよく知られており、
このデモが起こった際は、同じく保守的なメディアの一つである読売グループ
(読売新聞、日本テレビ、RFラジオ日本、中央公論新社、読売巨人軍など)は
「デモ隊はまずフジテレビの歴史を学んでからデモを行うべきであり、はっきり言ってバカ丸出しである(意訳)」
と痛烈に批判した。


※この批判はもっともである。
 しかしその一方でTVメディアはその歴史と性質(それと雇用関連)から、スポンサーの意向の影響を強く受けやすいため、
 「〇〇グループと関係が深いのでそれと近い考えである」とは言い切れないことも事実である。良くも悪くも。


その後

デモから7年が経過した2018年現在。それぞれを取り巻く環境も大きく変化している。

フジテレビ

この時期にすでに「視聴率を稼げる質の高いコンテンツを自力で創出する」という姿勢と能力が失われていたようで、この騒動以降、年を経るごとにやることなすこと裏目に出はじめる。
編成の失敗など自滅的な形で年間視聴率三冠から陥落。
日本テレビ・テレビ朝日に次いで視聴率3位というポジションだったが、
ドラマの大ヒットで息を吹き返したTBSにも追いぬかれ、民放最下位に転落してしまう。
好調といえるのは平日朝の情報番組だけであり、年末年始特番で1桁前半視聴率連発というあまりにお寒い惨状は記憶に新しい。

「王座からの陥落」という事態が大きく話題となり、「振り向けばテレ東」「振り向けば東京MX」などと煽られていたが、ついには一時的とはいえゴールデン時間帯の視聴率でテレ東にまで敗北、2015年度7~9月期の決算では開局初の完全な赤字決算を出してしまう。
現在では赤字の放送事業を副業の都市開発事業で補う経営状態となっており、もはや不動産会社がテレビ局をやっているとも言える状況にある。

もはや「フジテレビ凋落」やフジテレビの腐敗体制をこき下ろす記事には事欠かず、完全にネガティブなイメージが定着してしまっている。

ちなみに、デモ当時はフジテレビ内から高みで見物しながら「ネットの一部の連中が声を上げてもどうせ何も出来ない」とこぼす、こっそりデモに紛れ込んで遊ぶ者がいたなど、フジテレビは事態を重く受け止めていなかった様子。
まあ結果はごらんの有様であるが。

社長も遅まきながらも『負け』を認めて再び王座奪還へ向けて試行錯誤中だが、いまだに再生の糸口はつかめていない。

当時のフジテレビは2008年に起きたリーマンショックによる後始末やライブドアとのニッポン放送株争奪戦によるダメージが非常に深く、
また「発掘!あるある大事典」でのデータねつ造事件(番組自体は関西テレビ制作だが、
フジテレビも番組制作に深く関わっていた)により財務状況が深刻化。2009年には「F1日本GP」の冠スポンサーを降板する事態となってしまった(2019年はホンダが日本GPの冠スポンサーになる予定)。

さらに東日本大震災によるCM自粛により、広告収入料が激減したため、自前でドラマを製作することが重荷となっていた。
このため、韓国SBSとの番組融通契約及び緊急時報道協定を活かして、フジテレビ側が過去に製作・放送したドラマをSBSに格安で販売したのと引き換えにSBSが製作したドラマをほぼタダ同然で放映権を取得。
穴埋めのような形で関東ローカル枠で放送していた。

やり玉に上がらなかったTBSやテレビ東京もほぼ同様の理由だが、テレビ東京の場合は韓国の複数の民放局と双方の時代劇を交換しようとリーマンショック前から行っていたため、
テレビ東京関東ローカル枠では2015年10月まで韓国の時代劇を放送していた。
放送が終了したのは韓国への批判が原因ではなく、韓国に渡す時代劇の在庫が無くなったためである。

韓流ブーム

デモの影響…というよりかはごく自然なレベルで韓流も下火となっていった(というより、火付け役である冬ソナから10年も維持していたのが凄い)。
韓流アーティストグループもトラブルや内紛により脱退・解散というケースも多くなり、現状は韓流ブーム以前と変わらないレベルまで落ち着いたと言っていいだろう。
全ては「番組としての出来や視聴者受けを二の次にして、視聴率や利益が得られそうな題材に安易に飛びつく」という体制が生み出した結果である。

ネット右翼・行動する右翼

今回の件で「ネット発信であっても力を持つことができる」ということから多くの「行動する右翼」が登場。
大口スポンサーである花王へのデモを始め、在日韓国人・朝鮮人に対する抗議デモが活発化した。
しかし、それと同時に先鋭化・過激化も進行。

2013年からはこれらのデモに対する抗議として「カウンターデモ」が登場。
国会でも「ヘイトスピーチ」として民族差別を煽る演説について問題視されるようになった。
さらに、デモ内外における暴行などの事件沙汰も発生。
フジテレビデモでついたネット層が離れていった結果、これらの右翼系活動もまたフジテレビデモ以前のレベルまで落ちついていった。

先述したように、ろくにフジテレビの社風やメディアとしての伝統的な立ち位置をおざなりにしてデモを行った結果、逆に他の保守系メディアから猛烈なバッシングを受けたほか、
在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチなどで壊滅させられたというより自壊したと言った方がいいのかもしれない。

芸能人のコメント・テレビとネットの交流

今回のデモについて一番有名なフレーズとして
岡村隆史(ナインティナイン)の「嫌なら見るな」が賛否両論を巻き起こした。
ちなみに2018年になって加藤浩次に指摘されて、ようやくこの発言に対して遅すぎる謝罪をしている。
ただ、岡村は今回のデモ発生から一ヶ月程前に起きた27時間テレビのトラブル(通称バスケットボール事件)で、ネットでの関係者への中傷に憤慨していた。岡村がこのような発言をしたのは、バスケットボール事件以降抱いたネットユーザーへの不信からだろう。
また、数日前には岡村の殺害を予告するメールが送られる事件も発生していた。

一方、このネットの力の強さを目の当たりにした結果、これまで積極的ではなかったテレビ番組とネットの相互利用や、
ネットで話題となった物事をテレビで紹介するという形も出てきた(これに関しても賛否両論ある)。

なお、高岡が解雇された原因は引き金は先述の件ではあるが、それ以前より事務所の意向を無視した行動が多々あり、事務所が持て余していたこと、
日テレなどの保守派メディアのみならず、テレ朝などのリベラル系メディアからも「他局ではあるが、フジテレビの歴史的経緯を知らない奴がうちの会社の歴史なんざ知るわけないから、使えね~」という、はっきり言って自業自得な面があってのことである。

このデモをきっかけに当事者のフジテレビ含め多くの人間・団体が巻き込まれたが、

「ネットの力が決して微力ではない」

という結果は、その後の大きな動きの始点になったともいえよう。




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最終更新:2022年09月25日 07:54