黒井響一郎/仮面ライダー3号

登録日:2015/03/21 (土) 22:28:08
更新日:2024/04/09 Tue 10:29:48
所要時間:約 10 分で読めます




【注意】この項目は重大なネタバレを「多く」含みます。未視聴の方はお手数ですが、ブラウザバックすることを強くお勧めします。










勝てば正義負ければ悪
歴史ってのはそういうもんだろ?



黒井響一郎とは『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』で主人公格として登場する仮面ライダー3号に変身する青年。
とある要因で生まれた本来存在しえない、幻の仮面ライダーである。

演:ミッチーこと及川光博氏。
ミッチーと呼ばれるが決して龍砲でセイヤッハッなブドウボーイゾンビなバッファローとは関係ない。
というか前者は『ミッチ』である。


【概要】

1973年では伝説のダブルライダー、仮面ライダー1号仮面ライダー2号を葬った最強の戦士。
2015年現代ではショッカーに支配されたディストピア世界にて、人間を守るために戦い続ける正義のライダーの一人という謎多き男。
黒のコート、サングラス、冷然な言動が特徴的で、一人称は『俺』。
改造人間ゆえに不老に近いのか、或いは年齢経過が極めて遅いのか、42年後の2015年においても40代程度の非常に若々しい容貌をしている。

感情が昂ぶると右拳が震え、それを左手で抑え、気持ちを落ち着けるという変わった癖を持つ。
恐らくは感情に呼応した(後述の)右手アクチュエータの過剰反応を左手のソレで相殺している物と思われる

冷静沈着な振る舞いやふと見せる他人への気遣い、極めて高い実力も相まって、自然と正義のライダー旅の一行のリーダー格となっていった。
一方で狂的なまでに『勝利を追及する』という姿勢を持ち、戦闘不能な相手に対しても容赦ない追撃を行う事も辞さない程、敵を排除する事に対しては容赦がない。

ダブルライダーを殺害した事は別に隠しているワケではなく、
旅の道中での戦いで詩島剛桜井侑斗橘朔也『剣』ライダー4人に告白している。
そしてその事を深く後悔しているとも語り、「ライダーを殺す苦しみをお前たちに味わわせたくはない」
と侑斗たちに語っており、結果的に橘さんらを救っている。身を挺して、侑斗らをライダータウンに導くが……。



【変身ポーズ】

1号よろしく左腕を斜め上に構え、右手で右腰のエナジーコンバーターを押し込み、タイフーンを起動。
そのまま両腕で円を描き、右腕をL字に構え(2号の構えを彷彿させるポーズ)、
同時に左手で左腰のエナジーコンバーターを押し込み、タイフーンの風車を回転。
そのまま跳躍し、体をライダースーツが覆い、着地と同時に変身完了。
なお、変身時には顔に手術痕が浮かび上がるお馴染みの演出がある。



俺は1号と2号を倒す為に生まれた、仮面ライダー…3号。

裏切り者には…死だ。



仮面ライダー3号


スーツアクター:永徳


ショッカーが作り上げた1973年当時の最新鋭の改造人間にして、1号、2号に続く3人目の仮面ライダー。(本来の歴史ではゲルショッカーに交代している時期なので、いわゆる春映画時空の歴史という事になると思われる
複眼は黄色、マフラー、ライン、タイフーンは金色で、コンバーターラング、クラッシャー、グローブやブーツは青色と、旧1号とショッカーライダー1号を足して2で割ったようなカラーパターンとなっている。
また触角のデザインや、ブースターとして使えるエナジーコンバーター等、漫画版仮面ライダーのデザインと設定も意識されている。
また肩から脚にかけては金色のラインが3本が伸びており、クラッシャーは上下に鋭い牙が覗くダブルライダー以上に攻撃的で生物的な形状となっている。
タイフーンのシャッターはダブルライダーと異なり、立花レーシングクラブのエンブレムではなく、ショッカーマークが刻まれている。
ちなみにスーツの生地はレザー調だが、これはデザイナー曰く「最新にして原点」であることを示すためとのこと。
全体的にダブルライダーと特徴が似通っているデザインなのだが、四肢に填められた鉄枷と千切れた鎖がダブルライダーと異なる雰囲気を醸し出している。

戦闘スタイルはダブルライダー同様、徒手空拳による近接戦闘がメイン。
多数の敵を相手取ってもその攻撃を捌き切る流麗な格闘技能や、コンテナやコンクリートさえ容易くブチ抜く圧倒的なパワーを併せ持っており、
まさに技の1号と力の2号の後継機たるライダーと言える。
また、四肢に雷撃のようなエフェクトを発生させ、威力を高めているような描写もある。
漫画版仮面ライダー同様、両腰のエナジーコンバーターをブースターとして使うことも出来、単なる跳躍とは違う軽やかな空中移動も可能としている。

後続の仮面ライダー達のような一発逆転の切り札や様々な戦況に対応出来るような武装はないものの、全身200ヵ所に組み込まれた強化間接により、あらゆる動作が高速化されるため、高速移動も可能にすると考えられる。
2015年では数十年の経験も合わさってか、V3ライダーマン、X、ブレイドといった後続のライダーさえ軽々と叩きのめしてみせた。
防御力も高く、ダブルライダーやブレイド、カリスレンゲルの猛攻を受けてもさしたるダメージを負わない等、基礎能力からして相当なレベルである事が伺える。

必殺技は仮面ライダー伝家の宝刀たるライダーパンチ及びライダーキックと極めてシンプルながら、前述の基礎能力の高さも相まっていずれも破壊力は桁違いに高い。
必殺技発動時に前述の雷撃のエフェクトと共に、四肢内部のアクチュエーターが透けて見えるという独特の演出が見られる。

ちなみに1号や2号同様、メットオフも可能だが、これは及川氏が演じると決まった際に導入された演出である。

このようにシンプルに強く穴のない仮面ライダーを体現しており、事実上2015年においても最強のライダーと言って過言ではない。



【必殺技】

前述の通り発動時に雷のオーラが充填されると共に内部の人工筋肉といったアクチュエーターが透けて見える演出が特徴だが、
これは「一目で改造人間であることを示す」という宮崎剛アクション監督のアイデアによるもの。
また、四肢に填められた千切れた鎖がついた鉄枷はパワー増幅装置であり、必殺技の威力をなんと30倍にまで強化させる。

  • ライダーパンチ
右腕に雷のオーラを纏わせて放つ、跳躍してのパンチ。
他の決め技への繋ぎ技として多用されるライダーパンチだが、3号のソレは一撃で怪人を粉砕する高い破壊力を誇る。

右足に雷のオーラを纏わせて放つ、仮面ライダー伝家の宝刀たる飛び蹴り。
歴代ライダー達が決め技として使う技だけあって3号のソレも例外ではないが、その威力は凄まじい。

  • ライダートリプルキック
向かって1号、3号、2号の順番に並び、3人でライダーキックを放つ合体技。
ライダーダブルキックさえ凌ぐ3号のライダーキックとライダーダブルキックの威力が合わさったこの技の破壊力は推して知るべし。
強敵チーターカタツムリを葬った。



トライサイクロン

黒井の愛車である4WDオープンカー。旧サイクロン号と同じカラーリングで塗装されている。
ガトリングガンやミサイルランチャーを搭載した強力な戦闘ビークルでもある。
詳細は仮面ライダードライブに登場する乗用マシン一覧を参照。



【劇中での活躍】

1973年2月10日。
ショッカーが壊滅した日に1号、2号の抹殺の為に送り込まれ、その圧倒的な力をもって二人を葬り去る。
2015年では仮面ライダーBLACK南光太郎との戦いの中、
ショッカーの卑劣なやり口に動揺する仮面ライダードライブ泊進ノ介の前に、愛車トライサイクロンに乗って乱入。
ショッカー怪人を蹴散らした後、進ノ介とのドライビング勝負でも圧倒し、彼を「井の中の蛙」と扱き下ろし、その場を後にする(結果的に光太郎を助けている)。

光太郎と本願寺純、詩島霧子を立て続けに失い、意気消沈となった進ノ介の前に再び登場。
彼を助け、ショッカーの進行を免れた町、通称『ライダータウン』にて反抗作戦が進められている事を教え、
途中合流した剛と共にV3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーを倒す。
その際にXを執拗に殴りつけ、勝利を狂的なまでに求める姿勢を進ノ介に目撃される。
進ノ介からは「勝つことに拘り過ぎてないか?」と諌められるが、逆に「勝つことに拘らない……それは勝てない奴の吐く言葉だ」と一蹴する。

仮面ライダーJ・ジャンボフォーメーションの強襲を受け、進ノ介と逸れた後は剛と共にカリスに追い詰められていた橘さんを救出。
監視していた侑斗にも誘い掛け、囚われているブレイド救出に乗り出す。
しかし橘さんとブレイドも既にショッカーライダーと化しており、侑斗と剛と共に4人を無力化する為に戦うが、
その最中に侑斗が橘さんに勢い余ってトドメの一撃を放とうとしてしまう。
それを厳しい声で静止し、結果的に『剣』ライダー4人の命を救うこととなる。
その後、乾巧の銃撃を受けるが、侑斗の横槍で事なきを得、この頃から黒井、剛、侑斗にも連携感が生まれてくる。

ライダータウン突入時に巧は剛に任せ、自身は大勢のショッカーライダー相手に孤軍奮闘し、侑斗を先に行かせる。
この時に命を落とした……ハズだったのだが。








以下ネタバレ


裏切りこそ仮面ライダーの代名詞……。もっとも俺は、徹頭徹尾ショッカーのライダー。

忠誠は誓えど、裏切りはない。




ライダータウンに彼が正義のライダーを導いた目的は、『偽りの情報で一つ所にライダーを集め、殲滅する』というショッカーの策謀のため。
ライダータウンなどそこにはなく、ショッカータウンというべきショッカー首領のお膝元だったのだ。
全てはライダー殲滅のため、彼の芝居。
信じた自分がバカだったと怒りを滾らせる侑斗とは正反対に、ここで合流した進ノ介は何か釈然としない物を感じていた。

ショッカー首領への反撃のため、賭けとして申し出たライダーグランプリにて、
最初出会った時のドライビングで勝負する事となった黒井と進ノ介。
その激闘の中、進ノ介は指摘する。ダブルライダーを殺した事を後悔したのは、黒井の本心だったと。
自分たちと旅をしたのも、その迷いを断ち切りたかったからだと。
更に黒井は脳改造を施されていない、だからこそ人間としての心は残ったままだと。

それを頑なに否定する彼を倒すべく、進ノ介も切り札であるタイプフォーミュラの力でトライドロンを超加速。
圧倒的な性能を誇ったトライサイクロンを追い抜き、勝利する事に成功する。
そもそもこのライダーグランプリはショッカー首領を倒す為というよりも黒井に敗北を教え、
「負けもいいもんだろ」「勝ち負けが全てではない」事を教えたかった進ノ介の計らいであった。

進ノ介の行動にようやく勝利の呪縛から解放された黒井だったが、
最強最速のショッカーライダーをショッカーの切り札『ライダーロボ』のコアとして欲していたショッカー首領によって電子頭脳内部に取り込まれてしまう。
しかしかつて自分が倒した1号、2号もまたコアとして使われていたという事もあり、
自力で再生し復活したダブルライダーの助けもあり、ロボからの脱出に成功し、本格的にショッカーと敵対する事となった。

進ノ介、今度は俺が借りを返す番だ!

その声は!3号!!

仮面ライダーの歴史を…無かった事になどさせん!!

その際、2号から「首領を倒せば、君の存在自体がなくなるかもしれない。それでもいいのか?」と問いかけられたが……。

…ああ。多分それが、真の仮面ライダーとしての生き方だ!

と自身の消滅を恐れることなく、本来の進ノ介たちの世界を取り戻すために敢然とショッカーに立ち向かう。
1号と2号と共にトリオを組み、マッハを死に至らしめたチーターカタツムリを圧倒。ライダートリプルキックでこれを撃破する。

進ノ介の方も手裏剣戦隊ニンニンジャーと共にライダーロボを倒し、歴史の修正が始まる中、歪みの一つだった黒井の体も徐々に崩れていった。
そんな黒井を見送るライダー達。
V3から『仮面ライダー3号』の称号を受け取り、この先、本来の歴史を進ノ介たちが守っていく事を予感し、静かに微笑む黒井。


自分の『未来』よりも
誰かの『現在』を守ることを選んだ彼は
文字通り、嵐のように戦い
風のように消え去った。








あることを除き、歴史が修正された世界では2015年でもF1レーサーとして辣腕を振るい、勝利を追及する黒井の姿があった。
ショッカーも彼の優れた身体能力に目を付けて改造を施したのかもしれない。
しかし、当時本郷や一文字と同い年だとしたら、確実に60歳は越えているハズだが、未だ外見40代程度の若々しさを保っていた。

進ノ介「でも……一体幾つなんだよ?」



【余談・評価】

元々、「仮面ライダー3号」とは、石川のりひこ(現・石川森彦)氏が描いた漫画版『仮面ライダー(別冊たのしい幼稚園連載)』に登場するライダーであった。
漫画版「仮面ライダー3号」登場話は別冊たのしい幼稚園1972年10月号で、当話では「負傷した滝和也が、仮面ライダー1号達によって改造され、仮面ライダー3号としてゴーストショッカー(TV版のゲルショッカー)と戦う」という内容が描かれた。しかし、その後に「仮面ライダー」の続編として「仮面ライダーV3」が放映開始となったため、「3号ライダー」の称号はV3に与えられることとなり、単行本には当該話が未収録となった。
そのため「仮面ライダー3号」という名前を持つライダーは幻の存在として扱われていた。それが今回の映画にて、「歴史の影に消えた幻のライダー」として歴史の表舞台に顔を出すこととなったのである。
それもあってか、映画の企画当初の段階では「漫画版同様に滝が3号に変身する」案も存在していたという。
なお、デザインに関しては漫画版の雰囲気を感じ取れるディテールがそこかしこに配置されている一方で、デザイナーの田嶋秀樹氏によれば「漫画版の3号を意識しているわけではない」ともしている。


映画の内容そのものは1973年なのにゲルショッカーではなくショッカーのままのいつもの春映画バース、おざなりに倒されていく歴代ライダーたちなど否よりの評価も多いが、黒井響一郎、そして仮面ライダー3号というキャラクターについては概ね好意的な評価である。

シンプルながらも力強い戦闘スタイルと、非情になり切ろうとしながらも葛藤し続ける人間臭さといった要素に惹かれる者が多く、
ミッチーの好演と相まって黒井響一郎というキャラクターは非常に魅力的に仕上がったといえるだろう。
悪役の噛ませ犬にされて倒されていく歴代ライダーを踏み台にしての黒井のPRに釣り合いが取れているか、という辺りが争点となってくる。

当初はオリキャスが多いため、影が薄い等と言われていた。
また、「仮面ライダー3号」といえば昭和ライダーでも1、2を争うほどの人気を誇る仮面ライダーV3の称号であり、その名前に自負と誇りを持っている筈のV3に「君こそ本当の3号だ」などと言わせた事も賛否両論である。


しかし、自分の存在が消滅するかもしれないという事実を突き付けられても、黒井は決して怖気づくことなく戦い抜き、満足して消えていった。
仮面ライダーとしての始まり方が違っただけで、彼もまた1号や2号と同じ「人間の自由と平和のために戦う仮面ライダー」だったのだ。



なお、前述のように脳改造がされていないので、彼が何故ショッカーの走狗としてダブルライダーと敵対したのかは現時点では不明である。(春映画くんそこまで考えてないと思うよ
及川氏や脚本の米村正二のインタビューによると、『黒井は昔妻子をショッカーに殺害されたにもかかわらず、それを1号たちのせいだと誤解している』という裏設定があり、
当初の脚本にも書かれていたが、尺が長くなるうえに実は1号は無実だったという種明かしも必要になり、完全に3号の映画になってしまうのでカットされた。
仮にこの説が事実だとすれば、黒井は妻子持ちのライダーという事になるが、あくまでも裏設定である事には注意。
この経緯はパンフレットおよび『仮面ライダーぴあVOL.2』に書かれているので、興味のある方は是非ご一読を。


因みにガンバライジングにも登場したが、実はゲーム内の設定がかなりチグハグになっている。1号や2号と同様昭和ライダーの扱いを受けるためバースト時にかかる音楽は「レッツゴー!!ライダーキック」なのだが、登場した作品からドライブのライダーでもあるようで、超絶バトルではゴルドドライブ、ハートロイミュード、ダークドライブの特殊アビを封印可能となっていた。また、ドライブライダーをまとめたLRSPにも入っている。
ガンバレジェンズでは正式に「ドライブ」名義のキャラとして統一されており、作品ロゴや必殺技にかかるBGMもsupplies driveになっている。

歴史の闇から現れた、ひとりの男。

だが、本当にそうだろうか?

いや、彼は存在したのだ。ずっと昔から。

そして、これからも彼は生き続ける。

もうひとつの、仮面ライダーの道を探して。


仮面ライダーぴあVOL.2
『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』メモリアル本
「仮面ライダーという肖像 Part.1」p24-25より抜粋



進ノ介、今度は俺が追記・修正する番だ!

その声は!3号!!

アニヲタWikiの歴史を…無かった事になどさせん!!

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最終更新:2024年04月09日 10:29