機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊

登録日:2011/10/30(日) 19:24:34
更新日:2023/05/28 Sun 23:03:48
所要時間:約 6 分で読めます





オレたちゃ只の愚連隊なのさ




発行:角川書店
全5巻
作画:曽野由大
脚本:クラップス


『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』は、ガンダムエースにて掲載されていた作品である。

独特なタッチのアメコミ調の作画や破天荒とまで言える程のMSアクションは賛否両論であり、ついそちらに目が行きがちだが

  • 連邦内部の派閥抗争
  • 北米戦線(キャリフォルニアベース等)
  • 教導部隊

など、従来の作品とは異なる面から一年戦争を捉えており、従来設定からの逸脱を除いても一つの外伝作品としての完成度は高い。

また、MSVなどからマニアックな機体が多数登場するのも特徴。
『M.S.ERA ガンダム戦場写真集』からもキャラが出ている時点で相当マニアック。

プラモの解説やゲームとのコラボ、掲載誌がガンダムエース等から、ほぼ公式作品だと思われる。
『MS大全集2009』には、ジム・ストライカー(ネメシス隊:ユージ・アルカナ機)が掲載されている。
また、パーフェクトファイルやその他書籍にも本作の出来事が載っている。

こらテメェ!教導隊としての任務の描写は1巻にしかないとか、ビームダガーを「掴む」のは無茶だとか突っ込むんじゃねーヨ!

なお、本作は『戦場の絆』とコラボしており、ネメシス隊仕様のジム・ストライカーを使用することができる。



●あらすじ
U.C0079.12月、MSの戦力化に成功し反抗作戦を進める連邦軍は、MS部隊の強化と技量向上を図り、教導隊「ネメシス」を創設。
カナダの田舎エース、ユージ・アルカナがこの部隊に配属される所から物語が始まる…



●主な登場人物

○ユージ・アルカナ
主人公。階級は中尉
TACネームは「タフドッグ」
バンクーバーで生まれ育ち、戦前はプロボクサーとして活躍しており新人王決定戦第3位の実力を持つ。
しかしコロニー落としを眼前で経験、人命救助を志し連邦軍に入隊した。
一見チンピラめいて乱暴でいい加減そうだが、仲間や友達、何より市民を決して見捨てない優しい人物。
入隊経緯もあってか戦友や民間人を守る事への決意は非常に固く、死の危険すら顧みない。
もしも仲間や市民の死を目の当たりにすれば鬼の如く激昂する。

ボクサーの経験を活かした敵の至近距離に果敢に飛び込み、他をどれだけ傷付けさせても急所だけは守りつつ攻める戦闘スタイルを特徴とし、
その性質上決して技量が低い訳ではないのだが戦闘終了後は乗機が大きく破損している事が多い。
第一話冒頭の時点でザク2機・グフ・ドム1機ずつの撃墜経験があり、累計撃墜数4機の地方エースであり、
誰もが生存を絶望視していた数名の戦友達を乗せてボロボロのジムで生還したエピソードから「ゾンビー・ジム」の異名を持つ。

当初はカナダを守護する兵士としてのこだわりから北米バンクーバー基地を離れる事を拒んでいたが、
「教導隊として軍全体の能力底上げに関わる事は、間接的に(ユージが拘る)仲間を守る事に繋がる」という上官の勧めによりネメシスへ転属となる。

父親が日本人らしく、幼少期は日本で過ごしていた。日本の家の表札によると、名字は「有兼」と書く。
味音痴らしく、彼以外は微妙な反応を示す「マメッコーラ」なる飲み物と「まうい棒」というスナック菓子が好物。
口癖は「DEAD!」。意味はその時々によって変わる。

搭乗機は当初は通常型ジム。後にジム・ストライカー

なお、ガンダム史上3人目(時系列的には2人目)のパンチでラスボスを倒した主人公である。

「HGUC」ジム・ストライカーの解説には、彼が北米戦線で戦果を上げたことが記述されている。
そのプラモをネメシスカラーに塗った人も少なくないだろう。


○ホーク・ロイザー
ネメシスMS部隊隊長。階級は大尉
TACネームは「プレシデント(大統領)」

変人その1
傍若無人で女好きだが技量は高く、かつては「東の鷹」の異名を取った程。
ネメシス四十八手の創始者である。
初期のころは「今日の金言」という名言(迷言)を残していた。

「西の竜」のショーンとはかつてタッグを組んでいて、劇中では彼が率いるスレイプニール隊と協力して、ピクシーに5対1で挑んだ。

搭乗機はジム改


○ジャン・ディベビエ
ネメシスMS隊隊員。階級は中尉
TACネームは「エイプ」

皮肉屋だが実は仲間想い。
戦闘時はヘタレ
かつて、川で溺れていた所を救われるも助けてくれた人に死なれた経験があり、
それ故に自己犠牲精神、延いてはその権化たるユージの事を嫌っていたが、彼との接触を経て徐々にその考えに理解を示す。
ユージとの模擬戦で実質的に完敗を喫した事と、その後のジオン部隊との戦闘で彼に助けられたことで自分が間違っていたと悟り、
ネメシスを去る事を選択するが……。

搭乗機は量産型ガンキャノン。



○ダグ・キーソン
ネメシスMS隊隊員。階級は中尉
TACネームは「コング」

実は従軍僧侶でもある。
非常に寡黙で会話らしい会話をする事は無く、「Rog(了解)」すら言わないという。
劇中ではMS搭乗中にMSの首を左右に振る事で否定を示したり、平時は筆談で意思疎通を行ったりしている。
見た目は厳めしい男だが、コーブ・I・コブに不吉な事を言われたユージに魔除けの木彫り人形を贈るなど、実はとても優しい。
絡みこそ少なかったものの、その人柄からユージからも慕われていた模様。

搭乗機は量産型ガンキャノン



○エリンスト・ポノワ
ネメシス隊の紅一点。
階級は中尉で、ホバートラックにて索敵とオペレーターを勤める。
TACネームは「コックローチ」
ネメシス隊員からは「エリ」の愛称で呼ばれる。

かつてはジャブローで教官を務めていたが、教育中の事故で隊員を死亡させてしまう事故を起こした事がある。
そのため、役に立たない後方支援を「うるさいだけの応援団」に引っ掛け「トランペット吹き」と呼ぶジャブロー内でのスラングに因み、
役に立たないどころか事故すら起こす事から「ジャブローの呪われた虎ンペット」と蔑まれていた。
その事を気に病み一時は除隊を申し出るも、サキが彼女の能力を欲した事でネメシスに転属する。



○サキ・デッサウ
ネメシス隊の指揮官。階級は少佐
常に七三分けをビシッと決めた髪型が特徴的。昔はツーブロックだった。

常に冷静沈着な人物。一見冷徹に見えるが、実際には腹の底では情熱を抱えている。

士官学校のベースボール部では名キャッチャーとして知られ、「一球先を見通す男」の異名を取る程の観察眼を持つが、
過去に「シャマラン派」に属していたことが原因で出世コースからは外れている。
その為サキの同期の人物からは「所詮は一球先しか見通せない男」などと陰口を叩かれている。


○タラ・I・キケロ
ネメシス隊整備班長。階級は技術少尉

オーガスタ基地より出向し、特殊な機体の多いネメシスのMS整備を引き受けている。
うだつの上がらない地味な小男で、小心者でよく吐く。
ユージとよく一緒に行動し、その割を食らう事もしばしば。
一方で彼からは舎弟の様に扱われており、割と可愛がられている。



○デノーメル准将
ネメシス隊の発案者で、サキの直接の上官。彼もかつてのシャマラン派であり、冷や飯を食わされていた仲。
水面下で策謀を巡らせる者ばかりな本作に登場する将官の中では珍しく好人物。
ネメシスにケチを付ける者が多い軍高官相手にも負けずにネメシスを庇う等、本当に貴重な人材。



○イーグル・ロック
連邦軍中尉
「とある事件」の後にネメシスへと編入する。
ネイティブアメリカン
ユージとホモ疑惑をかけられていた。
途中ポノワといい雰囲気になるが……。

搭乗機はライトライナーで、ジムと合体可能(劇中ではストライカーと合体)



○ウェイン陸軍中将
連邦陸軍の重鎮
北米での覇権を得るべく暗躍する。
ネメシス創設にも賛成してはいたが、傲慢な態度、主人公チームに敵対的・批判的な姿勢など、典型的な「悪い軍人・軍高官」。



○コルテス中尉
ウェインの部下
本作の(戦闘での)ラスボス
表ではウエインのボディーガードを行い、裏では狙撃、証拠隠滅などの「汚れ仕事」を担っていた。
なお昔はボクサーであり、ユージとの対戦を待ち望んでいた。(結果はコルテスの不戦勝)
変人その2にしてかなりの戦闘狂であり、殺しに自分の快楽を求めている。

本作の迷言メーカー

搭乗機はジム・スナイパーカスタム、ガンダム・ピクシー
ピクシーは、初登場時にGファイターと合体しGアーマー形態になっていた。


○ピーター・フォード大佐
ウェインの部下
がっしりとした体格と豪快な性格という、いかにも「良い軍人」的な風貌。

現在でこそ階級上大きな差が付いたがサキの同期であり親友。現在も公の場でこそ上官と部下の態度で接するが、友情は未だ続いている。
シャマラン派に固執したサキに対してこちらは早々に見切りを付け、ウェインの派閥に加わった事で出世コースに乗っている。
ネメシスにスパイ疑惑が浮上した際は彼らに不利な証言と証拠を提出し、サキを裏切ったと思われたが……



○シェリー・フォード少尉
フォード大佐の実の娘。
女性ばかりで構成された「チェリーブロッサム隊」の一員。
モデルばりの美貌の持ち主だが、高飛車な性格故にユージからは一貫して「タカビー女」と呼ばれ苦手意識を持たれている。

PV撮影中の事故で危機に陥った所をユージに救出され、それ以降は彼の事を気に入った模様。
当初はいかにもお遊び気分の不真面目なスイーツ女といった風であったが、
後のエルスワーズ基地襲撃の際は連邦軍人として真摯に働き、市民の避難誘導に努めていたが……。


○ヨゼフ・トラバートン宇宙軍中将
地上に於ける連邦宇宙軍の重鎮。
冷遇されがちなシャマラン派の一人であり、彼が出世を重ねた事で同じくシャマラン派だったサキ・デノーメルは彼という後ろ盾を獲得した。
デノーメル准将の上司にしてスレイプニール隊の上司でもある。
レビル将軍と同様戦争早期終結派。



○グエン・バオ・ハイ海軍中将
連邦海軍の重鎮。
色黒な肌とちょび髭が特徴的。おそらくベトナム人。



○バリーズ大佐
エルスワーズ基地司令官
一言で表せばサル。やけに大きな耳、上前歯、そばかすが特徴的。
間抜けな小男という感が強く、ギスギスした場面でも笑いを届けてくれる癒し要員。



○ショーン・キャシディ大尉
V作戦評価試験部隊「スレイプニール」所属。階級は大尉
ホークとは旧知の中で、「西の竜」の異名を持つ。

搭乗機はガンタンクⅡ


○スハン・ヤンセン
スレイプニール隊所属。階級は中尉
「萎える」が口癖で、常にやる気のない態度を隠さない。
変人その3にしてユージを追い詰めるほどの実力者。

搭乗機はジム・ライトアーマー


○カート・ワーグ
スレイプニール隊所属。」階級は中尉

搭乗機はガンキャノンⅡ


○モルガン・フリーマン
スレイプニール隊のオペレーター兼実況。階級は伍長
かなりのエースパイロットマニア。

「(東の鷹のネメシスと西の竜のスレイプニールによる共同戦線に対して)これは…奇跡だあああああ!!」


○コカトリス隊
かませ。


○タマーム・シャマラン
本編開始時点で故人。
地球を至上とするでも宇宙を至上とするでもない「シャマラン派」の指導者。
地球が宇宙を直接支配するには宇宙側の規模が大きくなり過ぎたU.C.70年代に於いて、宇宙側が独立を求めるのは必然とし、
コロニーの各サイドを国家として独立させ、宇宙と地球とで国交を結ぶ事で経済の安定化を提唱していた。
宇宙の独立を認めるという点で宇宙寄りと見做される事も多かった様子だが、彼は「地球は聖地として神聖視する」事も認めており、
また「ダイクン君の思想は性急すぎる」「話を付けるまで独立宣言は待てと言ったのに」と批判的な姿勢を示しているため、
実際には「コントリズム」と「エレズム」の中間かつ「ジオニズム」とも異なる、まさに「シャマラン派」と呼ぶべき思想の持ち主。

サキの士官学校時代の恩師であり、彼の教えは未だにサキに強い影響を及ぼしている。
地球とコロニー側の対立が深まる中、両者の融和を訴えようとするも、その演説を始める前に反対派によって銃撃され、間もなく死亡する。
口癖は「ORDERRRRRR!!」


○コーブ・I・コブ
「フェニックスの翼」の異名を持つ霊能力者。ユージに不吉な気が憑りついていると警告する。
死者との会話、ひいては死者を蘇らせる事ができるとの触れ込みであり、実際初登場時は正に死亡したと思われていた民間人を蘇らせたかの様な描写があった。

……がそんな筈も無く、ユージから死者の蘇生を依頼された際に「いくら出せるかしら」と尋ねた辺りで雲行きが怪しくなる。
実の所は霊能力詐欺師であり、儀式の際に発生する煙も光も全て演出。
「先祖を侮辱する事は許さない」とロック中尉により化けの皮を剥がされ、連邦軍の野営地からつまみ出された。
戦争被害が多発している時期もあり、北米各地で被害が続発しているという。


その他、魅力的なキャラ多数
『Ζ』のブレックス准将もカメオ出演している。


●登場兵器

連邦

ネメシス隊はダークブルー、スレイプニール隊はトリコロールに塗装されている。





ゾック
通称暴走ゾック
トロント基地にて暴れるその姿はどっかの怪獣映画さながらであった

アッグ
アッグガイ
ゾゴック
ジュアッグ
以上の四機は原作に出れなかった鬱憤を晴らすかの如く暴れた


また、別部隊(ブルーディスティニーマドロック)がモニターに映っていた。





本作の外伝に『アッガイ北米横断2250マイル』マイルがある。
単行本には愚連隊の読み切り版『ターゲット イン サイト』も収録。

愚連隊本編と密接にリンクしており、ネメシス隊とスレイプニール隊が全員助かった経緯や、ユージのジム・ストライカー等が描かれている。


ホーク「(アッガイのパイロットに)借りを返すなどとその男意気--敵ながら天晴!!」


「これこそが…通称戦場の絆だ


ちなみに今作で本編のアッグシリーズのパイロット達は通称全員超絶イケメンだった事が判明
某ガンダムマイスター達にどこか似ているような……いや、気のせいか。


なお、ガンダムエースにて続編の『機動戦士ガンダム KATANA』が掲載していた。
あらゆる意味でパワーアップしているため一見の価値あり。

『戦場の絆』のコラボ漫画では『ジョニー・ライデンの帰還』のレッドと共演。




DEAD!(追記・修正頼んだぜ!)

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最終更新:2023年05月28日 23:03

*1 誤解されがちだが、教導部隊というものは「人にもの教えられるだけの実力者」が揃うトップエースの集団である。