ベイビーステップ(Baby steps)

登録日:2015/05/27 Wed 21:26:16
更新日:2024/03/17 Sun 13:37:23
所要時間:約 24 分で読めます




Baby steps(ベイビーステップ)とは、かつて週刊少年マガジンに連載されていた少年漫画。勝木光:作。
ジャンルはスポーツ(テニス)。


あらすじ

成績(体育以外)オールAの生真面目で几帳面な高校生、通称エーちゃん。
運動不足を気にした彼が母親から半ば無理矢理テニスクラブの無料体験に向かわされ、
見学で済ますはずがコーチに体験を薦められてしまうも、ラケットでボールを打ち返す感動と快感を知る。
テニスを始めたエーちゃんは徐々にその楽しさに魅了されていき、プロを目指すようになって行く……。

概要

主人公丸尾栄一郎が試合での勝利、次にプロを目指して奮闘するスポーツ漫画。
ただのテニス漫画と侮るなかれ、これはいかにも漫画チックな画風とは裏腹に、超本格的リアル指向の作品なのである。
テニス経験者でもある作者が綿密な取材の元、詳細な描写や丁寧な説明、躍動感溢れるイラストを織り成す。
時に読んでる自分もテニスをしていると錯覚してしまうほどのもの。
初めてテニスに触れた人はもちろん、テニス経験者及び現役プレイヤーにも絶賛されるクオリティを誇り、
読んでいるとまたラケットを握りたい衝動に駆られる。
基本的にシングルスのみでダブルスについての言及は殆どない。
間違っても人を吹っ飛ばしたりボールが跳ねなかったり真っ二つにしたりネットを焼いたりスケスケにしたり悪魔化したり天使化したりもしない。


◇登場人物◇

~南テニスクラブ(STC)~


丸尾栄一郎

CV:村田太志
主人公。トサカのような髪型。体育以外オールAの成績を持つのであだ名は“エーちゃん”。
真面目かつ几帳面。授業の内容を事細かに記載し、整理し、分かりやすくまとめた通称“エーちゃんノート“を作り、
テスト前には友人やクラスメイトにレンタルされる。
その書き込みと作り込みは奈津から「キモッ」(悪意はない)と言われてしまうLv。

所謂ガリ勉の優等生で運動不足を気にしていたため、何か運動をしようと考えていたところ
母親からテニスクラブの無料体験に行かされ、現場のコーチにも体験させられてしまう。
しかしこの出来事から彼はテニスの楽しさに惹かれていき、人生を左右する出会いとなった。
当初は趣味も夢もなく、テニスを経験しなければ恐らく平凡ながら順風満帆なエリート街道を進んでいたはず。……あれ?
後にプロになるため両親(主に母)を説得。テニスに専念する条件として
「全日本ジュニアで優勝出来なかったらプロを諦める」ことを提示した。

負けず嫌いで時に暴走しがちであり、下手に根性があるせいでぶっ倒れるまで頑張ってしまうことも。
小学生相手にムキになるあたりちょっと大人げない。
コツコツとしたことが好きな性格故か壁打ちを何時間でも続けられる。
誠実とはいえお人好しが過ぎるところもあり、全日本ジュニアへの出場が掛かった場面で、
不可抗力とはいえ相手が遅刻し、丸尾がその気なら不戦勝に出来たのにあっさりと了承したり。

彼が脅威的な成長を遂げているのはひとえにひたむきな姿勢とアドバイスを受け入れる素直さによるもの。
1試合どころか1球たりとも無駄にしないで糧とする、向上心と成長性の化け物。
コートチェンジの合間に、ボールの軌道/着弾地点/球種/相手の傾向/フォーム/等々を事細かにノートに記録し、
分析の手助けにしている。が、これには挿し絵やイラストや注釈までもが付いており、
しかもどれもが定規かパソコンでも使ったのかと言いたくなるほど綺麗。
テニスバック一杯になるほどの数(現時点でNo.69まで確認)があり、作中で目撃した人にはその量にまず引かれる。
“ノートのやつ”と覚えられていることも多い。しかしコーチなど指導側の人間からは初見でも称賛される。
その几帳面な性格から来る分析力は本物で、青井コーチがサーブの重要性に気付かせるために行った
タクマとの練習試合で目論見通り気付いた他、タクマのフォームを参考にして
高速サーブの模倣まで始めてしまったため、不相応な運動による故障を危惧したコーチにより試合を止められた。

  • テニススタイル【オールラウンダー】→【チェンジ・オブ・ペース】
苦手な球種もないがこれといってウイニングショット(決め球。ここぞという時に決定打になる攻めのショット)も持たない。
選手として決して恵まれた体格ではないが、後にトレーニングにより高速のサーブを習得、
他に天性の優れた動体視力と目の良さを持つ。分析と推測を重ねた上での戦術立案と正確無比なコントロール、
どんな逆境でも折れない精神力が武器。
試合の中でこそ学習と対策を行うため、彼に試合中一度やったことは二度通用しない。正直1番やり合いたくないタイプ
三浦コーチに授けられた「全てのボールに追いつき、それをコントロールできれば理論的には負けない」が信条。

当初は初心者で出来ることと言ったら「向かってきたボールをストロークで打ち返す」くらいだった為に、
持ち前の根性と目でとにかく粘る“シコラー”だったが、次第に攻め手がない不利を痛感。
それでもシードの大林良に「経験が伴っていたら……考えたくねえ」と思わせた。
速球や技巧ではなく、正確なコントロールを武器にして戦うことを考え始める。
練習を重ねてどの球種もグラフにすれば綺麗な円になる塩梅の平均前後おぉんに伸ばしたものの、
苦手がない代わりに決め球も持たない弱点が露呈するように。
健闘するも荒谷に惜敗し、悔しさのあまり涙まで流すがそれをバネにして肉体改造(トレーニング)を開始。
有力な選手がいないとはいえSTCカップに優勝するなど力を上げ始める。
フロリダ短期留学で池の機転により試合回数に恵まれ、負け癖がついてしまうも克服。
これまで体験してきた試合よりワンテンポ速い「2段階のテニス」と「重い球」に対応、自身も習得する。
帰国し快進撃を進めるが決勝で荒谷にまたも惜敗。左利き対策を学び、
豊富な球種と緩急を巧みに操り相手のペースを乱す【チェンジ・オブ・ペース】に転向。

彼のテニスは相手を分析し、己の持てる全てで穴を突いて戦うスタイルなため、
必然的に相手に自身のプレイに直面させ、(本人は意図してないが)己を見つめ直させる。「鏡のようだ」と例えられたことも。


鷹崎奈津

CV:寿美菜子
ヒロイン。プロを目指すテニス選手。エーちゃんがテニスにはまるキッカケになった1人。
池爽児とは幼馴染の関係で、彼をテニスに誘った張本人。
彼女が「強くなる」と言ったのは池爽児と丸尾栄一郎。
全国区屈指の実力者で、強豪揃いの神奈川でも敵はいないとされる。清水亜希がライバル。
学校1と称される今風の美少女。天真爛漫な性格で分け隔てないが遠慮もあまりない。
天然の気もあって思ったことをついつい言ってしまいがちでもある。
友達にテスト前にノートを貸してもらおうとしたところ、「エーちゃんノートの方が良いよ」と薦められ、
見てみたところ思わず「キモッ」と言ってしまう(重ねて言うが悪意はない)。
加えてすっ転んで弁当箱をひっくり返し、エーちゃんノートにヒットさせてしまい汚すなど、
エーちゃんの第一印象は決して良くはなかった。
STCに訪れたエーちゃんを快く迎え、アドバイスを送ったりと気にかける。
タクマとのサーブ勝負では彼女らしく大雑把で伝わりにくいものの的確な助言をした。
初心者ながら必死に頑張り、全力でテニスを楽しむエーちゃんの姿を見ているといつしか励まされるようになり、恋心となっていく。


  • テニススタイル
“理論派”のエーちゃんとは対極的な、超がつく“感覚派”。
セオリーや戦術はあまり考えずに肌で雰囲気や戦況を感じ取ってプレイする。
試合開始から終了まで切れることのない高い集中力が武器。
そのためかメンタルコーチのマイクには「ナツにはあんまり教えることがないネHAHAHA」と言い切られる。
理屈で色々考えすぎてしまいがちな男性と比べて「自分にとっていいこと」を全て自分の力に変えてしまう脅威のメンタリティ。
エーちゃんと付き合うようになってからは幸せの絶頂で「強すぎて相手が可哀想なくらい」とコーチにこぼされるほどの絶好調。
また、エーちゃんと試合した際には目的も理論も読めないスタイルで翻弄し、
逆に何をやっても対応してくるデータテニスに驚き、互いに良い刺激と経験になった。

江川逞

CV:浪川大輔
栄一郎や奈津の高校の先輩で同じくSTCに所属するテニス選手。全国区のプレイヤーで後にプロに転向。
どこぞの幻想殺しや逆転弁護士を想起させるウニ頭。190センチの長身で目つきが鋭い。
初見では大概の人に怖がられる形相でジッサイ学校では不良。ニコチンをゴニョゴニョしていて隠そうともしない。
が、表立ってワルはしないためか先生からも呆れ半分で接されている。
(気性の荒い荒谷でも、「タクマに栄一郎が喧嘩を売った」と聞いた時は「マジで?」と少し青ざめ、
その話を聞いたであろう後輩達に「丸尾先輩」と呼ばれる運びとなった)。
そんな感じでガラは悪いが案外面倒見は良く、初試合で浮き足立っていたエーちゃんを諭したり、
練習には何だかんだで付き合うことも。
10年以上前から奈津に恋心を抱いていて、周知の事実ではあるが本人に伝わっているかは不明。
奈津とイイ感じになっていた(ドのつく初心者時代の)エーちゃんにサーブ勝負を挑むなどかなり大人げないこともした。

かつて10年に1人の人材と呼ばれ、日本はもちろん世界での活躍も期待されていた人材であったが、
まだひよっ子も同然のテニス歴だった池爽児に完敗し、「こいつには一生勝てない」と絶望して意欲が著しく下がり、
続けはするものの身を入れない中途半端な時期を過ごしていた。
実力以下の相手に負けることもしばしばあったが、それでも「プロを目指すヤツだけには負けない」という気持ちで、
そう実力が離れてない荒谷には意地で全勝していた。
しかし、世界でも通用するタクマのサーブを前にしても物怖じせず、
どころか立ち向かってくるエーちゃんに心を動かされ始め、ついに再びプロを目指すことを決意。
トレーニングを再開してブランクを埋め、プロ入りを果たす。

ことあるごとに練習を申し込まれたり、打ち合う度に、
自分を始め様々な選手の技術を模倣しモノにしていくエーちゃんには複雑な心境で、苦々しく思っている節も。

  • テニススタイル【サーブ&ボレー】
日本人離れした190センチの長身から繰り出される高速サーブと、繊細なボールタッチが武器。

体格に見合うだけのパワーも当然あるが、それ以上にテクニカルなショットを得意としている。
時を問わずに繰り出す鮮やかなドロップは何度もエーちゃんを苦しめている決め球の一つ。
強烈極まりないサーブはそのままポイントになるし、そうでなくとも押されたボールと相手選手に
多大なアドバンテージを得られる。エーちゃんにサーブの重要性を嫌と言うほど印象付けた。


深沢諭吉

CV:下野紘
STC所属の選手。
着る服の趣味は大分独特。
初心者ながらタクマに喧嘩を売った(ように傍からは見えた)栄一郎を「アニキ」、爽児を「師匠」と呼ぶ。
腰は低めだが対等な関係。テニスに疎い影山達のために説明してあげるなど基本親切。
ただ割と直情的で栄一郎が奈津と付き合い始めたことを知った時は分かりやすく嫉妬し、高木朔夜と対戦した後、トリックプレーを行う彼に怒ったりしていた。
情報通で特に神奈川の選手について詳しく、エーちゃんのノート作成に協力したり、一緒に遅くまで残って練習に付き合ってくれる
エーちゃんのもう一人の親友と呼ぶべき人物。基本的には解説役。
他意はない……はずだがエーちゃんに対して抱きついたり手を両手で握ったり号泣したりといちいちオーバーなために疑惑がある。他意はない、はず。
エーちゃんとも打ち合えるし実力もあるが本番に力を発揮出来ないタイプ。本人曰くプロを諦めた人間だがテニスへの情熱は変わらない。
念願叶ってエーちゃんと共に全国大会出場を決め、更にアニキと慕う彼との対戦が大舞台で実現した。


田島勇樹

CV:優希
STC所属。栄一郎より8学年下の少年。
神奈川ジュニアの12歳以下の部で、小学2年生ながら第一シードを獲得した経歴を持つ天才児。
帽子と絆創膏が似合うやんちゃ盛りで、年上なのに体力がなく小学生達に負けていた栄一郎をからかい、
若干馬鹿にしていた(ムキになって対抗していたエーちゃんのせいもある)。とは言っても年齢差を気にせず気兼ねなく話せる仲。
プロを目指す1人でもありフロリダ留学をしたことがあり、エーちゃんに「良い経験になると思うぜ」と助言したが
実は3日でホームシックになり母親が駆けつけたらしい等と、年齢相応の一面もある。


~大杉高校~

影山小次郎

CV:寺島拓篤
エーちゃんの親友兼悪友。
中学からの付き合い。エーちゃんの良き理解者で、
色々真っ直ぐだったり熱意が有り過ぎて誤解されやすいエーちゃんをフォローする。
テニスには全くの無関係ながらエーちゃんが夢を追う姿を見守る。
休日の練習に付き合ったり、試合の度に観戦しに来る友達想いのヤツ(無論試合会場に行くには交通費がかかる)。
数学ならエーちゃん以上の成績を誇り、部活の将棋もかなり強い切れ者。
下品ではないが下世話なところもあり、エーちゃんをからかう目的で、「シコる」という用語を知らなかったエーちゃんに、
我々の大体が思うような意味を教えて真っ赤にさせ、慌てる彼を見て腹を抱えて笑っていた。
エーちゃんと奈津(と佐々木さん)の恋愛模様を見守る一方で、自分はこっそり佐々木さんを狙っている。


佐々木姫子

CV:瀬戸麻沙美
眼鏡と三つ編みがよく似合う感じの少女。
テニスを始めてからどこか逞しくなった栄一郎に好意を抱き、影山と共に試合に赴いている。
一方で同じ場所に立って同じ夢を追う奈津との距離の差は自覚していて、
奈津と付き合い始めた時にショックは受けたものの取り乱しはしなかった。


~他の選手~

大林良

CV:前野智昭
湘南工業学院の高校生で、栄一郎の1年上。梅田TCに所属している他部活でも副部長を務める。
爽やかイケメンといった風貌で、エーちゃんの初試合の相手。
最初こそ思ったより良いリターンを返す栄一郎に驚いたが、すぐに初心者だと気付き、
「能動的に球種を選びにくい」等の弱点を的確に突いて勝利。だがどこまでもボールに食らいつき返してくる姿に
「もう少し経験が伴っていたら……」と考えさせられた。
後輩の応援に駆けつけ、周りを気にせずに大声で鼓舞するなど熱い一面もある。

  • テニススタイル【サーブ&ボレー】


宮川卓也

CV:柿原徹也
湘南工業学院にの高校生。栄一郎より1年下。実家でもある宮川T.A.所属。
童顔気味だが180センチの長身。
外見に違わず優しいが、割と毒も吐く。普通なら憚られる質問を平気でするエーちゃんには特にその傾向がある。
疲労回復のために、ここぞという時には必ずコブ茶と梅干しをつまむ。諭吉曰く、
効果的なのは分かるが試合中にやられると少しアレ。

実家がテニスクラブでテニスをするにはこれ以上ない恵まれた環境にいるのに、負け続けの現状を悔しく思い、
変えようとひたすらに打ち込むことで今の実力を手にした。
しかし栄一郎との試合から一辺倒だけではダメだと試行錯誤し、スランプを乗り越えて新たな武器を得た。


  • テニススタイル【ベースライナー】
長身から繰り出される両手両打ちのストロークが武器で、多彩な打ち分けが出来ることから“七色のストローク”の異名を持つ。
フラット・スライス・トップ何でもござれ。特にフラットは精度が高く、アウトすることはまずない。
栄一郎と戦った後、両手打ちのストロークだけでは勝てないと考え、片手打ちのフォアハンドとドライブボレーを会得。
更に攻撃の幅を広め、カバー範囲も伸ばした。

繊細なボールタッチがあまり得意ではなく、ボレー等は苦手。ならばと練習量がモノを言うストロークに集中し、
全球大振りのフラットでもコントロール出来るようになるまで打ち込んだ過去を持つ。


岩佐博水

CV:浅沼晋太郎
栄一郎より1年上で、ファーサイドTAに所属。
両親が芸術家で、本人も絵を描くことが好き。
しかし芸術の世界の厳しさを身をもって知っている親からは、
趣味ならともかく、仕事にしてしまうことは避けて欲しいと家で絵を描くことを諌められている。
それでも隠れて絵を描いており、諦めるつもりは毛頭ない。
テニスをしているのも、「芸術以外にも目を向けて欲しい」という親の意向から。
なのであまり勝敗には固執せず、飄々と自分のプレーをすることに徹底している。
栄一郎と練習試合で負けた時は「クソッ、負けたか」と言っていたり、
一応出来る範囲で勝とうとしていることから、完全に勝敗を度外視しているわけでもなさそう。
そんな変わり者ではあるが理解者は意外と多く、
コーチは本当はやりたいであろう芸術の方をやらせてあげられないだろうかと親に投げかけてみたり、
テニスショップの店員さんは「変わってるでしょ」と微笑んでいた。

栄一郎との試合後、改めて美大に進学することを決意。落ちてしまったらしく浪人中だがへこたれてはいない。
青井コーチの誘いで「暇な時はスケッチして良い」という条件の元栄一郎のヒッティングパートナーになり、
スケッチを元にしたフォームの確認や【チェンジ・オブ・ペース】の見本として助力する。


  • テニススタイル
ボールの軌道や着弾地点から「コートに絵を描く」という、異色も異色なスタイル。
テニヌではないので実際に絵が刻まれる訳ではなく脳内シミュレート。イメージしにくければ、
点を線で結んで絵とする星座のようなものだと思ってください。
絵が描ければそれでいいので、例えラリーの途中であっても絵が完成すればボールの方を見向きもせずに見逃す。
相手が強すぎると絵に専念出来ないし、途中で拾えなくなるほど弱くても困るので、
まだ“シコラー”だった栄一郎は絶好の相手だった。

極めて技術が高いオールラウンダーで、どんな場所からでも狙った場所に打てるボールコントロールの天才。
ただし他ほど真剣でないためか身体面は並程度で、栄一郎戦も筋肉疲労による敗北だった。
強豪揃いの神奈川でシード3、4を張っているが、諭吉からすれば「何でシード3程度で収まっているのかが分からない」Lv。
初戦から格段にパワーアップした栄一郎のハードヒットを苦もなくゆるい球にしてコントロールする様に、
全国トップクラスとなった栄一郎でさえ「これで勝ちにこだわっていたら……」と薄ら寒いものを感じた。
ちなみに超がつく感覚派で、フォームを教えて打たせてもさっぱりだったのに、
「あそこのコーンに当ててみようか」と促した所驚くほど綺麗なフォームで正確に当てたらしい。
栄一郎の見本になっていると言ったが、アドバイスも大雑把で感覚的なので本当に「見本」。


荒谷寛

CV:羽多野渉
GITC所属の選手。栄一郎と同学年。
幼い頃からタクマと戦ってきた実力者で、やや一方的にライバル視している。
中々勝てないので「プロになるっていうのに、こんなところで負けてられるか」と対抗意識バリバリ。
全体的に短期で怒りっぽく、声もデカいし老けてるしでモテないらしい(気にしてるのか指摘された時は反応した)。
時には納得の行かないジャッジをした審判に食って掛かることも。
平時は、多少荒っぽくはあるが丸尾にもフレンドリーに接したり、後輩からも慕われ対戦相手の情報を教えたり面倒を見ている。
また、後述する所属クラブの関係からか競争というものに非常にシビア。

プロ入りを果たす直前のタクマに負けたらプロを諦めると本人に宣言し、丸尾も前哨戦くらいにしか考えてなかったが、
予想以上の強さを発揮する彼に刺激され、勝利はしたが、怒りによって波が生まれるメンタルをコントロールし、
力任せだけではない戦術的なテニスも有効だと気づかれたことから、一目置くようになる。
「もっと強くなれる」と確信した彼は発言を撤回、更なる邁進に努める。
たった2年で全国トップクラスの自分と接戦を演じるレベルの丸尾が左利きに慣れていなかったりする、
池爽児と同じ「急成長するが故の齟齬」を感じて、「ここで潰しておかねえと」危機感を覚える。


  • テニススタイル【ベースライナー】
恵まれた体格から生まれるスプリンターばりの脚力と強靭な上半身を持つパワータイプ。更にサウスポー。
少しでもチャンスボールを作ろうものならカウンターショットを絡めて強烈な決め球を叩き込んでくる。
高校2年生の段階では、丸尾がガットを調節する少しの時間でもイライラしてしまい、プレーに支障が出ていた。
しかしメンタルのコントロールを意識するようになってからはそれも通用せず、懸念だった怒りも好調子の起点に
出来るようになっていた。

彼が所属するクラブは現代スポーツ学を重視したプログラムを組んでおり、過酷な訓練に耐え抜いた者が
全面的なサポートを得られるようになっている。彼の「足で稼いでパワーで押す」スタイルはここから来ていて、
「フィジカルが何よりも重要」という彼の理念の基にもなっている。なので上記の経緯もありメンタルや戦術性の有用性は
認めているものの、若干否定的ではある。


難波江優

CV:櫻井孝宏
長清中央高校に通う、青城アカデミー所属の選手。栄一郎と同学年。
全日本ジュニア2連覇と全日本室内選手権を制した、栄一郎の世代のトップ。
穏やかな見た目と性格で、栄一郎とはまた違った感じの優等生。
紳士的でプレースタイルも派手なものではないため、トップでありながらギャラリーには地味な印象を持たれがち。
彼の力を知っている実力者には、「毎回違うテニスをしていて意外性がある」と人気。
意気消沈していてまともに取り組んでいなかったとはいえ、複数回に渡りタクマに勝利している怪物。
目標として“オールAの選手”を目指す。彼にとってはプロも自分が目指す道で通過する過程に過ぎず、
誰よりも自分と戦っている人物と言える。

丸尾と同じデータ派で、彼はノートパソコンを用いて記録している(幼少期はノートを使っていた模様)。
他の選手をパラメータ化し、ランク付けして評価している。
偵察に来ていたところ、同じく情報収集に来ていたエーちゃんとばったりと出会い、(“同類”かな)と思っていた。

  • テニススタイル【オールラウンダー】
“オールAのテニス”を目指すと明言している通り、どんな球種もどんなプレイスタイルでも、
その道の者に劣らない質のテニスをしてみせる変幻自在の選手。
相手を分析してより確実に勝てるスタイルを取るため、知らない人が見ていると「シード1の迫力はない」等と
思われがち。高い水準でパワーもスピードもあるが底を見せないためと大概必要がないため、それらを滅多に見せることはない。
例えばタクマ戦では、心理的に彼が苦手としている池のプレイを再現して優位に立ち、
基本に忠実なフォームが多い丸尾には、そのフォーム自体が物理的に苦手としているコース等を狙って圧倒した。

その緻密な戦略や分析力から“100%理性的なテニス”と呼ばれる。
タクマなどほど特別な武器に恵まれているわけではないため、長身からくるサービスエースや動体視力がモノを言う
ボレー勝負などの「スペック的にどうしようもない球」でポイントされると感情的になってしまうが、
それすらもたった1ポイントを調整に費やすことで元の「理性的なテニス」に戻すことが可能。
「高校生でここまでメンタルの調整が出来るているのは難波江くらい」と言われ、後に「プロでもここまでコントロール出来る選手は少ない」と語られる。


井出義明

CV:KENN
芦尾崎高校所属の選手。栄一郎とは同学年。
底抜けに明るく爽やかな青少年で、友達もファンも非常に多い。
彼が事故に巻き込まれて遅刻し、出場が危ぶまれた際には、友人達が運営に待ってくれるように頼み込み、
試合が始まってからは井出の力になるように全力で応援していた。
ちなみにその一部始終は、目の前で事故が起きて少年が怪我をし、井出が傍で懸命に励まし、
少年に頼まれたので病院まで付き添い、手術を怖がる少年に「俺が絶対に試合に勝つ、だからお前も逃げるな」と
約束して会場に駆け付けた、というもの。本人は連絡した時の電話越しに、「最悪もう不戦敗で良い」と言ったらしい。
多くの人から慕われるのも良く分かる人格者で、ぶっちゃけエーちゃんよりも主人公らしい。

体格こそ小さいが全国区の実力者で、どこまでも“魅せる”テニスをする。
競技における勝負の勘がずば抜けており、逸話として「全校生徒に押し相撲で全勝した」エピソードを持つ。


  • テニススタイル【オールラウンダー】
大舞台、切迫した状況やここぞという時の駆け引きに滅法強く、観客が多ければ多いほど声援を力に変えて強くなる。
難波江曰く「超一流の選手に多いタイプのメンタル」「僕が井出とやるなら最初から圧倒する、競った試合はしたくない」。
会場が盛り上がって切迫した状況になるとミラクルLvのショットを連発し、相手を追い詰めていく。
特にラストに近くなるとそのあまりの勢いに戦意喪失してしまう選手も少なくないとか。
彼の方に観客が味方になり、相手は圧倒的なアウェーになることが多い(曰く「井出劇場」)ので、
メンタル的な意味でも厳しい戦いを強いられる。

選手としてはこれまた極端な感覚派で、肌で相手の雰囲気やリズムを読み取り、一瞬で“大体の答え”を出して対応する。
恐ろしいのは大雑把であってもその答えが“大体”当たっていること。丸尾の【チェンジ・オブ・ペース】の多彩な球種の
ことごとくに対応し、新たな球種を打たれてはそれに対応する、ある種イタチごっこのような展開に。


岡田隆行

CV.伊藤健太郎
かがわTC所属。こちらも栄一郎とは同学年。
糸目に近い細目が特徴で、ほぼ常に陰鬱として不機嫌そうなオーラをまとっている。
全国でも井出等に並ぶ強豪選手にもかかわらずあまり観衆から覚えられておらず、上述の近寄りがたい雰囲気から人気はあまりない。
ブツブツと独り言をするクセが余計にそれらを助長し、不気味がられているところも。
幼い頃から井出と同等の実力なのにもかかわらず、ギャラリー達からの注目度には天と地ほどの差があることがコンプレックスで、
自身をいわゆる“もってない”人物だと思っていた。
栄一郎戦で同じく“もっていない”と見なした栄一郎がすぐさまライジングフラットに対応し、じりじりと追い詰められたことで
超ハイリスクなスタイルをそれでも貫くか、あるいは曲げてでも勝利を掴むかの二択に揺れ、
悩んだ末のその結果とんでもないミスをかましたことで逆に吹っ切れる。
その後の彼のリスクを顧みない潔く燃えるスタイルに観衆は熱狂し、
惜敗に終わった後もこれまでなかったほどに取材陣が押し寄せてきたことに驚き、素直な感謝の言葉を口にした。
正反対に見える2人だが井出との仲は良好。

  • テニススタイル【ベースライナー】
何より特徴的なのが、彼のストロークのほぼ全てがライジングショットかつフラットだということ。
バウンドして浮いたところを打つ普通のショットとは違い、バウンドした瞬間を叩くライジングショットは無論のこと難易度が高く、
しかもそれがただでさえミスしやすいフラットであれば、全球をそれで打つのはほとんど正気の沙汰ではない……とさえ言えてしまうレベル。
しかし岡田はこれを幼き日に感銘を受けた、同スタイルである女子のトッププロの矢沢美樹選手への憧れと、
“もってない”自分でも世界を相手に戦える可能性から死に物狂いで習得。
栄一郎戦では新たに跳躍することで打点を合わせ痛烈な球威を叩き出す「ジャンピングショット(ジャンピング岡田バズーカ)」を披露。
ライジングフラットを貫くか否かの迷いを吹っ切った後はこれまでより更にリスクを度外視した超攻撃型に昇華。
文字通り怒涛の攻めで栄一郎を追い詰めるも意地と運のせめぎ合いに敗れた。
「自分にとってこれ以上ないほど最悪な事態」を想定してかかるネガティブなメンタルも武器であり、
「自分にとって嫌な状況」を何となく察せることで“読み”を鋭くすることも可能。

緒方 克己

関西の近清高校に通う男子高校生。栄一郎の同学年。
高身長で優男風味のイケメン。どこかのほほんとしているが決して折れることのない強いメンタルを持つ。
それは本来最悪のアクシデントでしかない怪我によるブランクも「それはそれで学ぶこと得るものが多かった」と前向きに受け止めるほど。
元々は池爽児と並ぶ栄一郎世代の天才児だったが、腰椎を故障したことで入院を余儀なくされ、しばらくテニス界から姿を消していた。
3年に及ぶリハビリを乗り越え高校三年生から復帰。大きなブランクがあるのにもかかわらず所属校の近清を準優勝まで引っ張っていった。
家柄に従い本人もクリスチャン。食事の前、試合の前等には十字を切って祈りを捧げる敬虔さ。
穏やかでテニスだけに縛られない性格ゆえに、「本気で打ち込んでいるのか?」という疑惑を持たれがちだが、
そんな懐の深さが彼の持ち味だとコーチは判断している。

  • テニススタイル【オールラウンダー】
スピン主体のオーソドックスなオールラウンダー。
特段変わったところのない質素とも言えるようなセオリーに沿うものだが、
体格・ラケットセンス・筋力・脚力・戦略・精神力等のテニス選手に必要な全ての要素が非常に高い水準にある。
そのため、全国トップクラスの試合においても特別なスタイルや小細工を必要とせず、オーソドックスそのままで戦える一種の化物。
リハビリの過程で会得した片手バックハンドでカバー範囲を広げ、更に両手のバックハンドは決め球になり得る強烈さを誇る。
信者であるために、本来孤独なコート上でも「他に自分を託せる存在」を持ち、メンタル的にもブレることがない。
唯一生来の穏やかな性格が、リハビリを乗り越えたことで更に「テニスが出来るだけでも嬉しい」と満足してしまう“闘争心”の薄さが弱点だったが、
それも彼女であるリサのアドバイスをもとに獲得。栄一郎との試合後には「“眠れる虎”を起こしてくれてありがとう」と不敵に言ってのけるまでに。
栄一郎のチェンジ・オブ・ペースに驚きつつも冷静に分析し、
圧倒的なアドバンテージである地力の高さを軸に試合を展開していく等と、戦略面でも秀でたところがある。





追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ベイビーステップ
  • Baby steps
  • スポーツ漫画
  • 漫画
  • 週刊少年マガジン
  • テニス
  • ノート
  • アニメ
  • NHK
  • ぴえろ
  • 14年春アニメ
  • 15年春アニメ
  • 講談社

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月17日 13:37