幸平創真

登録日:2014/05/30 (金) 00:18:28
更新日:2023/10/02 Mon 19:35:36
所要時間:約 10 分で読めます




料理とは 果てなき荒野そのものである



幸平創真は『食戟のソーマ』の主人公。
CV.小野友樹(VOMIC版)松岡禎丞(アニメ)


大衆食堂「食事処 ゆきひら」の跡取り息子。
父・幸平城一郎と共に店を切り盛りしており、料理人としてのキャリアは12年。
実に3歳の頃から包丁を握っていた筋金入りの料理人。
幼稚園の頃には自分で弁当を作り(ただし食った友達が大泣きするほどに不味かった)、
小学生の頃には給食のおばちゃんに混じって給食を作っていた。
城一郎とは度々料理勝負を行っているが、今のところ490戦全敗。

自分よりも遥か格上の人間に長年挑み続けてきた気概、
現場で長年培ってきた経験によって、どんな相手だろうといかなる大舞台だろうと物怖じすることを知らない。
いちいち緊張していては料理人などやっていられねえのである。

「失敗」を糧にすることを忘れず、城一郎との勝負で出した品に改良を加えたり、ミスった盛り付けから新しい料理を編み出したりしている。

その独創性溢れる料理は食べた者を驚かせる意外性と美味さに満ちているが、たまに独創性が溢れすぎておかしな方向に行くこともある。
まあ、いずれそういったゲテモノ料理も糧になるときが来る……んだろうか?

ちなみに食戟のソーマではよくあることだが、決めゴマになると誰!? というくらいイケメンになる。

破天荒な行動をよく取るが、内面は恵と同じ常識人。
遠月の個性的すぎる場面(特に極星寮関連)に振り回される事もある。

本人としては中学卒業とともに家業を本格的に継ぐつもりだったが、城一郎が唐突に海外に旅立ってしまい、
日本屈指の名門料理学校「遠月茶寮料理學園」に入学することになった。

そして編入試験にて薙切えりなと出会い、
彼女の編入試験に挑み、露骨に見下してくる彼女の舌を唸らせることに成功したが、


「さあどーだい。美味いか不味いか、言ってみな!」

「不味いわよっ!」

あれぇえ!?


食戟のソーマ





挑発しすぎたせいで不合格になってしまい、入学すらできないところだったが、彼の料理を食した総帥である薙切仙左衛門によって不合格を取り消され、
正式に遠月学園に編入することになった。

そして入学式にて「てっぺんを獲る」と宣言し、えりなに「いつかはっきりと美味いと言わせてみせる」と予告した。

当初は今更料理学校に通うことに不満を持っていたが、地獄の合宿において、
自分と同じく現場を知るライバルとの出会い、城一郎以外の相手への初めての敗北、
そして自身の弱点の発見を通して「思ったより面白い」と考えを改めた。

秋の選抜においては本戦出場を決め、薙切アリスを下して一回戦を突破した。

準決勝では美作昴と当たり、料理人生命を賭けた食戟の末に勝利し、美作を改心させた。

そして決勝戦では、創真、黒木場、葉山アキラによる秋の選抜史上初の三つ巴の決勝戦が開催される事に。
決勝戦のお題は秋刀魚。黒木場には幼い頃から培ってきた経験によって、葉山には天賦の嗅覚によって、目利きの段階で大きく差を開けられてしまったが、創真はそれを熟成という方法で補い、勝負の行方は分からなくなった。

そして必殺料理を作り出した葉山に敗北を喫する。

創真は父を超える事を目標としているが、それはつまり彼の料理は結局のところ父の後追いをしているだけのものでしかない事を意味しており、己自身の料理を探る事を怠っていたという事。
つまりは皿に掛ける執念の差。それが創真と葉山の勝敗を分けたものだった。

そして創真は敗北を経て自分自身にしかできない料理とはなんなのかを探すために新たな一歩を踏み出すのだった。

父からは「これといって料理の才能を持たない」とともに、「他人の優れた才能に屈する感性が欠如している」と評され、「自分の足りない部分の向き合う強さ」が創真の料理人としての最大の強みとなってもいる。
それゆえ、それまでに積んだ経験を活かし、どんな状況にも屈さず思考し抜くことを最大の武器とし、その場にある食材から要望の料理を創り出す工夫と発想力を発揮する。
「天性の才能ではなく、経験や努力によって本当に旨い料理を作り出せる料理人」と言うのが、創真を表す言葉といっても過言では無いのかもしれない。
しかし、才能が無いにも関わらず、葉山アキラや黒木場リョウといった天才料理人に匹敵する実力を持った創真の存在は、「天才が勝つのは当たり前」と考えている虚栄心の強い遠月学園の生徒多くにとって最も許しがたい存在になっており、それに気付いている一色慧は、「創真くんを認めれば、努力していない自分を認める事になる」と冷徹に評している。
その為か、秋の選抜において薙切アリスや美作昴といった間違い無く強豪の料理人に勝っているにも拘らず、未だに生徒の多くは創真を認めようとせず、学園の新聞である「遠月スポーツ」では、葉山とリョウを中心に描き、創真だけを蚊帳の外扱いするという、明らかに悪意のある描写を行っている。新聞部によると、「創真を叩けば叩く程、売り上げが伸びる」らしい。その様はまるでワンパンマンサイタマである。

秋の選抜後はおあつらえ向きに実地研修(スタジエール)が開始。

その中で四宮先輩の店で研修を受ける事となり、定食屋とはまるで勝手が違うフレンチに苦戦するが、凄まじい勢いでフレンチの技法を吸収していき、わずか数日で店の戦力として認められるレベルに成長する。
そして「生まれ育った環境の中だけでやってきた料理をぶち破る」という目的への第一歩を踏み出し、四宮先輩改め四宮師匠から激励をもらい、スタジエールは無事終了となった。

極星寮に帰還後、遠月十傑と対面し、格下に興味を持たない彼らを食戟の場に引きずり出すため、学園祭で第八席・久我照紀に挑戦状を叩きつける。



【お品書き】
  • なんちゃってローストポーク
冷蔵庫の中身を全てダメにした上で肉料理を要求してきた質の悪い地上げ屋に披露した品。
ホクホクに蒸かしたジャガイモに脂を吸収しやすい繊維質のキノコを刻んで練り込み、厚切りベーコンを巻いてオーブンでじっくり焼き上げた料理。
カリカリになったベーコンと旨みと脂を吸収したジャガイモが官能的な食感を生み出す。
盛りつけをミスってポテトサラダに肉汁が染みてしまった事から思いついた「失敗作から生まれた料理」。
思わずおねだりしちゃう味。



  • 化けるふりかけごはん
えりなの編入試験で披露した品。
ふわふわの卵そぼろに手羽先の煮凝りを細かく切って混ぜ、それを熱々のご飯にふりかけることで出来上がる料理。
ご飯の熱で煮凝りが溶けて卵にぷるんと絡みつき、卵の甘さと鶏肉の旨みが溶け込んだスープが絡まり、美味しさを跳ね上げる。
天使の羽で愛撫されるような味。




  • あり合わせ鯖バーグ定食
極星寮の入寮腕試しで披露した品。
肉の代わりに鯖缶を使ったハンバーグに、スルメで出汁をとった卵スープの付いた定食。
重厚感のあるハンバーグにスルメの旨味成分が溶け出したスープが心も体も温める。
ババアが若返る味。



  • 鰆おにぎり茶漬け
ゆきひら裏メニューその20(改)。
ポワレ(※素材を押さえながら均一に焼き色を付ける技法)で焼き上げた鰆を具に使ったおにぎりに塩昆布茶を注いだ料理。
パリッと仕上げた鰆の旨みとおにぎりと塩昆布茶の塩気が食欲をそそる。
雪解けを感じさせる味。めばえっ。



  • シャリアピンステーキ丼
にくみとの食戟で披露した品。
シャリアピンステーキ(※タンパク質を分解する酵素を含んだ玉ねぎのみじん切りに漬け込んで柔らかく仕上げたステーキ)に特製のたれをかけ、
練り梅を混ぜ込んださっぱり梅風味飯の上に乗せた料理。
ふわふわの食感のステーキととろみの利いたたれ。それに爽やかな梅風味の飯が合わさって箸を進ませる。
かき込まずにいられない味。



  • 岩魚のお柿揚げ
地獄の合宿のお題「エリア内で調達した食材で日本料理を一品作れ」で披露した品。
川で釣り上げた岩魚と山で採った鶏卵、そして試験官である乾日向子のお茶請けの柿の種を使って仕上げた料理。
柿の種を砕いて衣に使い、卵の素と木の芽のソースによって上品な味わいを作り出している。
柿の種との愛に溺れてしまう味。



  • スフレオムレツ
地獄の合宿のお題「驚きのある一品を朝食として作れ」で披露した品。
卵白をメレンゲ状に泡立ててから焼くことでふわふわした食感に仕上げたオムレツ。
ただし、時間が経つとしぼんでしまうためビュッフェ形式には向かない。
創真はそれに気付かずにこの品を出してしまい、危うく不合格になりかけたが、
客の目の前で高速で調理を行う「ライブクッキング」による演出で客を惹きつけ、残り五秒でギリギリノルマを達成した。


  • リンゴの洋風がゆ(リゾット)
城一郎との490戦目の料理勝負で披露した品。
リンゴジュースを使って爽やかなリンゴの風味を付けた朝食にピッタリな料理。
しかし、城一郎の食べ応えがあるのにあっさりしている「城一郎特製こってりラーメン」に敗れる。



  • カレーリゾットオムライス
秋の選抜の予選のお題「カレー料理」で披露した品。
マンゴチャツネ(※スパイスを果物や野菜と合わせて作るペースト状の調味料)を使って煮込んだリゾットを卵で包んだ料理。
オイスターソースをベースにして蜂蜜でアクセントを加えたソースと、
マンゴチャツネによって深い風味を加えたリゾットによる「香りの誘爆」がストリートファイターに殴られたような強烈な味を作り出す。
惜しくも一点差で葉山に敗れたが、審査員が判定を巡って大喧嘩を始めるくらいに僅差の判定だった。



  • ゆきひら流進化系のり弁当
秋の選抜・本戦の第一回戦、お題「弁当」で披露した品。
メニューはのり弁の基本、磯辺揚げに鱈のフライにきんぴらごぼう、それにベーコンと玉ねぎの味噌汁を保温式のランチジャーに入れた弁当。
磯辺揚げはビールを使ってふんわりとした食感に仕上げ、
鱈のフライはマグロ節と利尻昆布からとった出汁で一度煮込んでから揚げることで上品な味に仕上げている。
味噌汁もマグロ節によって出汁をとっている。
そして極み付けはご飯。駄菓子をヒントにしてアルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムによって海苔の旨味を抽出した旨味爆弾をご飯の上に乗せ、
更にご飯の中にマグロ節で作った佃煮を仕込んだ四層構造。〆にマグロ節と利尻昆布を通常の3倍使った葛餡(出汁に葛粉でとろみをつけた品)をかけていただく。
アリスの冷たい弁当に対する温かい弁当。様々なエンターテイメントを詰め込んだそれは正に、味の宝箱や〜!



  • ゆきひら流ビーフシチュー秋の選抜スペシャル
食事処ゆきひら裏メニューその5(改)。
創真が初めてゆきひらのメニューとして城一郎に認められた品に改良を加えた料理。
原型となったビーフシチューは特有の酸味を白味噌でまろやかにし、より日本人向けの味に仕上げていた。それにゼラチン質の豊富な牛テール肉や、クローブ、マティニョンを加えてコクを深めている。
そしてほほ肉、牛タン、ハチノス、ヒレ肉、ハラミ等様々な部位の肉をそれぞれ別の調理法で仕上げ、ガルニチュールとして盛り付けている。美作の品が慎重に積み上げたトランプタワーとするならば、創真の品は緻密に汲み上げられた「牛肉の遊園地」。
様々な部位の肉の旨味がシチューに加わり、重層的な味の広がりを持たせている。
みんな大好きゆきひーランドの味。




  • さんまの炊き込みご飯おじや風
秋の選抜・本戦決勝、お題「サンマ」で披露した品。
さんまをぬか漬けにして熟成させたぬかさんまを七輪で焼いた後にご飯と一緒に土鍋で炊き込んだ炊き込みご飯。
そこに豆乳に味噌とパルメジャーノ・チーズを加えてじっくりと温めた出汁をかけた料理。
さんまのイノシン酸と豆乳のグルタミン酸という二つの旨味成分の相乗作用によって旨みを増幅させ、ご飯の中に仕込んだカリカリ梅によって爽やかな後味と酸味による食欲増進効果も取り入れている。
愛しいあの人と出会ったあの頃を思い出す味。




  • うずらの詰め物 リゾットと卵~生意気小僧風~
「SHINO'S TOKYO」でのスタジエールで披露した品。
鶏肉・卵・ご飯・玉葱・割り下という親子丼の基本的な要素をフレンチの技で再構築した料理。
スュエ(野菜をじっくりと炒めて水分を引き出し、旨味を増すフレンチの技法)した玉葱を加えたリゾットをうずら肉に詰め物(ファロス)し、生クリームを加えトロトロの半熟にしたポーチドエッグを添え、マデラソースに醤油を加えた特製のソースが割り下のように食材どうしを繋げる。
そしてうずら肉からリゾットがこぼれ落ちるのを防ぐため、塩ゆでしたキャベツに包み込んでいる。これは以前の食戟の際に四宮師匠が作ったシュー・ファルシを元にしている。
正に四宮師匠から吸収したものを全て叩き込んだと言える一品。


  • 胡椒餅(フージャオピン)
遠月十傑第八席・久我照紀率いる「中華研」の店の料理に対抗すべく製作した料理その1。
元ネタは台湾小吃で有名な定番料理。
胡椒がきいた肉の餡に、中はもっちり、外はパリパリの皮が特徴の食べ物。
肉に合わせてスパイスと胡麻油、刻みネギを混ぜたタネにより、豪快なスパイスが生む確かな旨みを感じられる料理。
石窯に貼り付ければ一気に調理できるので大量生産にも優れた一品。


  • 時限式・麻婆カレー麺
対「中華研」用に製作した料理その2。
熱々の麻婆麺に巨大な肉玉が乗せられたインパクトのある麺料理。
肉玉のタネには胡椒餅の肉タネをそのまま使っている。
トッピングの肉玉の中にゼラチンで固めた特性カレー出汁を仕込むことで、
肉玉を割ると同時に溶け出していくカレーの旨みが麻婆麺に陣割り広がり混ざり合うようになっている。
これにより麻婆とカレー、2つの味わいを楽しむ事が出来る視覚的にも楽しい料理。
肉玉はアレンジされているが、中華料理「獅子頭(シーズートウ)」をベースとした料理でもある。


  • ゆきひら流羽根チ-ズ付き手羽先餃子
遠月十傑第九席・叡山枝津也との対決でソーマが披露した料理。
テーマ食材である「さつま地鶏」の手羽肉をメインに、その中に豚ひき肉や豚トロを具として加え、
水溶き片栗粉の代わりにパルメザンチーズを使って羽根を付けた手羽先餃子。
個性がそれぞれ強すぎる具材を、トマトケチャップと地鶏の茹で汁を隠し味に使った甘酢あんかけで纏めることで極上の味に仕立て上げている。


  • 鹿もも肉の炭火焼き~栗のソース~
遠月十傑第一席・司瑛士との対決でソーマが披露した料理。
テーマの「鹿肉」を甘栗剥いちゃいましたで使われる甘栗と合わせた料理。
奇抜な発想ながらもソースにも混ぜられた甘栗のやさしく甘い風味とぷりぷりホロホロとした食感が、香ばしく焼かれた鹿肉のジューシーさと炭火の香りを引き立てている料理。
ジビエと栗は相性のいい食材同士だが、更に隠し味にインスタントコーヒーを混ぜることで2つの食材の調和をより高めた新感覚の新たなフレンチ。
人の常識の殻を剥ぎ去るように制服も弾き飛ばす一品。
……だったが、司の作った「ふたつの表情を見せる鹿のロースト」の人間離れした完成度の前に敗れ去った。


  • 鶏卵の天丼
互いに和解したえりなの為に作った料理。
鶏卵の生卵を凍らせて中身をゼリー状にしつつ黄身の風味の濃度を高め、その上で卵を揚げることで新感覚の旨みを引き出した一皿。
また天ぷらの上に鰹出汁をベースに濃い目のみりんと醤油で作った特製の甘辛タレを掛け、トッピングで紫蘇の素揚げも添えている。
濃厚な味の高級卵を使わず市販の淡白な鶏卵を用いることで程よく丼全体の味を調える事に成功した一皿。


  • 豪雪うどん
遠月学園進級試験の二次試験。
「北海道の麺料理」という課題の中、殆どの食材が用意されていないという学園側の妨害に対し製作した一皿。
唯一残っていた大量のじゃがいもを使い、北海道でよく知られる豪雪うどんを再現した。
摩り下ろしたじゃがいもを加えたまろやかでとろみのあるスープと、じゃがいもをつなぎに使ったつるんとした麺。
トッピングにはこんがりパリッと表面を焼かれた芋もちを採用。
3つの食感が絡み合うことで満足感を高めた一腕。


  • 熊肉のメンチカツ
遠月学園進級試験の三次試験。
セントラル側に回った葉山との対決で、「熊肉」というテーマで製作した料理。
旨みが強い代わりに調理を間違えれば獣臭さが大量に発生しかねない骨に近い肉をふんだんに採用し、
五味子の持つ酸味、苦味、甘味、辛さ、塩辛さで熊肉の匂いをバランスよく旨みに転換させた一品。
美味さと不味さ分水嶺ギリギリを攻めることで濃厚なコクと旨みを出す事に成功している。
更に熊の出汁をベースに、五味子と蜂蜜とバルサミコ酢を加えたソースを使用。
ソースにほのかな甘さと酸味を与えることで深いコクとキレのある風味を引き出し、蜂蜜はキャラメリゼを行うことで濃厚な後味を生み出している。


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最終更新:2023年10月02日 19:35