グラント・ダナスティ

登録日:2014/09/27 (土) 07:23:00
更新日:2023/03/01 Wed 13:46:18
所要時間:約 15 分で読めます





そうかい!おれは身のこなしには自信があるんだぜ!

力になるからよろしくたのむわ!


グラント・ダナスティはFC専用ソフト『悪魔城伝説』の登場人物。



†概要†

主人公、真正ヴァンパイア・ハンターラルフ・C・ベルモンドの仲間のひとり。
1476年、ワラキアにて魔王・ドラキュラ伯爵が行った大虐殺に対し
蜂起・戦いを挑んだ民衆のひとり。東方正教会に所属する正規軍や依頼を受けたヴァンパイア・ハンターではなく、
義憤に駆られて立ち上がった民間のレジスタンスである。

しかし、いかんせん人間の力で魔王軍の揮う圧倒的な狂気と暴力に太刀打ちできる筈もなく、
逆にドラキュラの魔力によって、ある者は八つ裂きにされ、またある者は串刺しの刑にあい、
レジスタンスは壊滅状態に追いやられてしまう。

グラントもこの敗戦で仲間や親兄弟を皆殺しにされた挙句、自身は
ドラキュラのかけた呪いでその身を醜悪な怪物の姿に変えられてしまう。

これにより完全に魔王の支配下に置かれてしまったグラントは
悪魔城に続く橋が架けられた時計塔の番人として侵入者を排除する役目を与えられ、
正教会の依頼を受け悪魔城を目指すラルフにも敵として襲い掛かった。
この戦いを通しラルフの愛の鞭で呪いが解け、人間の姿と記憶を取り戻すことに成功する。
意識が戻ってからは殺された人々の無念を晴らすために打倒ドラキュラの旅に同行し、
その身軽さを武器にラルフの退魔行に貢献した。同行の許可を得た後に交わす握手がカワイイ。
ドラキュラを倒した後は破壊された街の復興活動で陣頭に立ち、大いに活躍したという。
共に死線を潜ったラルフとは熱い友情を結んだが、悪魔城伝説の彼を仲間にしたルートでの
エンディングでは、戦いが終わった後ラルフはいずこともなく旅立ってしまったことで互いの歩む道も分かれている。




†人物像†

基本、筋骨隆々の偉丈夫幻想的な美男子の二極に分かれる悪魔城シリーズの男性キャラにしては
容姿に恵まれておらず、見た目は風采の上がらない小男そのもの。
頬のこけたネズミのような顔つきで、猫背で膝の曲がった姿勢のせいもあるが、画面上ではラルフの肩くらいしか上背がない。

ラルフに助けられる寸前は時計塔で飼われていた獣も同然だったこともあるが、服装もみすぼらしく
ボロボロのズボンに袖の無い黒シャツと襤褸同然の上着を着ている(イラストによっては上半身裸という場合も)。
頭に結んだバンダナがトレードマークで、手に持ったナイフも相まってパッケージイラストなどではとても味方には思えない、
山賊や海賊の子分Aといった風情である。当時はともかく、後年においてこの外見の貧相さが災いして
悪魔城伝説の主要キャラクター4人の中で最も割を食っている印象があるのは否めない。

しかし、その気性は正に好漢。誰に頼まれるでもなく魔王軍の暴虐に対し決起した正義感と勇気、
一度は己に極限の絶望を味わわせたドラキュラに再度立ち向かっていく姿は人間の持つ内なる輝きに満ちている。

また、悲惨な過去を背負いながら、他者にはそれを感じさせない明るく陽気な男で、
冒頭に挙げた仲間入り時の快活な自己紹介は元より、仮に仲間にしないことを選んだ場合も
「そうかい…とりあえず助かったぜ。縁がありゃあ またどっかで会うだろう。
気をつけてな…          …死ぬなよ。」
とこちらの武運を祈ってくれるほか、

続くステージでサイファ・ヴェルナンデスを新たに加えた結果グラントと別れなければならなくなった際は
「そんじゃあ 俺の役目は ここで終わりだな。ここから先は二人で力を合わせて、頑張ってくれよな!」
クールに去っていく。

どこまでも気持ちのいい漢である。

周囲の人間から畏怖され、世を離れて暮らしていたラルフにとっては
生まれて初めて出逢った対等に接することのできる仲間にして友であったことは想像に難くない。





†能力†

彼の本業は『軽業師』であり、自他ともに認める『ワラキアきっての身軽な男』。
ベルモンド家のハンターのような特別な力は無く、正規の戦闘訓練すら受けているかは怪しいが、
その素早い身のこなしと軽業稼業で磨いたスキルは魔物を向こうに廻しての実戦においても強力な武器となる。
得意とする得物は短剣で、どちらも投擲して使う(曲芸の投げナイフのイメージだろうか)。
聖別されているのかは不明だが、彼の操る刃物は実体のないゴーストにも効果がある。

ゲーム中では移動関係において全キャラクター中最高の性能を持つ。
歩行スピードやジャンプの高度がずば抜けて高く、まだ高速系変態のいない平和な時代高速移動が存在しなかった
悪魔城伝説においては驚異的な機動性と言っても良い。

最大の特徴は壁面や天井にへばりついて進むことができるという点。
ヤモリか虫のように這い進む様はまさに変態。ああ、グラントのGって…
一段上の足場を階段を使わず飛び越す・橋の裏側にへばりついて渡る・垂直に壁を伝って最短ルートを降りる
…など、他のキャラクターには到底不可能な道筋を辿ってのショートカットもグラントなら可能である。

また、火力は低いが使用武器が2種類とも飛び道具なので、足の速さで手軽に距離を取り、
間合いの外から一方的に攻撃できる。安全性はピカ一。防御力の低さもカバーできる。
通常攻撃の短剣はラルフのサブウェポンと同等の威力だが、メインゆえにハート消費なしに無限に投げられるのが強み。
斧はサブウェポン扱いで、最大3連射できるラルフに対し2連射までと制限があるものの、短剣との併用が強力である。

仮に懐に飛び込まれたり、ボス戦で瞬間的な火力が要る場合に追い込まれても、セレクトボタンによる交代システムを使って
ラルフに代わってもらえばいいだけなので、事実上このタッグに死角は存在しない。
(グラントが主でラルフが従という関係になってしまうが)。
やろうと思えばグラントのみでクリアも可能であるし、悪魔城伝説をプレイする上では最良の組み合わせといっても過言ではない。




†他作品において†

作品ごとに世代が大きく変化するシリーズゆえに
ラルフを支えた仲間という形でサイファやアルカード共々セットで語られることはあっても
グラント個人の名残が後世の作品で見受けられる例はほとんどない。
先祖代々受け継ぐ技や能力や装備、宿命が無いという点からベルモンドのような形で
『ダナスティ一族』の系譜を展開することが難しかったというのもあるのだろう。

特にシリーズの時系列では最新に位置する『蒼月の十字架』のおまけモードにて
ベルモンドの末裔・ユリウスを主人公に、ヴェルナンデスの血を引く魔法使い・ヨーコ、そしてアルカード本人が揃い、
あたかも現代(蒼月の時代背景は近未来の2036年だが)版・『悪魔城伝説』といった趣になるのだが、
グラントに当たるキャラクターがいないことが、前作・『暁月の円舞曲』の時点からファンには残念がられていた。




◆月下の夜想曲◆

グラント…の偽物であるグラント・フェイクが敵として登場。ラルフ・サイファのフェイク共々、
3人がかりでアルカードに猛攻を仕掛けてくる。天井に取り付いた状態から真下に向けて短剣を投げつけてくる。
攻撃を当てにくい位置にいるのが鬱陶しいが、冷静に対処すればどうということはない。
この偽物トリオは『ギャラリー オブ ラビリンス』の隠しボスとしても登場するが、こちらのパターンも全く同じ。
ラルフ・サイファのフェイクがパワーアップしているので相対的に弱体化している。
斃すとラーメンを落とす。好物なのか???



◆ジャッジメント◆

悪魔城伝説のメンツは(ドラキュラ伯爵やデス様を含めて)全員参戦という快挙。
…しかし、シリーズでも確固としたストーリー性のあった作品だけに各キャラごとに思い入れの強いファンも多く、
そうした古参プレイヤーから小畑健氏の原型を全く顧みないリファインが総スカンを喰う結果にもなっている。

特にグラントは病的に痩せ細った体躯をミイラ男の如く包帯で覆い尽くし、
その隙間から見える肌はロウソクのような不健康な白、唇は真っ青という
ソウルキャリバーのヴォルドデビルメイクライのフェティッシュ足して2で割り白く塗ったような強烈な外見。
キャンプテン・コマンドーのジェネティと並べたら、あっちのほうがまだグラントっぽいくらい。
小畑氏の代表作・DEATH NOTEに登場する死神と見間違うプレイヤーが続出した。

また、人間に見えないせいで「ただの人間でありながら魔王に立ち向かった」という
グラント最大の美徳が判りにくくなってしまったのは明らかに失敗だったと言えよう
(一応グラント編オープニングで『ワラキアでもっとも身軽で正義感にあふれた男』と称えられてはいる)。

CV担当は小野坂昌也氏。
時系列的にはドラキュラ封印後からの参戦で、ラルフの古傷同様
最終決戦時に受けた負傷の後遺症で包帯だらけ…という説明が公式でされている。
そんな重症患者引っ張り出してくんじゃねーよアイオーン!!

キャラクターとしては時折暗殺者めいた不気味な凄みを放つ一方で、
ラルフを『兄貴』と慕う舎弟っぽい属性が付いた。

また、冒険の旅の中サイファに恋心を抱いていたが、彼女がラルフと両想いになったうえに結婚までしてしまったため
自分の気持ちにイマイチ整理をつけられないでいるという何やらほろ苦い三角関係が展開。
二人の結婚式にも出席していなかったらしい。

時の狭間で出会ったサイファがまだ自分と知り合う前の時間軸から召喚されたことを知るなり
一時は「俺はお前の未来の旦那だ」と迫るなどラルフからサイファを寝取ろうと企む。
どうした、ワラキア一の正義漢!?まさかこれもドラキュラの呪いか!?
…すんでのところでやはりウソはいけないと断念したが。

結局、再会したラルフに「一発殴らせてくれ」と頼み、ラルフもそれを快諾。
ダークなお城で野郎二人の暑苦しい拳(っつーかムチとナイフ)の応酬が繰り広げられるのだった。

操作キャラとしては敏捷性に能力を全振りしており、それ以外は軒並み最低クラスという極端なステータスの持ち主。
ただし、安定した性能の飛び道具を持ち、どの距離でもそつなく立ち回れるためポテンシャルその物は非常に高い。
また、超必殺技『ミリオンエッジ』は全キャラ中トップクラスの発生速度を持つ。

専用BGMとしてはグラントが仲間になる時計塔ステージのBGM『CLOCK WORK』が採用されている。



◆パチスロ『悪魔城ドラキュラ』シリーズ◆

ビジュアル面で華が無いためか、存在そのものを抹消される
という信じられない扱いを受けることに…ファンは泣いていい。
一応、ボーナス中のキャラ紹介画面(原作のレトロな8bitドット絵)で出てくるが、
本編では影も形も無い。サイファのおっぱい描写にばっかり気合入れやがって!!
あと原作でアレだったのにしれっと月下版のキャラデザで参加してるアルカードが許せない。
勝敗は常に顔で決まるのかよ!?



†余談†

★海外版ではワラキアの義賊という設定。
ここでいう義賊と言うのはロビン・フッドのような森に潜み圧政に反抗するアウトローを指す。
また、怪物としてトレバー(ラルフ)に倒された時点で人としては既に死んでおり、
呪いを解くというよりは、もう生きて人間には戻れない相手に対する介錯という意味合いが強くなっている。
死後は亡霊としてトレバーの冒険をサポートすることになる。
なお難易度を高くするため、ナイフは投げずに刺し攻撃へと変更されている。


★デリケートな問題故に明言している資料こそないが、醜い怪物の姿で時計塔の中に閉じ込められている
設定や、元の姿も極端な猫背であるところからグラントのキャラクターコンセプトにはヴィクトル・ユーゴーの小説
『ノートルダム・ド・パリ』(ディズニーアニメの『ノートルダムの鐘』の原作)の登場人物、
せむしの鐘つき男カジモドのイメージが強く反映されていると思われる。

また、悪魔城シリーズ定番のモンスターには身軽に跳ね回る怪人のみ男(旧くはせむし男)がおり、
本質的にはグラントと同質の存在といえる(のみ男が悪魔城伝説に出てくるのは海外版だが)。
こうした視点から見ると人々に疎まれていたラルフ、魔法使いであるサイファ、魔王の息子アルカード同様、
当時の社会においては風当たりの厳しい存在であり、悪魔城伝説がアウトサイダーたちの物語であるという印象を強めるかもしれない。




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最終更新:2023年03月01日 13:46