ユーハバッハ

登録日:2014/10/06 Mon 14:25:58
更新日:2024/04/10 Wed 23:18:49
所要時間:約 15 分で読めます


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この項目はアニメ未収録のネタバレを含みます
































封じられし滅却師の王は

900年を経て鼓動を取り戻し

90年を経て理知を取り戻し

9年を経て力を取り戻し

9日間を以て世界を取り戻す

聖帝頌歌(カイザー・ゲザング)




─────まだ私を名も無き者だと思っているか

我が名はユーハバッハ お前の全てを奪う者だ




“ A ” ユーハバッハ        
Yhwach

[職業]滅却師(クインシー) 見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)皇帝
[所属]見えざる帝国「星十字騎士団(シュテルンリッター)

 身長]200cm
 [聖文字]“ A ”
 [能 力]The Almighty ― 全知全能(ジ・オールマイティ)
  ― 未来を見通し、その未来を改変する
 [完聖体]??????
 CV]菅生隆之



漫画『BLEACH』の登場人物。

目次

 概要


初登場は484話「THE BUCKBEARD」より。
滅却師(クインシー)の組織『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)』の総帥にして、配下達からは「陛下」もしくは「ユーハバッハ様」と呼ばれる『BLEACH』本編の黒幕。
また、帝国の精鋭部隊『星十字騎士団(シュテルンリッター)』の創設者である。


 人物


風貌は立派な髭を蓄えた長髪の大柄な男。服装は見えざる帝国共通の白い軍服の上に赤黒いマントを羽織っている。
一見物腰は落ち着いているが、「争いを好まない」と言いつつ敵どころか味方である部下達も容赦なく殺す理不尽かつ冷酷非道な人物。
しかし、虚圏を占拠し第3十刃(トレス・エスパーダ)ティア・ハリベルを捕え、アズギアロ・イーバーンやリューダース・フリーゲンを始めとする破面(アランカル)を手駒にするなど、実力やカリスマは高い。
活躍を認めた部下を評価することもあるようで、霊王を取り込もうとしている自分を黒崎一護が邪魔するのを石田雨竜が止めた際には「よくやった雨竜」と称賛した他、奮闘の末に死を迎えた“R”のロイド・ロイドジェイムズにも賛辞を送っている。

……とはいえ、絶対的な恐怖の象徴として部下に見られているのも事実であり、部下の統率は恐怖政治に近い部分がある。
騎士団でも若手のバンビーズはユーハバッハのやり方や性格をあまり理解していなかったが、古株のロバート・アキュトロンなどは部下すら平然と切り捨てる冷酷さを熟知していた。
無論、心から忠誠を誓っている者も決して皆無ではない。
例として挙げるならば、労いの言葉を受けて感涙していた“R”のロイド・ロイド、処刑の決定を粛々と受け入れた蒼都、見捨てられてなお忠実であり続けたナナナ・ナジャークープ、能力に関する言い付けを徹底的に厳守したリジェ・バロ*1など。

ちなみに滅却師の始祖という言葉で誤解してしまうが、本編でのユーハバッハの年齢は1200歳そこらと(長寿の死神と比べれば)かなり若手の部類に入る。
1000年あまり前の幼いユーグラム・ハッシュヴァルトとの初邂逅の時点でユーハバッハは200年かそこらしか生きていない。
つまり後述の1000年前の戦いを整理すると、200年年程しか生きていないユーハバッハが数十年しか生きていない普通の人間*2を率いて、少なくとも1000年以上は生きている山本元柳斎重國が率いる護廷十三隊死神に戦いを挑んだということになる。
……中々アグレッシブというか無謀すぎる挑戦である……(『尸魂界篇』の一護たちよりは遥かにマシだが。)


 性格


人物欄でも記されている通り徹底的に容赦の無い冷酷非道な性格。
山本元柳斎は彼の部下を軽んじるところは千年前から変わっていないと言っているので、これは元々の性格の模様*3
ただし、自身が気に入った相手には相当甘い。

一護に対しては当初「敵でも味方でもない」と言いながら接しており、彼が滅却師の力に目覚めて以降は尸魂界を滅ぼす前の最終決戦を除けば力を奪っても命を奪うことまではしなかった。
利用目的もあっただろうが、一護の出生の秘密も帝国に連れ帰った後で聞かせると言っている。

また、石田に対しては本当に甘いどころか破格の対応をしている。
まず相応の理由があったが、石田が騎士団に入ってからは即刻後継者に任命し、自分の側近にしている。
さらに石田が自身を後継者にした理由を素直に聞いても「ただ受け入れる愚者でなくてなにより」と評価した上で理由を語っている*4
さらに霊王宮に向かう寸前に(わか)れの挨拶を済ませたか? もう会えないぞ」と念入りに意思を確認するという普段の彼からは信じられない程の気遣いの言葉を石田に言っている。

もう一つ特筆すべき点は嘘を絶対に言わないことである。
作中においてユーハバッハは(自身の認識している感覚・情報の範囲内においては)本当に何一つ嘘を言ってないし、本作では非常に珍しく秘匿主義のキャラというわけでもない*5
さらに言えば真実を言わなかったり適当に誤魔化すのが敵味方問わずに『BLEACH』で一番多い典型なのだが、ユーハバッハにはそれが全くない*6

まず一護に関しても自分が知っていることは全部教えようとしているし、一護と初めて邂逅した時も懇切丁寧に彼の力の説明をしていたりする。
アニメ版『千年血戦篇』で補足されたが、無間での藍染惣右介との会話でも「私の力を脅威と考えるからこそここに来たのだろう?」と語る彼に対して素直に「そうだ」と認めた上で、「だが崩玉と融合したお前は殺すにも連行して封殺するにも時間がかかりすぎる」と言っている*7
また石田に関しても後継者に任命した理由を話し、さらには石田が聖別を乗り越えた理由も率直に「私は知らない」と言っていたりする。

『BLEACH』のラスボス兼黒幕なだけはあって様々な事柄を知っているのは浦原喜助や藍染と同じなのだが、重要な情報を秘匿しがちな浦原や、自身が知らないことすら知ったかぶり、挙句に一護から「自身の知らないことが目の前で起きるのは怖いか」と煽られた際に強がった藍染とは決定的に異なるのである。
ちなみに一護との初対決を観れば分かるが、自身の想定を上回ることにはこれまた素直に驚愕し「しくじった」自身の失策も認めている。

自分が知っていることはちゃんと話し、知らないことは知らないと答え、驚くときは素直に驚き、失敗した時もちゃんと自身の非を認め、脅威と感じた者には「特記戦力」と認定して然るべき対処をし、かつて自身が敗れた護廷に対しても十分な情報収集を行って配下に共有する*8
つまりユーハバッハという人物は過去に大敗した経緯もあり、「全知全能」というチート能力を持っているのに反して、それに驕らずに情報収集も準備も怠らない用意周到な性格の持ち主なのである。
そして冷酷非情ではあるが甘いところもあり、なおかつ素直なところもあり、そして嘘や隠し事も一切しないという『BLEACH』どころか創作物では珍しいタイプのラスボスなのだ。


 能力




一歩踏み出す 二度と戻れぬ

三千世界の 血の海へ

(BLEACH 55「THE BLOOD WARFARE」)


滅却師は皆、周囲の霊子を集めて自分の力にする能力を持っているが、ユーハバッハは他の滅却師にはない力を先天的に持っている。
それは『魂を与える力』である。これは滅却師とは真逆の力であり、ユーハバッハの力の根源。
他者に触れる、或いは触れられることで自らの魂の欠片を与え、その者の心身の欠陥を満たすことができる。
これにより、1人の魂では埋める事が出来なかった傷が癒えていく*9
それと同時にその者が得た知識・才能・能力・経験などの全てはユーハバッハの魂に刻まれ、その人間が死ぬと与えた魂はユーハバッハ自身に還る。
与えた魂が還って来る度にそれらを継承して強くなることができ、動くこともできなかったユーハバッハはこれを繰り返すことで自由な肉体を手に入れた。

ただし、これは決して便利なだけの力ではないらしく、魂の欠片を与えられた者は短命となるリスクを抱えることとなる。
中には魂を与えられてから数年、あるいは数ヶ月、時には数日で死ぬ者もいたという。
もっとも、ユーハバッハ本人にとってはすぐに力を回収できるため便利な長所と言えるのだが。

能力自体が魂の欠片を与えることで心身の欠陥を満たすというその能力の特異性からか、兵主部一兵衛との戦闘において、能力で力を半分に削られたにもかかわらず自力で元の力を取り戻している。
曰く、半分に()いだその力でさえ自らに再び与える事が出来るらしい。

この触れることで自らの魂の欠片を与える力だが、研鑽ゆえか直接触れずとも魂の欠片を与えることもでき、作中では戦場に魂の欠片をばら撒くというとんでもないことをしでかしている。
こうした権能は死神にも有効であり、彼らが死ぬときも同様にユーハバッハに還るが、(ホロウ)にも有効なのかは明言されていない。
『千年血戦篇』最初期に登場した破面のイーバーンが滅却師の力を持っていたり、通常の滅却師にとっては毒である虚の力を奪ったことからおそらく虚にも有効かと思われる。
……とことん主人公陣営を勝たせる気のないチート能力である。
滅却師(配下)が死のうと死神他()が死のうと痛手はなく、逆に自身が強化され続けるのだから。

この能力を発展させたのが『聖文字(シュリフト)』。
他者の魂の内に能力の「頭文字」を直接刻むことでより深く強力な魂の欠片を分け与える事が出来る。
刻んだ「頭文字から連想する能力」が目覚めるという性質上、簡単にチート能力が手に入るように見えるが、後述の聖別で与えた力を回収しても聖文字の能力が失われてない事を考えると、ユーハバッハに頭文字から連想する能力自体を与えられるというよりも、ユーハバッハに与えられた魂の欠片によって対象者に眠っていた潜在能力が引き出されるようである。
実際、魂の譲渡と収奪を繰り返したユーハバッハは、多数の滅却師の魂を重ねて作られた存在と見る事が出来る。
つまり、ユーハバッハ自体が死神の浅打に近しい存在と化していると言える。
聖文字を刻印する儀式はユーハバッハの一部を対象の身体へと取り込む事で行われる。作中では血杯で行われた。
これによって、力を受け取った者が短命になるという欠点も克服している模様。


◇-血装(ブルート)

滅却師全体の共通能力である、血管に霊圧を送り込むことで身体能力を跳ね上げる技。
アニメ版のキーワード解説にて滅却師の能力が高い者が扱えば卍解状態の死神に匹敵するという解説がされているので、
始祖として滅却師の頂点に立つユーハバッハが使えば、当然ながら他の滅却師が追随出来ないレベルの血装を展開出来る。
その証左として後述するユーハバッハ固有の血装の技がある。

また、この能力は全知全能の力と合わせると滅却師の血を引いている者の体の制御権を一時的に奪うことも可能。
作中では自身の剣を媒介にして一護の血装を無理矢理発動し、一護は為す術無く体を操られ霊王に止めを刺してしまった。


◇-聖別(アウスヴェーレン)


掲げよ!

銀の紋章・灰色の草原・光に埋もれた円環の途

瑪瑙の眼球・黄金の舌・頭蓋の盃・アドナイェウスの棺

掲げるものは、お前の心臓!

聖別(アウスヴェーレン)


自身が不要と判断した星十字騎士団から与えた力と命を強制的に回収し、他者に与え直す能力。
力を回収された者は死に、与えられた者は更なる力を得て復活する。『BLEACH』においてとても珍しい死者を蘇らせることができる力。
さらに本作では絶対視された霊圧や霊子の概念すら無視するという点でも非常に稀有な能力。
アニメ版#25では上記の詠唱が追加され、術式の一つであることが判明した。

この能力説明でハッシュヴァルトは星十字騎士団と限定したが、「滅却師から」とするのが正確かもしれない。
力を回収された者が死ぬというのも、力を根こそぎ奪われたことによって衰弱死したというのが正しい。
作中聖別の対象となった者が辿ったのは「聖別によって力と命を失った者」、「力を失ったことによって衰弱死した者」、「力の一部を失った者」の3通り。
この事から、聖別では「力と命を徴収する」「力のみを徴収する」「命のみを徴収する」と匙加減が可能なのだろう。
この聖別を悉く逃れたのが石田雨竜であり、その理由は滅却師の始祖にして全知全能たるユーハバッハを以てしても分からない程である*10


◇-全知全能(ジ・オールマイティ)


“眼”を開いた私は 今この瞬間から遥か未来に渡る全てを見通す事ができる

見通したものを全て“知る”事ができる

そして知った“力”は全て私に味方する

その力で私を倒す事はおろか 傷付けることすらできなくなるのだ

それが我が力 『全知全能(ジ・オールマイティ)


ユーハバッハの聖文字“A”の能力。
ハッシュヴァルト曰く「全てを知り 全てを見通す」能力だという。
全ての未来を見通し相手の力を知ることで、自分自身に対する全ての攻撃を無力化する。
文章だけを見ると誤解しやすいが、未来を見通しているが故に回避ができるなどではない。
といっても無力化したのは兵主部一兵衛の力のみで、それ以降能力を無力化したような描写はない。
戦闘にならないから仕方ないが……

その真の力は「未来を見通し、未来を意のままに改変する」能力。
この力により、その場でこれから起こりうる未来を自分にとって都合のいい様に書き換えることができる。
相手の立っている場所に罠を仕掛けておいて確実に罠を命中させたり、相手の武器を触れずして破壊したり、防御を無視して一方的にダメージを与える事が可能。
描写から見るに、月島秀九郎の「過去に自らの存在を挟み込む」能力とは異なり、言葉通りの意味で自由に書き換えることが出来るのだろう。
特別な発動条件なども存在しないため、任意のタイミングで自由に未来を改変できる。

なお、この力は夜になるとハッシュヴァルトと力が入れ替わり、ハッシュヴァルトは夜の間だけ「全知全能」の力を使用可能になるが、代わりにユーハバッハは「全知全能」の力を一時的に失ってしまう。
恐らく普段のハッシュヴァルトと同じように、夜は「世界調和(ザ・バランス)」が使えるものと考えられる。


作中最強クラスと言って問題無い非常に恐ろしい能力ではあるが、「完全無欠・抵抗不可能」な能力ではない。

まず一つ目に「霊王関連の事象は把握できない」こと。まあこれは霊王がよりチートだった、ということだろう。

次に、干渉できるのが「未来」という性質上?の弱点もある。
この能力は現在から先の分岐を見通して干渉している。なので、「過去改変能力」によって抵抗を許してしまう
実際、「全ての未来において折られている」と改変されてしまった天鎖斬月井上織姫の能力でも修復できなかったが、月島の能力によって「ユーハバッハに折られなかった」という過去を後から挟み込むことで再び修復可能な状態になった。
ユーハバッハが「月島が過去を改変すること」や「過去を改変した上で天鎖斬月を修復して再度向かってくること」は予知して改変しなかったことから、過去改変能力による新たな分岐については未来視の範疇外であると推察される。

また、石田に与えた聖文字の力「完全反立(アンチサーシス)」も既に起きて確定した物事を入れ替えるという性質上、対抗できる芽があるかもしれないとされる。
何故そんな面倒な能力を……と思うかもしれないが、他の団員の例から見てもどういう能力が芽生えるかは本人の資質によるものが大きいのだろう。
ただ、これらに関しては過去改変が行われた後で再び未来を予知して改変出来る上、実際未来視もしていたので明確な弱点ではない。

そして、未来視の能力で見る情報も藍染の「鏡花水月」の催眠によって誤認しうるという弱点がある。
あくまで未来を予見、予知して改変する……つまり「視覚」を使った能力であるため、完全催眠にかかっている場合、未来を予知する時点で間違った認識で未来を見てしまう。
当然、誤認した未来を書き換えたところで思い通りの結果にはならない。

なお、いつ鏡花水月の始解する瞬間を見たのか?についてだが、最初の侵攻時に藍染と会った後に体内時間を少し狂わされていた件から、この時こっそり見せられていた可能性がある。
それでなくとも藍染に関して未来視を使った時に「見てしまう」可能性は高く、根本的に相性が悪いと言えよう。
そして完全催眠の術中に陥ってしまっては未来改変したところで、「錯覚だ」で実は間違ってましたというオチになってしまう。

使用者の藍染は不死身の存在となっているので、直接使用者を倒そうにも世界を崩壊させる以外に打つ手が無い(と思われる)。
更に言うと完全催眠は『催眠されている』と思っても具体的な対策はほぼ取れないため、ユーハバッハも解除されるまで待つ必要があった。

ユーハバッハは一護が天鎖斬月を直して再び挑みに現れることを事前に見通すなど、予知の精度は極めて高い。
しかし、ここにもいくつかの穴がある。
一護が斬月を持って現れ、その斬月で斬られるというイメージを見ていたのだが、この時は丁度朝であり、ハッシュヴァルトから能力を返してもらう前後だったために単なる悪夢だと勘違いしていた。
しかも出刃包丁じみた元祖斬月の形状だったので、元々予知だと思っていなければ勘違いするのも当然な未来だった*11
そのことから察するにほぼ自動で能力が発動して危機を察知できるはずなので強力な反面、状況によっては能力か夢か幻か判別できないということでもある。
更に実際の場面とはシチュエーションが異なっていたため、予知の内容によっては解釈が挟まる余地があり、簡単には使いこなせない能力だと思われる。

実際、能力を預かっていたハッシュヴァルトは断片的な未来予知しか出来なかった。
ただし、ユーハバッハや己の死を予知していたなど十分広範囲。
ハッシュヴァルトの未来視を改変できなかった件については、未来が確定して視えていたのか、上述の勘違いの件からユーハバッハがその未来を見逃していただけで改変できたのかは不明。


また、未来改変についても必ずしもお手軽に出来るわけではなく、ハッシュヴァルトには扱えず、ユーハバッハにとっても扱いづらいことがうかがえる。
まず、和尚戦終盤の敗北の瀬戸際まで未来改変を温存していたことも舐めプではなく使えなかったからである。
(制御に千年の月日を要した*12&制御出来なければ滅却師を巻き込む恐れがあったため)
その後の描写にもこれは表れており、具体的には能力の行使に物理的にいくらかの時間を要する。
視た瞬間に全てを知って全ての改変を完了するような能力ではなく、視る事も、それを改変する事も手作業であるかの如く多少は時間を要すると察せられる。
何故ならば自分の死を書き換え、世界を崩壊させようとした時の天鎖斬月への干渉はヒビを入れるに留まり、完全には破壊できなかった。
忙しくて時間が不足していたからか藍染の能力が原因かは不明だが、干渉すれば瞬時に常に100%の結果が得られるわけではないということである。

石田竜玄がユーハバッハの能力を一瞬停止させる特攻アイテム「静止の銀」を持って侵入したことや、その静止の銀を使って息子の雨竜が不意打ちを仕掛けたことに至っては事前に察知すらできなかった。
雨竜の場合、過去改変能力の影響か、静止の銀の影響か、はたまたそれ以外の要因があるのかは不明だが、ユーハバッハの未来視から外れていると思われる。
そして雨竜によって一時的に能力停止させられた後に再度未来改変しようとした時は、流石に認識しておく間が必要だったのか、
ギリギリで天鎖斬月を破壊出来たのは良いが、その後の斬月には改変が間に合わずに敗北してしまった。


後述の真の能力を用いて、視た未来を自分を傷つけること無いように改変できる、ということかもしれない。


  • 苦悶の環(クヴァール・クライス)
アニメ版オリジナルの技。
敵の周囲を取り囲むように無数の神聖弓(ハイリッヒ・ボーゲン)を生成し、全方位から神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を連射して集中砲火を叩き込む。
破壊力・殺傷力の調整も自在であり、劇中では矢を刺した無数の瓦礫で一護を押し潰しながら動きを封じる芸当も見せている。

  • 大聖弓(ザンクト・ボーゲン)
超巨大な神聖弓を作り出し、これまた巨大な神聖滅矢を複数発射する。
和尚に吹き飛ばされた際、自分自身を射って強制的に戻るために使われた。
矢を直接手に持って剣として使うこともでき、元柳斎にもこの矢剣でトドメを刺した。

  • 外殻静血装(ブルート・ヴェーネ・アンハーベン)
静血装(ブルート・ヴェーネ)」を体外へ放出し、自身を取り囲んで防御壁にする。
さらにこの防御壁やユーハバッハに触れた者の身体を侵食し、力と肉体を奪うことが出来る。

  • 簒奪聖壇(ザンクト・アルタール)
天空に五芒星を展開し光を放ち、敵から力のすべてを奪い取る。
瀕死の身と化していた“R”のロイド・ロイドの息の根を止めたのは恐らくこの技。


“R”のロイド・ロイドが彼に変身していた時の技も恐らく使用可能と思われ、二枚屋王悦は1000年前の戦争のみならずその時のロイド・ロイドの戦闘情報もユーハバッハと対峙する際の参考にしていた。
滅却師は虚の力を取り込むとダメージを受けるなどし、卍解についても(メダリオンの力で)奪ったままでいると自身の完聖体が使えなくなるが、彼の場合はそのようなデメリットは恐らくない。
他の滅却師では扱えない「残火の太刀」や霊王の一部を吸収しているとはいえ、滅却師の天敵である虚の力ですら奪ってもデメリットは特に見受けられない。



 正体


一護の母・黒崎真咲の死の元凶である。
真咲は純血統滅却師(エヒト・クインシー)であり、一護は母・真咲から滅却師の能力を受け継いでいた。
そして、9年前のグランドフィッシャー事件の背後では、ユーハバッハが「不浄」と取り決めた混血滅却師(ゲミシュト・クインシー)から力を奪うための儀式『聖別(アウスヴェーレン)』が行われていた。
これにより、一護の母・真咲と混血統滅却師であった雨竜の母・片桐叶絵が力を奪われ絶命した。

1200年前に誕生した滅却師の始祖であり、彼より後に生まれた滅却師には全員彼の血が流れている。
ユーハバッハはこのことから一護、雨竜を含めた滅却師を息子と呼んでいる。

一護の斬魄刀「斬月」(と思われていた存在)は一護の「滅却師の力の根源」であり、千年前のユーハバッハの姿を象ったものであった。
また、斬月自身も自らがユーハバッハであった自覚がある。

赤子の頃は目も見えず、耳も聞こえず、さらには口を利くことも含めて一切動くことさえ出来ないという有り様であったが、前述の能力を当時の人々から重宝されて三重苦を克服した。
また、この能力によって人々が信仰していた神の名で自身を崇めたことで、その神の名を自ら名乗るようになった。
少年期の姿は「天鎖斬月」に酷似している。
他者から魂を取り込み続けなければ赤子の頃のような全盲の身体に戻ってしまうため、敵味方問わず絶え間無く殺しているのである。

恐らく元ネタとなったのは「Y・H・V・H」。


 出生から尸魂界侵攻前まで


およそ1200年ほど前、現世のとある場所にて生まれる。
その赤子は生まれつき手足を動かせず、目、耳、鼻、口といった人が生きていく上で必要不可欠のあらゆる機能すらも不全な状態だった。
しかし彼は『自身の魂を分け与える力』『力を分け与えた者が死亡するとその経験と力の一部が自身に還って来る』という特殊な能力を持っていた。
そして分け与えた力が戻って来る度にその子はあらゆる機能を取り戻し、周囲の人間はその奇跡の如く力を持つ子供に自分たちが信仰する神の名をつけた。
それこそがユーハバッハという名である*13

その特異な力を行使し自身は200年という普通の人間ではありえない時を生き永らえながら滅却師の国を築いた。
周辺諸国や領土を侵略戦争で取り込みながら、その国は大きくなり、やがて光の帝国(リヒトライヒ)という名で君臨することになる。
ユーハバッハが200年程の歳月を生き、帝国の繁栄と統治が佳境に入った頃に、彼はある存在に戦いを挑むことを決断する。
それこそが尸魂界(ソウル・ソサエティ)である。
彼は尸魂界、そしてそこに住む死神という戦力が如何に脅威かも知り得ていたので、それに挑む新たな戦力として星十字騎士団を立ち上げた。

中でも彼が騎士団に求めていたのは自身と同じ力を持つ者の存在、すなわち『半身』であった。
徴兵制度で騎士団の兵を募る中、遂に彼は『自身の目』でその存在を探し当てた。
それこそが当時まだ少年だったユーグラム・ハッシュヴァルトである。
自身とバズビーの仇であるユーハバッハに求められ困惑するも、劣等感に苛まれていたハッシュヴァルトはユーハバッハに「お前こそが必要な存在だ」と言われ、迷いながらもその場の勢いでバズビーと訣別し、自分を求めてくれるユーハバッハに付いていった。

それから幾年月の果て*14騎士団の戦力が円熟したのを契機にユーハバッハは尸魂界に血戦を挑む。

+ アニメ版#24ネタバレ。非常に重要な内容なので閲覧注意
しかし死神側も光の国が攻めてくることは事前に察知しており、帝国が尸魂界に攻め入る直前に交渉の場を設けた*15
そしてユーハバッハの元に現れたのは、なんと零番隊にして死神の頭目でもある和尚こと兵主部一兵衛だった*16
兵主部が提示した内容は世界を保つことを死神に任せて、帝国は自国の繁栄のみを追求する。また帝国には尸魂界は一切関与しない。
この2つの条約で尸魂界と帝国に不可侵条約を結ぶというものだった。

兵主部は互いに利しかないと言い条約を結ぼうとするが、そもそもユーハバッハは「かつて三界に分かれる前の世界に戻す」「今の世界で人間が死に怯えることを断ち切る」という信念と野望で尸魂界に攻め込もうとしていたので、その条約を一蹴。
それに対して兵主部は「ユーハバッハはなにも分かっていない」という一言ともに左を腕を出す。

そして兵主部の左腕の目ユーハバッハの目が同時に開かれる。


見せてやろう

見えているぞ


兵主部が左腕を開放してユーハバッハに見せたもの───それは三界がどのように成り立ったのか、そして霊王がどのような存在であるかだった。
これを見せてユーハバッハの士気を挫かんとする兵主部だったが、今の霊王の姿を見たユーハバッハは更に激昂する。
目と血装を開放し、今にも兵主部と戦わんとするユーハバッハに零番隊の頭目は誰もが想像も出来なかった一手をユーハバッハに撃つ。

なんと自身の左腕ユーハバッハに与えたのである。
しかしこの代償にユーハバッハは『自身の目』を封じられてしまう。
もはや死ぬまで目を封じられてしまったユーハバッハにこれで尸魂界に攻め込むことも脅かすことも出来ないと判断した零番隊の頭目は「手を引け」という一言ともに光の国を去る。
しかしユーハバッハもまた自身の目を封じられようとも戦意は微塵も揺らがずに尸魂界との血戦に挑むのだった。





 尸魂界血戦


そして尸魂界の侵攻に乗り出したのだが、当時尸魂界でも世界や瀞霊廷を護る為に山本元柳斎が立ち上げた新たな組織が存在した。
それこそが他ならぬ護廷十三隊である。

アニメ版#7にて1000年前の初代護廷十三隊との戦いが補完されたが、文字通りの惨敗だった。
なにせ副団長であるヒューベルトを始め部下を根こそぎ全滅させられ、翻って敵方の隊長格はほぼ無傷だったのである*17
そんな骸の上で哄笑しながら元柳斎を迎え撃とうとしたユーハバッハだったが、元柳斎との一騎打ちになるわけでも、隊長格全員でユーハバッハと戦ったわけでもなかった。
ここから護廷側が取った行動は後に「敵を討つのに利するものは全て利用する 荒くれ者の集う殺し屋の集団であった」とユーハバッハが述べるに相応しい一手だった。
なんとユーハバッハのすぐ後ろの死体の山の中から突如、元柳斎の右腕にして一番隊副隊長の雀部長次郎がユーハバッハを奇襲
ユーハバッハはこれに全く反応出来ずに負傷、動きが完全に止まった直後に残火の太刀*18の直撃を受けるという凄惨窮まる敗北であった。

つまり復活したユーハバッハが護廷側の戦力把握と情報入手を徹底し、卍解奪掠などのガンメタを施し、最初の奇襲で雀部を葬ったことなどの戦術は全て千年前の教訓から得た物なのである。
ちなみにアニメ版ではこの時前述のように、和尚の手で全知全能の力を封じられており、ユーハバッハの目は普通の状態だった*19
また作中では終盤に追い込まれた時を除くとピンチの時でも終始余裕の態度を保っているので想像し辛いが、実際は反攻までに1000年も時間をかけたことから、その自信の担保は完全復活と全知全能の制御あってこそのもので(その間、敵戦力の解析や対策も進んだが)、1000年前は心底追い込まれたものと思われる。

この戦いに敗れたことから復讐を目論んでおり、特に山本元柳斎や零番隊の頭目である和尚とは1000年前から浅からぬ因縁が存在する。


 本編の軌跡


現世へ一護の足止めに行ったイーバーン、瀞霊廷へ元柳斎に宣戦布告に行ったリューダースの両名が戻ってくるなりいがみ合っていたところで初登場。
リューダースの右腕を吹き飛ばして制した後、彼らの報告に耳を傾ける。
そして預言者気取りで未来を語ったという理由でリューダースを殺した挙げ句、イーバーンに至っては可もなく不可もなしと言う理由で抹殺した。

一護が虚圏(ウェコムンド)に浸入したのを見計らい、自ら星十字騎士団を率いて瀞霊廷に侵攻開始。
側近のハッシュヴァルトと共に戦況を傍観していたところに更木剣八が来襲。これを難なく圧倒した直後、宿敵の元柳斎が来襲し交戦。
彼の卍解の前にあっけなく倒されたかに見えたが、倒れたのは影武者であり、自身は「無間」に投獄されている藍染に会っていた。
戻って影武者=“R”のロイド・ロイドに賞賛の言葉を送りつつ、瀕死に陥って苦しむ彼の息の根を止めたのだった。
そして激昂する元柳斎の卍解を奪い、瞬く間に彼を殺した。
この時に山本元柳斎の死体を踏みつけ凄まじい程に長い独白を口にしている。

+ それがこちら

死しても逃さぬとでも言うつもりか 下らぬ

山本重國 半端者よ
私が何故5人の特記戦力から貴様を外したか知る由も無かろう

貴様 何故左腕を治さなかった
あの人間の女に命ずれば治す事はできた筈だ 何故それをしなかった
解っている 貴様は人間を利用したくなかったのだ

知っているぞ
貴様は藍染との戦いの最中も人間である黒崎一護を巻き込む事を案じていた

そして今も尸魂界だけでなく 現世までもその背に負って私の前に立ち そして敗れた

貴様は弱くなった 山本重國 かつての貴様は違った


貴様が創設した当初の護廷十三隊は 護廷とは名ばかりの殺伐とした殺し屋の集団だった

だが それ故に恐るべき集団だった

それを束ねる山本重國 貴様は正に剣の鬼
敵を討つに利するものは全て利用し 人はもとより 部下の命にすら灰ほどの重みも感じぬ男だった


だが 我等滅却師を殲滅してそれは変わった
安らかな世を手に入れた貴様らは守るべきものを増やし 慈しみ つまらぬ正義や誇りの為に二の足を踏む惰弱の一群に成り下がった

貴様は死ぬ迄 知らぬままだったが故に教えてやる

尸魂界はこれから死ぬが


護廷十三隊は千年前 我等と共に死んだのだ

原作では4ページ、アニメ版では若干早口で言ってるにもかかわらず2分はあるあまりにも長すぎる口上である。
おかげで読者や視聴者から「生粋の厄介ファン」「まさにアンチは純粋なファンをも遥かに凌駕する」など散々な言われように……
言うまでも無いが、こんなに語ってなければ尸魂界にさらに壊滅的な被害を出せたはず*20
そして後述する藍染の仕込みをハッシュヴァルトは分かっていたので、それを理解した上でこれを黙って聞いていた訳である。


その後はキルゲ・オピーの「監獄(ザ・ジェイル)」を破って現れた一護とも交戦し、捕えて連れて行こうとするも活動時間の限界が来たため断念し帰っていった。
ちなみにこの時に活動時間に余裕があるとユーハバッハは思っていたが、藍染が(恐らく嫌がらせ一辺倒で)ユーハバッハの感覚を若干狂わせて、活動限界の時間を誤認させていたのだ。
ハッシュヴァルトの方は藍染に直接会っていないので、当然ユーハバッハが活動時間を誤認していることに気付いていた。

一次侵攻が終わった後に雨竜を帝国に招き入れ、自身の後継者として配下に加える。
これは雨竜が混血統滅却師であるにもかかわらず、かつて聖別で力を奪えなかったため、雨竜には自身の力を超える何かがあるに違いないと睨んだためらしい。
ハッシュヴァルトは敢えて彼を配下にすることで行動を制限する意図もあったものと推測している。

そして再び瀞霊廷へ侵攻。
高台から戦況を見物し、霊王宮から修業を終えた一護が戦場に降り立つと、雨竜とハッシュヴァルトを連れ霊王宮にまで進攻した。

そこで零番隊の襲撃を受ける。
自らの親衛隊が王悦により倒されるものの、瀞霊廷に残した星十字騎士団達を聖別することで親衛隊を蘇らせると共に強化した。
その後自身は零番隊のリーダーである兵主部一兵衛と交戦。
滅却師の技を駆使して戦うも兵主部の斬魄刀の力により自身の力も名も奪われそのまま滅ぼされるかと思われたが、自らの聖文字を発動させることにより逆転し、兵主部を戦闘不能に追い込む。

ついには追いついてきた一護を利用して霊王を殺害しただけでなく、世界の崩壊を食い止めるべく浮竹が使用した神掛けにより現れた霊王の右腕も取り込むことに成功する。
死神達に時間を稼がれてしまったものの、口元以外が多数の目と影で覆われた異形の姿と圧倒的な力を手に入れる。
その力により霊王宮を自らの望む世界に作り替え、自らは銀架城(ジルバーン)に代わる新たな居城『真世界城(ヴァールヴェルト)』に君臨する。



 以下、最終決戦のネタバレ


「真世界城」の玉座にて仲間達の助けにより親衛隊の防衛網を潜り抜けてきた一護と織姫を迎え撃ち、全知全能(ジ・オールマイティ)により2人を圧倒。
天鎖斬月を破壊して一護の心を折る。
そしてもはや親衛隊も不要と、石田や死神たちと善戦していたハッシュヴァルト、ジェラルド・ヴァルキリーから力を奪い葬った上で尸魂界に降り立つ。
そこで藍染と遭遇して交戦。彼をも圧倒し、更には阿散井恋次も軽くあしらい、そして天鎖斬月を修復して追ってきた一護を再び退け、遂にトドメを刺すことに成功した……




――
―――

……さらばだ一護 お前の抵抗は心地良かった

せめて尸魂界(ソウル・ソサエティ)と共に滅べ





















……そうか













黒崎一護に視えているか




















かのように見えたが、それは鏡花水月が見せた錯覚であった。一体いつから黒崎一護を倒したと錯覚していた
鏡花水月の幻により生まれた隙に至近距離の月牙を喰らい、体を吹き飛ばされる。

「全知全能」によりすぐさま復活するも、駆け付けた石田に特殊な(やじり)付きの矢を撃ち込まれてしまった。
この鏃は「静止の銀」という物質で作られており、聖別で死亡した滅却師達の心臓に血栓として現れていたもの。
「聖別」を行った者の血にこの銀を混ぜることで効果を発揮し、その者の能力全てをほんの一瞬だけ無にできるのだという。
竜弦がたとえ息子に憎まれようとも愛する妻の遺体を解剖していたのは、全てこの時のためだったのだ。
今まで他者から幾度も力を奪ってきた彼が、その副産物によって自身の力を失うことになるとは何たる皮肉だろうか。

そして、能力を停止させられてもなお天鎖斬月を砕くが、その中から現れた斬月により体を両断され、遂に力尽きることとなる。


道は閉ざされたぞ 一護 恐怖無き世界への道が

現世も 尸魂界(ソウル・ソサエティ)虚圏(ウェコムンド)も一つになるべきだ
生と死は混じり合い 一つになるべきだったのだ

だが それも最早叶わぬ お前のお陰でな 一護

無念だ

お前のお陰で生と死は形を失わず
命あるすべてのものは これから先も死の恐怖に怯え続けるのだ

永遠に


彼が今際の際に明かしたその目的とは、「現世、尸魂界、虚圏の境をなくすことにより生と死を一つのものとし、世界から死の恐怖を消し去ること」だった。

推測の域を出ないが、彼がハッシュヴァルトを聖別しなければ雨竜は一護の応援に駆け付けられず、「全知全能」を無力化されることはなかったかもしれない。
更に雨竜が使った鏃は彼が父から授かったもので、その父は何十年も前に自身の父(雨竜の祖父)が使っていた通行証によって真世界城へ侵入している。
聖別で混血統の滅却師はほぼ死滅し、さらに死神によって狩り尽くされたため、騎士団以外の滅却師などやって来るはずがなかったのだろうが、ザル警備も結果的には仇となった。

自身を唯一至上の存在とし、自分以外の存在全てを捨て駒或いは自分に抗う力を持ち得ないとした皇帝は、ある意味その報いを受けるような形で、友人だけでなくかつての敵たちとすら力を合わせた一護に倒されたと言える。

その後、小説『BLEACH Can't Fear Your Own World』にて、死後その遺体は和尚の手により新たな霊王として封印された事が明かされた。


 その他の謎


色々と能力を奪っており、その中でもあのジェラルドの能力を奪っているため、全知全能が破られても生き返れていたのでは?という疑惑がある。
明らかに進行上の都合と言えるが、もしかするとジェラルドは日番谷冬獅郎達の猛攻や彼の能力停止によって「奇跡(ザ・ミラクル)」の能力自体が残っていなかったのかもしれない。
もしくは雨竜が放った「静止の銀」の効果がこういったところにも影響していたのだろうか……。

読者からは何故奪い取った残火の太刀を使わなかったのか、よく疑問視されている。
使わなかった理由としては、
  • 本当は扱うことができないから
  • 使うまでもなかったから
  • 強大な力で影響が大きすぎるので何となくやめた
  • 宿敵である死神の力なんて使いたくないし使えば東仙要と同じ堕落になるから
  • あくまで山本重國対策で使っただけだから
  • 聖別の応用で自分の力を強化するために使ったから、
  • 自分の力で戦う方がオサレだから
……などが考えられるが、真相は闇の中である。
といってもまっとうな頭の持ち主なら、相手が何らかの手段で卍解を奪還したことを考えればそんな不安定な代物使うより自分の力で戦ったほうが安定して戦えると考えるだろう。
チートじみた力を持っているのだからなおのこと。

滅却師に対しては自分のものを与えた後に返してもらっただけ、死神はそもそも滅却師の敵……という認識だからか基本的に冷酷に見えるのだが、人間(というか生者*21)に関しては妙に見逃している印象が強い(一護や織姫をガン無視)。
これはウッカリや嫌がらせなどではなく、霊王を殺し現世・尸魂界・虚圏を1つにし、生と死の境をなくそうとしていた彼の慈悲*22だったのかもしれない。

また、前述したが作中において最も甘い対処をしたのは他ならぬ石田雨竜である。
石田に関しては最初に血杯を飲ませた後は完全に放置。
ハッシュヴァルトは騎士団に雨竜の動向を監視させていたと言っていたが、騎士団が最も活発に動いていた二次侵攻中盤までは自身の傍にずっと置き、なんと霊王宮でほとんどの騎士団がいなくなった後に自由行動を許しているのだ。
ユーハバッハは当然雨竜の母である片桐叶絵の仇が自身だということは熟知していたので、彼の翻意は見抜いていたはず(そもそも石田家自体が帝国と袂を別った過去がある故、なおのこと彼は注意すべき存在と言えよう)。
自身の血杯まで飲ませれば最後に聖別して始末出来ると踏んだのかもしれないが、それにしても「聖別を乗り越えた唯一の混血統滅却師である雨竜には始祖たる自分も理解出来ない、自身をも凌駕するなにかがある」とまで言い切った雨竜の対処に甘過ぎではなかろうか?

ちなみに上述の配下にすることで行動を制限する意図云々はあくまでハッシュヴァルトの予想であり、ユーハバッハ本人はそんなことを一言も言ってないし、騎士団に命じた訳でもない。
ハッシュヴァルトが雨竜を警戒して付け狙ったのは、あくまでハッシュヴァルト個人の彼に対する警戒というか徹頭徹尾の個人的私怨であり、ユーハバッハはハッシュヴァルトに雨竜を警戒せよと命じた訳ではない。


最後の聖別時に「私にはもう息子すらいらない」とまで言い切っていたから始末する気だったのは間違いないだろうが、もしかしたら雨竜が聖別を最後まで乗り切ったなら明言した通り、生も死もない新たな世界で本当に「自身の後継者」に任命するつもりだったのかもしれない。
本文中にて何度も言ってきたが、ユーハバッハは(本人の主観に基づく範囲でなら)嘘を言わないし誤魔化しもしない。
さらにハッシュヴァルトですら雨竜はユーハバッハに認められた存在だと最後に言っているのである。


 余談


アニメ版第2クール『決別譚』のOP映像では「満面の笑みを浮かべながら、ヘリコプターで雨竜を迎えに来て手を差し伸べる」というシュールな形で登場しており、視聴者の腹筋を破壊した*23
ヘリから完全に身を乗り出してるし、どんだけ石田が好きなんですか、陛下……
ちなみにヘリの操縦担当はハッシュヴァルトである。



仕上げだ 星十字騎士団(シュテルンリッター)全名に伝えよ

アニヲタWiki(仮)を徹底的に追記・修正せよ


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最終更新:2024年04月10日 23:18

*1 後日談小説『BLEACH Can't Fear Your Own World』においては、リジェはユーハバッハを狂信していたという事実がリルトットの口から語られている。

*2 本編の帝国の滅却師が長命なのは尸魂界に入ったため。

*3 1000年前に戦死した主要な部下達については未だ顔と名前を覚えている程度には気に留めていたようなので、元柳斎との戦いに敗れて冷酷さに拍車がかかった可能性はある。

*4 バズビーがユーハバッハの真意を問おうとした際、マスキュリンが「そんなことをすればタダでは済まない、許されない」と言っており、尚更石田には甘い対応だと強調されているのである。

*5 部下の1人(それも古株)であるロバートも「陛下は嘘が嫌いだ その存在意義に嘘は無い」と断言している。

*6 敢えて例外を挙げるとすれば石田を後継者にすると騎士団に言った時だが、この時も「疑問も懸念も要らない」と部下に念押ししている。

*7 逆に言えばユーハバッハや帝国には時間さえあれば崩玉を取り込んだ藍染にすら対処できる方法があるという証左でもある。

*8 作中のエス・ノトの言葉から本当に情報はユーハバッハ直々に用意したものらしい。

*9 例・病が治る。寂しい心が満たされる。卑怯者が勇敢になる。脚を失ったものが治るなど。

*10 黒崎兄弟も聖別対象に成らなかったが、恐らくこれは滅却師の他に死神の素質なども入っているからだろう。そしてこの3人は滅却師の素質はあるが、滅却師ではない。作中でユーハバッハが滅却師にもかかわらず聖別を逃れたのは石田ただ一人と言っている。

*11 流し読みしがちだが、ここらはかなり計算されている。

*12 1000年前も未来改変出来たのかは不明。ただし情報通の和尚ですら予想外の能力だったので千年前の戦いではまず使っていない。仮に使ったとしてもバレないような地味な使い方か、失敗したと思われる。

*13 こういった経歴から彼にはユーハバッハとは別に本名があると思われるが、その名は不明。

*14 原作で分かる限りハッシュヴァルトを迎え入れてから3年は費やしている。

*15 この対談では虚と世界のバランスの話し合いがあまり出ていないので、恐らく歴史で伝えられている滅却師と死神の対話とは無関係だと思われる。

*16 修多羅千手丸はユーハバッハに「久しい」と言っていたので、千手丸もこの時に同席してユーハバッハに会っていた可能性がある。

*17 一般隊士の死体は数多くあった。また、ハッシュヴァルトは総隊長の卍解の詳細を知らなかったので、彼は前線に出ていなかった可能性がある。

*18 この時は全ての炎を一刀に収束しただけの基本技。

*19 原作でも1000年前の戦いの情報を持っている王悦や和尚がユーハバッハの能力を知らなかったので、全知全能を使っていなかったのはほぼ間違いない。

*20 よく一護も捕らえられたと誤解されるが、一護が現れたのはこの後なので、この独白があろうがなかろうが一護に対処する時間は変わらなかったりする。

*21 ちなみに作中の敵の滅却師は1000年以上尸魂界に潜んでいたりすることから、恐らく生者では無いと思われる。まあ、この世界では厳密な生死の区別が読者にはつかないが。

*22 彼の目的は各勢力の全滅や支配などではなく、恐怖を取り除くことを目的とした彼なりの世界平和である。

*23 なお、このOP映像では敵も味方もおしゃれな私服を着ており、ユーハバッハも例に漏れず黒いスーツ姿だった。