明智健悟

登録日:2015/02/01 (日) 14:22:13
更新日:2024/03/21 Thu 18:30:37
所要時間:約 4 分で読めます





多くの「被害者」の血が無慈悲に流されるこんな事件であっても───
ある意味一番の「被害者」は、あの男に操られる「犯罪実行者」なのかもしれない

私は── そうした「被害者」を
助けたいんですよ


金田一少年の事件簿』に登場するキャラクターの1人。

CV:森川智之(アニメ、ゲーム)、置鮎龍太郎(CDブック)、子安武人(ゲーム(星見島))、福山潤(CR)
演:池内万作(堂本版)


警視庁刑事部捜査一課の警察官で階級は警視。28歳。
東京大学法学部卒業のキャリア組。警視総監賞最年少受賞者でもある。

主人公の金田一一の良き理解者であり、協力者である。同じ捜査一課の剣持勇警部は直属の部下にあたる。

身長180cmで体重は70kg。血液型はAB型。誕生日は2月11日で星座は水瓶座。
父親の明智省吾(恐らく現在は故人)は元警察官だったが、彼とは違い叩き上げの刑事だった。公式ガイドによれば母親も警察官で彼の容姿と頭脳は彼女譲りとの事だが今のところ未登場。
父親の性格は明智と良く似ていたらしく、言動がそっくりと言われたことがある。
私立の名門校である秀央高校に通っていたことや、語学やスポーツなど、様々な習い事を修めている事などから、家は裕福だったようだ。
ちなみに、金田一と異なり、名探偵である「明智小五郎」とは単なる同姓という設定で、血縁ではない。

銀髪で眼鏡の似合うクールなイケメン。高校生の頃までは眼鏡をかけていなかった。
急を要する場面を除き、(慇懃無礼なところはあるが)口調は極めて丁寧で年齢性別問わず他人には一定の敬意を払う。部下の剣持や、高校生である一にも、基本的に敬語で話す。
一にも引けを取らない推理力の持ち主で、初期の頃は2人でよく推理勝負を繰り広げていた。また上記の言葉が示す通り、一同様犯人を救済し、反省・再起を促すことを優先する。
バイオリン、フェンシング、チェスなどの多彩な特技を持っており、更には旅客機の操縦やハッキングまで行い、ロウリュウやソムリエ、そしてロードレースの免許持ちというまさに完璧超人(ちなみにフェンシングはある事件の影響で現在は辞めている)。
英語の他に広東語、フランス語、ドイツ語の4カ国語を話す事ができる。
あまりに一般人と思考がかけ離れている為、周囲からは陰で「変人」扱いされている(一般常識がないわけではない)。
その「変人」ぶりの最たるは、キャリア組でありながら捜査の最前線に立ち続け、現場人としての成果をあげている点にあるだろう。叩き上げ揃いの部下たちから何だかんだ親しまれつつ一目置かれているのも、単なる天才性ゆえではなく、そういった姿勢と実績あっての事と思われる。

弱点はコンタクトレンズを目に入れる事。過去に何回かチャレンジしているが、不器用なのか未だに成功した事が無い。そのせいなのか、遅刻の常習犯でもあるという一を笑えない情けない一面もある。ちなみに視力は左0.3、右0.4の近眼。
他にも、トイレで着替えをしていたり恐怖新聞を購読していたり休日に間違えて出勤してしまったり朝食にクロワッサンと塩こんぶという奇妙な組み合わせだったりと、割と残念なイケメンでもある。


上記の能力に加え、キャリア組の出世株なこともあってか、よく一や剣持などに対してイヤミを言っている。
なので、彼らからも陰で「イヤミ警視」「イヤミ野郎」などと呼ばれる天敵のような存在。
しかしながら、本質的には人として正義感や優しさを大切にする理想の刑事。
一の推理力や剣持の正義感は素直に認めており、内心では互いに厚い信頼関係にある。
一とは度々いがみ合い、美雪や剣持たちに呆れられることが多く、「金田一少年の決死行」では彼ら凡人を差し置いて2人だけで盛り上がった結果いつきに半切れ気味に叱責されたこともあった。
美雪曰く一とは似た者同士らしく、「負けず嫌い」「焼き芋が好き」「親友が殺人犯」「初恋の人も殺人犯」「元相棒の友人も殺人犯」「友人知人を悪事の口封じ目的で殺される」「同年代の相棒には自分をめぐって争うライバルがいた」「同年代の元相棒や年上の知り合いなどとある事件をきっかけに離れ離れになる」「同年代の元相棒のことで参っていたところ一回り以上年下の新しい相棒と知り合う」「興味本位で捜査に首を突っ込む新しい相棒に忠告する」「昔の知り合いの刑事とも相棒を組む」などの共通点が結構ある。
ちなみに美雪やパトリシア・オブライエンを筆頭とする女性に対してイヤミを言う事はない。速水玲香との関係は最悪であるが。


以前はロサンゼルス市警に赴任していて、そこの同僚だったパトリシアと恋仲になっていた(過去話でしか出てこないので現在の明智との関係は不明)。
その頃にチェスの世界選手権に出場しており、決勝まで勝ち進んでいる(決勝戦の結果は不明)。
帰国した数年後に警視に昇進し、『雪夜叉伝説殺人事件』(アニメ版では「蝋人形城殺人事件」)で一と出会う。

漫画で最初に登場したときは、完璧超人というイメージではなく、どちらかというと陰険な面が目立つ男だった。雪夜叉の事件では、今では考えられないような非合法な捜査や推理ミスを犯しており、挙句には事件を賭けの道具にする(んな事やったら懲戒免職で済むどころの話ではない)という警部時代の彼が見たら真っ先に殴りそうな警察官としてあるまじき失態を平然と行っている。*1
『蝋人形城殺人事件』以降は現在の美形キャラとして定着していく。


そして、短編『証言パズル』でとうとう主人公となり、以後原作第1期で彼が主人公の短編が書かれる様になり、後にShort Fileシリーズから独立してAkechi Fileシリーズとして高校時代の事件3編が『明智少年の華麗なる事件簿』、刑事になってからの事件4編が『明智警視の優雅なる事件簿』として発売された。(上に書いてある彼の特技やロス市警での経歴の多くはこれらの作品で語られている。)
その後、『金田一少年の事件簿R』にて、再び彼が主人公の短編作品が2編作られた為、現在本編では彼が主人公の作品は9編ある。


登場当初は事あるごとに「ロスでは…」と言っていた。*2
その後はロスで云々という描写はなくなり、忘れ去られたかに思えたが、2010年連載の『高度1万メートルの殺人』で久々に「ロスでは」と言うセリフが出てきた。
美形キャラとしてレギュラー化すると同時に他人の命を最優先に動いたり、「地獄の傀儡師」高遠遙一に言葉巧みに操られる「被害者」をその魔の手から救いたいという考えを持つようになっていった。警部時代では元々そういう傾向がある。逆に「高度1万メートルの殺人」ではそのことは忘れているが。

なお、アニメ版では登場時期の関係からかイヤミ属性が抑えられており、上記のような失態をおかす部分もカットされている。原作には出番のないエピソードにも登場することもあり、総じて扱いがいい。


回を増すごとに彼の背景はやたらキラキラするようになる。一からも「意味の無いキラキラしやがって」とよく言われており、作者から突っ込まれた事もあった(作者曰く、彼のキラキラはギャグの1種らしい)。


剣持警部と並ぶ警察官のレギュラーキャラクターだが、剣持は主に現場指揮で登場するのに対し、明智の場合はその役職に基づき現場を支援するか休暇中に事件に居合わせるという形で登場することが多い。
メタ的に言えば剣持は探偵役の一を現場に招き入れることが主な役目であるのに対し、明智は一に次ぐもう一人の探偵役が主な役目となる。
このため警察官として事件解決を目的に最初から第一線へと赴いたのは獄門塾殺人事件のみである。
なぜか北海道で起きる事件に縁があり、全4件(『雪夜叉伝説殺人事件』、『異人館ホテル殺人事件』、『魔術列車殺人事件』、『露西亜人形殺人事件』)あるうちの全てに何かしらの形で登場している。


作中によく出てくる秀央高校の卒業生で、入試は全科目満点で合格して特Aクラスとなる。
在学中には「秀央のホームズ」と呼ばれ、周囲で起きた殺人事件も持ち前の推理力で解決していった。
その頃から様々な才能を遺憾なく発揮しており、音大生の演奏会やフェンシングの合宿に参加していた事もあった。
ちなみに時期は不明だが学生時代に予備校のアルバイトをしており、多くの生徒を東大に送り出している事から今では「受験の神様」という事で伝説になっているらしい。
高校時代の明智は、意外と友人は多かったようで、大人のときとは違う素直な喜怒哀楽を表に出している。
この時点では、まだ3億円事件などの因縁は起こっていなかったのか、刑事の仕事については「あんな報われないハードな仕事は僕向きではないよ」と言って、あまり好ましいものとは思っておらず、警察に就職する考えは無かったようだ。

犯罪プロデューサーである高遠とは奇妙な縁があり、彼が秀央高校に在学中に一度だけニアミスをしている(高遠は気づいていなかったが)。また、彼の母親とは友人関係にあった。
後にロサンゼルスでマスクマンという手品師に扮した高遠と接触している。この時はまだ敵対関係ではなく、ホテルで起きた殺人事件のヒントを出すなど協力的な面を見せていた。
その後は『魔術列車殺人事件』で再会し、彼との因縁が始まったのだが、雰囲気が違いすぎていたからか彼がその時の手品師だという事に気づく事はなかった。

『魔術列車殺人事件』『高度1万メートルの殺人』など、明智の友人または知人が登場した場合、殺人事件の犯人、被害者である事がなぜか多い。

公式スピンオフ『明智警部の事件簿』では主人公を務めており、タイトル通り彼の警部時代の活躍が描かれている。
イヤミや高い推理力は健在だが、周りのキャラを振り回す自由人っぽい一面もある。
ちなみに漫画は佐藤友生先生で、本編よりも爽やかなイケメンぶりが強調された作画になっている。また、甘党であり、特にアップルパイを食べる描写が多い。一のインスタグラムによると警視になった時もアップルパイをよく食べているとのこと。
2015年にこのスピンオフのアニメ化エピソードが放映されたときには、佐藤友生先生のキャラデザを元にさとうふみや先生のタッチに近付けてあった。
地味に面倒なことをやっているが、原作の絵柄を忠実にアニメで再現すると、2007年放映の『吸血鬼伝説』や『オペラ座館3』のときのように逆作画崩壊別アニメ化するため、これはアニメスタッフの良対応と言える。
全5巻で完結となったが、最後は『雪夜叉伝説殺人事件』に繋がる形で終了となっている。
最後の事件では警部から警視へと昇進した経緯、性格が捻くれてしまった経緯(所謂哀しき悪役である)も描かれているが、それを加味しても『雪夜叉伝説殺人事件』での事件を賭けの道具にするようなキャラと繋がるとは思えない。
やはりキャラクターの方向転換前の明智に完全に繋げるのは無理があったようだ*3
あるいは、この『雪夜叉伝説殺人事件』での大失態によって、増長した鼻っ柱あるいは閉ざされた心が適度に丸くなったとも取れるか。
そう考えると、おそらく彼の人生で初めての対等なライバルとなった一はもちろん、彼を完全に掌の上で踊らせてのけた真犯人・雪夜叉も(それでも罪が許される訳ではないが)間接的な「恩人」と言えるかもしれない。
アニメ版では初登場時などで原作のような醜態は演じず、部下の小林竜太郎が降格もしていない上に明智といまだに交流していることからそのようなことは無くなっているかもしくは無事で済んだことがうかがえる。

スピンオフの一つ「金田一少年の1泊2日小旅行」では破廉恥な本を置いたのが美雪と決めつけたり自分を傷つけたエミリの行動に対して一に文句を言ったりするなどの点を除いて本編と剥離のない性格になっている。剣持共々森宇多子のBL同人誌「野獣のコモリウタ」の主役になったり、一との補習での攻防戦を目の当たりにした美雪にホモ疑惑をかけられたりするなどBLにゆかりのあるキャラとしても描かれている。

クイズ本「金田一少年の事件簿 謎ときファイル2」では、少年時代に金田一耕助と邂逅した事が示唆されている。
昭和50年代、父親と共に、父親の友人が経営するホテルを訪れた際、その友人が密室で殺害される事件が発生したもので、密室トリックを即座に解き明かしたのが、
「薄汚れた帽子をかぶって手に杖を持った、昔探偵をしていたというしがない老人」であった。
実名は本人が謙遜して名乗っていないが、クイズの回答編で明智からこの出来事を伝えられた一が「その人は俺の…」と言いかけているコマが添えられており、ほぼ確定である。

『金田一37歳の事件簿』では48歳で警視長になっているのだが、容貌は全く変わっていない。『歌島リゾート殺人事件』で助けを求める一の申し出を拒み(最終的にはヘリで救出に向かうが)、『函館異人館ホテル 新たなる殺人』で幸村の思い込みを利用するなど基本的に強引な手段を使って彼に推理させようとすることが多いが、『金田一37歳(サウナ)の事件簿』では仕事に追われている彼をフォローするためにサウナツーリングに誘ったことがあり、「金田一37歳 メンズのビゲン簿」では一の隣人の森下走野の同級生である菅野誠が猫のタマちゃんとの別れを惜しんだことを心配した一が悩んでいた際、タマちゃんとのお別れパーティーを主催したことがある。もうデキてるだろお前ら

おそらく金田一少年シリーズのサザエさん時空の影響をモロに喰らっている人物の一人。彼の経歴をそのまま受け取ると、
という事になる。なるほど、わからん。
それを言うと『高遠少年の事件簿』にしろおかしくなるし、『明智警部の事件簿』は明智が警部だったころなのにタブレットPCやらある(雪夜叉伝説の前)のだが、
……マンガの長期連載物では結構あることである。


ドラマでは堂本版第2期に登場したが、原作の華麗な部分がないただのイヤミ警視で出番も大幅に削られていた(一応、初期の明智警視に近いといえば近いが)。
これは堂本版第1期の時点で剣持が明智の役割を兼ねた役どころだったことが大きい。
原作でもスペック上扱いが難しいキャラだからか、多芸多才でネタとイヤミを除けば非の打ち所がない彼をドラマで再現するのは難しいからか、制作陣に「堂本版に倣って明智削って剣持の活躍に回した方がいい」と判断されたのか、
後のシリーズでも登場することはなく、原作で彼が登場するシーンでは剣持や台湾警察の李白龍が代役として登場している。



アニメ版担当の森川氏は自身主催の女装ネタイベント『森川智之と檜山修之のおまえらのためだろ!』にて、「明ッ智ファイル」なるパロディコントを複数回行っている(一部回はDVD化)。
ただ元ネタと同じなのは明智のセルフパロキャラの名前「明ッ智警視(森川)」くらいで、声や衣装はあまり似せていないし顔も素のまま(金髪グラサン→黒髪眼鏡)なので華麗とかイヤミとかは期待してはいけない。
ついでに言うとそのイベントの他回ではCR版やCDブック版の中の人と一緒に女装していたこともある。


ちなみにロス帰り等の設定は『金田一少年』の担当編集にして原作者でもある天樹征丸(樹林伸)氏がモデルになっているらしい(『金田一少年の事件簿 悲報島 新たなる惨劇』の公式ガイドブックより)。
同書によれば、キバヤシ自身も一番好きなキャラクター(書籍発売当時)なんだとか。


追記・修正?そんなものロスでは日常茶飯事でしたよ?


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最終更新:2024年03月21日 18:30

*1 メタいことを言うと一部の推理ドラマでありそうなエンタメ性重視のぶっ飛んだ展開。更に当時はレギュラー化の予定がなかったため、デタラメな描写になっている

*2 その回でのトリックが「ロスでは」まず絶対にあり得ないものだったので、この口癖を頻出させたのは、そういったお遊びの意味合いもあると思われる

*3 このことは後に佐藤先生が描いた「きんにゃいち少年の事件簿」でも玲香に批判されている。