登録日:2015/02/09 Mon 14:33:50
更新日:2024/02/16 Fri 10:43:17
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貴方達がこれから会うはずだった男ですよ
私には会議室でのんびり待っている時間もないのでね
こうして自分から足を運ばせてもらいました
演:小川敦史
【概要】
警察庁の高官であり、対オルフェノク組織の責任者。
オルフェノクの存在を以前から認知しており、実態調査のためにオルフェノクの研究と捕獲を行なっていた。
終始シリアスだった555の物語を鬱なものへと決定づけた最大要因の一人。
一見、紳士的な人物に見えるが、その本性は傲慢極まりない性格の持ち主で、「オルフェノクを最終的に全て撲滅する」という思想に凝り固まるあまり、人としての心を殆ど無くしつつある。
自身が利用出来ると判断した者は徹底的に利用して使い潰すことを信条とし、オルフェノク研究機関のスポンサーであり、
敵であるはずのオルフェノクの巣窟であるスマートブレイン社から経済的援助を受けているが、現社長である村上峡児とのやり取りから判断するとスマートブレイン側がオルフェノクである事には気づかなかった模様。
また、自らの目的のためにオルフェノクはおろか同胞である人間をも抹殺しようとしたり、穏健派を装って
長田結花や
乾巧を罠に陥れたりする等、オルフェノク撲滅のためなら手段を選ばない面が強い。
研究しているオルフェノク撲滅の手段も「人間からオルフェノクを取り除いて純粋な人間に戻す」ではなく「オルフェノクから人間を取り除いて純粋な怪物として処分できるようにする」というものであり、彼の心がいかに歪み切っているかが窺える。
人間との共存を望むオルフェノクである
木場勇治が「
人の心を持った怪物」なら、南雅彦は逆に
「心が怪物同然の人間」と言える木場の対極に位置する存在にして、冒頭で木場を裏切った人々と共に巧や木場の理想が間違っていない事、叶えなければならない事を証明する555世界の「現実」の1つ。
人間であっても心が怪物では意味が無いという意味では木場の理想に対する集大成でもある。
【劇中での活躍】
第41話「捕獲開始」
初登場回。
オルフェノクによる変死事件を追っている刑事である添野と沢村に捜査の中止を宣告する形で登場。
オルフェノク研究機関の実験サンプルを確保するために新たなサンプルとして長田結花に目を付け、
己の権力をフルに生かして機動隊に生け捕りを命じたが、銃撃されて激昂した結花に自衛という形で返り討ちにされて失敗に終わる。
洞窟の奥に存在する研究所内には数々の非道な人体実験で肉体の半分を機械化された
クラブオルフェノクが囚われていた…
第42話「折れた翼」
前回の作戦でクレインオルフェノクに変身した結花に機動隊を皆殺しにされて捕獲は失敗に終わり、既に捕獲済みのオルフェノクを使った人体実験もサンプル不足により行き詰っていた。
オルフェノクに人間性を認めてしまうと問題は複雑化する一方です
だから我々はオルフェノクから人間性を取り除く実験をしている…2度と人間に戻れないように
そうすれば化け物を化け物として処理することができるでしょう
その後、彼女が多くの人間を殺めた罪悪感から警察に出頭してきた際にはチャンスとばかりに研究所へと拉致した。
初対面した結花を見るなり、「オルフェノクを人間に戻して元通りの生活を送らせる」と騙す形で彼女を手術台に拘束してオルフェノクから人間性を取り除くための実験を開始した。
開始と同時に特殊なレーザーを浴びせられて苦しむ結花を見た南は…
生命レベル低下! これ以上続けると危険ですが…
構わんさ。どうせゴミのような命だ
だが、結花の悲痛な叫びに反応したクラブオルフェノクが突然暴れ出し、壁を破って研究員に襲いかかり拘束されていた結花を連れて脱走してしまった。
脱走した結花とクラブオルフェノクを連れ戻すために機動隊に捕獲を命じたがクラブオルフェノクの猛攻により全滅。
しばらくしてから増援を送って再び捕獲しようとするもクラブオルフェノクは姿を消しており、結花の様子を心配した木場がその場に居合わせていた。
そして結花に対する仕打ちに激怒した木場は銃口を向けてきた機動隊を皆殺しにしてしまう。
ちなみにクラブオルフェノクは結花を木場に託して去った後、今までの人体実験の影響で衰弱しきっていたところを
事情を何も知らないカイザとデルタに抵抗することも出来ずにボコボコされた挙句最期は灰化して死亡というあまりにも報われない末路を迎えた。
第43話「赤い風船」
クラブオルフェノクの反撃で実験サンプルを全て失ってしまった失態を取り戻すため、
スポンサーであるスマートブレイン社に訪れ、村上社長から捕獲用の武器として
バットオルフェノクを提供してもらう。
ありがとうございます。オルフェノクを一掃したあかつきには貴方は人類の英雄として讃えられるでしょう
バットオルフェノクがこちらへ到着した後、沢村刑事に木場と結花の捜索を命じたが、指令を受けた沢村刑事は研究機関のやり方に疑念を抱き始めており、それを察した南は計画の障害になると判断してバットオルフェノクに木場と結花を捕獲させるついでに「沢村刑事の謀殺」も命じた。
オルフェノクに人間性などと…ああいう偽善者がいずれ我々の敵になるのだ
南の命令を受けたバットオルフェノクは木場と巧の前に現れるなり、2人を拳銃で銃撃し、現場に居合わせた沢村刑事にも発砲したが、ファイズに変身した巧の反撃により撤退。負傷した沢村刑事は一命をとりとめた。
第44話「最後のメール」
長田結花の死亡回。
オルフェノクを執拗に狙う警察の状況を確認しに来た巧が南と出会う。
自身もオルフェノクである事を明かした巧に対し、南は「我々の組織はオルフェノクと人間の平和的共存を願っている」と白々しい態度を取り、さらに木場と結花を誘い出すために「もう一度話し合いの場を設けていただきたい」と巧をメッセンジャーに仕立て上げてうまく言いくるめた。
なお、普段はこの手の相手に対してはすぐに疑ってかかる巧は何故か南の言葉を真に受けていた。
目論見通りに巧が木場と結花を連れて現れた際には、南の指示を受けた特殊部隊とバットオルフェノクが3人を攻撃した。
3人はそれぞれ変身して立ち向かうも、結花が負傷してしまい、責任を感じた巧は1人でその場を引き受けて木場と結花を逃がした。
逃亡した結花は途中でロブスターオルフェノクこと
影山冴子に出くわし、更には実験の後遺症によって突然オルフェノクに変身できなくなり、最期はなす術もなく殺されてしまった。
彼女の死は木場と巧の心に大きな傷を残し、木場に至っては結花が警察に殺されたと思い込んで完全に人間に絶望してオルフェノク側についてしまった。
第45話「王の目覚め」
退場回。
オルフェノクの研究を進める過程で「オルフェノクは急激な進化で寿命が非常に短い」という事実を知ってしまう。
実はオルフェノクに関する新たな発見がありましてね
おそらく我々は彼等に対する見方を変えることになるでしょう
是非貴方にも目を通していただきたい
真実を知った南は電話で村上社長に報告して詳細な情報をメールで送信したが、
オルフェノクである彼にしてみれば死刑宣告とも言える事実であり、メールを見た瞬間に思わず険しい表情を浮かべた。
その後、村上社長は今まで資金援助したオルフェノク研究機関を見限ると同時にその関係者および施設全ての排除をラッキークローバーに命じた。
もっとも、直接手を下したのはラッキークローバーよりも一足先に現れた木場である。
有頂天になっていた南は遂に破滅の時を迎えることになる…
結花の死で怒りに燃える木場に研究施設を襲撃され、負傷した南は命からがら車で逃亡したが、
その先にはホースオルフェノクに変身した木場が待ち構えていた。
悪あがきと言わんばかりに木場を車で轢き殺そうとしたが、ワンパンで車ごと殴り飛ばされてしまった。
そして、今までの非道行為の報いを受けるかの如く、魔剣ホースソードで心臓を貫かれた。だが…
フフフ…フハハハハハ…
何がおかしい…?
いずれわかる、俺が何故笑うのか。お前達オルフェノクは…決して人間には勝てない
勝ち誇ったような笑いを浮かべながら灰化して命を落とした。
己のエゴの為に他人を平然と食い物にしてきた男の最期は、オルフェノクの未来を暗示するような呪詛の言葉を吐きながら、最後の最後まで命乞いも反省もすることなく死亡という非常に後味の悪いものであった。
しかし、アークオルフェノクが倒された後、巧、
海堂、
琢磨、スマートレディ他、生き残ったオルフェノク達の殆どは残されたわずかな余生を人間として生きていき……その呪詛は叶わなかった。
【余談】
南雅彦は間違いなく非道な人物であるが、彼も人間である以上、異形の存在に恐れを抱くのも仕方のないことではあるだろう。
実際、作中に登場したオルフェノクの多くが自身の力に溺れて人間を襲っており、
TV版とは別のパラレルワールドである劇場版に至っては全世界の人類のほとんどがオルフェノクと化して、立場が逆転するかのごとくわずかに生き残った人類を弾圧するという有様である。
「南雅彦のような存在」は社会に必要だったのかもしれない。だが、それは南雅彦がなってはならないものであった。
クラブオルフェノクの声を演じたのは、
前作で
彼を演じた松田悟志氏。
編集できるものは何でも追記・修正する。それが私のやり方だ
最終更新:2024年02月16日 10:43