ドラえもん のび太の日本誕生

登録日:2014/07/28 Mon 11:55:39
更新日:2024/02/20 Tue 07:43:42
所要時間:約 4 分で読めます






7万年前の日本で、

壮大な冒険が始まる!


監督:芝山努
脚本:藤子・F・不二雄
主題歌:西田敏行「時の旅人」

『ドラえもん のび太の日本誕生』とは、『映画ドラえもんシリーズ』の第10作目及び『大長編ドラえもんシリーズ』第9作目のタイトルである。
1989年3月11日公開で上映時間は100分。
同時上映は『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』。
また、本作は平成最初のドラえもん映画作品である。

●目次

【概要】

大長編第10作*1の記念作品であるため、『日本誕生』という壮大なテーマを扱っている(タイトルの由来はラストに明かされる)。

ひみつ道具を利用した擬似的な原始生活(「洞窟は自分で掘って住む物」と信じていたのは筆者だけでないと信じたい)の魅力や、
ツチダマの登場以降の不気味かつミステリアスな展開、そして誰もがアッと驚くギガゾンビの正体など、見所は数多い。

歴代ドラ映画の中でも当時最高の観客動員数420万人を記録し*2
また興行成績もドラえもん のび太の南海大冒険に抜かれるまではトップであった。

後に2016年春に『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』としてリメイクされた。


【あらすじ】

毎度お馴染みの理由で家出を計画するのび太
家出の成功には衣・食・住が必要という結論に達するが、住む土地がないという壁にぶち当たる。*3
その後ジャイアン・スネ夫・しずちゃん・さらにはドラえもんまで家出に加わることに。
彼らは日本に人が住んでいなかった時代を目指し、七万年前への"史上最大の家出"を敢行する…


【登場キャラクター】

【メインキャラクター】

青いタヌキノ化ケモノ
巨大なネズミが家に来たので、泣きながら家出。
(だが、途中で理由を忘れていた)
なりゆきで精霊大王ドラゾンビを名乗ることになるが、いざとなったら派手なコスプレをする、口調もそれっぽくなるなど、案外ノリノリである。
「われこそは精霊大王ドラゾンビ。」

いつもの理由で家出。
原始生活ではペット大臣(?)になり、ペガ・グリ・ドラコの三匹を生み出した。
「リニアモーターカーごっこ」で移動中に雪山で遭難するが、そのことが一行の運命を左右することに…

ピアノの才能に絶望して家出。
環境庁(当時は環境省ではなかった)長官に任命され、「花ぞのボンベ」で花畑を作った。
また彼女がククルの看病をしたことが、彼の心を開くきっかけとなった。

「おれはかーちゃんのどれいじゃないっつーの!!」で家出*4
原始生活ではけんか建設大臣になり、「らくらくシャベル」で洞窟住居を掘り抜いた。
雪山で遭難したのび太を助けに行こうとする、ククルの危機に真っ先に飛び出すなど、映画ではいつもながらの
また涙もろい性格で、ククルと家族との対面シーンには思わずもらい泣きしていた。

家庭教師を全部の科目につけられて家出。
農林大臣として「畑のレストラン」で食料を担当。ダイコンは嫌いな様子。
本作では珍しくヘタレない大長編補正

【ゲストキャラクター】

  • ペガ・グリ・ドラコ
それぞれ、ペガサス・グリフォン・ドラゴンで、ペット大臣ののび太が動物の遺伝子アンプルとクローニングエッグによってそれぞれ複数のアンプルを一つのエッグに注入することで生み出した。
本来ならこの道具は普通のペットを生み出す道具なのだが、相変わらずすさまじい発想力である。

…いつも思うのだが、作者のび太のネーミングは安直すぎるんじゃなかろうか。
ちなみに映画では、ドラコはしずかちゃんに「ドラちゃん」と呼ばれ、ドラえもんに「紛らわしい名前付けないでよ」と突っ込まれていた。
また、原始時代と西洋の空想動物とではミスマッチ感がバリバリである。
だが、カワイイ。カワイイは正義!!
途中一時的に離脱するも、終盤にのび太と合流。その後の反撃のきっかけを作った。
架空動物故に何時どの時代にも存在する事は(歴史や生態系に影響を及ぼす可能性が有るので)許されない為、最後はタイムパトロールの手で未来の空想動物サファリパークに引き取られて行った。

  • ククル
CV:松岡洋子、白石涼子(新日本誕生)
本作のゲスト・キャラクター。
クラヤミ族に住む村が襲われた際、時空乱流に巻き込まれ、のび太たちの住む二十世紀に転移する。
その後はドラえもんたちの助力で家族を助け出すが、今度は家族ごとさらわれてしまう。
ペガたちが姿を消した際、のび太に飼っていたオオカミの話をして慰めた。
父親の名はタジカラ、母親はタラネ。家族の再会シーンは、ジャイアンがもらい泣きするほど感動的。ほんやくコンニャクはお味噌味が好み。

原作漫画では後に「ウンバボ」と名前を変え日本初の国王(部族の長)となったことが明かされるが、大人になった姿はのび太のパパ同様似ても似つかないヒゲ面の強面オッサンなのでショックを受けないように。
実は二十世紀の宇宙人のシンデレラのご先祖様でゲスト出演している。…大人の姿で。

旧作では二度目の誘拐以降は影が薄くなってしまうのだが、リメイク版では終盤再度のび太一向に合流。敵を倒すため知恵を貸してくれるほか、彼の持っていたあるものがギガゾンビの野望を最後に打ち砕くこととなる。
また、大人の姿も少年時代の面影を残したデザインになっている。

  • ギガゾンビ
CV:永井一郎、大塚芳忠(新日本誕生)
本作のラスボス。精霊王を自称する。ちなみにギガゾンビの本名は山田博士との事
当初はただのまじない師かと思われていたが、通り抜けフープの通路を捻じ曲げたり、ウルトラストップウォッチで停止した時間を開放したり、
22世紀の最新式のショックスティックを、もっと強力な電撃槍で破ったりと、ドラえもんのひみつ道具が通用しない。

その正体はスケールだけは大きいセワシくんだった!*5
リメイク版では「亜空間破壊装置」により原始時代を時空から分離させ帝国を築くのが目的と旧作以上にスケールの大きい敵として描かれており、どことなく愛嬌があった素顔も凶悪なものにリデザインされている。

  • ツチダマ
CV:高島雅羅、家中宏(新日本誕生)
遮光器土偶のような風貌の「粘土の化け物」。
組織の幹部であり、末端のクラヤミ族を統率する中ボス的存在。
ヒカリ族を日本に送り届けようとするドラえもんたちを無数の別個体と共に襲撃を仕掛け、
その小さな体躯から発する強烈な衝撃波で一行を苦しめたが、ドラえもんのひらりマンとで弾き返されバラバラに砕け散った。
その際に、実は「形状記憶セラミック」という未来の素材でできていることが判明し、「ギガゾンビはただのまじない師なんかじゃなかった」ことを知らしめた。

旧映画版では一体しか存在しないが、リメイク版では漫画版通り親玉となる個体の他に無数の個体が登場した。

  • 空き地の地主
CV:田口昂
いつもの空き地の地主。初登場(かつ現在のところ唯一の登場)。
勝手にのび太が建てたキャンピングカプセルを揺すって、のび太を追い出した。
なお、不動産屋からは空き地を3億円で売らないかと勧誘されている。
結局売らなかったようだが…そもそもあの土地、何のために(不動産屋の言うとおり)「あそばせて」いるのか…

  • タイムパトロール
CV:大宮悌二、橋本晃一
ギガゾンビを追って、タイムスキッパーをマンモス擬態して潜んでいた。
遭難したのび太に小箱型発信機を与え、逆転のきっかけを作り出す。
通信の際にはスクランブル発進の様子が描写され、複数の艦が動員されていた。
大編隊でギガゾンビの基地を爆破した。

リメイク版では隊員達が若い男女に変更されている。そしてなんと外見がT・Pぼんに登場するメインの3人とそっくり。
ゲーム版と字幕表記では3人がそれぞれリーム、ぼん、ユミ子ら本人であることが明言されている
ただし、「TPぽん」におけるタイムパトロールはドラえもんのそれとは設定が異なるため、一種のスターシステムとも言えるだろう。


【用語】

  • ヒカリ族
ドラえもんたちが助けたククルの一族。クラヤミ族に付け狙われており、何度も襲われる。
その後、難を逃れるためドラえもんたちが日本列島に招待する。
原作では、彼らは当時の考古学で『新人』とされたクロマニヨン人である事が示唆されている。

  • クラヤミ族
ギガゾンビとツチダマとに率いられ、ヒカリ族をストーカー付け狙う凶暴な一族。
マックラ族ではない。
ゴリラのような外見で、知能もあまり高くないようで、ヒカリ族に比べて進化が遅れている模様。


【余談】

歴史上に実際にあったとされる奇怪な失踪事件は「時空乱流」(時空間の裂け目に吸い込まれる現象)によるものではないかとの説明がある。
ただし、実の所ドラえもんが挙げた事例は、誇張・創作が多く含まれている都市伝説がほとんどだったりする。無論説明できない現象もあるが。
リメイク版ではククルの飲み込まれた時空乱流はギガゾンビのつくった亜空間破壊装置によってできたものと明言されており、ギガゾンビの悪辣な印象を強くしている。

短編「いつでもどこでもスケッチセット」では、本作の一部分(ペガ・グリ・ドラコを捜索するが見つからず、木の枝に座る場面)を
のび太が道具を使ってスケッチするエピソードがある。
…が、この時のび太はスケッチする光景の「時間・場所」を適当にセットした結果ちょうどその場面が描かれており、
とてつもなく奇跡的な操作と言えよう。

同じく「七万年前の日本へ行こう」では、このあいだ七万年前の日本に行ったというセリフで日本誕生の一件が触れられている。


主題歌の「時の旅人」は映画主題歌としての役目を全うした後の後年(1994年頃)のTV版における、『逆成長グラス』というエピソードで、
感動場面の挿入歌として使われた。これにより、「時の旅人」は「少年期」、「風のマジカル」と並んで、
通常放映で映画主題歌が挿入歌として使われた稀有な例となった*6

冒頭で触れられた「土地問題」は短編でも扱われていたテーマであり、
『無人島の作り方』(てんコミ9巻)では「日本の領海にマイ無人島を!→国によって接収」、
『ひろびろポンプ』(てんコミ21巻)では「日本列島を巨大化→日本列島が太平洋の真ん中を塞いだため寒流と暖流がメチャクチャになり、世界中が異常気象に」
『「チリつもらせ機」で幸せいっぱい?』(てんコミプラス6巻)では「庭をゴルフ場並みに!→税務署が固定資産税を取り立てに」
と土地所有に関するのないオチが描かれていた。

また、上記にもあるジャイアンのセリフ「おれはかーちゃんのどれいじゃないっつーの!」は、公開2か月後に放送された『アパートごっこ」』というエピソードにおいて、ドラえもんが物真似をした。

作中でドラえもんがギガゾンビを「時の流れをさかのぼり、歴史をかってにつくりかえようとする時間犯罪者」と非難するが、ドラえもんの目的(のび太しずかの結婚)が思いっきりブーメランになっているとよくツッコまれる。








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最終更新:2024年02月20日 07:43

*1 てんとう虫コミックスではドラえもん のび太のパラレル西遊記がないため9作目。

*2 2018年の『ドラえもん のび太の宝島』で更新。

*3 いつもの空き地に不動産屋がやってくるなど、当時のバブル的な世相も反映されている。

*4 つまり、彼の家出は労働争議であり、リメイク版ではこの点を強調する描写が出てくる。

*5 本人曰く「23世紀」の人間である。なお、似たようなことは単行本でのび太も計画している…がうまくいかず助けに来たドラえもんがあがめられるオチだった。

*6 インストでなら他にも例があるが、歌唱付きという例に限定すると。